JP3697701B2 - 汚泥脱水剤 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、汚泥脱水剤に関する。さらに詳しくは、本発明は、凝集性及びろ過性に優れ、機械脱水後、含水率が低くろ布からの剥離性の良好な脱水ケーキを得ることができる汚泥脱水剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、汚泥の脱水処理には、高分子量のカチオン性ポリマーが広く用いられている。このような高分子量のカチオン性ポリマーとしては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの3級塩又は4級アンモニウム塩のホモポリマー、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートとアクリルアミドなどとのコポリマーなどのほか、カチオン性単位とアクリル酸などのアニオン性単位を有する両性高分子脱水剤なども用いられている。
しかしながら、近年、下水道の整備などにより、汚泥発生量が増加し、汚泥中の有機物量の増加、腐敗などの汚泥性状の悪化が進んでいる。そのために、現在主として使用されている上記のようなカチオン性ポリマーには以下のような問題があり、処理方法の改善が求められている。すなわち、(1)凝集フロックは大きいが、強度が弱い。そのため、重力ろ過性が悪く汚泥の処理量が上がらず、汚泥のSSが分離液にリークし、ろ布からのケーキの剥離性が悪く脱水機の運転トラブルを起こしやすい。(2)ケーキ含水率が下がらない。そのため、ケーキの埋め立て処分の場合には、ケーキの運搬費用が嵩み、焼却の場合には、焼却炉のトラブルを起こしやすく、焼却のための燃料費が嵩む。(3)汚泥の脱水処理が安定しない。
これらの問題を解決するため、特開平5−192513号公報にはアミジン構造を有するカチオン性ポリマーが提案されているが、脱水ケーキの含水率は従来用いられていたカチオン性ポリマーを使用した場合より減少するものの、凝集性は従来のポリマーを使用した場合に比べて劣り、凝集フロックは小さい。そのため、重力ろ過性が悪く、汚泥の処理量が上がらず、脱水処理が安定しないという欠点がある。また、特公昭63−9523号公報には部分的にポリビニルアミン構造を有するカチオン性ポリマーが提案されていて、このポリマーによって凝集性は改善することができるが、凝集性の向上に伴い含水率が減少しなくなるという問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ろ過性の良好な強度の大きい凝集フロックを形成し、ろ過に際して、含水率が低くろ布からの剥離性の良好なケーキが得られ、安定して汚泥の脱水処理を行うことができる汚泥脱水剤を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、アミジン単位を有するカチオン性ポリマーとビニルアミン単位を有するカチオン性ポリマーを併用することにより、汚泥の処理において凝集性と脱水性を同時に改良し得ることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)N−ビニルカルボン酸アミド若しくはN−イソプロペニルカルボン酸アミドと(メタ)アクリロニトリルとのコポリマー又はN−ビニルカルボン酸アミド若しくはN−イソプロペニルカルボン酸アミドと(メタ)アクリロニトリルを必須成分とするコポリマーを加水分解及びアミジン化することによって得られるアミジン単位を有するカチオン性ポリマー(a)と、N−ビニルカルボン酸アミド若しくはN−イソプロペニルカルボン酸アミドのホモポリマー又はN−ビニルカルボン酸アミド若しくはN−イソプロペニルカルボン酸アミドを必須成分とするコポリマーを加水分解することによって得られるビニルアミン単位又はイソプロペニルアミン単位を有するカチオン性ポリマー(b)とを、(a):(b)=10:90〜90:10(重量比)の比率で含有することを特徴とする汚泥脱水剤、
(2)アミジン単位を有するカチオン性ポリマー(a)が、下記一般式[1]で示される単位を20〜90モル%、下記一般式[2]で示される単位を0〜80モル%、下記一般式[3]で示される単位を0〜50モル%、下記一般式[4]で示される単位を0〜50モル%有するものである第 ( 1 ) 項記載の汚泥脱水剤
【化3】
(ただし、式中、R 1 及びR 2 は水素又はメチル基であり、R 3 は水素又は炭素数1〜4のアルキル基である。)、及び、
(3)ビニルアミン単位又はイソプロペニルアミン単位を有するカチオン性ポリマー(b)が、下記一般式[2]で示される単位を35〜100モル%、下記一般式[3]で示さ れる単位を0〜65モル%有するものである第 ( 1 ) 〜 ( 2 ) 項記載の汚泥脱水剤
【化4】
(ただし、式中、R 1 は水素又はメチル基であり、R 3 は水素又は炭素数1〜4のアルキル基である。)、
を提供するものである。
さらに、本発明の好ましい態様として、
(4)1N塩化ナトリウム水溶液を溶媒として30℃で測定したアミジン単位を有するカチオン性ポリマー(a)の固有粘度が、1dl/g以上である第(1)〜(3)項記載の汚泥脱水剤、及び、
(5)1N塩化ナトリウム水溶液を溶媒として30℃で測定したビニルアミン単位又はイソプロペニルアミン単位を有するカチオン性ポリマー(b)の固有粘度が、4dl/g以上である第(1)〜(4)項記載の汚泥脱水剤、
を挙げることができる。
【0005】
本発明において、アミジン単位を有するカチオン性ポリマー(a)は、
(1)N−ビニルカルボン酸アミド又はN−イソプロペニルカルボン酸アミド
【化7】
(ただし、式中、R1は水素又はメチル基、R3は水素又は炭素数1〜4のアルキル基である。)、
(2)(メタ)アクリロニトリル
CH2=CR2−CN
(ただし、式中、R2は水素又はメチル基である。)、
及び、必要に応じて、
(3)他の共重合可能なモノマー、
を共重合し、得られたコポリマーを加水分解及びアミジン化することによって得ることができる。
本発明に用いるN−ビニルカルボン酸アミドとしては、例えば、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルプロピオンアミド、N−ビニルブチルアミド、N−ビニルバレルアミドなどを挙げることができる。N−イソプロペニルカルボン酸アミドとしては、例えば、N−イソプロペニルホルムアミド、N−イソプロペニルアセトアミド、N−イソプロペニルプロピオンアミド、N−イソプロペニルブチルアミド、N−イソプロペニルバレルアミドなどを挙げることができる。本発明においては、必要に応じてN−ビニルカルボン酸アミド又はN−イソプロペニルカルボン酸アミドの代わりに、N−ビニルこはく酸イミド、N−ビニルグルタルイミド、N−イソプロペニルこはく酸イミド、N−イソプロペニルグルタルイミドなどのN−ビニルカルボン酸イミド又はN−イソプロペニルカルボン酸イミドを使用することができる。
本発明に用いる上記の他の共重合可能なモノマーとしては、適当なモノマー反応性比を有するものであれば制限なく使用することができ、例えば、(メタ)アクリルアミド、スチレン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドンなどのノニオン性モノマー、(メタ)アクリル酸又はそのアルカリ金属塩、ビニルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸などのスルホン基を有するモノマー又はそのアルカリ金属塩などのアニオン性モノマー、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどの3級塩若しくは4級アンモニウム塩などのカチオン性モノマーなどを挙げることができる。
【0006】
本発明において、重合方法には特に制限はなく、使用するモノマー及び生成するポリマーの溶解性などに応じて、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などを選ぶことができる。例えば、使用するモノマーも生成するポリマーも水溶性であれば、水溶液重合が可能であり、モノマーを水に溶解し、不活性ガスをバブリングし、所定温度まで昇温したのち水溶性重合開始剤を添加することによってポリマーを得ることができる。水溶液重合により得られたポリマーは、そのまま又は単離したのち、加水分解及びアミジン化反応に供することができる。また、使用するモノマーの水への溶解度が小さいときは、懸濁重合、乳化重合などを用いることができる。乳化重合においては、水中にモノマー、乳化剤、水溶性の重合開始剤などを加え、不活性ガス雰囲気中で撹拌下に加熱することによりポリマーを得ることができる。重合開始剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩など、一般的な開始剤を用いることができるが、アゾ系化合物が特に好ましい。
本発明において、上記のポリマーの水溶液を酸又はアルカリの存在下に加熱することにより、ポリマー中の酸アミド単位を加水分解してアミン単位とし、さらにアミン単位と隣接するニトリル単位の反応により一般式[1]で示されるアミジン単位を生成するアミジン化反応を行う。加水分解及びアミジン化反応は2段階で行うことができるが、通常は1段階で行うことが好ましい。ポリマーの構造と目的の加水分解率及びアミジン化率に応じて、反応条件を選択することが可能である。通常は上記のポリマーを5〜80重量%の水溶液又は水分散液とし、酸アミド単位に対し1〜5当量倍の酸、又は酸アミド単位に対し1〜5当量倍のアルカリを加え、40〜100℃に加熱することにより加水分解及びアミジン化反応を行うことができる。酸による加水分解及びアミジン化反応を行った場合には、得られるカチオン性ポリマーのアミノ基はアンモニウム塩を形成し、アルカリによる加水分解及びアミジン化反応を行った場合には、得られるカチオン性ポリマーのアミノ基は遊離の形態となる。なお、前記の共重合可能なビニルモノマーのうち、(メタ)アクリルアミド類及び(メタ)アクリレート類に由来するポリマー中の構造単位は、加水分解によって一部は(メタ)アクリル酸単位に変化する。
本発明の汚泥脱水剤において、カチオン性ポリマー(a)中の一般式[1]で示されるアミジン単位は、ポリマー中の全構造単位の20〜90モル%であることが好ましく、50〜90モル%であることがさらに好ましい。一般式[1]で示されるアミジン単位が、ポリマー中の全構造単位の20モル%未満であると、汚泥脱水剤としての含水率減少効果が低下し、一般式[1]で示されるアミジン単位が、ポリマー中の全構造単位の90モル%を超えるポリマーは製造が容易ではない。
本発明に用いるアミジン単位を有するカチオン性ポリマー(a)は、高分子量であることが好ましく、分子量の指標となる1N塩化ナトリウム水溶液を溶媒として30℃で測定した固有粘度が1dl/g以上であることが好ましく、3dl/g以上であることがさらに好ましい。
【0007】
本発明において、ビニルアミン単位又はイソプロペニルアミン単位を有するカチオン性ポリマー(b)は、
(1)N−ビニルカルボン酸アミド又はN−イソプロペニルカルボン酸アミド
【化8】
(ただし、式中、R1は水素又はメチル基、R3は水素又は炭素数1〜4のアルキル基である。)、及び、必要に応じて、
(2)他の共重合可能なモノマー、
を共重合し、得られたポリマーを加水分解することによって得ることができる。
N−ビニルカルボン酸アミド又はN−イソプロペニルカルボン酸アミドとしては、アミジン単位を有するカチオン性ポリマーの製造に用いるのと全く同じ化合物を使用することができ、例えば、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルプロピオンアミド、N−ビニルブチルアミド、N−ビニルバレルアミド、N−イソプロペニルホルムアミド、N−イソプロペニルアセトアミド、N−イソプロペニルプロピオンアミド、N−イソプロペニルブチルアミド、N−イソプロペニルバレルアミドなどを使用することができる。また、必要に応じてN−ビニルカルボン酸アミド又はN−イソプロペニルカルボン酸アミドの代わりに、N−ビニルカルボン酸イミド又はN−イソプロペニルカルボン酸イミドを使用することができる。
本発明に用いる上記の他の共重合可能なモノマーとしては、適当なモノマー反応性比を有するものであれば制限なく使用することができ、例えば、(メタ)アクリルアミド、スチレン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、アクリロニトリル、N−ビニルピロリドンなどのノニオン性モノマー、(メタ)アクリル酸又はそのアルカリ金属塩、ビニルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸などのスルホン基を有するモノマー又はそのアルカリ金属塩などのアニオン性モノマー、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどの3級塩若しくは4級アンモニウム塩などのカチオン性モノマーなどを挙げることができる。
【0008】
本発明において、上記のモノマーを重合する方法には特に制限はなく、使用するモノマー及び生成するポリマーの溶解性などに応じて、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などを選ぶことができる。得られたポリマーの水溶液を酸又はアルカリの存在下に加熱することにより、ポリマー中の酸アミド単位を加水分解して一般式[2]で示されるアミン単位とする。本発明においては、ポリマーの構造と目的の加水分解率に応じて、反応条件を選択することが可能である。通常は上記のポリマーを5〜80重量%の水溶液又は水分散液とし、酸アミド単位に対し1〜5当量倍の酸、又は酸アミド単位に対し1〜5当量倍のアルカリを加え、40〜100℃に加熱することにより加水分解を行うことができる。酸による加水分解を行った場合には、得られるカチオン性ポリマーのアミノ基はアンモニウム塩を形成し、アルカリによる加水分解を行った場合には、得られるカチオン性ポリマーのアミノ基は遊離の形態となる。なお、前記の共重合可能なビニルモノマーのうち、(メタ)アクリルアミド類及び(メタ)アクリレート類に由来するポリマー中の構造単位は、加水分解によって一部が(メタ)アクリル酸単位に変化する。
本発明に用いるビニルアミン単位又はイソプロペニルアミン単位を有するカチオン性ポリマーにおいて、一般式[2]で示されるビニルアミン単位又はイソプロペニルアミン単位は、ポリマー中の全構造単位の35〜100モル%であることが好ましく、60〜80モル%であることがさらに好ましい。一般式[2]で示されるビニルアミン単位又はイソプロペニルアミン単位が、全構造単位の35モル%未満であると、汚泥脱水剤としての凝集性能が低下する。
本発明に用いるビニルアミン単位又はイソプロペニルアミン単位を有するカチオン性ポリマーは、高分子量であることが好ましく、分子量の指標となる1N塩化ナトリウム水溶液を溶媒として30℃で測定した固有粘度が4dl/g以上であることが好ましく、5dl/g以上であることがさらに好ましい。
【0009】
本発明において、アミジン単位を有するカチオン性ポリマー(a)及びビニルアミン単位又はイソプロペニルアミン単位を有するポリマー(b)は、アミジン化反応又は加水分解を終了した水溶液のまま又は濃縮若しくは希釈した水溶液として、排水の凝集剤、汚泥の脱水剤、紙用添加剤などに使用することができ、あるいは、カチオン性ポリマーの水溶液をアセトンなどの有機溶媒と混合し、カチオン性ポリマーを沈殿せしめた後、分離、乾燥して粉末化し、あるいはエマルションなどとして使用することができる。
本発明の汚泥脱水剤は、アミジン単位を有するカチオン性ポリマー(a)と、ビニルアミン単位又はイソプロペニルアミン単位を有するカチオン性ポリマー(b)とを、(a):(b)=10:90〜90:10(重量比)の比率で含有する。アミジン単位を有するカチオン性ポリマーの含有率が、(a):(b)=10:90(重量比)より少ないと、脱水ケーキの含水率が十分に減少しないおそれがある。アミジン単位を有するカチオン性ポリマーの含有率が、(a):(b)=90:10(重量比)より多いと、フロックの凝集性が十分に向上しないおそれがある。
本発明の汚泥脱水剤を使用する対象となる汚泥には特に制限はなく、下水、屎尿、一般産業排水処理で生じる有機性汚泥や、凝集汚泥を含む混合汚泥などに広く好適に使用することができる。
本発明の汚泥脱水剤は、アミジン単位を有するカチオン性ポリマー(a)と、ビニルアミン単位又はイソプロペニルアミン単位を有するカチオン性ポリマー(b)とを、粉末、エマルション、水溶液などの状態で混合して使用することができ、あるいは、アミジン単位を有するカチオン性ポリマー(a)と、ビニルアミン単位又はイソプロペニルアミン単位を有するカチオン性ポリマー(b)とを、粉末、エマルション又は水溶液の状態で、別々に汚泥に添加し、汚泥中で混合することにより使用することができる。例えば、アミジン単位を有するカチオン性ポリマー(a)と、ビニルアミン単位又はイソプロペニルアミン単位を有するカチオン性ポリマー(b)とを、同一の溶解タンクで溶解して濃度が0.1〜1重量%の溶液を調製し、この溶液を汚泥に添加することができる。あるいは、いずれかの一方のカチオン性ポリマーを先に汚泥に添加して汚泥を凝集させたのち、他方のカチオン性ポリマーを汚泥に添加してさらに凝集を進めることができる。
本発明の汚泥脱水剤は、他のカチオン性ポリマー、アニオン性ポリマー、両性ポリマーなどと併用することができ、これらを溶解の際に混合し、あるいは各々を別々に汚泥に添加して凝集、脱水に用いることができる。また、本発明の汚泥脱水剤は無機凝集剤と併用することができ、さらに必要に応じて、スルファミン酸などの酸性物質を添加することができる。併用する無機凝集剤には特に制限はなく、例えば、硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、ポリ硫酸鉄などを挙げることができる。
本発明の汚泥脱水剤により凝集した汚泥の脱水に用いる脱水機には特に制限はなく、通常の汚泥処理に使用される機器を使用することができる。このような脱水機としては、例えば、ベルトプレス脱水機、遠心脱水機、フィルタープレス脱水機、スクリュープレス脱水機、真空脱水機などを挙げることができる。
本発明の汚泥脱水剤においては、アミジン単位を有するカチオン性ポリマーの有する含水率減少効果と、ビニルアミン単位又はイソプロペニルアミン単位を有するカチオン性ポリマーの凝集力の向上効果が相乗的に作用し、汚泥処理において、ろ過性の良好な強度の大きい凝集フロックが形成され、ろ過に際して、含水率が低くろ布からの剥離性の良好なケーキが得られ、安定して汚泥の脱水処理を行うことができる。
【0010】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
製造例1(アミジン単位を有するカチオン性ポリマー)
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素導入管をつけた500mlフラスコに、N−ビニルホルムアミド35.5g(0.5モル)、アクリロニトリル26.5g(0.5モル)及び水310gを入れ、雰囲気を窒素で置換した。撹拌しつつ60℃に昇温し、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩の10%水溶液1.0gを添加し、60℃を保ったまま5時間重合を続けた。水中にポリマーが析出した懸濁液に濃塩酸98.1g(塩化水素として1.0モル)を加え、加熱して還流しつつ4時間反応し、ポリマーをアミジン化した。得られたポリマー溶液をアセトン中に添加し、析出したポリマーを真空乾燥した。このカチオン性ポリマーの、1N塩化ナトリウム水溶液を溶媒として30℃で測定した固有粘度は、4.0dl/gであった。また、このカチオン性ポリマーのコロイド当量は、pH=4において7.5であった。このカチオン性ポリマーを、ポリマーAとする。
製造例2(ビニルアミン単位を有するカチオン性ポリマー)
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素導入管をつけた500mlフラスコに、N−ビニルホルムアミド71.0g(1.0モル)及び水310gを入れ、雰囲気を窒素で置換した。撹拌しつつ60℃に昇温し、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩の10%水溶液1.0gを添加し、60℃を保ったまま5時間重合を続けた。ポリマー溶液に濃塩酸147g(塩化水素として1.5モル)を加え、加熱して還流しつつ4時間反応し、ポリマーを加水分解した。得られたポリマー溶液をアセトン中に添加し、析出したポリマーを真空乾燥した。このカチオン性ポリマーの、1N塩化ナトリウム水溶液を溶媒として30℃で測定した固有粘度は、5.5dl/gであった。また、このカチオン性ポリマーのコロイド当量は、pH=4において8.6であった。このカチオン性ポリマーを、ポリマーBとする。
参考例1(4級アンモニウム塩を有するカチオン性ポリマー)
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素導入管をつけた500mlフラスコに、ジメチルアミノエチルメタクリレートのメチルクロライド四級化物103.8g(0.5モル)及び水310gを入れ、雰囲気を窒素で置換した。撹拌しつつ60℃に昇温し、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩の10%水溶液0.8gを添加し、60℃を保ったまま5時間重合を続けた。得られたポリマー溶液をアセトン中に添加し、析出したポリマーを真空乾燥した。このカチオン性ポリマーの、1N塩化ナトリウム水溶液を溶媒として30℃で測定した固有粘度は、5.6dl/gであった。また、このカチオン性ポリマーのコロイド当量は、pH=4において4.8であった。このカチオン性ポリマーを、ポリマーCとする。
ポリマーA、B及びCの組成及び物性、並びに実施例及び比較例に用いたポリマー成分を第1表に示す。
【0011】
【表1】
【0012】
実施例1
下水・混合生汚泥を用いて凝集及びろ過試験を行った。用いた汚泥の性状は、pH5.4、SS1.35重量%、VSS/SS81.7重量%、繊維分/SS3.8重量%、電導度1.54mS/cmであった。
上記の汚泥200mlを、300mlポリビーカーに採り、ポリマーA及びポリマーBの50/50(重量比)混合物が0.2重量%になるよう調製したポリマー溶液を、ポリマーの添加率が汚泥中のSSに対して0.6重量%になるよう、シリンジを用いて汚泥に加え、タービン羽根を備えた撹拌機で250rpm、30秒撹拌を行った。その時のフロック径を測定した後、ナイロンろ布を敷いたヌッチェロートに内径50mmの塩化ビニル樹脂製の円筒を置き、その中へ凝集した汚泥を注ぎ込み、メスシリンダーを用いて10秒後のろ液量を測定した。次にろ布上に残った凝集汚泥をベルトプレス用のポリエステルろ布にとり、1.0kg/cm2で60秒圧搾した。次にろ布上のケーキをヘラでかきとり、含水率を測定した。ろ布に付着した汚泥は高圧水で洗い落とし、固形物量を測定することにより、ろ布からの剥離性を評価した。結果を第2表に示す。
実施例2〜3及び比較例1〜3
第1表に示す成分のポリマーを用いて、実施例1と全く同じ操作を繰り返した。結果を第2表に示す。
【0013】
【表2】
【0014】
本発明の汚泥脱水剤を使用した実施例1〜3においては、10秒後のろ液量が多く重力ろ過性が良好であり、圧搾テストにおいてもケーキの含水率は70〜73重量%と低く、かつ98重量%以上がろ布から剥離している。これに対して、アミジン単位を有するカチオン性ポリマーのみを用いた比較例1では、ろ過性及び剥離性が劣り、ビニルアミン単位を有するカチオン性ポリマーのみを用いた比較例2では、ケーキの含水率がやや高く、剥離性も劣る。また、4級アンモニウム塩系カチオン性ポリマーを用いた比較例3では、重力ろ過性が著しく劣り、ケーキ含水率が高く、剥離性も不良である。
実施例4〜6及び比較例4〜6
化学工場・余剰汚泥を用いて凝集及びろ過試験を行った。用いた汚泥の性状は、pH6.7、SS0.70重量%、VSS/SS83.9重量%、繊維分/SS1.5重量%、電導度1.99mS/cmであった。なお、試験は実施例1と全く同じ方法により行った。結果を第3表に示す。
【0015】
【表3】
【0016】
本発明の汚泥脱水剤を使用した実施例4〜6においては、10秒後のろ液量が多く重力ろ過性が良好であり、圧搾テストにおいてもケーキの含水率は82〜83重量%と低く、かつ95重量%がろ布から剥離している。これに対して、アミジン単位を有するカチオン性ポリマーのみを用いた比較例4では、凝集フロックが小さく、ろ過性が劣る。ビニルアミン単位を有するカチオン性ポリマーのみを用いた比較例5は、含水率が高く、剥離性に劣っている。また、4級アンモニウム塩系カチオン性ポリマーを用いた比較例6は、重力ろ過性が著しく劣り、含水率が高く、剥離性も極端に不良である。
【0017】
【発明の効果】
本発明の汚泥脱水剤を使用すると、凝集力が高く汚泥の処理量が上がり、含水率の低い脱水ケーキを得ることができ、さらに、ろ布からのケーキ剥離性がよいので圧搾圧力を高くすることができ、その結果からもケーキ含水率を下げることができる。
Claims (3)
- N−ビニルカルボン酸アミド若しくはN−イソプロペニルカルボン酸アミドと(メタ)アクリロニトリルとのコポリマー又はN−ビニルカルボン酸アミド若しくはN−イソプロペニルカルボン酸アミドと(メタ)アクリロニトリルを必須成分とするコポリマーを
加水分解及びアミジン化することによって得られるアミジン単位を有するカチオン性ポリマー(a)と、N−ビニルカルボン酸アミド若しくはN−イソプロペニルカルボン酸アミドのホモポリマー又はN−ビニルカルボン酸アミド若しくはN−イソプロペニルカルボン酸アミドを必須成分とするコポリマーを加水分解することによって得られるビニルアミン単位又はイソプロペニルアミン単位を有するカチオン性ポリマー(b)とを、(a):(b)=10:90〜90:10(重量比)の比率で含有することを特徴とする汚泥脱水剤。
Priority Applications (1)
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JP05041495A JP3697701B2 (ja) | 1995-02-15 | 1995-02-15 | 汚泥脱水剤 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP05041495A JP3697701B2 (ja) | 1995-02-15 | 1995-02-15 | 汚泥脱水剤 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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