しかしながら、特許文献1及び特許文献2の技術は、単に車両の走行制御を行って交差点の手前で車両を停止させるためのものであり、運転者にとっては、自分が安全運転を行っていたのかどうかを全く認識することができず、運転者の安全運転を実現するための情報提供が望まれていた。
また、特許文献3の技術には、交差点の十分手前からジレンマ領域又はオプション領域等の危険走行領域を回避する走行制御又は情報提供を行う方法が開示されているものの、運転者は、例えば、提供された情報に基づいて運転操作を行うことができるだけであり、運転者にとっては、自分が安全運転を行っていたのかどうかを全く認識することができず、運転者の安全運転を実現するための情報提供が望まれていた。
また、特許文献4及び特許文献5の技術は、単に運転情報を取得して運転状態を評価するのみであり、運転評価点の表示、あるいは、やさしく運転してください等の表示だけでは、運転者はどのような運転環境のときに危険な状態に陥るかを把握することができず、安全運転を指向する運転者に対して一層明確な情報提供を行うことが望まれていた。
また、車両の運転状況を一律に検出して運転評価を行うような場合でも、車両が走行する時間帯、場所などの運転環境が考慮されていないときには、十分な運転評価を得ることができない。例えば、交差点に向かって走行する車両の位置と信号の切り替わりタイミングとが常に変化する交差点付近では、特に危険性が高く、運転者の安全運転意識を高めるためにも、交差点付近での安全運転評価が必要であった。
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、交差点付近の車両の走行状態に基づいて運転評価を行うことができる運転評価装置、該運転評価装置を備える運転評価システム、該運転評価装置を実現するためのコンピュータプログラム及び運転評価方法を提供することを目的とする。
第1発明に係る運転評価装置は、交差点に設置された信号機の黄信号時間及び黄信号開始時点に基づいて、車両の運転を評価する運転評価装置であって、車両の速度情報を取得する速度情報取得手段と、車両と交差点との距離に関する情報を取得する距離情報取得手段と、車両が交差点の手前に停止するための停止条件及び交差点に進入するための進入条件により決定される特定の状態にあるか否かを、前記車両の交差点までの距離及び速度並びに前記黄信号時間及び黄信号開始時点に基づいて判定する状態判定手段と、該状態判定手段で判定した結果に基づいて前記車両の運転を評価する評価手段と、前記状態判定手段で前記特定の状態にあると判定した場合、車両の交差点付近の速度超過、加速度超過、減速度超過、加速後の減速若しくは減速後の加速、赤信号での交差点進入、停止位置超過又は加速若しくは減速の遅れのうち少なくとも1つの事象の有無を判定する事象判定手段とを備え、前記評価手段は、前記事象判定手段で判定した結果に基づいて前記車両の運転を評価するように構成してあることを特徴とする。
第2発明に係る運転評価装置は、第1発明において、前記状態判定手段で前記特定の状態にあると判定した判定数又は該特定の状態にないと判定した判定数を計数する計数手段を備え、前記評価手段は、前記計数手段で計数した判定数に基づいて車両の運転を評価するように構成してあることを特徴とする。
第3発明に係る運転評価装置は、第2発明において、前記計数手段で計数した判定数に基づいて車両が前記特定の状態にある確率を算出する状態確率算出手段を備え、前記評価手段は、前記状態確率算出手段で算出した確率の大小に応じて前記車両の運転を評価するように構成してあることを特徴とする。
第4発明に係る運転評価装置は、第1発明乃至第3発明のいずれか1つにおいて、前記状態判定手段で前記特定の状態にあると判定した都度、車両の交差点付近の加速度を取得する加速度取得手段と、該加速度取得手段で取得した加速度をその都度記憶する記憶手段と、記憶した加速度に基づいて、前記車両の加速度が所定の加速度閾値を超えたことを示す加速度状態量を算出する加速度状態量算出手段とを備え、前記評価手段は、前記加速度状態量算出手段で算出した加速度状態量に基づいて前記車両の運転を評価するように構成してあることを特徴とする。
第5発明に係る運転評価装置は、第1発明乃至第4発明のいずれか1つにおいて、前記状態判定手段で前記特定の状態にあると判定した都度、車両の交差点付近の減速度を取得する減速度取得手段と、該減速度取得手段で取得した減速度をその都度記憶する記憶手段と、記憶した減速度に基づいて、前記車両の減速度が所定の減速度閾値を超えたことを示す減速度状態量を算出する減速度状態量算出手段とを備え、前記評価手段は、前記減速度状態量算出手段で算出した減速度状態量に基づいて前記車両の運転を評価するように構成してあることを特徴とする。
第6発明に係る運転評価装置は、第1発明乃至第5発明のいずれか1つにおいて、前記状態判定手段で前記特定の状態にあると判定した都度、車両の交差点付近の加速動作及び減速動作に関する情報を取得する加減速取得手段と、該加減速取得手段で取得した加速後の減速動作又は減速後の加速動作を示す動作情報をその都度記憶する記憶手段と、記憶した動作情報に基づいて、前記車両の加速後の減速動作又は減速後の加速動作の回数が所定の動作状態量閾値より大きいことを示す動作状態量を算出する動作状態量算出手段とを備え、前記評価手段は、前記動作状態量算出手段で算出した動作状態量に基づいて前記車両の運転を評価するように構成してあることを特徴とする。
第7発明に係る運転評価装置は、第1発明乃至第6発明のいずれか1つにおいて、前記状態判定手段で前記特定の状態にあると判定した都度、車両が赤信号開始時点で交差点に進入したか否かを判定する進入判定手段と、該進入判定手段で判定した結果をその都度記憶する記憶手段と、記憶した判定結果に基づいて、前記車両の赤信号開始時点での交差点進入回数が所定の進入回数閾値より大きくなる回数を算出する進入回数算出手段とを備え、前記評価手段は、前記進入回数算出手段で算出した回数に基づいて前記車両の運転を評
価するように構成してあることを特徴とする。
第8発明に係る運転評価装置は、第1発明乃至第7発明のいずれか1つにおいて、前記状態判定手段で前記特定の状態にあると判定した都度、前記速度情報取得手段で取得した車両の交差点付近の速度を記憶する記憶手段と、記憶した速度に基づいて、前記車両の速度が所定の速度閾値を超えたことを示す速度状態量を算出する速度状態量算出手段とを備え、前記評価手段は、前記速度状態量算出手段で算出した速度状態量に基づいて前記車両の運転を評価するように構成してあることを特徴とする。
第9発明に係る運転評価装置は、第1発明乃至第8発明のいずれか1つにおいて、前記状態判定手段で前記特定の状態にあると判定した都度、車両が交差点の手前で停止する場合に、該車両の停止位置を検知する停止位置検知手段と、該停止位置検知手段で検知した停止位置を記憶する記憶手段と、記憶した停止位置に基づいて、前記車両の停止位置が所定の位置を越える回数を算出する停止位置回数算出手段とを備え、前記評価手段は、前記停止位置回数算出手段で算出した回数に基づいて前記車両の運転を評価するように構成してあることを特徴とする。
第10発明に係る運転評価装置は、第1発明乃至第9発明のいずれか1つにおいて、前記状態判定手段で前記特定の状態にあると判定した都度、該特定の状態を回避するための目標速度を算出する目標速度算出手段と、該目標速度算出手段で算出した目標速度と前記速度情報取得手段で取得した車両の交差点付近の速度との差を累積する累積手段と、該累積手段で累積した累積値を記憶する記憶手段と、記憶した累積値が所定の累積閾値より大きいことを示す累積状態量を算出する累積状態量算出手段とを備え、前記評価手段は、前記累積状態量算出手段で算出した累積状態量に基づいて前記車両の運転を評価するように構成してあることを特徴とする。
第11発明に係る運転評価装置は、第1発明乃至第10発明のいずれか1つにおいて、前記状態判定手段で前記特定の状態にあると判定した都度、車両の他の周辺車両との車間距離を取得する車間距離取得手段と、該車間距離取得手段で取得した車間距離を記憶する記憶手段と、記憶した車間距離が所定の車間距離閾値より短くなる回数を算出する車間距
離回数算出手段とを備え、前記評価手段は、前記車間距離回数算出手段で算出した回数に基づいて前記車両の運転を評価するように構成してあることを特徴とする。
第12発明に係る運転評価システムは、第1発明乃至第11発明のいずれか1つに係る運転評価装置と、交差点に設置された信号機の黄信号時間及び黄信号開始時点を前記運転評価装置へ送信する送信装置とを備え、前記運転評価装置は、前記黄信号時間及び黄信号開始時点を受信する受信手段を備え、車両に搭載可能に構成してあることを特徴とする。
第13発明に係る運転評価システムは、第1発明乃至第11発明のいずれか1つに係る運転評価装置と、車両の位置及び速度を含む車両走行情報を前記運転評価装置へ送信する車載機とを備え、前記運転評価装置は、前記車両走行情報を受信する受信手段を備えることを特徴とする。
第14発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、交差点に設置された信号機の黄信号時間及び黄信号開始時点に基づいて、車両の運転を評価させるためのコンピュータプログラムであって、コンピュータを、車両が交差点の手前に停止するための停止条件及び交差点に進入するための進入条件により決定される特定の状態にあるか否かを、前記車両の交差点までの距離及び速度並びに前記黄信号時間及び黄信号開始時点に基づいて判定する状態判定手段と、前記特定の状態にあると判定した場合、車両の交差点付近の速度超過、加速度超過、減速度超過、加速後の減速若しくは減速後の加速、赤信号での交差点進入、停止位置超過又は加速若しくは減速の遅れのうち少なくとも1つの事象の有無を判定する事象判定手段と、判定した結果に基づいて前記車両の運転を評価する評価手段として機能させることを特徴とする。
第15発明に係る運転評価方法は、交差点に設置された信号機の黄信号時間及び黄信号開始時点に基づいて、車両の運転を評価する運転評価方法であって、車両の速度情報を取得し、車両と交差点との距離に関する情報を取得し、車両が交差点の手前に停止するための停止条件及び交差点に進入するための進入条件により決定される特定の状態にあるか否かを、前記車両の交差点までの距離及び速度並びに前記黄信号時間及び黄信号開始時点に基づいて判定し、前記特定の状態にあると判定した場合、車両の交差点付近の速度超過、
加速度超過、減速度超過、加速後の減速若しくは減速後の加速、赤信号での交差点進入、停止位置超過又は加速若しくは減速の遅れのうち少なくとも1つの事象の有無を判定し、判定した結果に基づいて前記車両の運転を評価することを特徴とする。
第1発明、第14発明及び第15発明にあっては、運転評価装置は、車両の速度情報(速度)及び車両と交差点との距離に関する情報を取得する。車両と交差点との距離に関する情報は、例えば、車両と交差点との距離でもよく、あるいは、車両及び交差点の位置であってもよい。運転評価装置は、車両が、例えば、黄信号開始後に停止しようとして交差点の手前に停止するための停止条件及び、例えば、黄信号の終了時点までに交差点に進入するための進入条件により決定される特定の状態(例えば、危険走行状態、すなわち、車両の交差点までの距離と速度により決定される危険走行領域)にあるか否かを、車両の速度及び交差点までの距離並びに交差点に設置された信号機の黄信号開始時点及び黄信号時間に基づいて判定する。
危険走行状態は、例えば、ジレンマ状態とオプション状態がある。ジレンマ状態は、車両が黄信号表示後に停止しようとしても交差点の手前に停止できず、かつ黄信号の終了時点までに交差点に進入できない状態であり、安全に停止又は進入できない状態である。また、オプション状態は、車両が黄信号表示後に停止しようとして交差点の手前に停止でき、かつ黄信号の終了時点までに交差点に進入できる状態であり、運転者の特性により車両が停止するのか又は進入するのかが異なる不安定な状態である。なお、危険走行状態として、上記のジレンマ状態、オプション状態の他に、交通流に基づいて危険となり得る他の状態を設定してもよい。
運転評価装置は、車両が危険走行状態(特定の状態)にあると判定した場合、車両の交差点付近の速度超過、加速度超過、減速度超過、加速後の減速若しくは減速後の加速、赤信号での交差点進入、停止位置超過又は加速若しくは減速の遅れのうち少なくとも1つの事象の有無を判定し、判定結果に基づいて車両の運転を評価する。ここで、交差点付近は、交差点の上流側の地点(例えば、運転評価を行うタイミングでの車両の位置)から交差点を通過した地点までの範囲を含む。速度超過は、車両の速度が速度規制値(制限速度、又は制限速度に若干の余裕度を加味した速度)を超えたか否かで判定することができ、速度超過していない場合、安全な運転者であると評価する。また、加速度超過は、例えば、黄信号開始時刻から停止線を通過する通過時刻、又は黄信号開始時刻から速度を上げて一定の速度に達した時刻までの平均加速度が所定の加速度閾値を超えたか否かで判定することができ、加速度閾値を越えていない場合、安全な運転者であると評価する。また、減速度超過は、例えば、黄信号開始時刻から停止線手前で停止する停止時刻、又は黄信号開始時刻から速度を下げて一定の速度に達した時刻までの平均減速度が所定の減速度閾値を超えたか否かで判定することができ、減速度閾値を越えていない場合、安全な運転者であると評価する。また、加速後の減速若しくは減速後の加速は、加減速の迷いであり、黄信号開始時刻から停止線手前で停止するまでに、加速してから減速する走行の有無、あるいは、黄信号開始時刻から交差点を通過するまでに、減速してから加速する走行の有無により判定することができ、加速後の減速若しくは減速後の加速がない方が安全な運転者であると評価する。また、加速若しくは減速の遅れは、例えば、危険走行状態に一旦突入した場合に黄信号開始時刻までに危険走行状態を回避するために車両を加速又は減速して目標速度にどれだけ早く到達したかにより判定することができる。なお、この場合、早く到達したか否かとは、時間軸的に早いという意味であって、短時間で目標速度に到達するということではない。これにより、車両が交差点に向かって走行する場合に、車両の位置(例えば、交差点の停止線までの距離)と信号の切り替わりタイミングとの関係により危険な走行状態に陥ると予想されるときに限定して運転者の運転操作を評価することができ、危険な運転をする可能性が高い交差点付近の運転環境における運転評価を得ることができ、運
転者の安全意識を高めるとともに、安全運転を実現するための情報提供を行うことが可能となる。また、交差点に向かって走行する場合に、危険走行状態に突入した車両の運転者が冒しやすい事象に基づいて運転評価をすることができ、交差点付近での危険走行に対する意識を高めて安全運転に資することができる。
第2発明にあっては、運転評価装置は、危険走行状態(特定の状態)にあると判定した判定数又は危険走行状態にないと判定した判定数を計数し、計数した判定数に基づいて車両の運転を評価する。例えば、交差点に向かって走行する場合、交差点を通過した回数に対する、交差点を通過する際に危険走行状態にあると判定した判定数(危険走行状態判定数)の比率の大小に基づいて運転を評価することができる。交差点の通過回数に対する危険走行状態判定数の比率が大きい場合(例えば、所定の閾値より大きい場合)、交差点付近で危険な運転をする可能性が高いと評価することができ、運転者の安全意識を高めるとともに、安全運転を実現するための情報提供を行うことが可能となる。
第3発明にあっては、運転評価装置は、計数した判定数に基づいて車両が危険走行状態(特定の状態)にある確率を算出する。危険走行状態にある確率は、例えば、交差点を通過した通過回数N1に対する危険走行状態にあると判定された判定数N2の比率として求めることができる。運転評価装置は、算出した確率の大小に応じて車両の運転を評価する。例えば、算出した確率をPe(=N2/N1)とし、危険走行状態に突入する確率の最大値をPmaxとすると、運転の評価Eは、例えば、E=100×(Pmax−Pe)/Pmaxで求めることができる。すなわち、確率Peが0であれば、E=100となり、確率Peが最大値Pmaxであれば、E=0となる。評価Eが大きい方が安全運転を行っている運転者であることを示す。なお、危険走行状態に突入する確率の最大値Pmaxは、予め設定しておくことができる。これにより、運転者は、交差点に向かって走行する場合、過去の運転操作、運転環境などに応じて、自分の運転がどの程度危険であるかを正確に把握することができ、仮に知らず知らずのうちに危険走行状態に陥っていたような場合でも、それに気が付くことができ、安全運転を向上させることができる。
第4発明にあっては、運転評価装置は、車両が危険走行状態(特定の状態)にあると判定した都度、車両の交差点付近の加速度を取得し、取得した加速度をその都度記憶する。運転評価装置は、記憶した加速度に基づいて、車両の加速度が所定の加速度閾値を超えたことを示す加速度状態量を算出する。ここで、交差点付近は、交差点の上流側の地点(例えば、運転評価を行うタイミングでの車両の位置)から交差点を通過した地点までの範囲を含む。加速度は、例えば、黄信号開始時刻から停止線を通過する通過時刻、又は黄信号開始時刻から速度を上げて一定の速度に達した時刻までの平均加速度とすることができる。なお、平均加速度に代えて、一定時間内の最大値でもよく、あるいは実効値でもよい。車両の加速度が所定の加速度閾値を超える場合は、例えば、運転者が急アクセル操作をしたときである。また、加速度状態量は、例えば、車両の加速度が所定の加速度閾値を超える回数N3、車両が所定の加速度閾値を超えた加速度で走行した距離、あるいは、車両が所定の加速度閾値を超えた加速度で走行した時間とすることができる。
加速度状態量が回数である場合、運転評価装置は、算出した回数N3に基づいて車両の運転を評価する。運転の評価Eは、一定の走行期間(例えば、1ヶ月など)、あるいは一定の走行距離(例えば、100kmなど)毎の加速度閾値を超えた回数の比率に基づいて行うことができ、例えば、N3とN2×Th3とを比較することで求めることができる。ここで、N2は車両が危険走行状態に突入した回数、Th3は所定の閾値である。また、算出した回数N3に基づいて、確率Pa=N3/N2を算出し、算出した確率Paの大小に応じて車両の運転を評価することもできる。なお、確率Paは、加速を行っていた時間に対する、加速度超過時間の比率でもよい。運転の評価Eは、例えば、E=100−(Pa−Tha)×Kaで求めることができる。Thaは確率Paの大小を判定する所定の閾値であり、例えば、10%程度とすることができる。また、Kaは所定の定数であり、評価の重み付けをすることができる。なお、(Pa−Tha)が負の場合には0と置き換えるものとする。評価Eが大きい方が安全運転を行っている運転者であることを示す。回数N3に基づいて車両の運転を評価することにより、運転者は、交差点に向かって走行する場合において、危険走行状態に突入したときに、仮に知らず知らずのうちに加速度超過に陥っていたような場合でも、それに気が付くことができ、安全運転を向上させることができる。
加速度状態量が距離(又は時間)である場合、運転評価装置は、算出した距離(又は時間)に基づいて車両の運転を評価する。運転の評価Eは、一定の走行期間(例えば、1ヶ月など)毎の走行距離(又は走行時間)、あるいは、例えば、100km等の一定の走行距離(又は一定の走行距離を走行した時間)に対して、加速度閾値を超えた加速度で走行した距離(又は時間)の累積値の比率に基づいて行うことができる。あるいは、加速を行っていたときの走行距離(又は走行時間)、又は運転の評価を開始した位置から停止線までの距離(又は所要時間)の累積値に対して、加速度閾値を超えた加速度で走行した距離(又は時間)の累積値の比率に基づいて行うことができる。評価Eが大きい方が安全運転を行っている運転者であることを示す。これにより、運転者は、交差点に向かって走行する場合において、危険走行状態に突入したときに、仮に知らず知らずのうちに加速度超過に陥っていたような場合でも、それに気が付くことができ、安全運転を向上させることができる。
第5発明にあっては、運転評価装置は、車両が危険走行状態(特定の状態)にあると判定した都度、車両の交差点付近の減速度を取得し、取得した減速度をその都度記憶する。運転評価装置は、記憶した減速度に基づいて、車両の減速度が所定の減速度閾値を超えたことを示す減速度状態量を算出する。ここで、交差点付近は、交差点の上流側の地点(例えば、運転評価を行うタイミングでの車両の位置)から交差点を通過した地点までの範囲を含む。減速度は、例えば、黄信号開始時刻から停止線手前で停止する停止時刻、又は黄信号開始時刻から速度を下げて一定の速度に達した時刻までの平均減速度とすることができる。なお、平均減速度に代えて、一定時間内の最大値でもよく、あるいは実効値でもよい。車両の減速度が所定の減速度閾値を超える場合は、例えば、運転者が急ブレーキ操作をしたときである。また、減速度状態量は、例えば、車両の減速度が所定の減速度閾値を超える回数N4、車両が所定の減速度閾値を超えた減速度で走行した距離、あるいは、車両が所定の減速度閾値を超えた減速度で走行した時間とすることができる。
減速度状態量が回数である場合、運転評価装置は、算出した回数N4に基づいて車両の運転を評価する。運転の評価Eは、一定の走行期間(例えば、1ヶ月など)、あるいは一定の走行距離(例えば、100kmなど)毎の減速度閾値を超えた回数の比率に基づいて行うことができ、例えば、N4とN2×Th4とを比較することで求めることができる。ここで、N2は車両が危険走行状態に突入した回数、Th4は所定の閾値である。また、算出した回数N4に基づいて、確率Pd=N4/N2を算出し、算出した確率Pdの大小に応じて車両の運転を評価することもできる。なお、確率Pdは、減速を行っていた時間に対する、減速度超過時間の比率でもよい。運転の評価Eは、例えば、E=100−(Pd−Thd)×Kdで求めることができる。Thdは確率Pdの大小を判定する所定の閾値であり、例えば、10%程度とすることができる。また、Kdは所定の定数であり、評価の重み付けをすることができる。なお、(Pd−Thd)が負の場合には0と置き換えるものとする。評価Eが大きい方が安全運転を行っている運転者であることを示す。回数N4に基づいて車両の運転を評価することにより、運転者は、交差点に向かって走行する場合において、危険走行状態に突入したときに、仮に知らず知らずのうちに減速度超過に陥っていたような場合でも、それに気が付くことができ、安全運転を向上させることができる。
減速度状態量が距離(又は時間)である場合、運転評価装置は、算出した距離(又は時間)に基づいて車両の運転を評価する。運転の評価Eは、一定の走行期間(例えば、1ヶ月など)毎の走行距離(又は走行時間)、あるいは、例えば、100km等の一定の走行距離(又は一定の走行距離を走行した時間)に対して、減速度閾値を超えた減速度で走行した距離(又は時間)の累積値の比率に基づいて行うことができる。あるいは、減速を行っていたときの走行距離(又は走行時間)、又は運転の評価を開始した位置から停止線までの距離(又は所要時間)の累積値に対して、減速度閾値を超えた減速度で走行した距離(又は時間)の累積値の比率に基づいて行うことができる。評価Eが大きい方が安全運転を行っている運転者であることを示す。これにより、運転者は、交差点に向かって走行する場合において、危険走行状態に突入したときに、仮に知らず知らずのうちに減速度超過に陥っていたような場合でも、それに気が付くことができ、安全運転を向上させることができる。
第6発明にあっては、運転評価装置は、車両が危険走行状態(特定の状態)にあると判定した都度、車両の交差点付近の加速後の減速動作又は減速後の加速動作(加減速の迷い)を示す動作情報を取得し、取得した動作情報をその都度記憶する。運転評価装置は、記憶した動作情報に基づいて、車両の加速後の減速動作又は減速後の加速動作の回数が所定の動作状態量閾値より大きいことを示す動作状態量を算出する。ここで、交差点付近は、交差点の上流側の地点(例えば、運転評価を行うタイミングでの車両の位置)から交差点を通過した地点までの範囲を含む。加速後の減速動作は、例えば、黄信号開始時刻から停止線手前で停止するまでに、加速してから減速する走行であり、減速後の加速動作は、黄信号開始時刻から交差点を通過するまでに、減速してから加速する走行である。また、動作状態量は、例えば、車両の加速後の減速動作又は減速後の加速動作の回数が所定の動作状態量閾値より大きい回数N6、車両の加速後の減速動作又は減速後の加速動作の回数が所定の動作状態量閾値を超えた動作中に走行した距離、車両の加速後の減速動作又は減速後の加速動作の回数が所定の動作状態量閾値を超えた動作中に走行した時間とすることができる。
動作状態量が回数である場合、運転評価装置は、算出した回数N6に基づいて車両の運転を評価する。運転の評価Eは、一定の走行期間(例えば、1ヶ月など)、あるいは一定の走行距離(例えば、100kmなど)毎の動作回数の閾値を超えた回数の比率に基づいて行うことができ、例えば、N6とN2×Th6とを比較することで求めることができる。ここで、N2は車両が危険走行状態に突入した回数、Th6は所定の閾値である。また、算出した回数N6に基づいて、確率Pc=N6/N2を算出し、算出した確率Pcの大小に応じて車両の運転を評価することもできる。この場合、運転の評価Eは、例えば、E=100−(Pc−Thc)×Kcで求めることができる。Thcは確率Pcの大小を判定する所定の閾値であり、例えば、5%程度とすることができる。また、Kcは所定の定数であり、評価の重み付けをすることができる。なお、(Pc−Thc)が負の場合には0と置き換えるものとする。評価Eが大きい方が安全運転を行っている運転者であることを示す。回数N6に基づいて車両の運転を評価することにより、運転者は、交差点に向かって走行する場合において、危険走行状態に突入したときに、仮に知らず知らずのうちに加速から減速又は減速から加速といった加減速の迷いに陥っていたような場合でも、それに気が付くことができ、安全運転を向上させることができる。
動作状態量が距離(又は時間)である場合、運転評価装置は、算出した距離(又は時間)に基づいて車両の運転を評価する。運転の評価Eは、一定の走行期間(例えば、1ヶ月など)毎の走行距離(又は走行時間)、あるいは、例えば、100km等の一定の走行距離(又は一定の走行距離を走行した時間)に対して、動作状態量閾値を超えた動作中に走行した距離(又は時間)の累積値の比率に基づいて行うことができる。あるいは、加速後の減速動作又は減速後の加速動作を行っていたときの走行距離(又は走行時間)、又は運転の評価を開始した位置から停止線までの距離(又は所要時間)の累積値に対して、動作状態量閾値を超えた動作中に走行した距離(又は時間)の累積値の比率に基づいて行うことができる。評価Eが大きい方が安全運転を行っている運転者であることを示す。これにより、運転者は、交差点に向かって走行する場合において、危険走行状態に突入したときに、仮に知らず知らずのうちに加速から減速又は減速から加速といった加減速の迷いに陥っていたような場合でも、それに気が付くことができ、安全運転を向上させることができる。
第7発明にあっては、運転評価装置は、車両が危険走行状態(特定の状態)にあると判定した都度、車両が赤信号開始時点で交差点に進入したか否かを判定し、判定した結果をその都度記憶する。車両が赤信号開始時点で交差点に進入したか否かの判定は、取得した赤信号開始時刻(信号灯色情報)と停止線を越えた時刻とを比較して判定することができる。なお、赤信号開始時刻は黄信号開始時刻と黄信号時間から定めることができる。運転評価装置は、記憶した判定結果に基づいて、車両の赤信号開始時点での交差点進入回数が所定の進入回数の閾値より大きくなる回数N7を算出する。運転評価装置は、算出した回数N7に基づいて車両の運転を評価する。運転の評価Eは、一定の走行期間(例えば、1ヶ月など)、あるいは一定の走行距離(例えば、100kmなど)毎の進入回数閾値を超えた回数の比率に基づいて行うことができ、例えば、N7とN2×Th7とを比較することで求めることができる。ここで、N2は車両が危険走行状態に突入した回数、Th7は所定の閾値である。また、算出した回数N7に基づいて、確率Pr=N7/N2を算出し、算出した確率Prの大小に応じて車両の運転を評価することもできる。この場合、運転の評価Eは、例えば、E=100−(Pr−Thr)×Krで求めることができる。Thrは確率Prの大小を判定する所定の閾値であり、例えば、1%程度とすることができる。また、Krは所定の定数であり、評価の重み付けをすることができる。なお、(Pr−Thr)が負の場合には0と置き換えるものとする。評価Eが大きい方が安全運転を行っている運転者であることを示す。回数N7に基づいて車両の運転を評価することにより、運転者は、交差点に向かって走行する場合において、危険走行状態に突入したときに、赤信号で交差点に進入してしまうような運転癖に気が付くことができ、安全運転を向上させることができる。
第8発明にあっては、運転評価装置は、車両が危険走行状態(特定の状態)にあると判定した都度、車両の交差点付近の速度を取得し、取得した速度をその都度記憶する。運転評価装置は、記憶した速度に基づいて、車両の速度が所定の速度閾値を超えたことを示す速度状態量を算出する。ここで、交差点付近は、交差点の上流側の地点(例えば、運転評価を行うタイミングでの車両の位置)から交差点を通過した地点までの範囲を含む。また、速度状態量は、例えば、車両の速度が所定の速度閾値を超える回数N5、車両が所定の速度閾値を超えた速度で走行した距離、あるいは、車両が所定の速度閾値を超えた速度で走行した時間とすることができる。
速度状態量が回数である場合、運転評価装置は、算出した回数N5に基づいて車両の運転を評価する。運転の評価Eは、一定の走行期間(例えば、1ヶ月など)、あるいは一定の走行距離(例えば、100kmなど)毎の速度閾値を超えた回数の比率に基づいて行うことができ、例えば、N5とN2×Th5とを比較することで求めることができる。ここで、N2は車両が危険走行状態に突入した回数、Th5は所定の閾値である。また、算出した回数N5に基づいて、確率Pv=N5/N2を算出し、算出した確率Pvの大小に応じて車両の運転を評価することもできる。なお、確率Pvは、走行時間に対する速度超過時間の比率でもよい。運転の評価Eは、例えば、E=100−(Pv−Thv)×Kvで求めることができる。Thvは確率Pvの大小を判定する所定の閾値であり、例えば、1%程度とすることができる。また、Kvは所定の定数であり、評価の重み付けをすることができる。なお、(Pv−Thv)が負の場合には0と置き換えるものとする。評価Eが大きい方が安全運転を行っている運転者であることを示す。回数N5に基づいて車両の運転を評価することにより、運転者は、交差点に向かって走行する場合において、危険走行状態に突入したときに、仮に知らず知らずのうちに速度超過に陥っていたような場合でも、それに気が付くことができ、安全運転を向上させることができる。
速度状態量が距離(又は時間)である場合、運転評価装置は、算出した距離(又は時間)に基づいて車両の運転を評価する。運転の評価Eは、一定の走行期間(例えば、1ヶ月など)毎の走行距離(又は走行時間)、あるいは、例えば、100km等の一定の走行距離(又は一定の走行距離を走行した時間)に対して、速度閾値を超えた速度で走行した距離(又は時間)の累積値の比率に基づいて行うことができる。評価Eが大きい方が安全運転を行っている運転者であることを示す。これにより、運転者は、交差点に向かって走行する場合において、危険走行状態に突入したときに、仮に知らず知らずのうちに速度超過に陥っていたような場合でも、それに気が付くことができ、安全運転を向上させることができる。
第9発明にあっては、運転評価装置は、車両が危険走行状態(特定の状態)にあると判定した都度、車両が交差点の手前で停止する場合に車両の停止位置を検知し、検知した停止位置を記憶する。運転評価装置は、記憶した停止位置に基づいて、車両の停止位置が所定の位置を越える回数N8を算出する。所定の位置は、例えば、停止線の位置とすることができる。運転評価装置は、算出した回数N8に基づいて車両の運転を評価する。運転の評価Eは、一定の走行期間(例えば、1ヶ月など)、あるいは一定の走行距離(例えば、100kmなど)毎の停止位置を超えた回数の比率に基づいて行うことができ、例えば、N8とN2×Th8とを比較することで求めることができる。ここで、N2は車両が危険走行状態に突入した回数、Th8は所定の閾値である。また、算出した回数N8に基づいて、確率Ps=N8/N2を算出し、算出した確率Psの大小に応じて車両の運転を評価することもできる。この場合、運転の評価Eは、例えば、E=100−(Ps−Ths)×Ksで求めることができる。Thsは確率Psの大小を判定する所定の閾値であり、例えば、1%程度とすることができる。また、Ksは所定の定数であり、評価の重み付けをすることができる。なお、(Ps−Ths)が負の場合には0と置き換えるものとする。評価Eが大きい方が安全運転を行っている運転者であることを示す。回数N8に基づいて車両の運転を評価することにより、運転者は、交差点に向かって走行する場合において、危険走行状態に突入したときに、停止線手前で停止する際に停止位置超過に陥っていたような場合でも、それに気が付くことができ、安全運転を向上させることができる。
第10発明にあっては、運転評価装置は、車両が危険走行状態(特定の状態)にあると判定した都度、危険走行状態を回避するための目標速度を算出する。車両を減速させて停止線の手前で停止させる場合の目標速度は、例えば、車両を緩やかな減速度で減速させて黄信号開始時刻までに危険走行領域から回避(脱出)させるために到達させる速度である。また、車両を加速させて交差点に進入(通過)させる場合の目標速度は、例えば、車両を緩やかな加速度で加速させて黄信号開始時刻までに危険走行領域から回避(脱出)させるために到達させる速度である。運転評価装置は、算出した目標速度と車両の交差点付近の速度との差を累積する。例えば、算出する累積値は、車両の速度と目標速度との差に時間を積算して求めることができ、車両を加速又は減速して目標速度にどれだけ早く到達したかを示し、加速若しくは減速の遅れを示すものである。なお、この場合、早く到達したか否かとは、時間軸的に早いという意味であって、短時間で目標速度に到達するというこ
とではない。運転評価装置は、記憶した累積値が所定の累積閾値より大きいことを示す累積状態量を算出する。累積状態量は、例えば、記憶した累積値が所定の累積閾値より大きい回数N9、記憶した累積値が所定の累積閾値より大きい状態で走行した距離又は時間とすることができる。
累積状態量が回数である場合、運転評価装置は、算出した回数N9に基づいて車両の運転を評価する。運転の評価Eは、一定の走行期間(例えば、1ヶ月など)、あるいは一定の走行距離(例えば、100kmなど)毎の回数N9の比率に基づいて行うことができ、例えば、N9とN2×Th9とを比較することで求めることができる。ここで、N2は車両が危険走行状態に突入した回数、Th9は所定の閾値である。また、算出した回数N9に基づいて、確率Pb=N9/N2を算出し、算出した確率Pbの大小に応じて車両の運転を評価することもできる。この場合、運転の評価Eは、例えば、E=100−(Pb−Thb)×Kbで求めることができる。Thbは確率Pbの大小を判定する所定の閾値であり、例えば、10%程度とすることができる。また、Kbは所定の定数であり、評価の重み付けをすることができる。なお、(Pb−Thb)が負の場合には0と置き換えるものとする。評価Eが大きい方が安全運転を行っている運転者であることを示す。回数N9に基づいて車両の運転を評価することにより、運転者は、交差点に向かって走行する場合において、危険走行状態に突入したときに、加速又は減速の遅れに陥っていたような場合でも、それに気が付くことができ、安全運転を向上させることができる。
累積状態量が距離(又は時間)である場合、運転評価装置は、算出した距離(又は時間)に基づいて車両の運転を評価する。運転の評価Eは、一定の走行期間(例えば、1ヶ月など)毎の走行距離(又は走行時間)、あるいは、例えば、100km等の一定の走行距離(又は一定の走行距離を走行した時間)に対して、目標速度と車両の交差点付近の速度との差の累積値が所定の累積閾値より大きい状態で走行した距離(又は時間)の累積値の比率に基づいて行うことができる。評価Eが大きい方が安全運転を行っている運転者であることを示す。これにより、運転者は、交差点に向かって走行する場合において、危険走行状態に突入したときに、仮に知らず知らずのうちに加速又は減速の遅れに陥っていたような場合でも、それに気が付くことができ、安全運転を向上させることができる。
第11発明にあっては、運転評価装置は、車両が危険走行状態(特定の状態)にあると判定した都度、車両の他の周辺車両との車間距離を取得し、取得した車間距離を記憶する。運転評価装置は、記憶した車間距離が所定の車間距離閾値より短くなる回数N10を算出し、算出した回数N10に基づいて車両の運転を評価する。運転の評価Eは、一定の走行期間(例えば、1ヶ月など)、あるいは一定の走行距離(例えば、100kmなど)毎の車間距離閾値より短くなる回数の比率に基づいて行うことができ、例えば、N10とN2×Th10とを比較することで求めることができる。ここで、N2は車両が危険走行状態に突入した回数、Th10は所定の閾値である。また、算出した回数N10に基づいて、確率Pw=N10/N2を算出し、算出した確率Pwの大小に応じて車両の運転を評価することもできる。この場合、運転の評価Eは、例えば、E=100−(Pw−Thw)×Kwで求めることができる。Thwは確率Pwの大小を判定する所定の閾値であり、例えば、10%程度とすることができる。また、Kwは所定の定数であり、評価の重み付けをすることができる。なお、(Pw−Thw)が負の場合には0と置き換えるものとする。評価Eが大きい方が安全運転を行っている運転者であることを示す。回数N10に基づいて車両の運転を評価することにより、運転者は、交差点に向かって走行する場合において、危険走行状態に突入したときに、周辺車両に異常接近するような事態に陥っていたとしても、それに気が付くことができ、安全運転を向上させることができる。
第12発明にあっては、送信装置から信号機の黄信号時間及び黄信号開始時点を車両に搭載可能な運転評価装置へ送信する。これにより、運転評価装置は、送信装置から送信された黄信号時間及び黄信号開始時点を受信して運転者の運転評価を行うことができる。
第13発明にあっては、車載機から車両の位置及び速度を含む車両走行情報を運転評価装置へ送信する。これにより、運転評価装置は、車載機から送信された車両走行情報を受信して該車両の運転評価を行うことができる。
本発明にあっては、危険な運転をする可能性が高い交差点付近の運転環境における運転評価を得ることができ、運転者の安全意識を高めるとともに、安全運転を実現するための情報提供を行うことが可能となる。
実施の形態1
以下、本発明を実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る運転評価システムの構成の一例を示す模式図であり、図2は本発明に係る運転評価装置30の構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、本発明に係る運転評価システムは、交差点に設置された信号機の信号情報を車両に搭載された運転評価装置30へ送信する送信装置としての光ビーコン10、運転評価装置30などを備えている。光ビーコン10は、交差点手前に設けられた停止線から道路に沿って上流側の適長の離隔距離(例えば、200〜1000m)の地点に設置されている。
光ビーコン10は、運転評価装置30を搭載した車両との間で道路上に通信領域Wを有する。車両が通信領域Wを通過する際に、運転評価装置30は、光ビーコン10から所定の情報を受信する。所定の情報は、例えば、黄信号時間、黄信号開始時刻及び信号周期などの信号情報を含む。また、所定の情報には、通信地点の位置情報、停止線の位置情報(例えば、停止線までの距離、停止線の絶対位置など)、交差点と光ビーコン10との間に設置された路上装置51、52の位置などを含めることもできる。なお、光ビーコン10に代えて、電波ビーコン、DSRC(Dedicated Short Range Communication:狭域通信)などを用いることもできる。
路上装置51、52は、例えば、超音波感知器、ICタグ、磁気ネール、光センサ等であり、電波、音波、光、磁気などをセンシングすることにより交信地点を特定することができるものである。路上装置51、52は、道路上に運転評価装置30との交信領域を有する。車両が交信領域を通過する際に、運転評価装置30は、路上装置51、52から交信領域を通過することを示す信号を受信する。なお、路上装置51、52は、運転評価装置30との間で一方向通信を行うものでも双方向通信を行うものでもよい。また、路上装置51、52は、通信を目的としたものでなく、単に計測のための信号を発するだけでもよい。
車両が交差点に向かって道路を走行する場合、運転評価装置30は、光ビーコン10との通信により、所定の情報を取得する。例えば、運転評価装置30は、この時点で停止線までの距離を確認することができる。また、運転評価装置30は、車両が交差点に向かって道路をさらに走行し、運転評価装置30が路上装置51、52と交信することにより、運転評価装置30は、自車両の位置が停止線から何mの地点にあるかを確認することができる。すなわち、運転評価装置30は、停止線までの距離を補正することができる。これにより、運転評価装置30は、交差点の上流地点で、予め停止線までの距離を精度良く把握しておくことができる。
その後、運転評価装置30は、車両の速度、停止線(交差点)までの距離、交差点に設置された信号機の黄信号開始時点及び黄信号時間及び所定の標準減速度などに基づいて、車両が黄信号開始後に停止しようとして交差点の手前に停止する停止条件及び黄信号の終了時点までに交差点に進入する進入条件により決定される危険走行状態(停止線までの距離と速度により決定される危険走行領域)にあるか否かを判定する。
運転評価装置30は、車両が危険走行状態にある(突入する)と判定した場合、危険走行状態に突入する確率、車両の速度超過の確率、加速度超過の確率、減速度超過の確率、加速後の減速若しくは減速後の加速等の運転動作確率、赤信号での交差点進入の確率、停止位置超過の確率、加速若しくは減速の遅れの確率などを求めるとともに、これらの結果(データ)を記憶する。なお、これらの処理の詳細は後述する。運転評価装置30は、多数の交差点(同一交差点でも異なる交差点でもよい)で求めたデータから、運転評価に必要なデータが収集できた場合、運転評価を行い、評価結果を管理センタ装置20へ送信する。
管理センタ装置20では、収集した多数の車両の運転評価結果を記録しておき、例えば、評価結果や具体的な改善方法を提供することにより、運転者の安全運転の意識を高めることができ、事業者の運転管理に役立てることができ、関連行政から安全対策の認定や表彰、交通違反点数の割引等の優遇措置を得て事業者の安全運転をPRすることもできる。また、車両保険・傷害保険等の保険料の割引等、保険会社から優遇措置を得ることもでき、交通事故の削減に寄与させることができる。
図2に示すように、運転評価装置30は、装置全体を制御する制御部31、通信部32、測位部33、地図データベース34、状態判定部35、確率算出部36、運転評価部37、記憶部38、表示部39などを備えている。運転評価装置30で行う各種処理は、専用のハードウエア回路で構成してもよく、又は予め処理手順を定めたコンピュータプログラムを実行する構成であってもよい。
また、測位部33は、GPS(Global Positioning System)331、車速センサ332、ジャイロセンサ333、走行距離を計測する距離計334などを備えている。また、運転評価装置30は、必ずしも車両の固定的に設置された専用装置のみならず、パーソナルコンピュータ、PDA、携帯電話など、取り外して屋外又は机上で別の目的などに利用できる装置に上述の各部の機能を備えるようにして構成することもできる。
通信部32は、光ビーコン10との間で路車間通信を行う通信機能を有する。なお、通信部32は、光ビーコン、電波ビーコン、DSRCなどの狭域通信に限定されるものではなく、例えば、中域通信としてUHF帯又はVHF帯等の無線LAN機能を備えるものでもよく、あるいは、広域通信として携帯電話、PHS、多重FM放送、インターネット通信などの通信機能を備えるものでもよい。また、通信部32は、路上装置51、52、管理センタ装置20との通信機能を備えている。
測位部33は、複数のGPS衛星からの電波をGPS331で受け取り、車両の位置を測位する。また、測位部33は、GPS衛星からの電波が届かない場所、あるいはGPS331により測位される位置の誤差を小さくするため、車速センサ332、ジャイロセンサ333から出力される信号に基づいて車両位置を推定し、地図データベース34の道路データと照合することにより車両の位置をさらに精度良く測位する。なお、GPS331に加えて、DGPS(ディファレンシャルGPS)を搭載することもできる。DGPSは、予め位置が分かっている基準局から発信されるFM放送又は中波を受信し、GPSで算出した位置のずれを補正することができ、車両の位置の精度を向上させることができる。
状態判定部35は、車両の速度、停止線(交差点)までの距離、交差点に設置された信号機の黄信号開始時点及び黄信号時間及び所定の標準減速度などに基づいて、車両が黄信号開始後に停止しようとして交差点の手前に停止する停止条件及び黄信号の終了時点までに交差点に進入する進入条件により決定される危険走行状態(停止線までの距離と速度により決定される危険走行領域)にあるか否かを判定する。
また、状態判定部35は、車両が危険走行状態にあると判定した都度、危険走行状態を回避するための目標速度を算出する。車両を減速させて停止線の手前で停止させる場合の目標速度は、例えば、車両を緩やかな減速度で減速させて黄信号開始時刻までに危険走行領域から回避(脱出)させるために到達させる速度である。また、車両を加速させて交差点に進入(通過)させる場合の目標速度は、例えば、車両を緩やかな加速度で加速させて黄信号開始時刻までに危険走行領域から回避(脱出)させるために到達させる速度である。
図3は危険走行領域の概念を示す説明図である。図3において、横軸は停止線からの位置(距離)を示し、縦軸は車両の速度を示す。危険走行領域は、車両が危険走行状態であることを車両の速度と停止線までの距離とにより表すことができる領域である。危険走行領域は、ジレンマ領域とオプション領域とを含む。ジレンマ領域は、車両が黄信号表示後に停止しようとしても停止線(交差点)の手前に停止できず、かつ黄信号の終了時点までに停止線に進入できない状態であり安全に停止又は進入できない状態である。また、オプション領域は、車両が黄信号表示後に停止しようとして停止線の手前に停止でき、かつ黄信号の終了時点までに停止線に進入できる状態であり、運転者の特性により車両が停止するのか又は進入するのかが異なる不安定な状態である。すなわち、黄信号表示中に(例えば、黄信号開始時点で)車両が危険領域にある状態であると判定した場合、その車両は危険走行状態にあると判定する。
図3において、停止線を基準とした車両の現在位置をX、現在速度をV、黄信号開始となるまでの時間をt(0<t<信号周期T)とする。黄信号開始時刻での車両の位置Xyは、車両の速度が変化しないとすれば(Vy=V)、式(1)で求められる。式(1)は、現在の車両の走行状態に基づいた判定条件Eである。
一方、車両が停止線の手前で安全に停止し、信号待ちになる停止条件Cは、式(2)で求められる。ここで、gは、車両の標準減速度であり、αは黄信号になってから運転者がブレーキを踏むまでのブレーキ時間遅れ(例えば、0.5秒程度)である。すなわち、停止条件Cは、黄信号開始時に車両が標準減速度gで減速したならば、車両が停止線で停止することができる車両の速度と停止線までの距離の限界を示す曲線である。
なお、標準減速度gは、あくまで車両の速度変化を示すものであり、制動操作の操作内容又は操作のタイミングとは無関係である。標準減速度gは、例えば、黄信号に変わって車両の制動を開始する場合など、停止判断時点から反射反応(0.5秒)より十分長い時間(例えば、2秒以上)を経過してから減速操作を行うときにみられる減速度を意味している。つまり、急ブレーキをかけずに余裕のある停止を目的とするときにみられる減速度を意味している。一般的には、標準減速度gは、平地乾燥路面で、およそ2〜3m/s2 であり、所要の値に設定することができる。
車両が黄信号の終了時点で停止線に進入し、信号待ちに会わない進入条件Lは、式(3)で求められる。ここで、Tyは黄信号時間である。すなわち、進入条件Lは、車両が走行中に黄信号になった場合、その黄信号時間内(赤信号になる前)に停止線まで到達することができる車両の速度と停止線までの距離の限界を示す直線である。
ジレンマ領域は、式(2)及び式(3)の両者とも満足しない領域であり、黄開始時刻において、停止線でスムーズに(安全に)停止することも、黄信号が終わるまでに交差点に進入することもできない領域で、安全に停止又は進入できない場合であり、赤信号で交差点に突っ込んだために、青信号となった交差側の歩行者を撥ねたり、交差側の車両と側面追突したりする恐れがある。
オプション領域は、式(2)及び式(3)の両者とも満足する領域であり、黄開始時刻において、停止線で安全に停止することも、黄信号が終わるまでに交差点に進入することもできる領域で、運転者の特性の差異によりどちらを選ぶかが異なり、特性の異なる運転者が運転する車両が追従して走行していると、前方車が停止したとき、後続車に追突される恐れがある。なお、図3において、危険走行領域の下側の領域は交差点停止領域であり、停止線手前に安全に停止することができる領域である。また、危険走行領域の上側の領域は交差点通過領域であり、安全に停止線に進入(通過)することができる領域である。
図3において、危険走行領域を例示したが、一層安全を高めるために危険走行領域を広げることもできる。図4は危険走行近傍領域の概念を示す説明図である。図中、横軸は停止線からの位置(距離)を示し、縦軸は車両の速度を示す。危険走行領域は、図3の場合と同様である。危険走行近傍領域は、交差点停止領域であって危険走行領域に近い領域、及び交点通過領域であって危険走行領域に近い領域である。なお、危険走行状態として、上記のジレンマ状態、オプション状態の他に、交通流に基づいて危険となり得る他の状態を設定してもよい。また、その他の走行危険領域として、対向右折車両がある場合等に、通過領域の一部を危険走行領域としてもよく、停止領域にもかかわらず交差点の手前で速度を上げて交差点を通過しようとする車両も評価するように、停止領域の一部を危険走行領域としてもよい。
図4に示すように、進入条件L、停止条件Cに沿って危険走行領域を広げるように境界線(境界条件)を設ける。例えば、停止条件C又は進入条件Lから所定の距離に基づいて境界線を設けてもよい。これにより、危険走行領域に突入する可能性がある場合(危険走行近傍領域に突入する場合)にも、危険度を算出して運転支援情報を提供し一層の安全を確保することができる。
確率算出部36は、車両が危険走行状態(危険走行領域)に突入する確率を算出する。危険走行状態(危険走行領域)に突入する確率Peは、例えば、運転評価の対象として予め設定された複数の交差点(同一又は異なる交差点)を通過した通過回数N1に対して、交差点を通過する際に危険走行状態にあるか否かを判定し、危険走行状態にあると判定された判定数N2の比率として求めることができる。すなわち、Pe=100×(N2/N1)で求めることができる。なお、確率算出部36は、危険走行状態にないと判定された判定数に基づいて、車両が危険走行状態(危険走行領域)に突入しない確率を算出することもできる。
確率算出部36は、車両が危険走行状態に突入した場合に、危険走行状態での走行状況に関して、車両の交差点付近の加速度超過、減速度超過、速度超過、加速後の減速若しくは減速後の加速等の運転動作(加減速の迷い)、赤信号での交差点進入、停止位置超過、加速若しくは減速の遅れ、車間距離異常(短い車間距離)などの事象の確率を算出する。ここで、交差点付近は、交差点の上流側の地点(例えば、運転評価を行うタイミングでの車両の位置)から交差点を通過した地点までの範囲を含む。
確率算出部36は、車両の交差点付近の加速度を取得し、取得した加速度を記憶する。加速度は、例えば、黄信号開始時刻から停止線を通過する通過時刻、又は黄信号開始時刻から速度を上げて一定の速度に達した時刻までの平均加速度とすることができる。車両の加速度が所定の加速度閾値(例えば、4m/s2 )を超える場合は、例えば、運転者が急アクセル操作をしたときである。確率算出部36は、記憶した加速度に基づいて、車両の加速度が所定の加速度閾値を超える確率Paを算出する。例えば、加速度超過の確率Paは、危険走行状態に突入した回数N2に対する車両の交差点付近の加速度が所定の加速度閾値を超えた回数N3の比率で求めることができ、Pa=100×(N3/N2)で求めることができる。なお、確率Paは、加速を行っていた時間に対する、加速度超過時間の比率でもよい。また、平均加速度に代えて、一定時間内の最大値でもよく、あるいは実効値でもよい。
確率算出部36は、車両の交差点付近の減速度を取得し、取得した減速度を記憶する。減速度は、例えば、黄信号開始時刻から停止線手前で停止する停止時刻、又は黄信号開始時刻から速度を下げて一定の速度に達した時刻までの平均減速度とすることができる。車両の減速度が所定の減速度閾値(例えば、4m/s2 )を超える場合は、例えば、運転者が急ブレーキ操作をしたときである。確率算出部36は、記憶した減速度に基づいて、車両の減速度が所定の減速度閾値を超える確率Pdを算出する。例えば、減速度超過の確率Pdは、危険走行状態に突入した回数N2に対する車両の交差点付近の減速度が所定の減速度閾値を超えた回数N4の比率で求めることができ、Pd=100×(N4/N2)で求めることができる。なお、確率Pdは、減速を行っていた時間に対する、減速度超過時間の比率でもよい。また、平均減速度に代えて、一定時間内の最大値でもよく、あるいは実効値でもよい。
確率算出部36は、車両の交差点付近の速度を取得し、取得した速度を記憶する。確率算出部36は、記憶した速度に基づいて、車両の速度が所定の速度閾値を超える確率Pvを算出する。速度超過は、例えば、黄信号開始時刻から交差点通過までの最高速度が法定規制速度(又は法定規制速度に若干の余裕度を加味した速度)を超えているか否かで判定する。速度超過の確率Pvは、危険走行状態に突入した回数N2に対する車両の交差点付近の速度が所定の速度閾値を超えた回数N5の比率で求めることができ、Pv=100×(N5/N2)で求めることができる。なお、確率Pvは、走行時間に対する速度超過時間の比率でもよい。
確率算出部36は、車両の交差点付近の加速後の減速動作又は減速後の加速動作(加減速の迷い)を示す動作情報を取得して記憶する。確率算出部36は、記憶した動作情報に基づいて、加減速の迷いの確率Pcを算出する。加速後の減速動作は、例えば、黄信号開始時刻から停止線手前で停止するまでに、加速してから減速する走行であり、減速後の加速動作は、黄信号開始時刻から交差点を通過するまでに、減速してから加速する走行である。加減速の迷いの確率Pcは、例えば、危険走行状態に突入した回数N2に対する加減速の迷いの回数N6の比率で求めることができ、Pc=100×(N6/N2)で求めることができる。
確率算出部36は、車両が赤信号開始時点で交差点に進入したか否かを判定し、判定した結果を記憶する。車両が赤信号開始時点で交差点に進入したか否かの判定は、取得した赤信号開始時刻(信号灯色情報)と停止線を越えた時刻とを比較して判定することができる。確率算出部36は、記憶した判定結果に基づいて、車両の赤信号開始時点での交差点進入回数が所定の進入回数閾値より大きくなる確率Prを算出する。赤信号開始時点で交差点に進入する確率Prは、例えば、危険走行状態に突入した回数N2に対する赤信号開始時点での交差点進入回数N7の比率で求めることができ、Pr=100×(N7/N2)で求めることができる。
確率算出部36は、車両が交差点の手前で停止する場合に車両の停止位置を検知し、検知した停止位置を記憶する。確率算出部36は、記憶した停止位置に基づいて、車両の停止位置が所定の位置を越える確率Psを算出する。所定の位置は、例えば、停止線の位置とすることができる。停止位置超過の確率Psは、例えば、危険走行状態に突入した回数N2に対する停止位置超過の回数N8の比率で求めることができ、Ps=100×(N8/N2)で求めることができる。
確率算出部36は、状態判定部35で算出された目標速度と車両の交差点付近の速度との差を累積する。例えば、算出する累積値は、車両の速度と目標速度との差に時間を積算して求めることができ、車両を加速又は減速して目標速度にどれだけ早く到達したかを示し、加速若しくは減速の遅れを示すものである。なお、この場合、早く到達したか否かとは、時間軸的に早いという意味であって、短時間で目標速度に到達するということではない。確率算出部36は、記憶した累積値に基づいて、車両の累積値が所定の累積閾値より大きくなる確率Pbを算出する。加速又は減速の遅れ確率Pbは、例えば、危険走行状態に突入した回数N2に対する加速若しくは減速の遅れの回数N9の比率で求めることができ、Pb=100×(N9/N2)で求めることができる。
確率算出部36は、車両の他の周辺車両との車間距離を取得し、取得した車間距離を記憶する。なお、車間距離は、自車両で計測することもでき、あるいは、車々間通信により周辺車両の位置を取得して算出することもできる。確率算出部36は、記憶した車間距離に基づいて、車間距離が所定の閾値より小さい(短い)確率Pwを算出する。車間距離異常の確率Pwは、例えば、危険走行状態に突入した回数N2に対する車間距離異常の回数N10の比率で求めることができ、Pw=100×(N10/N2)で求めることができる。
図5は減速遅れの算出の一例を示す説明図である。図5は車両が減速して停止線の手前で停止するまでの車両の停止線までの距離と速度の関係の一例を示す。なお、図5に示す関係は、運転者の運転状況に応じて異なるものとなる。運転者が交差点の信号機を見て停止線の手前で車両を停止させるべく減速開始位置で減速を開始したとする(この時刻を減速開始時刻t1とする)。この時点で車両の現在速度と目標速度との間の速度差をΔVとする。運転者は、緩やかな減速度で車両を減速させて車両の速度が目標速度に到達したとする(この時刻を到達時刻t2とする)。累積値は、速度差ΔVを減速開始時刻t1から到達時刻t2まで累積(積分)した値である。従って、緩やかな安全減速度を超えない減速度であれば、累積値がより小さい方が安全運転である。また、時々刻々と変化する目標速度と現在速度との差ΔVが一定の閾値以内であれば、累積値が大きいほど安全運転である。つまり、累積値を算出しておけば、走行状況にあわせたより正確な安全運転評価をすることができる。
図6は加速遅れの算出の一例を示す説明図である。図6は車両が加速して交差点を通過するまでの車両の停止線までの距離と速度の関係の一例を示す。なお、図6に示す関係は、運転者の運転状況に応じて異なるものとなる。運転者が交差点の信号機を見て交差点を通過すべく加速開始位置で加速を開始したとする(この時刻を加速開始時刻t3とする)。この時点で車両の現在速度と目標速度との間の速度差をΔVとする。運転者は、緩やかな加速度で車両を加速させて車両の速度が目標速度に到達したとする(この時刻を到達時刻t4とする)。累積値は、速度差ΔVを加速開始時刻t3から到達時刻t4まで累積(積分)した値である。従って、緩やかな安全加速度を超えない加速度であれば、累積値がより小さい方が安全運転である。また、時々刻々と変化する目標速度と現在速度との差ΔVが一定の閾値以内であれば、累積値が大きいほど安全運転である。つまり、累積値を算出しておけば、走行状況にあわせたより正確な安全運転評価をすることができる。
運転評価部37は、確率算出部36で算出した確率の大小に基づいて、車両(運転者)の運転評価を行う。運転評価は、危険性の高い信号切り替えタイミングが絡む信号交差点付近の走行状況に基づいて行い、例えば、黄信号開始時に危険走行領域に突入する確率に基づいて評価を行う。なお、運転評価部37は、黄信号開始時に危険走行領域に突入しない確率に基づいて評価を行うこともできる。また、運転評価は、危険走行領域での走行状況に基づいて行い、例えば、急加速して停止線の通過、急減速して交差点手前で停止、一瞬の迷いによる加減速、赤信号での停止線の通過、走行速度の閾値超過、停止位置の超過、加速又は減速の遅れなどの事象に基づいて評価を行う。以下、評価方法について説明する。
図7は危険走行領域に突入する確率による運転評価の一例を示す説明図である。運転評価部37は、黄信号開始時に危険走行領域に突入する確率Pe(Pe=100×N2/N1)、危険走行状態に突入する確率の最大値をPmaxとした場合、例えば、評価式E=100×(Pmax−Pe)/Pmaxで運転評価を行う。すなわち、確率Peが0であれば、E=100となり、確率Peが最大値Pmaxであれば、E=0となる。なお、(Pmax−Pe)が負の場合には0と置き換える。また、危険走行状態に突入する確率の最大値Pmaxは、予め設定しておくことができ、次のように求めることができる。
図8は危険走行領域に突入する平均確率の算出例の概念を示す説明図であり、図9は危険走行領域に突入する平均確率と車両の速度との関係を示す説明図である。図8において、横軸は停止線からの位置(距離)を示し、縦軸は車両の速度を示す。車両の速度Vにおける危険走行領域に突入する平均的な確率を考える。車両の速度Vに対応する停止条件Cの境界上の車両の位置(停止位置)をXc、車両の速度Vに対応する進入条件Lの境界上の車両の位置(進入位置)をXlとすると、式(2)及び式(3)から、Xc、Xlは、それぞれ式(4)、式(5)で表すことができる。
速度Vの車両が信号周期Tの間に移動する距離はT・Vであり、その車両が停止線からどの距離のところで黄信号になるかは一様な確率であるため、車両が、黄信号開始時に危険走行領域に突入する平均的な確率Pは、式(6)で表すことができる。また、ジレンマ領域では、Xc>Xlであるから、ジレンマ領域に突入する平均的な確率Pdiは、式(7)で表すことができ、一方、オプション領域では、Xc<Xlであるから、オプション領域に突入する平均的な確率Popは、式(8)で表すことができる。
図8に示すように、ジレンマ領域とオプション領域が交差する点Qにおける速度をVqとすると、車両の速度V2がV2>Vqであれば、ジレンマ領域に突入する可能性があり、逆に車両の速度V1がV1<Vqであれば、オプション領域に突入する可能性がある。
車両の速度V2で表される直線が縦軸、進入条件Lで表される直線及び停止条件Cで表される曲線と交差する点をそれぞれI、R、Sとし、点R、Sにおける車両の位置をXlr、Xcsとする。また、速度V2で表される直線と車両の位置がXj=V2・Tで表される直線との交点をJとする。ジレンマ領域に突入する確率Pdiは、Pdi=RS/IJとなる。ここで、RSは、Xcs−Xlrであり、停止線からの距離範囲(進入位置と停止位置との差)を示し、IJは、V2・Tであり、車速V2の車両が信号周期Tの間に走行する距離である。車両が停止線からどの距離の地点で黄信号になるかは一様な確率であるため、ジレンマ領域に突入する確率(危険度)Pdiは上述の式で求めることができる。
また、車両の速度V1で表される直線が縦軸、停止条件Cで表される曲線及び進入条件Lで表される直線と交差する点をそれぞれK、A、Bとし、点A、Bにおける車両の位置をXca、Xlbとする。また、速度V1で表される直線と車両の位置がXn=V1・Tで表される直線との交点をNとする。オプション領域に突入する確率Popは、Pop=AB/KNとなる。ここで、ABは、Xlb−Xcaであり、停止線からの距離範囲(進入位置と停止位置との差)を示し、KNは、V1・Tであり、車速V1の車両が信号周期Tの間に走行する距離である。車両が停止線からどの距離の地点で黄信号になるかは一様な確率であるため、オプション領域に突入する確率(危険度)Popは上述の式で求めることができる。
図9において、横軸は車両の速度を示し、縦軸は確率を示す。式(7)又は式(8)から判るように、黄信号時間Ty、信号周期T、標準減速度g、ブレーキの遅れ時間αが一定の値であるとすると、危険走行領域に突入する平均的な確率は車両の速度のみの関数となる。図8の点Qに対応する速度Vqは、Vq=2g(Ty−α)であるから、車両の速度VがVqに等しい場合、式(7)、式(8)からPdi=Pop=0となる。これは、図8の例で、RS又はABが点Qに近づいて0になるということからもわかる。
速度VがVqより小さいオプション領域を考えると、式(8)から、速度Vを0に近づけるにつれて、確率Popは最大値である(Ty−α)/Tに近づく。なお、より正確には、車両の速度Vが0になることはなく、危険走行領域を確実に回避できるような下限速度(下限速度以下では危険走行領域に突入する可能性がない)近辺の確率が最大値であるといえる。
また、速度VがVqより大きいジレンマ領域を考えると、式(7)から、速度Vを大きくするにつれて、確率Pdiは大きくなる。なお、より正確には、車両の速度Vが無限に大きくなることはなく、制限速度に若干の許容度を加えた上限速度(上限速度以上で走行する車両はほとんどない)近辺の確率が最大値であるといえる。例えば、上限速度が4g(Ty−α)であるとすると、確率Pの最大値は、(Ty−α)/Tに近づくので、最大確率Pmaxは、Pmax=(Ty−α)/Tと設定することができる。
上述のとおり、黄信号時間Ty、信号周期T、標準減速度g、ブレーキの時間遅れαなどのパラメータと、車両の走行速度が決まれば、危険走行領域に突入する確率が決まってしまい、これはある意味では、運転者にとっては、認識することができず想定外の危険ということができる。しかし、そのような状況の中でも、安全運転を心がける運転者は、無意識のうちに危険走行を避けるように走行していると考えられ、そのような場合には、停止条件Cと進入条件Lの交点Qで示される速度Vq付近での走行が多いと考えられる。又、同じ危険走行領域でも、ジレンマ領域とオプション領域とでは、危険の度合いが異なり、事故の可能性の大小という意味では、ジレンマ領域の方が遙かに危険性が高いと言える。従って、運転者の評価は、ジレンマ領域、オプション領域ごとに評価することが望ましく、あるいは、ジレンマ領域のみで評価しても良い。
数値的な評価としては、上述のとおり、例えば、オプション領域での最大確率Pmax=(Ty−α)/Tと、ゼロとを基準とする方法が考えられる。g=3m/s2 、α=0.5s、Ty=3sとすると、危険走行領域への突入確率がゼロとなる速度Vqは、54km/h=15m/sとなる。また、最大確率Pmaxは、T=120sとすると、2.1%となる。
これにより、運転者は、交差点に向かって走行する場合、過去の運転操作、運転環境などに応じて、自分の運転がどの程度危険であるかを正確に把握することができ、仮に知らず知らずのうちに危険な走行状態に陥っていたような場合でも、それに気が付くことができ、安全運転を向上させることができる。
図10は危険走行領域での各事象の確率による運転評価の一例を示す説明図である。図10に示すように、危険走行領域での走行状況に関する事象としては、例えば、車両の交差点付近の加速度超過、減速度超過、速度超過、加速後の減速若しくは減速後の加速等の運転動作(加減速の迷い)、赤信号での交差点進入、停止位置超過、加速若しくは減速の遅れ、車間距離異常(短い車間距離)などであり、これらの各事象の確率に基づいて運転評価をすることができる。
運転評価部37は、加速度超過に関する運転評価を、評価式E=100−(Pa−Tha)×Kaで求めることができる。Thaは確率Paの大小を判定する所定の閾値であり、例えば、10%程度とすることができる。また、Kaは所定の定数であり、評価の重み付けをすることができる。なお、(Pa−Tha)が負の場合には0と置き換えるものとする。これにより、運転者は、交差点に向かって走行する場合において、危険走行状態に突入したときに、仮に知らず知らずのうちに加速度超過に陥っていたような場合でも、それに気が付くことができ、安全運転を向上させることができる。
また、運転評価部37は、算出された回数N3に基づいて車両の運転を評価することもできる。この場合、運転の評価式Eは、一定の走行期間(例えば、1ヶ月など)、あるいは一定の走行距離(例えば、100kmなど)毎の加速度閾値を超えた回数の比率に基づいて行うことができ、例えば、N3とN2×Th3とを比較することで求めることができる。ここで、Th3は所定の閾値である。
また、運転評価部37は、車両が所定の加速度閾値を超えた加速度で走行した距離(又は時間)を算出し、算出した距離(又は時間)に基づいて車両の運転を評価することもできる。運転の評価式Eは、一定の走行期間(例えば、1ヶ月など)毎の走行距離(又は走行時間)、あるいは、例えば、100km等の一定の走行距離(又は一定の走行距離を走行した時間)に対して、加速度閾値を超えた加速度で走行した距離(又は時間)の累積値の比率に基づいて行うことができる。あるいは、加速を行っていたときの走行距離(又は走行時間)、又は運転の評価を開始した位置から停止線までの距離(又は所要時間)の累積値に対して、加速度閾値を超えた加速度で走行した距離(又は時間)の累積値の比率に基づいて行うことができる。
運転評価部37は、減速度超過に関する運転評価を、評価式E=100−(Pd−Thd)×Kdで求めることができる。Thdは確率Pdの大小を判定する所定の閾値であり、例えば、10%程度とすることができる。また、Kdは所定の定数であり、評価の重み付けをすることができる。なお、(Pd−Thd)が負の場合には0と置き換えるものとする。これにより、運転者は、交差点に向かって走行する場合において、危険走行状態に突入したときに、仮に知らず知らずのうちに減速度超過に陥っていたような場合でも、それに気が付くことができ、安全運転を向上させることができる。
また、運転評価部37、算出された回数N4に基づいて車両の運転を評価することもできる。運転の評価式Eは、一定の走行期間(例えば、1ヶ月など)、あるいは一定の走行距離(例えば、100kmなど)毎の減速度閾値を超えた回数の比率に基づいて行うことができ、例えば、N4とN2×Th4とを比較することで求めることができる。ここで、Th4は所定の閾値である。
また、運転評価部37は、車両が所定の減速度閾値を超えた減速度で走行した距離(又は時間)を算出し、算出した距離(又は時間)に基づいて車両の運転を評価することもできる。運転の評価式Eは、一定の走行期間(例えば、1ヶ月など)毎の走行距離(又は走行時間)、あるいは、例えば、100km等の一定の走行距離(又は一定の走行距離を走行した時間)に対して、減速度閾値を超えた減速度で走行した距離(又は時間)の累積値の比率に基づいて行うことができる。あるいは、減速を行っていたときの走行距離(又は走行時間)、又は運転の評価を開始した位置から停止線までの距離(又は所要時間)の累積値に対して、減速度閾値を超えた減速度で走行した距離(又は時間)の累積値の比率に基づいて行うことができる。
運転評価部37は、速度超過に関する運転評価を、評価式E=100−(Pv−Thv)×Kvで求めることができる。Thvは確率Pvの大小を判定する所定の閾値であり、例えば、1%程度とすることができる。また、Kvは所定の定数であり、評価の重み付けをすることができる。なお、(Pv−Thv)が負の場合には0と置き換えるものとする。これにより、運転者は、交差点に向かって走行する場合において、危険走行状態に突入したときに、仮に知らず知らずのうちに速度超過に陥っていたような場合でも、それに気が付くことができ、安全運転を向上させることができる。
また、運転評価部37は、算出された回数N5に基づいて車両の運転を評価することもできる。運転の評価式Eは、一定の走行期間(例えば、1ヶ月など)、あるいは一定の走行距離(例えば、100kmなど)毎の速度閾値を超えた回数の比率に基づいて行うことができ、例えば、N5とN2×Th5とを比較することで求めることができる。ここで、Th5は所定の閾値である。
また、運転評価部37は、車両が所定の速度閾値を超えた速度で走行した距離(又は時間)を算出し、算出した距離(又は時間)に基づいて車両の運転を評価することもできる。運転の評価式Eは、一定の走行期間(例えば、1ヶ月など)毎の走行距離(又は走行時間)、あるいは、例えば、100km等の一定の走行距離(又は一定の走行距離を走行した時間)に対して、速度閾値を超えた速度で走行した距離(又は時間)の累積値の比率に基づいて行うことができる。
運転評価部37は、加減速の迷いに関する運転評価を、評価式E=100−(Pc−Thc)×Kcで求めることができる。Thcは確率Pcの大小を判定する所定の閾値であり、例えば、5%程度とすることができる。また、Kcは所定の定数であり、評価の重み付けをすることができる。なお、(Pc−Thc)が負の場合には0と置き換えるものとする。これにより、運転者は、交差点に向かって走行する場合において、危険走行状態に突入したときに、仮に知らず知らずのうちに加速から減速又は減速から加速といった加減速の迷いに陥っていたような場合でも、それに気が付くことができ、安全運転を向上させることができる。
また、運転評価部37は、算出された回数N6に基づいて車両の運転を評価することもできる。運転の評価式Eは、一定の走行期間(例えば、1ヶ月など)、あるいは一定の走行距離(例えば、100kmなど)毎の動作回数の閾値を超えた回数の比率に基づいて行うことができ、例えば、N6とN2×Th6とを比較することで求めることができる。ここで、Th6は所定の閾値である。
また、運転評価部37は、動作状態量の閾値を超えた動作中に走行した距離(又は時間)に基づいて車両の運転を評価することもできる。運転の評価式Eは、一定の走行期間(例えば、1ヶ月など)毎の走行距離(又は走行時間)、あるいは、例えば、100km等の一定の走行距離(又は一定の走行距離を走行した時間)に対して、動作状態量閾値を超えた動作中に走行した距離(又は時間)の累積値の比率に基づいて行うことができる。あるいは、加速後の減速動作又は減速後の加速動作を行っていたときの走行距離(又は走行時間)、又は運転の評価を開始した位置から停止線までの距離(又は所要時間)の累積値に対して、動作状態量閾値を超えた動作中に走行した距離(又は時間)の累積値の比率に基づいて行うことができる。
運転評価部37は、赤信号での交差点進入に関する運転評価を、評価式E=100−(Pr−Thr)×Krで求めることができる。Thrは確率Prの大小を判定する所定の閾値であり、例えば、1%程度とすることができる。また、Krは所定の定数であり、評価の重み付けをすることができる。なお、(Pr−Thr)が負の場合には0と置き換えるものとする。これにより、運転者は、交差点に向かって走行する場合において、危険走行状態に突入したときに、赤信号で交差点に進入してしまうような運転癖に気が付くことができ、安全運転を向上させることができる。
また、運転評価部37は、算出された回数N7に基づいて車両の運転を評価することもできる。運転の評価式Eは、一定の走行期間(例えば、1ヶ月など)、あるいは一定の走行距離(例えば、100kmなど)毎の進入回数の閾値を超えた回数の比率に基づいて行うことができ、例えば、N7とN2×Th7とを比較することで求めることができる。ここで、Th7は所定の閾値である。なお、回数N7に代えて、進入した時点の赤信号開始からの経過時間の累積値を用いることもできる。
運転評価部37は、停止位置超過に関する運転評価を、評価式E=100−(Ps−Ths)×Ksで求めることができる。Thsは確率Psの大小を判定する所定の閾値であり、例えば、1%程度とすることができる。また、Ksは所定の定数であり、評価の重み付けをすることができる。なお、(Ps−Ths)が負の場合には0と置き換えるものとする。これにより、運転者は、交差点に向かって走行する場合において、危険走行状態に突入したときに、停止線手前で停止する際に停止位置超過に陥っていたような場合でも、それに気が付くことができ、安全運転を向上させることができる。
また、運転評価部37は、算出された回数N8に基づいて車両の運転を評価することもできる。運転の評価式Eは、一定の走行期間(例えば、1ヶ月など)、あるいは一定の走行距離(例えば、100kmなど)毎の停止位置を超えた回数の比率に基づいて行うことができ、例えば、N8とN2×Th8とを比較することで求めることができる。ここで、Th8は所定の閾値である。なお、回数N8に代えて、停止線を越えた長さの累積値を用いることもできる。
運転評価部37は、加速又は減速の遅れに関する運転評価を、評価式E=100−(Pb−Thb)×Kbで求めることができる。Thbは確率Pbの大小を判定する所定の閾値であり、例えば、10%程度とすることができる。また、Kbは所定の定数であり、評価の重み付けをすることができる。なお、(Pb−Thb)が負の場合には0と置き換えるものとする。これにより、運転者は、交差点に向かって走行する場合において、危険走行状態に突入したときに、加速又は減速の遅れに陥っていたような場合でも、それに気が付くことができ、安全運転を向上させることができる。
また、運転評価部37は、算出された回数N9に基づいて車両の運転を評価することもできる。運転の評価式Eは、一定の走行期間(例えば、1ヶ月など)、あるいは一定の走行距離(例えば、100kmなど)毎の回数N9の比率に基づいて行うことができ、例えば、N9とN2×Th9とを比較することで求めることができる。ここで、Th9は所定の閾値である。
また、運転評価部37は、目標速度と車両の交差点付近の速度との差の累積値が所定の累積閾値より大きい状態で走行した距離(又は時間)に基づいて車両の運転を評価することもできる。運転の評価Eは、一定の走行期間(例えば、1ヶ月など)毎の走行距離(又は走行時間)、あるいは、例えば、100km等の一定の走行距離(又は一定の走行距離を走行した時間)に対して、目標速度と車両の交差点付近の速度との差の累積値が所定の累積閾値より大きい状態で走行した距離(又は時間)の累積値の比率に基づいて行うことができる。
運転評価部37は、車間距離異常に関する運転評価を、評価式E=100−(Pw−Thw)×Kwで求めることができる。Thwは確率Pwの大小を判定する所定の閾値であり、例えば、10%程度とすることができる。また、Kwは所定の定数であり、評価の重み付けをすることができる。なお、(Pw−Thw)が負の場合には0と置き換えるものとする。これにより、運転者は、交差点に向かって走行する場合において、危険走行状態に突入したときに、周辺車両に異常接近するような事態に陥っていたとしても、それに気が付くことができ、安全運転を向上させることができる。
また、運転評価部37は、算出された回数N10に基づいて車両の運転を評価することもできる。運転の評価式Eは、一定の走行期間(例えば、1ヶ月など)、あるいは一定の走行距離(例えば、100kmなど)毎の車間距離閾値より短くなる回数の比率に基づいて行うことができ、例えば、N10とN2×Th10とを比較することで求めることができる。ここで、Th10は所定の閾値である。なお、回数N10に代えて、車間距離が閾値よりも短かった時間の累積値、短くなっていた距離相当の累積値又は時間、あるいは、車間距離をそのときの速度で除算した値の累積値などを用いることもできる。
なお、運転評価部37は、上述の運転評価を行った車両の事業者名、運転者名、車両番号などの区分け毎に運転結果をまとめることができる。
なお、上述の各評価式は、一例であって、これに限定されるものではない。また、定数Ka、Kd、Kv,Kc,Kr、Ks、Kbは、同じ値の定数でもよく、異なる値でもよい。各事象の危険度合いに応じて重み付けできるように設定すればよい。
図11は運転評価結果の一例を示す説明図である。なお、図11は、各運転評価の評価結果を数値として認識することができる例として模式的に表したものであり、評価結果の表示例は、図表の形式に限定されるものではない。図11の例に示すように、運転評価を行った車両の事業者名、運転者名、車両番号などの区分け毎に運転結果をまとめることができる。また、各運転評価の内容とその結果を、例えば、点数表示することができる。点数は大きい方が安全であることを示す。これにより、運転者は、車両が交差点に向かって走行する場合に、車両の位置(例えば、交差点の停止線までの距離)と信号の切り替わりタイミングとの関係により危険な走行状態に陥ると予想されるときに限定して運転者の運転操作を評価することができ、危険な運転をする可能性が高い交差点付近の運転環境における運転評価を得られ、運転者の安全意識を高めるとともに、安全運転を実現するための情報提供を行うことが可能となる。
図12は運転評価結果の他の例を示す説明図である。図12の例に示すように、運転評価を行った車両の事業者名、運転者名などの区分け毎に運転結果をまとめることができる。また、各運転評価の内容とその結果を、例えば、評価点(0〜100点)、評価(A、B、Cなど)、走行改善などの構成で提供することができる。この場合、評価点が大きいほど安全であることを示し、また、評価がC、B、Aの順に安全であることを示す。これにより、運転者は、危険な運転をする可能性が高い交差点付近の運転環境における運転評価を得られるとともに、どのような走行改善を行う必要があるかを認識することができ、運転者の安全意識を高めるとともに、安全運転を実現するための情報提供を行うことが可能となる。なお、図11及び図12において、車間距離異常については例示していないが、評価結果に加えることができる。
表示部39は、フロントガラスディスプレイ又はヘッドアップディスプレイ、あるいは、カーナビゲーションシステム又は後方監視モニタなどの液晶表示パネルであって、例えば、運転者に運転評価結果を表示する。また、表示部39は、各種操作パネルを備え、運転者と運転評価装置30とのユーザインタフェースとして機能する。また、表示部39は、スピーカを備え、運転者に対して運転評価結果を音声で出力する。記憶部38は、所定の情報を記憶する。
次に運転評価装置30の動作について説明する。図13、図14及び図15は運転評価装置30の処理手順を示すフローチャートである。制御部31は、運転の評価対象道路に進入したか否かを判定し(S11)、評価対象道路に進入していない場合(S11でNO)、ステップS11の処理を続ける。評価対象道路に進入した場合(S11でYES)、制御部31は、通信装置(例えば、光ビーコン10)との交信の有無を判定する(S12)。なお、評価対象道路に進入したか否かの判定は、測位部33、地図データベース34などにより行うことができる。また、評価対象道路は、運転評価を行うと決定された道路であり、所望の道路を決定することができる。
通信装置と交信がない場合(S12でNO)、制御部31は、交差点を通過したか否かを判定し(S13)、交差点を通過していない場合(S13でNO)、ステップS12の処理を続け、交差点を通過した場合(S13でYES)、ステップS11以降の処理を続ける。
通信装置との交信があった場合(S12でYES)、制御部31は、通信装置から通信地点、停止線及び路上装置の位置情報、信号機の黄信号開始時点及び黄信号時間を含む信号情報を受信する(S14)。
制御部31は、停止線までの距離を算出し(S15)、路上装置51、52から位置又は停止線までの距離に関する信号を受信したか否かを判定し(S16)、信号を受信した場合(S16でYES)、停止線までの距離を修正する(S17)。例えば、停止線から路上装置51、52との交信地点までの距離をLとすると、車両の位置を、停止線から距離Lにあると修正する。これにより、車両が停止線に向かって走行するにつれて累積する距離誤差をリセットし、停止線までの距離の精度を向上させることができる。信号を受信していない場合(S16でNO)、制御部31は、ステップS17の処理を行うことなく、後述のステップS18の処理を行う。
制御部31は、運転評価開始のタイミングであるか否かを判定する(S18)。運転評価開始のタイミングは、例えば、車両が停止線から所定の距離(例えば、200m)になった地点、黄信号に切り替わるまでの時間が所定の時間(例えば、5〜10秒)になった時点、最後の路上装置52との交信時点、あるいは光ビーコン10との通信時点など適宜設定できる。また、運転評価開始のタイミングは、車両の速度に応じて変化させることもできる。
運転評価開始のタイミングでない場合(S18でNO)、制御部31は、ステップS15の処理を行い、運転評価開始のタイミングである場合(S18でYES)、自車両で運転評価を行うか否かを判定する(S19)。例えば、後述するように、管理センタ装置20で運転評価を行うような場合には、自車両での運転評価は行わない。
自車両で運転評価を行う場合(S19でYES)、制御部31は、黄信号開始時の車両の危険走行領域を算出し(S20)、黄信号開始時の車両が危険走行領域に突入するか否かを判定する(S21)。車両が危険走行領域に突入しない場合(S21でNO)、制御部31は、交差点通過回数N1のカウントを更新した後、車両が近づきつつある交差点での運転評価を行わずにステップS11以降の処理を続ける。
車両が危険走行領域に突入する場合(S21でYES)、制御部31は、危険走行領域突入回数を更新する(S22)。例えば、過去に危険走行領域に突入した回数がn回とすると、突入回数をn+1回とする。
制御部31は、交差点付近で車両の加速度超過の有無を判定し(S23)、加速度超過があった場合(S23でYES)、加速度超過回数を更新する(S24)。加速度超過がなかった場合(S23でNO)、制御部31は、ステップS24の処理を行わずに、後述するステップS25の処理を行う。
制御部31は、交差点付近で車両の減速度超過の有無を判定し(S25)、減速度超過があった場合(S25でYES)、減速度超過回数を更新する(S26)。減速度超過がなかった場合(S25でNO)、制御部31は、ステップS26の処理を行わずに、後述するステップS27の処理を行う。
制御部31は、交差点付近で車両の速度超過の有無を判定し(S27)、速度超過があった場合(S27でYES)、速度超過回数を更新する(S28)。速度超過がなかった場合(S27でNO)、制御部31は、ステップS28の処理を行わずに、後述するステップS29の処理を行う。
制御部31は、交差点付近で車両の加速後の減速又は減速後の加速(加減速の迷い)の有無を判定し(S29)、加減速の迷いがあった場合(S29でYES)、加減速の迷い回数を更新する(S30)。加減速の迷いがなかった場合(S29でNO)、制御部31は、ステップS30の処理を行わずに、後述するステップS31の処理を行う。
制御部31は、車両の赤信号での交差点進入の有無を判定し(S31)、赤信号での交差点進入があった場合(S31でYES)、赤信号での交差点進入回数を更新する(S32)。赤信号での交差点進入がなかった場合(S31でNO)、制御部31は、ステップS32の処理を行わずに、後述するステップS33の処理を行う。
制御部31は、停止位置超過の有無を判定し(S33)、停止位置超過があった場合(S33でYES)、停止位置超過回数を更新する(S34)。停止位置超過がなかった場合(S33でNO)、制御部31は、ステップS34の処理を行わずに、後述するステップS35の処理を行う。
制御部31は、交差点付近で車両の加速又は減速の遅れの有無を判定し(S35)、加速又は減速の遅れがあった場合(S35でYES)、加速又は減速の遅れ回数を更新する(S36)。加速又は減速の遅れがなかった場合(S35でNO)、制御部31は、ステップS36の処理を行わずに、後述するステップS37の処理を行う。
制御部31は、運転の評価に必要なデータ量を収集したか否かを判定し(S37)、評価に必要なデータ量が収集されていない場合(S37でNO)、ステップS11以降の処理を続ける。評価に必要なデータ量が収集された場合(S37でYES)、制御部31は、運転評価を行い(S38)、評価結果を車両の運転者に提供し(S39)、評価結果を管理センタ装置20へ送信し(S40)、処理を終了する。
自車両で運転評価を行わない場合(S19でNO)、制御部31は、車両が交差点を通過するまでの車両の走行情報(例えば、車両の停止線までの位置、停止位置、速度、加速度、減速度など)を記録し(S41)、車両が交差点を通過したか否かを判定する(S42)。車両が交差点を通過していない場合(S42でNO)、制御部31は、ステップS41の処理を続け、交差点を通過した場合(S42でYES)、車両の走行情報を管理センタ装置20へ送信し(S43)、処理を終了する。なお、制御部31は、車両の走行情報とともに信号機の信号情報を送信してもよく、あるいは、管理センタ装置20は、信号機の信号情報を光ビーコン10又は信号制御機(不図示)などから取得するようにしてもよい。
図16は本発明に係る運転評価システムの構成の他の例を示す模式図である。図16では、通信装置40を設けている。通信装置40は、例えば、無線LANなどの中域通信機能を備え、運転評価装置30との間で比較的広い通信領域Mを有し、光ビーコン10に代えて所定の情報を運転評価装置30へ送信する。所定の情報は、例えば、黄信号時間、黄信号開始時刻及び信号周期などの信号情報を含む。また、所定の情報には、停止線の位置情報(例えば、停止線までの距離、停止線の絶対位置など)、光ビーコン10の位置情報などを含めることもできる。なお、光ビーコン10は、車両の位置(例えば、停止線までの距離)を補正する装置として用いることができる。
通信装置40は、信号制御、交通情報収集、交通情報提供などの処理を行う装置などを利用することも可能である。また、通信装置40は、中域通信に限らず、FM放送、携帯電話、インターネット通信等の広域通信機能を備えた装置でもよい。なお、運転評価装置30の動作は、上述の例と同様であるので説明は省略する。
実施の形態2
実施の形態1では、車両に搭載した運転評価装置30で運転者の運転評価を行う構成であったが、運転評価は車載機だけで行う構成に限定されるものではなく、多数の車両から走行情報を受信し、地上の装置(例えば、管理センタ装置20)で運転評価をすることもできる。
図17は実施の形態2の管理センタ装置20の構成を示すブロック図である。管理センタ装置20は、装置全体を制御する制御部21、通信部22、記憶部23、状態判定部24、確率算出部25、運転評価部26などを備えている。管理センタ装置20で行う各種処理は、専用のハードウエア回路で構成してもよく、又は予め処理手順を定めたコンピュータプログラムを実行する構成であってもよい。
通信部22は、多数の車両から送信される車両走行情報(例えば、車両の停止線までの位置、停止位置、速度、加速度、減速度など)を受信し、車両毎に区分して受信した車両走行情報を記憶部23に記憶する。
状態判定部24は、図2の例の状態判定部35と同様の機能を有し、確率算出部25は、図2の例の確率算出部36と同様の機能を有し、運転評価部26は、図2の例の運転評価部37と同様の機能を有するので、説明は省略する。
次に、管理センタ装置20の動作について説明する。図18、図19及び図20は管理センタ装置20の処理手順を示すフローチャートである。制御部21は、車両から車両走行情報を受信したか否かを判定し(S51)、車両走行情報を受信していない場合(S51でNO)、ステップS51の処理を続ける。
車両走行情報を受信した場合(S51でYES)、制御部21は、車両IDを照合し(S52)、照合した車両IDの車両の評価データを呼び出して受信したデータに対する評価を行う。制御部21は、その車両の危険走行領域を算出し(S53)、車両が危険走行領域内に突入するか否かを判定する(S54)。車両が危険走行領域に突入する場合(S54でYES)、制御部21は、当該車両の危険走行領域突入回数を更新する(S55)。例えば、過去にその車両が危険走行領域に突入した回数がn回とすると、突入回数をn+1回とする。
制御部21は、交差点付近で車両の加速度超過の有無を判定し(S56)、加速度超過があった場合(S56でYES)、当該車両の加速度超過回数を更新する(S57)。加速度超過がなかった場合(S56でNO)、制御部21は、ステップS57の処理を行わずに、後述するステップS58の処理を行う。
制御部21は、交差点付近で車両の減速度超過の有無を判定し(S58)、減速度超過があった場合(S58でYES)、当該車両の減速度超過回数を更新する(S59)。減速度超過がなかった場合(S58でNO)、制御部21は、ステップS59の処理を行わずに、後述するステップS60の処理を行う。
制御部21は、交差点付近で車両の速度超過の有無を判定し(S60)、速度超過があった場合(S60でYES)、当該車両の速度超過回数を更新する(S61)。速度超過がなかった場合(S60でNO)、制御部21は、ステップS61の処理を行わずに、後述するステップS62の処理を行う。
制御部21は、交差点付近で車両の加速後の減速又は減速後の加速(加減速の迷い)の有無を判定し(S62)、加減速の迷いがあった場合(S62でYES)、当該車両の加減速の迷い回数を更新する(S63)。加減速の迷いがなかった場合(S62でNO)、制御部21は、ステップS63の処理を行わずに、後述するステップS64の処理を行う。
制御部21は、車両の赤信号での交差点進入の有無を判定し(S64)、赤信号での交差点進入があった場合(S64でYES)、当該車両の赤信号での交差点進入回数を更新する(S65)。赤信号での交差点進入がなかった場合(S64でNO)、制御部21は、ステップS65の処理を行わずに、後述するステップS66の処理を行う。
制御部21は、停止位置超過の有無を判定し(S66)、停止位置超過があった場合(S66でYES)、当該車両の停止位置超過回数を更新する(S67)。停止位置超過がなかった場合(S66でNO)、制御部21は、ステップS67の処理を行わずに、後述するステップS68の処理を行う。
制御部21は、交差点付近で車両の加速又は減速の遅れの有無を判定し(S68)、加速又は減速の遅れがあった場合(S68でYES)、当該車両の加速又は減速の遅れ回数を更新する(S69)。加速又は減速の遅れがなかった場合(S68でNO)、制御部21は、ステップS69の処理を行わずに、後述するステップS70の処理を行う。
制御部21は、当該車両の運転の評価に必要なデータ量を収集したか否かを判定し(S70)、評価に必要なデータ量が収集された場合(S70でYES)、当該車両の運転評価を行い(S71)、評価結果を記録する(S72)。
制御部21は、安全運転評価サービスの終了であるか否かを判定し(S73)、終了でない場合(S73でNO)、ステップS51以降の処理を続け、安全運転評価サービスの終了である場合(S73でYES)、処理を終了する。一方、当該車両の評価に必要なデータ量が収集されていない場合(S70でNO)、制御部21は、ステップS73の処理を行う。また、車両が危険走行領域に突入していない場合(S54でNO)、制御部21は、当該車両IDの交差点通過回数N1のカウントを更新した後、ステップS51以降の処理を行う。
上述の実施の形態では、交差点付近での車両の運転評価を行う構成であるが、これは以下のような理由である。すなわち、(1)運転者の運転特性は、交差点付近の走行方法に集約でき、交差点付近で安全走行を心がけている運転者は、交差点付近以外の他の道路でも、安全走行を心がけていると考えられる。(2)交差点付近では、走行時間が短縮できるわけではないのに信号機の表示に釣られて無意味な危険走行を無意識に行うことが多いため、本来は明らかに安全運転できる場所又は環境で安全運転をしているかどうかを正しく評価する必要がある。(3)交差点付近というように走行環境を限定しないと、危険事象の生起確率が薄まってしまい、安全運転をしているかどうかの判定が正確に行うことが困難である。(4)車両が走行する全道路で運転評価を行うとなると、取り扱うデータ量が膨大となり、処理時間が増大して現実的ではない。
以上説明したように、本発明にあっては、車両が交差点に向かって走行する場合に、車両の位置(例えば、交差点の停止線までの距離)と信号の切り替わりタイミングとの関係により危険な走行状態に陥ると予想されるときに限定して運転者の運転操作を評価することができ、危険な運転をする可能性が高い交差点付近の運転環境における運転評価を得られ、運転者の安全意識を高めるとともに、安全運転を実現するための情報提供を行うことが可能となる。
上述の実施の形態での運転評価内容(すなわち走行状況に関する事象)、評価方式(点数化など)は一例であって、これに限定されるものではない。例えば、危険走行と判定される事象に対しては減点するとともに、安全運転を行っていると評価できる事象に対しては加点して総合評価することもできる。
上述の実施の形態では、確率算出部で算出した確率の大小に基づいて、車両(運転者)の運転評価を行う構成であったが、これに限定されるものではなく、例えば、所定の距離を走行する間に車両が危険走行領域に突入する突入回数、車両の交差点付近の加速度超過、減速度超過、速度超過、加速後の減速若しくは減速後の加速等の運転動作(加減速の迷い)、赤信号での交差点進入、停止位置超過、加速若しくは減速の遅れなどの事象の回数に応じて運転評価を行う構成であってもよい。
上述の実施の形態において、車両が運転評価の対象交差点に向かって走行した場合、交差点で右折若しくは左折又は直進するかに応じて、運転評価の内容を変更することもできる。これは、交差点付近の走行車線に応じて、危険度合いが異なると考えられるからである。なお、直進だけを評価の対象とすることも可能である。
上述の実施の形態において、危険走行領域として、ジレンマ領域のみとしても良く、あるいは、オプション領域のみとしても良い。また、危険走行領域を広くするために式(1)〜式(3)を補正したりする等、本願の概念を損なわない範囲内で、種々、数式、定数等を追加又は変更して用いても良い。これにより一層安全性を高めることができる。
上述の実施の形態において、標準減速度g、ブレーキの遅れ時間などは、その車両を運転する運転者の特性により若干変化すると考えられるため、その車両の過去の走行データによる学習で取得したものを用いることができる。また、一般平均的な所定の値、安全を見越した余裕のある所定の値などを用いることもできる。
開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。