JP3674287B2 - バーリング加工方法およびバーリング加工装置 - Google Patents

バーリング加工方法およびバーリング加工装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、下穴を拡径させながらバーリングフランジ部を曲折成形することによってバーリング穴を成形する方法および装置に関し、特にウェブとそのウェブの両側に互いに対向するように曲折成形されるフランジ部とで断面略コ字状に形成されるワークについて、各フランジ部に成形されるバーリング穴の形状精度および同心精度を高めたバーリング加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば図10,11に示すように、同一軸線上に位置する二つのバーリング穴Bを有する断面略コ字状のパネル状ワークWを成形する場合、そのワークWの展開形状すなわち平板状のままで下穴のピアス加工とバーリング加工とを行った後、最後にフォーム工程として断面コ字状に折り曲げる工法が採用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように予めピアス加工およびバーリング加工を施した素材Wを断面コ字状に折り曲げる場合には、内型と外型とを用いてプレス成形することになるが、コ字状ワークWの内側形状に忠実な形状の内型を用いて加工を行うと、必然的にバーリングフランジ部Fbが内型と干渉し、加工後の抜き取りが困難となる。そのため、上記内型のうちバーリングフランジ部Fbと干渉する部分を局部的に逃がすことが行われるが、逃がし部を形成すると折り曲げ時にバーリングフランジ部Fbのまわりの拘束が不十分となってそのバーリングフランジ部Fbまわりの形状精度出しが困難となり、双方のバーリング穴B,Bの相対精度の低下が余儀なくされる。
【0004】
また、逆に最初にコ字状曲げを行った後にそれに続いて下穴のピアス加工およびバーリング加工を行うことも考えられるが、上記のバーリングフランジ部Fbの干渉を原因とする精度低下の問題はなおも解決することができない。
【0005】
本発明は以上のような課題に着目してなされたもので、コ字状曲げの後に下穴のピアス加工およびバーリング加工を行うことを前提とした上で、バーリングフランジ部の干渉の問題を効果的に解消して各バーリング穴の形状精度ならびに双方のバーリング穴の相対位置精度や同心精度の大幅な向上を可能としたバーリング加工方法およびバーリング加工装置を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、ウェブとそのウェブの両側に互いに対向するように曲折成形されるフランジ部とで断面略コ字状をなすワークについて、その各フランジ部に互いに同一軸線上に位置するバーリング穴を成形する方法であって、平板状の素材を断面略コ字状に折り曲げてワークを所定形状に成形する工程と、前記ワークのうち相互に対向するフランジ部に、その各フランジ部の外側から内側に向けてピアス加工を施してそれぞれに下穴を成形する工程と、前記ワークのコ字状空間の内部に挿入され且つ下穴の軸心とほぼ直交する分割面をもってそのワークの長手方向で二分された接近離間可能な二つのスライドダイと、このスライドダイに対して下穴の軸心方向にスライド可能なバーリングポンチとの協働により、前記下穴が成形された各フランジ部の外側から内側に向けてバーリング加工を施して、前記下穴を拡径させながらバーリングフランジ部を曲折成形することによりバーリング穴を成形する工程とを含んでいる。
そして、前記バーリングフランジ部を曲折成形する際には、分割面をV溝形状とした一方のスライドダイと同じく分割面をそのV溝形状に対応する山形状とした他方のスライドダイの分割面同士を突き合わせて前記バーリングポンチと噛み合うダイ穴を形成しつつ、双方の分割面同士の突き合わせ状態をもって自動調芯機能を発揮させた状態で成形を行うことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、ウェブとそのウェブの両側に互いに対向するように曲折成形されるフランジ部とで断面略コ字状に予備成形されたワークについて、その各フランジ部に互いに同一軸線上に位置するバーリング穴を成形する装置であって、下ホルダ上に設けられて該下ホルダとともに下型を形成する一方、前記バーリング穴成形位置に予め下穴が成形されたワークがそのコ字状空間の解放部を下向きにした状態で載置されることにより、そのワークの内側に嵌合して該ワークを位置決めするダイと、上ホルダに上下動可能に弾性支持されて該上ホルダとともに上型を形成するとともに、上型の加工動作によって前記ダイ上のワークを加圧拘束するパッドと、前記下ホルダ上にあって、且つ下穴の延長軸線上に位置するようにワークをはさんでその両側に対向配置され、上型の下降動作に応じてカム駆動されることによりスライドして、前記ダイと協働して下穴を拡径させながらバーリングフランジ部を曲折成形することによりバーリング穴を成形する一対のバーリングポンチとを備えている。
【0008】
そして、前記ダイは、ワークを位置決めする固定式のロケーティングダイのほか、下穴の軸心を通る縦方向の分割面をもってワークの長手方向に二分された一対のスライドダイにより形成されているとともに、それぞれのスライドダイは互いに接近離間可能に構成されていて、各スライドダイが前記上型の下降動作に応じバーリングポンチのスライド動作に先行してカム駆動されることにより、双方のスライドダイの分割面同士が下穴の軸心上で突き合わされて、前記バーリングポンチと噛み合うダイ穴が形成されるようになっていて、さらに、前記各スライドダイの分割面のうちいずれか一方がV溝状に、他方がそのV溝形状に対応する山形状にそれぞれ形成されていて、双方の分割面同士の突き合わせ状態をもって自動調芯機能を発揮するように形成されていることを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明における各スライドダイの分割面にはダイ穴の半割り形状に相当する凹部が形成されていて、双方の分割面同士の突き合わせ時にこれらの凹部同士によってダイ穴が形成されるものであることを特徴としている。
【0011】
したがって、請求項1に記載の発明では、ワークのコ字状曲げを行った後に各フランジ部にピアス加工によって下穴を加工することから、ピアス加工装置側の精度さえ確保されていれば、コ字状曲げの前に下穴を加工する場合と比べて、下穴同士の同心精度は確実に向上する。
【0012】
そして、上記の下穴のピアス加工に続いてバーリング加工を施すことになるのであるが、その際に、下穴の軸心およびワークそのものの長手方向のいずれに対してもほぼ直交するような分割面をもって二分された二つのスライドダイを用いることにより、バーリング加工時にそのバーリングフランジ部がスライドダイとの間で干渉していて抜き取り不能な関係にあったとしても、バーリング加工後に双方のスライドダイを互いに離間させれば上記の干渉の関係が無理なく回避されてそれらのスライドダイからのワークの抜き取りが可能となる。これにより、双方のスライドダイが互いに突き合わされた状態では、そのスライドダイの形状としてはワークの内側形状に忠実な形状のものとすることができるから、各バーリング穴の形状精度はもちろんのこと、バーリング穴同士の相対位置精度や同心精度を大幅に高めることができる。
【0013】
請求項2,3に記載の発明では、請求項1に記載の発明におけるバーリング加工方法を前提として、そのバーリング加工を司る加工装置たるプレス型構造をより具体化したものであるから、バーリング加工時には二つのスライドダイをワークの内側形状に忠実な形状のものとして、それに対応するバーリングポンチとの協働により、バーリング穴のまわりを十二分に加圧拘束しつつバーリング加工が行われる。バーリング加工後には、バーリングポンチがスライドダイから後退するのを待って各スライドダイを互いに離間させることにより、バーリングフランジ部とスライドダイとの干渉が無理なく回避される。
【0014】
しかも、双方のスライドダイ同士の突き合わせ時に分割面同士のV溝係合によって両者が自動調芯され、バーリングフランジ部の精度を決定することになるダイ穴そのものの形状精度が保障される。
【0015】
【発明の効果】
請求項1〜3に記載の発明によれば、ワークのコ字状曲げに続いて下穴の加工を行い、最後にバーリングポンチと実質的にダイ穴を二分する位置で半割り可能なスライドダイとによってバーリング加工を行うようにしたことから、互いに対向するフランジ部形状の確定後に二つの下穴の加工とバーリング穴の加工とを行う故に、下穴の同芯精度はもちろんのこと、バーリング穴の形状精度や相対位置精度および同芯精度が大幅に向上する。特に、バーリング加工時には、そのバーリングフランジ部とスライドダイとが干渉してはいても、加工後には上記の干渉を容易に解消できることから、バーリング加工時には双方のスライドダイをワークの内側形状に忠実な形状のものとして使用でき、結果として、バーリング穴となるバーリングフランジ部のまわりを十二分に加圧拘束した状態で加工できるために、バーリング穴の形状精度や相対位置精度が大幅に向上する効果がある。同時に、加工後のワークの抜き取りが容易となるために、トランスファプレスによる加工も可能になる利点がある。
【0016】
また、双方のスライドダイの分割面同士の突き合わせの際にV溝係合によって自動調芯機能が発揮されるために、上記と同様の効果のほかに、ダイ穴の真円精度あるいは形状精度が向上し、バーリング穴の形状精度や同芯精度が一段と向上する効果がある。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1〜9は本発明の好ましい実施の形態を示す図で、自動車のサスペンション系のリンク部材の如きワークWを成形する場合のプレス型構造を示している。ワークWは、中央部が上方に湾曲しつつ幅広に形成されている一方、その両端が比較的幅の狭い断面略コ字状のものとして形成されていて、図1にも示すように、特に一方の端末部QのうちウェブEの両側に互いに対向するように形成されたフランジ部Fに上記プレス型によってバーリング穴Bを成形するものである。ただし、バーリング穴Bとなる下穴は前工程で予め成形されているものとする。
【0018】
なお、図2は上型10が下死点に達した状態を示しているとともに、図3は下型9の概略平面図を、図5は上型10の概略下面図をそれぞれ示している。
【0019】
最初に、図2〜5を用いてプレス型全体の概略について説明すると、1は図示外のボルスタに固定される下ホルダ、2は図示外のプレスラム(スライド)に固定されて下ホルダ1に対して昇降動作することになる上ホルダである。下ホルダ1上には、固定式のロケーティングダイ4と左右一対のスライドダイ5,6とからなるダイ3が配置されており、このダイ3上にロケートピン7によってワークWが位置決め載置され、このワークWは上型10側のパッド8によって加圧拘束される。また、図3,4に示すように、上記ダイ3上に位置決めされたワークWのうちバーリング加工対象となる端末部Qをはさんでその両側には、後述するバーリング加工用の一対のバーリングポンチ32,33が対向配置されている。そして、上記の下ホルダ1とダイ3およびバーリングポンチ32,33等により下型9が形成され、他方、上ホルダ2とパッド8および後述するドライブカム23,24,43等により上型10が形成されていて、上型10の下降動作に応じてその上型10側のドライブカム23,24により各スライドダイ5,6が駆動されるるとともに、同じく上型10側の別のドライブカム43によって各バーリングポンチ32,33が駆動されることにより、バーリング穴Bについてのバーリング加工が施されることになる。
【0020】
次に、上記下型9および上型10の詳細を図1〜9を参照しながら説明すると、図1〜3に示すように、下ホルダ1上には断面門型状のロケーティングダイ4が固定されており、その上面に4本のロケートピン7がロケートピンホルダ11を介して立設されている。そして、これらのロケートピン7に対してワークW側に予め成形されているロケート穴Hを係合させることで、ワークWが両端のコ字状空間の解放側を下向きにした状態で位置決めされるようになっている。
【0021】
下ホルダ1上には、ロケーティングダイ4を図2の左右方向に貫通するバー状の第1のスライドダイ5と、これに隣接する比較的小さな第2のスライドダイ6とが、互いに同一軸線上に位置するようにそれぞれに配置されていて、第1のスライドダイ5の左側の端部にはセクショナルダイ12が一体に固定されている。これらの第1,第2のスライドダイ5,6は、ガイドピン13または14とこれに係合する長穴状のガイド溝15または16とにより規制されるストロークS1またはS2(図2参照)の範囲内で互いに接近離間する方向にスライド可能となっているとともに、第1のスライドダイ5はロケーティングダイ4との間に設けたリターンスプリング17により図2の右方向に、第2のスライドダイ6は第1のスライドダイ5との間に設けたリターンスプリング18により図2の左方向にそれぞれ付勢されている。また、第1,第2のスライドダイ5,6の上部コーナー部には傾斜カム面19または20がそれぞれに形成されていて、各スライドダイ5,6がスライドカムとして機能するようになっている。すなわち、図2では第1,第2のスライドダイ5,6がそれぞれ相手側に向かって最も前進して両者の端面同士が突き合わされた状態、より具体的には第1のスライドダイ5におけるセクショナルダイ12の左側端面12aと第2のスライドダイ6の右側端面6aとが突き合わされた状態を示しており、したがって、ダイ3は、上記固定式のロケーティングダイ4のほか、上記突き合わせ面(分割面)12a,6aをもって左右に二分された第1,第2のスライドダイ5,6によって構成されていることになる。
【0022】
前記下ホルダ1上には、上記ダイ3をはさんでその両側にバックアップブロック21または22が固定されている一方、上ホルダ2には各スライドダイ5,6に対応する傾斜カム面23aまたは24aを有するドライブカム23または24が固定されていて、図2に示すように、上型10の下降動作に応じて各ドライブカム23,24がバックアップブロック21,22に案内されながら第1,第2のスライドダイ5,6と摺接することにより、第1,第2のスライドダイ5,6が前進して上記の突き合わせ面12a,6aをもって互いに突き合わされるようになっている。
【0023】
前記第1,第2のスライドダイ5,6同士が突き合わされた状態における突き合わせ面12a,6aは、ワークWに予め成形されている下穴の軸心および第1のスライドダイ5の長手方向とそれぞれほぼ直交するような位置に設定されていて、図1に示すように、各突き合わせ面12a,6aには半円状の凹部25または26が形成されているとともに、第1のスライドダイ5側の突き合わせ面12aはV溝状に、第2のスライドダイ6側の突き合わせ面6aは上記V溝形状に対応した山形状にそれぞれ形成されている。したがって、第1,第2のスライドダイ5,6同士の突き合わせ時には、上記V溝係合によって突き合わせ面12a,6a同士の自動調芯がなされ、その結果として双方の凹部25,26により真円のダイ穴27が形成されるようになっている。このダイ穴27の直径は、図1に示したところの成形すべきバーリングフランジ部Fbの最大外径に合わせて設定されている。
【0024】
ここで、上記第1,第2のスライドダイ5,6の側面には、図2,7に示すように各傾斜カム面19,20に近接するようにしてコ字状のガイドブロック28が固定されている一方、各ドライブカム23,24には上記ガイドブロック28に係合可能な凸部29が形成されていて、これらのガイドブロック28および凸部29によりポシティブリターン機構30が形成されている。つまり、上記傾斜カム面19,20とポシティブリターン機構30とが併存していることで、上型10の上昇時にはそのドライブカム23,24の動きに追従して第1,第2のスライドダイ5,6が互いに離間する方向に強制的に引き戻されることになる。
【0025】
また、下型9には、加工後のワークWをダイ3からストロークS3だけリフトアップさせるための複数のリフタロッド(ただし、図2では一つのみ図示)31が設けられている。
【0026】
一方、図3,4に示すように、バーリング加工対象となるワークWの端末部Qをはさんで前述した下穴と同一軸線上に対向配置された中実円筒状のバーリングポンチ32,33は、各バーリングポンチ32,33ごとに独立したスライドカム34,35に個別に固定支持されていて、各スライドカム34,35には傾斜カム面36が形成されている。また、各スライドカム34,35は下ホルダ1上に固定されたサポートブロック37にスライド可能に支持されていて、サポートブロック37との間の設けたリターンスプリング38により互いに離間する方向に付勢されている。さらに、各スライドカム34,35には、バーリングポンチ32,33を取り囲むようにしてセクショナルパッド39,40が個別に設けられている。これらのセクショナルパッド39,40は、ガイドピン41と液体封入式のばね手段42とを介して各スライドカム34,35にスライド可能に支持されていて、後述するように、バーリングポンチ32,33に先行してワークWに当接することにより該ワークWを加圧拘束することになる。
【0027】
図4に示すように、上記のスライドカム34,35に対応して、上型10には傾斜カム面43aを有するドライブカム43が個別に設けられており、後述するようにこれらのドライブカム43と各スライドカム34,35との摺接によってスライドカム34,35がスライド駆動されるようになっている。なお、スライドカム34,35の駆動系にも図9に示すようにガイドブロック44と凸部45とからなるポシティブリターン機構46が付設されている。
【0028】
なお、上記の液体封入式のばね手段42は、シリンダ−ピストン機構の内部に所定の液体を封入したもので、コイルスプリング等に比べてより大きなばね力を出し得るものである。また、図4ではその作図上、一方のスライドカム34にはガイドピン41のみ図示し、他方のスライドカム35には液体封入式のばね手段42のみを描いてあるが、図8から明らかなように、各スライドカム34,35はいずれも単一のガイドピン41と二つの液体封入式のばね手段42とを個別に有しているものである。
【0029】
上記上ホルダ2には、図2に示すように、ダイ3上に位置決めされたワークWをその上面から加圧拘束するためのパッド8が設けられている。このパッド8は複数のガイドロッド47と図示しない圧縮コイルスプリング等の弾性体とを介して上ホルダ2に上下動可能に弾性支持されていて、後述するようにバーリング加工に先行してワークWを加圧拘束することになる。
【0030】
次に、上記プレス型によるバーリング加工のための一連の動きについて説明する。
【0031】
図2に示した上型10が上死点位置にて待機している状態で、予め前工程で所定形状に成形され且つ端末部Qのフランジ部Fに下穴が成形されたワークWがロケートピン7を基準としてダイ3上に、すなわちロケーティングダイ4上に位置決めされる。この位置決めをもって、ワークWに予め成形されている下穴は下型9側で待機しているバーリングダイ32,33と同一軸線上に位置することになる。
【0032】
上記ワークWの位置決め完了を待って上型10が下降すると、最初にパッド8がワークWの上面に当接してロケーティングダイ4との間でワークWを加圧拘束することになる。さらに、上型10の下降に伴って、ドライブカム23,24がバックアップブロック21,22に案内されながら第1,第2のスライドダイ5,6と摺接することから、これらのスライドダイ5,6は互いに接近するように前進動作して、最終的には図2に示すように前記下穴の軸線上で突き合わされる。
【0033】
この時、第1,第2のスライドダイ5,6同士の突き合わせ時には、双方の突き合わせ面12a,6aのV溝係合によって半円状の凹部25,26同士の芯出しが自律的になされることから、バーリング加工品質の上で重要な要素となるダイ穴27の精度も高精度に維持できる。
【0034】
こうして第1,第2のスライドダイ5,6同士が突き合わされると、これより遅れて図4に示すように別のドライブカム43が各スライドカム34,35と摺接するようになることから、これをもって各スライドカム34,35が互いに接近する方向に前進動作を開始する。より詳しくは、各スライドカム34,35の前進動作に伴ってスライドカム34,35と一体のバーリングポンチ32,33も前進動作するものの、最初に各スライドカム34,35の先端のセクショナルパッド39,40がワークWに当接して、バーリング加工を施すべきワークWの端末部Qすなわち左右のフランジ部Fを第1,第2のスライドダイ5,6に対して押し付ける。
【0035】
さらに、セクショナルパッド39,40によるワークWの拘束が完了すると、各スライドカム34,35の前進動作に伴って、バーリングポンチ32,33がフランジ部Fに成形されている下穴を押し広げながらダイ3側のダイ穴27内に圧入される。つまり、バーリングポンチ32,33とダイ穴7とに協働により、ワークWのフランジ部Fに予め成形されている下穴を押し広げるようにしてバーリングフランジ部Fbを曲折成形することでバーリング穴Bが成形される。なお、図2,4はいずれも上型10が下死点位置に達して上記のバーリング加工が完了した瞬間の状態を示している。
【0036】
バーリング加工が終了して上型10が再び下死点位置から上昇し始めると、スライドカム34,35が図4に示す状態から徐々に互いに離間する方向に後退する一方、第1,第2のスライドダイ5,6もまた図2の状態から互いに離間する方向に徐々に後退し始める。この時、前述したポシティブリターン機構30,46のはたらきにより、バーリングポンチ32,33がバーリング穴Bから強制的に引き抜かれるとともに、第1,第2のスライドダイ5,6もまたワークWの端末部Qから強制的に引き抜かれる。また、バーリング加工によって成形されたバーリングフランジ部Fbがダイ3に対してワーク抜き取り方向で干渉していてはいても、上記のようにそれまでバーリング加工に直接関与するダイ穴7を形成していた第1,第2のスライドダイ5,6が相互に離間することで上記バーリングフランジ部Fbとダイ3との干渉は無理なく回避される。
【0037】
そして、上型10が上死点位置近くまで上昇すると、下型9側のリフタロッド31が上昇して図2に示すリフトアップ位置までバーリング加工を終えたワークWをリフトアッップさせ、そのワークWが図示外のグリッパによって搬出されることにより、バーリング加工の1サイクルが完了する。
【0038】
このように本実施の形態によれば、バーリングポンチ32,33とスライド分割式のダイ3とを用いてバーリング加工を行うようにしたことにより、バーリング加工後のバーリングフランジ部Fbとダイ3との干渉を回避できるととともに、そのバーリング加工時にワークWのうちバーリング穴Bの周囲を十分に加圧拘束することができ、加工後のワークWの抜き取り容易性とバーリング加工の加工品質とを両立できることになる。
【0039】
また、本実施の形態におけるバーリング加工に先立って前工程で行われる下穴の加工は、図2〜9に類似した型構造を用いて行う。すなわち、下穴のピアス加工はバーリング加工のようなバーリングフランジ部Fbでの干渉の問題は生じないことから、図4に示したバーリングポンチ32,33をピアスポンチに置き換える一方、スライド分割式のダイ3に代えて上記ピアスポンチに対応するボタンダイを用いることにより、基本的には本実施の形態と同じような挙動のもとで下穴の加工を行うものとする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るバーリング加工用プレス型の実施の形態を示す図で、ワークとスライドダイおよびバーリングポンチとの相互関係を示す要部分解斜視図。
【図2】バーリング加工用プレス型の構造を示す図で、図3のa−a線に沿う断面図。
【図3】図2に示す下型の平面図。
【図4】図3のb−b線に沿う断面図。
【図5】図2に示す上型の下面図。
【図6】図2のc方向矢視図。
【図7】図2のd方向矢視図。
【図8】図4のe方向矢視図。
【図9】図4のf方向矢視図。
【図10】バーリング加工の対象となるワークの要部斜視図。
【図11】図10の垂直断面図。
【符号の説明】
1…下ホルダ
2…上ホルダ
3…ダイ
4…ロケーティングダイ
5…第1のスライドダイ
6…第2のスライドダイ
6a…突き合わせ面(分割面)
8…パッド
9…下型
10…上型
12a…突き合わせ面(分割面)
19,20…傾斜カム面
23,24…ドライブカム
23a,24a…傾斜カム面
25,26…凹部
27…ダイ穴
32,33…バーリングポンチ
34,35…スライドカム
43…ドライブカム
43a…傾斜カム面
B…バーリング穴
E…ウェブ
F…フランジ部
Fb…バーリングフランジ部
Q…端末部
W…ワーク

Claims (3)

  1. ウェブとそのウェブの両側に互いに対向するように曲折成形されるフランジ部とで断面略コ字状をなすワークについて、その各フランジ部に互いに同一軸線上に位置するバーリング穴を成形する方法であって、
    平板状の素材を断面略コ字状に折り曲げてワークを所定形状に成形する工程と、
    前記ワークのうち相互に対向するフランジ部に、その各フランジ部の外側から内側に向けてピアス加工を施してそれぞれに下穴を成形する工程と、
    前記ワークのコ字状空間の内部に挿入され且つ下穴の軸心とほぼ直交する分割面をもってそのワークの長手方向で二分された接近離間可能な二つのスライドダイと、このスライドダイに対して下穴の軸心方向にスライド可能なバーリングポンチとの協働により、前記下穴が成形された各フランジ部の外側から内側に向けてバーリング加工を施して、前記下穴を拡径させながらバーリングフランジ部を曲折成形することによりバーリング穴を成形する工程と、
    含んでいて、
    前記バーリングフランジ部を曲折成形する際には、分割面をV溝形状とした一方のスライドダイと同じく分割面をそのV溝形状に対応する山形状とした他方のスライドダイの分割面同士を突き合わせて前記バーリングポンチと噛み合うダイ穴を形成しつつ、双方の分割面同士の突き合わせ状態をもって自動調芯機能を発揮させた状態で成形を行うことを特徴とするバーリング加工方法。
  2. ウェブとそのウェブの両側に互いに対向するように曲折成形されるフランジ部とで断面略コ字状に予備成形されたワークについて、その各フランジ部に互いに同一軸線上に位置するバーリング穴を成形する装置であって、
    下ホルダ上に設けられて該下ホルダとともに下型を形成する一方、前記バーリング穴成形位置に予め下穴が成形されたワークがそのコ字状空間の解放部を下向きにした状態で載置されることにより、そのワークの内側に嵌合して該ワークを位置決めするダイと、
    上ホルダに上下動可能に弾性支持されて該上ホルダとともに上型を形成するとともに、上型の加工動作によって前記ダイ上のワークを加圧拘束するパッドと、
    前記下ホルダ上にあって、且つ下穴の延長軸線上に位置するようにワークをはさんでその両側に対向配置され、上型の下降動作に応じてカム駆動されることによりスライドして、前記ダイと協働して下穴を拡径させながらバーリングフランジ部を曲折成形することによりバーリング穴を成形する一対のバーリングポンチと、
    を備えてなり、
    前記ダイは、ワークを位置決めする固定式のロケーティングダイのほか、下穴の軸心を通る縦方向の分割面をもってワークの長手方向に二分された一対のスライドダイにより形成されているとともに、それぞれのスライドダイは互いに接近離間可能に構成されていて、各スライドダイが前記上型の下降動作に応じバーリングポンチのスライド動作に先行してカム駆動されることにより、双方のスライドダイの分割面同士が下穴の軸心上で突き合わされて、前記バーリングポンチと噛み合うダイ穴が形成されるようになっていて、
    さらに、前記各スライドダイの分割面のうちいずれか一方がV溝状に、他方がそのV溝形状に対応する山形状にそれぞれ形成されていて、双方の分割面同士の突き合わせ状態をもって自動調芯機能を発揮するように形成されていることを特徴とするバーリング加工装置。
  3. 前記各スライドダイの分割面にはダイ穴の半割り形状に相当する凹部が形成されていて、双方の分割面同士の突き合わせ時にこれらの凹部同士によってダイ穴が形成されるものであることを特徴とする請求項2に記載のバーリング加工装置。
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