JP3667879B2 - 熱現像感光材料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は熱現像感光材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年医療分野において環境保全、省スペースの観点から処理廃液の減量が強く望まれている。そこで、レーザー・イメージセッターまたはレーザー・イメージャーにより効率的に露光させることができ、高解像度および鮮明差を有する黒色画像を形成することができる医療診断用および写真技術用途の光熱写真材料に関する技術が必要とされている。これら熱現像写真材料では、溶液系処理化学薬品の使用をなくし、より簡単で環境を損なわない熱処理システムを顧客に対して供給することができる。
【0003】
感光性ハロゲン化銀粒子を含有する熱処理用モノシート感光材料は、非感光性の還元性銀源、照射された場合に銀を生成する感光性材料、および銀源のための還元剤を基本的に含有する。
【0004】
一般に、感光性材料は非感光性銀源に対して触媒的に近接する必要がある。触媒的な近接とは、写真ハロゲン化銀の照射または露光により銀核が生成した場合にこれらの核が還元剤による銀源の還元を触媒可能であるようにこれらの2種の材料が密接な物理的な関連を有することをいう。銀は銀イオンの還元のための触媒であり、銀を生成する感光性ハロゲン化銀触媒前駆体は多くの異なる様式で銀源と触媒的に近接して設けうることが、長年にわたり理解されてきた。例えば、ハロゲン化含有源を用いる銀源の部分複分解(例えば米国特許第3457075号)、ハロゲン化銀と銀源材料との混合(例えば、米国特許第3839049号)、およびハロゲン化銀と銀源とを密接に関連させる他のすべての方法が挙げられる。
【0005】
一般的に熱現像感光材料は熱現像時の背景部の黒化、いわゆる熱カブリと、長期保存した場合の背景部の黒化濃度上昇が大きな問題とされてきた。これらのカブリを低く抑える有効な方法として米国特許第3589903号に水銀塩がカブリ防止剤として有効であると記載されている。また、米国特許第4152160号では安息香酸およびフタル酸のような有機カルボン酸が、同第4784939号ではベンゾイル安息香酸化合物が、同第4569906号ではインダンもしくはテトラリンカルボン酸が、同第4820617号ではジカルボン酸が、そして同第4626500号では複素芳香族カルボン酸がカブリ低減のために記載されている。ハロゲン化化合物も強いカブリ防止剤として示されており、米国特許第4546075号、同第4756999号、同第4452885号、同第3874946号および同第3955982号に記載されている。ハロゲン分子または複素環を有するハロゲン分子も有用なカブリ防止剤であり、これらは米国特許第5028523号に記載されている。
【0006】
しかしながら、これらの化合物あるいはその組み合わせは、長期保存した場合のカブリの抑制には不十分である。
【0007】
一方、イソシアネートとハロゲン化化合物との組み合わせにより、長期保存のカブリの抑制を抑える効果が特開平6−208193号に記載されており、カブリ抑制に対しては非常に効果的な技術であるが、長期保存後には低感化してしまう問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高感度でしかも低い熱カブリおよび長期保存後の安定な写真性を実現した熱現像感光材料を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討した結果、高感度かつ低い熱カブリでしかも長期保存後でも安定な写真性を維持できることを見出し、下記の本発明(1)〜(2)をなすに至った。
(1)支持体上に少なくとも一層の感光層を有し、有機銀塩、感光性ハロゲン化銀、銀イオンのための還元剤およびバインダーを含有する熱現像感光材料において、イソシアネート基を有する少なくとも1種の化合物を含有し、かつ感光性ハロゲン化銀が以下の一般式(II)または一般式(a)で表されるカルコゲン化合物により化学増感されている熱現像感光材料。
【化1】
Figure 0003667879
一般式(II)中、Z 3 ,Z 4 およびZ 5 はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、脂肪族基、芳香族基、複素環基、−OR 7 、−NR 8 ( 9 ) 、−SR 10 、−SeR 11 、X 1 または水素原子を表し、前記R 7 、R 10 およびR 11 は脂肪族基、芳香族基、複素環基、水素原子またはカチオンを表し、R 8 およびR 9 は脂肪族基、芳香族基、複素環基または水素原子を表し、X 1 はハロゲン原子を表す。
一般式(a)中、R 101 は脂肪族基、芳香族基、複素環基または−C(=X 111 ) 111 を表し、R 102 は脂肪族基、芳香族基、複素環基、水素原子、カチオンまたは−C(=X 112 ) 112 を表す。前記R 111 およびR 112 は脂肪族基、芳香族基、複素環基、OR 113 、NR 114 (R 115 )、SR 116 または水素原子を表し、X 111 およびX 112 は酸素原子、硫黄原子またはNR 117 を表し、R 111 、R 112 、R 113 、R 114 、R 115 、R 116 、およびR 117 は脂肪族基、芳香族基、複素環基または水素原子を表し、nは1または2を表す。
(2)ビニルスルホン化合物を含有する上記(1)の熱現像感光材料。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の熱現像感光材料は、支持体上に少なくとも一層の感光層を有し、有機銀塩、感光性ハロゲン化銀、銀イオンのための還元剤およびバインダーを含有するものである。
【0011】
そして、本発明の熱現像感光材料は、支持体の一方の側に少なくとも一層の感光性ハロゲン化銀と有機銀塩を少なくとも含有する感光層を有し、他方の側のバック面にバッキング層(バック層)を有する、いわゆる片面感光材料であることが好ましく、加熱処理により画像形成を行う感光材料である。
【0012】
このような感光材料において、本発明の熱現像感光材料は、イソシアネート基を有するイソシアネート化合物を含有し、含有される感光性ハロゲン化銀は前記カルコゲン化合物によって化学増感されたものである。
【0013】
このように、イソシアネート化合物を含有させ、カルコゲン化合物で化学増感された感光性ハロゲン化銀を用いることによって、高感度で熱カブリが少なく、長期保存後においても写真性の変動が少ない熱現像感光材料が得られる。これに対し、イソシアネート化合物を含有させないと、保存後の写真性が低下してしまう。またカルコゲン化合物で化学増感された感光性ハロゲン化銀を用いないと、感度が低く、さらには保存による感度の低下が著しくなる。
【0014】
本発明における感光性ハロゲン化銀の形成方法は当業界ではよく知られており、例えば、リサーチディスクロージャー1978年6月の第17029号、および米国特許第3,700,458号に記載されている方法を用いることができる。本発明で用いることのできる具体的な方法としては、調製された有機銀塩中にハロゲン含有化合物を添加することにより有機銀塩の銀の一部を感光性ハロゲン化銀に変換する方法、ゼラチンあるいは他のポリマー溶液の中に銀供給化合物およびハロゲン供給化合物を添加することにより感光性ハロゲン化銀粒子を調製し有機銀塩と混合する方法を用いることができる。本発明において好ましくは後者の方法を用いることができる。
【0015】
本発明においては、感光性ハロゲン化粒子が前記カルコゲン化合物により化学増感されていることを特徴とする。化学増感のタイミングとしては本発明の効果が発現される限りにおいては特に制限はなく、いずれのタイミングで化学増感を施してもよいが、ハロゲン化銀粒子形成後に化学増感を施すことが好ましく、ハロゲン化銀粒子形成後有機銀塩と混合する前のタイミングで化学増感を施すことがより好ましい。
【0016】
本発明における、感光性ハロゲン化銀の化学増感法としては前記カルコゲン化合物によるセレン増感法、テルル増感法が用いられる。また、硫黄増感法も併用可能である。
【0017】
本発明で用いることのできる硫黄増感剤としては、ゼラチン中に含まれる硫黄化合物のほか、種々の硫黄化合物、たとえばチオ硫酸塩、チオ尿素類、チアゾール類、ローダニン類等の公知の化合物を用いることができる。具体例は米国特許第1,574,944号、同2,278,947号、同2,410,689号、同2,728,668号、同3,501,313号、同3,656,955号に記載されたものである。
【0018】
本発明で用いられるセレン増感剤は以下の一般式(II)で表される。
【0028】
【化2】
Figure 0003667879
【0029】
一般式(II)中、Z3 ,Z4 およびZ5 はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、脂肪族基、芳香族基、複素環基、−OR7 、−NR8(R9)、−SR10、−SeR11、X1 、水素原子を表す。
【0030】
7 ,R10およびR11は脂肪族基、芳香族基、複素環基、水素原子またはカチオンを表し、R8 およびR9 は脂肪族基、芳香族基、複素環基または水素原子を表し、X1 はハロゲン原子を表す。
【0031】
一般式(II)において、Z3 ,Z4 ,Z5 ,R7 ,R8 ,R9 ,R10およびR11で表される脂肪族基は直鎖、分岐または環状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基、プロパルギル基、3−ペンチニル基、ベンジル基、フェネチル基)を表す。
【0032】
一般式(II)において、Z3 ,Z4 ,Z5 ,R7 ,R8 ,R9 ,R10およびR11で表される芳香族基は単環または縮環のアリール基(例えば、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基、4−クロロフェニル基、3−スルホフェニル基、α−ナフチル基、4−メチルフェニル基)を表す。
【0033】
一般式(II)において、Z3 ,Z4 ,Z5 ,R7 ,R8 ,R9 ,R10およびR11で表される複素環基は窒素原子、酸素原子または硫黄原子のうち少なくとも一つを含む3〜10員環の飽和もしくは不飽和の不飽和基(例えば、ピリジル基、チエニル基、フリル基、チアゾリル基、イミダゾリル基、ベンズイミダゾリル基)を表す。
【0034】
一般式(II)において、R7 ,R10およびR11で表されるカチオンはアルカリ金属原子またはアンモニウムを表し、X1 で表されるハロゲン原子は、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子または沃素原子を表す。
【0035】
一般式(II)中、好ましくはZ3 ,Z4 またはZ5 は脂肪族基、芳香族基または−OR7 を表し、R7 は脂肪族基または芳香族基を表す。
【0036】
一般式(II)中、より好ましくはトリアルキルホスフィンセレニド、トリアリールホスフィンセレニド、トリアルキルセレノホスフェートまたはトリアリールセレノホスフェートを表す。
【0037】
以下に一般式(II)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0042】
【化7】
Figure 0003667879
【0043】
【化8】
Figure 0003667879
【0044】
【化9】
Figure 0003667879
【0045】
【化10】
Figure 0003667879
【0046】
本発明で用いられるテルル増感剤は以下の一般式(a)で表される。
【0062】
一般式(a)
101 −(Te)n −R102
【0063】
一般式(a)中、R101 は脂肪族基、芳香族基、複素環基、−C(=X111)R111 を表し、R102 は脂肪族基、芳香族基、複素環基、水素原子、カチオン、−C(=X112)R112 を表す。ここで、R111 およびR112 は脂肪族基、芳香族基、複素環基、OR113 ,NR114 (R115 ),SR116 ,水素原子を表し、X111 およびX112 は酸素原子、硫黄原子、NR117 を表し、R111 ,R112 ,R113 ,R114 ,R115 ,R116 ,およびR117 は脂肪族基、芳香族基、複素環基、水素原子を表す。nは1または2を表す。
【0064】
次に一般式(a)について詳細に説明する。
【0065】
一般式(a)において、R101 ,R102 ,R111 ,R112 ,R113 ,R114 ,R115 ,R116 ,およびR117 で表される脂肪族基は好ましくは炭素数1〜30のものであって、特に炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルキル基、アルケニル基、アルケニル基、アラルキル基である。アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基、プロパルギル基、3−ペンチニル基、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
【0066】
一般式(a)において、R101 ,R102 ,R111 ,R112 ,R113 ,R114 ,R115 ,R116 およびR117 で表される芳香族基は好ましくは炭素数6〜30のものであって、特に炭素数6〜20の単環または縮環のアリール基であり、例えばフェニル基、ナフチル基が挙げられる。
【0067】
一般式(a)において、R101 ,R102 ,R111 ,R112 ,R113 ,R114 ,R115 ,R116 およびR117 で表される複素環基は窒素原子、酸素原子および硫黄原子のうち少なくとも一つを含む3〜10員環の飽和もしくは不飽和の複素環基である。これらは単環であってもよいし、さらに他の芳香環もしくは複素環と縮合環を形成してもよい。複素環基としては、好ましくは5〜6員環の芳香族複素環基であり、例えばピリジル基、フリル基、チエニル基、チアゾリル基、イミダゾリル基、ベンズイミダゾリル基等が挙げられる。
【0068】
これらの脂肪族基、芳香族基および複素環基は置換されていてもよい。置換基としては以下のものが挙げられる。
【0069】
代表的な置換基としては例えば、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホニル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、イミド基、アルキルチオ基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、ホスホノ基、ニトロ基、およびヘテロ環基等が挙げられる。これらの基はさらに置換されていてもよい。置換基が2つ以上あるときは同じでも異なっていてもよい。
【0070】
一般式(a)において、R102 で表されるカチオンはナトリウムイオン、カリウムイオンなどのアルカリ金属イオン、アンモニウムイオンなどを表す。
【0071】
一般式(a)において、好ましくは、R101 は−C(=X111)R111 を表し、R102 は脂肪族基、複素環基、−C(=X112)R112 を表す。
【0072】
一般式(a)において、より好ましくは、R101 は−C(=O)R111 を表し、R102 は−C(=O)R112 を表し、R111 およびR112 はNR114 (R115)またはOR116 を表し、R114 ,R115 およびR116 は脂肪族基、芳香族基または複素環基を表し、nは1を表す。
【0073】
さらに、より好ましくは、R101 は−C(=O)R111 を表し、R102 は−C(=O)R112 を表し、R111 およびR112 はNR114(R115)を表し、R114 ,R115 は脂肪族基、芳香族基を表し、nは1を表す。
【0101】
以下に一般式(a)で表される化合物の具体例を示すが、本発明に用いられる化合物はこれらに限定されるものではない。
【0102】
【化11】
Figure 0003667879
【0103】
更に、一般式(a)で表される化合物として以下のものが挙げられる。
ジベンゾイルテルリド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)テルリド、ビス(エトキシカルボニル)テルリド、ビス(N−メチル−N−フェニルカルバモイル)テルリド、ビス(N−メチル−N−フェニルカルバモイル)ジテルリド。
【0113】
本発明においては、前記のごときカルコゲン化合物によるセレン増感および/またはテルル増感による化学増感が少なくとも施されている。特に、テルル増感が少なくとも施されていることが好ましい。また、本発明においては、セレン増感、テルル増感をそれぞれ単独で用いてもよく、任意の組み合わせで用いてもよく、更に硫黄増感を行なってもよい。このような組み合わせとしては、硫黄増感とセレン増感および/またはテルル増感との組み合わせ、セレン増感とテルル増感との組み合わせ、硫黄増感とセレン増感とテルル増感との組み合わせが挙げられる。
【0114】
本発明におけるカルコゲン増感剤の使用量は本発明の効果が発現する限りにおいては特に制限はないが、ハロゲン化銀1モル当たり1×10-8モル以上1×10-1モル以下が好ましく、より好ましくは1×10-7モル以上1×10-2モル以下が好ましい。併用する場合、テルル化合物を含むことが特に好ましいが、テルル化合物の使用量は全体の20モル%以上とすることが好ましい。
【0115】
本発明においては、イソシアネート基を有する化合物を含有することを特徴とする。本発明において好ましく用いられるイソシアネート基を有する化合物としては式(A)で表わされる。
R−(N=C=O)n1 (A)
【0116】
式(A)中、n1は好ましくは1〜4である。Rの構造については特に制限はない。具体例としては、岩田敬治編「ポリウレタン樹脂ハンドブック」日刊工業新聞社(1987年)や今井嘉夫著「ポリウレタンフォーム」高分子刊行会(1987年)等に記載された公知の構造をもつ基を用いることができる。本発明においては脂肪族イソシアネート化合物あるいは芳香族イソシアネート化合物を好ましく用いることができる。さらに好ましくは芳香族イソシアネート化合物が用いられる。変性イソシアネートも好ましく用いられる。またポリイソシアネートおよびその変性体や誘導体と称されるウレタン変性体およびアダクト体、二量体、三量体、カルボジイミド体およびそれらのアダクト体、アロハネート変性体、ビュレット変性体、ウレア変性体、イソシアネートプレポリマー、ブロックイソシアネート等も本発明において好ましく用いられる。
【0117】
以下に具体例を示すが、本発明に用いられるイソシアネート基含有化合物はこれらに限定されるものではない。
【0118】
【化22】
Figure 0003667879
【0119】
【化23】
Figure 0003667879
【0120】
【化24】
Figure 0003667879
【0121】
本発明におけるイソシアネートは1種のみを用いても2種以上を併用してもよく、その好ましい使用量としては有機銀塩、特に有機酸銀1モル当たり−NCO当量として2×10-4当量以上10当量以下、より好ましくは、2×10-3当量以上3当量以下、さらに好ましくは4×10-3当量以上1当量以下の量で使用することができる。
【0122】
本発明においては下記式(B)のビニルスルホン化合物および/または下記(C)のβ−ハロスルホン化合物を好ましく用いることができる。特に好ましくは式(B)のビニルスルホン化合物である。このような化合物を用いることによってカブリ防止効果がさらに向上する。
【0123】
(CH2 =CH−SO2n2−L (B)
(XCH2 −CH2 −SO2n2−L (C)
【0124】
式(B)、(C)中:Xは塩素または臭素のようなハロゲン原子を表し、n2は1、2、3または4を表し、Lは有機結合基を表す。この有機結合基は例えば炭素数20以下のアルキル、アルケニル、アリールまたは(例えば、この分野で種々知られているアルカリールまたはアラルキルまたはアリールアルキル基のような)アルキルおよびアリール基の混合でもよい。
【0125】
アリール環はハロゲン(例えば、Br、Cl)、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、アルキル、アルコキシからなる群から選択される置換基を有してもよい。
【0126】
ここで、置換基を記載するのに「基」という用語を用いる場合は、この置換基の上の置換が意図される。例えば、アルキル基には、エーテル基(例えば、CH3 −CH2 −CH2 −O−CH2 −)、ハロアルキル、ニトロアルキル、カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキル、スルホアルキルなどが含まれる。他方、「アルキル」という用語には炭化水素のみが含まれる。非常に強力な電子吸引性または酸化性置換基のような活性成分と反応する置換基は、当然のことながら、不活性または無害でないとして排除される。
【0127】
本発明に用いる先のビニルスルホン[式(B)]およびβ−ハロスルホン[式(C)]の化合物の具体例を以下に列挙するが、本発明においてはこれらの具体例に限られるものではない。
【0128】
【化25】
Figure 0003667879
【0129】
ビニルスルホンB−7は式(B)に正確には適合していないが、n2=1でLがビニルスルホンのメチレンに接続するビニル基である場合には、閉環して5員環を形成する。化合物B−7は保存期間における安定化剤として機能し、種々のビニルスルホン化合物およびβ−ハロスルホン化合物が効果的なカブリ防止剤であることを示している。
【0130】
ビニルスルホンおよびジビニルスルホン化合物は文献、例えば米国特許第2994611号、同3061436号、同3132945号、同3490911号、同3527807号、同3593644号、同3642486号、同3642908号、同3839042号、同3841872号、同3597882号、同4088495号、同4108848号、同4137082号、および同4142897号で公知である。これらはベルギー特許819015号および米国特許第4173481号でも記載されている。
【0131】
式(B)、(C)の化合物は1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。
【0132】
式(B)および/または(C)の化合物は一般的に有機銀塩、特に有機酸銀1モルに対して少なくとも0.001モル用いる。通常、その範囲は有機銀塩、特に有機酸銀1モルに対して化合物は0.005〜5モル、好ましくは有機銀塩、特に有機酸銀1モルに対して化合物は0.01〜0.6である。
【0133】
次に本発明で用いられる感光性ハロゲン化銀粒子について説明する。本発明における感光性ハロゲン化銀の粒子サイズは、画像形成後の白濁を低く抑える目的のために小さいことが好ましく、具体的には0.20μm 以下、より好ましくは0.01μm 以上0.15μm 以下、更に好ましくは0.02μm 以上0.12μm 以下がよい。ここでいう粒子サイズとは、ハロゲン化銀粒子が立方体あるいは八面体のいわゆる正常晶である場合にはハロゲン化銀粒子の稜の長さをいう。また、ハロゲン化銀粒子が平板状粒子である場合には主表面の投影面積と同面積の円像に換算したときの直径をいう。その他正常晶でない場合、例えば、球状粒子、棒状粒子等の場合には、ハロゲン化銀粒子の体積と同等な球を考えたときの直径をいう。
【0134】
ハロゲン化銀粒子の形状としては立方体、八面体、平板状粒子、球状粒子、棒状粒子、ジャガイモ状粒子などを挙げることができるが、本発明において特に立方体状粒子、平板状粒子が好ましい。平板状ハロゲン化銀粒子を用いる場合の平均アスペクト比は好ましくは100:1〜2:1、より好ましくは50:1〜3:1がよい。更に、ハロゲン化銀粒子のコーナーが丸まった粒子も好ましく用いることができる。感光性ハロゲン化銀粒子の外表面の面指数(ミラー指数)については特に制限はないが、分光増感色素が吸着した場合の分光増感効率が高い{100}面の占める割合が高いことが好ましい。その割合としては50%以上が好ましく、65%以上がより好ましく、80%以上が更に好ましい。ミラー指数{100}面の比率は増感色素の吸着における{111}面と{100}、面との吸着依存性を利用したT.Tani:J.Imaging Sci.,29,165(1985年)に記載の方法により求めることができる。感光性ハロゲン化銀のハロゲン組成としては特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、臭化銀、ヨウ臭化銀、ヨウ塩臭化銀、ヨウ化銀のいずれであってもよいが、本発明においては臭化銀、あるいはヨウ臭化銀を好ましく用いることができる。特に好ましくはヨウ臭化銀あり、ヨウ化銀含有率は0.1モル%以上40モル%以下が好ましく、0.1モル%以上20モル%以下がより好ましい。粒子内におけるハロゲン組成の分布は均一であってもよく、ハロゲン組成がステップ状に変化したものでもよく、あるいは連続的に変化したものでもよいが、好ましい例として粒子内部のヨウ化銀含有率の高いヨウ臭化銀粒子を使用することができる。また、好ましくはコア/シェル構造を有すハロゲン化銀粒子を用いることができる。構造としては好ましくは2〜5重構造、より好ましくは2〜4重構造のコア/シェル粒子を用いることができる。
【0135】
本発明の感光性ハロゲン化銀粒子は、ロジウム、レニウム、ルテニウム、オスミウム、イリジウム、コバルトまたは鉄から選ばれる金属の錯体を少なくとも一種含有することが好ましい。これら金属錯体は1種類でもよいし、同種金属および異種金属の錯体を二種以上併用してもよい。好ましい含有率は銀1モルに対し1×10-9モルから1×10-2モルの範囲が好ましく、1×10-8モルから1×10-4の範囲がより好ましい。具体的な金属錯体の構造としては特開平7−225449号等に記載された構造の金属錯体を好ましく用いることができる。コバルト、鉄の化合物については六シアノ金属錯体を好ましく用いることができる。以下に具体例を示す。
【0136】
[Fe(CN)64-
[Fe(CN)63-
[Co(CN)63-
【0137】
ハロゲン化銀中の金属錯体の含有相は均一でも、コア部に高濃度に含有させてもよく、あるいはシェル部に高濃度に含有させてもよく特に制限はない。
【0138】
感光性ハロゲン化銀粒子はヌードル法、フロキュレーション法等、当業界で知られている方法の水洗により脱塩することができるが、本発明においては脱塩してもしなくてもよい。
【0139】
本発明においては金化合物や白金、パラジウム、イリジウム化合物等の貴金属増感法や還元増感法を好ましく用いることができる。貴金属増感法に好ましく用いられる化合物としては、例えば塩化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムオーリチオシアネート、硫化金、金セレナイド、あるいは米国特許第2448060号、英国特許第618061号等に記載されている化合物を好ましく用いることができる。還元増感法の具体的な化合物としてはアスコルビン酸、2酸化チオ尿素の他に、例えば塩化第一スズ、アミノイミノメタンスルフィン酸、ヒドラジン誘導体、ボラン化合物、シラン化合物、ポリアミン化合物等を用いることができる。また、乳剤のpHを7以上またはpAgを8.3以下に保持して熟成することにより還元増感することができる。また、粒子形成中に銀イオンのシングルアディション部分を導入することにより還元増感することができる。
【0140】
本発明の感光性ハロゲン化銀の使用量としては有機銀塩1モルに対して感光性ハロゲン化銀0.01モル以上0.5モル以下が好ましく、0.02モル以上0.3モル以下がより好ましく、0.03モル以上0.25モル以下が特に好ましい。別々に調製した感光性ハロゲン化銀と有機銀塩と混合方法および混合条件については、それぞれ調製終了したハロゲン化銀粒子と有機銀塩を高速攪拌機やボールミル、サンドミル、コロイドミル、振動ミル、ホモジナイザー等で混合する方法や、あるいは有機銀塩の調製中のいずれかのタイミングで調製終了した感光性ハロゲン化銀を混合して有機銀塩を調製する方法等があるが、本発明の効果が十分に現われる限りにおいては特に制限はない。
【0141】
本発明に用いることのできる有機銀塩は、光に対して比較的安定であるが、露光された光触媒(感光性ハロゲン化銀の潜像など)および還元剤の存在下で、80℃あるいはそれ以上に加熱された場合に銀画像を形成する銀塩である。有機銀塩は銀イオンを還元できる源を含む任意の有機物質であってよい。有機酸の銀塩、特に(炭素数が10〜30、好ましくは15〜28の)長鎖脂肪カルボン酸の銀塩が好ましい。配位子が4.0〜10.0の範囲の錯安定度定数を有する有機または無機銀塩の錯体も好ましい。銀供給物質は、好ましくは画像形成層の約5〜30重量%を構成することができる。好ましい有機銀塩はカルボキシ基を有する有機化合物の銀塩を含む。これらの例は、脂肪族カルボン酸の銀塩および芳香族カルボン酸の銀塩を含むがこれらに限定されるものではない。脂肪族カルボン酸の銀塩の好ましい例としては、ベヘン酸銀、ステアリン酸銀、オレイン酸銀、ラウリン酸銀、カプロン酸銀、ミリスチン酸銀、パルミチン酸銀、マレイン酸銀、フマル酸銀、酒石酸銀、リノール酸銀、酪酸銀および樟脳酸銀、これらの混合物などを含む。
【0142】
メルカプト基またはチオン基を含む化合物の銀塩およびこれらの誘導体を使用することもできる。これらの化合物の好ましい例としては、3−メルカプト−4−フェニル−1,2,4−トリアゾールの銀塩、2−メルカプトベンズイミダゾールの銀塩、2−メルカプト−5−アミノチアジアゾールの銀塩、2−(エチルグリコールアミド)ベンゾチアゾールの銀塩、S−アルキルチオグリコール酸(ここでアルキル基の炭素数は12〜22である)の銀塩などのチオグリコール酸の銀塩、ジチオ酢酸の銀塩などのジチオカルボン酸の銀塩、チオアミドの銀塩、5−カルボキシル−1−メチル−2−フェニル−4−チオピリジンの銀塩、メルカプトトリアジンの銀塩、2−メルカプトベンズオキサゾールの銀塩、米国特許第4123274号に記載の銀塩、例えば3−アミノ−5−ベンジルチオ−1,2,4−チアゾールの銀塩などの1,2,4−メルカプトチアゾール誘導体の銀塩、米国特許第3301768号に記載の3−(3−カルボキシエチル)−4−メチル−4−チアゾリン−2−チオンの銀塩などのチオン化合物の銀塩を含む。更に、イミノ基を含む化合物を使用することができる。これらの化合物の好ましい例としては、ベンゾトリアゾールの銀塩およびそれらの誘導体、例えばメチルベンゾトリアゾール銀などのベンゾトリアゾールの銀塩、5−クロロベンゾトリアゾール銀などのハロゲン置換ベンゾトリアゾールの銀塩、米国特許第4220709号に記載のような1,2,4−トリアゾールまたは1−H−テトラゾールの銀塩、イミダゾールおよびイミダゾール誘導体の銀塩などを含む。例えば、米国特許第4761361号および同第4775613号に記載のような種々の銀アセチリド化合物を使用することもできる。
【0143】
本発明に用いることができる有機銀塩の形状としては特に制限はないが、短軸と長軸を有する針状結晶が好ましい。感光性ハロゲン化銀感光材料でよく知られているように銀塩結晶粒子のサイズとその被覆力の間の反比例の関係は本発明における熱現像感光材料においても成立し、すなわち熱現像感光材料の画像形成部である有機銀塩粒子が大きいと被覆力が小さく画像濃度が低くなることを意味することから有機銀塩のサイズを小さくすることが必要である。本発明においては短軸0.01μm 以上0.20μm 以下、長軸0.10μm 以上5.0μm 以下が好ましく、短軸0.01μm 以上0.15μm 以下、長軸0.10μm 以上4.0μm 以下がより好ましい。有機銀塩の粒子サイズ分布は単分散であることが好ましい。単分散とは短軸、長軸それぞれの長さの標準偏差を短軸、長軸それぞれで割った値の百分率が好ましくは100%以下、より好ましくは、80%以下、さらに好ましくは50%以下がよい。有機銀塩の形状の測定方法としては有機銀塩分散物の透過型電子顕微鏡像より求めることができる。単分散性を測定する別の方法として、有機銀塩の体積荷重平均直径の標準偏差を求める方法があり、体積荷重平均直径で割った値の百分率(変動係数)が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、さらに好ましくは50%以下である。測定方法としては例えば液中に分散した有機銀塩にレーザー光を照射し、その散乱光のゆらぎの時間変化に対する自己相関係数を求めることにより得られた粒子サイズ(体積荷重平均直径)から求めることができる。
【0144】
本発明の感光材料における有機銀塩、特に有機酸銀の塗布量は感光材料1m2当たり0.5〜5.0g が好ましく、さらには1.0〜3.0g が好ましい。
【0145】
有機銀塩のための還元剤は、銀イオンを金属銀に還元する任意の物質、好ましくは有機物質であってよい。フェニドン、ハイドロキノンおよびカテコールなどの従来の写真現像剤は有用であるが、ヒンダードフェノール還元剤が好ましい。還元剤は、画像形成層の1〜10重量%として存在することが好ましい。多層構成において、還元剤をエマルジョン層以外の層に加える場合は、わずかに高い割合である約2〜15重量%がより望ましい傾向がある。
【0146】
有機銀塩を利用した熱現像感光材料においては広範囲の還元剤が開示されている。例えば、フェニルアミドオキシム、2−チエニルアミドオキシムおよびp−フェノキシフェニルアミドオキシムなどのアミドオキシム;例えば4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンズアルデヒドアジンなどのアジン;2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオニル−β−フェニルヒドラジンとアスコルビン酸との組合せのような脂肪族カルボン酸アリールヒドロアジドとアスコルビン酸との組合せ;ポリヒドロキシベンゼンと、ヒドロキシルアミン、レダクトンおよび/またはヒドラジンの組合せ(例えばハイドロキノンと、ビス(エトキシエチル)ヒドロキシルアミン、ピペリジノヘキソースレダクトンまたはホルミル−4−メチルフェニルヒドラジンの組合せなど);フェニルヒドロキサム酸、p−ヒドロキシフェニルヒドロキサム酸およびβ−アニリンヒドロキサム酸などのヒドロキサム酸;アジンとスルホンアミドフェノールとの組合せ(例えば、フェノチアジンと2,6−ジクロロ−4−ベンゼンスルホンアミドフェノールなど);エチル−α−シアノ−2−メチルフェニルアセテート、エチル−α−シアノフェニルアセテートなどのα−シアノフェニル酢酸誘導体;2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビナフチル、6,6’−ジブロモ−2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビナフチルおよびビス(2−ヒドロキシ−1−ナフチル)メタンに例示されるようなビス−β−ナフトール;ビス−β−ナフトールと1,3−ジヒドロキシベンゼン誘導体(例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンまたは2’,4’−ジヒドロキシアセトフェノンなど)の組合せ;3−メチル−1−フェニル−5−ピラゾロンなどの、5−ピラゾロン;ジメチルアミノヘキソースレダクトン、アンヒドロジヒドロアミノヘキソースレダクトンおよびアンヒドロジヒドロピペリドンヘキソースレダクトンに例示されるようなレダクトン;2,6−ジクロロ−4−ベンゼンスルホンアミドフェノールおよびp−ベンゼンスルホンアミドフェノールなどのスルホンアミドフェノール還元剤;2−フェニルインダン−1,3−ジオンなど;2,2−ジメチル−7−t−ブチル−6−ヒドロキシクロマンなどのクロマン;2,6−ジメトキシ−3,5−ジカルボエトキシ−1,4−ジヒドロピリジンなどの1,4−ジヒドロピリジン;ビスフェノール(例えば、ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、4,4−エチリデン−ビス(2−t−ブチル−6−メチルフェノール)、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5−トリメチルヘキサンおよび2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンなど);アスコルビン酸誘導体(例えば、パルミチン酸1−アスコルビル、ステアリン酸アスコルビルなど);ならびにベンジルおよびビアセチルなどのアルデヒドおよびケトン;3−ピラゾリドンおよびある種のインダン−1,3−ジオンなどがある。
【0147】
本発明における増感色素としてはハロゲン化銀粒子に吸着した際、所望の波長領域でハロゲン化銀粒子を分光増感できるものであればいかなるものでもよい。
【0148】
増感色素としては、シアニン色素、メロシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、ホロホーラーシアニン色素、スチリル色素、ヘミシアニン色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素等を用いることができる。
【0149】
本発明に使用される有用な増感色素は例えばRESEARCH DISCLOSURE Item 17643IV-A項 (1978年12月p.23) 、同Item 1831X項 (1979年 8月p.437)に記載もしくは引用された文献に記載されている。
【0150】
特に各種レーザーイメージャー、スキャナー、イメージセッターや製版カメラの光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択することができる。
【0151】
赤色光への分光増感の例としては、He−Neレーザー光源に対しては、特開昭54−18726号に記載のI−1からI−38の化合物、特開平6−75322号に記載のI−1からI−35の化合物および特開平7−287338号に記載のI−1からI−34の化合物、LED光源に対しては特公昭55−39818号に記載の色素1から20、特開昭62−284343号に記載のI−1からI−37号の化合物および特開平7−287338号に記載のI−1からI−34の化合物などが有利に選択される。
【0152】
750〜1400nmの範囲のいずれかの波長領域でハロゲン化銀粒子を分光増感する。具体的には、感光性ハロゲン化銀を、シアニン、メロシアニン、スチリル、ヘミシアニン、オキソノール、ヘミオキソノールおよびキサンテン色素を含む種々の既知の色素により、スペクトル的に有利に増感させることができる。有用なシアニン色素は、例えば、チアゾリン核、オキサゾリン核、ピロリン核、ピリジン核、オキサゾール核、チアゾール核、セレナゾール核およびイミダゾール核などの塩基性核を有するシアニン色素である。有用なメロシアニン染料で好ましいものは、上記の塩基性核に加えて、チオヒダントイン核、ローダニン核、オキサゾリジンジオン核、チアゾリンジオン核、バルビツール酸核、チアゾリノン核、マロノニトリル核およびピラゾロン核などの酸性核も含む。上記のシアニンおよびメロシアン色素において、イミノ基またはカルボキシル基を有するものが特に効果的である。例えば、米国特許第3761279号、同第3719495号、同第3877943号、英国特許第1466201号、同第1469117号、同第1422057号、特公平3−10391号、特公平6−52387号、特開平5−341432号、特開平6−194781号、特開平6−301141号に記載されたような既知の色素から適当に選択してよい。特に好ましい色素の構造としてはチオエーテル結合を有するシアニン色素であり、その例としては特開昭62−58239号、同3−138638号、同3−138642号、同4−255840号、同5−72659号、同5−72661号、同6−222491号、同2−230506号、同6−258757号、同6−317868号、同6−324425号、特表平7−500926号に記載されたシアニン色素が挙げられる。
【0153】
これらの増感色素は単独に用いてもよいが、それらの組合せを用いてもよく、増感色素の組合せは、特に強色増感の目的でしばしば用いられる。増感色素とともに、それ自身分光増感作用をもたない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感を示す物質を乳剤中に含んでもよい。
【0154】
有用な増感色素、強色増感を示す色素の組合せおよび強色増感を示す物質はリサーチ・ディスクロージャ(Research Disclosure) 176巻 17643 (1978年12月発行)第23頁IVのJ項、あるいは前述の特公昭49-25500号、同43−4933号、特開昭59−19032号、同59−192242号等に記載されている。
【0155】
本発明に用いられる増感色素は2種以上を併用してもよい。増感色素をハロゲン化銀乳剤中に添加させるには、それらを直接乳剤中に分散してもよいし、あるいは水、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、メチルセロソルブ、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、3−メトキシ−1−プロパノール、3−メトキシ−1−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、N,N−ジメチルホルムアミド等の溶媒の単独もしくは混合溶媒に溶解して乳剤に添加してもよい。
【0156】
また、米国特許第3469987号明細書等に開示されているように、色素を揮発性の有機溶剤に溶解し、この溶液を水または親水性コロイド中に分散し、この分散物を乳剤中へ添加する方法、特公昭44−23389号、同44−27555号、同57−22091号等に開示されているように、色素を酸に溶解し、この溶液を乳剤中に添加したり、酸または塩基を共存させて水溶液として乳剤中へ添加する方法、米国特許第3822135号、同第4006025号明細書等に開示されているように界面活性剤を共存させて水溶液あるいはコロイド分散物としたものを乳剤中に添加する方法、特開昭53−102733号、同58−105141号に開示されているように親水性コロイド中に色素を直接分散させ、その分散物を乳剤中に添加する方法、特開昭51−74624号に開示されているように、レッドシフトさせる化合物を用いて色素を溶解し、この溶液を乳剤中へ添加する方法を用いることもできる。また、溶液に超音波を用いることもできる。
【0157】
本発明に用いる増感色素を本発明のハロゲン化銀乳剤中に添加する時期は、これまで有用であることが認められている乳剤調製のいかなる工程中であってもよい。例えば米国特許第2735766号、同第3628960号、同第4183756号、同第4225666号、特開昭58−184142号、同60−196749号等の明細書に開示されているように、ハロゲン化銀の粒子形成工程および/または脱塩前の時期、脱銀工程中および/または脱塩後から化学熟成の開始前までの時期、特開昭58−113920号等の明細書に開示されているように、化学熟成の直前または工程中の時期、化学熟成後、塗布までの時期の乳剤が塗布される前ならばいかなる時期、工程において添加されてもよい。また、米国特許第4225666号、特開昭58−7629号等の明細書に開示されているように、同一化合物を単独で、または異種構造の化合物と組み合わせて、例えば粒子形成工程中と化学熟成工程中または化学熟成完了後とに分けたり、化学熟成の前または工程中と完了後とに分けるなどして分割して添加してもよく、分割して添加する化合物および化合物の組合せの種類を変えて添加してもよい。
【0158】
本発明には現像を抑制あるいは促進させ現像を制御するため、分光増感効率を向上させるため、現像前後の保存性を向上させるためなどにメルカプト化合物、ジスルフィド化合物、チオン化合物を含有させることができる。
【0159】
本発明にメルカプト化合物を使用する場合、いかなる構造のものでもよいが、Ar−SM、Ar−S−S−Arで表されるものが好ましい。式中、Mは水素原子またはアルカリ金属原子であり、Arは1個以上の窒素、イオウ、酸素、セレニウムまたはテルリウム原子を有する芳香環または縮合芳香環である。好ましくは、複素芳香環はベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、ベンゾチアゾール、ナフトチアゾール、ベンズオキサゾール、ナフトオキサゾール、ベンゾセレナゾール、ベンゾテルゾール、イミダゾール、オキサゾール、ピラゾール、トリアゾール、チアジアゾール、テトラゾール、トリアジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ピリジン、プリン、キノリンまたはキナゾリノンである。この複素芳香環は、例えば、ハロゲン(例えば、BrおよびCl)、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、アルキル(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するもの)およびアルコキシ(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するもの)からなる置換基群から選択されるものを有してもよい。メルカプト置換複素芳香族化合物をとしては、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプト−5−メチルベンズイミダゾール、6−エトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール、2,2’−ジチオビス−ベンゾチアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、4,5−ジフェニル−2−イミダゾールチオール、2−メルカプトイミダゾール、1−エチル−2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトキノリン、8−メルカプトプリン、2−メルカプト−4(3H)−キナゾリノン、7−トリフルオロメチル−4−キノリンチオール、2,3,5,6−テトラクロロ−4−ピリジンチオール、4−アミノ−6−ヒドロキシ−2−メルカプトピリミジンモノヒドレート、2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、4−ヒドロキシ−2−メルカプトピリミジン、2−メルカプトピリミジン、4,6−ジアミノ−2−メルカプトピリミジン、2−メルカプト−4−メチルピリミジンヒドロクロリド、3−メルカプト−5−フェニル−1,2,4−トリアゾール、2−メルカプト−4−フェニルオキサゾールなどが挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
【0160】
これらのメルカプト化合物の添加量としては乳剤層中に銀1モル当たり0.001〜1.0モルの範囲が好ましく、さらに好ましくは、銀の1モル当たり0.01〜0.3モルの量である。
【0161】
前述の成分に加えて、画像を向上させる「色調剤」として知られる添加剤を含むと有利になることがある。例えば、色調剤材料は全銀保持成分の0.1〜10重量%の量で存在してもよい。色調剤は、米国特許第3080254号、同第3847612号および同第4123282号に示されるように、写真技術において周知の材料である。
【0162】
色調剤の例は、フタルイミドおよびN−ヒドロキシフタルイミド;スクシンイミド、ピラゾリン−5−オン、ならびにキナゾリノン、3−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、1−フェニルウラゾール、キナゾリンおよび2,4−チアゾリジンジオンのような環状イミド;ナフタルイミド(例えば、N−ヒドロキシ−1,8−ナフタルイミド);コバルト錯体(例えば、コバルトヘキサミントリフルオロアセテート);3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、2,4−ジメルカプトピリミジン、3−メルカプト−4,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾールおよび2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールに例示されるメルカプタン;N−(アミノメチル)アリールジカルボキシイミド[例えば、(N,N−ジメチルアミノメチル)フタルイミドおよびN,N−(ジメチルアミノメチル)−ナフタレン−2,3−ジカルボキシイミド);ならびにブロック化ピラゾール、イソチウロニウム誘導体およびある種の光退色剤(例えば、N,N’−ヘキサメチレンビス(1−カルバモイル−3,5−ジメチルピラゾール)、1,8−(3,6−ジアザオクタン)ビス(イソチウロニウムトリフルオロアセテート)および2−トリブロモメチルスルホニル)−(ベンゾチアゾール)];ならびに3−エチル−5[(3−エチル−2−ベンゾチアゾリニリデン)−1−メチルエチリデン]−2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン;フタラジノン、フタラジノン誘導体もしくは金属塩、または4−(1−ナフチル)フタラジノン、6−クロロフタラジノン、5,7−ジメトキシフタラジノンおよび2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオンなどの誘導体;フタラジノンとフタル酸誘導体(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸およびテトラクロロ無水フタル酸など)との組合せ;フタラジン、フタラジン誘導体もしくは金属塩、または4−(1−ナフチル)フタラジン、6−クロロフタラジン、5,7−ジメトキシフタラジンおよび2,3−ジヒドロフタラジンなどの誘導体;フタラジンとフタル酸誘導体(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸およびテトラクロロ無水フタル酸など)との組合せ;キナゾリンジオン、ベンズオキサジンまたはナフトオキサジン誘導体;色調調節剤としてだけでなくその場でハロゲン化銀生成のためのハライドイオンの源としても機能するロジウム錯体、例えばヘキサクロロロジウム(III) 酸アンモニウム、臭化ロジウム、硝酸ロジウムおよびヘキサクロロロジウム(III) 酸カリウムなど;無機過酸化物および過硫酸塩、例えば、過酸化二硫化アンモニウムおよび過酸化水素;1,3−ベンズオキサジン−2,4−ジオン、8−メチル−1,3−ベンズオキサジン−2,4−ジオンおよび6−ニトロ−1,3−ベンズオキサジン−2,4−ジオンなどのベンズオキサジン−2,4−ジオン;ピリミジンおよび不斉−トリアジン(例えば、2,4−ジヒドロキシピリミジン、2−ヒドロキシ−4−アミノピリミジンなど)、アザウラシル、およびテトラアザペンタレン誘導体(例えば、3,6−ジメルカプト−1,4−ジフェニル−1H,4H−2,3a,5,6a−テトラアザペンタレン、および1,4−ジ(o−クロロフェニル)−3,6−ジメルカプト−1H,4H−2,3a,5,6a−テトラアザペンタレン)などがある。
【0163】
本発明の熱現像感光材料は画像形成層の付着防止などの目的で表面保護層を設けることができる。表面保護層としては、いかなる付着防止材料を使用してもよい。付着防止材料の例としては、ワックス、シリカ粒子、スチレン含有エラストマー性ブロックコポリマー(例えば、スチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−イソプレン−スチレン)、酢酸セルロース、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネートやこれらの混合物などがある。
【0164】
本発明における乳剤層(感光層)もしくは乳剤層の保護層には、米国特許第3253921号、同第2274782号、同第2527583号および同第2956879号に記載されているような光吸収物質およびフィルター染料を使用することができる。また、例えば米国特許第3282699号に記載のように染料を媒染することができる。
【0165】
本発明における乳剤層もしくは乳剤層の保護層には、艶消剤、例えばデンプン、二酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、米国特許第2992101号および同第2701245号に記載された種類のビーズを含むポリマービーズなどを含有することができる。また、乳剤面のマット度は星屑故障が生じなければいかようでもよいが、ベック平滑度が500秒以上10000秒以下が好ましく、特に1000秒以上10000秒以下が好ましい。
【0166】
本発明における乳剤層のバインダーとしては、よく知られている天然または合成樹脂、例えば、ゼラチン、ポリビニルアセタール、ポリビニルクロリド、ポリビニルアセテート、セルロースアセテート、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネートなどから任意のものを選択することができる。当然ながら、コポリマーおよびターポリマーも含まれる。好ましいポリマーは、ポリビニルブチラール、ブチルエチルセルロース、メタクリレートコポリマー、無水マレイン酸エステルコポリマー、ポリスチレンおよびブタジエン−スチレンコポリマーである。必要に応じて、これらのポリマーを2種またはそれ以上組み合わせて使用することができる。そのようなポリマーは、成分をその中に保持するのに十分な量で使用される。すなわち、バインダーとして機能するのに効果的な範囲で使用される。効果的な範囲は、当業者が適切に決定することができる。少なくとも有機銀塩を保持する場合の目安として、バインダー対有機銀塩の割合は、重量比で15:1〜1:2、特に8:1〜1:1の範囲が好ましい。
【0167】
本発明における熱現像感光材料は、前述のとおり、支持体の一方の側に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤を含む感光性層を有し、他方の側にバック層(バッキング層)を有する、いわゆる片面感光材料であることが好ましい。
【0168】
本発明において片面感光材料は、搬送性改良のためにマット剤を添加してもよい。マット剤は、一般に水に不溶性の有機または無機化合物の微粒子である。マット剤としては任意のものを使用でき、例えば米国特許第1939213号、同第2701245号、同第2322037号、同第32626782号、同第3539344号、同第3767448号等の各明細書に記載の有機マット剤、同第1260772号、同第2192241号、同第3257206号、同第3370951号、同第3523022号、同第3769020号等の各明細書に記載の無機マット剤など当業界でよく知られたものを用いることができる。例えば具体的にはマット剤として用いることのできる有機化合物の例としては、水分散性ビニル重合体の例としてポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−α−メチルスチレン共重合体、ポリスチレン、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリビニルアセテート、ポリエチレンカーボネート、ポリテトラフルオロエチレンなど、セルロース誘導体の例としてはメチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネートなど、澱粉誘導体の例としてカルボキシ澱粉、カルボキシニトロフェニル澱粉、尿素−ホルムアルデヒド−澱粉反応物など、公知の硬化剤で硬化したゼラチンおよびコアセルベート硬化して微小カプセル中空粒体とした硬化ゼラチンなどを好ましく用いることができる。無機化合物の例としては二酸化ケイ素、二酸化チタン、二酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、公知の方法で減感した塩化銀、同じく臭化銀、ガラス、珪藻土などを好ましく用いることができる。上記のマット剤は必要に応じて異なる種類の物質を混合して用いることができる。マット剤の大きさ、形状に特に限定はなく、任意の粒径のものを用いることができる。本発明の実施に際しては0.1μm 〜30μm の粒径のものを用いるのが好ましい。また、マット剤の粒径分布は狭くても広くてもよい。一方、マット剤は感光材料のヘイズ、表面光沢に大きく影響することから、マット剤作製時あるいは複数のマット剤の混合により、粒径、形状および粒径分布を必要に応じた状態にすることが好ましい。
【0169】
本発明においてバック層のマット度としてはベック平滑度が250秒以下10秒以上が好ましく、さらに好ましくは180秒以下50秒以上である。
【0170】
本発明において、マット剤は感光材料の最外表面層もしくは最外表面層として機能する層、あるいは外表面に近い層に含有されるのが好ましく、またいわゆる保護層として作用する層に含有されることが好ましい。
【0171】
本発明においてバック層の好適なバインダーは透明または半透明で、一般に無色であり、天然ポリマー合成樹脂やポリマーおよびコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば:ゼラチン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルピロリドン)、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(ビニルアセタール)類[例えば、ポリ(ビニルホルマール)およびポリ(ビニルブチラール)]、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテート)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類がある。バインダーは水または有機溶媒またはエマルションから被覆形成してもよい。
【0172】
本発明においてバック層は、所望の波長範囲での最大吸収が0.05以上2以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.2以上2以下の赤外吸収であり、かつ可視領域においての吸収が0.001以上0.5未満であることが好ましく、さらに好ましくは0.001以上0.3未満の光学濃度を有するハレーション防止層であることが好ましい。
【0173】
本発明でハレーション防止染料を使用する場合、染料は所望の波長範囲で目的の吸収を有し、可視領域での吸収が十分少なく、上記バック層の好ましい吸光度スペクトルの形状が得られればいかなる化合物でもよい。例えば、特開平7−13295号、米国特許第5380635号記載の化合物、特開平2−68539号公報第13頁左下欄1行目から同第14頁左下欄9行目、同3−24539号公報第14頁左下欄から同第16頁右下欄記載の化合物が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0174】
米国特許第4460681号および同第4374921号に示されるような裏面抵抗性加熱層(backside resistive heatinng layer) を感光性熱現像写真画像系に使用することもできる。
【0175】
本発明におけるハロゲン化銀乳剤および/または有機銀塩は、カブリ防止剤、安定剤および安定剤前駆体によって、付加的なカブリの生成に対してさらに保護され、在庫貯蔵中における感度の低下に対して安定化することができる。単独または組み合わせて使用することができる適当なカブリ防止剤、安定剤および安定剤前駆体は、米国特許第2131038号および同第2694716号に記載のチアゾニウム塩、米国特許第2886437号および同第2444605号に記載のアザインデン、米国特許第2728663号に記載の水銀塩、米国特許第3287135号に記載のウラゾール、米国特許第3235652号に記載のスルホカテコール、英国特許第623448号に記載のオキシム、ニトロン、ニトロインダゾール、米国特許第2839405号に記載の多価金属塩、米国特許第3220839号に記載のチウロニウム塩、ならびに米国特許第2566263号および同第2597915号に記載のパラジウム、白金および金塩、米国特許第4108665号および同第4442202号に記載のハロゲン置換有機化合物、米国特許第4128557号および同第4137079号、同第4138365号および同第4459350号に記載のトリアジンならびに米国特許第4411985号に記載のリン化合物などがある。
【0176】
本発明における感光層には、可塑剤および潤滑剤として多価アルコール(例えば、米国特許第2960404号に記載された種類のグリセリンおよびジオール)、米国特許第2588765号および同第3121060号に記載の脂肪酸またはエステル、英国特許第955061号に記載のシリコーン樹脂などを用いることができる。
【0177】
本発明の感光層、保護層、バック層など各層には本発明のイソシアネート類以外の硬膜剤を用いてもよい。硬膜剤の例としては、米国特許第4791042号などに記載されているエポキシ化合物類、特開昭62−89048号などに記載されているビニルスルホン系化合物類などが用いられる。
【0178】
本発明には塗布性、帯電改良などを目的として界面活性剤を用いてもよい。界面活性剤の例としては、ノニオン系、アニオン系、カチオン系、フッ素系などいかなるものも適宜用いられる。具体的には、特開昭62−170950号、米国特許第5382504号などに記載のフッ素系高分子界面活性剤、特開昭60−244945号、特開昭63−188135号などに記載のフッ素系界面活性剤、米国特許第3885965号などに記載のポリシロキ酸系界面活性剤、特開平6−301140号などに記載のポリアルキレンオキサイドやアニオン系界面活性剤などが挙げられる。
【0179】
本発明における熱現像用写真乳剤は、種々の支持対上に被覆させることができる。典型的な支持体は、ポリエステルフィルム、下塗りポリエステルフィルム、ポリ(エチレンテレフタレート)フィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、硝酸セルロースフィルム、セルロースエステルフィルム、ポリ(ビニルアセタール)フィルム、ポリカーボネートフィルムおよび関連するまたは樹脂状の材料、ならびにガラス、紙、金属などを含む。可撓性基材、特に部分的にアセチル化された、もしくはバライダおよび/またはα−オレフィンポリマー、特にポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−ブテンコポリマーなどの炭素数2〜10のα−オレフィンのポリマーによりコートされた紙支持体が、典型的に用いられる。支持体は透明であっても不透明であってもよいが、透明であることが好ましい。
【0180】
本発明の熱現像感光材料は、帯電防止または導電性層、例えば、可溶性塩(例えば塩化物、硝酸塩など)、蒸着金属層、米国特許第2861056号および同第3206312号に記載のようなイオン性ポリマーまたは米国特許第3428451号に記載のような不溶性無機塩などを含む層などを有してもよい。
【0181】
本発明の熱現像感光材料を用いてカラー画像を得る方法としては特開平7−13295号10頁左欄43行目から11頁左欄40行目に記載の方法がある。また、カラー染料画像の安定剤としては英国特許第1326889号、米国特許第3432300号、同第3698909号、同第3574627号、同第3573050号、同第3764337号および同第4042394号に例示されている。
【0182】
本発明における熱現像用写真乳剤は、浸漬コーティング、エアナイフコーティング、フローコーティングまたは米国特許第2681294号に記載の種類のホッパーを用いる押出コーティングを含む種々のコーティング操作により被覆することができる。所望により、米国特許第2761791号および英国特許第837095号に記載の方法により2層またはそれ以上の層を同時に被覆することができる。
【0183】
本発明の熱現像感光材料の中に追加の層、例えば反射印刷が望まれる場合の不透明化層、保護トップコート層および光熱写真技術において既知のプライマー層などを含むことができる。ただし、本発明の熱現像感光材料は移動染料画像を受容するための染料受容層は含まない。また、本発明の感光材料はその感光材料1枚のみで画像形成されるもので、受像層等の画像形成に必要な機能性層が別の部材となるものは含まない
【0184】
本発明を実施するために必要ではないが、乳剤層にカブリ防止剤として水銀(II)塩を加えることが有利なことがある。この目的に好ましい水銀(II)塩は、酢酸水銀および臭化水銀である。本発明に使用する感光性ハロゲン化銀は、一般に、有機銀塩の0.75〜25モル%、好ましくは2〜20モル%の範囲で使用できる。
【0185】
本発明においてはヒドラジン誘導体を好ましく用いることができ、特願平6-47961 号に記載の一般式(I) の化合物が好ましく用いられる。具体的には、同明細書に記載のI-1 〜I-53で表される化合物が用いられる。
【0186】
また下記のヒドラジン誘導体も好ましく用いられる。
【0187】
特公平6-77138 号に記載の(化1)で表される化合物で、具体的には同公報3頁、4頁に記載の化合物。特公平6-93082 号に記載の一般式(I) で表される化合物で、具体的には同公報8頁〜18頁に記載の1〜38の化合物。特開平6-230497号に記載の一般式(4) 、一般式(5) および一般式(6) で表される化合物で、具体的には同公報25頁、26頁に記載の化合物4-1 〜化合物4-10、28頁〜36頁に記載の化合物5-1 〜5-42、および39頁、40頁に記載の化合物6-1 〜化合物6-7 。特開平6-289520号に記載の一般式(1) および一般式(2) で表される化合物で、具体的には同公報5 頁〜7 頁に記載の化合物1-1)〜1-17) および2-1) 。特開平6-313936号に記載の(化2)および(化3)で表される化合物で、具体的には同公報6頁〜19頁に記載の化合物。特開平6-313951号に記載の(化1)で表される化合物で、具体的には同公報3頁〜5頁に記載の化合物。特開平7-5610号に記載の一般式(I) で表される化合物で、具体的には同公報5頁〜10頁に記載の化合物I-1 〜I-38。特開平7-77783 号に記載の一般式(II)で表される化合物で、具体的には同公報10頁〜27頁に記載の化合物II-1〜II-102。特開平7-104426号に記載の一般式(H) および一般式(Ha)で表される化合物で、具体的には同公報8 頁〜15頁に記載の化合物H-1 〜H-44。特願平7ー191007号に記載のヒドラジン基の近傍にアニオン性基またはヒドラジンの水素原子と分子内水素結合を形成するノニオン性基を有することを特徴とする化合物で、特に一般式(A) 、一般式( B)、一般式(C) 、一般式(D) 、一般式(E) 、一般式(F) で表される化合物で、具体的には同公報に記載の化合物N-1 〜N-30。特願平7ー191007号に記載の一般式(1) で表される化合物で、具体的には同公報に記載の化合物D-1 〜D-55。
【0188】
本発明のヒドラジン系造核剤は、適当な有機溶媒、例えばアルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、フッ素化アルコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブなどに溶解して用いることができる。
【0189】
また、既によく知られている乳化分散法によって、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製して用いることができる。あるいは固体分散法として知られている方法によって、ヒドラジン誘導体の粉末を水の中にボールミル、コロイドミル、あるいは超音波によって分散し用いることができる。
【0190】
本発明のヒドラジン造核剤は、支持体に対して有機銀塩塗布層側の有機銀塩塗布層あるいは他の塗布層のどの層に添加してもよいが、有機銀塩塗布層あるいはそれに隣接する塗布層に添加することが好ましい。
【0191】
本発明の造核剤添加量は有機銀塩1モルに対し1μモル〜10m モルが好ましく、10μモル〜5m モルがより好ましく、20μモル〜5m モルが最も好ましい。
【0192】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
【0193】
実施例1
<ハロゲン化銀粒子の調製>
水700mlにフタル化ゼラチン22g および臭化カリウム30mgを溶解して温度35℃にてpHを5.0に合わせた後、硝酸銀18.6g を含む水溶液159mlと臭化カリウムと沃化カリウムを92:8のモル比で含む水溶液をpAg 7.7に保ちながらコントロールダブルジェット法で10分間かけて添加した。ついで、硝酸銀55.4g を含む水溶液476mlと六塩化イリジウム酸二カリウムを20μモル/リットル と臭化カリウムを1モル/リットル で含む水溶液をpAg 7.7に保ちながらコントロールダブルジェット法で30分かけて添加した。その後、pHを下げて凝集沈降させ脱塩処理をし、フェノキシエタノール0.1g を加え、pH5.9、pAg 8.2に調整し沃臭化銀粒子(沃素含量コア8モル%、平均2モル%、平均サイズ0.05μm 、投影面積変動係数8%、(100)面比率80%の立方体粒子)の調製を終えた。
【0194】
こうして得たハロゲン化粒子を60℃に昇温して銀1モル当たり表1に示す化合物を添加して化学増感を施した。そして120分間熟成した後30℃に急冷して目的のハロゲン化銀粒子1〜14を得た(表1)。なお、表1において、ハロゲン化銀粒子1〜3は参考例である。
【0195】
【表1】
Figure 0003667879
【0196】
<有機酸銀乳剤の調製>
ステアリン酸1.3g 、アラキジン酸0.5g 、ベヘン酸8.5g 、蒸留水300mlを90℃で15分間混合し、激しく攪拌しながら1N−NaOH水溶液31.1mlを15分かけて添加した後、30℃に降温した。次に、1N−リン酸水溶液7mlを添加し、より激しく攪拌しながらN−ブロモスクシンイミド0.011g を添加した後、あらかじめ調製したハロゲン化銀粒子1〜14をハロゲン化銀量が2.5m モルとなるようにして添加した。さらに、1N−硝酸銀水溶液25mlを2分かけて添加し、そのまま90分間攪拌し続けた。その後、吸引濾過で固形分を濾別し、固形分を濾水の伝導度が30μS/cmになるまで水洗した。こうして得た固形分にポリ酢酸ビニルの1.2重量%の酢酸ブチル溶液37g を加え攪拌し、攪拌を止めて放置し油層と水層に分離させ含まれる塩と共に水層を除去し油層を得た。次に、この油層にポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製デンカブチラール#3000−K)の2.5wt% 2−ブタノン溶液20g を添加し攪拌した。さらに、過臭化ピリジニウム0.1m モルと臭化カルシウム二水和物0.11m モルを0.7g メタノールとともに添加した後、2−ブタノン40g とポリビニルブチラール(モンサント社製PVB B−76)の7.8g を添加しホモジナイザーで分散し、有機酸銀塩乳剤(平均粒径0.04μm 、平均長径1μm 、変動係数30%の針状粒子)1〜14を得た。
【0197】
<乳剤塗布液の調製>
上記で得た有機酸銀乳剤1〜14に銀1モル当たり以下の量となるように各薬品を添加した。25℃でフェニルチオスルホン酸ナトリウム10mg、60mgの色素1、30mgの色素2、2−メルカプト−5−メチルベンゾイミダゾール2g 、4−クロロベンゾフェノン−2−カルボン酸21.5g と2−ブタノン580g 、ジメチルホルムアミド220g を攪拌しながら添加し3時間放置した。ついで、5−トリブロモメチルスルフォニル−2−メチルチアジアゾール8g 、2−トリブロモメチルスルフォニルベンゾチアゾール6g 、4,6−ジトリクロロメチル−2−フェニルトリアジン3g 、ジスルフィド化合物1を2g 、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5−トリメチルヘキサン138g 、テトラクロロフタル酸5g 、メガファックスF−176P(大日本インキ化学工業(株)製フッ素系界面活性剤)1.1g 、2−ブタノン590g 、メチルイソブチルケトン10g を攪拌しながら添加した。なお、上記において用いた添加化合物は以下に示すものである。
【0198】
【化26】
Figure 0003667879
【0199】
<乳剤面保護層塗布液>
CAB171−15S(イーストマンケミカル(株)製酢酸酪酸セルロース)75g 、4−メチルフタル酸5.7g 、テトラクロロフタル酸無水物1.5g 、フタラジン13.9g 、0.3g のメガファックスF−176P、シルデックスH31(洞海化学社製真球状シリカ平均サイズ3μm )2g 、表2に示したようにsumidur N3500 (住友バイエルウレタン社製ポリイソシアネート、化合物A−14の3量体)および化合物B−5を0.01モル/銀1モル相当を2−ブタノン3070g と酢酸エチル30g に溶解したものを調製した。
【0200】
【表2】
Figure 0003667879
【0201】
<バック面塗布液>
カルシウム化合物1を以下のように合成した。0.08モルの3,5−ジ−tert−ブチルカテコールを含有するエタノール溶液1リットルに0.019モルの塩化カルシウムを含有する水溶液167mlと25%のアンモニア水125mlを添加し室温で3時間空気を吹き込んでビス[2−(3,5−ジ−tert−ブチル−o−ベンゾキノンモノイミン)−4,6−ジ−tert−ブチルフェノラト]カルシウム(II)の結晶(カルシウム化合物1)を析出させた。
【0202】
ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製デンカブチラール#4000−2)12g 、CAB381−20(イーストマンケミカル(株)製酢酸酪酸セルロース)12g 、120mgの染料1、242mgのカルシウム化合物1、315mgの染料2、5mgの染料3、シルデックスH121(洞海化学社製真球状シリカ平均サイズ12μm )0.4g 、シルデックスH51(洞海化学社製真球状シリカ平均サイズ5μm )0.4g 、0.1g のメガファックスF−176P、2g のsumidur N3500 を2−ブタノン500g 、2−プロパノール500g に攪拌しながら添加し、溶解および混合させた。
【0203】
上記において用いた染料は以下に示すものである。
【0204】
【化27】
Figure 0003667879
【0205】
上記のように調製した乳剤層塗布液1〜14を青色染料で色味付けした175μm ポリエチレンテレフタレート支持体上に銀が2.3mg/m2 となるように塗布した後、乳剤層と反対の面上にバック面塗布液を810nmの光学濃度0.7となるように塗布した。さらに、乳剤面上に乳剤面保護層塗布液を乾燥厚さ2μm となるように塗布した。そのときのイソシアネートは表2に示す塗布量とした。こうして得られた表3、4に示す感光材料である塗布試料1〜22の平滑度(J.TAPPI紙パルプ試験法No. 5記載の王研式平滑度測定を用いベック平滑度を調べた)は乳剤面1000秒、バック面80秒であった。
【0206】
これらの塗布試料について、写真性能および保存性の評価を以下のようにして行った。
【0207】
<写真性能の評価>
820nmダイオードを備えたレーザー感光計で感光材料である塗布試料1〜22を露光した。感光材料の露光面と露光レーザー光の角度は80度とした。感光材料を120℃で15秒間処理(現像)し、得られた画像の評価を濃度計により行い、Dmin 、Dmax 、感度(Dmin より1.0高い濃度を与える露光量の比の逆数を用い、塗布試料1を100とした相対値で示した)を評価した。
【0208】
<自然経時保存性の評価>
それぞれの塗布試料を30.5cm×25.4cmに裁断し角を内径0.5cmのラウンドコーナーとした。これらの各試料を25℃−50%RHの条件下1日放置し、感光材料それぞれ10枚ずつを防湿材料でできた袋の中に密閉し、さらに35.1cm×26.9cm×3.0cmの化粧箱に入れ、50℃で5日間経時した(強制経時)。この試料を写真性能の評価に用いたものと同じ処理を行い、Dmin 、Dmax 、感度を評価した。
【0209】
<光照射画像保存性の評価>
写真性能の評価と同様に露光現像した感光材料を、直射日光の当たるガラス窓の内側に張り付け1月間放置した後の画像の様子を下記の基準で目視評価した。
【0210】
◎ … ほとんど変化がない。
○ … 微かに色調変化があるが気にならない。
△ … 画像部変色があるが実用的に許容される。
× … Dmin が変色し濃度が上がり不可。
【0211】
<暗熱画像保存性の評価>
写真性能の評価と同様に露光現像した感光材料を、遮光した条件下40℃で1月間放置した後の画像の様子を下記の基準で目視評価した。
【0212】
◎ … ほとんど変化がない。
○ … 微かに色調変化があるが気にならない。
△ … 画像部変色があるが実用的に許容される。
× … Dmin が変色し濃度が上がり不可。
【0213】
結果を表3、4に示した。
【0214】
【表3】
Figure 0003667879
【0215】
【表4】
Figure 0003667879
【0216】
表3、4からわかるように、硫黄増感、セレン増感、テルル増感を施すと感度が高くなる。また、イソシアネートを含有する化合物を添加すると写真性のDmin が低く、しかも保存後のDmin が低く抑えられる。驚くべきことに、化学増感を施したハロゲン化銀を使用した塗布試料にイソシアネートを含有する化合物を添加した場合に保存後の感度の変動が非常に小さくDmax の減少も小さく抑えられ、画像保存性も良化していることが分かる。
【0217】
実施例2
実施例1で調製したハロゲン化銀粒子14を混合して得られた有機酸銀乳剤14を用いて実施例1と同様にして乳剤層塗布液を調製した。乳剤面保護層塗布液はsumidur N3500 のかわりに表5に記載のイソシアネートを添加して調製した。他は実施例1と同様にして塗布試料23〜28を調製し性能を評価した。結果を表6に示した。感度は塗布試料23を100とした相対値で示した。
【0218】
【表5】
Figure 0003667879
【0219】
【表6】
Figure 0003667879
【0220】
表6からわかるようにイソシアネート化合物を使用した塗布試料において低Dmin 、保存後の低Dmin が実現しており、保存後の感度とDmax の変動が非常に小さく、本発明の効果が発現していることがわかる。
【0221】
実施例3
実施例1と同様にしてハロゲン化銀粒子を調製し、表7に示すように化学増感を施してハロゲン化銀粒子15〜29を調製した。さらに調製したハロゲン化銀粒子を使用して有機酸銀乳剤15〜29を調製した。
【0222】
【表7】
Figure 0003667879
【0223】
<乳剤層塗布液の調製>
上記で得た有機銀乳剤および実施例1で調製した有機酸銀乳剤1に銀1モル当たり以下の量となるように各薬品を添加した。25℃でフェニルチオスルホン酸ナトリウム10mg、65mgの色素a、2−メルカプト−5−メチルベンゾイミダゾール2g 、4−クロロベンゾフェノン−2−カルボン酸21.5g と2−ブタノン580g 、ジメチルホルムアミド220g を攪拌しながら添加し3時間放置した。ついで、5−トリブロモメチルスルフォニル−2−メチルチアジアゾール8g 、2−トリブロモメチルスルフォニルベンゾチアゾール6g 、4,6−ジトリクロロメチル−2−フェニルトリアジン6g 、ジスルフィド化合物aを2g 、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5−トリメチルヘキサン145g 、テトラクロロフタル酸5g 、2.3g の下記のヒドラジン誘導体a、メガファックスF−176P(大日本インキ化学工業(株)製フッ素系界面活性剤)1.1g 、2−ブタノン590g 、メチルイソブチルケトン10g を攪拌しながら添加した。
【0224】
上記において用いた添加化合物は以下に示すものである。
【0225】
【化28】
Figure 0003667879
【0226】
<乳剤面保護層塗布液の調製>
CAB171−15S(イーストマンケミカル(株)製酢酸酪酸セルロース)75g 、4−メチルフタル酸5.7g 、テトラクロロフタル酸無水物1.5g 、フタラジン12.9g 、0.3g のメガファックスF−176P、シルデックスH31(洞海化学社製真球状シリカ平均サイズ3μm )2g および前記化合物B−2を0.05モル/銀1モル相当を2−ブタノン3070g と酢酸エチル30g に溶解したものを調製した。
【0227】
<バック面を有した支持体の作成>
両面が塩化ビニリデンを含む防湿下塗りからなるポリエチレンテレフタレートフィルム上に1m2当たり以下の塗布量となるように水溶液でバック層とバック面表面保護層を同時重層塗布した。バック層塗布量はゼラチン1.5g 、p−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム30mg、1,2−ビス(ビニルスルホニルアセトアミド)エタン100mg、染料a45mg、染料b105mg、染料c26mg、染料d49mg、プロキセル1mgであり、バック面表面保護層はゼラチン1.5g 、平均粒径2.5μm のポリメチルメタクリレート20mg、p−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム15mg、ジヘキシル−α−スルホスクシン酸ナトリウム15mg、酢酸ナトリウム50mg、プロキセル1mgである。
【0228】
上記において用いた染料は以下に示すものである。
【0229】
【化29】
Figure 0003667879
【0230】
上記のように作成した支持体上に表8に示したようにイソシアネート化合物を添加して銀が2g/m2となるよに塗布した。その後、表8に示したイソシアネート化合物が所望の添加量となるように添加して乳剤面保護層塗布液を乾燥厚さ2μm となるように塗布した。このようにして感光材料である塗布試料29〜53を得た(表8)。
【0231】
【表8】
Figure 0003667879
【0232】
これらの塗布試料について写真性能および保存性の評価を以下のようにして行った。
【0233】
<写真性能の評価>
633nmHe−Neレーザー感光計で感光材料を露光した後、感光材料115℃で25秒間処理(現像)し、得られた画像の評価を濃度計により行った。測定の結果は、Dmin 、Dmax 、感度(Dmin より1.5高い濃度を与える露光量の比の逆数を用い、塗布試料29を100とした相対値で示した)で評価した。
【0234】
<自然経時保存性の評価>
実施例1と同様にして強制経時した試料を作成し、写真性能と同様の処理を行い、Dmin 、Dmax 、感度を評価した。
【0235】
<光照射画像保存性、暗熱画像保存性の評価>
実施例1と同様にして評価した。
【0236】
結果を表9に示す。
【0237】
【表9】
Figure 0003667879
【0238】
表9からわかるように、本発明の感光材料はハロゲン化銀がカルコゲン化合物により化学増感されており、イソシアネート化合物を含有することによって写真性が優れ、しかも自然経時保存後の写真性の変動が非常に小さいことがわかる。また、画像保存性が良好である。
【0239】
【発明の効果】
本発明によれば、高感度で熱カブリが低く、長期保存による写真性の低下がない熱現像感光材料が得られる。

Claims (2)

  1. 支持体上に少なくとも一層の感光層を有し、有機銀塩、感光性ハロゲン化銀、銀イオンのための還元剤およびバインダーを含有する熱現像感光材料において、イソシアネート基を有する少なくとも1種の化合物を含有し、かつ感光性ハロゲン化銀が以下の一般式(II)または一般式(a)で表されるカルコゲン化合物により化学増感されている熱現像感光材料。
    Figure 0003667879
    一般式(II)中、Z 3 ,Z 4 およびZ 5 はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、脂肪族基、芳香族基、複素環基、−OR 7 、−NR 8 ( 9 ) 、−SR 10 、−SeR 11 、X 1 または水素原子を表し、前記R 7 、R 10 およびR 11 は脂肪族基、芳香族基、複素環基、水素原子またはカチオンを表し、R 8 およびR 9 は脂肪族基、芳香族基、複素環基または水素原子を表し、X 1 はハロゲン原子を表す。
    一般式(a)中、R 101 は脂肪族基、芳香族基、複素環基または−C(=X 111 ) 111 を表し、R 102 は脂肪族基、芳香族基、複素環基、水素原子、カチオンまたは−C(=X 112 ) 112 を表す。前記R 111 およびR 112 は脂肪族基、芳香族基、複素環基、OR 113 、NR 114 (R 115 )、SR 116 または水素原子を表し、X 111 およびX 112 は酸素原子、硫黄原子またはNR 117 を表し、R 111 、R 112 、R 113 、R 114 、R 115 、R 116 、およびR 117 は脂肪族基、芳香族基、複素環基または水素原子を表し、nは1または2を表す。
  2. ビニルスルホン化合物を含有する請求項1の熱現像感光材料。
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