JP3627817B2 - α−アミラーゼ活性測定法およびその試薬組成物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、非還元性末端グルコースの4位または6位の水酸基をβ−ガラクトースで修飾したβ−ガラクトシルマルトオリゴ糖を基質として用いるアミラーゼ活性測定法及びその試薬組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から膵液や尿等の体液中に含有されるα−アミラーゼ活性を測定することにより、各種疾患の診断が行われている。この方法ではα−アミラーゼの活性測定法には、例えばマルトオリゴ糖(マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース等)を基質とする方法がある。この方法では、α−アミラーゼ含有試料に該マルトオリゴ糖とα−グルコシダーゼとを作用させて基質からグルコースを遊離させ、遊離するグルコース量の量を測定することにより、α−アミラーゼの活性を知ることができる。
【0003】
またマルトオリゴ糖誘導体として、還元性末端グルコースにフェニル基、ナフチル基または、それらの誘導体をアグリコンとして結合させた基質を用いる方法も提案されている。例えば基質としてp−ニトロフェニルマルトペンタオシド(特公昭57−53079号公報)、p−ニトロフェニルマルトヘキサオシド(特公昭57−53079号公報)、p−ニトロフェニルマルトヘプタオシド(特公昭62−50119号公報)、2,4−ジニトロマルトペンタオシド(特公昭59−13199号公報)等が利用されている。これらの基質を使用するとアグリコンが遊離し、遊離したアグリコン、例えばp−ニトロフェノールを光学的に測定することにより、α−アミラーゼの活性を測定することが出来る。
【0004】
上記方法では、α−グルコシダーゼの作用により、僅かではあるがブランク値が上昇し、その結果、測定値の誤差が大きくなるという欠点が生じ、α−グルコシダーゼと基質とを一液化することは難しいことであった。このような欠点を解消するために、マルトオリゴ糖の非還元性末端のグルコースの4位および/または6位の水酸基を修飾したタイプの基質が市販され利用されるようになった。
最近、上記合成糖より天然糖に近い形のα−アミラーゼの基質として、非還元性末端グルコースの4位または6位の水酸基がβ−ガラクトース修飾された、β−ガラクトシルマルトオリゴ糖誘導体が開発された(特開平3−264596号公報、特開平5−208989号公報など) 。
【0005】
このような基質としては、例えば、2−クロロ−4−ニトロフェニル 4−O−β−D−ガラクトピラノシル−β−マルトテトラオシドなどがある。この基質は、追随酵素(α−グルコダーゼ、β−グルコシダーゼ、グルコアミラーゼ等)の一液化条件において、α−グルコシダーゼの作用を受けず、またその合成が容易であり、水溶性に優れ、かつアミラーゼの作用様式をより純粋に反映するなど多くの利点がある。
通常、臨床診断の場においては血清および尿中のα−アミラーゼを測定し、疾患の有無を判断する。しかしながら、血清および尿中にはβ−ガラクトシダーゼが存在する可能性を有する。具体的に尿中には数ユニット(IU)存在することが知られている(東京化学同人発行、生化学データブック、第1606頁、1979年発行) 。
【0006】
したがって、尿中にβ−ガラクトシダーゼが存在すると、基質であるガラクトシルマルトオリゴ糖誘導体の非還元性末端グルコースに修飾されたガラクトシル基のβ結合を加水分解し、ガラクトースとマルトオリゴ糖誘導体を生じることになる。生じたマルトオリゴ糖誘導体は、追随酵素であるα−グルコシダーゼの作用を受けることになり、測定のブランク値を上昇させ、その結果、測定値の誤差が大きくなる。このことは非還元性末端グルコースをブロックし、上記追随酵素の作用から基質の分解を阻止するという本来の効果が消失することになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記非還元性末端グルコースがβ−ガラクトースで修飾されたβ−ガラクトシルマルトオリゴ糖を基質とするアミラーゼ測定方法において、血清や尿などの体液中のβ−ガラクトシダーゼの作用により基質が分解することを抑制し、アミラーゼ活性を正確に測定する方法および試薬を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は還元末端グルコースの1位の水酸基が色原体を結合し、非還元末端グルコースの4位または6位の水酸基がβ−ガラクトースで修飾されたβ−ガラクトシルマルトオリゴ糖、α−グルコシダーゼおよび/またはβ−グルコシダーゼおよびβ−ガラクトシダーゼ阻害剤を含む試薬を、試料中のα−アミラーゼに作用させ、生成する色原体を測定することを特徴とするα−アミラーゼ活性測定法である。
【0009】
また本発明は還元末端グルコースの1位の水酸基が色原体を結合し、非還元末端グルコースの4位または6位の水酸基がβ−ガラクトースで修飾されたβ−ガラクトシルマルトオリゴ糖、α−グルコシダーゼおよび/またはβ−グルコシダーゼおよびβ−ガラクトシダーゼ阻害剤を含むことを特徴とするα−アミラーゼ活性測定用試薬組成物である。
【0010】
本発明において使用する還元末端グルコースの1位の水酸基が色原体を結合し、非還元末端グルコースの4位または6位の水酸基がβ−ガラクトースで修飾されたβ−ガラクトシルマルトオリゴ糖とは、グルコース数が2〜7であるマルトオリゴ糖の還元末端グルコースの1位の水酸基に、α−グルコシダーゼ及びβ−グルコシダーゼの追随酵素により加水分解を受けると呈色する色原体をα−結合またはβ−結合し、非還元末端グルコースの4位または6位の水酸基がβ− ガラクトシル基で修飾されたものをいう。
【0011】
色原体としては、可視部に吸光度を有するものに限定されるものではなく、紫外部に吸光度を有するものや、蛍光測定あるいは発光測定が可能である化合物でもよい。可視部に吸光度を有する色原体としては、置換基としてニトロ基を有するフェノール類、例えば2−クロロ−4−ニトロフェノール、p−ニトロフェノール等がある。
紫外部に吸光度を有する色原体としては、アニリノ基、メチルアニリノ基、ヒドロキシアニリノ基、カルボキシフェニルアミノ基などがある。
蛍光測定が可能である化合物としては、2−ピリジルアミノ基、3−ピリジルアミノ基、ウンベリフェリル基などがある。
【0012】
本発明に使用する基質としては、下記式にて示される化合物が例示される。
【0013】
【化1】
(式中、R1 およびR2 のいずれか一方はβ−ガラクトピラノシル基を示し、他方は水素を示し、R3 はp−ニトロフェニル基またはハロゲン置換p−ニトロフェニル基を示し、nは0〜5の整数を示す。)
【0014】
還元末端グルコースの1位の水酸基が色原体をα−結合し、非還元末端グルコースの4位または6位の水酸基がβ−ガラクトースで修飾されたβ−ガラクトシルマルトオリゴ糖としては、4−ニトロフェニル 4−O−β−D−ガラクトピラノシル−α−マルトシド、4−ニトロフェニル 4−O−β−D−ガラクトピラノシル−α−マルトトリオシド、4−ニトロフェニル 4−O−β−D−ガラクトピラノシル−α−マルトテトラオシド、4−ニトロフェニル 4−O−β−D−ガラクトピラノシル−α−マルトペンタオシド、4−ニトロフェニル 6−O−β−D−ガラクトピラノシル−α−マルトテトラオシド、4−ニトロフェニル 6−O−β−D−ガラクトピラノシル−α−マルトペンタオシド、2−クロロ−4−ニトロフェニル 4−O−β−D−ガラクトピラノシル−α−テトラオシドまたは2−クロロ−4−ニトロフェニル 4−O−β−D−ガラクトピラノシル−α−マルトペンタオシド等がある。
【0015】
還元末端グルコースの1位の水酸基が色原体をβ−結合し、非還元末端グルコースの4位または6位の水酸基がβ−ガラクトースで修飾されたβ−ガラクトシルマルトオリゴ糖としては、2−クロロ−4−ニトロフェニル 4−O−β−D−ガラクトピラノシル−β−マルトシド、2−クロロ−4−ニトロフェニル 4−O−β−D−ガラクトピラノシル−β−マルトトリオシド、2−クロロ−4−ニトロフェニル 4−O−β−D−ガラクトピラノシル−β−マルトテトラオシドまたは2−クロロ−4−ニトロフェニル 4−O−β−D−ガラクトピラノシル−β−マルトペンタオシド、2−クロロ−4−ニトロフェニル 6−O−β−D−ガラクトピラノシル−β−マルトテトラオシドまたは2−クロロ−4−ニトロフェニル 6−O−β−D−ガラクトピラノシル−β−マルトペンタオシド、4−ニトロフェニル 4−O−β−D−ガラクトピラノシル−β−テトラオシドまたは4−ニトロフェニル 4−O−β−D−ガラクトピラノシル−β−マルトペンタオシド等が挙げられる。
このような化合物の製造法としては、特開平3−264596号公報、特開平5−208989号公報および特願平4−209277号明細書に記載された方法などがある。
【0016】
β−ガラクトシダーゼ阻害剤としては、例えばβ−D−チオガラクトシル類、キレート剤またはアミン類、または1mM以上のカルシウムイオン、ラクトース、ガラクトスタチンが挙げられる。β−チオガラクトシド誘導体としては、例えばイソプロピルチオガラクトシド、等がある。
またキレート剤としては、EDTA−2Na、EDTA−3Na等がある。
さらにアミン類としては、例えばエタノールアミン、メルカプチルアミン等がある。カルシウムイオンの供給源としては、塩化カルシウム、酢酸カルシウム等がある。
【0017】
本発明に用いるα−グルコシダーゼは、動物、植物または微生物などから得られるα−グルコシダーゼが利用でき、その起源を問わない。
【0018】
本発明において用いるβ−グルコシダーゼは、植物、微生物などから得られるβ−グルコシダーゼが利用でき、その起源を問わない。
【0019】
本発明のα−アミラーゼ活性測定用試薬組成物は、上記ガラクトシルマルトオリゴ糖、α−グルコシダーゼおよび/又はβ−グルコシダーゼおよびβ−ガラクトシダーゼ阻害剤を含有するものであり、緩衝液のほかに必要に応じてその他の添加物、例えば界面活性剤、塩化ナトリウム等の塩類、蛋白結合防止剤、防腐剤などを含有しても良い。
【0020】
還元末端グルコースの1位の水酸基が色原体をα−結合し、非還元末端グルコースの4位または6位の水酸基がβ−ガラクトースで修飾されたβ−ガラクトシルマルトオリゴ糖を基質とする場合、α−グルコシダーゼおよびβ−ガラクトシダーゼ阻害剤を含む。
【0021】
還元末端グルコースの1位の水酸基が色原体をβ−結合し、非還元末端グルコースの4位または6位の水酸基がβ−ガラクトースで修飾されたβ−ガラクトシルマルトオリゴ糖であって、グルコース数が2または3のものを基質とする場合、β−グルコシダーゼおよびβ−ガラクトシダーゼ阻害剤を含む。
【0022】
還元末端グルコースの1位の水酸基が色原体をβ−結合し、非還元末端グルコースの4位または6位の水酸基がβ−ガラクトースで修飾されたβ−ガラクトシルマルトオリゴ糖であって、グルコース数が4〜7のものを基質とする場合、α−グルコシダーゼ、β−グルコシダーゼおよびβ−ガラクトシダーゼ阻害剤を含む。
【0023】
本発明のα−アミラーゼ活性測定用試薬組成物を用いたα−アミラーゼ活性の測定は、還元末端グルコースの1位の水酸基が色原体を結合し、非還元末端グルコースの4位または6位の水酸基がβ−ガラクトースで修飾されたβ−ガラクトシルマルトオリゴ糖、α−グルコシダーゼおよび/またはβ−グルコシダーゼおよびβ−ガラクトシダーゼ阻害剤を含む試薬を、試料中のα−アミラーゼに作用させ、生成する色原体を測定する。生成された色原体は常法に従って測定する。例えば可視部に吸光度を有する化合物であれば、吸光度計により吸光度変化を測定する。
【0024】
本発明において、体液中のβ−ガラクトシダーゼ活性は以下の方法により測定する。
o−ニトロフェニル−β−ガラクトピラノシド(ONPG)を基質として、β−ガラクトシダーゼの作用より生成するo−ニトロフェノールの生成量を410nmの吸光度の変化で測定する。1分間の1マイクロモルのo−ニトロフェノールを生成する酵素量を1ユニット(IU)とする。
【0025】
β−ガラクトシダーゼの活性測定方法
1.試薬
0.1M リン酸緩衝液 pH7.3 (37℃)
3.36M メルカプトエタノール溶液
30mM MgCl2 溶液
0.34mM ONPG溶液(o−ニトロフェニル−β−D−ガラクトピラノシド)
2.操作方法
下記反応混液をキュベットに調製し、37℃で約5分予備加温する。
2.5ml 0.1Mリン酸緩衝液pH7.3
0.1ml メルカプトエタノール溶液
0.1ml MgCl2 溶液
0.1ml ONPG溶液
酵素液を0.1ml添加し、緩やかに混和後、水を対照に37℃に制御された分光光度計で410nmの吸光度変化を2〜3分間記録し、その初期直線部分から、1分間あたりの吸光度変化量を求める。(△ODtest)
盲検は、酵素液の代わりに酵素希釈液(1.0mMのMgCl2 を含む50mMリン酸緩衝液pH7.3)を0.1mlを加え、上記同様に操作を行って1分あたりの吸光度変化を求める。(△ODblank)
【0026】
3.計算式
【数1】
3.5 :o−ニトロフェノールの上記測定条件下でのミリモル分子吸光係数 (cm2/micromole)
1.0 :光路長(cm)
【0027】
【実施例】
次に実施例および比較例により本発明を更に詳細に説明する。
参考例1
非還元末端グルコースをガラクトースで修飾し基質を使用するα−アミラーゼの活性測定法へのβ−ガラクトシダーゼの影響
2.サンプル
大腸菌由来β−ガラクトシダーゼを0IU/ml、10IU/ml、20IU/ml、100IU/ml、200IU/mlになるように蒸留水で調製した。
3.検討方法
上記試薬3mlにサンプル0.25mlを添加し、37℃において3分間放置した後、405nmにおける吸光度の変化を測定し、1分間あたりの吸光度変化量からα−アミラーゼの活性測定法に対するβ−ガラクトシダーゼの影響(△OD/min)を測定した。その結果を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
β−ガラクトシダーゼ活性が高くなるのにつれて、測定値(△OD/min)が上昇し、α−アミラーゼの活性測定法に対する影響度が大きくなっていることが表1から明らかである。
【0030】
実施例1
イソプロピルチオガラクトシドの効果の検討(その1)
参考例1の試薬に、イソプロピルチオガラクトシドを各種濃度添加し、α−アミラーゼの活性測定法に対するβ−ガラクトシダーゼの影響度を測定した。サンプルとして大腸菌由来β−ガラクトシダーゼ25IU/mlを用い、比較例1に記載した検定方法に基づき検討を実施した。なお、結果を表2に示す。
【0031】
【表2】
【0032】
イソプロピルチオガラクトシドの添加濃度を高くするのに従い、測定値は低くなりα−アミラーゼの活性測定法に対するβ−ガラクトシダーゼの影響は回避されていることが表2から明らかである。。
【0033】
実施例2
各種β−ガラクトシダーゼ阻害剤の効果の検討
参考例1の試薬に、各種β−ガラクトシダーゼ阻害剤を各種濃度添加し、α−アミラーゼの活性測定法に対するβ−ガラクトシダーゼの影響度を測定した。サンプルとして大腸菌由来β−ガラクトシダーゼ25IU/mlを用い、比較例1に記載した検定方法に基づき検討を実施した。なお、結果を表3に示す。
【0034】
【表3】
【0035】
β−ガラクトシダーゼ阻害剤を添加することにより、測定値は低下しα−アミラーゼ活性測定法に対するβ−ガラクトシダーゼの影響は、回避されていることが表3から明らかである。
【0036】
参考例2
尿中のβ−ガラクトシダーゼ活性の測定
健常者20名の尿中のβ−ガラクトシダーゼ活性を上記方法により測定した。結果を表4に示す。
【0037】
【表4】
【0038】
健常者20名の尿中のβ−ガラクトシダーゼ活性は、0〜6IU/l程度含まれていることがわかった。各種疾患では、高値のβ−ガラクトシダーゼ含有尿検体が存在する可能性は否定できない。
【0039】
実施例3
イソプロピルチオガラクトシドの効果の検討(その2)
健常者2名の尿に大腸菌由来β−ガラクトシダーゼを10IU/mlとなるように添加したサンプルを調製し、尿中α−アミラーゼ活性を参考例1で記載した方法により測定した。また、終濃度5mMのイソプロピルチオガラクトシドを添加した試薬でも上記β−ガラクトシダーゼを添加した尿サンプル中のα−アミラーゼ活性を測定し、両者の測定値を比較した。また、非還元末端グルコースがガラクトースで修飾されていないマルトオリゴ糖誘導体基質を用いたα−アミラーゼ測定法である、体外診断用医薬品ダイヤカラー・AMYネオレート(東洋紡績社製)を対照試薬として用いて同時に尿サンプル中のα−アミラーゼ活性を測定した。
α−アミラーゼ活性は、キャリブザイムP(国際試薬社製)のα−アミラーゼ活性表示値をもとに各試薬での測定値を補正して、α−アミラーゼ活性値とした。結果を表5に示す。
【0040】
【表5】
【0041】
イソプロピルチオガラクトシドを添加しない試薬(比較例)では、α−アミラーゼ活性測定値が、約7IU/L程度高く測定されている。
【0042】
実施例4
カルシウムイオンの効果の検討(その1)
参考例1の試薬に、CaCl2 を各種濃度添加し、α−アミラーゼの活性測定法に対するβ−ガラクトシダーゼの影響度を測定した。サンプルとして大腸菌由来β−ガラクトシダーゼ25IU/mlを用い、比較例1に記載した検定方法に基づき検討を実施した。なお、結果を表6に示す。
【0043】
【表6】
【0044】
カルシウムイオンの添加濃度を高くするのに従い、測定値は低くなりα−アミラーゼの活性測定法に対するβ−ガラクトシダーゼの影響は回避されていることが表6 から明らかである。またカルシウムイオン0.5mM 以下では影響を回避する効果がなく、1mM 以上でβ−ガラクトシダーゼの影響を回避する効果があることがわかる。
【0045】
実施例5
カルシウムイオンの効果の検討(その2)
健常者2名の尿に大腸菌由来β−ガラクトシダーゼを10IU/mlとなるように添加したサンプルを調製し、尿中α−アミラーゼ活性を参考例1で記載した方法により測定した。また、終濃度5mMのCaCl2 を添加した試薬でも上記β−ガラクトシダーゼを添加した尿サンプル中のα−アミラーゼ活性を測定し、両者の測定値を比較した。また、非還元末端グルコースがガラクトースで修飾されていないマルトオリゴ糖誘導体基質を用いたα−アミラーゼ測定法である、体外診断用医薬品ダイヤカラー・AMYネオレート(東洋紡績社製)を対照試薬として用いて同時に尿サンプル中のα−アミラーゼ活性を測定した。
α−アミラーゼ活性は、キャリブザイムP(国際試薬社製)のα−アミラーゼ活性表示値をもとに各試薬での測定値を補正して、α−アミラーゼ活性値とした。結果を表7に示す。
【0046】
【表7】
【0047】
CaCl 2 を添加しない試薬(比較例)では、α−アミラーゼ活性測定値が、約7IU/L程度高く測定されている。
【0048】
上記試薬組成にさらにCaCl 2 を下表にように各種濃度添加したのち、3mlをとり、サンプルを0.25ml添加して、37℃において3分間放置した後、405nmにおける吸光度の変化を測定し、1分間当たりの吸光度変化量からα−アミラーゼの活性を測定した。その結果を表8に示す。
【0049】
【表8】
【0050】
カルシウムイオンの添加濃度を高くするに従い、CaCl 2 0.8mM以上では測定値が変わらず、α−アミラーゼの活性測定法それ自体へのカルシウムイオンの影響はないことが確認された。
【0051】
【発明の効果】
本発明の非還元末端グルコースをβ−ガラクトースで修飾したβ−ガラクトシルマルトオリゴ糖を基質として測定するアミラーゼ活性測定法では、β−ガラクトシダーゼ阻害剤を使用することにより、試料中のβ−ガラクトシダーゼによるガラクトシルマルトオリゴ糖の分解を阻止し、正確に試料中のα−アミラーゼ活性測定方法を提供できる。
さらに本発明では上記利点を有するα−アミラーゼ活性測定試薬組成物を提供できる。
Claims (5)
- 4−ニトロフェニル 4−O−β−D−ガラクトピラノシル−α−マルトシド、4−ニトロフェニル 4−O−β−D−ガラクトピラノシル−α−マルトトリオシド、2−クロロ−4−ニトロフェニル 4−O−β−D−ガラクトピラノシル−β−マルトシド、2−クロロ−4−ニトロフェニル 4−O−β−D−ガラクトピラノシル−β−マルトトリオシド、より選択されるβ−ガラクトシルマルトオリゴ糖、α−グルコシダーゼおよび/またはβ−グルコシダーゼおよび、β−D−チオガラクトシル類、キレート剤、アミン類、1mM以上10mM以下のカルシウムイオン、ラクトース、ガラクトスタイン、より選択されるβ−ガラクトシダーゼ阻害剤を含む試薬を、試料中のα−アミラーゼに作用させ、生成する色原体を測定することを特徴とするα−アミラーゼ活性測定法。
- 4−ニトロフェニル 4−O−β−D−ガラクトピラノシル−α−マルトシド、4−ニトロフェニル 4−O−β−D−ガラクトピラノシル−α−マルトトリオシド、2−クロロ−4−ニトロフェニル 4−O−β−D−ガラクトピラノシル−β−マルトシド、2−クロロ−4−ニトロフェニル 4−O−β−D−ガラクトピラノシル−β−マルトトリオシド、より選択されるβ−ガラクトシルマルトオリゴ糖、α−グルコシダーゼおよび/またはβ−グルコシダーゼおよび、β−D−チオガラクトシル類、キレート剤、アミン類、1mM以上10mM以下のカルシウムイオン、ラクトース、ガラクトスタイン、より選択されるβ−ガラクトシダーゼ阻害剤を含むことを特徴とするα−アミラーゼ活性測定用試薬組成物。
- 4−ニトロフェニル 4−O−β−D−ガラクトピラノシル−α−マルトシド、4−ニトロフェニル 4−O−β−D−ガラクトピラノシル−α−マルトトリオシド、α−グルコシダーゼおよび、β−D−チオガラクトシル類、キレート剤、アミン類、1mM以上10mM以下のカルシウムイオン、ラクトース、ガラクトスタイン、より選択されるβ−ガラクトシダーゼ阻害剤を含むことを特徴とする請求項2記載のα−アミラーゼ活性測定用試薬組成物。
- 2−クロロ−4−ニトロフェニル 4−O−β−D−ガラクトピラノシル−β−マルトシド、2−クロロ−4−ニトロフェニル 4−O−β−D−ガラクトピラノシル−β−マルトトリオシド、β−グルコシダーゼおよび、β−D−チオガラクトシル類、キレート剤、アミン類、1mM以上10mM以下のカルシウムイオン、ラクトース、ガラクトスタイン、より選択されるβ−ガラクトシダーゼ阻害剤を含むことを特徴とする請求項2記載α−のアミラーゼ活性測定用試薬組成物。
- 2−クロロ−4−ニトロフェニル 4−O−β−D−ガラクトピラノシル−β−マルトシド、2−クロロ−4−ニトロフェニル 4−O−β−D−ガラクトピラノシル−β−マルトトリオシド、α−グルコシダーゼ、β−グルコシダーゼおよび、β−D−チオガラクトシル類、キレート剤、アミン類、1mM以上10mM以下のカルシウムイオン、ラクトース、ガラクトスタイン、より選択されるβ−ガラクトシダーゼ阻害剤を含むことを特徴とする請求項2記載のα−アミラーゼ活性測定用試薬組成物。
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JPH07135998A (ja) | 1995-05-30 |
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