JP3994581B2 - 交通システム,車載装置及び車両 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、交差点に向かって走行している車両が交差点手前の危険ゾーンに入ることを事前に予測して、その車両が実際に危険ゾーンに入る前にその旨を報知する交通システム、該交通システムに用いられる車載装置、及び、該車載装置を搭載した車両に関する。
【0002】
【従来の技術】
交通事故の統計資料によると、交差点付近での事故の件数が相変わらず多く、それらの事故の中で追突事故が占める割合が大きい。このような追突事故の原因を考える上で、交差点手前の危険ゾーンの存在が重要である。この危険ゾーンとは、交差点の信号機で黄色表示がなされた際に、車両が交差点の通過または交差点手前での停止を安全に行えない範囲、言い換えると、信号機が黄色に変わった際に、交差点手前で停止すべきか、交差点を通過すべきかの判断に運転者が迷う範囲である。
【0003】
交差点の信号が黄色表示に変わった際にこのような危険ゾーン内を2台の車両が比較的接近して走行しており、前の車両の運転者は交差点の手間に停止しようと判断し、後ろの車両の運転者は交差点を通過できると判断して、しかも、後ろの車両の運転者が前の車両のブレーキ操作に気がつくのが遅い場合に、追突事故は起こり易い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
黄色表示に変わった際に危険ゾーン内を走行する車両の運転者は、瞬時の判断により、交差点手前で停止するか、交差点を通過してしまうかを決定しなければならない。従来では、危険ゾーンに関する情報が車両の運転者に知らされないので、走行中に突然にこのような瞬時の判断を行わなければならず、判断ミスを引き起こし易く、その結果、事故発生につながるという問題がある。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、交差点手前の危険ゾーンに入ることを予測し、信号が黄色表示となる前に事前に走行中の車両の運転者にその旨を知らせることができ、運転者が落ち着いて、交差点手前で停止するか、交差点を通過してしまうかを判断でき、その判断ミスを少なくでき、交差点手前での追突事故を少なくできる交通システム、該交通システムに用いられる車載装置、及び、該車載装置を搭載した車両を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る交通システムは、信号機の現在及び将来の表示に関する信号機情報を前記信号機に向かって進行する車両に対して送信する路上装置と、前記車両が安全に停止することも通過することもできない危険ゾーンに進入するか否かを前記信号機情報に基づいて予測し、当該予測結果に応じた情報を前記車両の搭乗者に報知する車載装置とを含む交通システムであって、前記車載装置は、前記信号機情報に基づいて、前記信号機が黄信号の表示を開始する時点及び黄信号の表示期間を含む黄信号情報を取得する黄信号情報取得手段と、前記車両の走行速度を取得する速度取得手段と、取得した前記黄信号情報及び走行速度に基づいて、黄信号の表示開始時点における前記車両の位置を予測する車両位置予測手段と、危険ゾーンの範囲に関する危険ゾーン情報を記憶している記憶手段と、前記記憶手段から取得した危険ゾーン情報及び予測した前記車両の位置に基づいて、黄信号の表示開始時点に前記車両が危険ゾーンの範囲内に存在するか否かを判定する判定手段と、前記判定手段の判定結果に応じた情報を前記車両の搭乗者に報知する報知手段とを有することを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る交通システムは、請求項1において、前記車載装置が、取得した前記黄信号情報及び走行速度に基づいて、危険ゾーンの範囲を算出する危険ゾーン算出手段を有し、算出した危険ゾーンの範囲を前記記憶手段に記憶させることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る交通システムは、請求項1又は2において、前記危険ゾーン情報が、前記車両が黄信号の表示期間に走行する通過距離と、前記車両が所定の減速以下で減速した場合に停止するまでに走行する停止距離とを含み、停止線から前記通過距離以上であって前記停止距離以下である範囲を危険ゾーンの範囲とすることを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る交通システムは、請求項1乃至3のいずれかにおいて、前記判定手段の判定結果に応じた前記情報が、前記信号機が間もなく変わることを伝える情報、前記車両を減速させるように促す情報、及び、前記車両を停止線の手前で停止させるように促す情報のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る車載装置は、請求項1乃至4のいずれかに記載の交通システムに用いられることを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る車両は、請求項5に記載の車載装置を搭載したことを特徴とする。
【0012】
請求項7に係る交通システムは、信号機の現在及び将来の表示に関する信号機情報を取得し、前記信号機に向かって進行する車両が安全に停止することも通過することもできない危険ゾーンに進入するか否かを予測し、当該予測結果に応じた情報を前記車両の搭乗者に報知する路上装置を含む交通システムであって、前記路上装置は、前記信号機情報に基づいて、前記信号機が黄信号の表示を開始する時点及び黄信号の表示期間を含む黄信号情報を取得する黄信号情報取得手段と、前記信号機に向かって進行する車両の走行速度を取得する速度取得手段と、取得した前記黄信号情報及び走行速度に基づいて、黄信号の表示開始時点における前記車両の位置を予測する車両位置予測手段と、危険ゾーンの範囲に関する危険ゾーン情報を記憶している記憶手段と、前記記憶手段から取得した危険ゾーン情報及び予測した前記車両の位置に基づいて、黄信号の表示開始時点に前記車両が危険ゾーンの範囲内に存在するか否かを判定する判定手段と、前記判定手段の判定結果に応じた情報を前記車両の搭乗者に報知する報知手段とを有することを特徴とする。
【0014】
本発明では、車両の所定地点の通過時刻,その所定地点での車両の走行速度及びその所定地点の位置を含む情報と、交差点の信号が黄色表示に切り替わる時刻の情報と、その交差点手前の危険ゾーンの情報とを獲得する。獲得したこれらの車両情報,信号情報及び危険ゾーン情報に基づいて、その車両が危険ゾーンに入るか否かを判断する。そして、危険ゾーンに入ると判断した場合には、その旨を車両の運転者に報知する。よって、危険ゾーンに入ることが事前に車両の運転者に報知されるので、運転者は心の余裕を持って、交差点手前で停止するか、交差点を通過してしまうかを判断することができ、その判断ミスも従来に比べて低減し、交差点手前での追突事故の減少を図れる。
【0015】
なお、上述した所定地点の車両の通過時刻,車両の走行速度及び所定地点の位置を含む情報は、路側に設けた計測装置にて計測しても良いし、車両内のカーナビゲーションシステムを利用して計測するようにしても良い。また、危険ゾーンに入るか否かを判断する装置を路側に設け、危険ゾーンに入ることを路側に設けた表示装置にて運転者に報知するように構成しても良いし、危険ゾーンに入るか否かを判断する装置を車両内に設け、危険ゾーンに入ることを車両内のカーナビゲーションシステムを利用して映像または音声にて運転者に報知するように構成しても良い。
【0016】
信号機の黄色表示時間に基づく計算により、その都度、危険ゾーンの情報を求めても良いし、車両速度と危険ゾーンの長さとの関係を示すテーブルを予め準備しておき、そのテーブル値を読み出すことによって危険ゾーンの情報を求めるようにしても良い。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の危険ゾーン報知システムの構成を示すブロック図、図2は、本発明の危険ゾーン報知方法の動作手順を示すフローチャートである。
【0018】
本発明の危険ゾーン報知システムは、車両走行情報獲得装置1と、信号切替時刻通知装置2と、危険ゾーン通知装置3と、危険ゾーン判断装置4と、危険ゾーン報知装置5とを有する。
【0019】
車両走行情報獲得装置1は、所定地点での車両の走行速度(V)と所定地点の車両の通過時刻(T)と所定地点の位置(所定地点から交差点停止線までの距離)(L)とを含む車両走行情報を獲得して、危険ゾーン判断装置4へ通知する(ステップS1)。この車両走行情報獲得装置1を車両内に設ける場合には、カーナビゲーションシステムにおいて現在の走行位置から交差点停止線位置までの距離を求めるようにするか、または、路側等に設けた通信装置からの指示を受信した結果により車両の現在位置を求めることができる。なお、車両内に車両走行情報獲得装置1を設ける場合には、他の走行速度及び通過時刻の情報の取得は問題ない。一方、この車両走行情報獲得装置1を路側に設ける場合には、所定位置に設けた超音波式またはマイクロ波式の検知器を用いて、その検知器下方を走行する車両の速度を求める。なお、路側に車両走行情報獲得装置1を設ける場合には、この速度検知器を定点に設置しているので、他の通過時刻及び交差点停止線までの距離の情報の獲得は問題ない。
【0020】
信号切替時刻通知装置2は、交差点の信号機が黄色表示に切り替わる時刻の情報を記憶しており、その切替時刻(Ty)の情報を危険ゾーン判断装置4へ通知する(ステップS2)。この信号切替時刻通知装置2は、信号制御器内等に設置される。
【0021】
危険ゾーン通知装置3は、交差点における危険ゾーン(L1,L2)の情報を危険ゾーン判断装置4へ通知する(ステップS3)。危険ゾーン通知装置3は、黄色信号の表示時間と実験データの結果とを考慮して予め計算して求めておいた車両速度と危険ゾーンとの関係を示すテーブルを格納しておき、そのテーブルからデータを読み出すことにより危険ゾーンの情報を得るようにしても良いし、黄色信号の表示時間を含む計算用のパラメータを入力して、計算によって危険ゾーンを求めるようにしても良い。この危険ゾーン通知装置3を車両内に設ける場合には、カーナビゲーションシステムにおける地図データベースの機能の一部とすることができる。一方、この危険ゾーン通知装置3を路側に設ける場合には、信号切替時刻通知装置2と共に信号制御器内等に設置できる。
【0022】
ここで、危険ゾーンの求め方について説明する。危険ゾーンは、例えば、車両の走行速度に応じた停止距離(L1)と黄色の表示期間中の走行速度に応じた通過距離(L2)との間の領域にて表現する。この停止距離(L1),通過距離(L2)は、具体的には下記式(1),(2)で表される。
L1=V×τ+(V2 /2d) …(1)
L2=V×Y …(2)
但し、
V:車両の走行速度(m/秒)
τ:運転者の反応速度(秒)
d:減速時の加速度(m/秒2
Y:黄色の表示時間(秒)
【0023】
上記式(1),(2)においてτ=1(秒),d=0.3g(g:重力加速度)とした場合の車両の走行速度と停止距離(L1),通過距離(L2)との関係を示すグラフを、図3に示す。図3では、横軸に走行速度(km/時)、縦軸に車両位置(m)をとって、それらの関係を示している。また、時速40〜80kmにおける10km毎の停止距離(L1),通過距離(L2)の数値の具体例は、下記表1のようになる。
【0024】
【表1】
Figure 0003994581
【0025】
以上のように、上記式(1),(2)に基づいて計算するか、または、表1のようなテーブルを参照することにより、車両の走行速度に基づいて、信号機が黄色表示に変わった際に車両が危険ゾーンに入っているか否かの判断基準となる位置L1,L2を求めることができる。
【0026】
危険ゾーン判断装置4は、車両走行情報獲得装置1から車両の走行速度(V)と車両の通過時刻(T)と車両の位置(車両から交差点停止線までの距離)(L)とを、信号切替時刻通知装置2から黄色表示への切替時刻(Ty)を、危険ゾーン通知装置3から危険ゾーン(L1,L2)を、夫々受信し、それらの情報に基づいて、信号機が黄色表示に変わる際に車両が危険ゾーンに入っているか否かを判断する(ステップS4)。
【0027】
まず、走行速度(V),通過時刻(T),距離(L)及び切替時刻(Ty)を用いて、黄色表示に変わる際の車両の位置(Ly)を求める。この車両の位置(Ly)は、具体的には下記式(3)で表される。
Ly=L−V×(Ty−T) …(3)
【0028】
求めた車両の位置(Ly)を危険ゾーン(L1,L2)と比較して、信号機が黄色表示に変わる際に車両が危険ゾーンに入っているか否かを判断する。具体的には、車両の位置(Ly)が下記式(4)の条件を満たす場合に、車両が危険ゾーンに入っていると判断する。
L2≦Ly≦L1 …(4)
【0029】
図4は、この危険ゾーンを示す模式図であり、交差点10aの停止線からの距離が、L2以上,L1以下である道路10の範囲(図4でハッチングを付したZの範囲)が危険ゾーンとなる。
【0030】
車両が危険ゾーンに入っていると判断した場合には(ステップS5:YES)、その旨を危険ゾーン判断装置4から危険ゾーン報知装置5へ通知する(ステップS6)。一方、車両が危険ゾーンに入っていないと判断した場合には(S5:NO)、そのまま処理を終了する。
【0031】
この危険ゾーン判断装置4は、カーナビゲーションシステムに組み込んで車両内に設けていても良いし、路側の適当な位置に設けるようにしても良い。
【0032】
危険ゾーン報知装置5は、このままでは車両が危険ゾーンに入るということを危険ゾーン判断装置4から受信した場合に、その旨を運転者に報知する。危険ゾーン報知装置5を車両内に設置する場合には、例えば、カーナビゲーションシステムでの表示または音声によって車両が危険ゾーンに入ることを運転者に予告報知する。危険ゾーン報知装置5を路側に設置する場合には、例えば、路側に設けた情報板による文字表示にて運転者に予告報知する。
【0033】
この危険ゾーン報知装置5により運転者へ報知するメッセージの例としては、「停止して下さい」,「交差点通過できません。停止して下さい」,「信号が赤になります。停止して下さい」,「危険。信号に注意」などが考えられる。
【0034】
本発明の危険ゾーン報知システムの具体的な構成例について、以下に説明する。まず、車両走行情報獲得装置1,危険ゾーン通知装置3,危険ゾーン判断装置4及び危険ゾーン報知装置5を車両内に設置し、信号切替時刻通知装置2を路側に設置するように構成した第1,第2実施の形態について説明する。
【0035】
(第1実施の形態)
図5は、第1実施の形態による危険ゾーン報知システムの全体構成を示している。車両Aが走行する道路10の交差点10aに信号機11が設置されている。信号機11には信号制御器12が接続されており、信号制御器12により信号機11の点灯動作が制御されるようになっている。信号制御器12内には、信号機11の点灯動作を制御する信号制御部13と、交差点10aの信号機11が黄色表示に切り替わる時刻(上記切替時刻(Ty))を発信・通知する、前記信号切替時刻通知装置2に該当する切替時刻通知部14とが設けられている。
【0036】
図6は、切替時刻通知部14の内部構成を示しており、切替時刻通知部14は、黄色表示に切り替わる時刻のデータを記憶する記憶部14aと、記憶部14aから切替時刻(Ty)を読み出して発信する発信部14bと、切替時刻(Ty)を示す無線信号を発する発信アンテナ14cとを有する。
【0037】
また、道路10を走行する車両Aには、図7に示すように、走行情報取得部21,テーブル格納部22,マイクロコンピュータ23,表示部24,受信部25及び受信アンテナ26が搭載されている。
【0038】
走行情報取得部21は、前記車両走行情報獲得装置1に該当し、車両Aの走行速度(V)と車両Aの位置(車両Aから交差点10aの停止線までの距離(L))とそのときの時刻(T)との情報を取得して、マイクロコンピュータ23へ通知する。走行情報取得部21は、走行速度(V)の情報は速度計から取得し、距離(L)の情報はカーナビゲーションシステムから取得し、時刻(T)の情報は内部のタイマから取得する。
【0039】
受信部25は、受信アンテナ26を介して、切替時刻通知部14の発信アンテナ14cから発信された切替時刻(Ty)を示す無線信号を受信し、受信した切替時刻(Ty)の情報をマイクロコンピュータ23へ通知する。
【0040】
テーブル格納部22は、前記危険ゾーン通知装置3に該当し、上述した表1のような走行速度と危険ゾーンとの関係を示すテーブルを予め格納しており、そのテーブルのデータ(L1,L2)を読み出してマイクロコンピュータ23へ通知する。
【0041】
マイクロコンピュータ23は、前記危険ゾーン判断装置4に該当し、走行情報取得部21,受信部25及びテーブル格納部22から各種の情報を受け取り、これらの情報に基づいて、信号機11が黄色表示に変わる際に車両Aが危険ゾーンに入っているか否かを判断する。そして、危険ゾーンに入っていると判断した場合には、その旨を表示部24へ通知する。
【0042】
表示部24は、前記危険ゾーン報知装置5に該当し、マイクロコンピュータ23にて、危険ゾーンに入っていると判断された場合には、その旨を文字表示にて運転者に知らせる。
【0043】
次に、動作について説明する。走行情報取得部21にて、車両Aの走行速度(V)と車両Aの位置(車両Aから交差点10aの停止線までの距離)(L)とそのときの時刻(T)との情報が取得されて、マイクロコンピュータ23へ通知される(図2のS1)。切替時刻通知部14から発信アンテナ14cを介して、黄色表示に切り替わる時刻(Ty)の情報を示す無線信号が発信され、その無線信号が受信アンテナ26で受信され、切替時刻(Ty)の情報がマイクロコンピュータ23へ通知される(S2)。テーブル格納部22から危険ゾーン(L1,L2)の情報が読み出されてマイクロコンピュータ23へ通知される(S3)。
【0044】
マイクロコンピュータ23にて、通知されたこれらの情報に基づいて、信号機11が黄色表示に変わる際に車両Aが危険ゾーンに入っているか否かが判断される(S4)。マイクロコンピュータ23は、まず、走行速度(V),通過時刻(T),距離(L)及び切替時刻(Ty)を用いて、黄色表示に変わった際の車両Aの位置(Ly)を、前記式(3)に従って求める。そして、求めた車両Aの位置(Ly)を危険ゾーン(L1,L2)と比較して、前記式(4)の条件を満たすか否かを判定して、信号機11が黄色表示に変わった際に車両Aが危険ゾーンに入っているか否かを判断する。危険ゾーンに入っていると判断した場合には、その旨が表示部24へ通知される(S6)。
【0045】
マイクロコンピュータ23から、危険ゾーンに入っていると表示部24へ通知されると、表示部24にて、その旨が文字またはサインにて表示されて運転者に報知される(S7)。
【0046】
(第2実施の形態)
図8は、第2実施の形態による車両Aに搭載される機器の構成例を示す図である。車両Aには、図8に示すように、走行情報取得部21,危険ゾーン計算部27,マイクロコンピュータ23,表示部24,受信部25及び受信アンテナ26が搭載されている。
【0047】
なお、信号制御器12内に設ける切替時刻通知部14の基本構成は、第1実施の形態の場合と同様であるが、この第2実施の形態では、交差点10aの信号機11が黄色表示に切り替わる時刻(切替時刻(Ty))が切替時刻通知部14から通知されるだけでなく、黄色信号の表示時間を示す情報の無線信号も切替時刻通知部14の発信アンテナ14cから発信されるようになっている。
【0048】
危険ゾーン計算部27は、前記危険ゾーン通知装置3に該当し、切替時刻通知部14から送られた黄色信号の表示時間の情報を受信アンテナ26,受信部25を介して受け取り、その黄色信号の表示時間の情報に基づいて危険ゾーンを計算し、その計算結果をマイクロコンピュータ23へ通知する。
【0049】
なお、他の走行情報取得部21,マイクロコンピュータ23,表示部24の構成及び動作と、受信アンテナ26,受信部25による切替時刻(Ty)の情報の受信動作,通知動作とは第1実施の形態と同様であるので、それらの説明は省略する。
【0050】
第1,第2実施の形態の上記例では、信号切替時刻通知装置2(切替時刻通知部14)を信号制御器12内に設けるようにしたが、その設置位置は、路側であれば特定されるものでないことは勿論である。
【0051】
次に、車両走行情報獲得装置1,信号切替時刻通知装置2,危険ゾーン通知装置3,危険ゾーン判断装置4及び危険ゾーン報知装置5の全てを路側に設置するように構成した第3実施の形態について説明する。
【0052】
(第3実施の形態)
図9は、第3実施の形態による危険ゾーン報知システムの全体構成を示している。車両が走行する道路10の交差点10aに信号機11が設置されている。信号機11には、信号機11の点灯動作を制御する信号制御器12が接続されている。
【0053】
図10は、信号制御器12の内部構成を示しており、信号制御器12内には、第1,第2実施の形態と同様の信号制御部13と、切替時刻記憶部31,テーブル格納部32,マイクロコンピュータ33,受信部34,受信アンテナ35,発信部36及び発信アンテナ37とが設けられている。
【0054】
また、交差点10aの手前150〜200m程度の路側に、文字表示にて運転者に情報を報知する情報板38が設けられており、情報板38には受信アンテナ38aが備えられている。
【0055】
この情報板38の設置位置から更に交差点10aから遠ざかった位置の道路10の上方に、車両の走行速度を計測する超音波式またはマイクロ波式の速度検知器39が設けられており、速度検知器39には発信アンテナ39aが備えられている。なお、この速度検知器39の設置位置は、情報板38の設置位置から、図2のS1〜S7の処理に要する時間(秒)×車両の秒速(15〜25m/秒程度)で求まる距離だけ上流側であることが好ましい。
【0056】
速度検知器39は、前記車両走行情報獲得装置1に該当し、車両Aの走行速度(V)を計測し、その計測結果を示す無線信号を発信アンテナ39aから発信する。受信部34は、受信アンテナ35を介して、発信アンテナ39aから発信された走行速度(V)を示す無線信号を受信し、受信した走行速度(V)の情報をマイクロコンピュータ33へ通知する。なお、車両Aの位置(車両Aから交差点10aの停止線までの距離)(L)の情報は、速度検知器39の設置位置の情報に一致するので、その情報は予めマイクロコンピュータ33に記憶されている。また、通過時刻(T)の情報は、車両Aの走行速度(V)を示す無線信号を受信した際の時刻をマイクロコンピュータ33内部のタイマ(図示せず)にて計測することによって取得できる。
【0057】
切替時刻記憶部31は、前記信号切替時刻通知装置2に該当し、交差点10aの信号機11が黄色表示に切り替わる時刻(切替時刻(Ty))を予め記憶しており、その記憶した切替時刻(Ty)の情報を読み出してマイクロコンピュータ33へ通知する。
【0058】
テーブル格納部32は、前記危険ゾーン通知装置3に該当し、上述した表1のような走行速度と危険ゾーンとの関係を示すテーブルを予め格納しており、そのテーブルのデータ(L1,L2)を読み出してマイクロコンピュータ33へ通知する。
【0059】
マイクロコンピュータ33は、前記危険ゾーン判断装置4に該当し、受信部34,切替時刻記憶部31及びテーブル格納部32から各種の情報を受け取り、これらの情報に基づいて、信号機11が黄色表示に変わる際に車両Aが危険ゾーンに入っているか否かを判断する。そして、危険ゾーンに入ると判断した場合には、その旨を示す無線信号を発信部36により発信アンテナナ37から発信させる。
【0060】
情報板38は、前記危険ゾーン報知装置5に該当し、発信アンテナ37から危険ゾーンに入ることを示す無線信号を受信アンテナ38aにて受信すると、その旨を文字にて表示して車両Aの運転者に知らせる。
【0061】
次に、動作について説明する。速度検知器39にて車両Aの走行速度(V)が計測され、その情報を示す無線信号が発信アンテナ39aから発信され、その無線信号が受信アンテナ35で受信され、走行速度(V)の情報が受信部34を介してマイクロコンピュータ33へ通知される(S1)。なお、このときの時刻(T)の情報も内部のタイマから取得され、車両Aから交差点10aの停止線までの距離(L)は既知である。
【0062】
切替時刻記憶部31から黄色表示に切り替わる切替時刻(Ty)の情報が読み出されてマイクロコンピュータ33へ通知される(S2)。また、テーブル格納部32から危険ゾーン(L1,L2)の情報が読み出されてマイクロコンピュータ33へ通知される(S3)。
【0063】
マイクロコンピュータ33にて、通知されたこれらの情報に基づいて、信号機11が黄色表示に変わる際に車両Aが危険ゾーンに入っているか否かが判断される(S4)。マイクロコンピュータ33は、まず、走行速度(V),通過時刻(T),距離(L)及び切替時刻(Ty)を用いて、黄色表示に変わった際の車両Aの位置(Ly)を、前記式(3)に従って求める。そして、求めた車両Aの位置(Ly)を危険ゾーン(L1,L2)と比較して、前記式(4)の条件を満たすか否かを判定して、信号機11が黄色表示に変わる際に車両Aが危険ゾーンに入っているか否かを判断する。
【0064】
そして、危険ゾーンに入ると判断した場合には、その旨を示す無線信号が発信部36により発信アンテナナ37から発信され、その無線信号が受信アンテナ38aにて受信され(S6)、危険ゾーンに入ることを表す文字が情報板38に表示されて、車両Aの運転者に報知される(S7)。
【0065】
なお、車両走行情報獲得装置1,信号切替時刻通知装置2,危険ゾーン通知装置3,危険ゾーン判断装置4及び危険ゾーン報知装置5の全てを路側に設置するようにしたこの第3実施の形態においても、第2実施の形態のように、危険ゾーン計算部を設けて、黄色信号の表示時間に基づいて計算によって危険ゾーンを求めるような構成も可能である。
【0066】
また、第3実施の形態の上記例では、危険ゾーン判断装置4(マイクロコンピュータ33)を信号制御器12内に設けるようにしたが、他の位置、例えば、情報板38に近接した位置に設けるようにしても良い。
【0067】
また、第3実施の形態において、信号切替時刻通知装置2,危険ゾーン通知装置3(切替時刻記憶部31,テーブル格納部32)の設置位置は、路側であれば特定されるものでないことは勿論である。
【0068】
また、第1〜第3実施の形態においては、時間情報として、所定地点の車両の通過時刻及び信号機の黄色表示への切替時刻のように絶対時刻の情報を使用するようにしたが、ある時刻を基準とした相対時点の情報をこれらの時間情報として用いるようにしても良い。
【0069】
【発明の効果】
以上のように、本発明では、交差点手前の危険ゾーンに入ることを予測し、信号が黄色表示になる前に事前に走行中の車両の運転者にその旨を知らせることができるので、運転者は心の余裕を持って、交差点手前で停止するか、交差点を通過してしまうかを判断できる。よって、その判断ミスを従来に比べて低減でき、交差点手前での追突事故の減少を図ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の危険ゾーン報知システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の危険ゾーン報知方法の動作手順を示すフローチャートである。
【図3】車両の走行速度と停止距離(L1),通過距離(L2)との関係を示すグラフである。
【図4】危険ゾーンを示す模式図である。
【図5】第1実施の形態による危険ゾーン報知システムの全体構成図である。
【図6】第1実施の形態における切替時刻通知部の内部構成図である。
【図7】第1実施の形態における車両に搭載される機器の構成例を示す図である。
【図8】第2実施の形態における車両に搭載される機器の構成例を示す図である。
【図9】第3実施の形態による危険ゾーン報知システムの全体構成図である。
【図10】第3実施の形態における信号制御器の内部構成図である。
【符号の説明】
1 車両走行情報獲得装置
2 信号切替時刻通知装置
3 危険ゾーン通知装置
4 危険ゾーン判断装置
5 危険ゾーン報知装置
14 切替時刻通知部
21 走行情報取得部
22,32 テーブル格納部
23,33 マイクロコンピュータ
24 表示部
27 危険ゾーン計算部
31 切替時刻記憶部
38 情報板
39 速度検知器

Claims (7)

  1. 信号機の現在及び将来の表示に関する信号機情報を前記信号機に向かって進行する車両に対して送信する路上装置と、前記車両が安全に停止することも通過することもできない危険ゾーンに進入するか否かを前記信号機情報に基づいて予測し、当該予測結果に応じた情報を前記車両の搭乗者に報知する車載装置とを含む交通システムであって、
    前記車載装置は、
    前記信号機情報に基づいて、前記信号機が黄信号の表示を開始する時点及び黄信号の表示期間を含む黄信号情報を取得する黄信号情報取得手段と、
    前記車両の走行速度を取得する速度取得手段と、
    取得した前記黄信号情報及び走行速度に基づいて、黄信号の表示開始時点における前記車両の位置を予測する車両位置予測手段と、
    危険ゾーンの範囲に関する危険ゾーン情報を記憶している記憶手段と、
    前記記憶手段から取得した危険ゾーン情報及び予測した前記車両の位置に基づいて、黄信号の表示開始時点に前記車両が危険ゾーンの範囲内に存在するか否かを判定する判定手段と、
    前記判定手段の判定結果に応じた情報を前記車両の搭乗者に報知する報知手段とを有することを特徴とする交通システム。
  2. 前記車載装置は、
    取得した前記黄信号情報及び走行速度に基づいて、危険ゾーンの範囲を算出する危険ゾーン算出手段を有し、
    算出した危険ゾーンの範囲を前記記憶手段に記憶させることを特徴とする請求項1に記載の交通システム。
  3. 前記危険ゾーン情報は、
    前記車両が黄信号の表示期間に走行する通過距離と、
    前記車両が所定の減速以下で減速した場合に停止するまでに走行する停止距離とを含み、
    停止線から前記通過距離以上であって前記停止距離以下である範囲を危険ゾーンの範囲とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の交通システム。
  4. 前記判定手段の判定結果に応じた前記情報は、
    前記信号機が間もなく変わることを伝える情報、前記車両を減速させるように促す情報、及び、前記車両を停止線の手前で停止させるように促す情報のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の交通システム。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の交通システムに用いられることを特徴とする車載装置。
  6. 請求項5に記載の車載装置を搭載したことを特徴とする車両。
  7. 信号機の現在及び将来の表示に関する信号機情報を取得し、前記信号機に向かって進行する車両が安全に停止することも通過することもできない危険ゾーンに進入するか否かを予測し、当該予測結果に応じた情報を前記車両の搭乗者に報知する路上装置を含む交通システムであって、
    前記路上装置は、
    前記信号機情報に基づいて、前記信号機が黄信号の表示を開始する時点及び黄信号の表示期間を含む黄信号情報を取得する黄信号情報取得手段と、
    前記信号機に向かって進行する車両の走行速度を取得する速度取得手段と、
    取得した前記黄信号情報及び走行速度に基づいて、黄信号の表示開始時点における前記車両の位置を予測する車両位置予測手段と、
    危険ゾーンの範囲に関する危険ゾーン情報を記憶している記憶手段と、
    前記記憶手段から取得した危険ゾーン情報及び予測した前記車両の位置に基づいて、黄信号の表示開始時点に前記車両が危険ゾーンの範囲内に存在するか否かを判定する判定手段と、
    前記判定手段の判定結果に応じた情報を前記車両の搭乗者に報知する報知手段とを有することを特徴とする交通システム。
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