JP3691580B2 - 熱現像感光材料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱現像感光材料に関するものであり、特にレーザー・イメージセッターまたはレーザー・イメージャー用感光材料(以下LI感材という)に関し、更に詳しくは、粒状性に優れかつ高鮮鋭な画質が得られ、従って画像情報を忠実に再現できるLI感材を含む片面熱現像感光材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年医療分野において環境保全、省スペースの観点から処理廃液の減量が強く望まれている。そこで、レーザー・イメージセッターまたはレーザー・イメージャーにより効率的に露光させることができ、高解像度および鮮明さを有する鮮明な黒色画像を形成することができる医療診断用および写真技術用途の感光性熱現像材料に関する技術が必要とされている。これら感光性熱現像材料では、溶液系処理化学薬品の使用をなくし、より簡単で環境を損なわない熱現像処理システムを顧客に対して供給することができる。
【0003】
一般にこのような感光性熱現像材料の感光性層は、感光性銀塩としてのハロゲン化銀と現像時の銀供給源としての有機酸銀が同一層内に共存しているため、感光性層の塗布液の安定性が悪く、塗布液を調整してからの経過時間により、感度が変動することがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、医療診断用および写真技術用途の熱現像感光材料として優れた性能を有する熱現像感光材料を提供することにあり、更には塗布液の経時安定性に優れ、Dmin 及び感度の安定した熱現像感光材料を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、以下の手段によって達成された。
(1) 支持体上に少なくとも感光性銀塩、有機酸銀、還元剤及びバインダーを含有する熱現像感光材料において、該感光性銀塩が化学増感されたハロゲン化銀の立方体状粒子又は平板状粒子であり、該有機酸銀が長鎖脂肪族カルボン酸の銀塩であり、かつ下記一般式(I−a)で表される化合物の少なくとも一種を含有することを特徴とする熱現像感光材料。
一般式(I−a)
【0006】
【化2】
Figure 0003691580
【0007】
(式中、Mは水素原子又はカチオンを表す。Qは含窒素芳香族ヘテロ環を形成するに必要な原子群を表す。)
【0008】
(2) 感光性銀塩が少なくとも一種の金化合物を含有する化学増感されたハロゲン化銀の立方体状粒子又は平板状粒子からなることを特徴とする(1) 記載の熱現像感光材料。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明における感光性銀塩は、具体的には化学増感されたハロゲン化銀である。感光性ハロゲン化銀の形成方法は当業界ではよく知られており例えば、リサーチディスクロージャー1978年6 月の第17029 号、および米国特許第3,700,458 号に記載されている方法を用いることができる。本発明で用いることのできる具体的な方法としては、調製された有機銀塩中にハロゲン含有化合物を添加することにより有機銀塩の銀の一部を感光性ハロゲン化銀に変換する方法、ゼラチンあるいは他のポリマー溶液の中に銀供給化合物及びハロゲン供給化合物を添加することにより感光性ハロゲン化銀粒子を調製し有機銀塩と混合する方法を用いることができる。本発明において好ましくは後者の方法を用いることができる。感光性ハロゲン化銀の粒子サイズは、画像形成後の白濁を低く抑える目的のために小さいことが好ましく具体的には0.20μm以下、より好ましくは0.01μm 以上0.15μm 以下、更に好ましくは0.02μm以上0.12μm以下がよい。ここでいう粒子サイズとは、ハロゲン化銀粒子が立方体あるいは八面体のいわゆる正常晶である場合にはハロゲン化銀粒子の稜の長さをいう。また、ハロゲン化銀粒子が平板状粒子である場合には主表面の投影面積と同面積の円像に換算したときの直径をいう。その他正常晶でない場合、たとえば球状粒子、棒状粒子等の場合には、ハロゲン化銀粒子の体積と同等な球を考えたときの直径をいう。
【0011】
ハロゲン化銀粒子の形状は立方体状粒子又は平板状粒子である。平板状ハロゲン化銀粒子を用いる場合の平均アスペクト比は好ましくは100:1〜2:1、より好ましくは50:1〜3:1がよい。更に、ハロゲン化銀粒子のコーナーが丸まった粒子も好ましく用いることができる。感光性ハロゲン化銀粒子の外表面の面指数(ミラー指数)については特に制限はないが、分光増感色素が吸着した場合の分光増感効率が高い〔100 〕面の占める割合が高いことが好ましい。その割合としては50% 以上が好ましく、65% 以上がより好ましく、80% 以上が更に好ましい。ミラー指数〔100 〕面の比率は増感色素の吸着における〔111 〕面と〔100 〕面との吸着依存性を利用したT.Tani;J.Imaging Sci.,29、 165(1985年)に記載の方法により求めることができる。
【0012】
感光性ハロゲン化銀のハロゲン組成としては特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、臭化銀、ヨウ臭化銀、ヨウ塩臭化銀、ヨウ化銀のいずれであっても良いが、本発明においては臭化銀、あるいはヨウ臭化銀を好ましく用いることができる。特に好ましくはヨウ臭化銀であり、ヨウ化銀含有率は0.1 モル% 以上40モル% 以下が好ましく、0.1 モル% 以上20モル% 以下がより好ましい。粒子内におけるハロゲン組成の分布は均一であってもよく、ハロゲン組成がステップ状に変化したものでもよく、或いは連続的に変化したものでもよいが、好ましい例として粒子内部のヨウ化銀含有率の高いヨウ臭化銀粒子を使用することができる。また、好ましくはコア/シェル構造を有するハロゲン化銀粒子を用いることができる。構造としては好ましくは2〜5重構造、より好ましくは2 〜4 重構造のコア/シェル粒子を用いることができる。
【0013】
本発明の感光性ハロゲン化銀粒子は、ロジウム、レニウム、ルテニウム、オスニウム、イリジウム、コバルトまたは鉄から選ばれる金属の錯体を少なくとも一種含有することが好ましい。これら金属錯体は1 種類でもよいし、同種金属及び異種金属の錯体を二種以上併用してもよい。好ましい含有率は銀1モルに対し1nモルから10m モルの範囲が好ましく、10n モルから100μモルの範囲がより好ましい。具体的な金属錯体の構造としては特開平7-225449号等に記載された構造の金属錯体を用いることができる。コバルト、鉄の化合物については六シアノ金属錯体を好ましく用いることができる。具体例としては、フェリシアン酸イオン、フェロシアン酸イオン、ヘキサシアノコバルト酸イオンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。ハロゲン化銀中の金属錯体の含有相は均一でも、コア部に高濃度に含有させてもよく、あるいはシェル部に高濃度に含有させてもよく特に制限はない。
【0014】
感光性ハロゲン化銀粒子はヌードル法、フロキュレーション法等、当業界で知られている方法の水洗により脱塩することができるが本発明においては脱塩してもしなくてもよい。
【0015】
本発明における感光性ハロゲン化銀粒子は化学増感されている必要がある。化学増感とは、ハロゲン化銀粒子に化学的変化を生じさせ、感度を高める増感法であり、好ましい化学増感法としては当業界でよく知られているように硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法を用いることができる。また金化合物や白金、パラジウム、イリジウム化合物等の貴金属増感法や還元増感法を用いることができる。硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法に好ましく用いられる化合物としては公知の化合物を用いることができる。例えば硫黄増感剤としては活性ゼラチンや銀と反応し得る硫黄を含む化合物(例えば、チオ硫酸塩、チオ尿素類、メルカプト化合物類、ローダニン類等)、セレン増感剤としては不安定型セレン化合物および/または非不安定型セレン化合物があり、不安定型セレン化合物としては、例えば特公昭44−15748号、特公昭43−13489号、特願平2−130976号、特願平2−229300号などに記載の化合物を用いることが好ましく、非不安定型セレン化合物としては、特公昭46−4553号、特公昭52−34492号および特公昭52−34491号に記載の化合物が用いられる。テルル増感剤としては例えばジアシルテルリド類、ビス(オキシカルボニル)テルリド類、ビス(カルバモイル)テルリド類、ジアシルテルリド類、ビス(オキシカルボニル)ジテルリド類、ビス(カルバモイル)ジテルリド類、P=Te結合を有する化合物、テルロカルボン酸塩類、Te−オルガニルテルロカルボン酸エステル類、ジ(ポリ)テルリド類、テルリド類、テルロール類、テルロアセタール類、テルロスルホナート類、P-Te結合を有する化合物、含Teヘテロ環類、テルロカルボニル化合物、無機テルル化合物、コロイド状テルルなどを用いることができる。
【0016】
貴金属増感法に好ましく用いられる化合物としては例えば塩化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムオーリチオシアネート、硫化金、金セレナイド、あるいは米国特許2,448,060 号、英国特許618,061 号などに記載されている化合物を好ましく用いることができる。
【0017】
還元増感法の具体的な化合物としてはアスコルビン酸、二酸化チオ尿素の他に例えば、塩化第一スズ、アミノイミノメタンスルフィン酸、ヒドラジン誘導体、ボラン化合物、シラン化合物、ポリアミン化合物等を用いることができる。また、乳剤のpHを7 以上またはpAg を8.3 以下に保持して熟成することにより還元増感することができる。また、粒子形成中に銀イオンのシングルアディション部分を導入することにより還元増感することができる。
【0018】
上記化学増感法は、各々単独であるいは組み合わせて用いることが出来るが、少なくとも1種類の貴金属増感を用いることが好ましく、特に好ましくは金化合物による増感法を用いることである。
【0019】
本発明の感光性ハロゲン化銀の使用量としては有機銀塩1モルに対して0.01モル以上0.5 モル以下が好ましく、0.02モル以上0.3 モル以下がより好ましく、0.03モル以上0.25モル以下が特に好ましい。
別々に調製した感光性ハロゲン化銀と有機銀塩の混合方法及び混合条件については、それぞれ調製終了したハロゲン化銀粒子と有機銀塩を高速攪拌機やボールミル、サンドミル、コロイドミル、振動ミル、ホモジナイザー等で混合する方法や、あるいは有機銀塩の調製中のいずれかのタイミングで調製終了した感光性ハロゲン化銀を混合して有機銀塩を調製する方法等があるが、本発明の効果が十分に現れる限りにおいては特に制限はない。
【0029】
続いて一般式(I−a)に表される化合物について詳細に説明する。
一般式(I−a)
【0030】
【化3】
Figure 0003691580
【0031】
一般式(I−a)中、Mは水素原子又はカチオンを表す。Mで表されるカチオンは、有機または無機のカチオンを表し、例えばアルカリ金属イオン(Li + 、Na + 、K + 、Cs + + など)、アルカリ土類金属イオン(Mg 2+ 、Ca 2+ など)、アンモニウム(アンモニウム、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、1,2−エタンジアンモニウムなど)、ピリジニウム、イミダゾリウム、ホスホニウム(テトラブチルホスホニウムなど)などが挙げられる。Mとして好ましくは水素原子、アルカリ金属イオンであり、より好ましくは水素原子である。
【0032】
一般式(I−a)中、Qは含窒素芳香族ヘテロ環を形成するに必要な原子群を表す。Qで形成される含窒素芳香族ヘテロ環としては、例えばピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンズセレナゾール、テトラアザインデンなどが挙げられ、好ましくはイミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンズセレナゾール、テトラアザインデンなどが挙げられ、より好ましくはイミダゾール、トリアゾール、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾールであり、更に好ましくはベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾールであり、特に好ましくはベンズイミダゾールである。
【0033】
Qで形成される含窒素芳香族ヘテロ環は置換基を有してもよく、置換基としては、例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜1 6、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、ヘテロ環基(例えばイミダゾリル、ピリジル、フリル、ピペリジル、モルホリノなどが挙げられる。)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。
置換基として好ましくは、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、ウレイド基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ヘテロ環基であり、より好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、ウレイド基、ハロゲン原子、ヘテロ環基であり、更に好ましくはアルキル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、ウレイド基、ハロゲン原子、ヘテロ環基であり、特に好ましくはアルキル基である。
【0034】
以下に一般式(I−a)で表される化合物の具体例を挙げるが本発明はこれらに限定されるものではない。
【0036】
【化5】
Figure 0003691580
【0037】
【化6】
Figure 0003691580
【0038】
【化7】
Figure 0003691580
【0039】
【化8】
Figure 0003691580
【0040】
【化9】
Figure 0003691580
【0041】
【化10】
Figure 0003691580
【0042】
【化11】
Figure 0003691580
【0043】
【化12】
Figure 0003691580
【0044】
【化13】
Figure 0003691580
【0045】
【化14】
Figure 0003691580
【0046】
【化15】
Figure 0003691580
【0047】
【化16】
Figure 0003691580
【0048】
【化17】
Figure 0003691580
【0049】
【化18】
Figure 0003691580
【0050】
【化19】
Figure 0003691580
【0051】
【化20】
Figure 0003691580
【0052】
【化21】
Figure 0003691580
【0053】
【化22】
Figure 0003691580
【0054】
【化23】
Figure 0003691580
【0055】
本発明で用いられる、一般式(I−a)の化合物の添加量については特別な制限はないが、ハロゲン化銀と有機酸銀の合計の銀1モルあたり10-6〜10-1モルの範囲が好ましく、特に好ましくは10-4〜10-1の範囲である。
【0056】
本発明に用いることのできる有機酸銀は、光に対して比較的安定であるが、露光された光触媒(感光性ハロゲン化銀の潜像など)及び還元剤の存在下で、80℃或いはそれ以上に加熱された場合に銀画像を形成する銀塩である。
本発明に用いる有機酸銀は、長鎖脂肪族カルボン酸の銀塩であり、特に炭素数が 10 30 (好ましくは 15 28 の)長鎖脂肪カルボン酸の銀塩が好ましい。長鎖脂肪族カルボン酸の銀塩の好ましい例としては、ベヘン酸銀、ステアリン酸銀、オレイン酸銀、ラウリン酸銀、カプロン酸銀、ミリスチン酸銀、パルミチン酸銀、マレイン酸銀、フマル酸銀、酒石酸銀、リノール酸銀、酪酸銀及び樟脳酸銀、これらの混合物などを含む。
【0058】
本発明に用いることができる有機酸銀の形状としては特に制限はないが、短軸と長軸を有する針状結晶が好ましい。感光性ハロゲン化銀感材でよく知られているように銀塩結晶粒子のサイズとその被覆力の間の反比例の関係は本発明における熱現像感光材料においても成立するため、即ち該熱現像感光材料の画像形成部である有機酸銀粒子が大きいと被覆力が小さく画像濃度が低くなることを意味することから有機酸銀のサイズを小さくすることが必要である。本発明においては短軸0.01μm 以上0.20μm 以下、長軸0.10μm 以上5.0 μm 以下が好ましく、短軸0.01μm 以上0.15μm 以下、長軸0.10μm 以上4.0 μm 以下がより好ましい。有機酸銀の粒子サイズ分布は単分散であることが好ましい。単分散とは短軸、長軸それぞれの長さの標準偏差を短軸、長軸それぞれで割った値の100 分率が好ましくは100%以下、より好ましくは80% 以下、更に好ましくは50% 以下である。有機酸銀の形状の測定方法としては有機酸銀分散物の透過型電子顕微鏡像より求めることができる。単分散性を測定する別の方法として、有機酸銀の体積荷重平均直径の標準偏差を求める方法があり、体積荷重平均直径で割った値の100 分率(変動係数)が好ましくは100%以下、より好ましくは80% 以下、更に好ましくは50% 以下である。測定方法としては例えば液中に分散した有機酸銀にレーザー光を照射し、その散乱光のゆらぎの時間変化にたいする自己相関関数を求めることにより得られた粒子サイズ(体積荷重平均直径)から求めることができる。
【0059】
本発明の有機酸銀は所望の量で使用できるが、0.1 〜5g/m2が好ましく、さらに好ましくは1 〜3g/m2である。
【0060】
本発明における感光層のバインダーとしては、よく知られている天然または合成樹脂、例えば、ゼラチン、ポリビニルアセタール、ポリビニルクロリド、ポリビニルアセテート、セルロースアセテート、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネートなどから任意のものを選択することができる。当然ながら、コポリマーおよびターポリマーも含まれる。好ましいポリマーは、ポリビニルブチラール、ブチルエチルセルロース、メタクリレートコポリマー、無水マレイン酸エステルコポリマー、ポリスチレンおよびブタジエン- スチレンコポリマーである。必要に応じて、これらのポリマーを2種またはそれ以上組合せて使用することができる。そのようなポリマーは、成分をその中に保持するのに十分な量で使用される。すなわち、バインダーとして機能するのに効果的な範囲で使用される。効果的な範囲は、当業者が適切に決定することができる。少なくとも有機酸銀を保持する場合の目安として、バインダー対有機酸銀の割合は、15:1〜1:2、特に8:1〜1:1の範囲が好ましい。
【0061】
有機酸銀のための還元剤は、銀イオンを金属銀に還元する任意の物質、好ましくは有機物質であってよい。フェニドン、ハイドロキノンおよびカテコールなどの従来の写真現像剤は有用であるが、ヒンダードフェノール還元剤が好ましい。還元剤は、画像形成層の1 〜10重量% として存在すべきである。多層構成において、還元剤をエマルジョン層以外の層に加える場合は、わずかに高い割合である約2 〜15% がより望ましい傾向がある。
【0062】
有機酸銀を利用した熱現像感光材料においては広範囲の還元剤が開示されている。例えば、フェニルアミドオキシム、2-チエニルアミドオキシムおよびp-フェノキシフェニルアミドオキシムなどのアミドオキシム;例えば4-ヒドロキシ-3,5- ジメトキシベンズアルデヒドアジンなどのアジン;2,2-ビス(ヒドロキシメチル)プロピオニル- β- フェニルヒドラジンとアスコルビン酸との組合せのような脂肪族カルボン酸アリールヒドラジドとアスコルビン酸との組合せ;ポリヒドロキシベンゼンと、ヒドロキシルアミン、レダクトンおよび/またはヒドラジンの組合せ(例えばハイドロキノンと、ビス(エトキシエチル)ヒドロキシルアミン、ピペリジノヘキソースレダクトンまたはホルミル-4- メチルフェニルヒドラジンの組合せなど);フェニルヒドロキサム酸、p-ヒドロキシフェニルヒドロキサム酸およびβ- アリニンヒドロキサム酸などのヒドロキサム酸;アジンとスルホンアミドフェノールとの組合せ(例えば、フェノチアジンと2,6-ジクロロ-4- ベンゼンスルホンアミドフェノールなど);エチル- α- シアノ-2- メチルフェニルアセテート、エチル- α- シアノフェニルアセテートなどのα- シアノフェニル酢酸誘導体;2,2-ジヒドロキシ-1,1- ビナフチル、6,6-ジブロモ-2,2- ジヒドロキシ-1,1- ビナフチルおよびビス(2- ヒドロキシ-1- ナフチル)メタンに例示されるようなビス- β- ナフトール;ビス- β- ナフトールと1,3-ジヒドロキシベンゼン誘導体(例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノンまたは2,4-ジヒドロキシアセトフェノンなど)の組合せ;3-メチル-1- フェニル-5- ピラゾロンなどの、5-ピラゾロン;ジメチルアミノヘキソースレダクトン、アンヒドロジヒドロアミノヘキソースレダクトンおよびアンヒドロジヒドロピペリドンヘキソースレダクトンに例示されるようなレダクトン;2,6-ジクロロ-4- ベンゼンスルホンアミドフェノールおよびp-ベンゼンスルホンアミドフェノールなどのスルホンアミドフェノール還元剤;2-フェニルインダン-1,3- ジオンなど; 2,2- ジメチル-7-t- ブチル-6- ヒドロキシクロマンなどのクロマン;2,6-ジメトキシ-3,5- ジカルボエトキシ-1,4- ジヒドロピリジンなどの1,4-ジヒドロピリジン;ビスフェノール(例えば、ビス(2- ヒドロキシ-3-t- ブチル-5- メチルフェニル)メタン、2,2-ビス(4- ヒドロキシ-3- メチルフェニル)プロパン、4,4-エチリデン- ビス(2-t- ブチル-6- メチルフェノール) 、1,1,- ビス(2- ヒドロキシ-3,5- ジメチルフェニル)-3,5,5-トリメチルヘキサンおよび2,2-ビス(3,5- ジメチル-4- ヒドロキシフェニル)プロパンなど);アスコルビン酸誘導体(例えば、パルミチン酸1-アスコルビル、ステアリン酸アスコルビルなど);ならびにベンジルおよびビアセチルなどのアルデヒドおよびケトン;3-ピラゾリドンおよびある種のインダン-1,3- ジオン;クロマノール(トコフェロールなど)などがある。特に好ましい還元剤としては、ビスフェノール、クロマノールである。
【0063】
本発明における増感色素としてはハロゲン化銀粒子に吸着した際、所望の波長領域でハロゲン化銀粒子を分光増感できるもので有ればいかなるものでも良い。増感色素としては、シアニン色素、メロシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、ホロホーラーシアニン色素、スチリル色素、ヘミシアニン色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素等を用いることができる。本発明に使用される有用な増感色素は例えばRESEARCH DISCLOSURE Item17643IV-A 項(1978 年12月p.23)、同Item1831X 項(1979 年8 月p.437)に記載もしくは引用された文献に記載されている。特に各種レーザーイメージャー、スキャナー、イメージセッターや製版カメラの光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択することができる。
【0064】
赤色光への分光増感の例としては、He-Ne レーザー光源に対しては、特開昭54-18726号に記載のI-1からI-38 の化合物、特開平6-75322 号に記載のI-1からI-35 の化合物および特開平7-287338号に記載のI-1からI-34 の化合物、 LED光源に対しては特公昭55-39818号に記載の色素1 から20、特開昭62-284343 号に記載のI-1からI-37 の化合物および特開平7-287338号に記載のI-1からI-34 の化合物などが有利に選択される。
【0065】
750 〜1400nmの範囲のいずれかの波長領域でハロゲン化銀粒子を分光増感する具体的には、感光性ハロゲン化銀を、シアニン、メロシアニン、スチリル、ヘミシアニン、オキソノール、ヘミオキソノールおよびキサンテン色素を含む種々の既知の色素により、スペクトル的に有利に増感させることができる。有用なシアニン色素は、例えば、チアゾリン核、オキサゾリン核、ピロリン核、ピリジン核、オキサゾール核、チアゾール核、セレナゾール核およびイミダゾール核などの塩基性核を有するシアニン色素である。有用なメロシアニン染料で好ましいものは、上記の塩基性核に加えて、チオヒダントイン核、ローダニン核、オキサゾリジンジオン核、チアゾリンジオン核、バルビツール酸核、チアゾリノン核、マロノニトリル核およびピラゾロン核などの酸性核も含む。上記のシアニンおよびメロシアニン色素において、イミノ基またはカルボキシル基を有するものが特に効果的である。例えば、米国特許第3,761,279 号、同第3,719,495 号、同第3,877,943 号、英国特許第1,466,201 号、同第1,469,117 号、同第1,422,057 号、特公平3-10391 号、特公平6-52387 号、特開平5-341432号、特開平6-194781号、特開平6-301141号に記載されたような既知の色素から適当に選択してよい。特に好ましい色素の構造としてはチオエーテル結合を有するシアニン色素であり、その例としては特開昭62-58239、3-138638、3-138642、4-255840、5-72659 、5-72661 、6-222491、2-230506、6-258757、6-317868、6-324425、特表平7-500926に記載されたシアニン色素が挙げられる。
【0066】
これらの増感色素は単独に用いてもよく、2 種以上組合せて用いてもよい。増感色素の組合せは特に、強色増感の目的でしばしば用いられる。増感色素とともに、それ自身分光増感作用をもたない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感を示す物質を乳剤中に含んでもよい。有用な増感色素、強色増感を示す色素の組合せ及び強色増感を示す物質はResearch Disclosure 176 巻17643(1978年12月発行)第23頁IVのJ 項、あるいは特公昭49-25500、同43-4933 、特開昭59-19032、同59-192242 等に記載されている。
【0067】
本発明に用いられる増感色素は2種以上を併用してもよい。増感色素をハロゲン化銀乳剤中に添加せしめるには、それらを直接乳剤中に分散してもよいし、あるいは水、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、メチルセルソルブ、2,2,3,3-テトラフルオロプロパノール、2,2,2-トリフルオロエタノール、3-メトキシ-1- プロパノール、3-メトキシ-1- ブタノール、1-メトキシ-2- プロパノール、N,N-ジメチルホルムアミド等の溶媒の単独もしくは混合溶媒に溶解して乳剤に添加してもよい。
【0068】
また、米国特許第3,469,987 号明細書等に開示されているように、色素を揮発性の有機溶剤に溶解し、該溶液を水または親水性コロイド中に分散し、この分散物を乳剤中へ添加する方法、特公昭44-23389号、同44-27555号、同57-22091号等に開示されているように、色素を酸に溶解し、該溶液を乳剤中に添加したり、酸または塩基を共存させて水溶液として乳剤中へ添加する方法、米国特許第3,822,135 号、同第4,006,025 号明細書等に開示されているように界面活性剤を共存させて水溶液あるいはコロイド分散物としたものを乳剤中に添加する方法、特開昭53-102733 号、同58-105141 号に開示されているように親水性コロイド中に色素を直接分散させ、その分散物を乳剤中に添加する方法、特開昭51-74624号に開示されているように、レッドシフトさせる化合物を用いて色素を溶解し、該溶液を乳剤中へ添加する方法を用いることもできる。また、溶液に超音波を用いることもできる。
【0069】
本発明に用いる増感色素を本発明のハロゲン化銀乳剤中に添加する時期は、これまで有用であることが認められている乳剤調製のいかなる工程中であってもよい。例えば米国特許第2,735,766 号、同第3,628,960 号、同第4,183,756 号、同第4,225,666 号、特開昭58-184142 号、同60-196749 号等の明細書に開示されているように、ハロゲン化銀の粒子形成工程または/および脱塩前の時期、脱銀工程中および/または脱塩後から化学熟成の開始前までの時期、特開昭58-113920 号等の明細書に開示されているように、化学熟成の直前または工程中の時期、化学熟成後、塗布までの時期の乳剤が塗布される前ならばいかなる時期、工程において添加されてもよい。また、米国特許第4,225,666号、特開昭58-7629 号等の明細書に開示されているように、同一化合物を単独で、または異種構造の化合物と組み合わせて、例えば粒子形成工程中と化学熟成工程中または化学熟成完了後とに分けたり、化学熟成の前または工程中と完了後とに分けるなどして分割して添加してもよく、分割して添加する化合物および化合物の組み合わせの種類を変えて添加してもよい。
【0070】
本発明には現像を抑制あるいは促進させ現像を制御するため、分光増感効率を向上させるため、現像前後の保存性を向上させるためなどにジスルフィド化合物、チオン化合物を含有させることができる。
【0071】
これらの化合物の添加量としては乳剤層中に銀1 モル当たり0.001 〜1.0 モルの範囲が好ましく、さらに好ましくは、銀の1 モル当たり0.01〜0.3 モルの量である。
【0072】
本発明におけるハロゲン化銀乳剤または/および有機酸銀は、カブリ防止剤、安定剤および安定剤前駆体によって、付加的なかぶりの生成に対して更に保護され、在庫貯蔵中における感度の低下に対して安定化することができる。単独または組合せて使用することができる適当なカブリ防止剤、安定剤および安定剤前駆体は、米国特許第2,131,038 号および同第2,694,716 号に記載のチアゾニウム塩、米国特許第2,886,437 号および同第2,444,605 号に記載のアザインデン、米国特許第2,728,663 号に記載の水銀塩、米国特許第3,287,135 号に記載のウラゾール、米国特許第3,235,652 号に記載のスルホカテコール、英国特許第623,448 号に記載のオキシム、ニトロン、ニトロインダゾール、米国特許第2,839,405 号に記載の多価金属塩、米国特許第3,220,839 号に記載のチウロニウム塩、ならびに米国特許第2,566,263 号および同第2,597,915 号に記載のパラジウム、白金および金塩、米国特許第4,108,665 号および同第4,442,202 号に記載のハロゲン置換有機化合物、米国特許第4,128,557 号および同第4,137,079 号、第4,138,365 号および同第4,459,350 号に記載のトリアジンならびに米国特許第4,411,985 号に記載のリン化合物などがある。
【0073】
本発明における感光性層には、可塑剤および潤滑剤として多価アルコール(例えば、米国特許第2,960,404 号に記載された種類のグリセリンおよびジオール)、米国特許第2,588,765 号および同第3,121,060 号に記載の脂肪酸またはエステル、英国特許第955,061 号に記載のシリコーン樹脂などを用いることができる。
【0074】
本発明の感光性層、保護層、バック層など各層には硬膜剤を用いても良い。硬膜剤の例としては、米国特許4,281,060 号、特開平6-208193号などに記載されているポリイソシアネート類、米国特許4,791,042 号などに記載されているエポキシ化合物類、特開昭62-89048号などに記載されているビニルスルホン系化合物類などが用いられる。
【0075】
本発明には塗布性、帯電改良などを目的として界面活性剤を用いても良い。界面活性剤の例としては、ノニオン系、アニオン系、カチオン系、フッ素系などいかなるものも適宜用いられる。具体的には、特開昭62-170950 号、米国特許5,382,504 号などに記載のフッ素系高分子界面活性剤、特開昭60-244945 号、特開昭63-188135 号などに記載のフッ素系界面活性剤、米国特許3,885,965 号などに記載のポリシロキ酸系界面活性剤、特開平6-301140号などに記載のポリアルキレンオキサイドやアニオン系界面活性剤などが挙げられる。
【0076】
本発明を実施するために必要ではないが、乳剤層にカブリ防止剤として水銀(II)塩を加えることが有利なことがある。この目的に好ましい水銀(II)塩は、酢酸水銀および臭化水銀である。本発明に使用する水銀(II)塩化合物は、一般に、有機酸銀の0.75〜25モル% 、好ましくは2 〜20モル% の範囲で使用できる。
【0077】
前述の成分に加えて、画像を向上させる「色調剤」として知られる添加剤を含むと有利になることがある。例えば、色調剤材料は全銀保持成分の0.1 〜10重量%の量で存在してよい。色調剤は、米国特許第3,080,254 号、同第3,847,612 号および同第4,123,282 号に示されるように、写真技術において周知の材料である。
【0078】
色調剤の例は、フタルイミドおよびN-ヒドロキシフタルイミド;スクシンイミド、ピラゾリン-5- オン、ならびにキナゾリノン、3-フェニル-2- ピラゾリン-5- オン、1-フェニルウラゾール、キナゾリンおよび2,4-チアゾリジンジオンのような環状イミド;ナフタルイミド(例えば、N-ヒドロキシ-1,8- ナフタルイミド);コバルト錯体(例えば、コバルトヘキサミントリフルオロアセテート);3-メルカプト-1,2,4- トリアゾール、2,4-ジメルカプトピリミジン、3-メルカプト-4,5--ジフェニル-1,2,4- トリアゾールおよび2,5-ジメルカプト-1,3,4- チアジアゾールに例示されるメルカプタン;N-(アミノメチル)アリールジカルボキシイミド、(例えば、(N,N- ジメチルアミノメチル)フタルイミドおよびN,N-(ジメチルアミノメチル)-ナフタレン-2,3- ジカルボキシイミド);ならびにブロック化ピラゾール、イソチウロニウム誘導体およびある種の光退色剤(例えば、N,N-ヘキサメチレンビス(1- カルバモイル-3,5- ジメチルピラゾール)、1,8-(3,6- ジアザオクタン)ビス(イソチウロニウムトリフルオロアセテート)および2-トリブロモメチルスルホニル)-(ベンゾチアゾール));ならびに3-エチル-5〔(3- エチル-2- ベンゾチアゾリニリデン)-1-メチルエチリデン〕-2- チオ-2,4- オキサゾリジンジオン;フタラジノン、フタラジノン誘導体もしくは金属塩、または4-(1- ナフチル)フタラジノン、6-クロロフタラジノン、5,7-ジメトキシフタラジノンおよび2,3-ジヒドロ-1,4- フタラジンジオンなどの誘導体;フタラジノンとフタル酸誘導体(例えば、フタル酸、4-メチルフタル酸、4-ニトロフタル酸およびテトラクロロ無水フタル酸など)との組合せ;フタラジン、フタラジン誘導体もしくは金属塩、または4-(1- ナフチル)フタラジン、6-クロロフタラジン、5,7-ジメトキシフタラジンおよび2,3-ジヒドロフタラジンなどの誘導体;フタラジンとフタル酸誘導体(例えば、フタル酸、4-メチルフタル酸、4-ニトロフタル酸およびテトラクロロ無水フタル酸など)との組合せ;キナゾリンジオン、ベンズオキサジンまたはナフトオキサジン誘導体;色調調節剤としてだけでなくその場でハロゲン化銀生成のためのハライドイオンの源としても機能するロジウム錯体、例えばヘキサクロロロジウム(III)酸アンモニウム、臭化ロジウム、硝酸ロジウムおよびヘキサクロロロジウム(III)酸カリウムなど;無機過酸化物および過硫酸塩、例えば、過酸化二硫化アンモニウムおよび過酸化水素;1,3-ベンズオキサジン-2,4- ジオン、8- メチル-1,3- ベンズオキサジン-2,4- ジオンおよび6-ニトロ-1,3- ベンズオキサジン-2,4- ジオンなどのベンズオキサジン-2,4- ジオン;ピリミジンおよび不斉- トリアジン(例えば、2,4-ジヒドロキシピリミジン、2-ヒドロキシ-4- アミノピリミジンなど)、アザウラシル、およびテトラアザペンタレン誘導体(例えば、3,6-ジメルカプト-1,4- ジフェニル-1H,4H-2,3a,5,6a- テトラアザペンタレン、および1,4-ジ(o- クロロフェニル)-3,6-ジメルカプト-1H,4H-2,3a,5,6a- テトラアザペンタレン)などがある。
【0079】
本発明には、硬調化や現像促進の目的でヒドラジン化合物を用いても良い。ヒドラジン化合物としては例えば特願平6-47961 号に記載の一般式(I)の化合物が用いられ、具体的には同明細書に記載のI-1 〜I-53で表される化合物が用いられる。
【0080】
また下記のヒドラジン誘導体も好ましく用いられる。例えば、特公平6-77138 号に記載の(化1)で表される化合物で、具体的には同公報3頁、4頁に記載の化合物。特公平6-93082 号に記載の一般式(I)で表される化合物で、具体的には同公報8頁〜18頁に記載の1 〜38の化合物。特開平6-230497号に記載の一般式(4)、一般式(5)および一般式(6)で表される化合物で、 具体的には同公報25頁、 26頁に記載の化合物4-1 〜化合物4-10、 28頁〜36頁に記載の化合物5-1 〜5-42、 および39頁、 40頁に記載の化合物6-1 〜化合物6-7 。特開平6-289520号に記載の一般式(1)および一般式(2)で表される化合物で、 具体的には同公報5 頁〜7 頁に記載の化合物1-1)〜1-17)および2-1)。特開平6-313936号に記載の(化2)および(化3)で表される化合物で、具体的には同公報6 頁〜19頁に記載の化合物。特開平6-313951号に記載の(化1)で表される化合物で、具体的には同公報3 頁〜5 頁に記載の化合物。特開平7-5610号に記載の一般式(I)で表される化合物で、具体的には同公報5 頁〜10頁に記載の化合物I-1 〜I-38。特開平7-77783 号に記載の一般式(II)で表される化合物で、具体的には同公報10頁〜27頁に記載の化合物II-1〜II-102。特開平7-104426号に記載の一般式(H)および一般式(Ha)で表される化合物で、具体的には同公報8 頁〜15頁に記載の化合物H-1 〜H-44。 特願平7 ー 191007に記載のヒドラジン基の近傍にアニオン性基またはヒドラジンの水素原子と分子内水素結合を形成するノニオン性基を有することを特徴とする化合物で、特に一般式(A)、一般式(B)、一般式(C)、一般式(D)、一般式(E)、一般式(F)で表される化合物で、具体的には同公報に記載の化合物N-1 〜N-30。特願平7ー191007に記載の一般式(1)で表される化合物で、具体的には同公報に記載の化合物D-1 〜D-55である。
【0081】
本発明に用いることのできるヒドラジン化合物は、適当な水混和性有機溶媒、例えばアルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、フッ素化アルコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブなどに溶解して用いることができる。また、既によく知られている乳化分散法によって、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製して用いることができる。あるいは固体分散法として知られている方法によって、ヒドラジン誘導体の粉末を水の中にボールミル、コロイドミル、あるいは超音波によって分散し用いることができる。
【0082】
本発明で用いることのできるヒドラジン化合物は、支持体に対してハロゲン化銀乳剤層側の該ハロゲン化銀乳剤層あるいは他の親水性コロイド層のどの層に添加してもよいが、該ハロゲン化銀乳剤層あるいはそれに隣接する親水性コロイド層に添加することが好ましい。
本発明で造核剤添加量は有機酸銀1 モルに対し1 μ〜10m モルが好ましく、10μ〜5mモルがより好ましく、20μ〜5mモルが最も好ましい。
【0083】
本発明における熱現像感光材料は画像形成層の付着防止などの目的で表面保護層を設けることができる。表面保護層としては、いかなる付着防止材料を使用してもよい。付着防止材料の例としては、ワックス、シリカ粒子、スチレン含有エラストマー性ブロックコポリマー(例えば、スチレン- ブタジエン- スチレン、スチレン- イソプレン- スチレン)、酢酸セルロース、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネートやこれらの混合物などがある。
【0084】
本発明における乳剤層もしくは乳剤層の保護層には、米国特許第3,253,921 号、同第2,274,782 号、同第2,527,583 号および同第2,956,879 号に記載されているような光吸収物質およびフィルター染料を含む写真要素において使用することができる。また、例えば米国特許第3,282,699 号に記載のように染料を媒染することができる。フィルター染料の使用量としては露光波長での吸光度が0.1 〜3 が好ましく、0.2 〜1.5 が特に好ましい。
本発明における乳剤層もしくは乳剤層の保護層には、艶消剤、例えばデンプン、二酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、米国特許第2,992,101 号および同第2,701,245 号に記載された種類のビーズを含むポリマービーズなどを含有することができる。また、乳剤面のマット度は星屑故障が生じなければいかようでも良いが、ベック平滑度が1000秒以上10000 秒以下がが好ましく、特に2000秒以上10000 秒以下が好ましい。
【0085】
本発明における熱現像写真感光性材料は、支持体の一方の側に少なくとも1 層のハロゲン化銀乳剤を含む感光性層を有し、他方の側にバッキング層を有する、いわゆる片面感光材料であることが好ましい。
【0086】
本発明において片面感光材料は、搬送性改良のためにマット剤を添加しても良い。マット剤は、一般に水に不溶性の有機または無機化合物の微粒子である。マット剤としては任意のものを使用でき、例えば米国特許第1,939,213 号、同2,701,245 号、同2,322,037 号、同3,262,782 号、同3,539,344 号、同3,767,448 号等の各明細書に記載の有機マット剤、同1,260,772 号、同2,192,241 号、同3,257,206 号、同3,370,951 号、同3,523,022 号、同3,769,020 号等の各明細書に記載の無機マット剤など当業界で良く知られたものを用いることができる。例えば具体的にはマット剤として用いることのできる有機化合物の例としては、水分散性ビニル重合体の例としてポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル- α- メチルスチレン共重合体、ポリスチレン、スチレン- ジビニルベンゼン共重合体、ポリビニルアセテート、ポリエチレンカーボネート、ポリテトラフルオロエチレンなど、セルロース誘導体の例としてはメチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネートなど、澱粉誘導体の例としてカルボキシ澱粉、カルボキシニトロフェニル澱粉、尿素- ホルムアルデヒド- 澱粉反応物など、公知の硬化剤で硬化したゼラチンおよびコアセルベート硬化して微少カプセル中空粒体とした硬化ゼラチンなど好ましく用いることができる。無機化合物の例としては二酸化珪素、二酸化チタン、二酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、公知の方法で減感した塩化銀、同じく臭化銀、ガラス、珪藻土などを好ましく用いることができる。上記のマット剤は必要に応じて異なる種類の物質を混合して用いることができる。マット剤の大きさ、形状に特に限定はなく、任意の粒径のものを用いることができる。本発明の実施に際しては0.1 μm 〜30μm の粒径のものを用いるのが好ましい。また、マット剤の粒径分布は狭くても広くても良い。一方、マット剤は感材のヘイズ、表面光沢に大きく影響することから、マット剤作製時あるいは複数のマット剤の混合により、粒径、形状および粒径分布を必要に応じた状態にすることが好ましい。
【0087】
本発明においてバッキング層のマット度としてはベック平滑度が250 秒以下10秒以上が好ましく、さらに好ましくは180 秒以下50秒以上である。
本発明において、マット剤は感光材料の最外表面層もしくは最外表面層として機能する層、あるいは外表面に近い層に含有されるのが好ましく、またいわゆる保護層として作用する層に含有されることが好ましい。
【0088】
本発明においてバッキング層の好適なバインダーは透明又は半透明で、一般に無色であり、天然ポリマー合成樹脂やポリマー及びコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば:ゼラチン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルピロリドン)、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コポリ(スチレン- 無水マレイン酸)、コポリ(スチレン- アクリロニトリル)、コポリ(スチレン- ブタジエン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテート)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類がある。バインダーは水又は有機溶媒またはエマルションから被覆形成してもよい。
【0089】
本発明においてバッキング層は、所望の波長範囲での最大吸収が0.3 以上2 以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.5 以上2 以下のIR吸収であり、かつ可視領域においての吸収が0.001 以上0.5 未満であることが好ましく、さらに好ましくは0.001 以上0.3 未満の光学濃度を有するハレーション防止層であることが好ましい。
【0090】
本発明でハレーション防止染料を使用する場合、該染料は波長範囲で目的の吸収を有し、可視領域での吸収が充分少なく、上記バッキング層の好ましい吸光度スペクトルの形状が得られればいかなる化合物でも良い。例えば、特開平7-13295 号、米国特許5,380,635 号記載の化合物、特開平2-68539 号公報第13頁左下欄1 行目から同第14頁左下欄9 行目、同3-24539 号公報第14頁左下欄から同第16頁右下欄記載の化合物があげられるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0091】
米国特許第4,460,681 号および同第4,374,921 号に示されるような裏面抵抗性加熱層(backside resistive heating layer )を感光性熱現像写真画像系に使用することもできる。
【0092】
本発明における熱現像用写真乳剤は、種々の支持体上に被覆させることができる。典型的な支持体は、ポリエステルフィルム、下塗りポリエステルフィルム、ポリ(エチレンテレフタレート)フィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、硝酸セルロースフィルム、セルロースエステルフィルム、ポリ(ビニルアセタール)フィルム、ポリカーボネートフィルムおよび関連するまたは樹脂状の材料、ならびにガラス、紙、金属などを含む。可撓性基材、特に、部分的にアセチル化された、もしくはバライタおよび/またはα- オレフィンポリマー、特にポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−ブテンコポリマーなどの炭素数2 〜10のα- オレフィンのポリマーによりコートされた紙支持体が、典型的に用いられる。該支持体は透明であっても不透明であってもよいが、透明であることが好ましい。
【0093】
本発明における感光材料は、帯電防止または導電性層、例えば、可溶性塩(例えば塩化物、硝酸塩など)、蒸着金属層、米国特許第2,861,056 号および同第3,206,312 号に記載のようなイオン性ポリマーまたは米国特許第3,428,451 号に記載のような不溶性無機塩などを含む層などを有してもよい。
【0094】
本発明における熱現像感材を用いてカラー画像を得る方法としては特開平7-13295 号10頁左欄43行目から11左欄40行目に記載の方法がある。また、カラー染料画像の安定剤としては英国特許第1,326,889 号、米国特許第3,432,300 号、同第3,698,909 号、同第3,574,627 号、同第3,573,050 号、同第3,764,337 号および同第4,042,394 号に例示されている。
【0095】
本発明における熱現像写真乳剤は、浸漬コーティング、エアナイフコーティング、フローコーティングまたは、米国特許第2,681,294 号に記載の種類のホッパーを用いる押出コーティングを含む種々のコーティング操作により被覆することができる。所望により、米国特許第2,761,791 号および英国特許第837,095 号に記載の方法により2層またはそれ以上の層を同時に被覆することができる。
【0096】
本発明における熱現像写真材料の中に追加の層、例えば移動染料画像を受容するための染料受容層、反射印刷が望まれる場合の不透明化層、保護トップコート層および光熱写真技術において既知のプライマー層などを含むことができる。本発明の感材はその感材一枚のみで画像形成できることが好ましく、受像層等の画
像形成に必要な機能性層が別の感材とならないことが好ましい。
【0097】
本発明の感光材料はいかなる方法で現像されても良いが、通常イメージワイズに露光した感光材料を昇温して現像される。好ましい現像温度としては80〜250 ℃であり、さらに好ましくは100 〜140 ℃である。現像時間としては1 〜180 秒が好ましく、10〜90秒がさらに好ましい。
本発明の感光材料はいかなる方法で露光されても良いが、露光光源としてレーザー光が好ましい。本発明によるレーザー光としては、ガスレーザー、YAG レーザー、色素レーザー、半導体レーザーなどが好ましい。また、半導体レーザーと第2高調波発生素子などを用いることもできる。
【0098】
【実施例】
以下、実施例をもって本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
《ハロゲン化銀粒子の調製》
水700ml にフタル化ゼラチン22g および臭化カリウム30mgを溶解して温度35℃にてpHを5.0 に合わせた後、硝酸銀18.6g を含む水溶液159ml と臭化カリウムと沃化カリウムを92:8のモル比で含む水溶液をpAg7.7に保ちながらコントロールダブルジェット法で10分間かけて添加した。ついで、硝酸銀55.4g を含む水溶液476ml と六塩化イリジウム酸二カリウムを6 μモル/リットルと臭化カリウムを1 モル/リットルで含む水溶液pAg7.7に保ちながらコントロールダブルジェット法で30分間かけて添加した。その後、pHを下げて凝集沈降させ脱塩処理をし、フェノキシエタノール0.1gを加え、pH5.9 、pAg8.2に調製し沃臭化銀粒子(沃素含量コア8 モル% 、平均2 モル% 、平均サイズ0.05μm 、投影面積変動係数8%、(100)面比率92% の立方体粒子)の調製を終えた。
【0099】
こうして得たハロゲン化銀粒子を60℃に昇温して銀1 モル当たりチオ硫酸ナトリウム、2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニルジフェニルフォスフィンセレニド、テルル化合物1-a 、塩化金酸、およびチオシアン酸を第1表に示す量添加し、120 分間熟成した後30℃に急冷してハロゲン化銀乳剤A〜Cを得た。
【0100】
《有機酸銀乳剤の調製》
ステアリン酸1.3g、アラキジン酸0.5g、ベヘン酸8.5g、蒸留水300ml を90℃で15分間混合し、激しく攪拌しながら1N-NaOH 水溶液31.1mlを添加し15分後、30℃に降温した。次に、1N- 燐酸水溶液7ml を添加し、より激しく攪拌しながらN-ブロモスクシンイミド0.075gを添加した後、あらかじめ調製したハロゲン化銀粒子をハロゲン化銀量が2.5mモル相当添加した。さらに、1N- 硝酸銀水溶液25mlを2 分かけて添加し、そのまま90分間攪拌し続けた。その後、吸引濾過で固形分を濾別し、固形分を濾水の伝導度が30μS ・cmになるまで水洗した。こうして得た固形分にポリ酢酸ビニルの1.2 重量% の酢酸ブチル溶液37g を加え攪拌し、攪拌を止めて放置し油層と水層に分離させ、含まれる塩と共に水層を除去し、油層を得た。次ぎに、この油層にポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製デンカブチラール#3000-K)の2.5wt%2-ブタノン溶液20g を添加し攪拌した。さらに、過臭化臭化ピリジニウム0.1mモルと臭化カルシウム二水和物0.13m モルを0.7gメタノールとともに添加した後、2-ブタノン40g とポリビニルブチラール(モンサント社製PVB B-76)の7.8gを添加しホモジナイザーで分散し、有機酸銀塩乳剤(平均短径0.04μm 、平均長径1 μm 、変動係数30% の針状粒子)を得た。
【0101】
《乳剤層塗布液の調製》上記で得た有機酸銀乳剤に銀1 モル当たり以下の量となるように各薬品を添加した。25℃でフェニルチオスルホン酸ナトリウム10mg、85mgの色素1-b 、30mgの色素1-c 、一般式(I−a)に相当する化合物として第1表に示す種類を2g添加し、さらに4-クロロベンゾフェノン-2- カルボン酸21.5g と2-ブタノン580g、ジメチルホルムアミド220gを攪拌しながら添加し3 時間放置した。ついで、5-トリブロモメチルスルフォニル-2- メチルチアジアゾール8g、2-トリブロモメチルスルフォニルベンゾチアゾール6g、4,6-ジトリクロロメチル-2- フェニルトリアジン3g、ジスルフィド化合物1-d を2g、1,1-ビス(2- ヒドロキシ-3,5- ジメチルフェニル)-3,5,5-トリメチルヘキサン170g、テトラクロロフタル酸5g、メガファックスF-176P(大日本インキ化学工業(株)製フッ素系界面活性剤)1.1g 、2-ブタノン590g、メチルイソブチルケトン10g を攪拌しながら添加した。
【0102】
《乳剤面保護層塗布液》
CAB171-15S(イーストマンケミカル(株)製酢酸酪酸セルロース)75g、4-メチルフタル酸5.7g、テトラクロロフタル酸無水物1.5g、フタラジン13.5g 、0.3gのメガファックスF-176P、シルデックスH31(洞海化学社製真球状シリカ平均サイズ3 μm)2g、sumidur N3500(住友バイエルウレタン社製ポリイソシアネート)5 gを2-ブタノン3070g と酢酸エチル30g に溶解したものを調製した。
【0103】
《バック面塗布液》
カルシウム化合物1-e を以下のように合成した。0.08モルの3,5-di-tert-butylcatechol を含有するエタノール溶液1 リットルに0.019 モルの塩化カルシウムを含有する水溶液167ml と25% のアンモニア水125ml を添加し室温で3 時間空気を吹き込んでbis 〔2-(3,5-di-tert-butyl-o-benzoquinone monoimine)-4,6-di-tert-butyl phenolato〕Calcium (II)の結晶を析出させた。
ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製デンカブチラール#4000-2)12g 、 CAB381-20(イーストマンケミカル(株)製酢酸酪酸セルロース)12g、120mg の染料1-f 、275mg のカルシウム化合物1-e 、320mg の染料1-g 、5mg の染料1-h 、シルデックスH121(洞海化学社製真球状シリカ平均サイズ12μm)0.4g、シルデックスH51(洞海化学社製真球状シリカ平均サイズ5 μm)0.4g、0.1gのメガファックスF-176P、2gのsumidur N3500 を2-ブタノン500g、2-プロパノール500gに攪拌しながら添加し、溶解および混合させた。
【0104】
上記のごとく調製した乳剤層塗布液を青色染料1-i で色味付けした175 μm ポリエチレンテレフタレート支持体上に銀が2.3g/m2となるように塗布した後、乳剤層と反対の面に上にバック面塗布液を810nm の光学濃度0.7 となるように塗布した。さらに、乳剤面上に乳剤面保護層塗布液を乾燥厚さ2 μm となるように塗布した。こうして得られた感光材料の平滑度(J.TAPPI紙パルプ試験法No.5記載の王研式平滑度測定を用いベック平滑度を調べた。)は乳剤面1000秒、バック面80秒であった。
【0105】
【化24】
Figure 0003691580
【0106】
(写真性能の評価)
820nm ダイオードを備えたレーザー感光計で写真材料を露光した後、写真材料を120 ℃で15秒間処理(現像)し、得られた画像の評価を濃度計により行った。測定の結果は、Dmin、感度(Dmin より1.0 高い濃度を与える露光量の比の逆数)で評価し、試料No.1の感度を100として相対感度で第1表に示した。
【0107】
(感光性層の塗布液安定性の評価)
上述のごとく乳剤層塗布液を調製後、25℃で10時間放置した後支持体上に塗布し、上記写真性能の評価を行い調液直後塗布サンプルと比較をおこなった。結果を第1表に示す。
【0108】
【表1】
Figure 0003691580
【0109】
第1表からも明らかなように、本発明の対応である試料No. 13〜18,21〜27は熱現像後の感度/Dmin 比が良好であり、かつ塗布液経時による感度、Dminの変化も少ないことが理解される。またハロゲン化銀の化学増感は、金化合物を含む化学増感を施した試料No. 23〜26の方が、試料No. 12〜18より良好な結果が得られる事が理解される。さらに一般式(I−a)に相当する化合物については、試料No. 12〜18,21〜27ついて、おのおの例示化合物112 ,113 が最も好ましく、例示化合物63と187、続いて12,38,199の順となっており、特に一般式(I−a)の構造を有する化合物の方が良好な結果を示すことが理解される。
【0110】
実施例2
《有機酸銀乳剤の調製》
実施例1と同様の方法により、ハロゲン化銀乳剤AとCの調製をおこない、得られたハロゲン化銀を用いて、実施例1と同じ方法により有機酸銀塩乳剤を調製した。
【0111】
《乳剤層塗布液の調製》上記で得た有機酸銀乳剤に銀1 モル当たり以下の量となるように各薬品を添加した。25℃でフェニルチオスルホン酸ナトリウム10mg、55mgの色素2-a 、一般式(I−a)に相当する化合物として第2表に示す種類を2g添加し、4-クロロベンゾフェノン-2- カルボン酸21.5g と2-ブタノン580g、ジメチルホルムアミド220gを攪拌しながら添加し、3 時間放置した。ついで、5-トリブロモメチルスルフォニル-2- メチルチアジアゾール8g、2-トリブロモメチルスルフォニルベンゾチアゾール6g、4,6-ジトリクロロメチル-2- フェニルトリアジン3.5g、ジスルフィド化合物2-b を2g、1,1-ビス(2- ヒドロキシ-3,5- ジメチルフェニル)-3,5,5-トリメチルヘキサン145g、テトラクロロフタル酸5g、3gのヒドラジン誘導体2-c 、メガファックスF-176P(大日本インキ化学工業(株)製フッ素系界面活性剤)1.1g 、2-ブタノン590g、メチルイソブチルケトン10g を攪拌しながら添加した。
【0112】
《乳剤面保護層塗布液》
CAB171-15S(イーストマンケミカル(株)製酢酸酪酸セルロース)75g、4-メチルフタル酸5.7g、テトラクロロフタル酸無水物1.5g、フタラジン11.5g 、0.3gのメガファックスF-176P、シルデックスH31(洞海化学社製真球状シリカ平均サイズ3 μm)2g、sumidur N3500(住友バイエルウレタン社製ポリイソシアネート)8.7g を2-ブタノン3070g と酢酸エチル30g に溶解したものを調製した。
【0113】
《バック面を有した支持体の作成》
ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製デンカブチラール#4000-2)6g、シルデックスH121(洞海化学社製真球状シリカ平均サイズ12μm)0.2g、シルデックスH51(洞海化学社製真球状シリカ平均サイズ5 μm)0.2g、0.1gのメガファックスF-176P2-プロパノール64g に攪拌しながら添加し溶解および混合させた。さらに、360mg の染料2-d のメタノール10g とアセトン20g の溶液および3-イソシアナトメチル-3,5,5- トリメチルヘキシルイソシアネート1.8gの酢酸エチル7gの溶液を添加し塗布液を調製した。
両面が塩化ビニリデンを含む防湿下塗りからなるポリエチレンテレフタレートフィルム上にバック面塗布液を633nm の光学濃度が0.7 となるように塗布した。
【0114】
上記のごとく調製した支持体上に乳剤層塗布液を銀が2g/m2となるように塗布した後、乳剤面上に乳剤面保護層塗布液を乾燥厚さ2 μm となるように塗布した。
【0115】
【化25】
Figure 0003691580
【0116】
(写真性能の評価)
He-Ne レーザーを備えたレーザー感光計で写真材料を露光し、熱現像条件を110℃で20秒とした以外は、実施例1と同様の方法で写真性の評価及び感光性層の塗布液安定性の評価をおこなった。結果を第2表に示す。
【0117】
【表2】
Figure 0003691580
【0118】
第2表より明らかなように、本発明の対応である試料No. 39〜45はヒドラジン化合物を含有した系においても感度/Dmin 比が良好であり、かつ塗布液経時による感度、Dminの変化も少ないことが理解される。また、一般式(I−a)の構造を有する化合物を添加した試料No. 42,43は、より良好な結果を示すことが理解される。

Claims (2)

  1. 支持体上に少なくとも感光性銀塩、有機酸銀、還元剤及びバインダーを含有する熱現像感光材料において、該感光性銀塩が化学増感されたハロゲン化銀の立方体状粒子又は平板状粒子であり、該有機酸銀が長鎖脂肪族カルボン酸の銀塩であり、かつ下記一般式(I−a)で表される化合物の少なくとも一種を含有することを特徴とする熱現像感光材料。
    一般式(I−a)
    Figure 0003691580
    (式中、Mは水素原子又はカチオンを表す。Qは含窒素芳香族ヘテロ環を形成するに必要な原子群を表す。)
  2. 感光性銀塩が少なくとも一種の金化合物を含有する化学増感されたハロゲン化銀の立方体状粒子又は平板状粒子からなることを特徴とする請求項1記載の熱現像感光材料。
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