JP3672105B2 - 感光性導電ペースト - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明はセラミック回路基板上に導体パターンを形成するための感光性導電ペーストに関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、セラミック基板上に導体パターンを形成する場合、導体ペーストをスクリーン印刷する方法が用いられている。スクリーン印刷法での解像度は、アルミナセラミック基板やガラスセラミック基板に導体パターンを形成する、銀、銀−白金などの銀系ペーストや、銅、ニッケルなどの卑金属ペーストでは、150〜200μmが現状であり、より微細なパターンを形成するのは容易ではない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる従来技術の欠点に鑑み創案されたもので、その目的とするところは、100μm以下の導体パターンを、セラミック基板上に、容易に形成することを可能にする感光性導電ペーストを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
かかる本発明の目的は、(a)導電性を有する金属成分粒子、(b)側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル系共重合体、(c)光反応性重合性化合物、および(d)光重合開始剤を含有し、さらに、金属酸化物、ケイ素酸化物、ホウ素酸化物から選択される少なくとも1種の微粒子を添加することを特徴とする焼成用感光性導電ペーストによって達成される。
【0005】
上記の感光性導電ペーストは、焼結済みのセラミック基板、あるいは、未焼成のセラミック粉体を有機結合剤、可塑剤、溶剤などを用いてスラリー状にし、ドクターブレード法などでシート状に造膜したもの(一般にグリーンシートと呼ばれる)の上に塗布される。次いで、塗布膜面上がパターンマスクで覆われ、露光が行われる。そして、現像液への浸漬により未露光部が除去され、導電性を有する金属成分粒子と有機共重合体からなる微細なパターンが得られる。その後、高温で焼成して有機共重合体を熱分解して除去することにより、微細な金属の導体パターンを得ることができる。
【0006】
本発明で用いられる導電性を有する金属成分粒子は、金、銀、白金、パラジウムなどの貴金属およびこれらの合金の粒子や、銅、ニッケル、モリブデン、タングステンなどの卑金属およびこれらの合金の粒子などである。これらの粒子は、線幅100μm以下の導体パターンを形成するためには、平均粒径が50μm以下、より好ましくは、30μm以下であることが望ましい。
【0007】
本発明の側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル系共重合体は、不飽和カルボン酸とエチレン性不飽和化合物を共重合させて形成したアクリル系主鎖ポリマにエチレン性不飽和基をペンダントとして付加させることによって製造することができる。
【0008】
不飽和カルボン酸の具体的な例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、または、これらの酸無水物などが挙げられる。一方、エチレン性不飽和化合物の具体的な例としては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸sec−ブチル、アクリル酸イソ−ブチル、メタクリル酸イソ−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、アクリル酸n−ペンチル、メタクリル酸n−ペンチル、スチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレンなどが挙げられるが特にここに挙げたものに限られるものではない。そして、これらのアクリル系主鎖ポリマの共重合成分として、前記に挙げたエチレン性不飽和化合物の中から少なくともメタクリル酸メチルを含むことによって、熱分解性の良好な共重合体を得ることができる。
【0009】
エチレン性不飽和基を有するペンダントとしてはビニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基のようなものがある。このようなペンダントをアクリル系主鎖ポリマに付加させる方法は、アクリル系主鎖ポリマ中のカルボキシル基にグリシジル基を有するエチレン性不飽和化合物やアクリル酸クロライドを付加反応させて作る方法が一般的である。
【0010】
ここで言うグリシジル基を有するエチレン性不飽和化合物やアクリル酸クロライドとしてはアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、α−エチルアクリル酸グリシジル、クロトニルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジルエーテル、イソクロトン酸グリシジルエーテル、アクリル酸クロライドメタアクリル酸クロライド、アリルクロライド、メタアリルクロライドなどが挙げられる。また、これらのエチレン性不飽和化合物あるいはアクリル酸クロライドの付加量は、アクリル系主鎖ポリマ中のカルボキシル基に対して0.05〜1モル当量が望ましく、さらに好ましくは0.1〜1モル当量が望ましい。エチレン性不飽和化合物の付加量が0.05モル当量未満では、感光特性が不良となり、パターンの形成が困難になる。
【0011】
本発明で使用される光反応重合性化合物は、光反応性を有する炭素−炭素不飽和結合を含有する化合物で、その具体的な例として、アリルアクリラート、ベンジルアクリラート、ブトキシエチルアクリラート、ブトキシトリエチレングリコールアクリラート、シクロヘキシルアクリラート、ジシクロペンタニルアクリラート、ジシクロペンテニルアクリラート、2−エチルヘキシルアクリラート、グリセロールアクリラート、グリシジルアクリラート、ヘプタデカフロロデシルアクリラート、2−ヒドロキシエチルアクリラート、イソボニルアクリラート、2−ヒドロキシプロピルアクリラート、イソデシルアクリラート、イソオクチルアクリラート、ラウリルアクリラート、2−メトキシエチルアクリラート、メトキシエチレングリコールアクリラート、メトキシジエチレングリコールアクリラート、オクタフロロペンチルアクリラート、フェノキシエチルアクリラート、ステアリルアクリラート、トリフロロエチルアクリラート、アリル化シクロヘキシルジアクリラート、ビスフェノールAジアクリラート、1,4−ブタンジオールジアクリラート、1,3−ブチレングリコールジアクリラート、エチレングリコールジアクリラート、ジエチレングリコールジアクリラート、トリエチレングリコールジアクリラート、ポリエチレングリコールジアクリラート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリラート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリラート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリラート、グリセロールジアクリラート、メトキシ化シクロヘキシルジアクリラート、ネオペンチルグリコールジアクリラート、プロピレングリコールジアクリラート、ポリプロピレングリコールジアクリラート、トリグリセロールジアクリラート、トリメチロールプロパントリアクリラートおよび上記のアクリラートをメタクリラートに変えたもの、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、1−ビニル−2−ピロリドンなどが挙げられるが、特にこれらに限定されない。本発明ではこれらを1種または2種以上使用することができる。
【0012】
本発明で用いる光重合開始剤は周知のものであり、その具体的な例として、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4′−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4′−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2′−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−t−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンゾスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンザルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサノン,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、1−フェニル−1,2−ブタンジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、また、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、N−フェニルチオアクリドン、4,4′−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、カンファーキノン、四臭化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾインおよびエオシン、メチレンブルーなどの光還元性色素とアスコルビン酸、トリエタノールアミンなどの還元剤の組み合わせなどが挙げられるが、特にこれらに限定されない。本発明ではこれらを1種または2種以上使用することができる。
【0013】
本発明の感光性導電ペーストにおいて、導電性を有する金属成分粒子は、側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル系共重合体、光反応重合性化合物および光重合開始剤の総和に対し、重量比で1〜20倍量、より好ましくは、2〜10倍量であることが望ましい。導電性を有する金属成分粒子の量が少なすぎれば、形成される導体パターンの電気抵抗が大きくなりすぎる。一方、導電性を有する金属成分粒子の量が多すぎれば、微細な導体パターンを形成することが困難になる。また、側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル系共重合体は、光反応重合性化合物に対して、通常、重量比で0.1〜10倍量用いる。該アクリル系共重合体の量が少なすぎれば、ペーストの粘度が小さくなりすぎ、導電性を有する金属成分粒子のペースト中での分散の均一性が不良となるおそれがある。一方、アクリル系共重合体の量が多すぎれば、未露光部の現像液への溶解性が不良となる。さらに、光重合開始剤は、側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル系共重合体と光反応重合性化合物の和に対し、通常、0.1〜50重量%、より好ましくは、2〜25重量%用いる。光重合開始剤の量が少なすぎれば、光感度が不良となり、光重合開始剤の量が多すぎれば、光架橋される成分が少なくなりすぎ、現像時における露光部の残存率が小さくなりすぎるおそれがある。
【0014】
本発明の感光性導電ペーストは、側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル系共重合体と光重合開始剤を光反応重合性化合物に溶解し、この溶液に導電性を有する金属成分粒子を分散させることにより製造することができるが、側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル系共重合体と光重合開始剤が光反応重合性化合物に溶解しない場合、あるいは、溶液の粘度を調節したい場合には、該アクリル系共重合体、光重合開始剤および光反応重合性化合物の混合物が溶解可能である有機溶媒を加えてもよい。この時使用される有機溶媒は、側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル系共重合体、光重合開始剤および光反応重合性化合物の混合物を溶解しうるものであればよく、特に限定されないが、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルエチルケトン、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド、γ−ブチロラクトンなどや、これらのうちの1種以上を含有する有機溶媒混合物が好適に用いられる。
【0015】
また、光感度を向上させうる増感剤を、本発明の感光性導電ペーストに添加してもよい。増感剤の具体的な例として、2,5−ビス(4′−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノン、2,6−ビス(4′−ジメチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4′−ジエチルアミノベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、ミヒラーケトン、4,4′−ビス(ジエチルアミノ)−ベンゾフェノン、4,4′−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4′−ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p−ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p−ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)ベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)−イソナフトチアゾール、1,3−ビス(4′−ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3−ビス(4′−ジエチルアミノベンザル)アセトン、3,3′−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノクマリン)、N−フェニル−N′−エチルエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、N−トリルジエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、3−フェニル−5−イソオキサゾロン、1−フェニル−5−ベンゾイルチオ−テトラゾール、1−フェニル−5−エトキシカルボニルチオ−テトラゾールなどが挙げられるが、特にこれらに限定されない。本発明ではこれらの増感剤を1種または2種以上使用することができる。なお、増感剤の中には光重合開始剤としても作用するものがある。
【0016】
増感剤を本発明の感光性導電ペーストに添加する場合、その添加量は、側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル系共重合体と光反応重合性化合物の和に対し、通常、0.1〜30重量%、より好ましくは、0.5〜15重量%である。増感剤の量が少なすぎれば、光感度を向上させる効果が発揮されず、増感剤の量が多すぎれば、光架橋される成分が少なくなりすぎ、現像時における露光部の残存率が小さくなりすぎるおそれがある。
【0017】
本発明の感光性導電ペーストには、焼成時における基板との結合成分として、金属酸化物、ケイ素酸化物、ホウ素酸化物などの微粒子を添加してもよい。その具体的な例として、酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、酸化クロム、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化鉄、亜酸化銅、酸化第二銅、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化バリウム、ホウケイ酸鉛、ホウケイ酸ビスマス、ホウケイ酸バリウム、ホウケイ酸カルシウムなどが挙げられるが、特にこれらに限定されるわけではない。これらの微粒子は、線幅100μm以下の導体パターンを形成するためには、平均粒径が50μm以下、より好ましくは、30μm以下であることが望ましい。これらの微粒子を添加する場合、その添加量は通常、導電性を有する金属成分粒子の0.5〜20重量%、より好ましくは、1〜10重量%である。結合成分微粒子の添加量が少なすぎれば、基板と導体パターンを結合する効果が発揮されず、結合成分微粒子の添加量が多すぎれば、導体パターンの電気抵抗が大きくなりすぎる。
【0018】
本発明の感光性導電ペーストに、保存時の熱的な安定性を向上させるため、熱重合禁止剤を添加することもできる。熱重合禁止剤の具体的な例としては、ヒドロキノン、N−ニトロソジフェニルアミン、フェノチアジン、p−t−ブチルカテコール、N−フェニルナフチルアミン、2,6−ジ−t−ブチル−p−メチルフェノール、クロラニール、ピロガロールなどが挙げられるが特にこれらに限定されない。熱重合禁止剤を添加する場合、その添加量は、側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル系共重合体と光反応重合性化合物の和に対し、通常、0.1〜20重量%、より好ましくは、0.5〜10重量%である。熱重合禁止剤の量が少なすぎれば、保存時の熱的な安定性を向上させる効果が発揮されず、熱重合禁止剤の量が多すぎれば、光架橋される成分が少なくなりすぎ、現像時における露光部の残存率が小さくなりすぎるおそれがある。
【0019】
また、本発明の感光性導電ペーストには、保存時における、導電性を有する金属成分粒子、あるいは、アクリル系共重合体の酸化を防ぐために、酸化防止剤を添加してもよい。酸化防止剤の具体的な例として、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールブチル化ヒドロキシアニゾール、2,6−ジ−t−4−エチルフェノール、2,2′−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、ビス[3,3′−ビス−(4′−ヒドロキシ−3′−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、ジラウリルチオジプロピオナート、トリフェニルホスファイトなどが挙げられるが、特にこれらに限定されない。酸化防止剤を添加する場合、その添加量は通常、導電性を有する金属成分粒子、側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル系共重合体、光反応重合性化合物および光重合開始剤の総和に対し、0.01〜5重量%、より好ましくは、0.1〜1重量%である。酸化防止剤の量が少なすぎれば、保存時の導電性を有する金属成分粒子、あるいは、アクリル系共重合体の酸化を防ぐ効果が発揮されず、酸化防止剤の量が多すぎれば、光架橋される成分が少なくなりすぎ、現像時における露光部の残存率が小さくなりすぎるおそれがある。
【0020】
本発明の感光性導電ペーストは、ブレードコーター、バーコーター、スクリーン印刷法などで、セラミック基板やグリーンシート上に塗布される。なお、シランカップリング剤、アルミニウムキレート剤、チタニウムキレート剤などの接着助剤で、基板表面を処理しておくと、現像時の露光パターンの流失を抑えることができる。
【0021】
ペーストを基板上に塗布した後、ペーストに有機溶媒が含まれている場合は、風乾、加熱乾燥、真空乾燥などにより、有機溶媒を除去する。この後、塗布膜は通常のフォトマスクを用いて露光される。この際に使用される活性光線としては、たとえば、紫外線、電子線、X線などが挙げられるが、これらの中では紫外線が好ましく、その光源としては、たとえば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ハロゲンランプ、殺菌灯などが挙げられる。これらの光源の中で超高圧水銀灯が好適である。また、露光は窒素雰囲気中、あるいは、真空中で行うのが好ましい。
【0022】
露光後、現像液を使用して現像を行うが、この場合、侵漬法やスプレー法を用いることができる。現像液としては、前記の側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル系共重合体、光反応重合性化合物、および、光重合開始剤の混合物が溶解可能である有機溶媒が使用できる。また、該有機溶媒に、その溶解力が失われない範囲で水を添加してもよい。また、アクリル系共重合体の側鎖にカルボキシル基が存在する場合、アルカリ水溶液でも現像することができる。アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カルシウム水溶液などのような金属アルカリ水溶液を使用することもできるが、有機アルカリ水溶液を用いたほうが、焼成時にアルカリ成分が除去されやすく好ましい。有機アルカリの具体例としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキサイド、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどが挙げられるが、特にこれらに限定されるわけではない。アルカリ水溶液の濃度は、通常、0.01〜20重量%、より好ましくは、0.1〜10重量%である。アルカリ濃度が低すぎれば、未露光部が除去されず、アルカリ濃度が高すぎれば、導電性を有する金属成分粒子が腐食するおそれがある。なお、有機溶媒で現像した場合は、現像直後に、ヘキサン、ペンタン、エチルアルコールなどの有機溶媒や水でリンスすることが好ましく、アルカリ水溶液で現像した場合は、現像直後に、水あるいは酸の稀薄水溶液でリンスすることが好ましい。
【0023】
こうして得られたパターンは、通常、窒素雰囲気下、500〜2000℃の温度で加熱処理され、有機共重合体が熱分解して除去されて、金属の導体パターンとなる。
【0024】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0025】
実施例1
1000mlの4つ口フラスコにイソプロピルアルコールを100g仕込み、これをオイルバス中で80℃に保ち窒素シール、攪拌を行いながらメタクリル酸メチル30gとスチレン40g、メタクリル酸30gにN.N−アゾビスイソブチロニトリル2gを混合してこれを滴下ロートで30分かけて滴下した。そして、4時間反応を続けた後、ハイドロキノンモノメチルエーテルを1g添加してから常温に戻し重合を完了した。この様にして得られたものをポリマAとした。つぎにこのポリマAにイソプロピルアルコールを100gを添加した後、これを75℃に保ちながらメタクリル酸グリシジル40gとトリエチルベンジルアンモニウムクロライド3gを添加し3時間反応させた。この様にして得られたものをポリマBとした。ここでメタクリル酸グリシジルの反応率は、反応前後のポリマ酸価の変化から求めたところ70%であった。したがって付加量は0.73モル当量であった。
【0026】
紫外線遮断下で、エチルセロソルブ12gにポリマBを6g、2−ヒドロキシエチルメタクリラートを6g、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノンを1.2g溶解させた後、平均粒径4μmの銅微粒子を46.8g、平均粒径1μmのホウケイ酸鉛微粒子を1.2g混合して、感光性導電ペーストを作成した。
【0027】
シランカップリング剤で表面を処理したアルミナセラミック基板上に、感光性導電ペーストをドクターブレードを用いて塗布し、その後、80℃のホットプレート上に5分間置いて乾燥し、厚み約30μmの膜を得た。この膜面をパターンマスクし、窒素雰囲気下、25mW/cm2 の出力の超高圧水銀灯を用いて10分間露光を行い、次に、モノエタノールアミンの1重量%水溶液に浸漬して現像し、その後、水で洗浄して、線幅80μmのパターンを得た。これを窒素雰囲気下、500℃30分間、850℃30分間のステップで加熱処理し、線幅80μm、厚み約20μm、シート抵抗約30mΩ/口の導体パターンを得た。
【0028】
実施例2
実施例1で2−ヒドロキシエチルメタクリラート6gの代わりに、2−ヒドロキシエチルアクリラート6gを用いる以外は同様にして、感光性導電ペーストを作成した。これを使用して、実施例1と同様の操作を行い、線幅80μm、厚み約20μm、シート抵抗約30mΩ/口の導体パターンを得た。
【0029】
実施例3
1000mlの4つ口フラスコにイソプロピルアルコールを100g仕込み、これをオイルバス中で80℃に保ち窒素シール、攪拌を行いながらメタクリル酸メチル10gとスチレン60g、メタクリル酸30gにN.N−アゾビスイソブチロニトリル2gを混合してこれを滴下ロートで30分かけて滴下した。そして、4時間反応を続けた後、ハイドロキノンモノメチルエーテルを1g添加してから常温に戻し重合を完了した。この様にして得られたものをポリマCとした。つぎにこのポリマCにイソプロピルアルコールを100gを添加した後、これを75℃に保ちながらメタクリル酸グリシジル40gとトリエチルベンジルアンモニウムクロライド3gを添加し3時間反応させた。この様にして得られたものをポリマDとした。ここでメタクリル酸グリシジルの反応率は、反応前後のポリマ酸価の変化から求めたところ70%であった。したがって付加量は0.73モル当量であった。
【0030】
紫外線遮断下で、エチルセロソルブ12gにポリマDを5g、2−ヒドロキシエチルメタクリラートを7g、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノンを1.2g溶解させた後、平均粒径4μmの銅微粒子を46.8g、平均粒径1μmのホウケイ酸鉛微粒子を1.2g混合して、感光性導電ペーストを作成した。これを使用して、実施例1と同様の操作を行い、線幅80μm、厚み約20μm、シート抵抗約30mΩ/口の導体パターンを得た。
【0031】
【発明の効果】
本発明の感光性導電ペーストは上述のごとく構成したので、これを用いて、露光、現像および熱処理を行うことにより、セラミック基板上に線幅100μm以下の導体パターンを確実に得ることができという顕著な実用効果を奏するものである。
Claims (4)
- (a)導電性を有する金属成分粒子、(b)側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル系共重合体、(c)光反応性重合性化合物、および(d)光重合開始剤を含有し、さらに、金属酸化物、ケイ素酸化物、ホウ素酸化物から選択される微粒子を添加することを特徴とする焼成用感光性導電ペースト。
- 側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル系共重合体が少なくともメタクリル酸メチルを共重合体成分として含むことを特徴とする請求項1記載の焼成用感光性導電ペースト。
- 側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル系共重合体が、カルボキシル基を有するアクリル系主鎖ポリマにグリシジル基を有するエチレン性不飽和化合物を付加させたものである請求項1記載の焼成用感光性導電ペースト。
- (a)導電性を有する金属成分粒子の含有量が、(b)側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル系共重合体、(c)光反応性重合性化合物、および(d)光重合開始剤の総和に対し、重量比で2〜10倍量である請求項1記載の焼成用感光性導電ペースト。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22787691A JP3672105B2 (ja) | 1991-09-09 | 1991-09-09 | 感光性導電ペースト |
Applications Claiming Priority (1)
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JP22787691A JP3672105B2 (ja) | 1991-09-09 | 1991-09-09 | 感光性導電ペースト |
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