JP2004207123A - 電子放出素子の製造方法 - Google Patents

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成樹 藪
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Abstract

【課題】特性のばらつきの少ない表面伝導型電子放出素子を安定して製造できるようにする。
【解決手段】基板1上に、間隙部5を有する導電性部材4を配置する工程と、炭素化合物の雰囲気中にて、導電性部材4へ所定の電圧パルスを印加する工程を有し、この所定の電圧パルスの印加は、雰囲気中への炭素化合物の導入前から行われることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電子放出素子およびそれを電子源として用いた表示装置等の画像形成装置に関わり、特に表面伝導型電子放出素子およびそれを電子源として用いた画像形成装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子放出素子としては大別して熱電子源と冷陰極電子源の2種類が知られている。冷陰極電子源には電界放出型素子(FE型素子)、金属/絶縁層/金属型素子(MIM素子)、表面伝導型電子放出素子等がある。
【0003】
表面伝導型電子放出素子は、基板上に形成された小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流すことにより、電子放出が生ずる現象を利用するものである。
【0004】
この表面伝導型電子放出素子の典型的な素子構成は、図15に模式的に示すように、基板1上に対向する一対の素子電極2,3と、該素子電極に接続されその一部に間隙部5が形成された導電性薄膜4とを有してなる。
【0005】
上記のような表面伝導型電子放出素子は、素子電極2,3が形成された基板1上に、例えば有機パラジウム溶液をスピンナ法により塗付後、焼成して酸化パラジウム(PdO)膜を形成し、その後水素(H2)が共存する還元雰囲気下で通電することによって形成することができる。即ち、この通電処理によって、パラジウム(PdO)膜がパラジウム(Pd)膜に還元されると同時に、このパラジウム(Pd)膜からなる導電性薄膜4に間隙部5を形成することができる。この通電処理がフォーミング処理と呼ばれる工程である。
【0006】
このようにフォーミング処理をした表面伝導型電子放出素子は、導電性薄膜4に電圧を印加して、素子に電流を流すことにより、前記間隙部5より電子を放出せしめるものである。
【0007】
上述の表面伝導型放出素子は、構造が単純で製造も容易であることから、大面積にわたり多数素子を配列形成できる利点がある。そこで、この特徴を生かせるようないろいろな応用が研究されており、例えば、荷電ビーム源、表示装置等への応用が挙げられる。
【0008】
また、上述の表面伝導型電子放出素子はさらに、間隙部5の近傍にカーボン膜(図示せず)を形成することにより電子放出の効率を飛躍的に増大させることが可能であるが、これに関しては例えば特許文献1や特許文献2等に詳述されている。
【0009】
上記のカーボン膜を形成する工程を活性化処理工程と呼んでおり、基板の置かれた雰囲気中に炭素化合物を導入して、前記導電性薄膜4に形成された間隙部5に素子電極2、3を介して電圧を印加して通電することにより間隙部5およびその近傍にカーボン膜を堆積させる工程である。
【0010】
活性化処理工程においては、例えば図16に示すように真空容器20内に、前述した基板1を図示しない治具上に納め、同じく図示しないプローブにより素子電極2、3に電圧パルス印加源21および電流計22を接続する。さらに真空容器20には、炭素化合物供給源23、バルブ24、および真空容器中を排気するための排気ポンプ25が接続され、真空容器20内を2×10-5Pa以下の圧力まで排気する。
【0011】
通常、活性化処理を行うにあたっては、特許文献9に詳述されているように、予めバルブ24を開き適当な圧力まで炭素化合物を真空容器20中に導入し、一定時間経過して基板1上に炭素化合物が充分吸着されてから、電圧パルスを印加するようにしている。
【0012】
この時、電流計22にて観測される素子電流(以下、「If」と称する。)を図17に示す。電圧パルスを印加し始めると、急激にIfは増加し次第にある一定値に飽和していき、所定値に到達したところで電圧パルスの印加を停止し、活性化処理を終了する。
【0013】
ここで活性化処理工程における現象は概略次のように考えられている。
導電性薄膜4に形成された間隙部5は、実際には模式的に図示されるような一様な間隔ではなく、局部的に間隙が狭い部分が存在し、この部分の電界強度が強いために、If電流が集中して発熱し基板上に吸着されている炭素化合物が分解されてカーボン膜が堆積し始めるものと考えられ、カーボン膜が堆積するとさらに間隙が狭くなり電界強度が増大しIf電流密度が高くなり、次々とカーボン膜が堆積し急激にIf電流が増大するものと考えられる。
【0014】
したがって、あらかじめ炭素化合物が吸着した状態で電圧パルスを印加し始めると、図17に示すように急激にIfが増大し、局部的に間隙が狭く電界強度が高くIf電流密度が高い部分にさらにカーボン膜が堆積して間隙が狭くなる部分が存在するために、その部分で放電や過電流により導電性薄膜や堆積したカーボン膜に損傷を与え、活性化処理工程後の電子放出素子の特性に対し、電子放出量の減少やあるいは不要なリーク電流の増大といった悪影響を与える場合がある。
【0015】
またこの電子放出素子を複数用いて電子源として表示装置に応用する場合には、上述のような悪影響により個々の電子放出素子の特性にばらつきを生じやすくなるために、表示の均一性に悪影響を与える場合がある。
【0016】
【特許文献1】
特開平7−235255号公報
【特許文献2】
特開平8−031309号公報
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、このような従来技術の課題を改善するものであり、活性化工程における放電や過電流等による損傷が少なく素子特性のばらつきの少ない電子放出素子およびこれらを用いた画像形成装置の製造方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の電子放出素子の製造方法は、基板上に、間隙部を有する導電性部材を形成する工程と、炭素化合物の雰囲気中にて、前記導電性部材へ所定の電圧パルスを印加する工程を有し、前記所定の電圧パルスの印加は、前記雰囲気中への炭素化合物の導入前から行われることを特徴とするものである。
【0019】
また、前記導電性部材へ所定の電圧パルスを印加する工程において、電圧パルスの電圧値を漸増させ、該電圧値が所定値に到達した後に、該電圧パルスを印加したまま、前記雰囲気中に炭素化合物を導入することを特徴とするものである。
【0020】
また、前記電圧パルスの電圧値が所定値に到達した後も、該電圧パルスの電圧値を漸増させることを特徴とするものである。
【0021】
また、前記間隙部を有する導電性部材は、一対の電極間を接続し、その一部に前記間隙部を有する導電性薄膜であることを特徴とするものである。
【0022】
また本発明の画像形成装置の製造方法は、複数の電子放出素子を有する電子源と、画像形成部材とを有する画像形成装置の製造方法であって、前記電子放出素子が以上の製造方法により製造されることを特徴とするものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0024】
本発明の電子放出素子としては、表面伝導型電子放出素子や横型の電界放出型電子放出素子が好適であり、図1に例示した構成が挙げられる。
【0025】
図1において、1はガラス等からなる基板であり、その大きさおよびその厚みは、その上に設置される電子放出素子の個数、および個々の素子の設計形状、および電子源の使用時に容器の一部を構成する場合には、その容器を真空に保持するための耐大気圧構造等の力学的条件等に依存して適宜設定される。
【0026】
ガラスの材質としては、廉価な青板ガラスを使う事が一般的であるが、この上にナトリウム(Na)ブロック層として、厚さ0.1〜1μm程度のシリコン酸化膜(SiO2)をスパッタ法等により形成した基板を用いる必要がある。この他にナトリウム(Na)等のアルカリイオン含有量が少ないガラスや、石英基板等でも作成可能である。
【0027】
また素子電極2、3の材料としては、一般的な導体材料が用いられ、例えばNi、Cr、Au、Mo、Pt、Ti等の金属やPd−Ag等の金属が好適であり、あるいは金属酸化物とガラス等から構成される印刷導体や、ITO等の透明導電体等から適宜選択され、その膜厚は、好ましくは数十nmから数百nmの範囲が適当である。
【0028】
この時の素子電極間隔L、素子電極長さW、素子電極2、3の形状等は、実素子が応用される形態等に応じて適宜設計されるが、間隔Lは好ましくは素子電極間に印加する電圧等を考慮して1μmから100μmの範囲である。また、素子電極長さWは、好ましくは電極の抵抗値、電子放出特性を考慮して、数十μmから数百μmの範囲である。
【0029】
さらにこの素子電極には、市販の白金(Pt)等の金属粒子を含有したペーストを、オフセット印刷等の印刷法によって塗布形成する事も可能である。またより精密なパターンを得る目的で、白金(Pt)等を含有する感光性ペーストを、スクリーン印刷等の印刷法で塗布し、フォトマスクを用いて露光、現像するという工程でも形成可能である。
【0030】
この後、素子電極2、3を跨ぐ形で、電子放出部となる間隙部5を形成するための導電性薄膜4を作成する。
【0031】
導電性薄膜4としては、良好な電子放出特性を得るために、微粒子で構成された微粒子膜が特に好ましい。またその膜厚は、素子電極2、3へのステップカバレージ、素子電極間の抵抗値、および後述するフォーミング処理条件等を考慮して適宜設定されるが、特に好ましくは1nmから50nmの範囲とするのが良い。
【0032】
導電性薄膜4の材料には、一般にはパラジウム(Pd)が適しているが、これに限ったものではない。また成膜形成方法も、スパッタ法、溶液塗布後に焼成する方法などが適宜用いられ、溶液塗布方法としてもスピンナ法やインクジェット法等を適宜用いることができる。例えば、有機パラジウム溶液をインクジェット法により塗付後、焼成して酸化パラジウム(PdO)膜からなる導電性薄膜を形成することができる。
【0033】
その後、この基板を図2に示すような真空容器20内に設置した後、一定の圧力まで真空容器20内を排気し、フォーミング処理工程として、バルブ29を開いて水素供給源30より例えば窒素ガス中に水素を数%〜十数%程度混入したガスを導入し水素が共存する還元雰囲気下で、電圧パルス源21より電圧パルスを印加して通電加熱し、パラジウム(Pd)膜とし、同時に間隙部5を形成する。
【0034】
なお、図示の便宜から、間隙部5は導電性薄膜4の中央に矩形の形状で示したが、これは模式的なものであり、実際の電子放出部の位置や形状を忠実に表現しているわけではない。
【0035】
この後、一旦水素を含む雰囲気を排気ポンプ25にて真空容器20中より一定圧力まで排気した後、活性化処理を行う。
【0036】
活性化処理を行うためには、前記導電性薄膜4に形成された間隙部5に素子電極2、3を介して電圧パルス源21より電圧パルスを印加して通電した後に、バルブ24を適量開けて炭素化合物供給源23より炭素化合物を導入して、間隙部5およびその近傍にカーボン膜を堆積させる。
【0037】
ここで、電圧パルスの電圧値や、電圧パルスを印加してから炭素化合物を導入するまでの時間等については、適宜選択可能である。
【0038】
またこの時、炭素化合物を導入する圧力については真空容器の形状や、炭素化合物の種類などにより異なるため、場合に応じて適宜設定することができる。
【0039】
上記のように、あらかじめ電圧パルスを印加した場合には基板表面に炭素化合物の吸着がほとんど存在しないために、従来例で示したように電圧パルスの印加直後より急激にIf電流が増加するような現象がみられず、すなわち狭間隙部に急激にカーボン膜が堆積することによる、電界強度やIfの急激な増大が発生しにくくなり、放電や過電流による導電性薄膜やカーボン膜の損傷を抑制することができる。
【0040】
また、炭素化合物の導入後も基板1上の炭素化合物の吸着は急激には増加しないため、カーボン膜の堆積が徐々に行われるため、上記のような理由により放電、過電流等による損傷が発生しにくくなる。
【0041】
したがって、複数の電子放出素子を作成するにあたっても、素子特性のばらつきを少なくすることが可能となる。
【0042】
さらに、電圧パルスの印加にあたっては、上述のように放電や過電流による損傷を防止するために、印加電圧を所定の値まで徐々に漸増させることにより、さらに効果的に本発明を実施することができる。この場合は前述のフォーミング処理において印加した電圧より始めて、徐々に漸増させることが望ましい。
【0043】
なお、その場合の炭素化合物の導入時期は電圧を漸増させる途中でも、また電圧が所定値の到達した後でも、適宜選択することが可能である。
【0044】
ここで、活性化に用いられる炭素化合物としては、アルカン、アルケン、アルキンの脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類、フェノール等を挙げることが出来、具体的には、メタン、エタン、プロパンなどCn2n+2で表される飽和炭化水素、エチレン、プロピレンなどCn2n等の組成式で表される不飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、メタノール、エタノール、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミン、エチルアミン、フェノール、ベンゾニトリル、p−トルニトリル等あるいはこれらの混合物を用いることが出来る。
【0045】
また活性化工程によって炭素化合物から形成されるカーボン膜は、グラファイト状炭素を含み、このグラファイト状炭素とは、完全なグラファイトの結晶構造を有するもの(いわゆるHOPG)、結晶粒が20nm程度で結晶構造がやや乱れたもの(PG)、結晶粒が2nm程度になり結晶構造の乱れがさらに大きくなったもの(GC)、非晶質カーボン(アモルファスカーボン及び、アモルファスカーボンと前記グラファイトの微結晶の混合物を指す)を包含するものである。
すなわち、グラファイト粒子間の粒界などの層の乱れが存在していても好ましく用いることができる。
【0046】
このような工程を経て得られた電子放出素子は、さらに安定化工程を行うことが好ましい。この工程は、真空容器内の炭素化合物を排気する工程である。真空容器内の炭素化合物の分圧は、上記のカーボン膜がほぼ新たに堆積しない分圧で1.3×10-6Pa以下が好ましく、さらには1.3×10-8Pa以下が特に好ましい。
【0047】
さらに、真空容器内を排気するときには、真空容器全体を加熱して、真空容器内壁や、電子放出素子に吸着した炭素化合物を排気しやすくするのが好ましい。
このときの加熱条件は、好ましくは200℃以上で、できるだけ長時間処理するのが望ましいが、特にこの条件に限るものではなく、真空容器の大きさや形状、電子放出素子の構成などの諸条件により適宜選ばれる条件により行う。
【0048】
真空容器内の圧力は極力低くすることが必要で、1×10-5Pa以下が好ましく、さらに1.3×10-7Pa以下が特に好ましい。
【0049】
安定化工程を行った後の、駆動時の雰囲気は、上記安定化処理終了時の雰囲気を維持するのが好ましい。このような真空雰囲気を採用することにより、新たなカーボン膜の堆積を抑制でき、また真空容器や基板などに吸着したH2O,O2なども除去でき、結果として電子放出特性が安定する。
【0050】
上述の工程を経て得られた電子放出素子の基本特性について、図2および3を参照しながら説明する。
【0051】
図2は、前述の通り真空処理装置の一例を示す模式図であり、この真空処理装置は測定評価装置としての機能をも兼ね備えている。なお、図2においても、図1に示した部位と同じ部位には図1に付した符号と同一の符号を付している。
【0052】
図2において、20は真空容器であり、25は排気ポンプである。真空容器20内には電子放出素子が配されている。また、21は電子放出素子に素子電圧Vfを印加するための電源、22は素子電極2、3間の導電性薄膜4を流れる素子電流Ifを測定するための電流計、26は素子の間隙部5より放出される放出電流Ieを捕捉するためのアノード電極である。また、27はアノード電極26に電圧を印加するための高圧電源、28は素子の間隙部5より放出される放出電流Ieを測定するための電流計である。
【0053】
ここで、一例として、アノード電極の電圧を1kV〜10kVの範囲とし、アノード電極と電子放出素子との距離Hを2mm〜4mmの範囲として測定を行うことができる。
【0054】
真空容器20内には、不図示の真空計等の真空雰囲気下での測定に必要な機器が設けられていて、所望の真空雰囲気下での測定評価を行えるようになっている。
【0055】
排気ポンプ25は、詳細は図示していないが、ターボ分子ポンプ、ドライスクロールポンプ等のオイルフリーのポンプからなる通常の高真空排気系と、更に、イオンポンプ等からなる超高真空排気系とにより構成されている。
【0056】
ここに示した電子源基板を配した真空処理装置の全体は、不図示のヒーターにより加熱できる。
【0057】
従って、この真空処理装置を用いると、前述の通電フォーミング以降の工程も行うことができる。
【0058】
図3は、図2に示した真空処理装置を用いて測定された放出電流Ie、素子電流Ifと素子電圧Vfの関係を模式的に示した図である。図3においては、放出電流Ieが素子電流Ifに比べて著しく小さいので、任意単位で示している。なお、縦・横軸ともリニアスケールである。
【0059】
本電子放出素子は放出電流Ieに対する三つの特徴を有する。
まず第一に、図3からも明らかなように、本素子はある電圧(しきい値電圧と呼ぶ、図3中のVth)以上の素子電圧を印加すると急激に放出電流Ieが増加し、一方しきい値電圧Vth以下では放出電流Ieがほとんど検出されない。すなわち、放出電流Ieに対する明確なしきい値電圧Vthを持った非線形素子としての特性を示しているのが判る。
第二に、放出電流Ieが素子電圧Vfに依存するため、放出電流Ieは素子電圧Vfで制御できる。
第三に、アノード電極26に捕捉される放出電荷は、素子電圧Vfを印加する時間に依存する。すなわち、アノード電極26に捕捉される電荷量は、素子電圧Vfを印加する時間により制御できる。
【0060】
このような特性の電子放出素子を複数配列して電子源として表示装置に応用する場合、前述のように個々の素子の図示されるような特性にばらつきがあると、表示の均一性に悪影響を及ぼすこととなるが、本発明によれば活性化時の放電や過電流による損傷を少なくできるために、素子特性への悪影響を抑えることが可能となり、ばらつきを抑え均一性を向上させることが可能となる。
【0061】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示す。
【0062】
[実施例1]
本実施例においても、基本的な素子形態は前述の図1と同様であるので、ここでは図1を用いて説明する。図1(a)は本素子の平面図を、図1(b)は断面図を示している。なお図面の寸法はあくまでも模式図であるため実際の寸法とは異なる。
【0063】
1)ガラス基板、素子電極形成
基板1としては、厚さ1.1mmの溶融石英基板を用いた。素子電極2、3は、この基板1上に、スパッタ法によってまず下引き層としてチタニウム(Ti)5nm、その上に白金(Pt)40nmを成膜した後、ホトレジストを塗布し、露光、現像、エッチングという一連のフォトリソグラフィー法によってパターニングして形成した。本実施例では素子電極2、3の間隔L=10μm、対向する長さW=200μmとした。
【0064】
2)導電性薄膜(素子膜)形成
上記基板を十分にクリーニングした後、シランカップリング剤を含む溶液で表面を処理し、表面が疎水性になるようにした。これはこの後塗布する導電性薄膜形成用の水溶液が、素子電極上に適度な広がりをもって配置されるようにするためである。ここで用いたシランカップリング剤は、ジメチルジエトキシシランの溶液で、スプレー法にて基板上に散布し、120℃にて乾燥した。
【0065】
その後、素子電極間にインクジェット塗布方法により、導電性薄膜4を形成した。本工程の模式図を図4(a),(b)に示す。
【0066】
本実施例では、素子膜としてパラジウム(Pd)膜を得る目的で、Pd有機金属化合物(Pd濃度0.15%)、イソプロピルアルコール20%、エチレングリコール1%、ポリビニルアルコール0.05%の水溶液を用いて、この溶液の液滴7を、液滴付与手段として、ピエゾ素子を用いたインクジェット噴射装置6を用い、ドット径が80μmとなるように調整して素子電極間に付与した(図4(a))。
【0067】
その後この基板を空気中にて、350℃で10分間の加熱焼成処理をして酸化パラジウム(PdO)膜とした。ドットの直径は約80μm、厚みは最大で10nmの膜が得られた(図4(b))。
【0068】
3)フォーミング処理
上記のように作成した基板1を、図2に示した真空処理装置の真空容器20内の図示しない治具上に納め、同じく図示しないプローブにより素子電極2、3に電圧パルス源21および電流計22を接続した。
【0069】
そして、真空容器20内を2×10-4Pa以下の圧力まで排気した後、図10に示す電圧波形を電圧パルス源21より印加した。T1及びT2は電圧波形のパルス幅とパルス間隔であり、T1を100μsec、T2を50msecとし、矩形波の波高値は10.0Vとした。
【0070】
電圧パルスの印加開始1分後に、バルブ29を開けて水素供給源30より水素を2%混合した窒素ガスを導入し、最終的に真空容器20内の圧力が600hPaに到達するまで導入した。
【0071】
フォーミング処理の終了は、フォーミング用電圧パルスの間に、導電性薄膜を局所的に破壊、変形しない程度の電圧、例えば0.1V程度の電圧パルスを挿入して素子電流を測定し、抵抗値を求め、フォーミング処理前の抵抗に対して1000倍以上の抵抗を示した時点で、フォーミングを終了とし、排気ポンプ25により真空容器20内を排気した。
【0072】
このフォーミング処理によって、導電性薄膜4に間隙部5が形成された(図4(c))。
【0073】
4)活性化処理
上記フォーミング処理に続いて同一装置内において活性化処理を行った。
まず、真空容器20内を1×10-5Pa程度まで排気した後、図11に示す電圧波形を電圧パルス源21より印加した。この電圧波形は電圧値が正と負が交互に反復しかつ電圧値は正負の絶対値が等しく設定されている矩形波とし、T1は電圧波形の正と負のパルス幅で1msecとし、T2は正と負のパルス間隔であり20msecとし、電圧値は15.0Vとした。
【0074】
電圧パルス印加後5分経過した後、炭素化合物としてp−トルニトリルを用い、スローリークバルブ24を通して真空容器20内に導入し、1.3×10-4Paを維持した。導入するp−トルニトリルの圧力は、真空装置の形状や真空装置に使用している部材等によって若干影響されるが、1×10-5Pa〜1×10-2Pa程度が好適である。
【0075】
約60分後に素子電流Ifがほぼ飽和に達した時点で通電を停止し、スローリークバルブ24を閉め、p−トルニトリルを排気ポンプ25によって排気し活性化処理を終了した。
【0076】
この後、安定化工程として真空容器20および基板1を設置した図示しない治具をそれぞれ300℃で12時間保持した後、室温まで自然冷却した。
【0077】
以上の工程で、図1に示したような電子放出素子を有する基板を作成することができた。この電子放出素子では、フォーミング処理によって導電性薄膜4に形成された間隙部5の近傍に、活性化処理によってカーボン膜(不図示)が堆積されている。
【0078】
5)電子放出素子の特性
引き続き図2の測定評価装置を用いて本実施例で作成した電子放出素子の特性を測定した。素子電極間に印加する電圧13V、アノード電圧1kVにおける放出電流Ieを複数の素子について測定した結果、Ieは平均0.6μA、電子放出効率は平均0.15%を得た。また複数の素子間の均一性もよく、各素子間でのIeのばらつきは5%と良好な値が得られた。また電子放出素子の間隙部5を観察したところ放電等による損傷もほとんど見られなかった。
【0079】
[実施例2]
本実施例においては、上述の電子放出素子を平面型表示装置に応用した例を示す。
【0080】
図9はマトリクス状に電子放出素子を有する基板の平面図を示す。図9において、51は電子源基板、52、53は素子電極、54はY方向配線(下配線)、55は層間絶縁層、56はX方向配線(上配線)、57は導電性薄膜(素子膜)であり、電子を放出する間隙部(不図示)を形成している。
【0081】
以下この電子放出素子を有する基板の作成方法を、図5乃至図9等を用いて説明する。
【0082】
1)ガラス基板、素子電極形成
基板51としては、アルカリ成分が少ないPD−200(旭硝子(株)社製)の2.8mm厚ガラスを用い、更にこの上にナトリウム(Na)ブロック層としてSiO2膜500nmをスパッタ法により成膜したものを用いた。
【0083】
素子電極52、53は、この基板51上に、スパッタ法によってまず下引き層としてチタニウム(Ti)5nm、その上に白金(Pt)40nmを成膜した後、ホトレジストを塗布し、露光、現像、エッチングという一連のフォトリソグラフィー法によってパターニングして形成した(図5参照)。本実施例では素子電極の間隔L=10μm、対向する長さW=100μmとした。
【0084】
2)下配線形成
X方向配線とY方向配線の配線材料に関しては、多数の表面伝導型電子放出素子にほぼ均等な電圧が供給されるように低抵抗である事が望まれ、材料、膜厚、配線巾等が適宜設定される。
【0085】
図6に示すように、共通配線としてのY方向配線(下配線)54は、素子電極の一方(素子電極53)に接して、かつそれらを連結するようにライン状のパターンで形成した。
【0086】
配線材料には銀(Ag)フォトぺーストインキを用い、スクリーン印刷した後、乾燥させてから、所定のパターンに露光し現像した。この後480℃前後の温度で焼成して配線を形成した。
【0087】
このY方向配線(下配線)54の厚さは約10μm、線幅は約50μmである。なお終端部は図示していないが、配線取り出し電極として使うために、線幅をより大きくした。
【0088】
3)層間絶縁層形成
上下配線を絶縁するために、図7に示すように、層間絶縁層55を配置する。
この層間絶縁層55は、後述のX方向配線(上配線)56下に、先に形成したY方向配線(下配線)54との交差部を覆うように、かつX方向配線(上配線)56と素子電極の他方(素子電極52)との電気的接続が可能なように、接続部にコンタクトホールを開けて形成した。
【0089】
具体的には、PbOを主成分とする感光性のガラスペーストをスクリーン印刷した後、露光−現像した。これを4回繰り返し、最後に480℃前後の温度で焼成した。この層間絶縁層55の厚みは、全体で約30μmであり、幅は150μmである。
【0090】
4)上配線形成
先に形成した層間絶縁層55の上に、Agぺーストインキをスクリーン印刷した後乾燥させ、この上に再度同様なことを行い2度塗りしてから、480℃前後の温度で焼成して、X方向配線(上配線)56を形成した(図8)。
【0091】
X方向配線(上配線)56は、層間絶縁膜55を挟んでY方向配線(下配線)54と交差しており、層間絶縁層55のコンタクトホール部分で素子電極52と接続されている。
【0092】
このX方向配線(上配線)56は、パネル化した後の電気駆動時は走査電極として作用する。尚、X方向配線56の厚さは約15μmである。図示していないが、外部駆動回路への引出し端子もこれと同様の方法で形成した。
【0093】
このようにしてXYマトリクス配線を有する基板を形成した。
【0094】
5)導電性薄膜(素子膜)形成
上記基板を十分にクリーニングした後、シランカップリング剤を含む溶液で表面を処理し、表面が疎水性になるようにした。用いたシランカップリング剤は、ジメチルジエトキシシランの溶液で、スプレー法にて基板上に散布し、120℃にて乾燥した。
【0095】
その後、素子電極52、53間にインクジェット塗布方法により、導電性薄膜57を形成した。本工程の模式図を図4(a),(b)に示す。実際の工程では、基板上における個々の素子電極の平面的ばらつきを補償するために、基板上の数箇所に於いてパターンの配置ずれを観測し、観測点間のポイントのずれ量は直線近似して位置補完し、塗付することによって、全画素の位置ずれをなくして、対応した位置に的確に塗付するようにした。
【0096】
本実施例では、素子膜としてパラジウム(Pd)膜を得る目的で、Pd有機金属化合物(Pd濃度0.15%)、イソプロピルアルコール20%、エチレングリコール1%、ポリビニルアルコール0.05%の水溶液を用いて、この溶液の液滴7を、液滴付与手段として、ピエゾ素子を用いたインクジェット噴射装置6を用い、ドット径が60μmとなるように調整して電極間に付与した(図4(a))。
【0097】
その後、この基板を空気中にて、350℃で10分間の加熱焼成処理をして酸化パラジウム(PdO)とした。ドットの直径は約60μm、厚みは最大で10nmの膜が得られた(図4(b))。
【0098】
6)フォーミング処理
次に、フォーミングと呼ばれる本工程に於いて、上記導電性薄膜(酸化パラジウム(PdO)膜)を通電処理して内部に間隙部5を形成する(図4(c))。
【0099】
フォーミングおよび次工程の活性化工程は、実施例1に示したように真空容器内に基板を納めて行う他に、図12に示したような基板ステージと真空容器からなる装置によっても行うことも可能であり、特に本実施例のように平面型表示装置に応用するための大型の基板の場合には好適に用いることができる。
【0100】
基板ステージ81上の電子源基板51は、その周辺部を除く領域を真空容器80で覆われている。真空容器80は、内部空間を有するフード形状であり、Oリング83によって電子源基板51の周辺部以外は外界からシールされているため、排気ポンプ86によって排気することができる。
【0101】
真空容器80の内部を排気すると電子源基板51の表裏に圧力差が生じ、この圧力差によって基板の変形や破損を招く場合あるため、これを防止すべく基板ステージ81に静電チャック82を具備している。静電チャック82による基板の固定は、該静電チャック82の中に置かれた電極(不図示)と電子源基板51との間に電圧を印加して、静電力により電子源基板51を基板ステージ81に吸引するものである。したがって、電子源基板51の電位を所定の値に保持するため、電子源基板51の裏面にはIT0膜などの導電性膜を形成する。
【0102】
また基板ステージ81にヒーターや冷却ユニットなどの温度制御手段を設けることにより、基板の温度を精度良く制御できる。
【0103】
またフード状の真空容器80にはフォーミング処理ための水素および、活性化処理のための炭素化合物の供給源87,88がそれぞれスローリークバルブを介して接続されている。
【0104】
図12の装置を用いた具体的なフォーミング処理方法は、電子源基板51の周囲の取り出し電極部を残して、基板全体を覆うようにフード状の真空容器80をかぶせて基板との間で内部に真空空間を作り、電圧パルス源85に接続されたプローブ84より電極端子部からX・Y両方向配線間に電圧を印加し、素子電極間に通電する事によって、前記酸化パラジウム(PdO)膜を局所的に破壊、変形もしくは変質させることにより、電気的に高抵抗な状態の間隙部を形成する。
【0105】
この時若干の水素ガスを含む真空雰囲気下で通電加熱すると、水素によって還元が促進され酸化パラジウム(PdO)膜がパラジウム(Pd)膜に変化する。
本実施例においては水素2%を混合した窒素ガスを、最終的に600hPa導入した。
【0106】
この変化時に膜の還元収縮によって、パラジウム(Pd)からなる導電性薄膜57の一部に間隙部が形成されるが、この間隙部の形成位置、及びその形状は元の膜の均一性に大きく影響される。多数の素子の特性ばらつきを抑えるのに、上記間隙部は導電性薄膜57の中央部に起こり、かつなるべく直線状になることがなによりも望ましい。
【0107】
フォーミング処理には図10に示した電圧波形を用い、パルス幅T1を1msec、パルス間隔T2を80msecとし、矩形波の波高値は14.0Vとした。なお、フォーミング処理の終了は、素子電流Ifがほぼ0を示した時点で、フォーミングを終了とした。
【0108】
7)活性化処理
活性化処理は、前記のフォーミング処理と同様に図12に示すような装置によってフード状の真空容器80をかぶせて基板51との間で内部に真空空間を作り、外部からX・Y両方向配線を通じて電圧パルスを素子電極間に繰り返し印加した後、炭素化合物を適当な圧力で導入することによって、炭素化合物を、前記間隙部近傍にカーボン膜として堆積させた。
【0109】
本実施例ではこの活性化処理において図11に示すような電圧波形を印加した。この電圧波形は電圧値が正と負が交互に反復しかつ電圧値は正負の絶対値が等しく設定されている矩形波とし、T1は電圧波形の正と負のパルス幅で1msecとし、T2は正と負のパルス間隔であり20msecとした。
【0110】
また、本実施例においては電圧値を徐々に漸増させる方式とし、開始電圧をフォーミング電圧と同じ14.0Vとし、印加する最大電圧値は17.0Vとし、0.1V/15secで昇圧した。またX方向配線側より順次スクロールして電圧パルスを印加した。
【0111】
本工程では、最大電圧値である17.0Vに到達した後、炭素化合物としてp−トルニトリルを用い、スローリークバルブを通して真空容器内に導入し、1.3×10-4Paを維持した。導入するp−トルニトリルの圧力は、真空装置の形状や真空装置に使用している部材等によって若干影響されるが、1×10-5Pa〜1×10-2Pa程度が好適である。
【0112】
約60分後に素子電流Ifがほぼ飽和に達した時点で通電を停止し、スローリークバルブを閉め、p−トルニトリルを排気ポンプ86によって排気し活性化処理を終了した。
【0113】
以上の工程で、多数の電子放出素子をマトリクス配線接続してなる電子源を作成することができた。
【0114】
8)封着−パネル化
上記の電子源を用いて図13に示すような画像形成装置(表示パネル)を製造した。尚、図13では、パネル内部を表現するために部分的に部材を切り欠いて示している。
【0115】
図13において、51は電子放出素子が多数配置された電子源の基板であり、リアプレートと呼ぶ。92はリアプレート51と対向するガラス基板93の内面に蛍光膜94とメタルバック95等が形成されたフェースプレートである。96は支持枠であり、リアプレート51、支持枠96及びフェースプレート92をフリットガラスによって接着し、400℃で、10分以上焼成することで、封着して、外囲器90を構成する。このとき、フェースプレート92とリアプレート51の間に、スペーサーと呼ばれる不図示の支持体を設置することにより、大面積パネルの場合にも大気圧に対して十分な強度を持つ外囲器90を構成することができる。
【0116】
フェースプレート上に設ける蛍光膜94は、モノクロームの場合は蛍光体のみから成るが、カラーの蛍光膜の場合は、蛍光体の配列によりブラックストライプあるいはブラックマトリクスなどと呼ばれる黒色導電材と蛍光体とで構成される。ブラックストライプ、ブラックマトリクスが設けられる目的は、カラー表示の場合必要となる三原色蛍光体の、各蛍光体間の塗り分け部を黒くすることで混色等を目立たなくすることと、蛍光膜における外光反射によるコントラストの低下を抑制することである。
【0117】
また、蛍光膜94の内面側に設けるメタルバック95の目的は、蛍光体の発光のうち内面側への光をフェースプレート92側へ鏡面反射することにより輝度を向上すること、電子ビーム加速電圧を印加するために高圧端子97と接続して高電圧を印加しアノード電極として作用すること等である。メタルバックは、蛍光膜作製後、蛍光膜の内面側表面の平滑化処理(通常フィルミングと呼ばれる)を行い、その後Alを真空蒸着等で堆積することで作製できる。
【0118】
なお、前述の封着を行う際には、カラーの場合は各色蛍光体と電子放出素子とを対応させなくてはいけないため、上下基板の突き当て法などで十分な位置合わせを行った。
【0119】
封着時の真空度は1×10-7Pa以下の真空度が要求される。また、外囲器90の封止後の真空度を維持するために、ゲッター処理を行った。これは、外囲器90の封止を行なう直前あるいは封止後に、抵抗加熱あるいは高周波加熱等の加熱法により、外囲器内の所定の位置(不図示)に配置されたゲッターを加熱し、蒸着膜を形成する処理である。ゲッターは通常Ba等が主成分であり、該蒸着膜の吸着作用により、たとえば1×10-7Paないしは1×10-8Paの圧力を維持するものである。
【0120】
9)画像形成装置
前述した本発明にかかわる表面伝導型電子放出素子の基本的特性によれば、電子放出部からの放出電子は、しきい値電圧以上では対向する素子電極間に印加するパルス状電圧の波高値と巾によって制御され、その中間値によっても電流量が制御され、もって中間調表示が可能になる。
【0121】
また多数の電子放出素子を配置した場合においては、各ラインの走査線信号によって選択ラインを決め、各情報信号ラインを通じて個々の素子に上記パルス状電圧を適宜印加すれば、任意の素子に適宜電圧を印加する事が可能となり、各素子をONすることができる。
【0122】
また中間調を有する入力信号に応じて電子放出素子を変調する方式としては、電圧変調方式、パルス幅変調方式が挙げられる。
【0123】
以下に具体的な駆動装置について説明する。
【0124】
単純マトリクス配置の電子源を用いて構成した表示パネルを利用した、NTSC方式のテレビ信号に基づいたテレビジョン表示用の画像表示装置の構成例を、図14に示す。
【0125】
図14において、101は図13に示したような画像表示パネル、102は走査回路、103は制御回路、104はシフトレジスタ、105はラインメモリ、106は同期信号分離回路、107は情報信号発生器、Vaは高圧電源である。
【0126】
画像表示パネル101のX方向配線には、走査線信号を印加するXドライバーの走査回路102が、Y方向配線には情報信号が印加されるYドライバーの情報信号発生器107が接続されている。
【0127】
電圧変調方式を実施するには、情報信号発生器107として、一定の長さの電圧パルスを発生するが入力されるデータに応じて、適宜パルスの波高値を変調するような回路を用いる。また、パルス幅変調方式を実施するには、情報信号発生器107としては、一定の波高値の電圧パルスを発生するが入力されるデータに応じて、適宜電圧パルスの幅を変調するような回路を用いる。
【0128】
制御回路103は、同期信号分離回路106より送られる同期信号Tsyncに基づいて、各部に対してTscan,Tsft及びTmryの各制御信号を発生する。
【0129】
同期信号分離回路106は、外部から入力されるNTSC方式のテレビ信号から、同期信号成分と輝度信号成分とを分離するための回路である。この輝度信号成分は、同期信号に同期してシフトレジスタ104に入力される。
【0130】
シフトレジスタ104は、時系列的にシリアルに入力される前記輝度信号を、画像の1ライン毎にシリアル/パラレル変換して、制御回路103より送られるシフトクロックTsftに基づいて動作する。シリアル/パラレル変換された画像1ライン分のデータ(電子放出素子n素子分の駆動データに相当)は、n個の並列信号として前記シフトレジスタ104より出力される。
【0131】
ラインメモリ105は、画像1ライン分のデータを必要時間の間だけ記憶する為の記憶装置であり、記憶された内容は、情報信号発生器107に入力される。
【0132】
情報信号発生器107は、各々の輝度信号に応じて、電子放出素子の各々を適切に駆動する為の信号源であり、その出力信号はY方向配線を通じて表示パネル101内に入り、走査回路102によって選択中のX方向配線との交点にある各々の電子放出素子に印加される。
【0133】
X方向配線を順次走査することによって、パネル全面の電子放出素子を駆動することが可能になる。
【0134】
以上のように本発明による画像形成装置において、各電子放出素子にパネル内のX方向配線56及びY方向配線54を通じ、電圧を印加することにより電子放出させ、高圧電源Vaに接続された高圧端子97を通じ、アノード電極であるメタルバック95に高圧を印加し、発生した電子ビームを加速し、蛍光膜94に衝突させることによって、画像を表示することができる。
【0135】
本実施例で製造した画像形成装置では、個々の電子放出素子の特性のばらつきを少なくすることができたことにより、輝度のばらつきが少ない表示品位の良い画像を表示することができた。
【0136】
なお、ここで述べた画像形成装置の構成は、本発明の画像形成装置の一例であり、本発明の技術思想に基づいて種々の変形が可能である。入力信号についてはNTSC方式を挙げたが、入力信号はこれに限られるものではなく、PAL、HDTVなどでも同じである。
【0137】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の製造方法により電子放出素子を作製するならば、活性化処理工程における放電や過電流による損傷を極めて少なくすることが可能となり、特性のばらつきの少ない電子放出素子を安定して得ることができる。
【0138】
また、電子放出素子を多数配列して形成する画像形成装置においても個々の電子放出素子の特性のばらつきを少なくすることができるため、表示品位の良い画像形成装置を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用可能な電子放出素子の好ましい構成例を示す模式図である。
【図2】本発明の製造方法を説明するための真空処理装置の概略図である。
【図3】本発明による電子放出素子の特性を説明するための図である。
【図4】本発明における導電性薄膜の形成工程を説明するための図である。
【図5】本発明における電子源の製造工程を説明するための図である。
【図6】本発明における電子源の製造工程を説明するための図である。
【図7】本発明における電子源の製造工程を説明するための図である。
【図8】本発明における電子源の製造工程を説明するための図である。
【図9】本発明における電子源の製造工程を説明するための図である。
【図10】本発明におけるフォーミング処理工程での電圧パルス波形を説明するための図である。
【図11】本発明における活性化処理工程での電圧パルス波形を説明するための図である。
【図12】本発明の製造方法を説明するための真空処理装置の概略図である。
【図13】本発明による電子放出素子を用いた表示パネルの構造を説明するための図である。
【図14】本発明による画像形成装置の構成を説明するためのブロック図である。
【図15】従来例の電子放出素子を説明するための図である。
【図16】従来例における電子放出素子の製造方法を説明するための図である。
【図17】従来例における活性化時の素子電流の変化の様子を説明するための図である。
【符号の説明】
1 ガラス基板
2、3 素子電極
4 導電性薄膜(素子膜)
5 間隙部
6 インクジェット装置
7 液滴
20 真空容器
21 電圧パルス源
22 電流計
23 炭素化合物供給源
24 バルブ
25 排気ポンプ
26 アノード
27 高圧電源
28 電流計
29 バルブ
30 水素供給源
51 電子源基板
52、53 素子電極
54 Y方向配線(下配線)
55 層間絶縁層
56 X方向配線(上配線)
57 導電性薄膜(素子膜)
80 真空容器
81 基板ステージ
82 静電チャック
83 Oリング
84 プローブ
85 電圧パルス源
86 排気ポンプ
87 水素供給源
88 炭素化合物供給源
90 外囲器
92 フェースプレート
93 ガラス基板
94 蛍光体
95 メタルバック
96 支持枠
97 高圧端子
101 画像表示パネル
102 走査回路
103 制御回路
104 シフトレジスタ
105 ラインメモリ
106 同期信号分離回路
107 情報信号発生器
Va 高圧電源

Claims (1)

  1. 基板上に、間隙部を有する導電性部材を形成する工程と、炭素化合物の雰囲気中にて、前記導電性部材へ所定の電圧パルスを印加する工程を有し、前記所定の電圧パルスの印加は、前記雰囲気中への炭素化合物の導入前から行われることを特徴とする電子放出素子の製造方法。
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