JP3722910B2 - 熱現像感光材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は熱現像感光材料に関するものであり、特に、超硬調で、かつ、画像が拡大が小さく、現像条件安定性に優れた画像を提供できる印刷製版用に適した熱現像超硬調感光材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
印刷分野においては、網点画像による連続階調の画像の再生あるいは線画像の再生を良好にするために、超硬調(特にガンマ10以上)の写真特性を示す画像形成システムが提供されているが、環境保全、省スペースの観点から処理廃液の減少が強く望まれており、検討がなされ近年かなりの廃液減少がされてきているが溶液系処理化学薬品使用においては、廃液を全く出さないことは不可能である。そこで、本分野においても溶液系処理化学薬品の使用をなくし、より簡単で環境を損なわない熱現像処理システムが望まれる。
【0003】
現像工程を熱処理で行う熱現像性感光材料を用いた画像形成方法が提案されている。例えば、特公昭43−4924号、特公昭44−6582号、特開昭46−6074号、特開昭48−97523号、特開平7−2781号、USP5468603号などに開示されているが、ガンマ(階調)が軟調で印刷製版用に供しうるものではない。
【0004】
印刷分野においては、前述の様に超硬調な写真特性が望まれ、ヒドラジン誘導体の使用により超硬調な性能を得ることが例えば、USP5496695号で提案されている。しかし、ヒドラジン誘導体を用いた場合に伝染現像により画像が太ってしまう、いわゆる画像拡大が大きくなり画像再現性が悪くなってしまうことがあり改良が望まれる。
【0005】
熱現像性感光材料において複素環メルカプト化合物を超増感剤として用いることは、例えば、特公昭63−35008号の一般式(I)および一般式(II)、特開平5−341432号の(I)および(II)などに開示されている。
【0006】
また、ヒドラジン誘導体を用いた超硬調性能を有する熱現像性感光材料に関しては、例えば、USP5496695号に開示されているヒドラジン誘導体を用いて超硬調性能が得られるが感度や網点画像の現像時間や現像温度の変動による変化がヒドラジン誘導体を用いない場合に較べ大きくなり現像条件の変動に伴う性能変動が大きくなってしまう。本号において超増感剤としてAr−S−M、Ar−S−S−Arで表わされる複素環メルカプト化合物を用いることが示されているが、これらのものでは、性能変動が大きく改良が望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、超硬調でかつ画像が拡大が小さいなど安定した画像が得られる印刷製版用に適した熱現像感光材料を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、下記の本発明によって達成された。
(1)支持体上に少なくとも1層のハロゲン化銀感光層を有し、該層および/または隣接する層に有機銀塩を含有する熱現像感光材料において、該熱現像感光材料が、該有機銀塩の酸化還元反応で生じる銀により画像を形成する熱現像感光材料であって、かつ、該ハロゲン化銀感光層および/または隣接する層に、還元剤と、下記一般式(H1)〜(H4)で表されるヒドラジン誘導体の少なくとも一種と、下記一般式(1)または(2)で表わされる化合物の少なくとも1種とを含有することを特徴とする熱現像感光材料。
【化8】
(一般式(H1)、一般式(H2)、一般式(H3)および一般式(H4)において、R 10 は不飽和ヘテロ環基を表し、R 11 、R 12 、R 13 はアリール基または不飽和ヘテロ環基を表し、A 10 、A 20 、A 11 、A 21 、A 12 、A 22 、A 13 、A 23 はA 10 、A 11 、A 12 およびA 13 の群とA 20 、A 21 、A 22 およびA 23 の群のいずれの群も水素原子を表すか、あるいは一方の群が水素原子で他方の群が置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、または置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、または置換もしくは無置換のアシル基を表わす。R 21 は少なくとも1つの電子吸引性基で置換されたアルキル基、少なくとも1つの電子吸引性基で置換されたアリール基、ヘテロ環基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、ヒドラジノ基、アルキコシ基、またはアリールオキシ基を表す。R 22 はアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、ヒドラジノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキル基、アリール基を表す。G 13 は、−SO 2 −基、−SO−基、−P(=O)(−R 30 )−基、チオカルボニル基、またはイミノメチレン基を表わす。ここでR 30 は水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基またはヒドラジノ基を表わす。R 23 はアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、またはヒドラジノ基を表す。)
【0009】
【化3】
【0010】
一般式(1)および一般式(2)において、Zは、窒素原子を少なくとも2つ以上含む5員または6員の複素芳香族環を完成させるための原子群を表す。Rは、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルもしくはアリール置換アミノ基、アミド基、スルホンアミド基、ウレイド基、ウレタン基、アリールオキシ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アリール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシ基もしくはその塩、スルホ基もしくはその塩またはリン酸アミド基を表わす。
(2)支持体上に少なくとも1層のハロゲン化銀感光層を有し、該層および/または隣接する層に有機銀塩を含有する熱現像感光材料において、該熱現像感光材料が、該有機銀塩の酸化還元反応で生じる銀により画像を形成する熱現像感光材料であって、かつ、該ハロゲン化銀感光層および/または隣接する層に、還元剤と、上記一般式(H1)〜(H4)で表されるヒドラジン誘導体の少なくとも一種と、下記一般式(3)で表わされる化合物とを含有することを特徴とする熱現像感光材料。
【0011】
【化4】
【0012】
一般式(3)において、R1 、R2 、R3 およびR4 は、それぞれ水素原子、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、ヒドロキシカルボニル基、ヒドロキシアミノ基、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルもしくはアリール置換アミノ基、アミド基、スルホンアミド基、ウレイド基、ウレタン基、アリールオキシ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アリール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、リン酸アミド基を表わす。R3 とR4 を互いに結合して環を形成してもよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0014】
まず、本発明に用いられる一般式(1)および一般式(2)で表わされる化合物について以下詳細に説明する。
【0015】
【化5】
【0016】
一般式(1)および一般式(2)において、Zは、窒素原子を少なくとも2つ以上含み、炭素、酸素、硫黄、セレンニウム、テルリウムから選ばれる原子からなる5員および6員の複素芳香族環を完成させるための原子群を表わす。Zは、さらに置換基を有していてもよい。Rは、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルもしくはアリール置換アミノ基、アミド基、スルホンアミド基、ウレイド基、ウレタン基、アリールオキシ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アリール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシ基もしくはその塩、スルホ基もしくはその塩、リン酸アミド基などである。これらの基はさらに置換基を有していてもよい。
【0017】
一般式(1)および一般式(2)で表わされる化合物について、さらに詳細に説明する。
【0018】
一般式(1)および一般式(2)中、Zが炭素原子とともに完成させる環は、窒素原子を少なくとも2つ以上含み、炭素、酸素、硫黄、セレニウム、テルリウムから選ばれる原子からなる5員および6員の複素芳香族環である。複素芳香族環の具体例としては、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアジアゾール、チアジアジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジンなどが挙げられる。その他の複素環としては、オキサジアゾリン、チアジアゾリンなどが挙げられる。
【0019】
一般式(1)および一般式(2)中、Rは、水素原子、アルキル基(メチル、エチル、プロピル、シクロヘキシル基など)、アラルキル基(ベンジル基など)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ基など)、アルキルまたはアリール置換アミノ基(ジメチルアミノ基など)、アミド基(ペンチルアミド基など)、スルホンアミド基(メチルスルホンアミド基など)、ウレイド基、ウレタン基(メチルウレタン基、エチルウレタン基など)、アリールオキシ基(フェノキシ、ナフトキシ基など)、スルファモイル基(スルファモイル基など)、カルバモイル基(エチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基など)、アリール基(フェニル、ナフチル基など)、アルキルチオ基(メチルチオ、ヘキシルチオ基など)、アリールチオ基(フェニルチオ基など)、ヒドロキシ基、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、沃素など)、シアノ基、カルボキシ基(その塩であってもよい)、スルホ基(その塩であってもよい)、リン酸アミド基などである。これらの基はさらに置換基を有していてもよく、上記のRとして挙げた基などが挙げられる。Rの総炭素数は0〜20が好ましい。
【0020】
以下に一般式(1)および一般式(2)で表わされる化合物の具体例を示すが本発明はこれに限定されるものではない。
【0021】
【表1】
【0022】
本発明の一般式(1)および一般式(2)の化合物は、水あるいは適当な有機溶媒、例えばアルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、フッ素化アルコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブなどに溶解して用いることができる。
【0023】
また、既によく知られている乳化分散法によって、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製して用いることができる。あるいは固体分散法として知られている方法によって、ヒドラジン誘導体の粉末を水の中にボールミル、コロイドミル、あるいは超音波によって分散し用いることができる。
【0024】
本発明の一般式(1)および一般式(2)の化合物は、支持体に対してハロゲン化銀乳剤層側の該ハロゲン化銀乳剤層あるいは他層のどの層に添加してもよいが、該ハロゲン化銀乳剤層あるいはそれに隣接する層に添加することが好ましい。
【0025】
本発明の一般式(1)および一般式(2)の添加量はハロゲン化銀1モル当たり好ましくは、1×10-4〜5×10-2モル、より好ましくは5×10-4〜1×10-2モルである。
【0026】
次に一般式(3)のテトラザインデン化合物について説明する。
【0027】
【化6】
【0028】
一般式(3)において、R1 〜R4 は、それぞれ水素原子、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、沃素など)、シアノ基、スルホ基、ヒドロキシカルボニル基、ヒドロキシアミノ基、アルキル基(メチル、エチル、プロピル、シクロヘキシル基など)、アラルキル基(ベンジル基など)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ基など)、アリールオキシ基(フェノキシ、ナフトキシ基など)、アルキルまたはアリール置換アミノ基(ジメチルアミノ基など)、アミド基、スルホンアミド基、ウレイド基、ウレタン基、スルファモイル基、カルバモイル基、アリール基(フェニル、ナフチル基など)、アルキルチオ基(メチルチオ、ヘキシルチオ基など)、アリールチオ基(フェニルチオ基など)、リン酸アミド基を表わす。これらの基は、さらに置換基を有していてもよく、上記R1 〜R4 として挙げた基やアルキルオキシカルボニル基などが挙げられる。R3 とR4 が特にアルキル基である場合、これらは互いに結合して環を形成することもできる。
【0029】
これらのうち、分子中には、R1 〜R4 としてメルカプト基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアミノ基、アルコキシ基、アルキルチオ基が1〜3個、特に1または2個含まれることが好ましい。R1 、R2 あるいはR3 中には、OH、SH等が含まれることが好ましく、特にRがOH、SH、NHOHであることが好ましい。
【0030】
一般式(3)で表わされる化合物の具体例を示すが本発明は、これに限定されるものではない。
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】
本発明の一般式(3)の化合物は、水あるいは適当な有機溶媒、例えばアルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、フッ素化アルコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブなどに溶解して用いることができる。
【0034】
また、既によく知られている乳化分散法によって、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製して用いることができる。あるいは固体分散法として知られている方法によって、ヒドラジン誘導体の粉末を水の中にボールミル、コロイドミル、あるいは超音波によって分散し用いることができる。
【0035】
本発明の一般式(3)の化合物は、支持体に対してハロゲン化銀乳剤層側の該ハロゲン化銀乳剤層あるいは他層のどの層に添加してもよいが、該ハロゲン化銀乳剤層あるいはそれに隣接する層に添加することが好ましい。
【0036】
本発明の一般式(3)の添加量はハロゲン化銀1モル当たり好ましくは、1×10-4〜5×10-2モル、より好ましくは5×10-4〜1×10-2モルである。
【0037】
本発明に用いられるヒドラジン誘導体は、下記一般式(H1)〜(H4)によって表わされる化合物である。
【0060】
【化9】
【0061】
一般式(H1)、一般式(H2)、一般式(H3)および一般式(H4)において、R10 は不飽和ヘテロ環基を表し、R11 、R12 およびR13はアリール基もしくは不飽和ヘテロ環基を表し、A10、A20、A11、A21、A12、A22、A13、A23はA 10 、A 11 、A 12 およびA 13 の群とA 20 、A 21 、A 22 およびA 23 の群のいずれの群も水素原子を表すか、あるいは一方の群が水素原子で他方の群が置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、または置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、または置換もしくは無置換のアシル基を表わす。
【0062】
一般式(H2)においてR21は、少なくとも1つの電子吸引性基で置換されたアルキル基、少なくとも1つの電子吸引性基で置換されたアリール基、ヘテロ環基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、ヒドラジノ基、アルコキシ基、またはアリールオキシ基を表す。
【0063】
一般式(H3)においてR22はアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、ヒドラジノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキル基、アリール基を表す。
【0064】
一般式(H4)においてG13は、−SO2 −基、−SO−基、下記の基
【0065】
【化10】
【0066】
(R 30 は水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基またはヒドラジノ基)、チオカルボニル基、またはイミノメチレン基を表し、R23はアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、またはヒドラジノ基を表す。
【0076】
一般式(H1)〜一般式(H4)で表される化合物の具体例を以下に示す。但し本発明はこれらに限定されるものではない。
【0082】
【化10】
【0083】
【化11】
【0085】
【化21】
【0086】
【化22】
【0087】
【化23】
【0088】
【化24】
【0089】
【化25】
【0090】
【化26】
【0091】
【化27】
【0092】
【化28】
【0093】
【化29】
【0098】
本発明に用いられるヒドラジン誘導体としては、上記のものの他に、RESEARCHDISCLOSURE Item23516(1983年11月号、P.346)およびそこに引用された文献の他、米国特許第4080207号、同4269929号、同4276364号、同4278748号、同4385108号、同4459347号、同4478928号、同4560638号、同4686167号、同4912016号、同4988604号、同4994365号、同5041355号、同5104769号、英国特許第2011391B号、欧州特許第217310号、同301799号、同356898号、特開昭60−179734号、同61−170733号、同61−270744号、同62−178246号、同62−270948号、同63−29751号、同63−32538号、同63−104047号、同63−121838号、同63−129337号、同63−223744号、同63−234244号、同63−234245号、同63−234246号、同63−294552号、同63−306438号、同64−10233号、特開平1−90439号、同1−100530号、同1−105941号、同1−105943号、同1−276128号、同1−280747号、同1−283548号、同1−283549号、同1−285940号、同2−2541号、同2−77057号、同2−139538号、同2−196234号、同2−196235号、同2−198440号、同2−198441号、同2−198442号、同2−220042号、同2−221953号、同2−221954号、同2−285342号、同2−285343号、同2−289843号、同2−302750号、同2−304550号、同3−37642号、同3−54549号、同3−125134号、同3−184039号、同3−240036号、同3−240037号、同3−259240号、同3−280038号、同3−282536号、同4−51143号、同4−56842号、同4−84134号、同2−230233号、同4−96053号、同4−216544号、同5−45761号、同5−45762号、同5−45763号、同5−45764号、同5−45765号、特願平5−94925号に記載されたもののうち、前記一般式(H1)〜(H4)に含まれる化合物を用いることができる。
【0099】
またこの他にも特公平6−77138号に記載の(化1)で表される化合物で、具体的には同公報3頁、4頁に記載の化合物。特公平6−93082号に記載の一般式(I)で表される化合物で、具体的には同公報8頁〜18頁に記載の1〜38の化合物。特開平6−230497号に記載の一般式(4)、一般式(5)および一般式(6)で表される化合物で、具体的には同公報25頁、26頁に記載の化合物4−1〜化合物4−10、28頁〜36頁に記載の化合物5−1〜5−42、および39頁、40頁に記載の化合物6−1〜化合物6−7。特開平6−289520号に記載の一般式(I)および一般式(2)で表される化合物で、具体的には同公報5頁〜7頁に記載の化合物1−1)〜1−17)および2−1)。特開平6−313936号に記載の(化2)および(化3)で表される化合物で、具体的には同公報6頁〜19頁に記載の化合物。特開平6−313951号に記載の(化1)で表される化合物で、具体的には同公報3頁〜5頁に記載の化合物。特開平7−5610号に記載の一般式(I)で表される化合物で、具体的には同公報5頁〜10頁に記載の化合物I−1〜I−38。特開平7−77783号に記載の一般式(II)で表される化合物で、具体的には同公報10頁〜27頁に記載の化合物II−1〜II−102。特開平7−104426号に記載の一般式(H)および一般式(Ha)で表される化合物で、具体的には同公報8頁〜15頁に記載の化合物H−1〜H−44。以上に記載されたもののうち、前記一般式(H1)〜(H4)に含まれる化合物を用いることができる。
【0100】
本発明におけるヒドラジン誘導体の添加量としては銀1モルあたり1×10-6モルないし1×10-1モル含有されるのが好ましく、特に1×10-5モルないし5×10-2モルの範囲が好ましい添加量である。
【0101】
本発明のヒドラジン誘導体は、適当な有機溶媒、例えばアルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、フッ素化アルコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブなどに溶解して用いることができる。
【0102】
また、既に良く知られている乳化分散法によって、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製して用いることができる。あるいは固体分散法として知られている方法によって、ヒドラジン誘導体の粉末を水の中にボールミル、コロイドミル、あるいは超音波によって分散して用いることもできる。
【0103】
本発明ではヒドラジン誘導体と併用して、カブリ防止剤としてインダゾール類(例えばニトロインダゾール)を使用することが好ましい。
【0104】
有機銀塩のための還元剤は、銀イオンを金属銀に還元する任意の物質、好ましくは有機物質であってよい。フェニドン、ハイドロキノンおよびカテコールなどの従来の写真現像剤は有用であるが、ヒンダードフェノール還元剤が好ましい。還元剤は、画像形成層の1〜10重量%として存在すべきである。多層構成において、還元剤をエマルジョン層以外の層に加える場合は、わずかに高い割合である約2〜15重量%がより望ましい傾向がある。
【0105】
有機銀塩を利用した熱現像写真感光材料においては広範囲の還元剤が開示されている。例えば、フェニルアミドオキシム、2−チエニルアミドオキシムおよびp−フエノキシフェニルアミドオキシムなどのアミドオキシム;例えば4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンズアルデヒドアジンなどのアジン;2,2′−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオニル−β−フェニルヒドラジンとアスコルビン酸との組合せのような脂肪族カルボン酸アリールヒドラジドとアスコルビン酸との組合せ;ポリヒドロキシベンゼンと、ヒドロキシルアミン、レダクトンおよび/またはヒドラジンの組合せ(例えばハイドロキノンと、ビス(エトキシエチル)ヒドロキシルアミン、ピペリジノヘキソースレダクトンまたはホルミル−4−メチルフェニルヒドラジンの組合せなど);フェニルヒドロキサム酸、p−ヒドロキシフェニルヒドロキサム酸およびβ−アリニンヒドロキサム酸などのヒドロキサム酸;アジンとスルホンアミドフェノールとの組合せ(例えば、フェノチアジンと2,6−ジクロロ−4−ベンゼンスルホンアミドフェノールなど);エチル−α−シアノ−2−メチルフェニルアセテート、エチル−α−シアノフェニルアセテートなどのα−シアノフェニル酢酸誘導体;2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−ビナフチル、6,6′−ビブロモ−2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−ビナフチルおよびビス(2−ヒドロキシ−1−ナフチル)メタンに例示されるようなビス−β−ナフトール;ビス−β−ナフトールと1,3−ジヒドロキシベンゼン誘導体(例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンまたは2′,4′−ジヒドロキシアセトフェノンなど)の組合せ;3−メチル−1−フェニル−5−ピラゾロンなどの、5−ピラゾロン;ジメチルアミノヘキソースレダクトン、アンヒドロジヒドロアミノヘキソースレダクトンおよびアンヒドロジヒドロピペリドンヘキソースレダクトンに例示されるようなレダクトン;2,6−ジクロロ−4−ベンゼンスルホンアミドフェノールおよびp−ベンゼンスルホンアミドフェノールなどのスルホンアミドフェノール還元剤;2−フェニルインダン−1,3−ジオンなど;2,2−ジメチル−7−t−ブチル−6−ヒドロキシクロマンなどのクロマン;2,6−ジメトキシ−3,5−ジカルボエトキシ−1,4−ジヒドロピリジンなどの1,4−ジヒドロピリジン;ビスフェノール(例えば、ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、4,4−エチリデン−ビス(2−t−ブチル−6−メチルフェノール)、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5−トリメチルヘキサンおよび2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンなど);アスコルビン酸誘導体(例えば、パルミチン酸1−アスコルビル、ステアリン酸アスコルビルなど);ならびにベンジルおよびビアセチルなどのアルデヒドおよびケトン;3−ピラゾリドンおよびある種のインダン−1,3−ジオンなどがある。
【0106】
本発明で特に好ましい還元剤として下記一般式(R−I)、一般式(R−II)、一般式(R−III)、一般式(R−IV)で表される化合物が挙げられる。
【0107】
【化30】
【0108】
なお、一般式(R−III)においてZが形成する環構造は下記のものである。
【0109】
【化31】
【0110】
また、一般式(R−IV)においてZが形成する環構造は下記のものである。
【0111】
【化32】
【0112】
式中、L1 、L2 は、CH−R6 で表される基もしくは硫黄原子である。nは自然数を表す。
【0113】
R(R1 〜R10、R1 ′〜R5 ′、R11〜R13、R11′〜R13′、R21〜R26、R21′〜R24′を含む)は、水素原子、アルキル基(炭素数1〜30)、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子、アミノ基もしくは−O−Aで表される置換基である。ただし、R1 〜R5 の少なくとも一つおよびR1 ′〜R5 ′の少なくとも一つおよびR7 〜R10の少なくとも一つは−O−Aで表される基である。また、R同士で環を形成しても良い。A,A′は、水素原子、アルキル基(炭素数1〜30)、アシル基(炭素数1〜30)、アリール基、リン酸基、スルホニル基を表す。R,A,A′は置換されていてもよく、代表的な置換基としては例えばアルキル基(活性メチン基を含む)、ニトロ基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環を含む基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環(例えばピリジニオ基)を含む基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、ウレタン基、カルボキシル基、イミド基、アミノ基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基を含む基、4級のアンモニオ基を含む基、メルカプト基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)チオ基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル基、スルホ基、スルファモイル基、アシルスルファモイル基、(アルキルもしくはアリール)スルホニルウレイド基、(アルキルもしくはアリール)スルホニルカルバモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、リン酸アミド基、リン酸エステル構造を含む基、アシルウレア構造を持つ基、セレン原子またはテルル原子を含む基、3級スルホニウム構造または4級スルホニウム構造を持つ基などが挙げられる。R,A,A′の置換基はさらに置換されていても良く、好ましい例としてはRの置換基として例示したものが挙げられる。さらにその置換基、その置換基の置換基、置換基の置換基の置換基・・・、というように多重に置換されていても良く、好ましい例はやはりR,A,A′の置換基として例示したものがあてはまる。
【0114】
以下に、一般式(R−I)、一般式(R−II)、一般式(R−III )、一般式(R−IV)で表される化合物の具体例を示す。ただし、本発明は以下の化合物に限定されるものではない。
【0115】
【表4】
【0116】
【表5】
【0117】
【表6】
【0118】
【表7】
【0119】
【表8】
【0120】
【表9】
【0121】
【表10】
【0122】
【表11】
【0123】
本発明で使用される還元剤の使用量は、好ましくは銀1モル当たり1×10-3〜10モルであり、より好ましくは1×10-2〜1.5モルである。
【0124】
また本発明では、還元剤とヒドラジン誘導体のモル比を1:10-3〜1:10-1の範囲に設定することが好ましい。
【0125】
本発明における感光性ハロゲン化銀の形成方法は当業界ではよく知られており、例えば、リサーチディスクロージャー1978年6月の第17029号、および米国特許第3700458号に記載されている方法を用いることができる。本発明で用いることのできる具体的な方法としては、調製された有機銀塩中にハロゲン含有化合物を添加することにより有機銀塩の銀の一部を感光性ハロゲン化銀に変換する方法、ゼラチンあるいは他のポリマー溶液の中に銀供給化合物及びハロゲン供給化合物を添加することにより感光性ハロゲン化銀粒子を調製し有機銀塩と混合する方法を用いることができる。本発明において好ましくは後者の方法を用いることができる。感光性ハロゲン化銀の粒子サイズは、画像形成後の白濁を低く抑える目的のために小さいことが好ましく具体的には0.20μm以下、より好ましくは0.01μm以上0.15μm以下、更に好ましくは0.02μm以上0.12μm以下がよい。ここでいう粒子サイズとは、ハロゲン化銀粒子が立方体あるいは八面体のいわゆる正常晶である場合にはハロゲン化銀粒子の稜の長さをいう。また、ハロゲン化銀粒子が平板状粒子である場合には主表面の投影面積と同面積の円像に換算したときの直径をいう。その他正常晶でない場合、たとえば球状粒子、棒状粒子等の場合には、ハロゲン化銀粒子の体積と同等な球を考えたときの直径をいう。
【0126】
ハロゲン化銀粒子の形状としては立方体、八面体、平板状粒子、球状粒子、棒状粒子、ジャガイモ状粒子等を挙げることができるが、本発明においては特に立方体状粒子、平板状粒子が好ましい。平板状ハロゲン化銀粒子を用いる場合の平均アスペクト比は好ましくは100:1〜2:1、より好ましは50:1〜3:1がよい。更に、ハロゲン化銀粒子のコーナーが丸まった粒子も好ましく用いることができる。感光性ハロゲン化銀粒子の外表面の面指数(ミラー指数)については特に制限はないが、分光増感色素が吸着した場合の分光増感効率が高い{100}面の占める割合が高いことが好ましい。その割合としては50%以上が好ましく、65%以上がより好ましく、80%以上が更に好ましい。ミラー指数{100}面の比率は増感色素の吸着における{111}面と{100}面との吸着依存性を利用したT. Tani ; J. Imaging Sci.,29、165(1985年)に記載の方法により求めることができる。感光性ハロゲン化銀のハロゲン組成としては特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、臭化銀、ヨウ臭化銀、ヨウ塩臭化銀、ヨウ化銀のいずれであっても良いが、本発明においては臭化銀、あるいはヨウ臭化銀を好ましく用いることができる。特に好ましくはヨウ臭化銀であり、ヨウ化銀含有率は0.1モル%以上40モル%以下が好ましく、0.1モル%以上20モル%以下がより好ましい。粒子内におけるハロゲン組成の分布は均一であってもよく、ハロゲン組成がステップ状に変化したものでもよく、或いは連続的に変化したものでもよいが、好ましい例として粒子内部のヨウ化銀含有率の高いヨウ臭化銀粒子を使用することができる。また、好ましくはコア/シェル構造を有するハロゲン化銀粒子を用いることができる。構造としては好ましくは2〜5重構造、より好ましくは2〜4重構造のコア/シェル粒子を用いることができる。
【0127】
本発明の感光性ハロゲン化銀粒子は、ロジウム、レニウム、ルテニウム、オスミウム、イリジウム、コバルトまたは鉄から選ばれる金属の錯体を少なくとも一種含有することが好ましい。これら金属錯体は1種類でもよいし、同種金属及び異種金属の錯体を二種以上併用してもよい。好ましい含有率は銀1モルに対し1nモルから10mモルの範囲が好ましく、10nモルから100μモルの範囲がより好ましい。具体的な金属錯体の構造としては特願平7−225449号等に記載された構造の金属錯体を用いることができる。コバルト、鉄の化合物については六シアノ金属錯体を好ましく用いることができる。以下に具体例としては、フェリシアノ酸イオン、フェロシアン酸イオン、ヘキサシアノコバルト酸イオンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。ハロゲン化銀中の金属醋体の含有層は均一でも、コア部に高濃度に含有させてもよく、あるいはシェル部に高濃度に含有させてもよく特に制限はない。
【0128】
感光性ハロゲン化銀粒子はヌードル法、フロキュレーション法等、当業界で知られている方法の水洗により脱塩することができるが本発明においては脱塩してもしなくてもよい。
【0129】
本発明における感光性ハロゲン化銀粒子は化学増感されていることが好ましい。好ましい化学増感法としては当業界でよく知られているように硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法を用いることができる。また金化合物や白金、パラジウム、イリジウム化合物等の貴金属増感法や還元増感法を用いることができる。硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法に好ましく用いられる化合物としては公知の化合物を用いることができるが、特開平7−128768号等に記載の化合物を使用することができる。テルル増感剤としては例えばジアシルテルリド類、ビス( オキシカルボニル) テルリド類、ビス( カルバモイル) テルリド類、ジアシルテルリド類、ビス( オキシカルボニル) ジテルリド類、ビス( カルバモイル) ジテルリド類、P=Te結合を有する化合物、テルロカルボン酸塩類、Te−オルガニルテルロカルボン酸エステル類、ジ( ポリ) テルリド類、テルリド類、テルロール類、テルロアセタール類、テルロスルホナート類、P−Te結合を有する化合物、含Teヘテロ環類、テルロカルボニル化合物、無機テルル化合物、コロイド状テルルなどを用いることができる。貴金属増感法に好ましく用いられる化合物としては例えば塩化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムオーリチオシアネート、硫化金、金セレナイド、あるいは米国特許2448060号、英国特許618061号などに記載されている化合物を好ましく用いることができる。還元増感法の具体的な化合物としてはアスコルビン酸、二酸化チオ尿素の他に例えば、塩化第一スズ、アミノイミノメタンスルフィン酸、ヒドラジン誘導体、ボラン化合物、シラン化合物、ポリアミン化合物等を用いることができる。また、乳剤のpHを7以上またはpAg を8.3以下に保持して熟成することにより還元増感することができる。また、粒子形成中に銀イオンのシングルアディション部分を導入することにより還元増感することができる。
【0130】
本発明の感光性ハロゲン化銀の使用量としては有機銀塩1モルに対して感光性ハロゲン化銀0.01モル以上0.5モル以下が好ましく、0.02モル以上0.3モル以下がより好ましく、0.03モル以上0.25モル以下が特に好ましい。ハロゲン化銀乳剤層に有機銀塩を含有させる方が好ましい。ハロゲン化銀乳剤層に有機銀塩を含有させる場合において、別々に調製した感光性ハロゲン化銀と有機銀塩の混合方法および混合条件については、それぞれ調製終了したハロゲン化銀粒子と有機銀塩を高速攪拌機やボールミル、サンドミル、コロイドミル、振動ミル、ホモジナイザー等で混合する方法や、あるいは有機銀塩の調製中のいずれかのタイミングで調製終了した感光性ハロゲン化銀を混合して有機銀塩を調製する方法等があるが、本発明の効果が十分に現れる限りにおいては特に制限はない。
【0131】
本発明に用いることのできる有機銀塩は、光に対して比較的安定であるが、露光された光触媒(感光性ハロゲン化銀の潜像など)および還元剤の存在下で、80℃あるいはそれ以上に加熱された場合に銀画像を形成する銀塩である。有機銀塩は銀イオンを還元できる源を含む任意の有機物質であってよい。有機酸の銀塩、特に( 炭素数が10〜30、好ましくは15〜28の) 長鎖脂肪カルボン酸の銀塩が好ましい。配位子が4.0〜10.0の範囲の錯安定定数を有する有機または無機銀塩の錯体も好ましい。銀供給物質は、好ましくは画像形成層の約5〜30重量% を構成することができる。好ましい有機銀塩はカルボキシル基を有する有機化合物の銀塩を含む。これらの例は、脂肪族カルボン酸の銀塩および芳香族カルボン酸の銀塩を含むがこれらに限定されることはない。脂肪族カルボン酸の銀塩の好ましい例としては、ベヘン酸銀、ステアリン酸銀、オレイン酸銀、ラウリン酸銀、カプロン酸銀、ミリスチン酸銀、パルミチン酸銀、マレイン酸銀、フマル酸銀、酒石酸銀、リノール酸銀、酪酸銀および樟脳酸銀、これらの混合物などを含む。
【0132】
メルカプト基またはチオン基を含む化合物の銀塩およびこれらの誘導体を使用することもできる。これらの化合物の好ましい例としては、3−メルカプト−4−フェニル−1,2,4−トリアゾールの銀塩、2−メルカプトベンズイミダゾールの銀塩、2−メルカプト−5−アミノチアジアゾールの銀塩、2−(エチルグリコールアミド)ベンゾチアゾールの銀塩、S-アルキルチオグリコール酸( ここでアルキル基の炭素数は12〜22である) の銀塩などのチオグリコール酸の銀塩、ジチオ酢酸の銀塩などのジチオカルボン酸の銀塩、チオアミドの銀塩、5−カルボキシル−1−メチル−2−フェニル−4−チオピリジンの銀塩、メルカプトトリアジンの銀塩、2−メルカプトベンズオキサゾールの銀塩、米国特許第4123274号に記載の銀塩、例えば3−アミノ−5−ベンジルチオ−1,2,4−チアゾールの銀塩などの1,2,4−メルカプトチアゾール誘導体の銀塩、米国特許第3301678号に記載の3−(3−カルボキシエチル)−4−メチル−4−チアゾリン−2−チオンの銀塩などのチオン化合物の銀塩を含む。さらに、イミノ基を含む化合物を使用することができる。これらの化合物の好ましい例としては、ベンゾトリアゾールの銀塩およびそれらの誘導体、例えばメチルベンゾトリアゾール銀などのベンゾトリアゾールの銀塩、5−クロロベンゾトリアゾール銀などのハロゲン置換ベンゾトリアゾールの銀塩、米国特許第4220709号に記載のような1,2,4−トリアゾールまたは1−H−テトラゾールの銀塩、イミダゾールおよびイミダゾール誘導体の銀塩などを含む。例えば、米国特許第4761361号および同第4775613号に記載のような種々の銀アセチリド化合物を使用することもできる。
【0133】
本発明に用いることができる有機銀塩の形状としては特に制限はないが、短軸と長軸を有する針状結晶が好ましい。感光性ハロゲン化銀感光材料でよく知られているように銀塩結晶粒子のサイズとその被覆力の間の反比例の関係は本発明における熱現像感光材料においても成立し、すなわち熱現像感光材料の画像形成部である有機銀塩粒子が大きいと被覆力が小さく画像濃度が低くなることを意味することから有機銀塩のサイズを小さくすることが必要である。本発明においては短軸0.01μm 以上0.20μm 以下、長軸0.10μm 以上5.0μm 以下が好ましく、短軸0.01μm 以上0.15μm 以下、長軸0.10μm 以上4.0μm 以下がより好ましい。有機銀塩の粒子サイズ分布は単分散であることが好ましい。単分散とは短軸、長軸それぞれの長さの標準偏差を短軸、長軸それぞれで割った値の百分率が好ましくは100%以下、より好ましくは、80%以下、さらに好ましくは50%以下である。有機銀塩の形状の測定方法としては有機銀塩分散物の透過型電子顕微鏡像より求めることができる。単分散性を測定する別の方法として、有機銀塩の体積荷重平均直径の標準偏差を求める方法があり、体積荷重平均直径で割った値の百分率変動係数が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、さらに好ましくは50%以下である。測定方法としては例えば液中に分散した有機銀塩にレーザー光を照射し、その散乱光のゆらぎの時間変化に対する自己相関係数を求めることにより得られた粒子サイズ(体積荷重平均直径)から求めることができる。
【0134】
本発明における増感色素としてはハロゲン化銀粒子に吸着した際、所望の波長領域でハロゲン化銀粒子を分光増感できるものであればいかなるものでもよい。増感色素としては、シアニン色素、メロシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、ホロホーラーシアニン色素、スチリル色素、ヘミシアニン色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素等を用いることができる。本発明に使用される有用な増感色素は例えばRESEARCH DISCLOSURE Item 17643IV-A項 (1978年12月p.23) 、同Item 1831X項 (1979年 8月p.437)に記載もしくは引用された文献に記載されている。特に各種レーザーイメージャー、スキャナー、イメージセッターや製版カメラの光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択することができる。
【0135】
赤色光への分光増感の例としては、He−Neレーザー光源に対しては、特開昭54−18726号に記載のI−1からI−38の化合物、特開平6−75322号に記載のI−1からI−35の化合物および特開平7−287338号に記載のI−1からI−34の化合物、LED光源に対しては特公昭55−39818号に記載の色素1から20、特開昭62−284343号に記載のI−1からI−37号の化合物および特開平7−287338号に記載のI−1からI−34の化合物などが有利に選択される。
【0136】
750〜1400nmの範囲のいずれかの波長領域でハロゲン化銀粒子を分光増感する。具体的には、感光性ハロゲン化銀を、シアニン、メロシアニン、スチリル、ヘミシアニン、オキソノール、ヘミオキソノールおよびキサンテン色素を含む種々の既知の色素により、スペクトル的に有利に増感させることができる。有用なシアニン色素は、例えば、チアゾリン核、オキサゾリン核、ピロリン核、ピリジン核、オキサゾール核、チアゾール核、セレナゾール核およびイミダゾール核などの塩基性核を有するシアニン色素である。有用なメロシアニン染料で好ましいものは、上記の塩基性核に加えて、チオヒダントイン核、ローダニン核、オキサゾリジンジオン核、チアゾリンジオン核、バルビツール酸核、チアゾリノン核、マロノニトリル核およびピラゾロン核などの酸性核も含む。上記のシアニンおよびメロシアン色素において、イミノ基またはカルボキシル基を有するものが特に効果的である。例えば、米国特許第3761279号、同第3719495号、同第3877943号、英国特許第1466201号、同第1469117号、同第1422057号、特公平3−10391号、特公平6−52387号、特開平5−341432号、特開平6−194781号、特開平6−301141号に記載されたような既知の色素から適当に選択してよい。特に好ましい色素の構造としてはチオエーテル結合を有するシアニン色素であり、その例としては特開昭62−58239号、同3−138638号、同3−138642号、同4−255840号、同5−72659号、同5−72661号、同6−222491号、同2−230506号、同6−258757号、同6−317868号、同6−324425号、特表平7−500926号に記載されたシアニン色素が挙げられる。
【0137】
これらの増感色素は単独に用いてもよいが、それらの組合せを用いてもよく、増感色素の組合せは、特に強色増感の目的でしばしば用いられる。増感色素とともに、それ自身分光増感作用をもたない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感を示す物質を乳剤中に含んでもよい。有用な増感色素、強色増感を示す色素の組合せおよび強色増感を示す物質はリサーチ・ディスクロージャ(Research Disclosure) 176巻 17643 (1978年12月発行)第23頁IVのJ項、あるいは前述の特公昭49−25500号、同43−4933号、特開昭59−19032号、同59−192242号等に記載されている。
【0138】
本発明に用いられる増感色素は2種以上を併用してもよい。増感色素をハロゲン化銀乳剤中に添加させるには、それらを直接乳剤中に分散してもよいし、あるいは水、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、メチルセロソルブ、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、3−メトキシ−1−プロパノール、3−メトキシ−1−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、N,N−ジメチルホルムアミド等の溶媒の単独もしくは混合溶媒に溶解して乳剤に添加してもよい。
【0139】
また、米国特許第3469987号明細書等に開示されているように、色素を揮発性の有機溶剤に溶解し、この溶液を水または親水性コロイド中に分散し、この分散物を乳剤中へ添加する方法、特公昭44−23389号、同44−27555号、同57−22091号等に開示されているように、色素を酸に溶解し、この溶液を乳剤中に添加したり、酸または塩基を共存させて水溶液として乳剤中へ添加する方法、米国特許第3822135号、同第4006025号明細書等に開示されているように界面活性剤を共存させて水溶液あるいはコロイド分散物としたものを乳剤中に添加する方法、特開昭53−102733号、同58−105141号に開示されているように親水性コロイド中に色素を直接分散させ、その分散物を乳剤中に添加する方法、特開昭51−74624号に開示されているように、レッドシフトさせる化合物を用いて色素を溶解し、この溶液を乳剤中へ添加する方法を用いることもできる。また、溶液に超音波を用いることもできる。
【0140】
本発明に用いる増感色素を本発明のハロゲン化銀乳剤中に添加する時期は、これまで有用であることが認められている乳剤調製のいかなる工程中であってもよい。例えば米国特許第2735766号、同第3628960号、同第4183756号、同第4225666号、特開昭58−184142号、同60−196749号等の明細書に開示されているように、ハロゲン化銀の粒子形成工程および/または脱塩前の時期、脱銀工程中および/または脱塩後から化学熟成の開始前までの時期、特開昭58−113920号等の明細書に開示されているように、化学熟成の直前または工程中の時期、化学熟成後、塗布までの時期の乳剤が塗布される前ならばいかなる時期、工程において添加されてもよい。また、米国特許第4225666号、特開昭58−7629号等の明細書に開示されているように、同一化合物を単独で、または異種構造の化合物と組み合わせて、例えば粒子形成工程中と化学熟成工程中または化学熟成完了後とに分けたり、化学熟成の前または工程中と完了後とに分けるなどして分割して添加してもよく、分割して添加する化合物および化合物の組合せの種類を変えて添加してもよい。
【0141】
本発明には現像を抑制あるいは促進させ現像を制御するため、分光増感効率を向上させるため、現像前後の保存性を向上させるためなどにメルカプト化合物、ジスルフィド化合物、チオン化合物を含有させることができる。
【0142】
本発明にメルカプト化合物を使用する場合、いかなる構造のものでもよいが、Ar−SM、Ar−S−S−Arで表されるものが好ましい。式中、Mは水素原子またはアルカリ金属原子であり、Arは1個以上の窒素、イオウ、酸素、セレニウムまたはテルリウム原子を有する芳香環または縮合芳香環である。好ましくは、複素芳香環はベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、ベンゾチアゾール、ナフトチアゾール、ベンズオキサゾール、ナフトオキサゾール、ベンゾセレナゾール、ベンゾテルゾール、イミダゾール、オキサゾール、ピラゾール、トリアゾール、チアジアゾール、テトラゾール、トリアジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ピリジン、プリン、キノリンまたはキナゾリノンである。この複素芳香環は、例えば、ハロゲン(例えば、BrおよびCl)、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、アルキル(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するもの)およびアルコキシ(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するもの)からなる置換基群から選択されるものを有してもよい。メルカプト置換複素芳香族化合物をとしては、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプト−5−メチルベンズイミダゾール、6−エトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール、2,2’−ジチオビス−ベンゾチアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、4,5−ジフェニル−2−イミダゾールチオール、2−メルカプトイミダゾール、1−エチル−2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトキノリン、8−メルカプトプリン、2−メルカプト−4(3H)−キナゾリノン、7−トリフルオロメチル−4−キノリンチオール、2,3,5,6−テトラクロロ−4−ピリジンチオール、4−アミノ−6−ヒドロキシ−2−メルカプトピリミジンモノヒドレート、2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、4−ヒドロキシ−2−メルカプトピリミジン、2−メルカプトピリミジン、4,6−ジアミノ−2−メルカプトピリミジン、2−メルカプト−4−メチルピリミジンヒドロクロリド、3−メルカプト−5−フェニル−1,2,4−トリアゾール、2−メルカプト−4−フェニルオキサゾールなどが挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
【0143】
これらのメルカプト化合物の添加量としては乳剤層中に銀1モル当たり0.001〜1.0モルの範囲が好ましく、さらに好ましくは、銀の1モル当たり0.01〜0.3モルの量である。
【0144】
画像を向上させる「色調剤」として知られる添加剤を含むと有利になることがある。例えば色調剤材料は、全銀保持成分の0.1〜10重量%の量で存在してよい。色調剤は、米国特許第3080254号、同第3847612号および同第4123282号に示されるように、写真技術において周知の材料である。
【0145】
色調剤の例は、フタルイミドおよびN−ヒドロキシフタルイミド;スクシンイミド、ピラゾリン−5−オン、ならびにキナゾリノン、3−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、1−フェニルウラゾール、キナゾリンおよび2,4−チアゾリジンジオンのような環状イミド;ナフタルイミド(例えば、N−ヒドロキシ−1,8−ナフタルイミド);コバルト錯体(例えば、コバルトヘキサミントリフルオロアセテート);3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、2,4−ジメルカプトピリミジン、3−メルカプト−4,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾールおよび2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールに例示されるメルカプタン;N−(アミノメチル)アリールジカルボキシイミド[例えば、(N,N−ジメチルアミノメチル)フタルイミドおよびN,N−(ジメチルアミノメチル)−ナフタレン−2,3−ジカルボキシイミド);ならびにブロック化ピラゾール、イソチウロニウム誘導体およびある種の光退色剤(例えば、N,N’−ヘキサメチレンビス(1−カルバモイル−3,5−ジメチルピラゾール)、1,8−(3,6−ジアザオクタン)ビス(イソチウロニウムトリフルオロアセテート)および2−トリブロモメチルスルホニル)−(ベンゾチアゾール)];ならびに3−エチル−5[(3−エチル−2−ベンゾチアゾリニリデン)−1−メチルエチリデン]−2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン;フタラジノン、フタラジノン誘導体もしくは金属塩、または4−(1−ナフチル)フタラジノン、6−クロロフタラジノン、5,7−ジメトキシフタラジノンおよび2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオンなどの誘導体;フタラジノンとフタル酸誘導体(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸およびテトラクロロ無水フタル酸など)との組合せ;フタラジン、フタラジン誘導体もしくは金属塩、または4−(1−ナフチル)フタラジン、6−クロロフタラジン、5,7−ジメトキシフタラジンおよび2,3−ジヒドロフタラジンなどの誘導体;フタラジンとフタル酸誘導体(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸およびテトラクロロ無水フタル酸など)との組合せ;キナゾリンジオン、ベンズオキサジンまたはナフトオキサジン誘導体;色調調節剤としてだけでなくその場でハロゲン化銀生成のためのハライドイオンの源としても機能するロジウム錯体、例えばヘキサクロロロジウム(III) 酸アンモニウム、臭化ロジウム、硝酸ロジウムおよびヘキサクロロロジウム(III) 酸カリウムなど;無機過酸化物および過硫酸塩、例えば、過酸化二硫化アンモニウムおよび過酸化水素;1,3−ベンズオキサジン−2,4−ジオン、8−メチル−1,3−ベンズオキサジン−2,4−ジオンおよび6−ニトロ−1,3−ベンズオキサジン−2,4−ジオンなどのベンズオキサジン−2,4−ジオン;ピリミジンおよび不斉−トリアジン(例えば、2,4−ジヒドロキシピリミジン、2−ヒドロキシ−4−アミノピリミジンなど)、アザウラシル、およびテトラアザペンタレン誘導体(例えば、3,6−ジメルカプト−1,4−ジフェニル−1H,4H−2,3a,5,6a−テトラアザペンタレン、および1,4−ジ(o−クロロフェニル)−3,6−ジメルカプト−1H,4H−2,3a,5,6a−テトラアザペンタレン)などがある。
【0146】
本発明における乳剤層のバインダーとしては、よく知られている天然または合成樹脂、例えば、ゼラチン、ポリビニルアセタール、ポリビニルクロリド、ポリビニルアセテート、セルロースアセテート、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネートなどから任意のものを選択することができる。当然ながら、コポリマーおよびターポリマーも含まれる。好ましいポリマーは、ポリビニルブチラール、ブチルエチルセルロース、メタクリレートコポリマー、無水マレイン酸エステルコポリマー、ポリスチレンおよびブタジエン- スチレンコポリマーである。必要に応じて、これらのポリマーを2種またはそれ以上組合せて使用することができる。そのようなポリマーは、成分をその中に保持するのに十分な量で使用される。すなわち、バインダーとして機能するのに効果的な範囲で使用される。効果的な範囲は、当業者が適切に決定することができる。少なくとも有機銀塩を保持する場合の目安として、バインダー対有機銀塩の割合は、15:1〜1:2、特に8:1〜1:1の範囲が好ましい。
【0147】
本発明における感光材料は画像形成層の付着防止などの目的で表面保護層を設けることができる。表面保護層としては、いかなる付着防止材料を使用してもよい。付着防止材料の例としては、ワックス、シリカ粒子、スチレン含有エラストマー性ブロックコポリマー( 例えば、スチレン- ブタジエン- スチレン、スチレン- イソプレン- スチレン) 、酢酸セルロース、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネートやこれらの混合物などがある。
【0148】
本発明における乳剤層もしくは乳剤層の保護層には米国特許第3253921号、同第2274782号、同第2527583号および同第2956879号に記載されているような光吸収物質およびフィルター染料を含む写真要素において使用することができる、また、例えば、米国特許第3282699号に記載のように染料を媒染することができる。
【0149】
本発明における乳剤層もしくは乳剤層の保護層には、艶消剤、例えばデンプン、二酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、米国特許第2992101号および同2701245号に記載された種類のビーズを含むポリマービーズなどを含有することができる。また、乳剤面のマット度は星屑故障が生じなければいかようでもよいが、ベック平滑度が1000秒以上10000秒以下が好ましく、特に2000秒以上10000秒以下が好ましい。
【0150】
本発明におけるハロゲン化銀乳剤および/または有機銀塩は、カブリ防止剤、安定剤および安定剤前駆体によって、付加的なかぶりの生成に対して更に保護され、在庫貯蔵中における感度の低下に対して安定化することができる。単独または組合せて使用することができる適当なカブリ防止剤、安定剤および安定剤前駆体は、米国特許第2131038号および同第2694716号に記載のチアゾニウム塩、米国特許第2886437号および同第2444605号に記載のアザインデン、米国特許第2728663号に記載の水銀塩、米国特許第3287135号に記載のウラゾール、米国特許第3235652号に記載のスルホカテコール、英国特許第623448号に記載のオキシム、ニトロン、ニトロインダゾール、米国特許第2839405号に記載の多価金属塩、米国特許第3220839号に記載のチウロニウム塩、ならびに米国特許第2566263号および同第2597915号に記載のパラジウム、白金および金塩、米国特許第4108665号および同第4442202号に記載のハロゲン置換有機化合物、米国特許第4128557号および同第4137079号、第4138365号および同第4459350号に記載のトリアジンならびに米国特許第4411985号に記載のリン化合物などがある。
【0151】
本発明における感光性層には、可塑剤および潤滑剤として多価アルコール( 例えば、米国特許第2960404号に記載された種類のグリセリンおよびジオール) 、米国特許第2588765号および同第3121060号に記載の脂肪酸またはエステル、英国特許第955061号に記載のシリコーン樹脂などを用いることができる。
【0152】
本発明の感光性層、保護層、バック層など各層には硬膜剤を用いても良い。硬膜剤の例としては、米国特許4281060号、特開平6−208193号などに記載されているポリイソシアネート類、米国特許4791042号などに記載されているエポキシ化合物類、特開昭62−89048号などに記載されているビニルスルホン系化合物類などが用いられる。
【0153】
本発明には塗布性、帯電改良などを目的として界面活性剤を用いても良い。界面活性剤の例としては、ノニオン系、アニオン系、カチオン系、フッ素系などいかなるものも適宜用いられる。具体的には、特開昭62−170950号、米国特許5382504号などに記載のフッ素系高分子界面活性剤、特開昭60−244945号、特開昭63−188135号などに記載のフッ素系界面活性剤、米国特許3885965号などに記載のポリシロキ酸系界面活性剤、特開平6−301140号などに記載のポリアルキレンオキサイドやアニオン系界面活性剤などが挙げられる。
【0154】
本発明における感光材料は画像形成層の付着防止などの目的で表面保護層を設けることができる。表面保護層としては、いかなる付着防止材料を使用してもよい。付着防止材料の例としては、ワックス、シリカ粒子、スチレン含有エラストマー性ブロックコポリマー( 例えば、スチレン- ブタジエン- スチレン、スチレン- イソプレン- スチレン) 、酢酸セルロース、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネートやこれらの混合物などがある。
【0155】
本発明における乳剤層もしくは乳剤層の保護層には、米国特許第3253921号、同第2274782号、同第2527583号および同第2956879号に記載されているような光吸収物質およびフィルター染料を含むことができる。また、例えば米国特許第3282699号に記載のように染料を媒染することができる。
【0156】
本発明における乳剤層もしくは乳剤層の保護層には、艶消剤、例えばデンプン、二酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、米国特許第2992101号および同第2701245号に記載された種類のビーズを含むポリマービーズなどを含有することができる。また、乳剤面のマット度は星屑故障が生じなければいかようでも良いが、ベック平滑度が1000秒以上10000秒以下がが好ましく、特に2000秒以上10000秒以下が好ましい。
【0157】
本発明における熱現像用写真乳剤は、種々の支持体上に被覆させることができる。典型的な支持体は、ポリエステルフィルム、下塗りポリエステルフィルム、ポリ(エチレンテレフタレート)フィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、硝酸セルロースフィルム、セルロースエステルフィルム、ポリ(ビニルアセタール)フィルム、ポリカーボネートフィルムおよび関連するまたは樹脂状の材料、ならびにガラス、紙、金属などを含む。可撓性基材、特に、部分的にアセチル化された、もしくはバライタおよび/またはα−オレフィンポリマー、特にポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン- ブテンコポリマーなどの炭素数2〜10のα−オレフィンのポリマーによりコートされた紙支持体が、典型的に用いられる。支持体は透明であっても不透明であってもよいが、透明であることが好ましい。
【0158】
本発明における感光材料は、帯電防止または導電性層、例えば、可溶性塩(例えば塩化物、硝酸塩など) 、蒸着金属層、米国特許第2861056号および同第3206312号に記載のようなイオン性ポリマーまたは米国特許第3428451号に記載のような不溶性無機塩などを含む層などを有してもよい。
【0159】
本発明における熱現像感光材料を用いてカラー画像を得る方法としては特開平7−13295号10頁左欄43行目から11左欄40行目に記載の方法がある。また、カラー染料画像の安定剤としては英国特許第1326889号、米国特許第3432300号、同第3698909号、同第3574627号、同第3573050号、同第3764337号および同第4042394号に例示されている。
【0160】
本発明における熱現像写真乳剤は、浸漬コーティング、エアナイフコーティング、フローコーティングまたは、米国特許第2681294号に記載の種類のホッパーを用いる押出コーティングを含む種々のコーティング操作により被覆することができる。所望により、米国特許第2761791号および英国特許第837095号に記載の方法により2層またはそれ以上の層を同時に被覆することができる。
【0161】
本発明における熱現像感光材料の中に追加の層、例えば移動染料画像を受容するための染料受容層、反射印刷が望まれる場合の不透明化層、保護トップコート層および光熱写真技術において既知のプライマー層などを含むことができる。本発明の感光材料はその感光材料一枚のみで画像形成できることが好ましく、受像層等の画像形成に必要な機能性層が別の感光材料とならないことが好ましい。
【0162】
本発明における塩化ビニリデン共重合体としては、50〜99.9重量%、好ましくは70〜99重量%の塩化ビニリデンを含有する共重合体で、例えば、特開昭51−135526号記載の塩化ビニリデン/アクリル酸エステル/側鎖にアルコールを有するビニリデン単量体よりなる共重合体、米国特許第2852378号記載の塩化ビニリデン/アルキルアクリレート/アクリル酸よりなる共重合体、米国特許第2698235号記載の塩化ビニリデン/アクリロニトリル/イタコン酸よりなる共重合体、米国特許第3788856号記載の塩化ビニリデン/アルキルアクリレート/イタコン酸よりなる共重合体等が挙げられる。以下に具体的な化合物例を示すが、本発明はこれらに限定されるわけではない。なお、カッコ内の数字は全て重量比を表す。
【0163】
塩化ビニリデン:メチルアクリレート:ヒドロキシエチルアクリレート(83:12:5)の共重合体
塩化ビニリデン:ヒドロキシエチルメタクリレート:ヒドロキシプロピルアクリレート(82:10:8)の共重合体
塩化ビニリデン:ヒドロキシジエチルメタクリレート(92:8)の共重合体塩化ビニリデン:ブチルアクリレート:アクリル酸(92:4:2)の共重合体
塩化ビニリデン:ブチルアクリレート:イタコン酸(75:20:5)の共重合体
塩化ビニリデン:メチルアクリレート:イタコン酸(90:8:2)の共重合体
塩化ビニリデン:イタコン酸モノエチルエステル(96:4)の共重合体
塩化ビニリデン:アクリロニトリル:アクリル酸(96:3.5:1.5)の共重合体
塩化ビニリデン:メチルアクリレート:アクリル酸(92:5:3)の共重合体
塩化ビニリデン:メチルアクリレート:3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルアクリレート(84:9:7)の共重合体
塩化ビニリデン:メチルアクリレート:N−エタノールアクリルアミド(85:10:5)の共重合体
【0164】
本発明における塩化ビニリデン共重合体を塗設する方法としては、これらポリマーを適当な有機溶剤に溶かした液、または水に分散した液を一般によく知られた、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、あるいは米国特許第2681294号記載のホッパーを使用するエクストル−ジョンコート法などにより塗布することができる。また、溶融したポリマーを移動しつつある被塗布物に流下させ、冷却と同時に圧力により張り合わせるいわゆる押し出しコーティング法やあらかじめフィルム状にしたポリマーを糊剤および熱で張り合わせるラミネート法などを用いてもよい。
【0165】
本発明における熱現像感光材料は、支持体の一方の側に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤を含む感光性層を有し、他方の側にバック層(バッキング層)を有する、いわゆる片面感光材料であることが好ましい。
【0166】
本発明において片面感光材料は、搬送性改良のためにマット剤を添加してもよい。マット剤は、一般に水に不溶性の有機または無機化合物の微粒子である。マット剤としては任意のものを使用でき、例えば米国特許第1939213号、同第2701245号、同第2322037号、同第32626782号、同第3539344号、同第3767448号等の各明細書に記載の有機マット剤、同第1260772号、同第2192241号、同第3257206号、同第3370951号、同第3523022号、同第3769020号等の各明細書に記載の無機マット剤など当業界でよく知られたものを用いることができる。例えば具体的にはマット剤として用いることのできる有機化合物の例としては、水分散性ビニル重合体の例としてポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−α−メチルスチレン共重合体、ポリスチレン、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリビニルアセテート、ポリエチレンカーボネート、ポリテトラフルオロエチレンなど、セルロース誘導体の例としてはメチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネートなど、澱粉誘導体の例としてカルボキシ澱粉、カルボキシニトロフェニル澱粉、尿素−ホルムアルデヒド−澱粉反応物など、公知の硬化剤で硬化したゼラチンおよびコアセルベート硬化して微小カプセル中空粒体とした硬化ゼラチンなどを好ましく用いることができる。無機化合物の例としては二酸化ケイ素、二酸化チタン、二酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、公知の方法で減感した塩化銀、同じく臭化銀、ガラス、珪藻土などを好ましく用いることができる。上記のマット剤は必要に応じて異なる種類の物質を混合して用いることができる。マット剤の大きさ、形状に特に限定はなく、任意の粒径のものを用いることができる。本発明の実施に際しては0.1μm 〜30μm の粒径のものを用いるのが好ましい。また、マット剤の粒径分布は狭くても広くてもよい。一方、マット剤は感光材料のヘイズ、表面光沢に大きく影響することから、マット剤作製時あるいは複数のマット剤の混合により、粒径、形状および粒径分布を必要に応じた状態にすることが好ましい。
【0167】
本発明においてバック層のマット度としてはベック平滑度が250秒以下10秒以上が好ましく、さらに好ましくは180秒以下50秒以上である。
【0168】
本発明において、マット剤は感光材料の最外表面層もしくは最外表面層として機能する層、あるいは外表面に近い層に含有されるのが好ましく、またいわゆる保護層として作用する層に含有されることが好ましい。
【0169】
本発明においてバック層の好適なバインダーは透明または半透明で、一般に無色であり、天然ポリマー合成樹脂やポリマーおよびコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば:ゼラチン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルピロリドン)、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(ビニルアセタール)類[例えば、ポリ(ビニルホルマール)およびポリ(ビニルブチラール)]、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテート)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類がある。バインダーは水または有機溶媒またはエマルションから被覆形成してもよい。
【0170】
本発明においてバック層は、所望の波長範囲での最大吸収が0.3以上2以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.5以上2以下の光学濃度を有するハレーション防止層であることが好ましい。
【0171】
本発明でハレーション防止染料を使用する場合、染料は所望の波長の範囲で目的の吸収を有し、可視領域での吸収が十分少なく、上記バック層の好ましい吸光度スペクトルの形状が得られればいかなる化合物でもよい。例えば、特開平7−13295号、米国特許第5380635号記載の化合物、特開平2−68539号公報第13頁左下欄1行目から同第14頁左下欄9行目、同3−24539号公報第14頁左下欄から同第16頁右下欄記載の化合物が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0172】
米国特許第4460681号および同第4374921号に示されるような裏面抵抗性加熱層(backside resistive heatinng layer) を感光性熱現像写真画像系に使用することもできる。
【0173】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明の具体的な態様をさらに詳細に説明する。
【0174】
<ハロゲン化銀粒子の調製>
水700mlにフタル化ゼラチン22g および臭化カリウム30mgを溶解して温度35℃にてpHを5.0に合わせた後、硝酸銀18.6g を含む水溶液159mlと臭化カリウムと沃化カリウムを92:8のモル比で含む水溶液をpAg 7.7に保ちながらコントロールダブルジェット法で10分間かけて添加した。ついで、硝酸銀55.4g を含む水溶液476mlと六塩化イリジウム酸二カリウム(1.2×10-5モル/リットル)6シアノ化鉄4カリウム(完成ハロゲン化銀1モル当たり1×10-5になる量)と臭化カリウム(1モル/リットル)を含む水溶液とをpAg 7.7に保ちながらコントロールダブルジェット法で30分間かけて添加した。その後、pHを下げて凝集沈降させ脱塩処理をし、フェノキシエタノール0.1g を加え、pH5.9、pAg 8.2に調製し沃臭化銀粒子(沃素含量コア8モル%、平均2モル%、平均サイズ0.05μm 、投影面積変動係数8%、(100)面比率88%の立方体粒子)の調製を終えた。
【0175】
こうして得たハロゲン化銀粒子を60℃に昇温して銀1モル当たりチオ硫酸ナトリウム85μモルと2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニルジフェニルフォスフィンセレニドを11μモル、15μモルのテルル化合物1、塩化金酸4.0×10-6モル、チオシアン酸3.0×10-4モルを添加し、120分間熟成した後30℃に急冷してハロゲン化銀乳剤を得た。
【0176】
<有機酸銀乳剤−Aの調製>
ステアリン酸1.3g 、アラキジン酸0.5g 、ベヘン酸8.5g 、蒸留水300mlを90℃で15分間混合し、激しく攪拌しながら1N−NaOH水溶液31.1mlを15分かけて添加した後、30℃に降温した。次に、1N−リン酸水溶液7mlを添加し、より激しく攪拌しながらN−ブロモスクシンイミド0.012g を添加した後、上記のあらかじめ調製したハロゲン化銀粒子(ハロゲン化銀量2.5mモル)を添加した。さらに、1N−硝酸銀水溶液25mlを2分かけて添加し、そのまま90分間攪拌し続けた。その後、吸引濾過で固形分を濾別し、固形分を濾水の伝導度が30μS・cmになるまで水洗した。こうして得た固形分にポリ酢酸ビニルの1.2重量%の酢酸ブチル溶液37g を加え攪拌し、攪拌を止めて放置し油層と水層に分離させ含まれる塩と共に水層を除去し油層を得た。次に、この油層にポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製デンカブチラール#3000−K)の2.5wt% 2−ブタノン溶液20g を添加し攪拌した。さらに、過臭化ピリジニウム0.1m モルと臭化カルシウム二水和物1.8×10-4モルを0.7g メタノールとともに添加した後、2−ブタノン40g とポリビニルブチラール(モンサント社製PVB B−76)の7.8g を添加しホモジナイザーで分散し、有機酸銀塩乳剤(平均粒径0.04μm 、平均長径1μm 、変動係数30%の針状粒子)を得た。
【0177】
<有機酸銀乳剤−Bの調製>
ベヘン酸840g 、ステアリン酸95g を12リットルの水に添加し90℃に保ちながら、水酸化ナトリウム48g 、炭酸ナトリウム63g を1.5リットルの水に溶解したものを添加した。30分攪拌した後50℃とし、N−ブロモスクシンイミド1%水溶液1.1リットルを添加し、次いで硝酸銀17%水溶液2.3リットルを攪拌しながら徐々に添加した。さらに液温を35℃とし、攪拌しながら臭化カリウム2%水溶液1.5リットルを2分間かけて添加した後30分間攪拌し、N−ブロモスクシンイミド1%水溶液2.4リットルを添加した。この水系混合物に攪拌しながら1.2重量%ポリ酢酸ビニルの酢酸ブチル溶液3300g を加えた後10分間静置し2層に分離させ水層を取り除き、さらに残されたゲルを水で2回洗浄した。こうして得られたゲル状のベヘン酸/ステアリン酸銀および臭化銀の混合物をポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製デンカブチラール#3000−K)の2.6%イソプロピルアルコール溶液1800g で分散し、さらにポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製デンカブチラール#4000−2)600g 、イソプロピルアルコール300g と共に分散し有機酸銀塩乳剤(平均短径0.05μm 、平均長径1.2μm 、変動係数25%の針状粒子)を得た。
【0178】
実施例1
<感光層塗布液の調製>
上記で得た有機酸銀乳剤−Aに銀1モル当たり以下の量となるように各薬品を添加した。25℃でフェニルチオスルホン酸ナトリウム10mg、70mgの色素a、2−メルカプト−5−メチルベンゾイミダゾール2g 、4−クロロベンゾフェノン−2−カルボン酸21.5g 、一般式(1)または一般式(2)または一般式(3)の化合物(表12に示す)0.0064モルと2−ブタノン580g 、ジメチルホルムアミド220g を攪拌しながら添加し3時間放置した。ついで、5−トリブロモメチルスルフォニル−2−メチルチアジアゾール8g 、2−トリブロモメチルスルフォニルベンゾチアゾール6g 、4,6−ジトリクロロメチル−2−フェニルトリアジン5.2g 、ジスルフィド化合物aを2g 、還元剤(表12に示す)0.35モル、テトラクロロフタル酸5g 、ヒドラジン誘導体(表12に示す)0.008モル、メガファックスF−176P(大日本インキ化学工業(株)製フッ素系界面活性剤)1.1g 、2−ブタノン590g 、メチルイソブチルケトン10g を攪拌しながら添加した。
【0179】
【化33】
【0180】
<乳剤面保護層塗布液>
CAB171−15S(イーストマンケミカル(株)製酢酸酪酸セルロース)75g 、4−メチルフタル酸5.7g 、テトラクロロフタル酸無水物1.5g 、フタラジン15g 、0.3g のメガファックスF−176P、シルデックスH31(洞海化学社製真球状シリカ平均サイズ3μm )2g 、sumidur N3500 (住友バイエルウレタン社製ポリイソシアネート)7.5g を2−ブタノン3070g と酢酸エチル30g に溶解したものを調製した。
【0181】
<バック面を有した支持体の作成>
両面が塩化ビニリデン共重合体の防湿下塗り層を有するポリエチレンテレフタレートフィルム(100μm )の支持体に下記処方の溶液を乾膜厚が15μm になるように塗布し乾燥させた。(乾燥;50℃10分)
【0182】
<バック面塗布液の調製>
ポリビニルブチラール#4000−2(電気化学工業(株)社製)イソプロピルアルコール10%溶液60g 、イソプロピルアルコール10g 、3−イソシアン−トメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(和光純薬(株)社製)酢酸エチル8%溶液8g 、および染料D−1 0.2g をメタノール10g とアセトン20g に溶解したものを露光波長の吸収が0.8になるように添加した。
【0183】
上記のごとく作製した支持体上のバック面とは逆側に乳剤層塗布液を銀が1.8g/m2となるように塗布した後、乳剤面上に乳剤面保護層塗布液を乾燥厚さ2μm となるように塗布した。
【0184】
(露光、現像処理)
このようにして作製した試料を▲1▼633nmにピークをもつ干渉フィルターおよびテップウェッジを介して発光時間10-6secのキセノンフラッシュ光で露光した。また、別試料を▲2▼633nmにピークをもつ干渉フィルターおよびテップウェッジおよびそれぞれ50%のチント網を介して同様に露光した。その後、110℃で20秒、30秒、40秒間熱現像処理した。
【0185】
(写真特性の評価)
得られた画像の濃度測定および網点の面積率測定を行った。
【0186】
写真特性評価
▲1▼については、30秒現像でのガンマ(G0330)および40秒現像でのDminを評価した。
G0330;特性曲線で濃度0.3と3.0の点を結ぶ直線の傾き
▲2▼については、画像拡大(ΔD50)を評価した。
【0187】
ΔD50;20秒現像で網点面積率が50%になったステップの、20秒現像と40秒現像での網点面積率の差。従って、数値が大きいほど画像拡大が大きいことを意味する。
【0188】
【表1】
【0190】
表12の結果から、本発明の化合物を含有しない試料No.114、116、118では、Dminが高く、画像拡大も大きい。これらに対して本発明の試料では、いずれも硬調性を損なわずDminが低く、かつ画像拡大が小さく良好な写真性能が得られる。
【0191】
実施例2
実施例1の乳剤層の有機酸銀乳剤−Aを有機酸銀乳剤−Bに替えて本発明の態様をテストした結果、実施例1と同様な結果が得られた。なお、このような効果は、ヒドラジン化合物として、H−23、H−44、H−53、H−67、H−69、H−71、H−76、H−79、還元剤としてR−I−3、R−I−11、R−I−37、R−II−9、R−III −1、一般式(1)、(2)、(3)の化合物として1−10、1−13、3−10、3−26、3−46を用いても同様に実現した。
【0192】
以上の結果から、本発明によれば、超硬調な性能を有し、被り濃度が低く、現像処理時間の変動などに対して画像拡大の変化が小さく安定した画像が得られる印刷製版用に適した完全ドライの熱現像感光材料を提供することができる。
【0193】
【発明の効果】
本発明によれば、超硬調で、なおかつ現像条件の変動などに対して画像拡大などがきわめて小さいなど、性能変動がきわめて少なく、きわめて安定した画像が得られる印刷製版用に適した熱現像感光材料が実現する。
Claims (9)
- 支持体上に少なくとも1層のハロゲン化銀感光層を有し、該層および/または隣接する層に有機銀塩を含有する熱現像感光材料において、
該熱現像感光材料が、該有機銀塩の酸化還元反応で生じる銀により画像を形成する熱現像感光材料であって、かつ、
該ハロゲン化銀感光層および/または隣接する層に、還元剤と、下記一般式(H1)〜(H4)で表されるヒドラジン誘導体の少なくとも一種と、下記一般式(1)または(2)で表わされる化合物の少なくとも1種とを含有することを特徴とする熱現像感光材料。
- 支持体上に少なくとも1層のハロゲン化銀感光層を有し、該層および/または隣接する層に有機銀塩を含有する熱現像感光材料において、
該熱現像感光材料が、該有機銀塩の酸化還元反応で生じる銀により画像を形成する熱現像感光材料であって、かつ、
該ハロゲン化銀感光層および/または隣接する層に、還元剤と、下記一般式(H1)〜(H4)で表されるヒドラジン誘導体の少なくとも一種と、下記一般式(3)で表わされる化合物とを含有することを特徴とする熱現像感光材料。
- 前記還元剤が下記一般式(R−I)〜(R−IV)のいずれかで表わされる化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱現像感光材料。
- 前記還元剤が前記一般式(R−I)または(R−II)のいずれかで表わされる化合物であることを特徴とする請求項3に記載の熱現像感光材料。
- 前記ヒドラジン誘導体の使用量が、銀1モル当たり1×10-6モル〜1×10-1モルであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
- 前記一般式(1)または(2)で表わされる化合物の添加量が、ハロゲン化銀1モル当たり5×10-4〜1×10-2モルであることを特徴とする請求項1、3〜5のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
- 前記一般式(3)で表わされる化合物の添加量が、ハロゲン化銀1モル当たり5×10-4〜1×10-2モルであることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
- 前記感光材料が、ハロゲン化銀感光層を有する側と反対側の支持体上にバック層を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
- 前記一般式(1)および(2)において、Rが、水素原子、アラルキル基、アルコキシ基、アリール置換アミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、ウレタン基、アリールオキシ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アリール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子、シアノ基またはリン酸アミド基であることを特徴とする請求項1に記載の熱現像感光材料。
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