JP3697898B2 - 蛍光表示管 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子の射突により蛍光体を励起発光させて所望の表示を行う蛍光表示管に関する。
【0002】
【従来の技術】
図3は一般的に知られている従来の蛍光表示管の全体構成を示す側断面図である。
図3に示すように、蛍光表示管は、内部が高真空状態に気密保持された箱状の外囲器1を有している。外囲器1は、絶縁性を有する陽極基板2と、絶縁性及び透光性を有する前面板3と絶縁性を有する枠状の側面板4とにより形成された蓋状の容器部5とを備えている。
【0003】
外囲器1内における陽極基板2の内面には、例えばAlやAgなどに低融点フリットガラスを固着用のバインダーとして含む導電ペーストの印刷により表示パターンに応じた所定パターン形状の配線層6が形成されている。配線層6上には、例えば鉛硼硅酸系ガラスの粉末と耐熱性顔料などの無機材料粉末及びビークルからなる絶縁ガラスペーストの厚膜印刷により黒色の絶縁層7が形成されている。この絶縁層7において表示パターンのセグメントをなす部分には、スルーホール8が形成されて配線層6が表出している。
【0004】
絶縁層7の同一面上には、スルーホール8を埋めて配線層6と導通するように、導体層(陽極電極)9が表示パターンのセグメント毎に分割形成されている。導体層9は、例えば黒鉛粉末と無機バインダー(例えば硅酸アルカリ水溶液をビークルとして補強材にアルミナを加えたものや低軟化点の硼硅酸系フリットガラスなど)からなる黒鉛ペーストの厚膜印刷により形成される。各導体層9上には、蛍光体粉末とビークルからなる蛍光体ペーストの印刷により表示パターンのセグメント形状に蛍光体層10が形成されている。これにより、表示パターンの各セグメント毎の陽極11が形成される。
【0005】
蛍光体層10は、絶縁層7での電子のチャージによる端部の表示欠けを避けるため、導体層9よりも一回り小さく形成されている。陽極11の上方には制御電極12が設けられ、この制御電極12の上方にはフィラメント状の陰極13が設けられている。
【0006】
このように構成される蛍光表示管では、フィラメント状の陰極13から放出される電子が制御電極12により加速制御され、陽極11の蛍光体層10に電子が射突することにより励起発光する。そして、このときの表示は前面板3を通して観察される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した図3の蛍光表示管では、表示パターンとその周囲との間にコントラスト差を持たせて蛍光体層10の発光を強調するため、絶縁層7が黒色に形成されている。
【0008】
しかしながら、蛍光表示管に用いられる蛍光体は白色に近いものが多く、図3の蛍光表示管を太陽光などの強い外光が照射される環境下、例えば車載用の表示パネルやガソリンスタンドの表示パネルとして設置して使用した場合、前面板3の表面に設けられる不図示のフィルタを通して外光が外囲器1内に透過する。このため、蛍光体層10の白色と、絶縁層7及び導体層9の黒色とのコントラスト差により非点灯部分の表示パターンのセグメントが透けて見えてしまうという問題があった。
【0009】
ところで、上記蛍光表示管とは別に、図4に示すように、表示パターンのセグメント形状に形成された蛍光体層10の周囲の背景部分に当たる下地の絶縁層17を白色で形成した蛍光表示管の提案がなされている。この絶縁層17は、金属酸化物TiO2 を主成分とする白色の絶縁ペーストの印刷により形成される。なお、図3の蛍光表示管と同一の構成要素には同一番号を付し、その説明を省略している。
【0010】
ところが、図4の白色の絶縁層17による蛍光表示管でも、図3の蛍光表示管と同様に、絶縁層17での電子のチャージによる蛍光体層10の端部の表示欠けを避けるため、蛍光体層10が導体層9よりも一回り小さく形成され、蛍光体層10の周囲より導体層9が露出していた。
【0011】
従って、図4の蛍光表示管を強い外光が照射される環境下に設置して使用した場合、図5に示すように、蛍光体層10の回りが白色の絶縁層17と黒色の導体層9によって環状に黒く縁取られてしまう。このため、前面板3側から表示を観察した場合、環状に黒く縁取られた部分Sが外光により透けて目立って見え、見栄えが悪かった。
【0012】
また、図3及び図4の何れの蛍光表示管も、200Ω/□と抵抗値の高い黒鉛を導体層9として用いているので、蛍光体層10の発光時の発熱による温度上昇を抑えることができず、輝度の低下を招くという問題があった。しかも、抵抗値が高いことから、微細パターンによる導体層9の形成を行うことが困難であった。
【0013】
ところで、近年では、環境汚染問題を考慮して、カドミウム(Cd)を含まない蛍光体を利用した蛍光表示管が市場要求されている。カドミウムを含まない蛍光体(以下、カドミレス蛍光体という)としては、例えばLn2 2 S:Re(式中、LnはY,Gd,Laから選ばれた1種、ReはEu又はTb)系蛍光体がある。
【0014】
ところが、図3及び図4の何れの蛍光表示管も、上述したように、厚膜印刷によって形成される導体層9として、AlやAgに比べて抵抗の高い黒鉛を用いており、しかも、現存するカドミレス蛍光体が高抵抗を示すため、150V以下程度の低電圧ではカドミレス蛍光体を発光させることができなかった。
【0015】
そこで、従来は、In2 3 粉末からなる導電物質を上記高抵抗のカドミレス蛍光体に混合して抵抗を下げることによりカドミレス蛍光体を発光させていたが、均一には発光しなかった。ところが、カドミレス蛍光体を発光させた際、発光材料でない上記導電物質が部分的に発光を遮蔽して妨げとなり、輝度の低下を招くという問題があった。
【0016】
また、100V程度の電圧では、導電層9をなす黒鉛の比表面積が大きいため、吸着ガスが脱離して外囲器1内を汚染させていた。又、蛍光体自身も汚染され、輝度の低下を招く問題があった。しかも、電子衝撃により脱離したガスが陰極13の表面に付着し、陰極13のエミッション能力(電子を放出させる能力)を低下させるという問題があった。
【0017】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、外光が照射される環境下でも蛍光体の点灯・非点灯の区別がつく蛍光表示管、外光が照射される環境下でも蛍光体の周囲が黒く縁取られて見栄えを悪くさせない蛍光表示管、蛍光体発光時の発熱による温度上昇を抑えて輝度の向上が図れる蛍光表示管、微細パターンの形成を可能とする蛍光表示管、高抵抗の蛍光体を使用した場合でもエミッション能力を低下させることなく、低電圧により均一に発光させることができる蛍光表示管を提供することを目的としている。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、内部が高真空状態に保持された外囲器の一部をなし、表示パターンに応じた所定パターン形状の配線層が形成された陽極基板と、前記表示パターンの各セグメントに位置する前記配線層が表出するように前記陽極基板の内面に形成された絶縁層7(又は17)と、前記配線層に導通するように前記絶縁層7(又は17)上に形成された導体層19と、前記導体層19上に前記表示パターンのセグメント形状に形成された蛍光体層20とを備えた蛍光表示管において、
前記導体層19が、Al粉末が50〜70%、ガラス粉末が8〜15%、残部がビークル成分割合の導電ペーストを焼成して形成されたAlを主成分としてガラス粉末を含む導体層であることを特徴とする。
【0020】
請求項の発明は、内部が高真空状態に保持された外囲器の一部をなし、表示パターンに応じた所定パターン形状の配線層が形成された陽極基板と、前記表示パターンの各セグメントに位置する前記配線層が表出するように前記陽極基板の内面に形成された白色の絶縁材料からなる絶縁層17と、前記配線層に導通するように前記絶縁層17上に形成された導体層19と、前記導体層19上に前記表示パターンのセグメント形状に形成された蛍光体層20とを備え、前記陽極基板と対面する前面板側から前記蛍光体層20の発光を観察する蛍光表示管において、
前記導体層19が、請求項1に記載のAlを主成分としてガラス粉末を含み略白色の導体層であることを特徴とする。
【0021】
請求項の発明は、請求項1又は請求項2の蛍光表示管において、前記蛍光体層20が前記導体層19より小さく形成されていることを特徴とする。
【0022】
請求項の発明は、請求項1〜の何れの蛍光表示管において、前記蛍光体層20は、Ln2 2 S:Re(式中、LnはY,Gd,Laから選ばれた1種、ReはEu又はTb)系蛍光体、Ln2 2 S:Re(式中、LnはY,Gd,Laから選ばれた1種、ReはEu又はTb)系蛍光体、硫化物蛍光体、ZnGa2 4 系蛍光体の何れか一つの蛍光体であることを特徴とする。
【0023】
請求項の発明は、請求項の蛍光表示管において、前記硫化物蛍光体は、ZnS:Zn、ZnS:Cu,Al、(Zn,Cd)S:Ag,Cl、(Zn,Cd)S:Au,Al、(Zn,Cd)S:Ag,Alの何れかであることを特徴とする。
【0024】
【発明の実施の形態】
図1は本発明による蛍光表示管の第1実施の形態を示す部分拡大断面図である。なお、以下に説明する各実施の形態の蛍光表示管は、陽極基板側の構成、特に導体層の材料が異なる他は図3と同一構成なので、同一の構成要素には同一番号を付して説明を省略する。
【0025】
第1実施の形態における絶縁層17は、絶縁層7の同一面上には、スルーホール8を埋めて配線層6と導通するように、略白色の導体層(陽極電極)19が表示パターンのセグメント毎に分割されて厚膜印刷により形成されている。
【0026】
厚膜印刷によって形成される導体層19の材料は、Al粉末を主成分とし、ガラス粉末及び例えばセチルセルロース系のビークルを混合した導電ペーストからなる。ガラス粉末としては、粒径が例えば5μm程度の顔料を含まない無色透明な無鉛ガラスや低融点ガラス等が用いられる。導電ペーストの各材料の成分割合としては、Al粉末が50〜70%、ガラス粉末が8〜15%、残部がビークルである。
【0027】
なお、Al粉末の割合としては、60〜65%が好ましい。更に具体的な数値の一例を示すと、63.4%のAl粉末、11.2%のガラス粉末、25.4%のビークルを混合した導電ペーストが用いられる。
【0028】
導体層19上には蛍光体層20が被着形成されて陽極21を形成している。蛍光体層20は、絶縁層7での電子のチャージによる端部の表示欠けを避けるため、導体層19よりも一回り小さく形成されている。
【0029】
次に、図4は本発明による蛍光表示管の第2実施の形態を示す部分拡大断面図である。なお、第1実施の形態と同一の構成要素には同一番号を付し、その説明を省略する。
【0030】
第2実施の形態では、図1の第1実施の形態における絶縁層7が黒色に形成されている点を除いて第1実施の形態と同一である。
【0031】
第2実施の形態における絶縁層7は、例えば鉛硼硅酸ガラスの粉末と耐熱性顔料などの無機材料粉末及びビークルからなる絶縁ガラスペーストの厚膜印刷によって形成されるものである。
【0032】
次に、上記構成による蛍光表示管の製造方法について説明する。
まず、所定形状に区画された表示パターンをなす陽極11を陽極基板2上に形成する。具体的には、AlやAgなどに低融点フリットガラスを固着用のバインダーとして含む導電ペーストを陽極基板2にパターンニングして表示パターンに応じた配線層6を形成する。
【0033】
次に、配線層6の上にスルーホール8付の絶縁層を印刷形成する。その際、第1実施の形態の蛍光表示管を製造する場合には、金属酸化物TiO2 を主成分とする絶縁ペーストを配線層6の上に厚膜印刷してスルーホール8付の絶縁層17を形成して焼成する。
【0034】
第2実施の形態の蛍光表示管を製造する場合には、鉛硅素酸ガラスの粉末と耐熱性顔料などの無機材料粉末及びビークルからなる絶縁ガラスペーストを配線層6の上に厚膜印刷してスルーホール8付の絶縁層7を形成して焼成する。
【0035】
そして、絶縁層17又は7のスルーホール8をAgペーストの導電材により穴埋めする。次に、Al粉末を主成分とし、ガラス粉末及び例えばセチルセルロース系のビークルを混合した導電ペーストをスルーホール8上に厚膜印刷して略白色の導体層19を形成し、例えば550〜600℃で焼成する。続いて、導体層19上に蛍光体層20を印刷形成して焼成する。
【0036】
次に、陽極11が形成された陽極基板2の外周部に低融点ガラスペーストを塗布して焼成する。続いて、制御電極12を陽極基板2に固着するための中付け用ペーストを陽極基板2上に塗布する。そして、中付け用ペーストに制御電極12を載置し、制御電極12を陽極基板2に固着する。
【0037】
ここで、上記作業とは別工程でフィラメント状の陰極13が張設されたフレームを組み上げておく。そして、容器部5における側面板4の底周面を、低融点ペーストの塗布された陽極基板2の外周部に位置させ、陽極基板2及び容器部5を上下から加圧し、陽極基板2の外周部と容器部5との間を封着して外囲器1を組み立てる。その後、外囲器1内を高真空状態に排気して封止することにより、蛍光表示管が完成する。
【0038】
ところで、上記各実施の形態において、導体層19上に印刷形成される蛍光体層20は、従来より使用されているZnO:Znなどの低抵抗の蛍光体の他、カドミウムを含まない蛍光体を用いることができる。
【0039】
本実施の形態に使用されるカドミウムを含まない蛍光体としては、Ln2 2 S:Re(式中、LnはY,Gd,Laから選ばれた1種、ReはEu又はTb)系蛍光体、Ln2 3 :Re(式中、LnはY,Gd,Laから選ばれた1種、ReはEu又はTb)系蛍光体、ZnS:Zn又はZnS:Cu,Al、(Zn,Cd)S:Ag,Cl、(Zn,Cd)S:Au,Al、(Zn,Cd)S:Ag,Alの硫化物系蛍光体、ZnGa2 4 系蛍光体(例えばZnGa2 4 :Mn、ZnGa2 4 :Li,Mg、ZnGa2 4 :Cr)などの高抵抗の蛍光体がある。
【0040】
本発明者等は、高抵抗の蛍光体であるLa2 2 S:Eu、Gd2 2 S:Eu、Y2 2 S:Eu、Y2 3 :Euのそれぞれについて前述した製造工程により蛍光表示管を作製した所、20V程度の低電圧で発光が開始し、30〜150Vの範囲で均一に発光し、電圧が高いほど高輝度に発光することが確認できた。また、その他の蛍光体についても、黒鉛からなる導体層と同様な結果が得られた。
【0041】
以上の説明からも明らかなように、本実施の形態の蛍光表示管によれば、以下に示すような効果を奏する。
第1実施の形態の蛍光表示管では、前面板3から見た陽極基板2上の蛍光体層10の周囲を含めて全体背景を略白色にすることができる。これにより、蛍光表示管を車両の計器表示パネルとして搭載したり、ガソリンスタンドのメータ等の表示装置として屋外に設置した場合でも、従来のように、蛍光体の非点灯部分の表示パターンのセグメントやその周囲が透けて見えてしまうことがなく、見栄えが向上する。
【0042】
導体層19の電極自体の体色が白っぽいので、従来の黒鉛の導体層に比べて光の吸収が少なく、光の一部が反射されて輝度の向上が望める。そして、上記構成の蛍光表示管は、蛍光体の輝度が出せないときに有効であり、前面板3上に配設されるフィルタとして薄いものを使用することができる。
【0043】
従来の黒鉛に比べて抵抗値が30mΩ/□と小さいAlを主成分とする導電材料を用いて導体層19を形成したので、発光時の発熱を抑えることができる。この結果、従来の黒鉛を導体層として用いた場合に比べ、発熱により外囲器1内の温度が上昇して輝度が低下するのを抑えることができる。
【0044】
低抵抗のAl厚膜電極を導体層19としたことにより、従来のように抵抗を下げるための導電部材を必要とすることなく、前述した高抵抗の蛍光体であるLn2 2 S:Re系蛍光体、Ln2 3 :Re系蛍光体、ZnS:Zn又はZnS:Cu,Alの硫化物蛍光体、ZnGa2 4 系蛍光体を20〜150V程度の低電圧で均一に発光させることができ、蛍光表示管への使用が可能となった。
【0045】
ガラス粉末を溶融して固着されたAl電極による導体層19は、従来の黒鉛電極による導体層と比較して、比表面積が小さくガス吸着量が少ないので、陰極13のエミッション能力が向上する。
【0046】
導体層19上に形成される蛍光体層20の蛍光体としては、ZnO:Znなど従来より使用されている低抵抗の蛍光体を含めて種々の蛍光体を使用することができる。その際、蛍光体層20が低抵抗の蛍光体であれば、高抵抗の蛍光体に比べて更に輝度の向上が図れる。しかも、従来の黒鉛の導体層と使い分ける必要がなく、従来と変わらない工数で蛍光表示管を製造することができる。
【0047】
ところで、前述したLn2 2 S:Re系蛍光体、Ln2 3 :Re系蛍光体、ZnS:Zn又はZnS:Cu,Alの硫化物系蛍光体、ZnGa2 4 蛍光体は、Al薄膜電極による導体層でも発光させることができるが、パターンの制約が大きくなる。そこで、導体層19をAl厚膜電極で構成することによりパターンの制約を少くすることができる。
【0048】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば、従来の黒鉛に比べて抵抗値が20mΩ/□と小さいAlを主成分とする導電材料を用いて導体層を形成した構成なので、発光時の発熱を抑えることができる。この結果、従来の黒鉛を導体層として用いた場合に比べ、発熱により外囲器内の温度が上昇して輝度が低下するのを抑えることができる。
【0049】
しかも、ガラス粉末を溶融して固着されたAl電極による導体層は、従来の黒鉛電極による導体層と比較して、比表面積が小さくガス吸着量が少ないので、陰極のエミッション能力を向上させることができる。
【0050】
請求項の発明によれば、陽極基板と対面する基板側から見た陽極基板上の蛍光体層の周囲の背景を略白色にすることができる。これにより、蛍光表示管を車両の計器表示パネルとして搭載したり、ガソリンスタンドのメータ等の表示装置として屋外に設置した場合でも、従来のように、蛍光体の非点灯部分の表示パターンのセグメントやその周囲が透けて見えてしまうことがない。しかも、導体層の電極自体の体色が白っぽいので、従来の黒鉛の導体層に比べて光の吸収が少なく、光の一部が反射されて輝度の向上が図れる。
【0051】
請求項の発明によれば、従来のように、蛍光体層の回りが環状に黒く縁取られて、その部分が外光により透けて目立って見えることがなく、見栄えを向上させることができる。
【0052】
請求項の発明によれば、低抵抗のAl電極を導体層としたので、従来のように抵抗を下げるための導電部材を必要とすることなく、高抵抗の蛍光体であるLn2 2 S:Re系蛍光体、Ln2 3 :Re系蛍光体、ZnS:Zn又はZnS:Cu,Alの硫化物系蛍光体、ZnGa2 4 系蛍光体を20〜150V程度の低電圧で均一に発光させることができる。
【0053】
導体層上に形成される蛍光体層の蛍光体としては、上記高抵抗の蛍光体に限らず、従来より使用されているZnO:Znなどの低抵抗の蛍光体を含めて種々の蛍光体を使用することができる。その際、蛍光体層が低抵抗の蛍光体であれば、高抵抗の蛍光体に比べて更に輝度の向上が図れる。しかも、従来の黒鉛による導体層と使い分ける必要がなく、従来と変わらない工数で蛍光表示管を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による蛍光表示管の第1実施の形態を示す部分拡大断面図
【図2】本発明による蛍光表示管の第2実施の形態を示す部分拡大断面図
【図3】従来の蛍光表示管の全体構成を示す側断面図
【図4】従来の蛍光表示管の他の例を示す部分拡大側断面図
【図5】図4の平面図
【符号の説明】
1…外囲器、2…陽極基板、3…前面板、6…配線層、7,17…絶縁層、19…導体層(陽極電極)、20…蛍光体層。

Claims (5)

  1. 内部が高真空状態に保持された外囲器の一部をなし、表示パターンに応じた所定パターン形状の配線層が形成された陽極基板と、前記表示パターンの各セグメントに位置する前記配線層が表出するように前記陽極基板の内面に形成された絶縁層と、前記配線層に導通するように前記絶縁層上に形成された導体層と、前記導体層上に前記表示パターンのセグメント形状に形成された蛍光体層とを備えた蛍光表示管において、
    前記導体層が、Al粉末が50〜70%、ガラス粉末が8〜15%、残部がビークル成分割合の導電ペーストを焼成して形成されたAlを主成分としてガラス粉末を含む導体層であることを特徴とする蛍光表示管。
  2. 内部が高真空状態に保持された外囲器の一部をなし、表示パターンに応じた所定パターン形状の配線層が形成された陽極基板と、前記表示パターンの各セグメントに位置する前記配線層が表出するように前記陽極基板の内面に形成された白色の絶縁材料からなる絶縁層と、前記配線層に導通するように前記絶縁層上に形成された導体層と、前記導体層上に前記表示パターンのセグメント形状に形成された蛍光体層とを備え、前記陽極基板と対面する前面板側から前記蛍光体層の発光を観察する蛍光表示管において、
    前記導体層が、請求項1に記載のAlを主成分としてガラス粉末を含み略白色の導体層であることを特徴とする蛍光表示管。
  3. 前記蛍光体層が前記導体層より小さく形成された請求項1又は請求項2に記載の蛍光表示管。
  4. 前記蛍光体層は、Ln2 2 S:Re(式中、LnはY,Gd,Laから選ばれた1種、ReはEu又はTb)系蛍光体、Ln2 2 S:Re(式中、LnはY,Gd,Laから選ばれた1種、ReはEu又はTb)系蛍光体、硫化物蛍光体、ZnGa2 4 系蛍光体の何れか一つの蛍光体である請求項1〜の何れに記載の蛍光表示管。
  5. 前記硫化物蛍光体は、ZnS:Zn、ZnS:Cu,Al、(Zn,Cd)S:Ag,Cl、(Zn,Cd)S:Au,Al、(Zn,Cd)S:Ag,Alの何れかである請求項記載の蛍光表示管。
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