JP3682333B2 - 車両のロール制御装置 - Google Patents

車両のロール制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP3682333B2
JP3682333B2 JP02044196A JP2044196A JP3682333B2 JP 3682333 B2 JP3682333 B2 JP 3682333B2 JP 02044196 A JP02044196 A JP 02044196A JP 2044196 A JP2044196 A JP 2044196A JP 3682333 B2 JP3682333 B2 JP 3682333B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
valve
roll
actuator
differential pressure
vehicle
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP02044196A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH09188120A (ja
Inventor
洋 松本
信吾 服部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
KYB Corp
Original Assignee
KYB Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by KYB Corp filed Critical KYB Corp
Priority to JP02044196A priority Critical patent/JP3682333B2/ja
Publication of JPH09188120A publication Critical patent/JPH09188120A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3682333B2 publication Critical patent/JP3682333B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60GVEHICLE SUSPENSION ARRANGEMENTS
    • B60G21/00Interconnection systems for two or more resiliently-suspended wheels, e.g. for stabilising a vehicle body with respect to acceleration, deceleration or centrifugal forces
    • B60G21/02Interconnection systems for two or more resiliently-suspended wheels, e.g. for stabilising a vehicle body with respect to acceleration, deceleration or centrifugal forces permanently interconnected
    • B60G21/04Interconnection systems for two or more resiliently-suspended wheels, e.g. for stabilising a vehicle body with respect to acceleration, deceleration or centrifugal forces permanently interconnected mechanically
    • B60G21/05Interconnection systems for two or more resiliently-suspended wheels, e.g. for stabilising a vehicle body with respect to acceleration, deceleration or centrifugal forces permanently interconnected mechanically between wheels on the same axle but on different sides of the vehicle, i.e. the left and right wheel suspensions being interconnected
    • B60G21/055Stabiliser bars
    • B60G21/0551Mounting means therefor
    • B60G21/0553Mounting means therefor adjustable
    • B60G21/0555Mounting means therefor adjustable including an actuator inducing vehicle roll
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60GVEHICLE SUSPENSION ARRANGEMENTS
    • B60G2202/00Indexing codes relating to the type of spring, damper or actuator
    • B60G2202/10Type of spring
    • B60G2202/13Torsion spring
    • B60G2202/135Stabiliser bar and/or tube
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60GVEHICLE SUSPENSION ARRANGEMENTS
    • B60G2202/00Indexing codes relating to the type of spring, damper or actuator
    • B60G2202/40Type of actuator
    • B60G2202/42Electric actuator

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車等の車両の走行時において、横加速度の発生により車体に生じるロール運動を当該横加速度の方向と大きさに応じてスタビライザーの捩り剛性力を制御しつつ抑制する車両のロール制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の形式の車両用ロール制御装置としては、例えば、特許出願人が先に提案した平成7年特許出願公開第40731号公報にみられるような油圧可変型のロール制御装置が知られている。
【0003】
すなわち、このものは、前後輪における各左右の車輪のサスペンションアームを連結するスタビライザーをそれぞれトーションバーの中央部分で二分割し、これら二分割した部分の一方を各スタビライザーの剛性力可変用油圧式ロータリアクチュエータ(以下、単にアクチュエータという)のハウジング側に、また、他方をロータ側にそれぞれ固定している。
【0004】
前後輪側における両アクチュエータの各対応する作動油室は、それぞれ給排流路によって相互に連通されており、かつ、これらの給排流路から枝分れした給排流路が直列に配設したフェールセーフバルブと差圧制御バルブを通して油圧源に連通されている。
【0005】
また、差圧制御バルブとフェールセーフバルブの各切り換え用電磁ソレノイドは、車体側に発生した横加速度の方向と大きさに対応して車体横加速度信号を出力する制御装置へと結ばれている。
【0006】
上記制御装置は、車両の走行中において車体に横加速度が作用したときに当該横加速度の方向と大きさを車体横加速度信号として検出し、この車体横加速度信号でフェールセーフバルブをノーマル位置からオフセット位置に切り換えると共に、車体横加速度信号の方向と大きさに対応して差圧制御バルブを切り換え制御するようにしてある。
【0007】
一方、フェールセーフバルブは、ノーマル位置にあるときに差圧制御バルブを通して油圧源をアンロードしつつ、かつ、前後輪側のアクチュエータをブロックし、オフセット位置では、油圧源をオンロードして差圧制御バルブと各アクチュエータを相互に連通し、これらアクチュエータを作動状態に切り換える。
【0008】
差圧制御バルブは、車体横加速度信号である制御信号電流が基準電流のときに中立位置を保持して差圧ゼロの状態を保つと共に、基準電流からのプラスおよびナイナス側への変化とこれら制御信号電流の電流値変化に対応して所定の方向に所定の量だけ切り換え動作して差圧制御を行う。
【0009】
かくして、車体に横加速度が作用したときにフェールセーフバルブがオフセット位置に切り換わって油圧源をオンロード状態にすると共に、車体に作用した横加速度の方向と大きさに対応して差圧制御バルブが前後輪用のスタビライザーの剛性力可変用アクチュエータの両作動油室に加わる差圧を並行して制御する。
【0010】
このことから、車両の走行状態への操作(自動車であればイグニッションのオン操作)と連動して制御装置をオンにし、このとき制御装置が差圧制御バルブに制御信号電流として基準電流を流すようにしておく。
【0011】
これにより、直進走行時のように車体に横加速度が作用しないときには、制御装置が基準電流により差圧制御バルブを差圧ゼロの状態である中立位置に保ったまま、フェールセーフバルブへの通電を断って当該フェールセーフバルブをノーマル位置に保持し、当該フェールセーフバルブを通して油圧源をアンロードすることで省エネルギーを図る。
【0012】
また、これと同時に、フェールセーフバルブが前後輪用のスタビライザーに設けたアクチュエータをブロックし、前後輪用のスタビライザーを通常のスタビライザーとして作用させることになる。
【0013】
それに対して、車両が旋回走行(コーナリング)に入って車体に横加速度が作用するようになると、制御装置で検出した車体横加速度信号に基づいてフェールセーフバルブに通電が行われ、フェールセーフバルブをオフセット位置に切り換えて油圧源をオンロード状態にすると共に、差圧制御バルブを各アクチュエータへと連通する。
【0014】
そして、これと併せて、制御装置が当該横加速度の方向と大きさに対応して基準電流からプラスまたはマイナス側にずれた制御信号電流を発生する。
【0015】
この制御信号電流により差圧制御バルブを車体に作用した横加速度の方向と大きさに対応して所定の方向に所定の量だけ切り換え動作し、これら差圧制御バルブで発生する差圧を制御して前後輪用のスタビライザーに設けた各アクチュエータに並行して加える。
【0016】
その結果、前後輪用のアクチュエータが車体横加速度の方向と大きさに対応した方向の回転力を発生し、これら回転力により前後輪用のスタビライザーに捩り剛性力を付加しつつ、当該スタビライザーを通してそのとき遠心力で車体に作用するロールモーメントと対抗する反対方向のロールモーメントを車体に加え、当該車体に生じるロール運動を効果的に抑制する。
【0017】
次いで、車両が旋回走行を終えて直進走行に入ると、制御装置からの制御信号電流が再び基準電流になって差圧制御バルブが中立位置を保持し、かつ、車体横加速度信号もなくなってフェールセーフバルブがノーマル位置をとる。
【0018】
これにより、フェールセーフバルブが、前後輪用のアクチュエータをそれぞれブロックして前後輪用のスタビライザーを通常の作用状態に戻すと共に、油圧源をもアンロードして制御装置はオン操作したときの元の状態に戻る。
【0019】
一方、車体に横加速度が作用していない状態で車両が走行しているとき(例えば、直進走行時)に、制御装置の基準電流がゼロになるような異常事態が発生したときには、差圧制御バルブが前後輪用のアクチュエータの回転力を最大に制御する差圧最大位置(制御装置をオン操作する前の位置)へと切り換わる。
【0020】
そのために、前後輪用のアクチュエータに加わる差圧が最大制御値となり、前後輪用のスタビライザーを通して車体を一方側に大きく傾けようとするが、しかし、このときには、制御装置から出力される車体横加速度信号もなくなっているのでフェールセーフバルブがノーマル位置に戻っている。
【0021】
したがって、前後輪側のアクチュエータがフェールセーフバルブによって共にブロックされ、前後輪におけるスタビライザーを通常の作用状態の下で動作させつつ車体のロールを抑制してフェールセーフを行うと同時に、フェールセーフバルブで油圧源をアンロードして省エネルギーをも果すことになる。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、上記した従来の車両のロール制御装置にあっては、車体に生じた横加速度を制御装置で検出して差圧制御バルブを切り換え制御しつつ当該差圧制御バルブで横加速度に応じた差圧を発生する。
【0023】
そして、この差圧を前後輪用のスタビライザーの剛性力可変用アクチュエータに加えつつ、当該スタビライザーを通して車体のロール運動を抑制するようにしている。
【0024】
この点において、上記した従来の車両のロール制御装置は、旋回走行時に遠心力で車体が横方向へと傾くのを前後輪側でそれぞれ適切に抑え、設計上でのタイヤのもつ能力を最大限に保って旋回走行時の安全性を確保するという点で極めて有効な手段であると言うことができる。
【0025】
しかし、その反面、上記した従来の車両のロール制御装置にあっては、前後輪側のアクチュエータとして同じサイズのものを用いたとすると、これらアクチュエータの受圧面積は、前後輪側でそれぞれ等しくなる。
【0026】
しかも、旋回走行時において、当該前後輪側のアクチュエータには同じ差圧が作用することから、これらアクチュエータを通して前後輪用のスタビライザーに加わる付加剛性力が常に等しい値をもって増減することになる。
【0027】
したがって、この点を含めて従来の車両のロール制御装置みた場合には必ずしも最良のものとは言えない。
【0028】
何となれば、走行安定性を考慮する通常の車両にあっては、前後輪用のスタビライザーのロール剛性配分を前輪側で大きくしてステアリング特性をアンダステアリングにセッティングしている。
【0029】
また、操縦性を重視するスポーツ仕様の車両では、当該ロール剛性配分を前後輪側でほぼ同じか逆に前輪側を大きくしてニュートラルステアリング或いは弱アンダステアリングになるようにセッティングしている。
【0030】
しかも、ロール制御時での前後輪用のスタビライザーによるロール剛性は、スタビライザー単体のロール剛性にそれぞれのアクチュエータが発生する付加剛性力の増加分を加えたものとなる。
【0031】
その結果、上記したように前後輪側のアクチュエータとして同じサイズのものを用い、かつ、これらアクチュエータによる前後輪用のスタビライザーへの付加剛性力が等しい値をもって増減する従来の車両のロール制御装置にあっては、予め車両にセッティングしたロール剛性配分が車体に生じた横加速度の増減に伴って大きく変化し、車両としての走行安定性或いは操縦性を損なうことになるという不都合を有していた。
【0032】
したがって、この発明の目的は、ロール制御時にあっても前後輪用のスタビライザーのロール剛性配分比が大きく変化することなく、当該ロール剛性配分比を予め車両にセッティングされたステアリング特性に等しく或いはそれに近い値に保持して、車両としての走行安定性と操縦性を確保することのできる油圧可変型の車両用ロール制御装置を提供することである。
【0033】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成する為、本発明の一つの手段は、油圧源と前後輪用のスタビライザーの剛性力可変用アクチュエータとを結ぶ油圧回路の途中にフェールセーフバルブと差圧制御バルブとを設け、制御装置からの車体横加速度信号によってフェールセーフバルブと差圧制御バルブを切換制御しつつ当該差圧制御バルブで上記アクチュエータに加える差圧を制御して車体のロール運動を抑制するようにした油圧可変型のロール制御装置において、上記前後輪用のスタビライザーの一方の剛性力可変用アクチュエータに通じる各給排流路の途中に定比型の減圧バルブと作動油の供給流れを止めるチェックバルブとをそれぞれ並列にして介装し、更に各減圧バルブと剛性力可変用アクチュエータの各作動油室との間にこれら作動油室を相互に流動抵抗素子を通して連通するバイパス流路を設けたたことを特徴とする。
同じく他の手段は、油圧源と前後輪用のスタビライザーの剛性力可変用アクチュエータとを結ぶ油圧回路の途中にフェールセーフバルブと差圧制御バルブとを設け、制御装置からの車体横加速度信号によってフェールセーフバルブと差圧制御バルブを切換制御しつつ当該差圧制御バルブで上記アクチュエータに加える差圧を制御して車体のロール運動を抑制するようにした油圧可変型のロール制御装置において、上記前後輪用のスタビライザーの一方の剛性力可変用アクチュエータに通じる各給排流路の途中に定比型の減圧バルブと作動油の供給流れを止めるチェックバルブをそれぞれ並列にして介装する一方、他方の剛性力可変用アクチュエータに通じる各給排流路の途中には上記減圧バルブに対して減圧比率を異にする減圧バルブと作動油の供給流れを止めるチェックバルブとをそれぞれ並列にして介装し、更に各減圧バルブと剛性力可変用アクチュエータの各作動油室との間にこれら作動油室を相互に流動抵抗素子を通して連通するバイパス流路を設けたことを特徴とする。
上記各手段において、 減圧バルブの二次側パイロット室に通じるパイロット通路に減圧作用遅延用の流動抵抗素子を介装しても良い。
【0034】
すなわち、上記のように構成することによって、前後輪側のアクチュエータに通じる各給排流路に介装したチェックバルの働きで差圧制御バルブによる制御差圧の増加時または減少時に関係なく、差圧の供給が前後輪側のアクチュエータの一方または両方に対し減圧バルブを通して行われる。
【0035】
そのために、差圧制御バルブからの差圧を減圧バルブまたは減圧比を大きく設定した減圧バルブを通して受ける側のアクチュエータによる付加剛性力が他方の側のアクチュエータに作用する付加剛性力よりも低下する。
【0036】
このことから、上記減圧バルブの減圧比または減圧比の差を選択することで差圧制御バルブからの差圧の大小に関係なく、前後輪用のスタビライザーに対して前後輪側のアクチュエータが加える付加剛性力に差を与えて前後輪側でのトータルのロール剛性配分を等しく或いはそれに近くとることができる。
【0037】
かくして、ロール制御時において、前後輪用のスタビライザーのロール剛性配分が大きく変化することなく、当該ロール剛性配分を予め車両にセッティングされたステアリング特性に等しく或いはそれに近い値に保持して、車両としての走行安定性を確保することになる。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の態様について説明する。バイパス流路30と流動抵抗素子29を備えた本発明の一実施の形態が図7、図9に示されているが、これらの実施の形態に使用される基本的な油圧回路の実施の形態を図1、図5、図6に示す。そして、図1は、この発明による油圧可変型の車両用ロール制御装置の一実施の形態における油圧回路を系統図として示したものである。
【0039】
すなわち、前輪用のスタビライザー1fは、トーションバーの部分を中央で二分割し、この分割した部分の一方を前輪側におけるロータリ式のアクチュエータ2fのハウジング側に、また、他方をロータ側に固定して構成してある。
【0040】
同様に、後輪用のスタビライザー1rもまた、それをトーションバー部分の中央で二分割し、この分割した部分の一方を後輪側におけるロータリ式のアクチュエータ2rのハウジング側に、また、他方をロータ側に固定することによって構成してある。
【0041】
この実施の形態の場合、上記した前輪側のアクチュエータ2fと後輪側のアクチュエータ2rは、図2に示すように、内壁面に180度の間隔を保って構成した二つの隔壁3a,3bをもつハウジング4と、このハウジング4の内部に対して外周面に同じく180度の間隔を置いて構成した二枚のベーン5a,5bをもつロータ6を回動自在に納めて構成してある。
【0042】
ロータ6は、中心部分をハウジング4の内壁に設けた隔壁3a,3bの先端に摺接し、かつ、ベーン5a,5bの先端をハウジング4の内壁に摺接させることによって、ハウジング4内をロータ6で四つの作動油室7a,7b,8a,8bに区画している。
【0043】
これら四つの作動油室7a,7b,8a,8bのうち対角位置にある作動油室7aと7bおよび作動油室8aと8bは、ロータ6に穿った通孔9a,9bでそれぞれ互いに連通しており、かつ、ハウジング4には、作動油室7a,8aに開口するポート10,11が穿設してある。
【0044】
これにより、前後輪側のアクチュエータ2f,2rは、ポート10,11を通して作動油室7a,7bと作動油室8a,8b間に差圧を加え、この差圧の向きを変えることでそれぞれの前後輪用のスタビライザー1f,1rに対して所定の方向の捩り力(付加剛性力)を与えるようにしてある。
【0045】
かくして、前輪側のアクチュエータ2fは、前輪用のスタビライザー1fに対する剛性力可変用のアクチュエータとして作用すると共に、後輪側におけるアクチュエータ2rは、後輪用のスタビライザー1rに対する剛性力可変用アクチュエータとしてそれぞれ作用することになる。
【0046】
図1に戻って、前後輪側のアクチュエータ2f,2rにおけるそれぞれのポート10,11は、それらから延びる給排流路12a,12b,13a,13bのうち互に対応するもの同志を、すなわち、同じ方向のロール反力が働く給排流路12a,13aと給排流路12b,13b同志を一緒にして、個々に差圧制御バルブ14の出力側である制御ポートA,Bへと結んでいる。
【0047】
差圧制御バルブ14から後輪側のアクチュエータ2rの各ポート10,11に向う給排流路13a,13bには、出口側圧力を入口側圧力に対して所定の比率の下に減圧する定比型の減圧バルブ15aと作動油の排出側の流れのみを許容するチェックバルブ16をそれぞれ並列にして介装してある。
【0048】
上記差圧制御バルブ14の入力側である圧力ポートPと戻りポートRは、油圧回路17a,17bを通して油圧源18の油圧ポンプ19とリザーバ20にそれぞれ通じている。
【0049】
そして、これら油圧回路17a,17bの途中にスプリングオフセット式の電磁オン・オフバルブで構成したフェールセーフバルブ21を介装し、当該フェールセーフバルブ21で制御系の異常発時におけるフェールセーフ効果を果すようにしてある。
【0050】
なお、上記した差圧制御バルブ14とフェールセーフバルブ21および減圧バルブ15aとしては、従来から各種の油圧機器において広く一般に用いられているものをそのまま適用すればよく、それらの構成についてはよく知られていることであるのでここでは詳細な説明を省略する。
【0051】
また、この実施の形態にあっては、フェールセーフバルブ21を差圧制御バルブ14の上流側に位置して配置してあるが、逆に、差圧制御バルブ14の下流側にフェールセーフバルブ21を配置するようにしても何等差し支えはない。
【0052】
一方、上記と併せて、車体に生じた横加速度によりフェールセーフバルブ21をオフセット位置に切り換えると共に、差圧制御バルブ14を制御動作して前後輪側のアクチュエータ2f,2rにより前後輪用のスタビライザー1f,1rのそれぞれの捩り剛性力を制御するための制御装置22が配設してある。
【0053】
上記制御装置22は、車体に生じた横加速度の方向と大きさを車体横加速度信号として検知する横加速度検出器23(車体に設けた横加速度センサ)と、これら車体横加速度信号を処理して差圧制御バルブ14とフェールセーフバルブ21を制御動作するコントローラ24とからなっている。
【0054】
コントローラ24は、二つの出力端子25,26を備え、これらの各出力端子25,26を信号線27,28で差圧制御バルブ14の電磁ソレノイド14aとフェールセーフバルブ21の電磁ソレノイド21aに結び、当該制御装置22で差圧制御バルブ14とフェールセーフバルブ21とを切り換え制御するようにしてある。
【0055】
次に、図1のように構成したこの発明の実施の形態である車両のロール制御装置の作動について説明する。
【0056】
例えば、車両が直進走行をしているときのように車体に対するロール制御を必要としないときには、制御装置22における横加速度検出器23からの車体横加速度信号(検出信号)がないので、当該制御装置22は、先に述べた従来例と同様にコントローラ24の出力端子25からのみ基準電流を出力する。
【0057】
これによって、フェールセーフバルブ21が図1のノーマル位置を保持したまま、差圧制御バルブ14が図1の状態から制御差圧ゼロの中立位置へと切り換わる。
【0058】
そのために、油圧源18の油圧ポンプ19から吐出された作動油は、フェールセーフバルブ21により当該油圧源18のリザーバ20へとアンロードされて省エネルギーが図られる。
【0059】
また、フェールセーフバルブ21は、これと同時に、前後輪側のアクチュエータ2f,2rの各ポート10,11を給排流路12a,12b,13a,13bの部分でそれぞれブロックし、これら前後輪側のアクチュエータ2f,2rを剛体化して前後輪用のスタビライザー1f,1rを通常のスタビライザーとして作用させることになる。
【0060】
それに対して、車両が旋回走行に入って車体に横加速度が発生すると、制御装置22の横加速度検出器23が車体に作用した横加速度の方向と大きさとを検出し、これを車体横加速度信号としてコントローラ24に入力する。
【0061】
コントローラ24は、この車体横加速度信号に基いて出力端子26から信号線28を通してフェールセーフバルブ21の電磁ソレノイド21aに対し通電を行い、当該フェールセーフバルブ21を図1における下側のノーマル位置から上側のオフセット位置へと切り換える。
【0062】
これにより、油圧源18の油圧ポンプ19から吐出された圧力作動油が差圧制御バルブ14の圧力ポートPに送り込まれると共に、差圧制御バルブ14の戻りポートRは油圧源18のリザーバ20へと連通される。
【0063】
一方、コントローラ24は、横加速度検出器23からの車体横加速度信号に基いて車体の横加速度の方向と大きさに対応した制御信号電流を演算し、当該制御信号電流を出力端子25から次々と出力する。
【0064】
上記コントローラ24の出力端子25から出力された制御信号電流は、信号線27を通して差圧制御バルブ14の電磁ソレノイド14aに通電され、当該差圧制御バルブ14を車体に生じた横加速度の方向と大きさに対応して切り換え制御する。
【0065】
これにより、差圧制御バルブ14は、制御ポートA,B間における差圧を車体に生じた横加速度の方向と大きさに対応して制御しつつ当該制御ポートA,Bを通して出力し、当該差圧を給排流路12a,12b,13a,13bから前後輪側のアクチュエータ2f,2rの各ポート10,11に加える。
【0066】
そのために、前後輪側のアクチュエータ2f,2rは、これらの差圧によって以下のように動作しつつ、前後輪用のスタビライザー1f,1rに対し付加剛性力を加えて車体のロールを抑制する。
【0067】
ただし、以下の説明にあっては、上記した車体のロール抑制動作の理解を容易にするために、給排流路13a,13bに定比型の減圧バルブ15aとチェックバルブ16をもたない従来型のロール制御装置と対比しつつ、かつ、次のような設定条件の下で車体のロール制御が行われるものとして説明する。
【0068】
車両に装着した前輪用のスタビライザー1fのロール剛性が後輪用のスタビライザー1rのロール剛性よりも大きく、両者のロール剛性配分を前輪用のスタビライザー1fで大きくとったとする。
【0069】
また、前後輪側のアクチュエータ2f,2rとして、それぞれの受圧面積が等しい同じサイズのものを用いたとする。
【0070】
上記のように、ロール剛性配分が前輪用のスタビライザー1fで大きいと、旋回走行時における左右車輪間の荷重移動が前輪側で大きくなって、左右前車輪のトータルでのコーナリングフォースが後輪側のそれよりも小さくなる。
【0071】
その結果、前輪側の左右車輪が滑り易くなってより大きく外側へと滑り、ステアリング特性が走行安定性の面で優れたアンダステアリング傾向となる。
【0072】
このように、車両にセットされるステアリング特性は、前後輪用のスタビライザー1f,1rのロール剛性配分を適切にとることによって予め設定され、当該車両は、それ自体の運動特性に合ったステアリング特性をもつことになる。
【0073】
このことから、後輪側のアクチュエータ2rへの給排路13a,13bに減圧バルブ15aとチェックバルブ16を介装した図1の実施の形態は、予めステアリング特性をアンダステアリンにセッティングする一般の車両に対して適用されることが理解できよう。
【0074】
そこで、先づ、図1の実施の形態と相違して給排流路13a,13bに定比型の減圧バルブ15aとチェックバルブ16をもたない従来型のロール制御装置を用いた車両の旋回走行時における車体のロール抑制動作について説明する。
【0075】
図12は、説明を簡単にするために、直進走行している車両がa点でハンドルを切って旋回走行に入り、時間の経過に伴いb点を経てc点で定常旋回状態に達したときの車体に生じる横加速度の変化を模式的な略図で示したものである。
【0076】
一方、図3は、上記した従来型のロール制御装置を用いた車両の旋回走行時において、車体に生じた横加速度と前後輪側でのロール剛性との関係を示すグラフであって、図3におけるa,b,c点の経過時間は、図12のa,b,c点の各経過時間に対応している。
【0077】
なお、図3では、以下に述べる説明を理解し易いように、一例として、前後輪用のスタビライザー1f,1rによるロール剛性f,rの配分比を「2:1」にとり、ステアリング特性を予めアンダステアリングにセッティングした場合を例にとって示してある。
【0078】
また、前後輪側のアクチュエータ2f,2rとしては、受圧面積の等しい同じサイズのものを用い、差圧が働いたときに同じ付加剛性力(反力モーメント)を前後輪用のスタビライザー1f,1rに対して加えるものとする。
【0079】
上記の図3において、水平方向に延びる一点鎖線は、前輪用のスタビライザー1fによるロール剛性fを、破線は、後輪用のスタビライザー1rによるロール剛性rを示している。
【0080】
また、斜め上方へと延びる実線は、車体のロール角をほぼゼロに制御するときの前後輪側のアクチュエータ2f,2rによる付加剛性力△f,△rをそれぞれ示す。
【0081】
これら付加剛性力△f,△rは、前後輪側のアクチュエータ2f,2rの受圧面積が等しいことから、給排流路13a,13bに定比型の減圧バルブ15aとチェックバルブ16をもたない従来型のロール制御装置では、「△f=△r」となる。
【0082】
このことから、旋回走行時において、前後輪用のスタビライザー1f,1rによるロール剛性f,rに前後輪側のアクチュエータ2f,2rによる付加剛性力△f,△rが加わったトータルとしての前後輪のロール剛性F,Rは、斜め上方に向けて平行に延びる一点鎖線と破線のような特性となる。
【0083】
この図3から分かるように、従来型のロール制御装置では、直進走行している車両がa点で旋回走行に入ったのちにあっても前輪側のロール剛性Fと後輪側でのロール剛性Rとの差は全く変化しない。
【0084】
その結果、車両が旋回走行に入ってb点およびc点に達した時点をみれば分かるように、前後輪のロール剛性配分「F:R=4:3,=7:6」のように、旋回走行に入る以前のロール剛性配分「f:r=2:1」から大きくずれてしまうことになる。
【0085】
そのために、ステアリング特性が予め車両にセッティングされたアンダステアリングからオーバステアリング傾向に変化して外乱に対し不安定となり、旋回途中でのギャップの乗り越しやブレーキングによって車両がスピンを起したりする危険性が生じ、走行安定性と操縦性を損なうことになる。
【0086】
その点、給排流路13a,13bに対して定比型の減圧バルブ15aとチェックバルブ16を並列に介装した図1のロール制御装置によれば、差圧制御バルブ14によって制御された差圧が前輪側のアクチュエータ2fのポート10,11間に給排流路12a,12bを通してそのまま伝えられる。
【0087】
それに対して、後輪側のアクチュエータ2rのポート10,11間には、給排流路13a,13bから減圧バルブ15aとチェックバルブ16を通してそれぞれ伝えられることになる。
【0088】
これにより、差圧制御バルブ14からの差圧が直接作用する前輪側のアクチュエータ2fに比べて、後輪側のアクチュエータ2rに作用する差圧が減圧バルブ15aの減圧比に応じて低下し、図4に示すように、後輪側での付加剛性力△rを前輪側での付加剛性力△fよりも小さく保つ。
【0089】
かくして、トータルとしての前輪側のロール剛性Fを従来型のロール制御装置の場合と同じ状態(図3の状態)に保ったまま、後輪側のトータルとしてのロール剛性Rが図4のグラフに示すように低下する。
【0090】
その結果、旋回走行の初期においてハンドルを切っているときと終期でのハンドルを戻しているときのように、減圧バルブ15aとチェックバルブ16を通して作動油が流れている過渡期での前後輪のロール剛性F,Rは、当該減圧バルブ15aの減圧比を適切に選ぶことによって、図4にみられるように、予め車両にセッティングされた前後輪のロール配分である「2:1」或いはそれに近い値を保ったままとなる。
【0091】
このようにして、走行中に最も不安定となり易いハンドルを切っているときと戻しているときにおいて、前後輪用のスタビライザー1f,1rのロール剛性配分を予め車両にセッティングされた配分比に保ちながら、車両としての走行安定性と操縦性を確保してロール制御を行うことになる。
【0092】
図5は、操縦性を重視してステアリング特性を予めニュートラルステアリング若しくは弱アンダステアリングにセッティングしておくスポーツ仕様等の車両への適用に好ましい実施の形態を系統図として示したもので、これまで述べてきた図1の実施の形態とは反対に、減圧バルブ15aとチェックバルブ16を前輪側の給排流路12a,12bの途中にそれぞれ並列にして介装してある。
【0093】
この場合には、差圧制御バルブ14で制御された差圧が後輪側のアクチュエータ2rへと給排流路13a,13bを通して直に伝えられるのに対して、前輪側のアクチュエータ2fには、給排流路12a,12bにより減圧バルブ15aとチェックバルブ16を通して伝えられる。
【0094】
その結果、前後輪用のスタビライザー1f,1rによるロール剛性f,rを含めて、前後輪側のアクチュエータ2f,2rによる付加剛性力△f,△rとトータルとしての前後輪のロール剛性F,Rの全てが図3および図4において逆転する。
【0095】
このことから、特に、この場合における特性図を示して説明するまでもなく、走行中に最も不安定となり易いハンドルを切っているときと戻しているときに前輪側でのロール剛性配分が大きくなり、予めステアリング特性として車両にセッティングしたニュートラルステアリング若しくは弱アンダステアリングがアンダステアリング側にずれて操縦性を損なうことはない。
【0096】
かくして、前後輪用のスタビライザー1f,1rのロール剛性配分を予め車両にセッティングした配分比に保持して、ステアリング特性を初期のニュートラルステアリング若しくは弱アンダステアリングから強めのアンダステアリングに変え、車両としての操縦性を確保してロール制御を行い得ることになる。
【0097】
また、図6は、後輪側のアクチュエータ2rに通じる給排流路13a,13bに減圧バルブ絞り15aとチェックバルブ16を並列にして介装すると共に、前輪側のアクチュエータ2fに通じる給排流路12a,12bにも、上記減圧バルブ15aに対して減圧比を異にする減圧バルブ15bとチェックバルブ16をそれぞれ並列にして介装した場合の実施の形態を示している。
【0098】
このものにあっても、ハンドルの切っているときと戻しているときの過渡的な作動油の流動に際して、給排流路13a,13b側に介装した減圧バルブ15aと給排流路12a,12b側の減圧バルブ15bとの減圧比の差により、前後輪側のアクチュエータ2f,2rによる付加剛性力△f,△rに差が生じる。
【0099】
このことから、給排流路13a,13b側の減圧バルブ15aの減圧比を給排流路12a,12b側の減圧バルブ15bの減圧比よりも大きくしてやれば、当該減圧比の差に応じて図1の実施の形態と同様に、後輪側のアクチュエータ2rによる付加剛性力△rが前輪側のアクチュエータ2fによる付加剛性力△fよりも一定の比率の下で低下する。
【0100】
また、減圧比を上記とは逆にとってやれば、今度は、図5の実施の形態の場合と同様に、後輪側のアクチュエータ2rによる付加剛性力△rよりも前輪側のアクチュエータ2fによる付加剛性力△fが一定の比率の下で低下する。
【0101】
したがって、このものによっても、ハンドルを切っているときと戻しているときにおいて、予め車両にセッティングされたステアリング特性を保持しつつ車両としての走行安定性および操縦性を確保してロール制御を行い得ることは、これまでの図1および図5の作動説明に基いて容易に理解できよう。
【0102】
しかも、特に、このものによれば、減圧バルブ15a,15bの減圧比を調整可能にしてこれらを適切に選ぶことにより、ステアリング特性をアンダステアリングにセッティングした一般車両にも、また、ニュートラルステアリング若しくは弱アンダステアリングにセッティングされたスポーツ仕様の車両にも適用することが可能になる。
【0103】
なお、これまでの図1,図5および図6の各実施の形態にあっては、走行中に最も不安定となり易いハンドルを切っているときと戻しているときにおいて、できるだけ前後輪でのロール剛性配分が変わらないようにして車両としての走行安定性および操縦性を確保しつつロール制御を行い得るうようにした点に絞って述べてきた。
【0104】
しかしながら、この種のロール制御装置では、ハンドルを切ったまま保持して旋回しているときには、車体に加わる横加速度が一定値となって差圧制御バルブ14が当該横加速度に見合った一定の差圧を出力する。
【0105】
上記差圧が一定になると、給排流路12a,12bと給排流路13a,13bを通る作動油の流れがなくなるので、減圧バルブ15a,15bは減圧作用を行うことなく差圧制御バルブ14からの差圧をそのまま前後輪側のアクチュエータ2f,2rに加えるようになる。
【0106】
そのために、図4にみられるように、前後輪側の付加剛性力△f,△rが等しい値となって前後輪側のトータルとしてのロール剛性F,Rの配分比が予め車両にセッティングされた前後輪のロール配分から大きくずれることになる。
【0107】
そこで、これを防ぐためには、各減圧バルブ15a(15b)の二次側である出口をアクチュエータ2r(2f)の各作動油室7a,7b,8a,8bへと連通する給排流路13a(12a)と給排流路13b(12b)の間を、図7の実施の形態で示したように、システムの制御性に影響を与えないような小径のオリフィス等からなる流動抵抗素子29をもつバイパス流路30で結んでやる。
【0108】
なお、上記流動抵抗素子29は、必ずしも給排流路13a(12a)と給排流路13b(12b)の間に設けてやる必要はなく、後輪側や前輪側或いは両方のアクチュエータ2r(2f)における作動油室7a,7bと8a,8bの間に設けるようにしてもよい。
【0109】
このようにすれば、横加速度が作用する旋回走行中は、差圧制御バルブ14から減圧バルブ15a(15b)を通り、かつ、流動抵抗素子29とチェックバルブ16を通して流れる作動油の流れが継続することから、ハンドルをそのままに保持して旋回している間も減圧バルブ15a(15b)が減圧作用を行うことになる。
【0110】
かくして、図8に示すように、ハンドルを切っているときと戻しているときの過渡期は勿論のこと、ハンドルを保持して旋回している間にあっても、前後輪側のロール剛性F,Rの配分を車両に予めセッティングしたロール剛性f,rの配分に等しく或いはそれに近く保つ。
【0111】
これによって、車両としての走行安定性および操縦性を確保しつつロール制御を行うことになる。
【0112】
また、図9は、減圧バルブ15a(15b)の二次側パイロット室31に通じるパイロット通路32に減圧作用遅延用の流動抵抗素子33を介装し、特に、ハドルの切り始めと戻し時の初期における後輪側のロール剛性配分を大きくして車両としての回頭性と収斂性を良好に保つ場合の実施の形態を示している。
【0113】
このものによれば、ハンドルを切ったり戻したりしたときに流動抵抗素子33の働きで減圧バルブ15a(15b)の減圧作用に時間的な遅れが生じ、図10に示すように、車両がa点で旋回走行に入ってから例えばd点に達するまでの間は、従来型のロール制御装置と同様に、前輪側のロール剛性Fと後輪側のロール剛性Rとの差に全く変化が生じないことになる。
【0114】
なお、上記d点は、流動抵抗素子33の流動抵抗を調整することによってa点とc点の間の任意の位置にとることができる。
【0115】
そして、d点を過ぎると減圧バルブ15a(15b)が減圧作用を始め、以後は前後輪ロール剛性配分F,Rを図4または図8と同様に制御して車体のロールを抑制する。
【0116】
かくして、旋回走行での初期のハンドルの切り始めや終期でのハンドルの戻し始めのような過渡的な時期における前後輪のロール剛性配分を図10に示すように従来型のロール制御装置と同様に保ち、例えば、アンダステアリングの特性をニュートラルステアリング傾向にして車両としての回頭性および収斂性を向上させることになる。
【0117】
さらに、これまで説明してきた何れの実施の形態の場合にあっても、直進走行時や旋回走行時の如何を問わず、制御装置22の異常発生や差圧制御バルブ14とフェールセーフバルブ21に対するそれぞれの信号線27,28の断線など制御システムに異常が発生したときには、これを制御装置22が検知して差圧制御バルブ14とフェールセーフバルブ21の動作を停止する。
【0118】
これにより、差圧制御バルブ14は、制御開始前の状態である図1に示す片側の差圧最大位置をとると共に、フェールセーフバルブ21は、同じく図1のノーマル位置に戻って油圧源18の油圧ポンプ19から吐出される作動油をリザーバ20へとアンロードする。
【0119】
このように、油圧ポンプ19がフェールセーフバルブ21でアンロード状態に切り換えられることから、差圧制御バルブ14が一方の差圧最大位置をとったとしても、アクチュエータ2f,2rが油圧ポンプ19からの圧力作動油で制御動作することはない。
【0120】
しかも、フェールセーフバルブ21のノーマル位置への切り換わりに伴い、アクチュエータ2f,2rは、当該フェールセーフバルブ21によってそれぞれブロックされる。
【0121】
その結果、スタビライザー1f,1rに対してそれらを捩るような外力が働いたとしても、これらスタビライザー1f,1rは、ブロックによって剛体化されたアクチュエータ2f,2rによって少なくとも通常のスラビライザーとしての機能を保持しつつ車体のロールを抑制する。
【0122】
ただし、上記した異常事態の発生前における差圧制御バルブ14の制御動作の状況によっては、当該差圧制御バルブ14がアクチュエータ2f,2rをフリーにするアンダーラップの切り換え位置を経て一方の差圧最大位置をとる場合が生じる。
【0123】
しかし、差圧制御バルブ14は、その構造上からアンダーラップ位置においてアクチュエータ2f,2rをフリーにするのは一瞬のことであり、しかも、当該アンダーラップ位置での作動油の流れに対して作用する絞り抵抗も大きい。
【0124】
このことから、アクチュエータ2f,2rに作用しているそれぞれの差圧が差圧制御バルブ14を通して抜け、スタビライザー1f,1rが効かなくなるようなこともない。
【0125】
このようにして、旋回走行時の車体のロール制御中における制御系の異常発生に際しては、アクチュエータ2f,2rをブロック状態に保って前後輪用のスタビライザー1f,1rの捩り剛性力を制御中の状態に維持する。
【0126】
かくして、フェールセーフ動作が行われたとしても、その前後での車体のロール剛性やステアリング特性は変わらず、車両の操縦特性に大きな変化をきたすことなく確実にフェールセーフ動作が行われることになる。
【0127】
なお、これまで述べてきた実施の形態にあっては、前後輪用のスタビライザー1f,1rをトーションバーの中央部分で二分割し、この二分割した部分の一方をロータリ式のアクチュエータ2f,2rのハウジング4側に対して、また、他方をロータ6側に対してそれぞれ固定して油圧可変用のスタビライザーとした場合を例にとって説明してきた。
【0128】
しかし、必ずしも上記のようにロータリ式のアクチュエータ2f,2rを用いて油圧可変用のスタビライザーを構成する必要はなく、例えば、図11の実施の形態で示したように、通常のスタビライザー34f,34rを用いてそれぞれの一端と車体との間に油圧シリンダからなるアクチュエータ35f,35rを介装した油圧可変用のスタビライザーを用いたとしても、同様にしてこの発明を適用し得ることは明白である。
【0129】
【発明の効果】
以上のように、請求項1の発明によれば、前後輪用のスタビライザーの一方の剛性力可変用アクチュエータに通じる各給排流路に定比型の減圧バルブと作動油の供給流れを止めるチェックバルブをそれぞれ並列に介装したことにより、当該アクチュエータによる付加剛性力を他方のアクチュエータによる付加剛性力よりも所定の比率で下げることができる。
【0130】
その結果、走行中において、最も不安定となり易いハンドルを切っているときと戻しているときの前後輪用のスタビライザーのロール剛性配分を、予め車両にセッティングした配分比と等しく或いはそれに近く保って車両としての走行安定性と操縦性を確保しつつロール制御を行うことができる。
【0131】
請求項2の発明によれば、前後輪用のスタビライザーの剛性力可変用アクチュエータに通じる各給排流路の両方に定比型の減圧バルブと作動油の供給流れを止めるチェックバルブをそれぞれ並列に介装したことにより、ステアリング特性をアンダステアリングにセッティングした一般車両にも、また、ニュートラルステアリング若しくは弱アンダステアリングにセッティングしたスポーツ仕様の車両に対しても、単に、これら両方の給排流路に介装した減圧バルブの減圧比を調整することで請求項1の効果をもたせることができる。
【0132】
更に、請求項1,2の発明によれば、各減圧バルブと剛性力可変用アクチュエータの各作動油室との間に、これら作動油室を相互に流動抵抗素子を通して連通するバイパス流路を設けたことにより、ハンドルを切っているときと戻しているときの過渡期は勿論のこと、ハンドルを保持して旋回している間にあっても前後輪側のロール剛性配分を予め車両にセッティングされたロール剛性配分に等しく或いはそれに近く保って、車両としての走行安定性と操縦性を確保しつつロール制御を行うことが可能になる。
【0133】
また、請求項3の発明によれば、減圧バルブの二次側パイロット室に通じるパイロット通路に減圧作用遅延用の流動抵抗素子を介装して減圧作用に遅れをもたせることにより、上記した各効果に加えて、旋回走行での初期のハンドルの切り始めや終期でのハンドルの戻し始めのような過渡的な時期における後輪側のロール剛性配分を大きく保って、ステアリング特性をニュートラルステアリング傾向にしつつ車両としての回頭性および収斂性を向上させるができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による車両のロール制御装置を系統的に示す油圧回路図である。
【図2】上記ロール制御装置のに使用されるアクチュエータの拡大縦断面図である。
【図3】従来型のロール制御装置において、ハンドルを切ってから定常旋回走行に移るまでの経過時間と前後輪のロール剛性配分の関係を示すグラフである。
【図4】後輪側の給排流路に対して減圧バルブとチェックバルブを介装したこの発明によるロール制御装置において、ハンドルを切ってから定常旋回走行に移るまでの経過時間と前後輪のロール剛性配分の関係を示すグラフである。
【図5】この発明による車両のロール制御装置の他の実施の形態を図1と同じく系統的に示す油圧回路図である。
【図6】この発明による車両のロール制御装置のさらに他の実施の形態を図1と同じく系統的に示す油圧回路図である。
【図7】この発明の別の実施の形態を系統的に部分図で示す油圧回路図である。
【図8】上記図7の実施の形態において、ハンドルを切ってから定常旋回走行に移るまでの経過時間と前後輪のロール剛性配分の関係を示すグラフである。
【図9】同じく、この発明のさらに別の実施の形態を系統的に部分図で示す油圧回路図である。
【図10】同上の場合において、ハンドルを切ってから定常旋回走行に移るまでの経過時間と前後輪のロール剛性配分の関係を示すグラフである。
【図11】この発明を適用する別のロール制御装置を部分図で示す油圧回路図である。
【図12】ハンドルを切ってから定常旋回走行に移るまでの経過時間とそれに伴って刻々と増加していく横加速度との関係を模式的に示すグラフである。
【符号の説明】
1f,34f 前輪用のスタビライザー
1r,34r 後輪用のスタビライザー
2f,35f 前輪用スタビライザーの剛性力可変用アクチュエータ
2r,35r 後輪用スタビライザーの剛性力可変用アクチュエータ
12a,12b 前輪側アクチュエータへの給排流路
13a,13b 後輪側アクチュエータへの給排流路
14 差圧制御バルブ
15a,15b 定比型の減圧バルブ
16 チェックバルブ
18 油圧源
19 油圧ポンプ
20 リザーバ
21 フェールセーフバルブ
22 制御装置
23 横加速度検出器
24 コントローラ
29 流動抵抗素子
30 バイパス流路
31 二次側パイロット室
32 パイロット通路
33 減圧作用遅延用の流動抵抗素子

Claims (3)

  1. 油圧源と前後輪用のスタビライザーの剛性力可変用アクチュエータとを結ぶ油圧回路の途中にフェールセーフバルブと差圧制御バルブとを設け、制御装置からの車体横加速度信号によってフェールセーフバルブと差圧制御バルブを切換制御しつつ当該差圧制御バルブで上記アクチュエータに加える差圧を制御して車体のロール運動を抑制するようにした油圧可変型のロール制御装置において、上記前後輪用のスタビライザーの一方の剛性力可変用アクチュエータに通じる各給排流路の途中に定比型の減圧バルブと作動油の供給流れを止めるチェックバルブとをそれぞれ並列にして介装し、更に各減圧バルブと剛性力可変用アクチュエータの各作動油室との間にこれら作動油室を相互に流動抵抗素子を通して連通するバイパス流路を設けたことを特徴とする車両のロール制御装置。
  2. 油圧源と前後輪用のスタビライザーの剛性力可変用アクチュエータとを結ぶ油圧回路の途中にフェールセーフバルブと差圧制御バルブとを設け、制御装置からの車体横加速度信号によってフェールセーフバルブと差圧制御バルブを切換制御しつつ当該差圧制御バルブで上記アクチュエータに加える差圧を制御して車体のロール運動を抑制するようにした油圧可変型のロール制御装置において、上記前後輪用のスタビライザーの一方の剛性力可変用アクチュエータに通じる各給排流路の途中に定比型の減圧バルブと作動油の供給流れを止めるチェックバルブをそれぞれ並列にして介装する一方、他方の剛性力可変用アクチュエータに通じる各給排流路の途中には上記減圧バルブに対して減圧比率を異にする減圧バルブと作動油の供給流れを止めるチェックバルブとをそれぞれ並列にして介装し、更に各減圧バルブと剛性力可変用アクチュエータの各作動油室との間にこれら作動油室を相互に流動抵抗素子を通して連通するバイパス流路を設けたことを特徴とする車両のロール制御装置。
  3. 減圧バルブの二次側パイロット室に通じるパイロット通路に減圧作用遅延用の流動抵抗素子を介装した請求項1または2の車両のロール制御装置。
JP02044196A 1996-01-11 1996-01-11 車両のロール制御装置 Expired - Fee Related JP3682333B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP02044196A JP3682333B2 (ja) 1996-01-11 1996-01-11 車両のロール制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP02044196A JP3682333B2 (ja) 1996-01-11 1996-01-11 車両のロール制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH09188120A JPH09188120A (ja) 1997-07-22
JP3682333B2 true JP3682333B2 (ja) 2005-08-10

Family

ID=12027144

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP02044196A Expired - Fee Related JP3682333B2 (ja) 1996-01-11 1996-01-11 車両のロール制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3682333B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11280376B2 (en) 2020-06-17 2022-03-22 Toyota Motor Engineering & Manufacturing North America, Inc. Clutch apparatus, systems, and related methods for use with vehicle stabilizer bars

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE10210306A1 (de) * 2002-03-08 2003-09-18 Volkswagen Ag Anordnung zur aktiven Rollstabilisierung eines Kraftfahrzeugs
DE10314251A1 (de) * 2003-03-29 2004-10-21 Daimlerchrysler Ag Fahrwerkregelung
JP4285343B2 (ja) 2004-07-07 2009-06-24 トヨタ自動車株式会社 車輌のロール剛性制御装置
US7931281B2 (en) 2006-10-03 2011-04-26 Jtekt Corporation Variable stiffness stabilizer device

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11280376B2 (en) 2020-06-17 2022-03-22 Toyota Motor Engineering & Manufacturing North America, Inc. Clutch apparatus, systems, and related methods for use with vehicle stabilizer bars

Also Published As

Publication number Publication date
JPH09188120A (ja) 1997-07-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5160161A (en) Working fluid circuit with line pressure control for vehicle active suspension system
JPS6234861A (ja) 車両の4輪操舵装置
EP1475256B1 (en) Torsional rigidity control device
JP3682330B2 (ja) 車両のロール制御装置
JP3682933B2 (ja) 車両のロール制御装置
JP3682333B2 (ja) 車両のロール制御装置
JPH0392417A (ja) 流体圧式アクティブサスペンション
JPH0342321A (ja) 能動型サスペンション
JP3705847B2 (ja) 油圧可変型スタビライザー
JP3243076B2 (ja) 車両のロール制御装置
JP4368735B2 (ja) 車両のロール制御装置
JP2005225267A (ja) スタビライザ装置
JP4136253B2 (ja) ステアリング制御装置
JP3748401B2 (ja) パワーステアリング装置
JP4275543B2 (ja) スタビライザ装置
JPH0930234A (ja) 車両のロール制御装置
JP4630569B2 (ja) 車両のロール制御装置
JP4204987B2 (ja) スタビライザ装置
JP2005212495A (ja) スタビライザ装置
JP4704285B2 (ja) ロール制御装置
JP2008013097A (ja) ロール制御装置
JP3727738B2 (ja) 油圧制御回路
JPH03112710A (ja) 車輌のロール制御装置
JPH0331013A (ja) 流体圧式アクティブサスペンション
JPH03104727A (ja) 流体圧式アクティブサスペンシヨン

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20041215

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20041221

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050215

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050426

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050523

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees