JP3691117B2 - 普通型コンバインのセカンドモア昇降機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は普通型コンバインにおいて、メインモアでいったん高めに刈った後の穀稈株元部を、再度低めに切断するセカンドモアの昇降機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の普通型コンバインのセカンドモア昇降機構においては、刈取部の高さを、高位置スイッチで検出し、高位置スイッチがONすればセカンドモアを収納すべく構成していた。また、刈取姿勢にセットする場合には、セカンドモアスイッチがONしていて、高位置スイッチがOFFすればセカンドモアを下降し、刈取姿勢にセカンドモアをセットしていた。
しかし、上記の従来技術では、高位置スイッチによってセカンドモアを収納/セットする方式であり、刈り高さの制御と連動した制御でない為に、刈り残しが発生し、セカンドモアが地面に衝突して破損する場合があったのである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来技術の不具合を解消するものであり、刈取り高さの制御と連動して、刈取部を上昇した時にはセカンドモアを収納し、また逆に、刈取部を下げた時には、セカンドモア高さをセットすべく構成したものである。
即ち、オートリフトスイッチがONしてから、一定距離を積算している途中に、刈取上昇スイッチがONしたなら、一定距離進んでいなくても、セカンドモアを収納する。刈取上昇スイッチをトリガとするのが特徴であり、下降スイッチではトリガとはならないのである。
これにより、セカンドモアを収納する方向に制御の優先を行い、セカンドモアの地面との衝突からの保護を目的としている。また畦畔や湿田での効果が大きいのである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明が解決しようとする課題は以上の如くであり、次に該課題を解決するための手段を説明する。
請求項1においては、セカンドモアを付設した普通型コンバインにおいて、刈取部を上昇するオートリフトスイッチがONされてから、メイン刈刃とセカンドモア間の距離と略等しい一定距離を機体が走行した後に、セカンドモアMを収納させ、またオートセットスイッチがONされてから、メイン刈刃とセカンドモア間の距離と略等しい一定距離を機体が走行した後にセカンドモアMを下降すべく構成したものである。
【0005】
請求項2においては、オートリフトスイッチがONしてから、一定距離を積算している途中に、刈取上昇スイッチがONされた場合には、一定距離進んでいなくても、セカンドモアを収納すべく構成したものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の解決しようとする課題と、課題を解決する手段は以上の如くであり、次に本発明の実施の形態を、添付の図面に基づいて説明する。
図1はセカンドモアMを付設した普通型コンバインの全体側面図、図2はセカンドモアMが上昇収納される条件と判断部を示す図面、図3は普通型コンバインにより圃場において刈取している状態を示す平面図、図4は圃場端における回行の為に刈取部Aを上昇回動させている状態の側面図、図5は従来のセカンドモアMの昇降制御の刈跡の不具合を示す図面、図6は本発明のセカンドモアMの昇降機構により改善された刈跡を示す図面、図7は刈取上昇スイッチ2のONの判断を刈取コントローラ1で行い、セカンドモア制御回路3に出力する系統を示す図面、図8は本発明の電気回路図、図9は本発明のセカンドモア昇降機構のフローチャートを示す図面、図10は同じくフローチャートを示す図面、図11は同じくフローチャートを示す図面、図12は同じくフローチャートを示す図面、図13は同じくフローチャートを示す図面である。
【0007】
図1において、セカンドモアMを具備して普通型コンバインの構成を説明する。クローラー式走行装置15の上に脱穀装置Dを載置している。該脱穀装置Dより前方へフィーダーボックス16を突出し、該フィーダーボックス16の先端にプラットフォーム14を設け、該プラットフォーム14内にオーガー機構20を配置している。該プラットフォーム14の前部にメイン刈刃19を刈取幅一杯に配置し、更にメイン刈刃19の前部に分草装置18を配置している。
またメイン刈刃19と分草装置18の上部には引起しリール機構21が設けられている。そして、フィーダーボックス16とプラットフォーム14とオーガー機構20と引起しリール機構21とメイン刈刃19と分草装置18等の部分を刈取部Aと全体的に称呼し、油圧シリンダ17により昇降可能としている。
【0008】
本発明のセカンドモアMは、フィーダーボックス16の下方に配置されており、プラットフォーム14を昇降する油圧シリンダ17とは別の昇降機構により昇降されている。
以上のような構成において、分草装置18により分草した穀稈が、倒伏している場合には、引起しリール機構21により立稈状態に引起し、株元部をメイン刈刃19に切断する。該切断後の穀稈は、この穀稈全体を脱穀装置Dまで搬送して投入し、脱穀を行うのである。従来から普及している自脱型コンバインの場合には、脱穀装置D内に挿入されるのは、穂先部だけであり、穀稈の他の部分はフィードチェーンにより挟持した状態を維持するのに対して、普通型コンバインの場合には、穀稈全体が脱穀装置Dの扱胴で叩かれながら脱穀される点が異なっている。
【0009】
そして、メイン刈刃19により切断する場合には、出来るだけ穀稈の株元の上方の部分を切断して、脱穀装置Dへの不必要な穀稈の投入量を減らして、プラットフォーム14の後部に配置したセカンドモアMにより、高刈りしすぎた穀稈を再度切断して、土壌面における穀稈の突設状態を回避し、クローラー式走行装置15の走行通過の邪魔とならないようにするのである。
【0010】
図2において、セカンドモアMが上昇されて収納される条件について説明する。即ち、次のような条件においてセカンドモアMが上昇され、収納される。
▲1▼.セカンドモアスイッチをOFFとした場合
▲2▼.刈取スイッチをOFFとした場合
▲3▼.走行後進スイッチがONとなった場合
▲4▼.刈取部Aが一定以上の高さに上昇され高位置スイッチがONとなった場合以上と、従来は4つの条件の場合にのみ、セカンドモアMが上昇されて収納されるように構成されていた。
本発明は前記4条件に加えて、オートリフトスイッチがONしたとき(▲5▼)を加え、このオートリフトスイッチがONとなった場合には、メイン刈刃19とセカンドモアM間の距離と略等しい一定距離を機体が走行した後に、上昇収納すべく構成している。
【0011】
そして、上記の記載の中において、▲1▼▲2▼▲3▼の3点の条件の判断はセカンドモア制御回路3において行い、▲4▼▲5▼の刈取コントローラで判断する。
従来の機構では、オペレーターが圃場端で回行する為に、刈取部Aの上昇操作を行う場合には、刈取部Aの駆動スイッチはONの状態であるから、セカンドモアMを上昇する条件には該当しない、そして刈取部Aが、オートリフトスイッチ5U,5Dにより、上昇側に操作され、刈取部Aが一定の高さまで達して、高位置スイッチがONになると、セカンドモアMが上昇するので、メイン刈刃19が刈り取った後を、セカンドモアMが残したままで上昇することもある。
【0012】
このように、図3の如く普通型コンバインを圃場端で回行する場合において、メイン刈刃19が刈った高刈りの状態を、セカンドモアMで処理することなく、先にセカンドモアMが上昇した不具合状態は図5に示されている。
また、図4においては、刈取部Aが充分に上昇しているが、まだ高位置スイッチがONするまでには至らないのでセカンドモアMが、そのままセット位置に残ったままで、圃場端の畦畔に突っ込んだりするという不具合が発生した状態が図示されている。
即ち、圃場端における回行時に、刈取部Aを上昇させた場合、刈取部Aが高位置に達するまではセカンドモアMは上昇せず、橇の部分が設置した状態を維持する。その為にセカンドモアMの昇降に違和感が感じられる。また畦畔に突っ込む等の不具合が発生するのである。
【0013】
本発明は、図6において図示する如く、メイン刈刃19が刈り取った位置までは、セカンドモアMがセットされた状態で維持され、そこを過ぎると、セカンドモアMが上昇する状態が図示されている。
また、下降する場合においても、メイン刈刃19が切断をしていない部分において、セカンドモアMによる切断作業をする必要は無いのであるから、メイン刈刃19が下降し、切断を開始した位置で初めて、セカンドモアMが下降するように、図8の電気回路図において、遅延タイマー4U,4Dが、セカンドモアMの昇降電磁バルブVU,VDの部分に介装されているのである。
【0014】
しかし、このように、オートリフトスイッチ5U,5Dを操作してから、一定距離機体が走行した後に初めて、セカンドモアMが上昇すべく、また、下降してから一定距離機体が走行した後に、セカンドモアMをセット位置まで下降すべく構成した場合に、不意の事故や、思わぬトラブルが発生した場合に、セカンドモアMをどうしても、一定距離走行する前に上昇収納する必要のある場合が発生するのである。
【0015】
このような場合には、図8に示す如く、刈取上昇スイッチ2を操作すると、この場合には一定距離通過する前に、セカンドモアMの上昇収納が出来るように構成している。この場合には、図7に示す如く、刈取上昇スイッチ2の操作を刈取コントローラ1で判断し、セカンドモア制御回路3に信号を出力して制御動作を行うのである。
また、図8においては、セカンドモアスイッチ6が図示されており、該セカンドモアスイッチ6のOFFによっても、セカンドモアMを上昇すべく構成している。
【0016】
図9〜図13においては、本発明の普通型コンバインのセカンドモア昇降機構の制御フローチャートが図示されている。
このフローチャートにおいては、オートリフトスイッチ5U,5D等の操作により、刈取部Aが上昇して、高位置スイッチまで上昇されているかどうかを先ず判断し、次に高位置スイッチの位置まで上昇していない場合には、メイン刈刃19とセカンドモアM間の距離と略等しい一定距離だけ、機体が走行したかどうかを次に判断して、上昇収納すべく構成している。
【0017】
また刈取部Aを下降する場合にも、メイン刈刃19とセカンドモアM間の距離と略等しい一定距離だけ機体が進行したかどうかを判断して、セカンドモアMを下降しセット状態とすべく構成している。また脱穀スイッチや刈取スイッチが操作されたかどうか、刈取上昇スイッチ2や、セカンドモアスイッチ6が操作されたかをも判断して、セカンドモアMの昇降制御が行われている。
【0018】
【発明の効果】
本発明は以上の如く構成したので、次のような効果を奏するのである。
請求項1の如く構成したので、オートリフトスイッチ5U,5Dによる刈取り高さの制御と連動して、刈取部を上昇した時にはセカンドモアを上昇し、また逆に、刈取部Aを下げた時には、セカンドモアM高さをセットすべく構成したものであり、該セカンドモアMの制御はメイン刈刃19とセカンドモアM間の距離と略等しい一定距離だけ遅らせたことにより、メイン刈刃19による刈跡を残すことがなく、またメイン刈刃19が刈り取っていない部分まで、セカンドモアMが作業をすることもなくなったのである。
【0019】
請求項2の如く構成したので、オートリフトスイッチがONしてから、一定距離を積算している途中に、不測の事態の発生により、刈取上昇スイッチ2がONされたなら、機体がメイン刈刃19とセカンドモアM間の距離と略等しい一定距離進んでいなくても、セカンドモアMを収納することにより、セカンドモアMが土壌面に衝突する事故を回避することが出来るのである。
これにより、セカンドモアMを収納する方向に制御の優先を行い、セカンドモアの地面との衝突からの保護を達成できるのである。また、畦畔や湿田での効果が大きいのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】セカンドモアMを付設した普通型コンバインの全体側面図。
【図2】セカンドモアMが上昇収納される条件と判断部を示す図面。
【図3】普通型コンバインにより圃場において刈取している状態を示す平面図。
【図4】圃場端における回行の為に刈取部Aを上昇回動させている状態の側面図。
【図5】従来のセカンドモアMの昇降制御の刈跡の不具合を示す図面。
【図6】本発明のセカンドモアMの昇降機構により改善された刈跡を示す図面。
【図7】刈取上昇スイッチ2のONの判断を刈取コントローラ1で行い、セカンドモア制御回路3に出力する系統を示す図面。
【図8】本発明の電気回路図。
【図9】本発明のセカンドモア昇降機構のフローチャートを示す図面。
【図10】同じくフローチャートを示す図面。
【図11】同じくフローチャートを示す図面。
【図12】同じくフローチャートを示す図面。
【図13】同じくフローチャートを示す図面。
【符号の説明】
1 刈取コントローラ
2 刈取上昇スイッチ
3 セカンドモア制御回路
4U,4D 遅延タイマー
5U,5D オートリフトスイッチ
6 セカンドモアスイッチ
Claims (2)
- セカンドモアを付設した普通型コンバインにおいて、刈取部Aを上昇するオートリフトスイッチがONされてから、メイン刈刃とセカンドモア間の距離と略等しい一定距離を機体が走行した後に、セカンドモアMを収納させ、また刈取部Aを下降するオートセットスイッチがONされてから、メイン刈刃とセカンドモア間の距離と略等しい一定距離を機体が走行した後にセカンドモアMを下降すべく構成したことを特徴とする普通型コンバインのセカンドモア昇降機構。
- 請求項1記載のセカンドモア昇降機構において、オートリフトスイッチがONしてから、一定距離を積算している途中に、刈取上昇スイッチ2がONされた場合には、一定距離進んでいなくても、セカンドモアMを収納すべく構成したことを特徴とする普通型コンバインのセカンドモア昇降機構。
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