JP3700331B2 - 調光器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、壁面のような施工面に一部を埋め込んだ形で施工され照明負荷を所望の調光レベルで点灯させるように操作される調光器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の調光器は、白熱灯などの照明負荷の調光レベルを設定する調光設定器を備えている。調光設定器としては、回転式のボリュームが用いられ、ケースの前面から露出した操作摘子の操作によりボリュームの抵抗値を変化させて照明負荷を調光制御するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記調光器は、ケース内に、照明負荷に対して直列接続され照明負荷への供給電力を制御する電力制御手段としてのトライアックを備え、照明負荷とトライアックとの直列回路が商用電源に接続され、トライアックのゲートに制御信号を与えて位相制御することにより、照明負荷への供給電力が調節されて調光がなされる。
【0004】
しかしながら、埋込型の調光器は、トライアックの発熱によりケースが高温になるのを防ぐために、埋込ボックスに取着される金属製の取付枠とケースとが一体式になっており、専用の取付枠が必要なので、スイッチやコンセントなどの他の配線器具とは別途に設置スペースを確保する必要があり、施工に手間がかかるという不具合があった。
【0005】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、専用の取付枠が不要な埋込型の調光器を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、照明負荷の調光レベルを設定する調光設定器と、調光設定器の操作摘子(60)が前面に露出する合成樹脂製のケース(1)とを備え、ケース(1)は、埋込型の配線器具用の取付枠(110),(170)に該取付枠(110),(170)の開口窓(111),(171)からケース(1)の前面が露出する形で最大3個まで連設して取り付けることができる単位寸法の埋込型の配線器具の2個分に相当する寸法に形成されて成ることを特徴とするものであり、従来のような専用の取付枠が不要となり、上記配線器具用の取付枠(110),(170)にスイッチやコンセントなどの他の配線器具と連設することができ、また、別途に設置スペースを設ける必要がなく施工が容易になる。また、専用の取付枠が不要となるから、低コスト化を図ることができる。
また、ケース(1)内に、照明負荷への供給電力を制御する電力制御素子と、電力制御素子に取着される放熱板(40)とを備え、放熱板(40)の外周部の要所から係合爪(40h),(40g)が突設され、カバー(20)とともにケース(1)を構成するボディ(10)の内側面には、放熱板(40)の係合爪(40h),(40g)が係合する係合突起(10c)が突設されているので、放熱板(40)をボディ(10)に容易に固定することができる。
また、放熱板(40)には位置決め用の位置決め孔(42)が形成され、ボディ(10)の後壁の内側には、上記位置決め孔(42)に挿入される位置決め用リブ(10b)が突設されているので、ねじ等を使うことなしに放熱板(40)の位置決めがなされる。
また、ボディ(10)の後壁には、放熱用のスリット(17)が形成され、ボディ(10)の後壁の内側には、放熱板(40)と当接する複数の小さな突起(10a)が突設されているので、スリット(17)が形成されていることによりケース(1)内の温度上昇が抑制され、放熱板(40)と当接する複数の小さな突起(10a)が突設されていることによりボディ(10)の後壁の内側と放熱板(40)との間に隙間が生じるから、放熱性がよくなり、ボディ(10)の後壁の温度上昇を抑制することができる。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、ケース(1)は、後端側のボディ(10)と前端側のカバー(20)とからなり、ボディ(10)の外側面に突設した組立爪(11)と、カバー(20)から突出する組立片(22)に設けた係合孔(22a)との凹凸係合によりボディ(10)とカバー(20)とが結合されるので、ボディ(10)とカバー(20)とを別部材を用いることなく簡単に結合することができる。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の発明において、ケース(1)の両側面には上記取付枠(110)に形成された保持部に係止される係止爪(25)が突設されているので、コンセントやスイッチなどの配線器具と同じ施工方法で施工することができ、施工業者にとって施工が容易になる。
【0008】
請求項4の発明は、請求項2又は請求項3の発明において、操作摘子(60)の後部に、前後方向に略直交するリブ(62a)を突設し、カバー(20)の後面側には、照明負荷をオフする位置まで操作摘子(60)が操作されたときに上記リブ(62a)が係合する係合溝が形成されているので、操作摘子(60)を上記位置まで操作したときにクリック感が得られ、操作感触が良くなるとともに、照明負荷をオフする位置まで操作したことを使用者が確実に認識することができる。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4の発明において、放熱板(40)は、ボディ(10)の内周面に沿う形に適宜折曲されているので、放熱板(40)の面積を大きくすることが可能となり、放熱効果を高めることができる。
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5の発明において、調光設定器は、スライド式のボリューム(VR)と、ボリューム(VR)の操作軸に連結される操作摘子(60)とで構成されているので、調光レベルを感覚的に認識しやすくなる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本実施形態の調光器を図1乃至図15を参照しながら説明する。
本実施形態の調光器のケース1は、埋込型の配線器具用の取付枠110に該取付枠110の開口窓111からケース1の前面が露出する形で最大3個まで連設して取り付けることができる単位寸法の埋込型の配線器具の2個分に相当する寸法に形成されている。ケース1は、熱硬化性合成樹脂製(例えば、メラミンフェノール樹脂製)であって前面が開放された直方体状に形成されたボディ10と、弾性を有する合成樹脂製(例えば、ポリブチレンテレフタレート樹脂製=PBT樹脂製)であって後面が開放された直方体状に形成されたカバー20とを結合して形成される。
【0013】
ボディ10の上下方向(図2(a)の上下方向)の両端面には組立爪11が突設されている。一方、カバー20の上下両端部にはそれぞれ一対の肩部21が突設され、両側面の上下後縁からボディ10に向かってそれぞれ組立片22が突設されている。各組立片22にはボディ10に設けた組立爪11と凹凸係合する係合孔22aが形成されている。組立爪11の前端部には前方ほどボディ10からの突出量を小さくするように傾斜した誘導面11aが形成されている。したがって、ボディ10にカバー20を組み付けるときには、組立片22が誘導面11aに沿って撓み、最終的に組立片22に設けた係合孔22aが組立爪11に嵌合することによって、ボディ10とカバー20とが結合される。このように、組立片22を撓ませる必要があるから、カバー20を弾性を有した合成樹脂で形成しているのである。
【0014】
ボディ10は仕切壁12により内部空間が端子収納室13と回路収納室14とに分割されている。
ボディ10内において仕切壁12を介して形成された端子収納室13には、速結端子よりなる一対の端子30が納装される。端子30は、端子板35と鎖錠ばね36とで構成され、鎖錠ばね36は、端子板35と鎖錠ばね36との間に電線挿入口15(図2(e)参照)に挿入された電線に食い込んで抜け止めをする鎖錠片36bと、電線に弾接する接触片36aとを備えている。すなわち、ボディ10の後壁には鎖錠ばね36と端子片35との間に電線を導入することができるように電線挿入口15が形成されている。この電線挿入口15を通して鎖錠ばね36と端子板35との間に、鎖錠片36a側から電線を挿入すると、接触片36a及び鎖錠片36aのばね力によって電線が端子板35との間に挟持され、かつ鎖錠片36bが電線に食い込むことによって電線を引き抜くことができなくなる。このように、電線挿入口15に電線を挿入するだけで結線することができるから、ねじ付きの端子などを用いる場合に比較して結線作業が容易になる。
【0015】
また、端子収納室13には、両鎖錠ばね36に跨がるように熱硬化性樹脂製(例えば、ユリア樹脂製)の解除釦37が配設される。解除釦37は両鎖錠ばね36の鎖錠片36bに当接しており、解除釦37が鎖錠片36bに当接する部位は鎖錠片36bが端子片35との間に電線を挟持する部位からずれている。ここに、本実施形態では、解除釦37の一部が両端子30の間に介在するように解除釦37の中間部から前方へ絶縁片37aが一体的に突設されているので、電線挿入口15から挿入された電線が対応する端子30と異なる端子30に接触するのを防止でき、両端子30間の絶縁性を高めることができる。また、解除釦37に対応する部位でボディ10の後壁には操作孔16(図2(e)及び図3参照)が形成されており、操作孔16にマイナスドライバの先端などを挿入して解除釦37を押すことにより、電線に食い込んでいる鎖錠片36bを電線から離すように撓ませて電線の引き抜きが可能となるようにしてある。なお、端子板35には、後述のプリント板51に実装するための接続片35aが突設されている。
【0016】
また、回路収納室14には、プリント板51に実装された後述のチョークコイルLや、放熱板40などが納装される。ここに、プリント板51は実装される回路部品とともにプリント板ブロック50を構成するものであって、プリント板51には上述の端子板35の接続片35aが半田付けされており、プリント板ブロック50(図7参照)には、図8に示すような回路部が構成される。端子30間には、商用電源Vsと白熱灯などの照明負荷Laとの直列回路が上述の電線によって接続される。
【0017】
両端子30間には、後述のマイクロスイッチSを介して電力制御素子としてのトライアックQ1 とノイズフィルタを構成するチョークコイルLとの直列回路が挿入され、この直列回路にはチョークコイルLとともにノイズフィルタを構成するコンデンサC1 が並列接続される。トライアックQ1 には、抵抗RとボリュームVRとコンデンサC2 との直列回路が並列接続され、ボリュームVRとコンデンサC2 との直列回路にはツェナダイオードZD1 ,ZD2 の直列回路が接続されている。また、ボリュームVRとコンデンサC2 との接続点と、トライアックQ1 との間にはトリガ素子としてのダイアックQ2 が挿入され、上記接続点の電位がダイアックQ2 のブレークオーバ電圧に達すると、トライアックQ1 がトリガされてオンになる。トライアックQ1 は一旦オンになると次に商用電源Vsの電圧波形がゼロクロス点に達するまでオン状態を保つ。すなわち、商用電源Vsの電圧波形の半サイクルごとにダイアックQ2 によりトリガされ、その後、ゼロクロス点までオン状態を保つのである。したがって、ボリュームVRの抵抗値を調節してコンデンサC2 の端子電圧がダイアックQ2 のブレークオーバ電圧に達するまでの時間を調節することでトライアックQ1 の点弧期間を調節することができ、照明負荷Laを所望の調光レベルで点灯させることができるのである。なお、チョークコイルLはコイルカバーで覆われえることによって絶縁性が保たれている。また、端子30間には、サージ吸収素子としてのサージアブソーバZNRが接続されている。
【0018】
ところで、ボリュームVRは、回転式であって、前方に突出した操作軸には操作摘子60が嵌合される。操作摘子60は後部に鍔部62を有し、カバー20の前面の略中央に形成された円形状の孔24に後方から挿入される。ここに、ボリュームVRの操作軸の先端面と操作摘子60との間には弾性体66(例えば、ネオプレンゴム製)が介装されており、カバー20と操作摘子60との間に隙間が生じるのを防ぎ、カバー20に対する操作摘子60のがたつき防止するとともに、孔24を通してケース1内へ水滴などが浸入するのを防止できるようになっている。なお、ボリュームVRと操作摘子60とで調光設定器を構成している。
【0019】
また、調光レベルは、カバー20の前面で操作摘子60の周辺に設けた表示と操作摘子60の回転度合いとで知ることができる。ところで、操作摘子60は、後部に鍔部62を有し、鍔部62の要所からリブ62aが突設されている。一方、カバー20の後面側には、操作摘子60を調光レベルを下げる向きに回転させて照明負荷Laをオフする位置まで操作したときに上記リブ62aが係合する係合溝が先端に形成された突部20dが突設されている。したがって、操作摘子60を上記位置まで操作したときにクリック感が得られ、操作感触が良くなるとともに、照明負荷Laをオフする位置まで操作したことを使用者が確実に認識することができ、操作摘子に不要な力がかかるのを防止できる。なお、操作摘子60を操作することによって照明負荷のオンオフ及び調光がなされる。
【0020】
ところで、トライアックQ1は放熱板40に取着され、その後、回路基板51に半田付けされる。放熱板40は、図9に示すような構造であって、例えばアルミニウム板をボディ20の内周面に沿う形に適宜折曲されている。トライアックQ1は、取付ねじ75(図1参照)によって放熱板40の固定片40bに取着される。なお、トライアックQ1は固定片40bに当接する面に予めシリコングリスが塗布される。本実施形態では、放熱板40をボディ20の内周面に沿う形に適宜折曲することにより、放熱板40の面積を大きくすることができ、トライアックQ1の放熱が効率良く行われるので、ケース1の前面側の温度が上昇するのを抑制でき、調光設定を行う時に使用者に不安感を与えるということがない利点がある。また、本実施形態では、ボディ10後壁の内側に放熱板40と当接する複数の小さな突起10a(図4及び図10参照)が突設されているので、ボディ10後壁と放熱板40の基端片40aとの間に隙間が生じるから、ボディ10後壁の温度上昇を抑制することができる。また、放熱板40の基端片40aには打抜きにより位置決め用の位置決め孔42が形成されており、ボディ20の後壁の内側には上記位置決め孔42に挿通される位置決め用リブ10b(図4参照)が突設されているので、ねじなどを使うことなしに放熱板40の位置決めがなされる。また、放熱板40の基端片40aの左右両端部からは係合爪40h,40gが一体に突設され、ボディ20の左右内側面には上記係合爪40h,40gが係合する係合突起10c(図4及び図5及び図10参照)が突設されているので、放熱板40をボディ20の前方から押し込むことにより放熱板40をボディ20に容易に固定することができる。
【0021】
さらに、本実施形態では、ボディ10の後壁にボディ10の内外を連通する放熱用のスリット17を複数形成してあるので、ボディ10の内部に熱がこもりにくくなっている。
ところで、上述のケース1は後述するプレート100に取り付けられるものであって、カバー20の両側面に設けた肩部21にはプレート100に結合するために各一対の係止爪25が突設されている。係止爪25の前端部には前方ほど肩部21からの突出量を小さくするように傾斜した傾斜面25aが形成されている。
【0022】
上述した構成の調光器を施工するには、図1及び図16及び図17に示すプレート100を用いる。プレート100は、ケース1を保持する取付枠110と、取付枠110を覆って見栄えをよく施工する化粧プレート120とからなる。取付枠110には、合成樹脂製のものと金属製のものとがある。合成樹脂製の取付枠110は絶縁性を有し、一対の枠片113a,113bの左端部同士(図18(a)の上端部同士)および右端部同士(図18(a)の下端部同士)をそれぞれ横片112で連続一体に結合することによって、ケース1の前面を露出させる長方形状の開口窓111を中央部に備えた縦長の矩形枠状に形成されている。開口窓111の長手方向に沿った両側縁の後面側にはそれぞれ帯板状の固定梁部114と可動梁部115とが互いに対向する形で設けてある。
【0023】
可動梁部115は、長手方向の両端部で可動梁部115の長手方向に延長された連結部116を介して枠片113bに連続一体に連結され、中間部の2箇所が可動梁部115に直交する方向のブリッジ部117を介して枠片113bに連続一体に連結されている。また、各連結部116と各ブリッジ部117との間および両ブリッジ部117の間の部位は表裏に貫通するスリット118a〜118cとなっている。取付枠110を形成する合成樹脂は可撓性を有し、可動梁部115および連結部116が可撓になっている。両側のスリット118a,118cはL字形に形成され、中間部のスリット118bは一直線上に形成されている。
枠片113bにおいて各ブリッジ部117の近傍には、ブリッジ部117に対応する部位でも可動梁部115が可撓となるように、表裏に貫通する長孔状の溝119をそれぞれ設けてある。
【0024】
一方、固定梁部114および可動梁部115において開口窓111に臨む一面には、ケース1の両側面に各一対ずつ突設された係止爪25と凹凸係合する保持部としても保持溝114a,115a(図18(c),(d)及び図19参照)が各3対ずつ等ピッチで設けられている。したがって、ケース1に設けた係止爪25を各保持溝114a,115aに凹凸係合させると、ケース1の前面を開口窓111から露出させた形で取付枠110にケース1を取着することができる。
また、ケース1が取付枠110から前方に抜け落ちないように、固定梁部114および可動梁部115の基部にはケース1の肩部21の前面に当接する当接部114d,115dが形成されている(図18(d)及び図19参照)。つまり、肩部21の前面が当接部114d,115dに当接し、係止爪25の後面が保持溝114a,115aに係止されることによって、ケース1が取付枠110に取着される。
【0025】
ここで、固定梁部114と可動梁部115との開口窓111に臨む一面における各先端部分には、ケース1の係止爪25を取付枠110の後面側から保持溝114a,115aに導入する際に、各係止爪25を保持溝114a,115aに誘導するために、先端側ほど互いの距離を広げるように傾斜した傾斜面となった誘導部114b,115bが設けてある(図18(e)参照)。取付枠110にケース1を取り付けるには、ケース1の一側面に突設した係止爪25を固定梁部114の保持溝114aに係合させておき、ケース1の前端部を開口窓111にほぼ一致させてケース1を取付枠110に対して前方に押し込むと、ケース1の他側面に突設した係止爪25が可動梁部115を撓ませながら傾斜面25aと誘導部115bとによって保持溝115aに追い込まれ、係止爪25を保持溝115aに容易に係合させることができるのである。
【0026】
ところで、上述のように可動梁部115の延長線上に連結部116を設けているから、ケース1に前面側から後方に向かって押圧力が作用しても、可動梁部115が開口窓111側へ倒れるように撓んで、保持溝115aからケース1の係止爪25が外れないようになっている。これにより、ケース1の取付枠110に対する取付強度を向上させることができる。
【0027】
一方、固定梁部114の基部には隣接する各一対の保持溝114aの間で取付枠110の表裏に貫通する器具取り外し孔114cが穿設してあって、ケース1を取付枠110に取着した状態で、ドライバや取り外し専用の治具等の先端部分を器具取り外し孔114cに挿入し、治具の先端部分でケース1を可動梁部115側へ押すと梃子の原理によってわずかな力で可動梁部115を撓ますことができ、固定梁部114側の保持溝114aとケース1の係止爪25との係合状態を解除して取付枠110からケース1を取り外すことができるようになっている。
【0028】
ところで、上述したように、取付枠110は固定梁部114と可動梁部115とにそれぞれ3対の保持溝114a,115aを有し、ケース1には各側面に一対ずつの係止爪25が形成されているから、上述のケース1を取付枠110に1個取り付け、さらに、単位寸法に形成されたケースを有するスイッチやコンセントなどの配線器具を1個取り付けることができる(連設することができる)。つまり、取付枠110は単位寸法のケースを最大3個まで取り付けることができるように寸法を設定してある。固定梁部114および可動梁部115に設けた各保持溝114a,115aのピッチはケース1の側面に突設されている係止爪25のピッチと等しく、かつ上述のように各保持溝114a,115aは等間隔であるから、固定梁部114および可動梁部115の隣接する任意の4個の保持溝114a,115aを用いてケース1を取付枠110に取着することができる。
【0029】
ところで、取付枠110の各横片112の中間部前面にはそれぞれ凹所131が形成してある。各凹所131には、取付枠110を埋込ボックス(図示せず)に取り付けるためのボックスねじを挿通するボックス用孔132と、取付枠110を壁面等の施工面に直付けするためのねじが挿通されるねじ挿通孔133と、施工面を形成する壁パネル等に取り付ける際に使用するはさみ金具(図示せず)を係止するはさみ金具係止孔134とが設けてある。
【0030】
また、取付枠110の4隅には、化粧プレート120の後面から突設した係止突起123を係止する化粧プレート係止孔135が設けてあり、化粧プレート係止孔135に係止突起123を挿入係止することで取付枠110の前面を覆う形で化粧プレート120を着脱自在に取り付けることができるようになっている。
化粧プレート120は、絶縁性を有する合成樹脂を用いて形成されたものであって、取付枠110の前面を覆う矩形状の主部121と、主部121の周縁から全周に亙って後方に突出する側壁122とを連続一体に形成した略箱形に形成される。係止突起123は主部121の後面側の4隅に突設してある。また、主部121の中央部には、取付枠110に取り付けたケース1の前面を露出させる開口窓121aが設けてある。図13はケース1を取付枠110に取り付けた状態を示し、図14はケース1を取付枠110に取り付ける前の状態を示す。また、図15はケース1を取り付けた取付枠110に化粧プレート120を取り付けた状態を示している。なお、図15中のWは壁などの取付面である。
【0031】
化粧プレート120の開口窓の寸法は、取付枠110に取り付けるケースの数に応じて設定すればよく、例えば、図18に示すように、プレート100に3個の調光器のケース1を連設して取り付けることもできる。また、さらに、図19に示すように、コンセントBのケース1’やスイッチCのケース1”と調光器のケース1とを連設することもできる。なお、図19中の250aは平板状の平型栓刃が差し込まれる平型栓刃挿入口であり、250bはピン状のピン型栓刃が差し込まれるピン型栓刃挿入口であって、平型栓刃挿入口250aとピン型栓刃挿入口250bとを連通されている。
【0032】
化粧プレート120の側壁122のうちの各対向面間の距離は、それぞれ取付枠110の対応する部位の幅寸法よりも大きくしてある。すなわち、施工面に配設した取付枠110の前面側に化粧プレート120を取着したとき、取付枠110が化粧プレート120の内側に収まり、化粧プレート120の側壁122の先端縁が施工面にほぼ当接する。その結果、取付枠110と化粧プレート120との突き合わせ面が施工面よりも前方へ出ることがなく、両者の突き合わせの線が側面からほとんど見えなくなり外観が向上する。
【0033】
また、化粧プレート120の側壁122の内側面には、先端側ほど開口幅を広げるように傾斜した傾斜面122aが形成され、かつ取付枠110の側面に当接して取付枠110に対する化粧プレート120の位置ずれを防止する規制リブ124を複数列設している。
ところで、取付枠110の両枠片113a,113bの外側面には、後方ほど外側に突出するように傾斜する傾斜面113cと、傾斜面113cに連続して外側に張り出した張出部113dとが形成されている。さらに化粧プレート120の上下の側壁122の内側面には後端部が張出部113dの前面に当接するリブ125が突設され、このリブ125によって化粧プレート120のがたつきが防止される。取付枠110に化粧プレート120を取り付けるときには、化粧プレート120の規制リブ124が取付枠110の枠片113a,113bに形成した傾斜面113cに案内されるから、取り付けが容易である。
【0034】
化粧プレート120の上下の一方の側壁122には一対の切欠部126が設けてあり、この切欠部126に治具(マイナスドライバの先端部など)を差し込んで化粧プレート120を取付枠110から離す向き(前向き)の力を作用させると、化粧プレート120の係止突起123と取付枠110の化粧プレート係止孔135との係合状態が解除され、化粧プレート120を取付枠110から取り外すことができる。取付枠110の枠片113bにおいて切欠部126に対応する位置には傾斜面113cよりも内側へ窪んだ逃がし部136が設けてあり、切欠部126に差し込まれた治具を逃がして奥まで挿入できるようにしてあり、化粧プレート120を取り外す際に力を作用させやすくしてある。さらに、逃がし部136の後面側端部からは張出部113dよりも薄肉のリブ137が、化粧プレート120の切欠部126から突出しない程度まで延設してある。すなわち、切欠部126に差し込んだ治具に施工面に当接する部分を支点として力を加えることで施工面に傷が付くおそれがあるが、リブ137を設けていることで切欠部126に差し込んだ治具がリブ137に当接し、化粧プレート120を取付枠110から取り外す際に治具によって施工面に傷が付くのを防ぐことができるのである。
【0035】
化粧プレート120の後面側には、取付枠110に取着したときに取付枠110に設けた3つのスリット118a〜118cにそれぞれ嵌入される突条片128a〜128cが列設してある。ここで、各突条片128a〜128cの寸法は、取付枠110の各スリット118a〜118cに嵌入された状態で、スリット118a〜118cの内周面と各突条片128a〜128cとの間にわずかな隙間しか生じないような寸法に設定してある。すなわち、ケース1を取り付けた取付枠110に化粧プレート120を取着した状態では、3つの突条片128a〜128cが取付枠110の各スリット118a〜118cに嵌入され、スリット118a〜118cの内周面と各突条片128a〜128cとの間にはわずかな隙間しか生じないので、取付枠110の可動梁部115の動き(撓み)が規制されることになる。
【0036】
ところで、本実施形態では合成樹脂製の化粧プレート120を用いているが、金属製の化粧プレートを用いる場合もある。金属製の化粧プレート(図示せず)の場合には合成樹脂製の化粧プレート120のような係止突起123を設けることができない。そこで、金属製の化粧プレートを取付枠110に取り付ける場合には、金属製の化粧プレートを取り付ける取付ねじが螺着される取付ねじ孔(図示せず)を取付枠110の凹所131に設けるようにすればよい。これにより、係止突起123を有する合成樹脂製の化粧プレート120と、取付ねじによっって取り付けられる金属製の化粧プレートとのどちらにも対応することができる。
【0037】
しかして、本実施形態の調光器のケース1は、上記取付枠110にコンセントやスイッチなどの配線器具と連設することができ、上記配線器具と同じ施工方法で施工することができ、先行配線も可能となるから、施工業者にとって施工作業が容易になる。
なお、ボリュームVRとしてはスライド式のものを用いてもよく、この場合には図20に示すようにカバー20の前面にスライド溝29を形成し、スライド溝29を通してボリュームVRの操作軸と操作摘子60とを連結すればよい。このような構成にすれば、ボリュームVRとして回転式のものを用いた場合に比べて、調光レベルを感覚的に認識しやすくなる。
【0038】
また、ケース1は、一般の配線器具の単位寸法と同じ寸法に形成されていればよく、図21及び図22に示すように、ボディ10とカバー20とを組立枠140にて結合して組み立てるような構造にしてもよい。すなわち、カバー20の両側の肩部21’には略コ字状に形成された組立枠140がそれぞれ嵌合され、この組立枠140の両脚片140dの先端部に形成された略V字形の引掛爪140aがそれぞれボディ10の上下両端面に形成された段部19に係合し、カバー20とボディ10とが組立枠140により固定される。なお、組立枠140の脚片140dは、肩部21’の凹部21とボディ10の凹部8とに嵌め込まれ、脚片140dの先端部の引掛爪140aが段部19に係合している。ここで、ケース1は、図23に示すような埋込型の配線器具用の取付枠170に最大3個まで取り付けることができるように規格化された単位寸法の埋込型の配線器具の2個分に相当する寸法(例えば、JIS規格で規格化されている大角形連用配線器具の取付枠に取り付けることができる大角形連用配線器具の1個分に相当する寸法)に形成されており、上記取付枠170に設けられた保持孔173,177に係合可能な一対の係合爪140bが組立枠140の両端部に突設されている。なお、組立枠140には、金属製の取付枠(図示せず)に取り付ける際に取付枠の係止爪が係止される一対の係止孔140cが設けてある。
【0039】
このように形成されたケース1は、図23に示すような埋込型の配線器具用の取付枠170に取り付けられる。すなわち、上述したように、ケース1は一般の配線器具の単位寸法の2倍の取付寸法に形成されているから、単位寸法の埋込型の配線器具を1個連設することができる。取付枠170は、開口窓171を囲む両側片172a,172bに、それぞれ組立枠140の側縁に突設された係止爪140bが係合する保持孔173,177を有し、一方の側片172aには側片172bとの距離を変えるように撓むことができる操作片175が形成される。
取付枠170にケース1を取り付けるときは、取付枠170の後方からケース1を取付枠170に押し付けるようにすれば、操作片175が撓んでケース1を取付枠170に嵌着でき、このとき、ケース1の前面側が開口窓171から突出する。一方、取付枠170からケース1を外すには、操作片174をドライバ等でこじればよい。開口窓171を囲み側片172a,172bに直交する連結片174a,174bには、スイッチボックスに取付枠170を結合するためのボックスねじを挿入する長孔178や取付枠170の前面を覆う化粧プレート(図示せず)を取り付けるプレートねじが螺合するねじ孔179などが設けられる。図示した取付枠170は合成樹脂製の取付枠170であるが、金属製の取付枠の場合には、組立枠140の係止孔140cを用いて取付枠に結合すればよい。なお、化粧プレートには、ケース1の前面側を露出させる開口窓と、プレートねじを挿通する挿通孔とが穿孔される。
【0040】
【発明の効果】
請求項1の発明は、照明負荷の調光レベルを設定する調光設定器と、調光設定器の操作摘子(60)が前面に露出する合成樹脂製のケース(1)とを備え、ケース(1)は、埋込型の配線器具用の取付枠(110),(170)に該取付枠(110),(170)の開口窓(111),(171)からケース(1)の前面が露出する形で最大3個まで連設して取り付けることができる単位寸法の埋込型の配線器具の2個分に相当する寸法に形成されているので、従来のような専用の取付枠が不要となり、上記配線器具用の取付枠(110),(170)にスイッチやコンセントなどの他の配線器具と連設することができ、また、別途に設置スペースを設ける必要がなく施工が容易になるという効果がある。また、専用の取付枠が不要となるから、低コスト化を図ることができるという効果がある。
また、ケース(1)内に、照明負荷への供給電力を制御する電力制御素子と、電力制御素子に取着される放熱板(40)とを備え、放熱板(40)の外周部の要所から係合爪(40h),(40g)が突設され、カバー(20)とともにケース(1)を構成するボディ(10)の内側面には、放熱板(40)の係合爪(40h),(40g)が係合する係合突起(10c)が突設されているので、放熱板(40)をボディ(10)に容易に固定することができるという効果がある。
また、放熱板(40)には位置決め用の位置決め孔(42)が形成され、ボディ(10)の後壁の内側には、上記位置決め孔(42)に挿入される位置決め用リブ(10b)が突設されているので、ねじ等を使うことなしに放熱板(40)の位置決めがなされるという効果がある。
また、ボディ(10)の後壁には、放熱用のスリット(17)が形成され、ボディ(10)の後壁の内側には、放熱板(40)と当接する複数の小さな突起(10a)が突設されているので、スリット(17)が形成されていることによりケース(1)内の温度上昇が抑制され、放熱板(40)と当接する複数の小さな突起(10a)が突設されていることによりボディ(10)の後壁の内側と放熱板(40)との間に隙間が生じるから、放熱性がよくなり、ボディ(10)の後壁の温度上昇を抑制することができるという効果がある。
【0041】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、ケース(1)は、後端側のボディ(10)と前端側のカバー(20)とからなり、ボディ(10)の外側面に突設した組立爪(11)と、カバー(20)から突出する組立片(22)に設けた係合孔(22a)との凹凸係合によりボディ(10)とカバー(20)とが結合されるので、ボディ(10)とカバー(20)とを別部材を用いることなく簡単に結合することができるという効果がある。
【0042】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の発明において、ケース(1)の両側面には上記取付枠(110)に形成された保持部に係止される係止爪(25)が突設されているので、コンセントやスイッチなどの配線器具と同じ施工方法で施工することができ、施工業者にとって施工が容易になるという効果がある。
【0043】
請求項4の発明は、請求項2又は請求項3の発明において、操作摘子(60)の後部に、前後方向に略直交するリブ(62a)を突設し、カバー(20)の後面側には、照明負荷をオフする位置まで操作摘子(60)が操作されたときに上記リブ(62a)が係合する係合溝が形成されているので、操作摘子(60)を上記位置まで操作したときにクリック感が得られ、操作感触が良くなるとともに、照明負荷をオフする位置まで操作したことを使用者が確実に認識することができるという効果がある。
【0046】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4の発明において、放熱板(40)は、ボディ(10)の内周面に沿う形に適宜折曲されているので、放熱板(40)の面積を大きくすることが可能となり、放熱効果を高めることができるという効果がある。
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5の発明において、調光設定器は、スライド式のボリューム(VR)と、ボリューム(VR)の操作軸に連結される操作摘子(60)とで構成されているので、調光レベルを感覚的に認識しやすくなるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】同上を示し、(a)は正面図、(b)は下面図、(c)は平面図、(d)は側面図、(e)は背面図、(f)は側断面図である。
【図3】同上を示す側断面図である。
【図4】同上を示し、ボディの正面図である。
【図5】同上を示し、ボディに端子と放熱板とを収納した状態の正面図である。
【図6】同上を示し、カバーを取り外した状態の正面図である。
【図7】同上に用いるプリント板ブロックを示し、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は背面図である。
【図8】同上の回路図である。
【図9】同上に用いる放熱板を示し、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は平面図、(d)は左側面図、(e)は断面図である。
【図10】同上を示す要部断面図である。
【図11】同上を示し、カバーに操作摘子を取着した状態の背面図である。
【図12】同上を示し、カバーに操作摘子を取着した状態の要部断面図である。
【図13】同上のケースを取付枠に取り付けた状態の正面図である。
【図14】同上のケースの取付枠への取り付け方の説明図である。
【図15】同上のケースをプレートに取り付けた状態を示し、(a)は正面図、(b)は下面図、(c)は側面図である。
【図16】取付枠と化粧プレートを前面側から見た斜視図である。
【図17】取付枠と化粧プレートを後面側から見た斜視図である。
【図18】取付枠を示し、(a)は正面図、(b)は縦断面図、(c)は縦断面図、(d)は背面図、(e)は横断面図、(f)は横断面図である。
【図19】取付枠の要部を示す一部省略した斜視図である。
【図20】他の実施形態のケースをプレートに取り付けた状態を示す正面図である。
【図21】別の実施形態の要部を示す斜視図である。
【図22】同上の要部を示す一部省略した側面図である。
【図23】同上を取り付ける取付枠の斜視図である。
【符号の説明】
1 ケース
10 ボディ
17 スリット
20 カバー
25 係止爪
30 端子
40 放熱板
60 操作摘子
VR ボリューム
100 プレート
110 取付枠
Claims (6)
- 照明負荷の調光レベルを設定する調光設定器と、調光設定器の操作摘子(60)が前面に露出する合成樹脂製のケース(1)とを備え、ケース(1)は、埋込型の配線器具用の取付枠(110),(170)に該取付枠(110),(170)の開口窓(111),(171)からケース(1)の前面が露出する形で最大3個まで連設して取り付けることができる単位寸法の埋込型の配線器具の2個分に相当する寸法に形成され、ケース(1)内に、照明負荷への供給電力を制御する電力制御素子と、電力制御素子に取着される放熱板(40)とを備え、放熱板(40)の外周部の要所から係合爪(40h),(40g)が突設され、カバー(20)とともにケース(1)を構成するボディ(10)の内側面には、放熱板(40)の係合爪(40h),(40g)が係合する係合突起(10c)が突設され、放熱板(40)には位置決め用の位置決め孔(42)が形成され、ボディ(10)の後壁には、放熱用のスリット(17)が形成され、ボディ(10)の後壁の内側には、上記位置決め孔(42)に挿入される位置決め用リブ(10b)が突設されるとともに、放熱板(40)と当接する複数の小さな突起(10a)が突設されて成ることを特徴とする調光器。
- ケース(1)は、後端側のボディ(10)と前端側のカバー(20)とからなり、ボディ(10)の外側面に突設した組立爪(11)と、カバー(20)から突出する組立片(22)に設けた係合孔(22a)との凹凸係合によりボディ(10)とカバー(20)とが結合されることを特徴とする請求項1記載の調光器。
- ケース(1)の両側面には上記取付枠(110)に形成された保持部に係止される係止爪(25)が突設されて成ることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の調光器。
- 操作摘子(60)の後部に、前後方向に略直交するリブ(62a)を突設し、カバー(20)の後面側には、照明負荷をオフする位置まで操作摘子(60)が操作されたときに上記リブ(62a)が係合する係合溝が形成されて成ることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の調光器。
- 放熱板(40)は、ボディ(10)の内周面に沿う形に適宜折曲されて成ることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の調光器。
- 調光設定器は、スライド式のボリューム(VR)と、ボリューム(VR)の操作軸に連結される操作摘子(60)とで構成されて成ることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の調光器。
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