JP3951327B2 - 感光性ペーストおよびプラズマディスプレイの製造方法 - Google Patents

感光性ペーストおよびプラズマディスプレイの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は新規な感光性ペーストに関する。本発明の感光性ペーストは、プラズマディスプレイ等のディスプレイのパターン加工および回路材料等のパターン加工に用いられる。
【0002】
【従来の技術】
近年、回路材料やディスプレイにおいて、小型・高精細化が進んでおり、それに伴って、パターン加工技術も技術向上が望まれている。特に、コンピューターのCPU等に用いるグリーンシートやプラズマディスプレイパネルの隔壁形成には、高精度であることと共に、高アスペクト比のパターン加工が可能な材料が望まれている。
【0003】
従来、無機材料のパターン加工を行う場合、無機粉末と有機バインダーからなるペーストによるスクリーン印刷が多く用いられている。しかしながらスクリーン印刷は精度の高いパターンが形成できないという欠点があった。
【0004】
この問題を改良する方法として、特開平1−296534号公報、特開平2−165538号公報、特開平5−342992号公報では、感光性ペーストを用いてフォトリソグラフィ技術に形成する方法が提案されている。しかしながら、感光性ペーストの感度や解像度が低いために高アスペクト比、高精細の隔壁が得られないために、例えば80μmを越えるような厚みのものをパターン加工する場合、複数回の加工工程(スクリーン印刷・露光・現像)を必要とするため、工程が長くなる欠点があった。
【0005】
また、特開平2−165538号公報では、感光性ペーストを転写紙上にコーティングした後、転写フィルムをガラス基板上に転写して隔壁を形成する方法が、特開平3−57138号公報では、フォトレジスト層の溝に誘電体ペーストを充填して隔壁を形成する方法がそれぞれ提案されている。また特開平4−109536号公報では、感光性有機フィルムを用いて隔壁を形成する方法が提案されている。しかしながら、これらの方法では、転写フィルムやフォトレジストあるいは有機フィルムを必要とするために工程が増えるという問題点があった。また、高精細度や高アスペクト比を有する隔壁を得るには至っていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは上記欠点のない感光性ペーストについて鋭意検討した結果、次の発明に到達した。特に、高アスペクト比かつ高精度のパターン加工を可能にする感光性ペーストを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、感光性ペースト中の有機成分の屈折率制御を行うことによって、無機成分との界面での反射・散乱を削減し、高アスペクト比かつ高精度のパターン加工を行うことを特徴とする感光性ペーストに関する。
【0008】
本発明の目的は、無機微粒子と光反応性化合物を含む有機成分を必須成分とする感光性ペーストであって、光反応性化合物中に屈折率1.55〜1.8の光反応性モノマーを含み、該有機成分の屈折率と該無機微粒子との屈折率の差が0.08以下であり、該光反応性モノマーが硫黄原子を含有するメタクリレートモノマーまたは硫黄原子を含有するアクリレートモノマーであることを特徴とする感光性ペーストにより達成される。(ここで、屈折率はエリプソメトリー法による波長436nmにおける測定値である。)
【0009】
【発明の実施の形態】
無機微粒子とは、ガラスやセラミックスを用いることが好ましく、特に有用となるのは、無機微粒子として、ガラス微粒子を用いた場合である。
【0010】
ガラス微粒子としては、特に限定はないが、ガラス転移温度350〜500℃、熱軟化温度が400〜600℃のガラス微粒子をペースト中に30重量%以上含有することによって、通常のディスプレイに用いられるガラス基板上にパターン加工できる。
【0011】
このようなガラス微粒子として、酸化ビスマス、酸化鉛、酸化リチウムのうち少なくとも1種類を5〜80重量%含有するガラス微粒子を用いることができるが、ペーストのポットライフや絶縁性の点から、酸化ビスマスを5〜50重量%含有するガラス微粒子を用いることが好ましい。
【0012】
酸化ビスマスを含むガラス組成としては、酸化物換算表記で
Bi2 3 5〜50重量部
SiO2 3〜60重量部
2 3 5〜40重量部
の成分を含有するガラス微粒子を用いることが好ましく、さらには、ガラス微粒子が、酸化物換算表記で
Bi2 3 5〜50重量部
SiO2 3〜60重量部
2 3 5〜40重量部
BaO 0〜25重量部
Al2 3 0〜 5重量部
ZnO 2〜40重量部
の成分を含有するガラス微粒子を用いることにより、優れたパターンをガラス基板上に形成できることを見出した。
【0013】
ガラス粉末中に、Li2 Oを含有することができるが、その量は60重量%以下であることが好ましい。また、ガラス粉末中に、CaO、TiO2 、ZrO2 などを含有することができるが、その量は20重量%以下であることが好ましい。また、Na2 O、K2 O、Y2 3 などの金属酸化物は5重量%以下であることが好ましい。
【0014】
ガラス粉末中の組成としては、SiO2 は3〜60重量%の範囲で配合することが好ましく、3重量%未満の場合はガラス層の緻密性、強度や安定性が低下し、またガラス基板と熱膨張係数のミスマッチが起こり、所望の値から外れる。また60重量%以下にすることによって、熱軟化点が低くなり、ガラス基板への焼き付けが可能になるなどの利点がある。
【0015】
2 3 は5〜40重量%の範囲で配合することによって、電気絶縁性、強度、熱膨張係数、絶縁層の緻密性などの電気、機械および熱的特性を向上することができる。また、40重量%を越えるとガラスの安定性が低下する。
【0016】
Bi2 3 は5〜80重量%、より好ましくは5〜60重量%、さらに好ましくは5〜50重量%の範囲で配合することが好ましい。5重量%未満ではガラスペーストをガラス基板上に焼付けする時に、焼付け温度を制御するのに効果が少ない。80重量%を越えるとガラスの耐熱温度が低くなり過ぎてガラス基板上への焼き付けが難しくなる。
【0017】
ZnOは2〜40重量%の範囲で配合することが好ましい。40重量%を越えると、ガラス基板上に焼付けする温度が低くなり過ぎて制御できなくなり、また絶縁抵抗が低くなるので好ましくない。
【0018】
上記において使用されるガラス粉末粒子径は、作製しようとするパターンの形状を考慮して選ばれるが、50重量%粒子径が0.1〜10μmが好ましい。
【0019】
また、発明者らは、ガラス微粒子として、形状が球状であるガラス微粒子を用いることによって、高アスペクト比のパターンニングが可能であることを見いだした。ガラス微粒子として、球形率80個数%以上のガラス微粒子を50重量%以上用いることによって、ガラス表面積を小さくして、ペースト中の光散乱を抑制することができる。
【0020】
さらに、ガラス微粒子として、436nmの波長での全光線透過率が50%以上のガラス微粒子を用いることを特徴とするガラス微粒子を用いることが好ましい。ガラス微粒子内部の散乱や吸収を抑制することによって、パターン特性は向上する。
【0021】
この場合に用いるガラス微粒子としては、50重量%粒子径が1〜7μm、10重量%粒子径が0.4〜2μm、90重量%粒子径が4〜10μm、比表面積0.2〜3m2 /gのガラス微粒子が適している。
【0022】
上記の酸化ビスマス、酸化鉛、酸化リチウムを含むガラスは、平均屈折率が1.56〜1.80、多くの場合は1.60〜1.80になる。この場合、有機成分の平均屈折率が1.56以下の場合は、有機成分と無機微粒子の屈折率差が大きくなり、光散乱のため、パターン形成が困難になる。
【0023】
そこで、発明者らは、ガラス転移点が350〜550℃のガラス微粒子を用いても、屈折率を1.56以上、さらには、1.6以上の有機成分を含有する感光性ペーストが、高アスペクト比で、高精度のパターンニングに有効であることを見いだした。しかし、有機成分の平均屈折率を1.8以上にした場合は、屈折率が高すぎるため、逆に光散乱が大きくなりすぎるため、好ましくない。
【0024】
特に、酸化ビスマスを10重量%以上含むガラス微粒子を用いた場合、有機成分の屈折率は1.56以上にすることが好ましい。
【0025】
また、用いる有機成分と無機微粒子との平均屈折率の差を0.05以下にすることによって、厚膜時のパターン加工性はさらに向上する。平均屈折率の差とは、無機微粒子の平均屈折率から有機物の平均屈折率を差し引いた値の絶対値のことである。
【0026】
本発明における屈折率の測定は、ペーストを塗布した後に、照射する紫外光の波長で測定することが効果を確認する上で正確である。特に、350〜480nmの範囲の中で、任意の波長の光で測定することが好ましい。さらには、i線(365nm)、h線(405nm)、g線(436nm)のうちから選ばれる1種類の波長での屈折率測定が好ましい。
【0027】
有機成分には、感光性モノマー、感光性オリゴマー、感光性ポリマーのうち少なくとも1種類から選ばれる感光性成分、および、バインダー、光重合開始剤、紫外線吸光剤、増感剤、増感助剤、重合禁止剤、可塑剤、増粘剤、有機溶媒、酸化防止剤、分散剤、有機あるいは無機の沈殿防止剤などの添加剤成分を加えることも行われる。
【0028】
感光性成分としては、光不溶化型のものと光可溶化型のものがあり、光不溶化型のものとして、
(1)分子内に不飽和基などを1つ以上有する官能性のモノマー、オリゴマー、ポリマーを含有するもの
(2)芳香族ジアゾ化合物、芳香族アジド化合物、有機ハロゲン化合物などの感光性化合物を含有するもの
(3)ジアゾ系アミンとホルムアルデヒドとの縮合物などいわゆるジアゾ樹脂といわれるもの
等がある。また、光可溶型のものとしては、
(4)ジアゾ化合物の無機塩や有機酸とのコンプレックス、キノンジアゾ類を含有するもの
(5)キノンジアゾ類を適当なポリマーバインダーと結合させた、例えばフェノール、ノボラック樹脂のナフトキノン1,2−ジアジド−5−スルフォン酸エステル
等がある。
【0029】
本発明において用いる感光性成分は、上記のすべてのものを用いることができるものの、 光反応性成分の屈折率を高くする方法としては、屈折率が高い感光性モノマー、感光性オリゴマー、感光性ポリマーの内の少なくとも1種類を用いる方法がある。
【0030】
感光性ペースト中に含まれる有機成分の屈折率を制御する方法としては、感光性モノマーの屈折率を制御する方法が最も簡便な方法である。
【0031】
特に、屈折率1.55〜1.8の光反応性のモノマーを有機成分中に10〜80重量%、好ましくは20〜70重量%用いることによって、有機成分の屈折率を高めることができる。
【0032】
用いる感光性モノマーとしては、ベンゼン環、ナフタレン環などの芳香環や硫黄原子を含有するメタクリレートモノマーもしくはアクリレートモノマーを用いることが高屈折率化に有効である。
【0033】
特に、光硬化時の架橋密度を高くして、パターン形成性を向上するためには、多官能メタクリレートモノマーもしくはアクリレートモノマーを用いることが高屈折率化に有効である。
【0034】
具体的には、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、1−ナフチル(メタ)アクリレート、2−ナフチル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA−エチレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA−プロピレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、1−ナフチル(メタ)アクリレート、2−ナフチル(メタ)アクリレート、チオフェノール(メタ)アクリレート、ベンジルメルカプタン(メタ)アクリレートまたこれらの芳香環中の1〜5個の水素原子を塩素または臭素原子に置換した化合物を用いることができる。
【0035】
また、分子内に、硫黄原子を原子を含有するモノマ−としては、チオール(メタ)アクリレート基を有するモノマーやフェニルスルフィド構造を含有するモノマーを用いることができる。
【0036】
フェニルスルフィドを含有するモノマーの具体例としては、次の一般式(a)で表されるものがある。構造式中のRは水素原子もしくはメチル基を示す。nは、0もしくは1である。
【0037】
【化2】
Figure 0003951327
これらの屈折率を向上させるモノマーに、種々の感光性モノマーを混合して用いることもできる。
【0038】
感光性モノマーとしては、炭素−炭素不飽和結合を含有する化合物で、その具体的な例として、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、イソ−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、アリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシトリエチレングリコールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、グリセロールアクリレート、グリシジルアクリレート、ヘプタデカフロロデシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、イソボニルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、イソデキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、オクタフロロペンチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、トリフロロエチルアクリレート、アリル化シクロヘキシルジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、グリセロールジアクリレート、メトキシ化シクロヘキシルジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリグリセロールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、アクリルアミド、アミノエチルアクリレートおよび上記化合物の分子内のアクリレートを一部もしくはすべてをメタクリレートに変えたもの、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、1−ビニル−2−ピロリドンなどが挙げられる。
【0039】
本発明ではこれらを1種または2種以上使用することができる。これら以外に、不飽和カルボン酸等の不飽和酸を加えることによって、感光後の現像性を向上することができる。不飽和カルボン酸の具体的な例としては、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、またはこれらの酸無水物などがあげられる。
【0040】
一方、感光性オリゴマーや感光性ポリマーとしては、ベンゼン環、ナフタレン環などの芳香環を有するメタクリレートモンマーもしくはアクリレートモノマー、具体的には、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、1−ナフチル(メタ)アクリレート、2−ナフチル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA−エチレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA−プロピレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、チオフェノール(メタ)アクリレート、ベンジルメルカプタン(メタ)アクリレート、また、これらの芳香環の水素原子のうち、1〜5個を塩素または臭素原子に置換したモノマー、上記一般式に示した化合物、もしくは、スチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、塩素化スチレン、臭素化スチレン、α−メチルスチレン、塩素化α−メチルスチレン、臭素化α−メチルスチレン、クロロメチルスチレン、ヒドロキシメチルスチレンのうち少なくとも1種類を重合して得られたオリゴマーやポリマーを用いることができる。
【0041】
重合する際に、これらのモノマーの含有率が10重量%以上、さらに好ましくは35重量%以上になるように、他の感光性のモノマーと共重合することができる。共重合するモノマーとしては、前述の炭素−炭素不飽和結合を含有する化合物を用いることができる。
【0042】
また、不飽和カルボン酸等の不飽和酸を共重合することによって、感光後の現像性を向上することができる。不飽和カルボン酸の具体的な例としては、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、またはこれらの酸無水物などがあげられる。
【0043】
こうして得られた側鎖にカルボキシル基等の酸性基を有するポリマーもしくはオリゴマーの酸価(AV)は50〜180、さらには70〜140の範囲が好ましい。酸価が50未満であると、現像許容幅が狭くなる。また、酸価が180を越えると未露光部の現像液に対する溶解性が低下するようになるため現像液濃度を濃くすると露光部まで剥がれが発生し、高精細なパターンが得られにくい。
【0044】
以上示した、ポリマーもしくはオリゴマーに対して、光反応性基を側鎖または分子末端に付加させることによって、感光性を付与することができる。好ましい光反応性基は、エチレン性不飽和基を有するものである。エチレン性不飽和基としては、ビニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基などがあげられる。
【0045】
このような側鎖をオリゴマーやポリマーに付加させる方法は、ポリマー中のメルカプト基、アミノ基、水酸基やカルボキシル基に対して、グリシジル基やイソシアネート基を有するエチレン性不飽和化合物やアクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドまたはアリルクロライドを付加反応させて作る方法がある。
【0046】
グリシジル基を有するエチレン性不飽和化合物としては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、エチルアクリル酸グリシジル、クロトニルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジルエーテル、イソクロトン酸グリシジルエーテルなどがあげられる。
【0047】
イソシアネート基を有するエチレン性不飽和化合物としては、(メタ)アクリロイルイソシアネート、(メタ)アクリロイルエチルイソシアネート等がある。
【0048】
また、グリシジル基やイソシアネート基を有するエチレン性不飽和化合物やアクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドまたはアリルクロライドは、ポリマー中のメルカプト基、アミノ基、水酸基やカルボキシル基に対して0.05〜1モル当量付加させることが好ましい。
【0049】
本発明において用いられる感光性ペースト中に、バインダー、光重合開始剤、紫外線吸光剤、増感剤、増感助剤、重合禁止剤、可塑剤、増粘剤、有機溶媒、酸化防止剤、分散剤、有機あるいは無機の沈殿防止剤などの添加剤成分を加えることも行われる。
【0050】
バインダーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、メタクリル酸エステル重合体、アクリル酸エステル重合体、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、α−メチルスチレン重合体、ブチルメタクリレート樹脂などがあげられる。このバインダー成分の高屈折率化を行うことも、感光性有機成分の高屈折率化には効果的である。バインダー成分の高屈折率化方法は、前述の感光性ポリマーや感光性オリゴマーにおいて、光反応性基であるエチレン性不飽和基を側鎖または分子末端に付加していないものを用いることができる。つまり、感光性ポリマーや感光性オリゴマーの反応性基を付与する工程を省略したものをバインダーとして用いることができる。
【0051】
光重合開始剤としての具体的な例として、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニル−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−t−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジル、ベンジルジメチルケタノール、ベンジルメトキシエチルアセタール、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンゾスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンザルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、N−フェニルチオアクリドン、4,4−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホルフィン、カンファーキノン、四臭素化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾインおよびエオシン、メチレンブルーなどの光還元性の色素とアスコルビン酸、トリエタノールアミンなどの還元剤の組合せなどがあげられる。本発明ではこれらを1種または2種以上使用することができる。光重合開始剤は、感光性成分に対し、0.05〜10重量%の範囲で添加され、より好ましくは、0.1〜5重量%である。重合開始剤の量が少なすぎると、光感度が不良となり、光重合開始剤の量が多すぎれば、露光部の残存率が小さくなりすぎるおそれがある。
【0052】
紫外線吸光剤を添加することも有効である。紫外線吸収効果の高い吸光剤を添加することによって高アスペクト比、高精細、高解像度が得られる。紫外線吸光剤としては有機系染料からなるもの、中でも350〜450nmの波長範囲で高UV吸収係数を有する有機系染料が好ましく用いられる。具体的には、アゾ系染料、アミノケトン系染料、キサンテン系染料、キノリン系染料、アミノケトン系染料、アントラキノン系、ベンゾフェノン系、ジフェニルシアノアクリレート系、トリアジン系、p−アミノ安息香酸系染料などが使用できる。有機系染料は吸光剤として添加した場合にも、焼成後の絶縁膜中に残存しないで吸光剤による絶縁膜特性の低下を少なくできるので好ましい。これらの中でもアゾ系およびベンゾフェノン系染料が好ましい。有機染料の添加量は0.05〜5重量部が好ましい。0.05重量%以下では紫外線吸光剤の添加効果が減少し、5重量%を越えると焼成後の絶縁膜特性が低下するので好ましくない。より好ましくは0.15〜1重量%である。有機顔料からなる紫外線吸光剤の添加方法の一例を上げると、有機顔料を予め有機溶媒に溶解した溶液を作製し、次に該有機溶媒中にガラス粉末を混合後、乾燥することによってできる。この方法によってガラス粉末の個々の粉末表面に有機の膜をコートしたいわゆるカプセル状の粉末が作製できる。
【0053】
本発明において、無機微粒子に含まれるPb、Fe、Cd、Mn、Co、Mgなどの金属およびその酸化物がペースト中に含有する感光性成分と反応してペーストが短時間でゲル化し、塗布できなくなる場合がある。このような反応を防止するために安定化剤を添加してゲル化を防止することが好ましい。用いる安定化剤としては、トリアゾール化合物が好ましく用いられる。トリアゾール化合物の中でも特にベンゾトリアゾールが有効に作用する。本発明において使用されるベンゾトリアゾールによるガラス粉末の表面処理の一例を上げると、無機微粒子に対して所定の量のベンゾトリアゾールを酢酸メチル、酢酸エチル、エチルアルコール、メチルアルコールなどの有機溶媒に溶解した後、これら微粒子が十分に浸すことができるように溶液中に1〜24時間浸積する。浸積後、好ましくは20〜30℃下で自然乾燥して溶媒を蒸発させてトリアゾール処理を行った粉末を作製する。使用される安定化剤の割合(安定化剤/無機微粒子)は0.05〜5重量%が好ましい。
【0054】
増感剤は、感度を向上させるために添加される。増感剤の具体例としては、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,3−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミニベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、ミヒラーケトン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)−ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p−ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p−ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)−イソナフトチアゾール、1,3−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3−カルボニル−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)アセトン、3,3−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノクマリン)、N−フェニル−N−エチルエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、N−トリルジエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、3−フェニル−5−ベンゾイルチオテトラゾール、1−フェニル−5−エトキシカルボニルチオテトラゾールなどがあげられる。本発明ではこれらを1種または2種以上使用することができる。なお、増感剤の中には光重合開始剤としても使用できるものがある。増感剤を本発明の感光性ペーストに添加する場合、その添加量は有機物量に対して通常0.05〜40重量%、より好ましくは5〜40重量%である。増感剤の量が少なすぎれば光感度を向上させる効果が発揮されない。また、増感剤は、露光波長付近での吸収を有しており、一般的に露光波長での屈折率向上効果が著しい。
【0055】
重合禁止剤は、保存時の熱安定性を向上させるために添加される。重合禁止剤の具体的な例としては、ヒドロキノン、ヒドロキノンのモノエステル化物、N−ニトロソジフェニルアミン、フェノチアジン、p−t−ブチルカテコール、N−フェニルナフチルアミン、2,6−ジ−t−ブチル−p−メチルフェノール、クロラニール、ピロガロールなどが挙げられる。重合禁止剤を添加する場合、その添加量は、感光性ペースト中に、通常、0.001〜1重量%である。
【0056】
可塑剤の具体的な例としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ポリエチレングリコール、グリセリンなどがあげられる。
【0057】
酸化防止剤は、保存時におけるアクリル系共重合体の酸化を防ぐために添加される。酸化防止剤の具体的な例として2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−4−エチルフェノール、2,2−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)ブタン、ビス[3,3−ビス−(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、ジラウリルチオジプロピオナート、トリフェニルホスファイトなどが挙げられる。酸化防止剤を添加する場合、その添加量は通常、添加量は、ペースト中に、通常、0.001〜1重量%である。
【0058】
本発明の感光性ペーストには、溶液の粘度を調整したい場合、有機溶媒を加えてもよい。このとき使用される有機溶媒としては、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルエチルケトン、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド、γ−ブチロラクトン、ブロモベンゼン、クロロベンゼン、ジブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロモ安息香酸、クロロ安息香酸などやこれらのうちの1種以上を含有する有機溶媒混合物が用いられる。
【0059】
感光性ペーストは、通常、無機微粒子、紫外線吸光剤、感光性ポリマー、感光性モノマー、光重合開始剤、ガラスフリットおよび溶媒等の各種成分を所定の組成となるように調合した後、3本ローラや混練機で均質に混合分散し作製する。
【0060】
ペーストの粘度は無機微粒子、増粘剤、有機溶媒、可塑剤および沈殿防止剤などの添加割合によって適宜調整されるが、その範囲は2000〜20万cps(センチ・ポイズ)である。例えばガラス基板への塗布をスクリーン印刷法以外にスピンコート法で行う場合は、2000〜5000cpsが好ましい。スクリーン印刷法で1回塗布して膜厚10〜20μmを得るには、5万〜20万cpsが好ましい。
【0061】
次に、感光性ペーストを用いてパターン加工を行う一例について説明するが、本発明はこれに限定されない。
ガラス基板もしくはセラミックスの基板の上に、感光性ペーストを全面塗布、もしくは部分的に塗布する。塗布方法としては、スクリーン印刷、バーコーター、ロールコーター等公知の方法を用いることができる。塗布厚みは、塗布回数、スクリーンのメッシュ、ペーストの粘度を選ぶことによって調整できる。
【0062】
ここでペーストをガラス基板上に塗布する場合、基板と塗布膜との密着性を高めるために基板の表面処理を行うことができる。表面処理液としてはシランカップリング剤、例えばビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、トリス−(2−メトキシエトキシ)ビニルシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどあるいは有機金属例えば有機チタン、有機アルミニウム、有機ジルコニウムなどである。シランカップリング剤あるいは有機金属を有機溶媒例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコールなどで0.1〜5%の濃度に希釈したものを用いる。次にこの表面処理液をスピナーなどで基板上に均一に塗布した後に80〜140℃で10〜60分間乾燥することによって表面処理ができる
塗布した上から、フォトマスクを用いて、マスク露光する。用いるマスクは、感光性有機成分の種類によって、ネガ型もしくはポジ型のどちらかを選定する。この際使用される活性光源は、たとえば、近紫外線、紫外線、電子線、X線などが挙げられるが、これらの中で紫外線が好ましく、その光源としてはたとえば低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ハロゲンランプ、殺菌灯などが使用できる。これらのなかでも超高圧水銀灯が好適である。露光条件は塗布厚みによって異なるが、5〜100mW/cm2 の出力の超高圧水銀灯を用いて0.1〜30分間露光を行なう。
【0063】
感光性ペーストを塗布した後に、その表面に酸素遮蔽膜を設けることによって、パターン形状を向上することができる。酸素遮蔽膜の一例としては、PVAの膜が挙げられる。PVA膜の形成方法は濃度が0.5〜5重量%の水溶液をスピナーなどの方法で基板上に均一に塗布した後に70〜90℃で10〜60分間好ましいPVAの溶液濃度は、1〜3重量%である。この範囲にあると感度が一層向上する。PVA塗布によって感度が向上するのは次の理由が推定される。すなわち感光性成分が光反応する際に、空気中の酸素があると光硬化の感度を妨害すると考えられるが、PVAの膜があると余分な酸素を遮断できるので露光時に感度が向上するので好ましい。PVA以外に水溶性で、透明なポリマー例えばセルロース系のメチルセルロースなども使用できる。
【0064】
露光後、現像液を使用して現像を行なうが、この場合、浸漬法やスプレー法で行なう。現像液は、感光性ペースト中の有機成分が溶解可能である有機溶媒を使用できる。また該有機溶媒にその溶解力が失われない範囲で水を添加してもよい。感光性ペースト中にカルボキシル基等の酸性基を持つ化合物が存在する場合、アルカリ水溶液で現像できる。アルカリ水溶液として水酸化ナトリウムや水酸化カルシウム水溶液などのような金属アルカリ水溶液を使用できるが、有機アルカリ水溶液を用いた方が焼成時にアルカリ成分を除去しやすいので好ましい。有機アルカリとしては、公知のアミン化合物を用いることができる。具体的には、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキサイド、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどが挙げられる。アルカリ水溶液の濃度は通常0.01〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量%である。アルカリ濃度が低すぎれば未露光部が除去されずに、アルカリ濃度が高すぎれば、パターン部を剥離させ、また露光部を腐食させるおそれがあり良くない。
【0065】
次に焼成炉にて焼成を行う。焼成雰囲気や温度はペーストや基板の種類によって異なるが、通常は空気中もしくは窒素雰囲気中で焼成する。焼成温度は400〜1000℃で行う。ガラス基板上にパターン加工する場合や無機微粒子として銀を用いた場合は、520〜610℃の温度で10〜60分間保持して焼成を行う。
【0066】
また、以上の工程中に、乾燥、予備反応の目的で、50〜300℃加熱工程を導入しても良い。
【0067】
また、本発明の感光性ペーストをポリエステルフィルムなどの上に塗布することによって、回路材料やディスプレイに用いる感光性グリーンシートを得ることができる。
【0068】
【実施例】
以下に、本発明を実施例を用いて、具体的に説明する。但し、本発明はこれに限定はされない。なお、実施例、比較例中の濃度(%)は重量%である。
【0069】
実施例は、ガラス微粒子及び有機成分からなる感光性ペーストを作成した。
【0070】
作成手順は、まず、有機成分25gを溶媒15gに80℃に加熱しながら溶解し、その後、ガラス微粒子60gを添加し、三本ローラー混練機で混練することによって、ペーストを作成した。
【0071】
次に、30cm角のソーダガラス基板上に、スクリーン印刷法で複数回塗布によって、100μm及び150μmの塗布厚みになるように塗布を行った後、80℃で30分乾燥した。次にフォトマスクを用いて露光を行った。
【0072】
フォトマスクは、ピッチ220μm、線幅60μm、プラズマディスプレイにおけるストライプ状の隔壁パターン形成が可能になるように設計したクロムマスクである。
【0073】
露光は、50mW/cm2 の出力の超高圧水銀灯で紫外線露光を行った。その後、モノエタノールアミンの1%水溶液に浸漬して、現像を行った。さらに、得られたガラス基板を120℃で1時間乾燥した後、580℃で1時間焼成を行った。焼成により約20%程度の収縮が生じる。
【0074】
評価は、パターン形状(線幅50μm、高さ80μmもしくは120μm、ピッチ220μmがターゲット)を電子顕微鏡観察によって観察した。高さ80μm、120μm共に良好な形状が得られている場合は○、80μmのみ良好な形状が得られている場合を△、80μm、120μmの両方とも欠落などにより良好な形状が得られていない場合を×として評価を行った。
【0075】
また、有機成分の屈折率は、エリプソメトリー法によって、25℃における436nmの波長の光に関して測定を行った。
【0076】
ガラス微粒子としては、組成が、SiO2;20%、Al22;24%、B23;31%、Li2O;9%、MgO;6%、CaO;4%、BaO;4%、ZrO2;2%のガラス粉末Aと組成が、SiO2;14%、Al22;4%、B23;18%、Bi23;27%、ZnO;21%、Na2O;2%、BaO;14%のガラス粉末Bを用いた。ガラス粉末Aは平均粒子径2.6μm、比表面積;4.1m2 /g、ガラス転移温度Tgが490℃、熱軟化温度Tsが528℃、球形率3%、436nmの波長での屈折率が1.59のガラス粉末である。ガラス粉末Bは平均粒子径3.5μm、比表面積;3.1m2 /g、ガラス転移温度Tgが485℃、熱軟化温度Tsが527℃、球形率95%、436nmの波長での屈折率が1.73のガラス粉末である。
【0077】
実施例1
ガラス粉末Aおよび表1に示す組成1の有機物を用いて、感光性ペーストを作製し、パターン作成を行ったところ、高さ80μm、120μm共に良好な形状が得られた。
【0078】
実施例2
ガラス粉末Aおよび表1に示す組成2の有機物を用いて、感光性ペーストを作製し、パターン作成を行ったところ、高さ80μm、120μm共に良好な形状が得られた。
【0079】
実施例3
ガラス粉末Bおよび表1に示す組成3の有機物を用いて、感光性ペーストを作製し、パターン作成を行ったところ、高さ80μm、120μm共に良好な形状が得られた。
【0080】
比較例1
ガラス粉末Bおよび表1に示す組成4の有機物を用いて、感光性ペーストを作製し、パターン作成を行ったところ、高さ80μm、120μm共にパターン形成ができなかった(現像時のはがれ、パターン間での現像不良が生じた)。
【0081】
【表1】
Figure 0003951327
表中の略称に関して、次に示す。
【0082】
(ポリマー1の構造中の数字は、それぞれのモノマーの構成モル比を示す、屈折率は波長436nmでの値)
BMEXS−MA:
【化3】
Figure 0003951327
(屈折率1.63)
MPS−MA :
【化4】
Figure 0003951327
(屈折率1.70)
MPS−V :
【化5】
Figure 0003951327
(屈折率1.74)
ポリマー1 :
【化6】
Figure 0003951327
(重量平均分子量23000)
TMPTA :トリメチロールプロパントリアクリレート
スダン :アゾ系染料、C24204
MTPMP :2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1
EPA :p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル
DET :2,4−ジエチルチオキサントン
【0083】
【発明の効果】
本発明の感光性ペーストによって、高アスペクト比かつ高精度のパターン加工が可能になる。これによって、ディスプレイ、回路材料等の厚膜、高精度のパターン加工が可能になり、精細性の向上、工程の簡略化が可能になる。特に、簡便に高精度のプラズマディスプレイパネルの隔壁を形成することができる。

Claims (10)

  1. 無機微粒子と光反応性化合物を含む有機成分を必須成分とする感光性ペーストであって、光反応性化合物中に屈折率1.55〜1.8である光反応性モノマーを含み、該有機成分の屈折率と該無機微粒子との屈折率の差が0.08以下であり、該光反応性モノマーが硫黄原子を含有するメタクリレートモノマーまたは硫黄原子を含有するアクリレートモノマーであることを特徴とする感光性ペースト。
    (ここで、屈折率はエリプソメトリー法による波長436nmにおける測定値である。)
  2. 無機微粒子の60重量%以上がガラス微粒子であることを特徴とする請求項1の感光性ペースト。
  3. ガラス微粒子として、ガラス転移温度350〜500℃、熱軟化温度が400〜600℃、平均粒子径1〜8μmのガラス微粒子を用いることを特徴とする請求項2の感光性ペースト。
  4. ガラス微粒子として、酸化ビスマスと酸化鉛のうち少なくとも1種類を10〜80重量%含有するガラス微粒子を用いることを特徴とする請求項2の感光性ペースト。
  5. ガラス微粒子として、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化リチウムのうち少なくとも1種類を3〜20重量%含有するガラス微粒子を用いることを特徴とする請求項2の感光性ペースト。
  6. ガラス微粒子として、球形率80個数%以上のガラス微粒子を50重量%以上用いることを特徴とする請求項2の感光性ペースト。
  7. ガラス微粒子として、屈折率1.55〜1.8のガラス微粒子を用いることを特徴とする請求項2の感光性ペースト
  8. 光反応性モノマーとして、下記一般式の構造を含有する多官能化合物を用いることを特徴とする請求項1の感光性ペースト。
    Figure 0003951327
    (X、Yは、ラジカル重合性官能基を含む置換基を示す。)
  9. 有機成分中に、紫外線吸収特性を持つ化合物を0.05〜5重量%含有することを特徴とする請求項1の感光性ペースト。
  10. 請求項1の感光性ペーストを塗布する工程、露光する工程、現像する工程、焼成する工程を経てプラズマディスプレイの隔壁を形成することを特徴とするプラズマディスプレイの製造方法。
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