JP3685268B2 - α−アミラーゼ活性測定法および測定試薬組成物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明はβ−ガラクトシルマルトオリゴ糖を基質として用いるα−アミラーゼ活性測定方法および測定試薬組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、膵液や尿などの体液に含有されるα−アミラーゼの活性を測定することにより、各種疾患に診断が行われている。α−アミラーゼの活性測定法には、(1)Viscosimetric法、(2)Turbidimetric法、(3)Iosometric 法、(4)Saccharogenic法、(5)Chromogenic法、(6)Enzymatic法、(7)Radioimmunoassay 法などがあり、現在、これらの多くの方法が日常検査室で用いられている。その中で、多くの施設で実施されていた Chromogenic法では、さらに近年の検査室の自動化の進行や酵素活性測定法の標準化の進行により、基質の構造や生成物等が明確でないデンプン、デキストリン、アミロース、色素結合デンプンなどの基質を用いた測定法から、α−アミラーゼ活性のより理論的解析の容易な各種マルトオリゴ糖誘導体を用いる方法が開発され、各施設で用いられている。このように多くの測定法が用いられることにより、多種多様なアミラーゼ活性値の表現法が用いられてきた。そして、さらに新しい方法の開発により種々の活性値表現法が導入され、臨床現場において混乱を招いている(生物試料分析、Vol.17, No.2, 25〜44, 1984) 。
【0003】
このような問題を解消すべく、各施設間のアミラーゼ活性値表現法を統一する手段として、(イ)標準物質を用い、値づけする方法および(ロ)標準法の設定がある。しかし、これまで(イ)により施設間の測定値が収束し、改善されることが確認されているものの、(ロ)が実施されていないため、標準物質自体の値づけができない状態である。その標準法の設定は年々学会などで盛り上がりを増しており、現在いくつかの標準法の候補が上がりつつある。
【0004】
その有力な方法として、基質としてマルトペンタオースを用いるマルトペンタオース法がある。この方法には、マルトペンタオースが天然に存在するものであり、α−アミラーゼの作用様式をより純粋に反映し、感度、定量性とも良好であるという利点がある。この方法では、α−アミラーゼ含有試料にマルトペンタオースとα−グルコシダーゼとを作用させて、基質からグルコースを遊離させ、グルコースの量を測定することにより、α−アミラーゼの活性値を知ることができる。生成したグルコースは、例えばグルコースオキシダーゼ/パーオキシダーゼ/色素系を利用する定量法;グルコキナーゼまたはヘキソキナーゼ/グルコース−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ/NADHまたはNADPH系を利用する定量法などにより測定される。
【0005】
α−グルコシダーゼはマルトペンタオースなどの四糖以上のオリゴ糖に作用しにくく、マルトースやマルトトリオースなどの三糖以下のオリゴ糖に良好に作用するため、上記基質を使用してグルコースを測定することにより、α−アミラーゼの活性を測定することができる。しかし、α−グルコシダーゼはわずかではあるが基質であるマルトペンタオースに作用するため、測定のブランクが上昇し、その結果、測定値の誤差が大きくなるという欠点がある。そのため、α−グルコシダーゼと基質と一液化することにより、試薬としての安定性が損なわれるという問題点が挙げられる。
さらに、この測定系では内因性のマルトースなどの影響を受けるため、その除去に充分なα−グルコシダーゼが必要である。しかし試薬の安定性の観点から、充分量のα−グルコシダーゼが添加できず、結果としてマルトースの影響を受けるという問題点も挙げられる。
【0006】
この問題を解決する手段として、マルトオリゴ糖の非還元末端のグルコシル残基の4位の水酸基にβ−1,4結合でガラクトシル基が結合した新規なオリゴ糖を提供する方法(特開平4-279596号公報)がある。この方法により得られた新規なβ−ガラクトシルマルトオリゴ糖をα−アミラーゼの基質として用いることにより、追随酵素との一液化条件において、α−グルコシダーゼなどの追随酵素の作用を受けず、内因性のマルトースなどの消去に十分なα−グルコシダーゼが添加できるため、α−アミラーゼ活性を精度よく簡単な操作で測定することができることが予想される。
【0007】
しかしながら、測定対象となる血清および尿中にはβ−ガラクトシダーゼが存在する可能性を有する。具体的には、例えば、尿中には数ユニット(IU)存在することが知られている(東京化学同人発行、生化学データブック、第1606頁、1979年発行)。
したがって、血清および尿中にβ−ガラクトシダーゼが存在すると、β−ガラクトシルマルトオリゴ糖(特開平4-279596号公報) の非還元末端グルコースに修飾された基質のガラクトシル基のβ結合が加水分解され、ガラクトースとマルトオリゴ糖を生じる問題点がある。生じたマルトオリゴ糖は追随酵素であるα−グルコシダーゼの作用を受けることになり、測定のブランクを上昇させ、その結果、測定値の誤差が大きくなる。このことは非還元性末端グルコースをブロックし、上記追随酵素の作用から基質の分解を阻止するという本来の効果が消失することになる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記したα−アミラーゼ活性測定試薬の欠点を解決しようとするものであり、その目的とするところは、β−ガラクトシルマルトオリゴ糖を基質として用いるα−アミラーゼ活性測定方法において、血清や尿などの体液中のβ−ガラクトシダーゼの作用により基質が分解することを抑制し、アミラーゼ活性を精度よく簡単な操作で測定する方法および試薬組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、下記一般式(I)
【化6】
(式中、nは0〜4の整数を示す。)で表されるβ−ガラクトシルマルトオリゴ糖およびβ−ガラクトシダーゼ阻害剤を含む試薬に、試料中のα−アミラーゼを作用させ、遊離するグルコースを測定することを特徴とするα−アミラーゼ活性測定方法である。
【0010】
また本発明は、下記一般式(I)
【化7】
(式中、nは0〜4の整数を示す。)で表されるβ−ガラクトシルマルトオリゴ糖およびβ−ガラクトシダーゼ阻害剤を含有することを特徴とするα−アミラーゼ活性測定試薬組成物である。
【0011】
本発明にて使用するα−アミラーゼ測定基質は、上記一般式(I)(式中、nは0〜4の整数を示す。)で表されるβ−ガラクトシルマルトオリゴ糖である。
本発明のβ−ガラクトシルマルトオリゴ糖(I)の骨格となるマルトオリゴ糖は、2〜6個の糖〔式(I)のn=0〜4に相当〕から形成される。マルトオリゴ糖としては、マルトース、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオースがある。特にマルトテトラオースが好適である。マルトオリゴ糖の非還元性末端グルコースの修飾基であるガラクトースは、非還元性末端グルコースの4位の水酸基にβ型で結合している。
具体的な化合物としては、4−O−β−D−ガラクトピラノシルマルトース、4−O−β−D−ガラクトピラノシルマルトトリオース、4−O−β−D−ガラクトピラノシルマルトテトラオース、4−O−β−D−ガラクトピラノシルマルトペンタオースなどがある。
【0012】
このようなβ−ガラクトシルマルトオリゴ糖の製造法としては、マルトオリゴ糖とラクトースの混合液にβ−ガタクトシダーゼを作用させる方法(特開平4-279596号公報) などがある。
【0013】
本発明にて使用するβ−ガラクトシダーゼ阻害剤としては、例えばβ−D−チオガラクトシル誘導体、キレート剤、アミン類、ガラクトスタチンまたは1mM以上のカルシウムイオンが挙げられる。β−チオガラクトシド誘導体としては、例えばイソプロピルチオガラクトシドなどがある。またキレート剤としては、EDTA−2Na、EDTA−3Naなどがある。さらにアミン類としては、例えばエタノールアミン、メルカプチルアミンなどがある。カルシウムイオンの供給源としては、塩化カルシウム、酢酸カルシウムなどがある。これらは単独または複数の組み合わせで用いることができる。
【0014】
本発明のα−アミラーゼ活性測定用試薬組成物は、上記β−ガラクトシルマルトオリゴ糖(I)を基質として含有するものであり、通常、さらにα−グルコシダーゼおよび/またはグルコアミラーゼを含有し、生成したグルコースを測定する。グルコースを測定する方法としては、例えばグルコースオキシダーゼ/パーオキシダーゼ/色素系を利用する定量法、またはグルコキナーゼまたはヘキソキナーゼ/グルコース−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ/NADHまたはNADPH系を利用する定量法などによる酵素系(追随酵素系)がある。
【0015】
本発明に用いられるα−グルコシダーゼの起源は、特に限定されない。動物、植物、微生物などから得られるα−グルコシダーゼが利用され得る。特に、酵母起源、バチルス・ステアロサーモフィラス起源が好適に使用され得る。
【0016】
本発明に用いられるグルコアミラーゼの起源も特に限定されない。例えば、リゾブスデレマー(Rhiz.delemar)から得られるグルコアミラーゼが好適に使用され得る。
【0017】
本発明用いられるグルコキナーゼの起源も特に限定されない。例えば、動物、微生物などから得られるグルコキナーゼが利用され得る。特に、酵母起源、ザイモモナス・モビリス起源、バチルス・ステアロサーモフィラス起源が好適に使用され得る。
【0018】
本発明用いられるグルコース−6−ホスフェイトデヒドロゲナーゼの起源も特に限定されない。例えば、動物、植物、微生物などから得られるグルコース−6−ホスフェイトデヒドロゲナーゼが利用され得る。特に、ザイモモナス・モビリス起源、バチルス・ステアロサーモフィラス起源が好適に使用され得る。
【0019】
本発明のカルシウムイオンを除く各々の試薬濃度は特に限定されない。好ましくは、β−ガラクトシルマルトオリゴ糖1〜50mM、カルシウムイオンをのぞくβ−ガラクトシダーゼ阻害剤0.01mM〜200mM、カルシウムイオン1〜200mM、α−グルコシダーゼ1〜500u/ml、グルコアミラーゼ0.01〜100u/ml、グルコキナーゼ0.01〜20u/ml、グルコース−6−ホスフェイトデヒドロゲナーゼ0.01〜20u/ml、アデノシン−5−トリホスフェート0.1〜20mM、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)およびニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホスフェイト(NADPH) 0.1〜20mMが含有されれる。
本発明のα−アミラーゼ活性測定用試薬組成物は、必要に応じて、さらにその他の添加剤、例えば界面活性剤、塩化ナトリウムなどの塩類、蛋白結合防止剤、防腐剤などを含有するものである。
【0020】
本発明のα−アミラーゼ活性測定用試薬組成物の形状は、凍結乾燥物、非凍結乾燥物のいずれでも良く、限定されない。
【0021】
本発明の一実施態様は、上記一般式(I)で表されるβ−ガラクトシルマルトオリゴ糖およびβ−ガラクトシダーゼ阻害剤、α−グルコシダーゼおよび/またはグルコアミラーゼを含有するα−アミラーゼ活性測定試薬組成物である。
【0022】
さらに具体的な本発明のα−アミラーゼ活性測定試薬組成物としては、上記一般式(I)で表されるβ−ガラクトシルマルトオリゴ糖、(b)β−ガラクトシダーゼ阻害剤、(c)α−グルコシダーゼおよび/またはグルコアミラーゼ、(d)グルコキナーゼ、(e)グルコース−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ、(f)アデノシン−5−トリホスフェート、(g)ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドまたはニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホスフェイトを含有するものが例示される。
【0023】
本発明の別な実施態様は、上記一般式(I)で表されるβ−ガラクトシルマルトオリゴ糖、α−グルコシダーゼおよび/またはグルコアミラーゼおよびβ−ガラクトシダーゼ阻害剤を含む試薬に、試料中のα−アミラーゼを作用させ、生成するグルコースを測定してα−アミラーゼ活性を求めるα−アミラーゼ活性測定方法である。
【0024】
本発明のグルコースの測定系は特に限定されない。例えばグルコースオキシダーゼ/パーオキシダーゼ/色素系を利用する定量法、またはグルコキナーゼまたはヘキソキナーゼ/グルコース−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ/NADHまたはNADPH系を利用する定量法などによる酵素系(追随酵素系)などが利用され得る。特にグルコキナーゼ/グルコース−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ/NADHまたはNADPH系を利用する定量法が好適に利用され得る。
【0025】
本発明における基質分解の反応式を4−O−β−D−ガラクトピラノシルマルトテトラオースを例にあげて説明する。
(1)4−O−β−D−ガラクトピラノシルマルトテトラオースを基質とし、生成したグルコースをグルコキナーゼ/グルコース−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ/NADH系で測定する場合
【0026】
【0027】
ATP:アデノシン−5−トリホスフェート
ADP:アデノシン−5−ジホスフェート
NAD:ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド
NADH:還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド
【0028】
上記反応にて生成されるNADHの上昇を光学的に追跡することにより、α−アミラーゼ活性を求めることができる。
グルコースの測定方法としては、α−アミラーゼの反応を連続的に追跡するレート法および一定時間反応させた後、反応を止めて測定するエンドポイント法のいずれもが使用されうる。
【0029】
本発明方法における酵素反応時には、グルコアミラーゼはα−グルコシダーゼとほぼ同等の働きを有する。ただし、α−グルコシダーゼがマルトトリオース以下の低分子グリコシドにはよく作用するが、マルトテトラオース以上のグルコシドには作用しにくいのに対して、グルコアミラーゼはマルトテトラオース以上のグルコシドにも作用する。例えば基質としてマルトペンタオース以上の高分子グルコシドを用いると、α−アミラーゼの作用によりマルトテトラオース以上のグルコシドが生成することがある。このようなマルトテトラオース以上のグルコシドは、α−グルコシダーゼでは分解されにくいが、グルコアミラーゼを用いるとグルコース単位まで容易に分解される。そのためレート法においてはα−アミラーゼ活性を直接反映するまでの遅延時間の短縮、エンドポイント法においては感度が上昇するという利点があるので、α−グルコシダーゼおよびグルコアミラーゼを共存させて用いる追随酵素系は好適に利用される。
【0030】
本発明において、体液中のβ−ガラクトシダーゼ活性は以下の方法により測定する。
O−ニトロフェニル−β−ガラクトピラノシド(ONPG)を基質として、β−ガラクトシダーゼの作用より生成するO−ニトロフェノールの生成量を410nmの吸光度の変化で測定する。1分間に1マイクロモルのO−ニトロフェノールを生成する酵素量を1ユニット(IU)とする。
【0031】
β−ガラクトシダーゼの活性測定方法
1.試薬
0.1M リン酸緩衝液 pH7.3 (37℃)
3.36M メルカプトエタノール溶液
30mM MgCl2 溶液
0.34mM ONPG溶液(O−ニトロフェニル−β−D−ガラクトピラノシド)
【0032】
2.操作方法
下記反応混液をキュベットに調製し、37℃で約5分間予備加温する。
2.5ml 0.1Mリン酸緩衝液pH7.3
0.1ml メルカプトエタノール溶液
0.1ml MgCl2 溶液
0.1ml ONPG溶液
【0033】
酵素液を0.1ml添加し、速やかに混和後、水を対照に37℃に制御された分光光度計で410nmの吸光度変化を2〜3分間記録し、その初期直線部分から、1分間あたりの吸光度変化量を求める(△ODtest)。
盲検は、酵素液の代わりに、酵素希釈液(1.0mMのMgCl2 を含む50mMリン酸緩衝液pH7.3)を0.1mlを加え、上記同様に操作を行って1分間あたりの吸光度変化を求める(△ODblank)。
【0034】
3.計算式
【数1】
【0035】
3.5:O−ニトロフェノールの上記測定条件下でのミリモル分子吸光係数
(cm2/マイクロモル)
1.0:光路長(cm)
【0036】
【発明の効果】
本発明では、β−ガラクトシルマルトオリゴ糖を基質として用いるα−アミラーゼ活性測定方法において、βーガラクトシダーゼ阻害剤により、血清や尿などの体液中のβ−ガラクトシダーゼの作用による基質分解を抑制するため、アミラーゼ活性を精度よく簡単な操作で測定することができる。
【0037】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
実施例1
各種β−ガラクトシダーゼ阻害剤の検討
本発明のβ−ガラクトシダーゼ阻害剤(後記表1に記載)を含む、β−ガラクトシルマルトオリゴ糖を基質として用いた、下記組成Cからなるα−アミラーゼ活性測定試薬をそれぞれ調製した。
なお、比較例としてマルトペンタオースを基質として用いた試薬、およびβ−ガラクトシダーゼ阻害剤を含まない、β−ガラクトシルマルトオリゴ糖を基質として用いた試薬、それぞれ下記組成A、Bを調製した。
【0038】
試薬組成A(対照例):
50mMグッドバッファー(pH7.0)
α−グルコシダーゼ 180u/ml
グルコキナーゼ 2u/ml
グルコース−6−ホスフ
ェートデヒドロゲナーゼ 2u/ml
CaCl2 0.5mM
NaCl 20mM
酢酸マグネシウム 5mM
β−ニコチンアミドアデ
ニンジヌクレオチド(NAD) 1.2mM
アデノシン−5−トリホスフェート(ATP) 1.2mM
マルトペンタオース 10mM
【0039】
試薬組成B(比較例):
50mMグッドバッファー(pH7.0)
α−グルコシダーゼ 180u/ml
グルコキナーゼ 2u/ml
グルコース−6−ホスフ
ェートデヒドロゲナーゼ 2u/ml
CaCl2 0.5mM
NaCl 20mM
酢酸マグネシウム 5mM
β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD) 1.2mM
アデノシン−5−トリホスフェート(ATP) 1.2mM
4−O−β−D−ガラクトピラノシルマルトテトラオース 10mM
【0040】
試薬組成C(本発明):
50mMグッドバッファー(pH7.0)
α−グルコシダーゼ 180u/ml
グルコキナーゼ 2u/ml
グルコース−6−ホスフ
ェートデヒドロゲナーゼ 2u/ml
CaCl2 0.5mM
NaCl 20mM
酢酸マグネシウム 5mM
β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD) 1.2mM
アデノシン−5−トリホスフェート(ATP) 1.2mM
4−O−β−D−ガラクトピラノシルマルトテトラオース 10mM
β−ガラクトシダーゼ阻害剤(表1参照)
【0041】
【表1】
【0042】
試薬組成A、B、C(表1)に示された各試薬3.5mlに試薬ブランク用生理食塩水、市販管理血清に血清:大腸菌由来β−ガラクトシダーゼ(250IU/ml)=9:1で混合したサンプル1、その対照としてβ−ガラクトシダーゼの代わりに生理食塩水を添加したサンプル2をそれぞれ0.05ml添加し、37℃にて3分間放置したのち、340nmにおける吸光度の変化を測定した。測定結果は、非還元性末端グルコースがガラクトースで修飾されていないマルトオリゴ糖誘導体基質を用いたα−アミラーゼ測定法である、体外診断用医薬品ダイヤカラー・AMYネオレート(東洋紡績社製)で値づけされたヒューミラーゼコントロールで補正し、α−アミラーゼ活性(IU/l)を算出した。さらにその結果を表2に示した。
【0043】
【表2】
【0044】
表2から明らかな如く、本発明の試薬組成Cはβ−ガラクトシダーゼ阻害剤を添加することにより、サンプル1、2の測定値に差はなく、また試薬組成A(対照例)とも測定値に差がなかった。一方、試薬組成B(比較例)はβガラクトシダーゼの影響によりサンプル1の測定値が上昇している。このことから本発明がβ−ガラクトシダーゼの影響を回避し、正確にα−アミラーゼを測定することができることがわかる。
【0045】
実施例2
カルシウムイオンの検討
下記試薬組成Dに、β−ガラクトシダーゼ阻害剤として、CaCl2を終濃度で0、0.5、0.8、1、5、10mMで添加し、α−アミラーゼの活性測定法に対するβ−ガラクトシダーゼの影響度を測定した。サンプルとして人由来α−アミラーゼ(100u/ml):サンプル1、大腸菌由来β−ガラクトシダーゼ(25u/ml):サンプル2を用いた。
操作は、各試薬組成3.5mlにサンプル0.05mlを添加し、37℃において3分間放置したのち、340nmにおける吸光度の変化を測定した。
測定結果は、1分間あたりの吸光度変化量からα−アミラーゼの活性測定法に対するカルシウム濃度およびβ−ガラクトシダーゼの影響(△OD/min)を測定した。その結果を表3に示す。
【0046】
試薬組成D:
50mMグッドバッファー(pH7.0)
α−グルコシダーゼ 180u/ml
グルコキナーゼ 2u/ml
グルコース−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ 2u/ml
NaCl 20mM
酢酸マグネシウム 5mM
β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD) 1.2mM
アデノシン−5−トリホスフェート(ATP) 1.2mM
4−O−β−D−ガラクトピラノシルマルトテトラオース 10mM
CaCl2 0、0.5、0.8、1、5、10mM
【0047】
【表3】
表3から明らかな如く、カルシウムイオンの添加濃度を高くするのに従い、サンプル1(α−アミラーゼ)ではCaCl2 0.8mM以上あれば、測定値は変わらないが、サンプル2(β−ガラクトシダーゼ)ではCaCl2 1mM以上で測定値が低くなる。このことから、カルシウムイオン1mM以上でβ−ガラクトシダーゼの影響を回避する効果があることがわかる。
Claims (6)
- 生成したグルコースの測定を、グルコースオキシダーゼ/パーオキシダーゼ/色素系またはグルコキナーゼまたはヘキソキナーゼ/グルコース−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ/NADHまたはNADPH系で行う請求項1項記載のα−アミラーゼ活性測定方法。
- (a)下記一般式(I)
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JP05117695A JP3685268B2 (ja) | 1995-03-10 | 1995-03-10 | α−アミラーゼ活性測定法および測定試薬組成物 |
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