JP3687306B2 - 車載交差点情報提供装置 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に搭載される、交差点に向かう車両及び交差点内の車両の各運転者に対して接近する車両に関する情報を提供するための交差点情報提供装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、交差点内での事故を未然に防止するために、右折車両に対して対向車線の直進二輪車の存在、左折車両に対して側方二輪車の存在を知らせるシステムが提案されている（特開昭５７−１１７０９６号）。この従来のシステムでは、例えば、交差点内に向かっている二輪車が検出されたときに、その交差点に向かっている左折車両と当該二輪車との衝突の可能性がある場合、その左折車両に対して警報信号を路上に設置した送信機（主制御装置）から送信し、また、交差点内の右折車両と当該二輪車との衝突の可能性がある場合、その右折者車両に対して警報信号を当該送信機（主制御装置）から送信するようになっている。そして、これら左折車両及び右折車両では、受信した警報信号に基づいて警報表示がなされたり、警報音が発せられたりして運転者の注意が喚起される。
【０００３】
このようなシステムにより、交差点内における右折車両と直進二輪車との衝突事故、左折車両による二輪車の巻き込み事故を未然に防止することができるようになる。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような従来のシステムでは、警報信号がどの方向から交差点に向かう左折車両あるいは右折車両に対して提供すべきものか区別されていない。従って、例えば、上下車線にそれぞれ左折車両、右折車両（最低４台）が同時に存在した場合、外部から送信される警報信号がどの車両のために発せられたものかが判らない。このため、交差点に向かう車両あるいは交差点内の車両に対して無駄な警報信号を提供してしまう場合がある。
【０００５】
そこで、本発明の課題は、交差点に向かう車両や交差点内の車両に対して無駄な情報の提供を防止できるような交差点情報提供装置を提供することである。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明に係る交差点情報提供装置は、請求項１に記載されるように、車両の交差点への進入方向と信号形態の関係を定めたテーブル手段と、車両の交差点への進入方向を検出する交差点進入方向検出手段と、交差点進入方向検出手段にて検出された進入方向に対応するように上記テーブル手段にて定められた信号形態の信号を発信する信号発信手段と、外部から当該車両に到来する信号うち交差点進入方向検出手段にて検出された進入方向に関連付けられた当該交差点への進入方向に対応するように上記テーブル手段にて定められた信号形態の信号を選択的に取得する信号取得手段と、信号取得手段にて信号が取得されたときに車両の存在に関する情報を出力する情報出力手段とを備えるように構成される。
【０００７】
この交差点情報提供装置を搭載した車両がある方向から交差点に進入する際、交差点進入方向検出手段にて検出される方向に対応するようにテーブル手段にて定められた信号形態の信号が信号発信手段から発信される。同じように当該交差点情報提供装置を搭載した他の各車両もまた、その進入方向に対応した信号形態の信号を発信しながら交差点に進入してくる。また、この交差点情報提供装置を搭載した当該車両では、外部から（同じように当該交差点情報提供装置を搭載した各車両から）当該車両に到来する信号のうち交差点進入方向検出手段にて検出された進入方向に関連付けられた当該交差点への進入方向に対応するように上記テーブル手段にて定められた信号形態の信号が信号取得手段によって選択的に取得される。このとき、車両の存在に関する情報が情報出力手段から出力される。
【０００８】
このような交差点情報提供装置では、自車両が交差点に進入する方向と関連付けられた方向から交差点に同種の車両（交差点情報提供装置を搭載した車両）が進入する場合に、その同種の車両から発信された信号が信号取得手段にて取得される。即ち、情報出力手段から出力される情報は、自車両が交差点に進入する方向と関連付けられた方向から当該交差点に向かっている車両が存在することを表す。従って、当該車両の運転者は、情報出力手段から出力される情報に基づいてそのような車両が存在することを認識することができる。
【０００９】
交差点進入方向検出手段にて検出された進入方向に関連づけられた当該交差点への進入方向は、それぞれの方向から進入する各車両が自車両の交差点への進入に際して影響を及ぼす可能性があるか否かに基づいて定めることが好ましい。このようにすることにより、当該交差点情報提供装置を搭載した車両の運転者は、情報出力手段から出力される情報に基づいて自車両の交差点への進入に際して影響を及ぼす可能性のある車両の存在を認識することができる。
【００１０】
上記信号取得手段は、到来する信号を全て受信し、その受信した信号から目的の信号形態の信号を選択するように構成することも、また、目的の信号形態の信号を選択的に受信するように構成することもできる。
交差点に向かう車両の走行状態（速度、加速度など）に応じて、その車両の存在を他車両に知らせる必要性の度合がことなる。例えば、高速な状態で交差点に向かう車両の存在は、同様に交差点に向かう他車両に知らせる必要性が特に高い。また、車両の運転者にはできるだけ無駄な情報を提供することは避けることが好ましい。
このような事情から、本発明は、請求項２に記載されるように、上述した交差点情報提供装置において、更に、車両の走行状態を検出する走行状態検出手段と、走行状態検出手段にて検出された走行状態に応じて上記信号発信手段による信号の有無を制御する発信制御手段を備えるように構成することができる。
【００１１】
特に、急激に交差点に近づく車両の存在を他車両に知らせることができるという観点から、本発明は、請求項３に記載されるように、上記走行状態検出手段にて検出されるべき車両の走行状態は車速を含み、該発信制御手段は、交差点に至る各位置で走行状態検出手段にて検出された車速に基づいて信号発信手段による信号発信の有無を制御するように構成することができる。
【００１２】
更に、交差点に向かっている車両の当該交差点の通過形態は複数ある（例えば、直進通過、左折通過、右折通過など）。それぞれの通過形態にて交差点を通過する車両にとって注意すべき車両が異なる。このような観点から、本発明は、請求項４に記載されるように、上記各交差点情報提供装置において、上記テーブル手段は、車両の交差点への各進入方向毎に当該車両の交差点の通過形態と信号形態との関係を定めており、更に、車両の交差点の通過形態を判定する判定手段を有し、上記信号発信手段は、交差点進入方向検出手段にて検出された進入方向及び判定手段にて判定された通過形態に対応するように上記テーブル手段に定められた信号形態の信号を出力し、上記信号取得手段は、交差点進入方向検出手段にて検出された進入方向及び判定手段にて判定された通過形態に関連づけられた交差点への他の進入方向における当該交差点の通過形態に対応するように上記テーブル手段にて定められた信号形態の信号を選択的に取得するように構成することができる。
【００１３】
交差点の通過形態とは、車両が交差点をどのように通過するかを表わすもので、例えば、直進、左折、右折等の形態である。
上記のような交差点情報提供装置を搭載した車両では、交差点への進入方向が検出され、更に、その交差点の通過形態が判定されると、その検出された進入方向と判定された通過形態に対応するように上記テーブルに定められた信号形態の信号が発信手段によって発信される。また、交差点への進入方向とその交差点の通過形態に関連付けられた他の進入方向における当該交差点の通過形態にて通過しようとする同種の（同じように交差点情報提供装置を搭載した）車両が存在すると、その車両からの信号を信号取得手段にて取得する。このような信号を取得したことによって、情報出力手段から車両の存在に関する情報が出力される。
【００１４】
当該車両の運転者は、情報出力手段から出力される情報に基づいて、自車両の交差点への進入方向とその交差点の通過形態に関連付けられた他の進入方向における当該交差点の通過形態にて通過しようとする車両が存在することを認識することができる。
交差点進入検出手段にて検出された進入方向及び判定手段にて判定された当該交差点の通過形態に関連付けられた交差点への他の進入方向における通過形態は、それぞれの方向から進入してそれぞれの通過形態で交差点を通過しようとする各車両が自車両の交差点への進入に際して影響を及ぼす可能性があるか否かに基づいて定めることがこの好ましい。このようにすることにより、当該交差点情報提供装置を搭載した車両の運転者は、情報出力手段から出力される情報に基づいて自車両の交差点への進入に際して影響を及ぼす可能性のある車両の存在を認識することができる。
【００１５】
車両の交差点の通過形態（直進、右折、左折等）を判定する判定手段は、運転者の運転操作に基づいて当該判定を行うことができる。また、特に、簡単に判定がおこなえるという観点から、請求項５に記載されるように、上記判定手段は、車両の方向指示器からの信号に基づいて交差点の通過形態を判定するようにすることができる。
【００１６】
更に、車両の交差点への進入方向、あるいは、その進入方向及び交差点の通過形態に対応するように定められる信号形態は任意に定めることができる。その信号形態の信号を容易に生成でき、かつその判別が容易であるという観点から、請求項６に記載されるように、この信号形態は、周波数に基づいて定めることができる。
【００１７】
この場合、各交差点への進入方向、あるいは、その進入方向及び交差点の通過形態に対してそれぞれ異なった周波数が割り当てられる。
【００１８】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図１は、本発明の実施の一形態に係る交差点情報提供装置を搭載した車両（ＡＨＳ車両）が通過する交差点の例を示す。
図１において、片側２車線の道路Ｒ１と片側１車線の道路Ｒ２が交差している。この交差点の３つの角に隣接してビル等の建物Ｓ１、Ｓ２、Ｓ３が建てられており、各方向から交差点に向かう車両の運転者にとって交差する道路を交差点に向かう他の車両が見にくい状態となっている。
【００１９】
道路Ｒ１の一方の方向から（図面下方から）交差点に向かう各車線の当該交差点からＬメートル手前の位置にトランスポンダ（磁気誘導タグ：以下、単にタグという）Ｔａ、Ｔａが埋設されている。また、この道路Ｒ１の他方の方向（図面上方から）交差点に向かう各車線の当該交差点からＬメートル手前の位置にタグＴｃ、Ｔｃが埋設されている。更に、道路Ｒ１に交差する道路Ｒ２の一方の方向から（図面右側から）交差点に向かう車線の当該交差点からＬメートル手前の位置にタグＴｂが埋設されると共に、この道路Ｒ１の他方の方向（図面左側から）から交差点に向かう車線の当該交差点からＬメートル手前の位置にタグＴｄが埋設されている。
【００２０】
これら各タグＴａ、Ｔｂ、Ｔｃ、Ｔｄは、例えば、外部から電力の供給を受けて所定の信号（電波）を発信する。この信号には、交差点に向かう方向（どの方向から交差点に進入するか）に関する情報及び交差点の手前Ｌメートルの位置である旨の情報が少なくとも含まれている。
また、各タグＴａ、Ｔｂ、Ｔｃ、Ｔｄの埋設された車線の交差点の出口付近に監視終了地点を表す情報を発信する終了タグＴａｅ、Ｔｂｅ、Ｔｃｅ、Ｔｄｅが埋設されている。各タグＴａ、Ｔｂ、Ｔｃ、Ｔｄと対応する終了タグＴａｅ、Ｔｂｅ、Ｔｃｅ、Ｔｄｅとの間の距離は、例えば、Ｍメートルに設定される。
【００２１】
本発明の実施の一形態に係る交差点情報提供装置は、例えば、図２に示すように構成されている。
図２において、この交差点情報提供装置は車両に搭載されるもので、制御ユニット１０、発信器２０、受信器３０及び警報・表示ユニット４０を有している。制御ユニット１０は、車速センサ１１からの検出信号、方向指示器１２からの動作信号及び上記タグからの信号を受信するタグ情報受信機１３からの情報に基づいて発信器２０の制御を行う（制御の詳細は後述する）。また、この制御ユニット１０は、車速センサ１１からの検出信号及び受信器３０にて受信される情報に基づいて警報・表示ユニット４０の制御を行う（制御の詳細は後述する）。
【００２２】
上記制御ユニット１０は、メモリユニット（ＲＯＭ等）を有しており、このメモリユニットには、例えば、図５に示すようなテーブル情報が格納されている。このテーブル情報は、各タグＴａ、Ｔｂ、Ｔｃ、Ｔｄにて特定される交差点への進入方向毎に、その交差点の通過形態（直進、右折、左折）に対応した発信周波数（発信キャリア）が定められている。
【００２３】
図５に示すテーブル情報では、タグＴａの設置位置から交差点に向かう方向（図１における下方から）において、直進がキャリア（周波数）ａ0 、右折がキャリアａ1 、左折がキャリアａ2 に対応付けられ、タグＴｂの設置位置から交差点に向かう方向（図１における右側から）において、直進がキャリアｂ0 、右折がキャリアｂ1 、左折がキャリアｂ2 に対応付けられ、タグＴｃの設置位置から交差点に向かう方向（図１における上方から）において、直進がキャリアｃ0 、右折がキャリアｃ1 、左折がキャリアｃ2 に対応付けられ、更に、タグＴｄの設置位置から交差点に向かう方向（図１における左側から）において、直進がキャリアｄ0 、右折がキャリアｄ1 、左折がキャリアｄ2 にそれぞれ対応付けられている。
【００２４】
また、交差点への各進入方向において、車両がどのような通過形態（直進、右折、左折）で当該交差点を通過するかによって、当該車両がどのように交差点を通過する車両に注意すべきかが異なる。自車両が走行する車線を横切るように走行する車両及び自車両が走行する車線に合流するように走行する車両に注意すべきである。この観点から、図５に示すテーブル情報には、各タグＴａ、Ｔｂ、Ｔｃ、Ｔｄにて特定される交差点への進入方向毎に、その交差点の各通過形態（直進、右折、左折）で通過する車両が注意すべき車両の進入方向及び通過形態に対応して上記のように定められた信号の周波数（キャリア）が受信キャリアとして定められている。
【００２５】
例えば、タグＴａの設置位置から交差点に向かう方向において（図１参照）、直進車両が注意すべき車両は、タグＴｂの設置位置から交差点に向かう方向の直進車両、タグＴｄの設置位置から交差点に向かう方向の直進車両、タグＴｃ、タグＴｂ、タグＴｄのそれぞれの設置位置から交差点に向かう方向の各右折車両、及びタグＴｄの設置位置から交差点に向かう方向の左折車両である。従って、この場合、タグＴａの設置位置から交差点に向かう方向におけるこの交差点の通過形態「直進」に対して、各キャリアｂ0 、ｄ0 、ｃ1 、ｂ1 、ｄ1 、ｄ2 が受信キャリアとして定めらる。
【００２６】
制御ユニット１０のメモリユニットには、上述したようなテーブル情報の外に、例えば、図６及び図７に示すような発信器２０の発信条件及び、受信器３０での信号の受信条件を定めた条件マップ情報が格納されている。
図６に示す条件マップは、信号機の設置された交差点に適用される発信条件及び受信条件を示す。即ち、各タグの検出位置（原点）から交差点に至る各位置（横軸）における車速（縦軸）が特性Ｑ１以上であれば自車両の存在を表す信号発信を行い、各位置における車速がこの特性Ｑ１を下回る場合は、その信号発信を行わない。また、各タグの検出位置から交差点に至る各位置における車速が特性Ｑ２以上であれば、受信キャリアの監視を行い、各位置における車速がこの特性Ｑ２を下回る場合は、受信キャリアの監視を行わない。上記各条件は、比較的低速で交差点に進入する車両については、特に、その存在について情報提供を行わないというものである。
【００２７】
なお、交差点内の各位置においては、車速にかかわりなく、自車両の存在を表す信号発信を行うと共に、受信キャリアの監視も行う。
図７に示す条件マップは、信号機の設置されていない交差点に適用される発信条件及び受信条件を示す。この場合、上記図６に示す条件マップと異なる点は、特性Ｑ２が車速が「０」の特性を示しており、車速にかかわりなく常に受信キャリアの監視を行うという点である。
【００２８】
上記のような交差点情報提供装置を搭載した車両が図１に示すような交差点に進入して更に通過する過程で、当該交差点情報提供装置における制御ユニット１０は、車速センサ１１からの検出信号、方向指示器１２からの動作信号、タグ情報受信機１３からの情報更に、上記各テーブル情報及び条件マップを用いて、例えば、図３及び図４に示す手順に従って、情報提供に関する処理を行う。
【００２９】
図３において、制御ユニット１０は、タグ情報受信機１３からの情報を監視して道路に設置したタグから発せられる情報が受信されたか否かを判定している（Ｓ１）。なお、タグ情報受信機１３は、例えば、無線にてパルス状の電力放射を行っており、車両がタグ上を通過する際にその電力の供給によってタグからタグ情報（交差点の進入方向、交差点手前Ｌメートル等）が発信される。
【００３０】
このようなタグ情報が受信されたと判定すると、制御ユニット１０は、更に、そのタグ情報に基づいて当該車両の交差点への進入方向を判定すると共に、車両の走行位置（交差点からＬメートル手前）を確認する（Ｓ２）。そして、上記条件マップ（図６または図７）を参照して、車速センサ１１からの検出信号に基づいて取得される車速が信号発信の条件を満たしているか（車速が特性Ｑ１以上となっているか）否かが判定される（Ｓ３）。
【００３１】
ここで、発信条件が満足されていると、方向指示器１２からの動作信号を取得して自車両の当該交差点の通過形態を判定する（Ｓ４）。上記のようにタグ情報から得られた交差点への進入方向及びこの方向指示器１２からの動作信号に基づいて判定された当該交差点の通過形態に対応して上記テーブル情報（図５参照）に定められたキャリアが決定される（Ｓ５）。そして、制御ユニット１０は、発信器２０のこの決定されたキャリアでの発信制御を行う（Ｓ６）。その結果、発信器２０が上記のように決定されたキャリアの信号を発信しながら当該車両が交差点に向かって走行し、更に、交差点内を通過する。
【００３２】
一方、上記発信条件が満たされない場合には、特に信号の発信を行うことなく交差点に向かって走行する。
図１に示す例の場合、タグＴａの設置位置から交差点に向かう直進車両ＶA1はキャリアａ0 信号を発信し、同方向から交差点に向かう右折車両ＶA2はキャリアａ1 信号を発信する。タグＴｃの設置位置から交差点に向かう直進車両ＶC1はキャリアｃ0 信号を発信し、同方向から交差点に向かう右折車両ＶC2はキャリアｃ1 信号を発信する。また、タグＴｄの設置位置から交差点に向かう直進車両ＶD1はキャリアｄ0 信号を発信する。更に、タグＴｂが設置された車線の交差点手前で停止している車両ＶB1、ＶB2は、上記発信条件（図６または図７参照）を満たしていないので、信号の発信は行わない。
【００３３】
上記のように車両の交差点への進入方向及びその交差点の通過形態に対応したキャリアの信号の発信制御がなされる一方、更に、上記条件マップ（図６または図７参照）を参照して、当該受信条件が満たされているか否かが判定される（Ｓ７）。そして、その受信条件が満たされている場合、当該交差点情報提供装置を搭載した他の車両から発信される信号キャリアの監視処理が行われる（Ｓ８）。その監視処理の結果、何らかの信号キャリアが受信機２０にて受信されているか否かが判定される（Ｓ９）。信号キャリアが受信器２０にて受信されている場合、受信されている信号キャリアが、図５に示すテーブル情報に自車両の交差点への進入方向及びその交差点の通過形態に対応した受信キャリアとして定められたキャリアであるか否かの判定がなされる（Ｓ１０）。そして、自車両の交差点への進入方向及びその交差点の通過形態に対応した受信キャリアとして上記テーブル情報として定められたキャリアが受信されているとそのキャリアに関する情報が制御ユニット１０内にセットされる。
【００３４】
例えば、図１に示すように、タグＴａの設置位置から交差点に向かう右折車両ＶA2に搭載された交差点情報提供装置の制御ユニット１０には、タグＴｃの設置位置から交差点に向かう直進車両Ｖc1が発信するキャリアｃo 及びタグＴｄの設置位置から交差点に向かう直進車両ＶD1が発信するキャリアｄ0 に関する情報がセットされる。
【００３５】
そのような状態において、制御ユニット１０は、タグ情報を取得して（Ｓ１）から車速センサ１１からの検出信号（車輪速パルス）に基づいて演算される走行距離に基づいて自車両が交差点内に達したか否かを判定する（Ｓ１１）。まだ、自車両が交差点に達していない場合、制御ユニット１０は、上記のようにセットしたキャリアが上記テーブル情報（図５参照）において発信キャリアとして定められた車両の交差点への進入方向から車両が接近する旨のは車両接近メッセージを表示制御信号と共に警報・表示ユニット４０に供給する（Ｓ１２）。その結果、警報・表示ユニット４０には、その車両接近メッセージが表示される。
【００３６】
例えば、図１に示すように、タグＴａの設置位置から交差点に進入する右折車両ＶA2の場合、受信したキャリアｃ0 、ｄ0 に基づいて（図５参照）、タグＴｃの設置位置から交差点に向かう直進車両ＶC1及びタグＴｄの設置位置から交差点に向かう直進車両ＶD1が接近する旨の車両接近メッセージが警報・表示ユニット４０に表示される。
【００３７】
このように警報・表示ユニット４０に表示された車両接近メッセージを見た運転者は、そのように接近する車両の存在を認識しつつ、交差点に向かって運転操作を行うことができる。
上記のように車両接近メッセージが警報・表示ユニット４０に表示された状態で、図４に示す処理に移行する。この処理においては、交差点の出口付近に埋設された終了タグからの情報が取得されたか否が判定され（Ｓ２１）、更に、交差点の手前に埋設されたタグの検出時から演算される走行距離がＭメートル（当該タグから対応する終了タグまでの間の距離）以上となったか否か（Ｓ２２）、即ち、車両が交差点を通過したか否かが判定される。なお、上述した受信条件が満たされない場合（Ｓ７、ＮＯ）、または、外部からキャリアが受信されない場合（Ｓ９、ＮＯ）は、上述した車両近接メッセージの表示を行うことなく、上記処理（Ｓ２１、Ｓ２２）が実行される。
【００３８】
上記処理の結果、車両がまだ交差点を通過していないと判定される場合（Ｓ２１、ＮＯ、Ｓ２２、ＮＯ）、処理は、図３に示すステップＳ３に戻り、上述した当該ステップＳ３からＳ１２の処理が繰り返し実行される。このように処理を繰り返す過程で、演算される走行距離に基づいて車両が交差点内にあると判定されると（Ｓ１１、ＹＥＳ）、制御ユニット１０は上述した車両接近メッセージに加えて警報信号を警報・表示ユニット４０に提供する。その結果、警報・表示ユニット４０は、上記と同様に車両近接メッセージを表示すると共に、警報ランプを点灯あるいは警報音を発する。
【００３９】
従って、交差点内の車両の運転者は、警報によって注意を喚起されることによって接近する車両に対して更に注意を払いながら交差点を通過するための運転操作を行うことができるようになる。
その後、車両が交差点を通過したと判定されると（Ｓ２１、ＹＥＳ、または、Ｓ２１、ＮＯかつＳ２２、ＹＥＳ）、上記のように行われていたキャリアの発信制御及び受信キャリアの監視に関する処理が終了される（Ｓ２３）。そして、処理は図３に示すステップＳ１に戻り、次の交差点での処理に備える。
【００４０】
上記のような交差点情報提供装置を搭載した車両の運転者は、交差点に向かって車両を運転する際、更に、指示した形態（直進、右折、左折等）にて当該交差点通過する際に、その進行方向に対して注意すべき車両が接近している旨の情報や警報が提供されるので、その提供される情報、警報に基づいてより安全な運転を行うことが可能となる。
【００４１】
なお、上記例において、図５に示すテーブル情報がテーブル手段に対応し、道路に埋設したタグからの情報を検出するためのタグ情報受信機１３及び図３に示すステップＳ１及びＳ２での処理が交差点進入方向検出手段に対応し、発信器２０及びステップＳ４乃至ステップＳ６での処理が信号発信手段に対応し、受信器３０及びステップＳ８乃至Ｓ１０での処理が信号取得手段に対応し、更に、警報・表示ユニット４０及びステップＳ１２、Ｓ１３での処理が情報出力手段に対応する。また、車速センサ１１及びステップＳ３での処理の一部が走行状態検出手段に対応する。更にまた、方向指示器１２及びＳ４での処理が判定手段に対応する。
【００４２】
【発明の効果】
以上、説明してきたように、各請求項記載の発明によれば、情報出力手段から出力される情報は、自車両が交差点に進入する方向と常に関連付けられた方向から当該交差点に向かっている車両が存在することを表す。従って、交差点に向かう車両や交差点内の車両に対して無駄な情報の提供を防止できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施の形態に係る交差点情報提供装置を搭載した車両が通過する交差点の状態を示す図である。
【図２】本発明の実施の一形態に係る交差点情報提供装置を示すブロック図である。
【図３】交差点における情報提供に関する処理の手順（その１）を示すフローチャートである。
【図４】交差点における情報提供に関する処理の手順（その２）を示すフローチャートである。
【図５】交差点への進入方向及び交差点の通過形態と発信キャリア及び受信キャリアとの関係を表すテーブル情報を示す図である。
【図６】信号の発信条件及び受信条件を表すマップ（その１）を示す図である。
【図７】信号の発信条件及び受信条件を表すマップ（その２）を示す図である。
【符号の説明】
１０ 制御ユニット
１１ 車速センサ
１２ 方向指示器
１３ タグ情報受信機
２０ 発信器
３０ 受信器
４０ 警報・表示ユニット
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に搭載される、交差点に向かう車両及び交差点内の車両の各運転者に対して接近する車両に関する情報を提供するための交差点情報提供装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、交差点内での事故を未然に防止するために、右折車両に対して対向車線の直進二輪車の存在、左折車両に対して側方二輪車の存在を知らせるシステムが提案されている（特開昭５７−１１７０９６号）。この従来のシステムでは、例えば、交差点内に向かっている二輪車が検出されたときに、その交差点に向かっている左折車両と当該二輪車との衝突の可能性がある場合、その左折車両に対して警報信号を路上に設置した送信機（主制御装置）から送信し、また、交差点内の右折車両と当該二輪車との衝突の可能性がある場合、その右折者車両に対して警報信号を当該送信機（主制御装置）から送信するようになっている。そして、これら左折車両及び右折車両では、受信した警報信号に基づいて警報表示がなされたり、警報音が発せられたりして運転者の注意が喚起される。
【０００３】
このようなシステムにより、交差点内における右折車両と直進二輪車との衝突事故、左折車両による二輪車の巻き込み事故を未然に防止することができるようになる。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような従来のシステムでは、警報信号がどの方向から交差点に向かう左折車両あるいは右折車両に対して提供すべきものか区別されていない。従って、例えば、上下車線にそれぞれ左折車両、右折車両（最低４台）が同時に存在した場合、外部から送信される警報信号がどの車両のために発せられたものかが判らない。このため、交差点に向かう車両あるいは交差点内の車両に対して無駄な警報信号を提供してしまう場合がある。
【０００５】
そこで、本発明の課題は、交差点に向かう車両や交差点内の車両に対して無駄な情報の提供を防止できるような交差点情報提供装置を提供することである。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明に係る交差点情報提供装置は、請求項１に記載されるように、車両の交差点への進入方向と信号形態の関係を定めたテーブル手段と、車両の交差点への進入方向を検出する交差点進入方向検出手段と、交差点進入方向検出手段にて検出された進入方向に対応するように上記テーブル手段にて定められた信号形態の信号を発信する信号発信手段と、外部から当該車両に到来する信号うち交差点進入方向検出手段にて検出された進入方向に関連付けられた当該交差点への進入方向に対応するように上記テーブル手段にて定められた信号形態の信号を選択的に取得する信号取得手段と、信号取得手段にて信号が取得されたときに車両の存在に関する情報を出力する情報出力手段とを備えるように構成される。
【０００７】
この交差点情報提供装置を搭載した車両がある方向から交差点に進入する際、交差点進入方向検出手段にて検出される方向に対応するようにテーブル手段にて定められた信号形態の信号が信号発信手段から発信される。同じように当該交差点情報提供装置を搭載した他の各車両もまた、その進入方向に対応した信号形態の信号を発信しながら交差点に進入してくる。また、この交差点情報提供装置を搭載した当該車両では、外部から（同じように当該交差点情報提供装置を搭載した各車両から）当該車両に到来する信号のうち交差点進入方向検出手段にて検出された進入方向に関連付けられた当該交差点への進入方向に対応するように上記テーブル手段にて定められた信号形態の信号が信号取得手段によって選択的に取得される。このとき、車両の存在に関する情報が情報出力手段から出力される。
【０００８】
このような交差点情報提供装置では、自車両が交差点に進入する方向と関連付けられた方向から交差点に同種の車両（交差点情報提供装置を搭載した車両）が進入する場合に、その同種の車両から発信された信号が信号取得手段にて取得される。即ち、情報出力手段から出力される情報は、自車両が交差点に進入する方向と関連付けられた方向から当該交差点に向かっている車両が存在することを表す。従って、当該車両の運転者は、情報出力手段から出力される情報に基づいてそのような車両が存在することを認識することができる。
【０００９】
交差点進入方向検出手段にて検出された進入方向に関連づけられた当該交差点への進入方向は、それぞれの方向から進入する各車両が自車両の交差点への進入に際して影響を及ぼす可能性があるか否かに基づいて定めることが好ましい。このようにすることにより、当該交差点情報提供装置を搭載した車両の運転者は、情報出力手段から出力される情報に基づいて自車両の交差点への進入に際して影響を及ぼす可能性のある車両の存在を認識することができる。
【００１０】
上記信号取得手段は、到来する信号を全て受信し、その受信した信号から目的の信号形態の信号を選択するように構成することも、また、目的の信号形態の信号を選択的に受信するように構成することもできる。
交差点に向かう車両の走行状態（速度、加速度など）に応じて、その車両の存在を他車両に知らせる必要性の度合がことなる。例えば、高速な状態で交差点に向かう車両の存在は、同様に交差点に向かう他車両に知らせる必要性が特に高い。また、車両の運転者にはできるだけ無駄な情報を提供することは避けることが好ましい。
このような事情から、本発明は、請求項２に記載されるように、上述した交差点情報提供装置において、更に、車両の走行状態を検出する走行状態検出手段と、走行状態検出手段にて検出された走行状態に応じて上記信号発信手段による信号の有無を制御する発信制御手段を備えるように構成することができる。
【００１１】
特に、急激に交差点に近づく車両の存在を他車両に知らせることができるという観点から、本発明は、請求項３に記載されるように、上記走行状態検出手段にて検出されるべき車両の走行状態は車速を含み、該発信制御手段は、交差点に至る各位置で走行状態検出手段にて検出された車速に基づいて信号発信手段による信号発信の有無を制御するように構成することができる。
【００１２】
更に、交差点に向かっている車両の当該交差点の通過形態は複数ある（例えば、直進通過、左折通過、右折通過など）。それぞれの通過形態にて交差点を通過する車両にとって注意すべき車両が異なる。このような観点から、本発明は、請求項４に記載されるように、上記各交差点情報提供装置において、上記テーブル手段は、車両の交差点への各進入方向毎に当該車両の交差点の通過形態と信号形態との関係を定めており、更に、車両の交差点の通過形態を判定する判定手段を有し、上記信号発信手段は、交差点進入方向検出手段にて検出された進入方向及び判定手段にて判定された通過形態に対応するように上記テーブル手段に定められた信号形態の信号を出力し、上記信号取得手段は、交差点進入方向検出手段にて検出された進入方向及び判定手段にて判定された通過形態に関連づけられた交差点への他の進入方向における当該交差点の通過形態に対応するように上記テーブル手段にて定められた信号形態の信号を選択的に取得するように構成することができる。
【００１３】
交差点の通過形態とは、車両が交差点をどのように通過するかを表わすもので、例えば、直進、左折、右折等の形態である。
上記のような交差点情報提供装置を搭載した車両では、交差点への進入方向が検出され、更に、その交差点の通過形態が判定されると、その検出された進入方向と判定された通過形態に対応するように上記テーブルに定められた信号形態の信号が発信手段によって発信される。また、交差点への進入方向とその交差点の通過形態に関連付けられた他の進入方向における当該交差点の通過形態にて通過しようとする同種の（同じように交差点情報提供装置を搭載した）車両が存在すると、その車両からの信号を信号取得手段にて取得する。このような信号を取得したことによって、情報出力手段から車両の存在に関する情報が出力される。
【００１４】
当該車両の運転者は、情報出力手段から出力される情報に基づいて、自車両の交差点への進入方向とその交差点の通過形態に関連付けられた他の進入方向における当該交差点の通過形態にて通過しようとする車両が存在することを認識することができる。
交差点進入検出手段にて検出された進入方向及び判定手段にて判定された当該交差点の通過形態に関連付けられた交差点への他の進入方向における通過形態は、それぞれの方向から進入してそれぞれの通過形態で交差点を通過しようとする各車両が自車両の交差点への進入に際して影響を及ぼす可能性があるか否かに基づいて定めることがこの好ましい。このようにすることにより、当該交差点情報提供装置を搭載した車両の運転者は、情報出力手段から出力される情報に基づいて自車両の交差点への進入に際して影響を及ぼす可能性のある車両の存在を認識することができる。
【００１５】
車両の交差点の通過形態（直進、右折、左折等）を判定する判定手段は、運転者の運転操作に基づいて当該判定を行うことができる。また、特に、簡単に判定がおこなえるという観点から、請求項５に記載されるように、上記判定手段は、車両の方向指示器からの信号に基づいて交差点の通過形態を判定するようにすることができる。
【００１６】
更に、車両の交差点への進入方向、あるいは、その進入方向及び交差点の通過形態に対応するように定められる信号形態は任意に定めることができる。その信号形態の信号を容易に生成でき、かつその判別が容易であるという観点から、請求項６に記載されるように、この信号形態は、周波数に基づいて定めることができる。
【００１７】
この場合、各交差点への進入方向、あるいは、その進入方向及び交差点の通過形態に対してそれぞれ異なった周波数が割り当てられる。
【００１８】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図１は、本発明の実施の一形態に係る交差点情報提供装置を搭載した車両（ＡＨＳ車両）が通過する交差点の例を示す。
図１において、片側２車線の道路Ｒ１と片側１車線の道路Ｒ２が交差している。この交差点の３つの角に隣接してビル等の建物Ｓ１、Ｓ２、Ｓ３が建てられており、各方向から交差点に向かう車両の運転者にとって交差する道路を交差点に向かう他の車両が見にくい状態となっている。
【００１９】
道路Ｒ１の一方の方向から（図面下方から）交差点に向かう各車線の当該交差点からＬメートル手前の位置にトランスポンダ（磁気誘導タグ：以下、単にタグという）Ｔａ、Ｔａが埋設されている。また、この道路Ｒ１の他方の方向（図面上方から）交差点に向かう各車線の当該交差点からＬメートル手前の位置にタグＴｃ、Ｔｃが埋設されている。更に、道路Ｒ１に交差する道路Ｒ２の一方の方向から（図面右側から）交差点に向かう車線の当該交差点からＬメートル手前の位置にタグＴｂが埋設されると共に、この道路Ｒ１の他方の方向（図面左側から）から交差点に向かう車線の当該交差点からＬメートル手前の位置にタグＴｄが埋設されている。
【００２０】
これら各タグＴａ、Ｔｂ、Ｔｃ、Ｔｄは、例えば、外部から電力の供給を受けて所定の信号（電波）を発信する。この信号には、交差点に向かう方向（どの方向から交差点に進入するか）に関する情報及び交差点の手前Ｌメートルの位置である旨の情報が少なくとも含まれている。
また、各タグＴａ、Ｔｂ、Ｔｃ、Ｔｄの埋設された車線の交差点の出口付近に監視終了地点を表す情報を発信する終了タグＴａｅ、Ｔｂｅ、Ｔｃｅ、Ｔｄｅが埋設されている。各タグＴａ、Ｔｂ、Ｔｃ、Ｔｄと対応する終了タグＴａｅ、Ｔｂｅ、Ｔｃｅ、Ｔｄｅとの間の距離は、例えば、Ｍメートルに設定される。
【００２１】
本発明の実施の一形態に係る交差点情報提供装置は、例えば、図２に示すように構成されている。
図２において、この交差点情報提供装置は車両に搭載されるもので、制御ユニット１０、発信器２０、受信器３０及び警報・表示ユニット４０を有している。制御ユニット１０は、車速センサ１１からの検出信号、方向指示器１２からの動作信号及び上記タグからの信号を受信するタグ情報受信機１３からの情報に基づいて発信器２０の制御を行う（制御の詳細は後述する）。また、この制御ユニット１０は、車速センサ１１からの検出信号及び受信器３０にて受信される情報に基づいて警報・表示ユニット４０の制御を行う（制御の詳細は後述する）。
【００２２】
上記制御ユニット１０は、メモリユニット（ＲＯＭ等）を有しており、このメモリユニットには、例えば、図５に示すようなテーブル情報が格納されている。このテーブル情報は、各タグＴａ、Ｔｂ、Ｔｃ、Ｔｄにて特定される交差点への進入方向毎に、その交差点の通過形態（直進、右折、左折）に対応した発信周波数（発信キャリア）が定められている。
【００２３】
図５に示すテーブル情報では、タグＴａの設置位置から交差点に向かう方向（図１における下方から）において、直進がキャリア（周波数）ａ0 、右折がキャリアａ1 、左折がキャリアａ2 に対応付けられ、タグＴｂの設置位置から交差点に向かう方向（図１における右側から）において、直進がキャリアｂ0 、右折がキャリアｂ1 、左折がキャリアｂ2 に対応付けられ、タグＴｃの設置位置から交差点に向かう方向（図１における上方から）において、直進がキャリアｃ0 、右折がキャリアｃ1 、左折がキャリアｃ2 に対応付けられ、更に、タグＴｄの設置位置から交差点に向かう方向（図１における左側から）において、直進がキャリアｄ0 、右折がキャリアｄ1 、左折がキャリアｄ2 にそれぞれ対応付けられている。
【００２４】
また、交差点への各進入方向において、車両がどのような通過形態（直進、右折、左折）で当該交差点を通過するかによって、当該車両がどのように交差点を通過する車両に注意すべきかが異なる。自車両が走行する車線を横切るように走行する車両及び自車両が走行する車線に合流するように走行する車両に注意すべきである。この観点から、図５に示すテーブル情報には、各タグＴａ、Ｔｂ、Ｔｃ、Ｔｄにて特定される交差点への進入方向毎に、その交差点の各通過形態（直進、右折、左折）で通過する車両が注意すべき車両の進入方向及び通過形態に対応して上記のように定められた信号の周波数（キャリア）が受信キャリアとして定められている。
【００２５】
例えば、タグＴａの設置位置から交差点に向かう方向において（図１参照）、直進車両が注意すべき車両は、タグＴｂの設置位置から交差点に向かう方向の直進車両、タグＴｄの設置位置から交差点に向かう方向の直進車両、タグＴｃ、タグＴｂ、タグＴｄのそれぞれの設置位置から交差点に向かう方向の各右折車両、及びタグＴｄの設置位置から交差点に向かう方向の左折車両である。従って、この場合、タグＴａの設置位置から交差点に向かう方向におけるこの交差点の通過形態「直進」に対して、各キャリアｂ0 、ｄ0 、ｃ1 、ｂ1 、ｄ1 、ｄ2 が受信キャリアとして定めらる。
【００２６】
制御ユニット１０のメモリユニットには、上述したようなテーブル情報の外に、例えば、図６及び図７に示すような発信器２０の発信条件及び、受信器３０での信号の受信条件を定めた条件マップ情報が格納されている。
図６に示す条件マップは、信号機の設置された交差点に適用される発信条件及び受信条件を示す。即ち、各タグの検出位置（原点）から交差点に至る各位置（横軸）における車速（縦軸）が特性Ｑ１以上であれば自車両の存在を表す信号発信を行い、各位置における車速がこの特性Ｑ１を下回る場合は、その信号発信を行わない。また、各タグの検出位置から交差点に至る各位置における車速が特性Ｑ２以上であれば、受信キャリアの監視を行い、各位置における車速がこの特性Ｑ２を下回る場合は、受信キャリアの監視を行わない。上記各条件は、比較的低速で交差点に進入する車両については、特に、その存在について情報提供を行わないというものである。
【００２７】
なお、交差点内の各位置においては、車速にかかわりなく、自車両の存在を表す信号発信を行うと共に、受信キャリアの監視も行う。
図７に示す条件マップは、信号機の設置されていない交差点に適用される発信条件及び受信条件を示す。この場合、上記図６に示す条件マップと異なる点は、特性Ｑ２が車速が「０」の特性を示しており、車速にかかわりなく常に受信キャリアの監視を行うという点である。
【００２８】
上記のような交差点情報提供装置を搭載した車両が図１に示すような交差点に進入して更に通過する過程で、当該交差点情報提供装置における制御ユニット１０は、車速センサ１１からの検出信号、方向指示器１２からの動作信号、タグ情報受信機１３からの情報更に、上記各テーブル情報及び条件マップを用いて、例えば、図３及び図４に示す手順に従って、情報提供に関する処理を行う。
【００２９】
図３において、制御ユニット１０は、タグ情報受信機１３からの情報を監視して道路に設置したタグから発せられる情報が受信されたか否かを判定している（Ｓ１）。なお、タグ情報受信機１３は、例えば、無線にてパルス状の電力放射を行っており、車両がタグ上を通過する際にその電力の供給によってタグからタグ情報（交差点の進入方向、交差点手前Ｌメートル等）が発信される。
【００３０】
このようなタグ情報が受信されたと判定すると、制御ユニット１０は、更に、そのタグ情報に基づいて当該車両の交差点への進入方向を判定すると共に、車両の走行位置（交差点からＬメートル手前）を確認する（Ｓ２）。そして、上記条件マップ（図６または図７）を参照して、車速センサ１１からの検出信号に基づいて取得される車速が信号発信の条件を満たしているか（車速が特性Ｑ１以上となっているか）否かが判定される（Ｓ３）。
【００３１】
ここで、発信条件が満足されていると、方向指示器１２からの動作信号を取得して自車両の当該交差点の通過形態を判定する（Ｓ４）。上記のようにタグ情報から得られた交差点への進入方向及びこの方向指示器１２からの動作信号に基づいて判定された当該交差点の通過形態に対応して上記テーブル情報（図５参照）に定められたキャリアが決定される（Ｓ５）。そして、制御ユニット１０は、発信器２０のこの決定されたキャリアでの発信制御を行う（Ｓ６）。その結果、発信器２０が上記のように決定されたキャリアの信号を発信しながら当該車両が交差点に向かって走行し、更に、交差点内を通過する。
【００３２】
一方、上記発信条件が満たされない場合には、特に信号の発信を行うことなく交差点に向かって走行する。
図１に示す例の場合、タグＴａの設置位置から交差点に向かう直進車両ＶA1はキャリアａ0 信号を発信し、同方向から交差点に向かう右折車両ＶA2はキャリアａ1 信号を発信する。タグＴｃの設置位置から交差点に向かう直進車両ＶC1はキャリアｃ0 信号を発信し、同方向から交差点に向かう右折車両ＶC2はキャリアｃ1 信号を発信する。また、タグＴｄの設置位置から交差点に向かう直進車両ＶD1はキャリアｄ0 信号を発信する。更に、タグＴｂが設置された車線の交差点手前で停止している車両ＶB1、ＶB2は、上記発信条件（図６または図７参照）を満たしていないので、信号の発信は行わない。
【００３３】
上記のように車両の交差点への進入方向及びその交差点の通過形態に対応したキャリアの信号の発信制御がなされる一方、更に、上記条件マップ（図６または図７参照）を参照して、当該受信条件が満たされているか否かが判定される（Ｓ７）。そして、その受信条件が満たされている場合、当該交差点情報提供装置を搭載した他の車両から発信される信号キャリアの監視処理が行われる（Ｓ８）。その監視処理の結果、何らかの信号キャリアが受信機２０にて受信されているか否かが判定される（Ｓ９）。信号キャリアが受信器２０にて受信されている場合、受信されている信号キャリアが、図５に示すテーブル情報に自車両の交差点への進入方向及びその交差点の通過形態に対応した受信キャリアとして定められたキャリアであるか否かの判定がなされる（Ｓ１０）。そして、自車両の交差点への進入方向及びその交差点の通過形態に対応した受信キャリアとして上記テーブル情報として定められたキャリアが受信されているとそのキャリアに関する情報が制御ユニット１０内にセットされる。
【００３４】
例えば、図１に示すように、タグＴａの設置位置から交差点に向かう右折車両ＶA2に搭載された交差点情報提供装置の制御ユニット１０には、タグＴｃの設置位置から交差点に向かう直進車両Ｖc1が発信するキャリアｃo 及びタグＴｄの設置位置から交差点に向かう直進車両ＶD1が発信するキャリアｄ0 に関する情報がセットされる。
【００３５】
そのような状態において、制御ユニット１０は、タグ情報を取得して（Ｓ１）から車速センサ１１からの検出信号（車輪速パルス）に基づいて演算される走行距離に基づいて自車両が交差点内に達したか否かを判定する（Ｓ１１）。まだ、自車両が交差点に達していない場合、制御ユニット１０は、上記のようにセットしたキャリアが上記テーブル情報（図５参照）において発信キャリアとして定められた車両の交差点への進入方向から車両が接近する旨のは車両接近メッセージを表示制御信号と共に警報・表示ユニット４０に供給する（Ｓ１２）。その結果、警報・表示ユニット４０には、その車両接近メッセージが表示される。
【００３６】
例えば、図１に示すように、タグＴａの設置位置から交差点に進入する右折車両ＶA2の場合、受信したキャリアｃ0 、ｄ0 に基づいて（図５参照）、タグＴｃの設置位置から交差点に向かう直進車両ＶC1及びタグＴｄの設置位置から交差点に向かう直進車両ＶD1が接近する旨の車両接近メッセージが警報・表示ユニット４０に表示される。
【００３７】
このように警報・表示ユニット４０に表示された車両接近メッセージを見た運転者は、そのように接近する車両の存在を認識しつつ、交差点に向かって運転操作を行うことができる。
上記のように車両接近メッセージが警報・表示ユニット４０に表示された状態で、図４に示す処理に移行する。この処理においては、交差点の出口付近に埋設された終了タグからの情報が取得されたか否が判定され（Ｓ２１）、更に、交差点の手前に埋設されたタグの検出時から演算される走行距離がＭメートル（当該タグから対応する終了タグまでの間の距離）以上となったか否か（Ｓ２２）、即ち、車両が交差点を通過したか否かが判定される。なお、上述した受信条件が満たされない場合（Ｓ７、ＮＯ）、または、外部からキャリアが受信されない場合（Ｓ９、ＮＯ）は、上述した車両近接メッセージの表示を行うことなく、上記処理（Ｓ２１、Ｓ２２）が実行される。
【００３８】
上記処理の結果、車両がまだ交差点を通過していないと判定される場合（Ｓ２１、ＮＯ、Ｓ２２、ＮＯ）、処理は、図３に示すステップＳ３に戻り、上述した当該ステップＳ３からＳ１２の処理が繰り返し実行される。このように処理を繰り返す過程で、演算される走行距離に基づいて車両が交差点内にあると判定されると（Ｓ１１、ＹＥＳ）、制御ユニット１０は上述した車両接近メッセージに加えて警報信号を警報・表示ユニット４０に提供する。その結果、警報・表示ユニット４０は、上記と同様に車両近接メッセージを表示すると共に、警報ランプを点灯あるいは警報音を発する。
【００３９】
従って、交差点内の車両の運転者は、警報によって注意を喚起されることによって接近する車両に対して更に注意を払いながら交差点を通過するための運転操作を行うことができるようになる。
その後、車両が交差点を通過したと判定されると（Ｓ２１、ＹＥＳ、または、Ｓ２１、ＮＯかつＳ２２、ＹＥＳ）、上記のように行われていたキャリアの発信制御及び受信キャリアの監視に関する処理が終了される（Ｓ２３）。そして、処理は図３に示すステップＳ１に戻り、次の交差点での処理に備える。
【００４０】
上記のような交差点情報提供装置を搭載した車両の運転者は、交差点に向かって車両を運転する際、更に、指示した形態（直進、右折、左折等）にて当該交差点通過する際に、その進行方向に対して注意すべき車両が接近している旨の情報や警報が提供されるので、その提供される情報、警報に基づいてより安全な運転を行うことが可能となる。
【００４１】
なお、上記例において、図５に示すテーブル情報がテーブル手段に対応し、道路に埋設したタグからの情報を検出するためのタグ情報受信機１３及び図３に示すステップＳ１及びＳ２での処理が交差点進入方向検出手段に対応し、発信器２０及びステップＳ４乃至ステップＳ６での処理が信号発信手段に対応し、受信器３０及びステップＳ８乃至Ｓ１０での処理が信号取得手段に対応し、更に、警報・表示ユニット４０及びステップＳ１２、Ｓ１３での処理が情報出力手段に対応する。また、車速センサ１１及びステップＳ３での処理の一部が走行状態検出手段に対応する。更にまた、方向指示器１２及びＳ４での処理が判定手段に対応する。
【００４２】
【発明の効果】
以上、説明してきたように、各請求項記載の発明によれば、情報出力手段から出力される情報は、自車両が交差点に進入する方向と常に関連付けられた方向から当該交差点に向かっている車両が存在することを表す。従って、交差点に向かう車両や交差点内の車両に対して無駄な情報の提供を防止できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施の形態に係る交差点情報提供装置を搭載した車両が通過する交差点の状態を示す図である。
【図２】本発明の実施の一形態に係る交差点情報提供装置を示すブロック図である。
【図３】交差点における情報提供に関する処理の手順（その１）を示すフローチャートである。
【図４】交差点における情報提供に関する処理の手順（その２）を示すフローチャートである。
【図５】交差点への進入方向及び交差点の通過形態と発信キャリア及び受信キャリアとの関係を表すテーブル情報を示す図である。
【図６】信号の発信条件及び受信条件を表すマップ（その１）を示す図である。
【図７】信号の発信条件及び受信条件を表すマップ（その２）を示す図である。
【符号の説明】
１０ 制御ユニット
１１ 車速センサ
１２ 方向指示器
１３ タグ情報受信機
２０ 発信器
３０ 受信器
４０ 警報・表示ユニット
Claims (6)
- 車両の交差点への進入方向と信号形態の関係を定めたテーブル手段と、
車両の交差点への進入方向を検出する交差点進入方向検出手段と、
交差点進入方向検出手段にて検出された進入方向に対応するように上記テーブル手段にて定められた信号形態の信号を発信する信号発信手段と、
外部から当該車両に到来する信号のうち交差点進入方向検出手段にて検出された進入方向に関連付けられた当該交差点への進入方向に対応するように上記テーブル手段にて定められた信号形態の信号を選択的に取得する信号取得手段と、
信号取得手段にて信号が取得されたときに車両の存在に関する情報を出力する情報出力手段とを備えた車載交差点情報提供装置。 - 請求項１記載の車載交差点情報提供装置において、
更に、車両の走行状態を検出する走行状態検出手段と、
走行状態検出手段にて検出された走行状態に応じて上記信号発信手段による信号発信の有無を制御する発信制御手段とを備えた車載交差点情報提供装置。 - 請求項２記載の車載交差点情報提供装置において、
走行状態検出手段にて検出されるべき車両の走行状態は車速を含み、
該発信制御手段は、交差点に至る各位置で走行状態検出手段により検出された車速に基づいて信号発信手段による信号発信の有無を制御するようにした車載交差点情報提供装置。 - 請求項１乃至３いずれか記載の車載交差点情報提供装置において、
上記テーブル手段は、車両の交差点への各進入方向毎に当該車両の交差点の通過形態と信号形態との関係を定めており、
更に、車両の交差点の通過形態を判定する判定手段を有し、
上記信号発信手段は、交差点進入方向検出手段にて検出された進入方向及び判定手段にて判定された通過形態に対応するように上記テーブル手段にて定められた信号形態の信号を出力し、
上記信号取得手段は、交差点進入方向検出手段にて検出された進入方向及び判定手段にて判定された通過形態に関連付けられた交差点への他の進入方向における当該交差点の通過形態に対応するように上記テーブル手段にて定められた信号形態の信号を選択的に取得するようにした車載交差点情報提供装置。 - 請求項４記載の車載交差点情報提供装置において、
判定手段は、車両の方向指示器からの信号に基づいて交差点の通過形態を判定するようにした車載交差点情報提供装置。 - 請求項１乃至５いずれか記載の車載交差点情報提供装置において、
上記信号形態は、発信周波数のことである車載交差点情報提供装置。
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