JP3674240B2 - 苗植機 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、圃場内を植付走行する際に次行程の走行路のセンターラインを地面に線引きする左右線引きマーカーを装備した苗植機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
特開平4−75510号公報に、圃場内を往復植付走行する際に次行程の走行路のセンタ−ラインを地面に線引きする左右線引きマーカーを備え、該左右線引きマーカーが左右両側とも線引き作用する状態と左右片側のみ線引き作用する状態と左右両側とも線引き作用しない状態に切替え可能に設けた田植機が開示されている。尚、その田植機の線引きマーカーは、田植機の操縦位置より後側に位置するように設けられていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
然し乍ら、上記の田植機にて従来の田植作業形態で田植えを行うと、枕地部分が最後に残り、その枕地に苗を植付ける為に、図14に示すように、枕地を植付け作業をせずに後進で走る走行Xが必要となって、圃場を荒らしてしまい枕地での苗の植付け姿勢が非常に悪いと共に、出入口ENT部の角部Yは植付け作業ができず後で手植えしないとならず、非常に作業能率が悪いものであった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この発明は、前記の従来技術のもつ課題を解決すべく、操縦座席8を備える乗用型走行車体1にリンク機構9により上下動可能に苗植装置10を設け、操縦座席8より前方位置となる乗用型走行車体1の前部左右位置に支持フレーム19・19を設け、該支持フレーム19・19を介して左右予備苗載部18・18を設けると共に、圃場内を植付走行する際に次行程の走行路のセンターラインを地面に線引きする左右線引きマーカー32・32を各々前記支持フレーム19・19に対して回動するパイプ61の先端部に設けた苗植機において、該パイプ61の回動により左右線引きマーカー32・32が左右両側とも線引き作用する状態と左右片側のみ線引き作用する状態と左右両側とも線引き作用しない状態に切替え可能に設け、植付走行する際に機体の側方に該乗用型苗植機が走行して全条植付けできる幅を確認できる畦マーカー70を、前記パイプ61の先端部に基端部を抜き差しして操縦座席8より前方位置で着脱可能に設けたことを特徴とする苗植機としたものである。
【0005】
【発明の作用効果】
この発明は、左右線引きマーカー32・32が左右両側とも線引き作用する状態と左右片側のみ線引き作用する状態と左右両側とも線引き作用しない状態に切替え可能に設け、植付走行する際に機体の側方に該乗用型苗植機が走行して全条植付けできる幅を確認できる畦マーカー70を、前記左右線引きマーカー32・32を設けたパイプ61の先端部に基端部を抜き差しして操縦座席8より前方位置で着脱可能に設けた苗植機としたので、畦マーカー70を装着し、左右線引きマーカー32・32が左右両側とも線引き作用する状態にし、前記畦マーカー70が畦A2の畦際ライン上に位置するように該畦A2に沿って植付走行すると、左右線引きマーカー32・32が機体の左右両側に各々ラインL1・L2を線引きしながら、一行程分あけて植付できる。このとき、畦マーカー70が操縦座席8より前方位置に設けられているので、操縦者は前を向いたまま容易にその確認をすることができる。その後、左右線引きマーカー32・32が左右片側のみ線引き作用する状態にして畦A1との間が残り一行程分になるまで往復植付走行していき、畦A1との間が残り一行程分になったら、左右線引きマーカー32・32が左右両側とも線引き作用しない状態にすると共に、畦マーカー70は外した状態で、一行程分残された行程を周回植付走行できる。従って、圃場の全周にちょうど機体が走行して全条植付けできる幅ができるように田植作業が行え、最後に、この圃場の全周を田植作業してそのまま圃場から出ることができ、非常に作業能率が良く、然も、圃場を荒らすことが従来例に比して少ないので枕地での苗の植付け姿勢も良くなる。
【0006】
【実施例】
図面に基づいて、この発明の一実施例である6条植えの乗用型田植機について説明する。
1は乗用型走行車体であって、機体の後部にエンジンを搭載し、機体の前部に変速レバー2にてエンジンの回転駆動力が変速される変速機構と前輪デフ機構と後輪デフ機構とが内蔵されている走行ミッションケースを設けている。
【0007】
3・3は左右操向駆動前輪であって、操縦ハンドル4にて操向されるように設けられている。
5・5は左右駆動後輪であって、左右クラッチペダル6・6の踏込操作により該左右サイドクラッチが切れ且つ左右サイドブレーキが利くように駆動構成されている。即ち、左右クラッチペダル6・6の踏込操作をした側の駆動後輪5・5の駆動が停止されブレーキが利くようになっている。
【0008】
7はFRPにて成型された車体カバーであって、エンジンの周囲を覆うエンジンカバー部7aと、前記エンジンの前方及び左右側方に設けられたステップ7bと、ハンドルポストカバー7cと、エンジンの後方に設けられたステップ7dとが一体形成され、機体上に着脱固定自在に構成されている。
8は前記車体カバー7上面に設置固定された操縦座席で、操縦者が着座して機体を操向する操縦位置となる。
【0009】
9は上部リンク9aと下部リンク9bとにより構成されるリンク機構であって、基端部は乗用型走行車体1の機体に固着された支持フレームに枢着され、後端部は後述の苗植装置10の機枠に枢着されている。そして、油圧シリンダー50の基部が乗用型走行車体1の機体に枢着され、ピストンの後端が上部リンク9aと一体のアーム9cに連結されている油圧シリンダー50にて上記リンク機構9は上下動されて苗植装置10が上下動できるように構成されている。
【0010】
苗植装置10は、フレームを兼ねる植付伝動ケース11と、該植付伝動ケース11に設けられた支持部材に支持されて機体左右方向に往復動する苗載台12と、植付伝動ケース11の後端部に装着され前記苗載台12の下端より1株分づつの苗を分割して圃場に植え付ける6つの苗植付け装置13…と、植付伝動ケース11の下部にその後部が枢支されてその前部が上下揺動自在に装着された整地体である中央整地フロート14・左右整地フロート15・15等にて構成されている。左右整地フロート15・15は、各々左右駆動後輪5・5の後方に配置されており、該左右駆動後輪5・5にて掻き乱された圃場を整地すると共に苗植付け装置13にて苗が植付けられる圃場の前方を整地すべく設けられている。そして、中央整地フロート14は、その前部を油圧バルブに連繋しており、中央整地フロート14の前部が外力にて適正範囲以上に持ち上げられた時には油圧ポンプにて圧油を油圧シリンダー50に送り込んでピストンを突出させリンク機構9を上動させて苗植装置10を所定位置まで上昇せしめ、また、中央整地フロート14の前部が適正範囲以上に下がった時には油圧シリンダー50内の圧油をタンクに戻してリンク機構9を下動させて苗植装置10を所定位置まで下降せしめ、そして、中央整地フロート14の前部が適正範囲にあるとき(苗植装置10が適正な所定位置にある時)には油圧シリンダー50内の圧油の出入りを止めて苗植装置10を一定位置に保持せしめるべく設けられている。即ち、中央整地フロート14を植付装置10の自動高さ制御のための接地センサーとして用いている。
【0011】
16は施肥装置の肥料タンクであって、乗用型走行車体1の機体後部に固着されており、該施肥タンク16と、その下部に装着され施肥タンク16内の粒状肥料を一定量づつ繰り出す肥料繰出装置と、該肥料繰出装置にて繰り出された肥料を案内する透明の施肥パイプと、中央整地フロート14・左右整地フロート15・15に固着され苗植付け位置側方の圃場に施肥溝を掘り施肥パイプにて案内された粒状肥料を該施肥溝内に落下案内する作溝器とにより施肥装置が構成されている。
【0012】
17は車体カバー7より突出して操縦座席8の右側方に設けられた操作レバーであって、走行ミッションケースに設けられたPTOクラッチを操作して施肥装置及び苗植装置10への動力を入切り操作できるように構成されていると共に、油圧バルブを操作して手動にて苗植装置10を上下動できるようにも構成されている。即ち、操作レバー17は、PTOクラッチが入り施肥装置及び苗植装置10が駆動され且つ油圧バルブが中央整地フロート14の上下動にて切換えられる自動制御状態となる植付け作業位置と、PTOクラッチが切りで且つ油圧バルブが中央整地フロート14の上下動にて切換えられる自動制御状態になる下降位置と、PTOクラッチが切れ施肥装置及び苗植装置10の作動が停止し且つ油圧バルブが強制的に苗植装置10を上昇する側に切換えられて苗植装置10が上昇される上昇位置と、PTOクラッチが切れ施肥装置及び苗植装置10の作動が停止し且つ油圧バルブが油圧シリンダー50内の圧油の出入りを止めて苗植装置10を一定位置に保持せしめる位置に切換えられて苗植装置10が上昇も下降もしない固定位置とに操作できるようになっている。
【0013】
18・18は乗用型走行車体1の前部左右位置に設けられた左右予備苗載部であって、機体に基部が固定された支持フレーム19の中途部に縦フレーム20を立設し、この縦フレーム20の上端と中途部とに上下回転支持板21・21の基部を固着し、この上下回転支持板21・21に設けた支持孔22・22に予備苗載台支柱23を挿通して、該支柱23を回転自在に支持している。この支柱23に4段の予備苗載台24を設けて、育苗箱ごと4枚の苗を載置できるように構成している。25は支柱23に固着された鉄パイプよりなる枠体で、育苗箱から苗を掬って取り出す時に用いる苗掬い板26を上方より挿入して支持できるように構成している。
【0014】
27は縦フレーム20に基部が枢支された回転用ペダルであって、該ペダル27に係止ピン28の基部を枢支し、該係止ピン28の先端は支柱23に固着した係止円板29に形成した3つの係止孔30…の何れかに挿入できるように構成されており、ペダル27を踏むとバネ31に抗して係止ピン28がイ方向に下動して係止孔30から外れて予備苗載台24が回転できるようになる。そして、ペダル27を踏み込みを止めると、バネ31の付勢力にて係止ピン28が反イ方向に上動し、係止孔30…の何れかに挿入して回転を固定する。
【0015】
このように、予備苗載台24は、図2に実線にて示す機体外方に突出した位置と矢印ハの終端位置まで略180度回転させた機体内方に収納した位置と両位置の中間位置(図1に実線にて示す機体外方に突出した位置から90度回転させた位置)とに回動して固定できるように構成されている。
32・32は左右線引きマーカーであって、前記予備苗載台支柱23に固着された横フレーム23aの先端に基部が固着されたマーカー支持フレーム35の先端部に上下回動自在に枢着されている。そして、この左右線引きマーカー32・32は、圃場内で往復走行して植付作業するときに、作業走行中に未植付側の泥土面に線引きマーカー体32aを滑走させて、次行程作業走行路のセンターラインを線引き作用するものである。
【0016】
34は走行車体2の前端部左右中央位置に設けられたセンターマスコットで、このセンターマスコット34を前行程で線引きマーカー32にて線引きされたセンターラインに合わせて植付作業走行すれば、前行程作業走行時に植え付けられた苗の隣接条に対して所定の条間隔で植付作業走行することができる。
線引きマーカー32の基部には断面コ字状の回動部60が設けてあり、この回動部60がマーカー支持フレーム35の先端部に枢支ピン38にて回動自在に枢着され、バネ39にて線引きマーカー32が作用位置となるロ方向に下動するよう付勢されている。そして、回動部60に基端が固着されたパイプ61の先端部には、筒状体62が回動自在に外嵌されており、その筒状体62には下端に線引きマーカー体32aが設けられた杆体63の上端が固着されている。
【0017】
64はパイプ61に固着されたストッパーで、その先端部64aが筒状体62の段部62aに接当することにより筒状体62の一定方向の回動を阻止する。また、65はストッパー64と前記杆体63との間に設けられた巻きバネで、ストッパー64の先端部64aと筒状体62の段部62aとが接当する方向に杆体63が回動するように付勢するよう設けられている。即ち、ストッパー64の先端部64aと筒状体62の段部62aとが接当した状態で、マーカー体32aは圃場面に対して適正な線引き姿勢となり、硬い土塊等の障害物にマーカー体32aが当った時や杆体63が障害物に当った時に、筒状体62が巻きバネに抗して回動し、杆体63及びマーカー体32aの破損を防止できる構成となっている。
【0018】
66はC型止め輪であって、筒状体62を所定位置に規制するものである。
67はパイプ61に後述の畦マーカー70を止める為の係止ピンであって、そのピン部67aがパイプ61に基部が固着された支持体68を貫通した状態で設けられており、該支持体68と係止ピンに固着の板体67bとの間に圧縮バネ69が装着されている。然して、係止ピン67の把持部67cを持って圧縮バネ69に抗して引っ張ると、ピン部67aがパイプ61の内部空間から抜けるようになっている。
【0019】
一方、前記苗植装置10を上動すべくリンク機構9が上動されると引っ張られるように構成された操作ワイヤ40の先端がマーカー32の基部の回動部60に連繋されており、苗植装置10を上動すべくリンク機構9が上動されると左右線引きマーカー32・32は図3のように収納された位置となり、苗植え作業の為に苗植装置10を下動すべくリンク機構9が下動されると周知の左右選択機構にて左右何れかの操作ワイヤ40が弛んでその選択された側のマーカー32が図4のように線引き作用位置となるように構成されている。そして、左右線引きマーカー32・32は、左右予備苗載台24の回転により、各々左右予備苗載台24と共に回転して作用位置と収納位置とになる。
【0020】
ここで、左右線引きマーカー32の構成を更に詳述すると、操作ワイヤ40・40の他端側は、そのインナーワイヤー40aがリンク機構9を昇降駆動する油圧シリンダー50のピストン部50aに連結され、アウター40bが油圧シリンダー50のシリンダ部50bに連結されている。よって、田植作業中に枕地で旋回走行するときに苗植装置10を水田面から高く上昇させるが、このとき油圧シリンダー50のピストン部50aがシリンダ部50bから突出作動して、操作ワイヤ40・40のインナーワイヤー40aが引かれる。これにより、横倒しになって線引き作用姿勢にある線引きマーカー32は引き上げられて起立し非線引き作用姿勢に切り替わる。
【0021】
一方、左右一対の操作ワイヤ40・40には、油圧シリンダー50のピストン部50aがシリンダ部50b内に引っ込み作動しても前記ワイヤー40・40のインナーワイヤー40a・40aが引き戻されないようにロックするロック機構Lが設けられている。枕地での旋回が終了して苗植装置10を下降させたとき、ロック機構Lにより、操作ワイヤ40・40がロックされていれば、線引きマーカー32は線引き作用姿勢に移動しない。また、ロック機構Lにより、操作ワイヤ40・40が非ロック状態であれば、線引きマーカー32はバネ39の付勢により横倒しの線引き作用姿勢に移動する。但し、ロック機構Lは、油圧シリンダー50のピストン部50aが突出作動してインナーワイヤー40aを油圧シリンダ側に引っ張る動作に対してはロック作用しない。そして、このロック機構Lは、左右両方のインナーワイヤー40aをロックするように操作できるし、苗植装置10の上昇操作の度に左右一方のみ交互に自動的に切替可能にロックするようにも操作できる。また、左右両方のインナーワイヤー40a・40aをロックしないようにも操作できる。よって、前記操作により、左右両方の線引きマーカー32・32を引き上げて左右の線引きマーカーを非線引き作用姿勢にすることができる。従って、前記操作により、左右一方の線引きマーカー32を自動的に切替えて左右一方の線引きマーカーを線引き作用姿勢にすることができるし、左右両方の線引きマーカー32・32を同時に線引き作用姿勢にすることもできる。
【0022】
ロック機構Lは、そのケースL’に操作ワイヤ40・40のインナーワイヤー40a・40aの油圧シリンダ側を挿通する2つのワイヤ挿通孔52・52を一側に設けた2つのソレノイド53・53(図面では一方のみを示す)から、そのプランジャ54・54が突・没する孔55・55が設けられている。また、ソレノイド53・53のプランジャ54・54は、ソレノイドコイルに通電されないときはバネ56・56によって孔55・55から突出して、プランジャの先端部が油圧シリンダ側のインナーワイヤー40a末端部に連結したスライダーピン57・57の段差部57’・57’に係合してインナーワイヤ40’・40’の線引きマーカー側への移動を阻止する。ソレノイドコイルに通電されたときはバネ56・56に抗して孔55・55に没して、インナーワイヤー40a・40aの線引きマーカー側への移動を許容する。
【0023】
前記ソレノイド53・53の切換操作は、図7に示されるマーカスイッチSW1によって行なわれる。このスイッチSW1は、苗植装置10への伝動を断続操作する操作レバー17の切り操作一回ごとに交互に切り替わるように設けられている。また、マーカスイッチSW1と電源(バッテリ)BT間には、メインスイッチSW0が設けられている。更に、ソレノイド53・53のオン・オフと同期して点滅するマーカランプLMP(R)・LMP(L)が設けられている。また、マーカスイッチSW1とそこからソレノイド53・53につながる2つの回路の間に両回路を連通する回路を設け、その回路上にマーカー作動切替スイッチSW2が設けられている。このマーカー作動切替スイッチSW2がオフ状態にあるときは、旋回時の前記操作レバー17の入り切り操作によってマーカースイッチSW1が切り替わり、2つのソレノイド53・53が交互に励磁して、左右の線引きマーカー32・32が左右一方側のみ交互に倒伏して線引き作用位置に移動する作動状態となる。マーカー作動切替スイッチSW2がオン状態にあるときは、旋回時の前記操作レバー17の入り切り操作によってマーカースイッチSW1が切り替わるのに関わらず、2つのソレノイド53・53が両方とも励磁して、左右の線引きマーカー32・32が左右両方側が共に倒伏して線引き作用位置に移動する作動状態となる。
【0024】
70は畦マーカーであって、杆体71の先端を直角に曲げてその先に目立つ色のマーカー体72を装着している。そして、その基端部には、孔73と鍔状部74とが設けられている。
この畦マーカー70を機体に装着するには、前述の線引きマーカー32の係止ピン67の把持部67cを引っ張った状態で、線引きマーカー32のパイプ61の先端に畦マーカー70の基端部をその鍔状部74が当るまで差し込み、係止ピン67のピン部67aが畦マーカー70の孔73に嵌まる位置で把持部67cを離して、図10の状態とすれば、畦マーカー70は線引きマーカー32の先端部に装着される。逆に、畦マーカー70を外す場合には、線引きマーカー32の係止ピン67の把持部67cを引っ張った状態で、畦マーカー70をパイプ61の先端から引き抜けば良い。
【0025】
尚、ここで線引きマーカー32及び畦マーカー70を作用状態に下動させた時の機体に対する位置関係を図13にて説明すると、この乗用型田植機は6条植えであるので機体の左右中央Cに対して左右対称に3条づつの全部で6条の苗列P…を植付ける。このとき、線引きマーカー32の線引きマーカー体32aは、今植付けている6条の苗列の側方に機体が苗を植付ける際の機体の左右中央に当る位置に線を引く。また、図13のように、畦マーカー70のマーカー体72を畦に合わせると、今植付けている6条の苗列P…と畦A2との間に機体を走行させてちょうど6条の苗(仮想植付け位置P’)が植付けれる距離が保てるようにして苗の植付けが行える。一般的に条間を30cmとすると、図13で、機体の左右中央Cと線引きマーカー体32aとの距離は180cm、機体の左右中央Cとマーカー体72との距離は285cmである。
【0026】
41は前工程で植付けた苗に位置合わせをして機体位置を確認する為の条合わせマーカーである。
【0027】
次に、上記の乗用型田植機にて田植作業を行う説明をする。
先ず、施肥装置の肥料タンク16に粒状肥料を入れ、苗載台12に苗を載置し、各予備苗載台24…に苗の入った育苗箱を載置する。
そして、例えば、図11に示すような圃場(水田)で田植作業を行うには、右線引きマーカー32の先端に畦マーカー70を装着して、苗植装置10を上昇させた状態で農道RDから圃場出入口ENTより圃場内に入り、反対側の畦A2際まで移動する。そして、マーカー作動切替スイッチSW2をオン状態にして、操作レバー17を下降位置に操作して各整地フロート14・15・15が泥面に接地するまで苗植装置10を下降させると、左右の線引きマーカー32・32が共に矢印ロ方向に下動して線引き作用位置になる(左右線引きマーカー32・32が共に線引き作用位置になったことを確認して、マーカー作動切替スイッチSW2はオフ状態にしておく)。その時に、右側に装着された畦マーカー70のマーカー体72が畦A2の畦際ライン上に位置するように操向しながら、その畦A2に沿って植付走行する。このとき、左右線引きマーカー体32a・32aは線引き作用状態であるから、機体の左右両側に各々ラインL1・L2を線引きしていく。また、畦マーカー70のマーカー体72が操縦座席8より前側に設けられているので、操縦者は前を向いたまま容易にその確認をすることができる。
【0028】
そして、農道RDに沿う畦A3側からそれに対向する畦A4側まで植付走行したら、植付作業を停止して苗植装置10を上昇させて次の行程へ旋回する。このとき、苗植装置10は、泥面から高く上昇させるから、線引き作用姿勢にあった左右線引きマーカー32・32は引き上げられて起立する。この時、この圃場では、畦マーカー70はもう使用しないので、外しておいても良い。
【0029】
旋回後、操作レバー17にて苗植装置10を下降させて同様に植付作業を行うが、前行程で線引きされたセンターラインL2に機体の左右中央に設けられたセンターマスコット53が位置するように操向して、畦A4側から畦A3側に向かって植付走行すると、前行程で植付けられた苗の隣接条から所定の条間隔(30cm)で苗を植付けていくことができる。このとき、畦A1側(右側)の線引きマーカー体32aのみを線引き作用状態に切替えてセンターラインL3を線引きしていく。
【0030】
以下、旋回して苗植装置10を泥面まで下降させると、前行程で線引き作用姿勢にあった側とは反対側の線引きマーカー32が線引き作用姿勢に自動的に切替わる。これは、次行程に移るときに必ず一旦苗植装置10への操作レバー17を切りに操作するので、その切り操作に連動してマーカースイッチSW1が切り替わるからである。
【0031】
このようにして、畦A1側に向けて往復植付走行し、畦A1との間に残り一行程分までになったら、図12のように、出入口ENT側から畦A2に向かって畦A3沿いに枕地植付走行し、次に、はじめに一行程分あけられていた行程を畦A3から畦A4に向かって植付走行し、更に、畦A2から畦A1に向かって枕地植付走行し、最後に、畦A1との間に一行程分残されていた行程を出入口ENTに向かって畦A1沿いに植付走行して、出入口ENTから農道RD上に抜け出る。この周回植付走行のときは、左右の線引きマーカー体32a・32aを非線引き作用状態に切替え(メインスイッチSW0をオフ状態にする)、畦際ライン上或は隣接植付苗上に条合せマーカー体51aが位置するように操向する。以上のようにすれば、圃場の四隅に未植付エリアが生じず効率の良い田植えができる。
【0032】
一方、上記の植付作業と同時に、施肥装置により苗植付位置の側方の圃場中に粒状肥料が施肥される。
そして、植付作業中に苗載台12上の苗が残り少なくなると、機体を停止させてペダル27を踏んで予備苗載台24を図2に実線にて示す位置から90度回転させた位置に回動して固定して、作業者は苗掬い板26にて予備苗載台24上の育苗箱から苗を掬い出して苗載台12に供給する。このように予備苗載台24を後方に回動させておくと、左右予備苗載部18・18の予備苗載台24と苗載台12との距離が短くなるので作業性が非常に良い。
【0033】
更に、田植作業を進めて左右予備苗載部18・18の苗が無くなると、機体前端を畦に近付けて、予備苗載台24を図2に実線にて示す位置に戻して、畦より予備苗載台24に苗を補給する。
そして、田植作業を終えて機械を納屋等に収納する場合には、左右予備苗載台24を図2の矢印ハの終端位置まで略180度回転させた機体内方に収納した位置とすれば、左右予備苗載部18・18に左右線引きマーカー32・32が装着されているので、左右予備苗載台24と左右線引きマーカー32・32とが共に容易に収納されて、機械の収納スペースが狭くて済む。
【0034】
尚、上記実施例では、畦マーカー70を右側の線引きマーカー32に装着する田植作業を説明したが、圃場の条件によっては、畦マーカー70を左側の線引きマーカー32に装着して同様に田植作業を行うこともできる。
また、上記実施例では、畦マーカー70を左右線引きマーカー32・32に対して脱着式の例を示したが、左右線引きマーカー32・32に釣竿のように伸縮式の畦マーカー70・70を各々装着して、使用時に前記実施例の図13と同様の状態に伸ばして使うようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】乗用型田植機の全体平面図である。
【図2】要部の拡大平面図である。
【図3】要部の拡大正面図である。
【図4】要部の拡大正面図である。
【図5】要部の作用を示す作用説明図である。
【図6】線引きマーカーのロック機構の要部を示す左側面断面図。
【図7】線引きマーカーのロック機構の電気回路図。
【図8】線引きマーカーの要部正面図。
【図9】作用を示す線引きマーカーの要部正面図。
【図10】線引きマーカーの要部拡大正面図。
【図11】線引きマーカーと畦マーカーを用いて植付作業を行う場合の作用説明図。
【図12】線引きマーカーと畦マーカーを用いて植付作業を行う場合の作用説明図。
【図13】線引きマーカーと畦マーカーを用いて植付作業を行う場合の要部拡大背面図。
【図14】従来の線引きマーカーを用いて植付作業を行う場合の作用説明図。
【符号の説明】
1 乗用型走行車体 3 左右操向駆動前輪
5 左右駆動後輪 7 車体カバー
8 操縦座席 9 リンク機構
10 苗植装置 13 苗植付け装置
14 中央整地フロート 15 左右整地フロート
18 左右予備苗載部 19 支持フレーム
24 左右予備苗載台 32 左右線引きマーカー
61 パイプ 70 畦マーカー
Claims (1)
- 操縦座席(8)を備える乗用型走行車体(1)にリンク機構(9)により上下動可能に苗植装置(10)を設け、操縦座席(8)より前方位置となる乗用型走行車体(1)の前部左右位置に支持フレーム(19・19)を設け、該支持フレーム(19・19)を介して左右予備苗載部(18・18)を設けると共に、圃場内を植付走行する際に次行程の走行路のセンターラインを地面に線引きする左右線引きマーカー(32・32)を各々前記支持フレーム(19・19)に対して回動するパイプ(61)の先端部に設けた苗植機において、該パイプ(61)の回動により左右線引きマーカー(32・32)が左右両側とも線引き作用する状態と左右片側のみ線引き作用する状態と左右両側とも線引き作用しない状態に切替え可能に設け、植付走行する際に機体の側方に該乗用型苗植機が走行して全条植付けできる幅を確認できる畦マーカー(70)を、前記パイプ(61)の先端部に基端部を抜き差しして操縦座席(8)より前方位置で着脱可能に設けたことを特徴とする苗植機。
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JP10939597A JP3674240B2 (ja) | 1997-04-25 | 1997-04-25 | 苗植機 |
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-
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