JP3567606B2 - プラズマディスプレイの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は高精細で低抵抗の電極を有するプラズマディスプレイの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プラズマディスプレイパネル(PDP)は、液晶パネルに比べて高速の表示が可能であり且つ大型化が容易であることから,OA機器および広報表示装置などの分野に浸透している。また、高品位テレビジョンの分野などでの進展が非常に期待されている。
【0003】
この様な用途の拡大にともなって、PDPは微細で多数の表示セルを有するカラーPDPが注目されている。PDPは、全面ガラス基板と背面ガラス基板との間に備えられた放電空間内で対抗するアノードおよびカソード電極間にプラズマ放電を生じさせ、上記放電空間内に封入されているガスから発光させることにことにより表示を行うものである。
【0004】
この場合、ガラス基板上の電極は、複数体の線上電極を平行に配置されており、互いの電極が僅小な間隙を介して対抗し且つ互いの線状電極が交差する方向を向くように重ね合わせて構成される。上記の電極は、通常スクリーン印刷法でガラス基板上に銀ペースとなどを印刷した後焼成して形成される。
【0005】
しかしながら、通常のスクリーン印刷法では、マスクパターン精度、スクイーズ硬さ、印刷速度、分散性などの最適化を図っても電極パターンの幅を100μm以下に細くすることが困難で、また電極形状も半値幅と底辺の幅の比(半値幅/底辺の幅)が0.5程度でありファインパターン化には限界があった。
【0006】
また、スクリーン印刷による方法では、印刷マスクの精度は、マスク製版の精度に依存するので印刷マスクが大きくなるとマスクパターンの寸法誤差が大きくなってしまう。このため20インチ以上の大面積のPDPの場合に、高精細のPDP作製がますます技術的に困難になっている。
【0007】
これらスクリーン印刷の欠点を改良する方法として、特開平1−206538号公報、特開平1−296534号公報および特開昭63−205255号公報に記載されているように絶縁ペーストを焼成後、導電ペースとを印刷し、焼成して電極形状の改良を図ったもの、アノードの電極形成にフォトリソグラフィー技術を用いたものおよびフォトレジストを用いてフォトリソグラフィー技術による導電ペースとが提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらのいずれの方法も、微細パターン形成に加えてガラス基板との密着性がよく、低抵抗で大型化に適した電極を得る技術としては、十分でなかった。
【0009】
本発明者らは、上記欠点のないプラズマディスプレイの製造法について鋭意検討した結果、特に表面平坦性に優れ、配線設計が容易であり、かつ従来のスクリーン印刷法では形成困難な100μm以下の微細パターンを形成することが可能なプラズマディスプレイの製造法を見い出した。
【0010】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、感光性樹脂組成物と導電性粉末を必須成分とする感光性導電ペーストをフィルム上に塗布する工程、露光工程、現像工程を含む方法でパターン形成を行った後、得られたパターンをガラス基板上に転写する工程により電極を形成することを特徴とするプラズマディスプレイの製造方法であり、さらに、感光性樹脂組成物と導電性粉末を必須成分とする感光性導電ペーストをフィルム上に塗布する工程、ガラス基板上に転写する工程、露光工程、現像工程を含む方法で、パターン形成を行い電極を形成するプラズマディスプレイの製造方法であって、導電性粉末が銀、アルミニウム、銅、ニッケルのうち少なくとも1種を含有し、それらの合計の含有量が導電性粉末の70〜100重量%であることを特徴とするプラズマディスプレイの製造方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明は感光性導電ペーストをフィルム上に塗布する工程、露光工程、現像工程により微細パターンを形成した後、ガラス基板上に転写する工程により電極を形成することを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法、あるいは、感光性導電ペーストをフィルム上に塗布する工程、ガラス基板上に転写して微細パターンを形成する工程、露光工程、現像工程により電極を形成するプラズマディスプレイの製造方法であって、導電性粉末が銀、アルミニウム、銅、ニッケルのうち少なくとも1種を含有し、それらの合計の含有量が導電性粉末の70〜100重量%であることを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法である。とくに以上の工程を行うことによって、歩留まりを向上させ、従来のスクリーン印刷では形成困難な100μm以下の微細パターンを形成することができる。
【0012】
以下、本発明を具体的に説明する。
【0013】
(フィルム)
本発明に用いる転写用フィルムは、とくに限定はないが、一般的にはポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ナイロンフィルムなどが用いられる。本目的のフィルムとしては転写や露光・現像時のハンドリング性に優れ、適度な離型性を有するフィルムが好ましい。とりわけ、フィルムとして、耐熱性、耐久性に優れ、パンチング性がよく、汎用で安価なポリエステルフィルムを用いるのが好ましい。この様な転写フィルムの物性としては次の範囲で選択するのが好ましい。
(A)フィルム厚み ;25〜300μm
(B)引っ張り強度 ;3000〜5000MPa
(C)表面粗さ(Ra);0.02〜0.15μm
【0014】
本発明で使用するフィルムには、表面にワックスコート、メラミンコートあるいはシリコンコートなどの離型処理が施されることが好ましい。離型処理は、通常、離型剤溶液をフィルム上にバーコート、ディップコート、スピンコートなどの一般的な方法で塗布し、乾燥を90〜160℃、10〜60秒で行う。一定厚みに塗布された溶液は乾燥後、溶媒部分が揮発して離型剤による離型層が形成される。離型層の厚みは、離型剤溶液の濃度と、塗布膜の厚みに依存する。たとえば、濃度0.1%の離型剤溶液をフィルム上に塗布した場合、通常厚さ10nmの離型層が形成される。離型層の厚みは0.5〜10nmが望ましく、この場合において離型剤溶液の濃度は0.1〜0.05%の範囲にすることによって、この厚みを得ることができる。
【0015】
また、本発明で使用するフィルムの剥離強度は2〜10N/24mmの範囲であることが好ましい。離型層があまり厚いと離型強度が低くなりペーストを塗布する際に反発性が高すぎて良好なパターンが形成できない。
【0016】
(導電性粉末)
本発明で使用する感光性導電ペーストの必須成分である導電性粉末の金属は、特に限定されるものではないが、例えばAg、Au、Pd、Cu、Ni、AlおよびPtの少なくとも一種を含むもので、単独、合金または混合粉末として用いることができる。好ましくは導電性粉末が、銀、アルミニウム、銅、ニッケルのうち少なくとも1種を含有し、それらの合計の含有量が導電性粉末の70〜100重量%である。また、混合粉末の例を挙げるとAg(80〜98)−Pd(20〜2)、Ag(90〜98)−Pt(15〜2)(以上()内は重量%を表わす。)などの3元系あるいは2元系の混合貴金属粉末等が好ましく用いられる。
【0017】
これらの導電性粉末の平均粒子径は0.7〜6μmであることが好ましい。粒子径が0.7μm未満であると紫外線の露光時に光が膜中をスムーズに透過せず、微細パターンの形成が困難となる。また、粒子径が6μmを越えて大きくなると印刷後の回路パターンの表面が粗くなり、パターン精度や寸法精度が低下するようになる。
【0018】
導電性粉末の比表面積は0.3〜3m2 /gであることが好ましい。比表面積が0.3m2 /g未満では電極パターンの精度が低下する。また、3m2 /gを越えると粉末の表面積が大きくなり過ぎて露光時に紫外線が散乱されて、膜の下部まで露光硬化が十分行われないために現像時に剥がれが生じてパターン精度が低下する。
【0019】
また、PDPの前面基板に用いる場合、電極を黒色化することによって、ディスプレイのコントラストを向上することができる。そのための方法として、銀−ニッケルの合金、もしくは、銀粉末とニッケル粉末の併用による黒色化が有効である。この場合、抵抗値の点から、銀の含有量が70重量%以上であることが好ましい。
【0020】
本発明ではガラス基板上に600℃以下の温度で焼き付けできる導電性金属を用いることが好ましく、銀を70〜100重量%の範囲で含むことが好ましい。
【0021】
(ガラス粉末)
感光性導電ペーストは、導電性金属以外に、ガラスを含有する。ここでガラスは、導電性金属とガラス基板との十分な接着力を確保するために用いられる。さらに、導電性金属粉末をガラス基板上に焼き付ける際の焼結助剤として働き、抵抗を下げる効果がある。
【0022】
本発明で使用するガラスのガラス転移温度(Tg)およびガラス軟化温度(Ts)は低いほうが好ましく、それぞれ300〜500℃、350〜450℃であるのが良い。Tgが低すぎると後述するバインダーなどの有機成分が蒸発する前に焼結が始まるので好ましくない。Tgが500℃を越えた場合は、600℃以下の焼き付け温度で行ったときにガラス基板との接着性が劣る傾向となるので好ましくない。
【0023】
ガラスは、通常導電金属粉末と混合できるようにガラス粉末を原料として用いる。ガラス粉末としては、Bi2 O3 を30〜70重量%の範囲で含有することが好ましい。30重量%未満の場合は、導電ペースとをガラス基板上に焼き付けする時に、ガラス転移点や軟化点を制御するのに十分でなく、基板に対する接着強度を高めるのに効果が少ない。また、70重量%より多くなるとガラス粉末の軟化点が低くなり過ぎてペースト中のバインダーが蒸発する前にガラス粉末が溶融し、このためペーストの脱バインダ性が悪くなり、導体膜の焼結性が低下し、また基板との接着強度が低下しやすい。
【0024】
さらに、本発明では酸化物換算表記で、
Bi2 O3 30〜70重量%
SiO2 3〜30重量%
B2 O3 2〜25重量%
ZnO 2〜20重量%
の組成範囲からなるガラスを用いることによって、電極を500〜600℃でガラス基板上に強固に焼付けできるので好ましい。
【0025】
SiO2 は3〜30重量%の範囲で配合することが好ましく、3重量%未満の場合は基板上に焼き付けたときの接着強度の低下やガラス成分の安定性が低下しやすい。また、30重量%より多くなると耐熱温度が増加し、600℃以下でガラス基板上に焼き付けが難しくなりやすい。B2 O3 は2〜25重量%の範囲で配合することが好ましい。B2 O3 は電極の電気絶縁性、強度、熱膨張係数などの電気、機械および熱的特性を損なうことのないように焼き付け温度を500〜600℃の範囲に制御するために配合される。2重量%未満では密着強度が低下し、また25重量%を越えるとガラス成分の安定性が低下しやすい。ZnOは3〜20重量%の範囲で配合することが好ましい。3重量%未満では、電極をガラス基板上に焼き付けする時に、焼き付け温度を制御するのに効果が少ない。20重量%を越えるとガラスの耐熱温度が低くなり過ぎてガラス基板上への焼き付けが難しくなりやすい。
【0026】
ガラス粉末には、プラズマの放電特性を劣化させるNa2 O、Y2 O3 、K2 O、PbOなどの酸化物金属を含まないことが好ましい。含有したとしても、ガラス粉末中のナトリウム、カリウム、イットリウム、鉛の合計含有量が3重量%以下であることが好ましい。
【0027】
また、ガラス粉末中にAl2 O3 、BaO、CaO、TiO2 、ZrO2 、Li2 Oなどを含有することによって熱膨張係数、ガラス軟化点、ガラス転移点、絶縁抵抗を制御できるが、その量は15重量%未満であることが好ましい。
【0028】
電極中のガラス粉末含有量としては、1〜10重量%であることが好ましい。より好ましくは1〜5重量%である。PDPの電極の低抵抗化を図るにはガラス粉末の量が低い方が好ましい。ガラスは電気絶縁性であるので、含有量が5重量%を越えると電極の抵抗が増大するので好ましくない。1重量%以下では、電極膜とガラス基板との強固な接着強度が得られにくい。
【0029】
(感光性樹脂組成物)
本発明において使用される感光性樹脂組成物からなる感光層は活性な光線を照射することにより不溶化する層である。光硬化性樹脂組成物の例としては、(1)光反応性化合物を適当なバインダポリマと混合したもの、(2)芳香族ジアゾ化合物、芳香族アジド化合物、有機ハロゲン化合物などの光反応性化合物を適当なバインダーポリマーと混合したもの、(3)既存の高分子に感光性の基をペンダントさせることにより得られる感光性高分子あるいはそれを改質したもの、(4)ジアゾ系アミンとホルムアルデヒドとの縮合物などいわゆるジアゾ樹脂といわれるもの、などがあげられる。
【0030】
本発明に好適に使用される感光性樹脂組成物としては、光反応性化合物、バインダーポリマーおよび光重合開始剤を含有するものがあげられる。
【0031】
本発明で使用される感光性樹脂組成物に含まれる光反応性化合物としては、光反応性を有する炭素−炭素不飽和結合を含有する化合物で、その具体的な例としてアリルアクリラート、ベンジルアクリラート、ブトキシエチルアクリラート、ブトキシトリエチレングリコールアクリラート、シクロヘキシルアクリラート、ジシクロペンタニルアクリラート、ジシクロペンテニルアクリラート、2−エチルヘキシルアクリラート、グリセロールアクリラート、グリシジルアクリラート、ヘプタデカフロロデシルアクリラート、2−ヒドロキシエチルアクリラート、イソボニルアクリラート、2−ヒドロキシプロピルアクリラート、イソデキシルアクリラート、イソオクチルアクリラート、ラウリルアクリラート、2−メトキシエチルアクリラート、メトキシエチレングリコールアクリラート、メトキシジエチレングリコールアクリラート、オクタフロロペンチルアクリラート、フェノキシエチルアクリラート、ステアリルアクリラート、トリフロロエチルアクリラート、アリルかシクロヘキシルジアクリラート、ビスフェノールAジアクリラート、1,4−ブタンジオールジアクリラート、1,3−ブチレングリコールジアクリラート、エチレングリコールジアクリラート、ジエチレングリコールジアクリラート、トリエチレングリコールジアクリラート、ポリエチレングリコールジアクリラート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリラート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリラート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリラート、グリセロールジアクリラート、メトキシかシクロヘキシルジアクリラート、ネオペンチルグリコールジアクリラート、プロピレングリコールジアクリラート、ポリプロピレングリコールジアクリラート、トリグリセロールジアクリラート、トリメチロールプロパントリアクリラートおよび上記のアクリラートをメタクリラートに変えたもの、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、1−ビニル−2−ピロリドンなどが挙げられる。本発明ではこれらを1種または2種以上使用することができる。 本発明で使用される感光性樹脂組成物に含まれるバインダーポリマーとしては、感光性ポリマーや非感光性ポリマーあるいはそれらの混合物を用いることができる。
【0032】
感光性ポリマーとしては、光不溶化型のものと光可溶化型のものがあり、光不溶化型のものとして、高分子化合物に感光性の基をペンダントさせることにより得られる感光性高分子化合物あるいはそれを改質したもの、ジアゾ系アミンとホルムアルデヒドとの縮合物などいわゆるジアゾ樹脂といわれるものなど、光可溶化型のものとしては、ジアゾ化合物の無機塩や有機酸とのコンプレックス、キノンジアゾ類などを適当なバインダーポリマーと混合したもの、キノンジアゾ類を適当なバインダーポリマーと結合させた、例えばフェノールノボラック樹脂のナフトキノン−1,2ジアジド−5−スルフォン酸エステルなどがあげられる。
【0033】
非感光性ポリマーとしては、ポリビニールアルコール、ポリビニールブチラール、メタクリル酸エステル重合体、アクリル酸エステル重合体アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル重合体、α−メチルスチレン重合体、ブチルメタクリレート樹脂などがあげられる。
【0034】
本発明におけるバインダーポリマーとしては、光不溶化型の感光性ポリマー、あるいはその混合物を用いることが好ましい。なかでも、側鎖または分子末端にカルボキシル基とエチレン性不飽和基を有するアクリル系共重合体、あるいはその混合物を用いることがより好ましい。
【0035】
側鎖または分子末端にカルボキシル基とエチレン性不飽和基を有するアクリル系共重合体は、不飽和カルボン酸とエチレン性不飽和化合物を共重合させて形成したアクリル系共重合体にエチレン性不飽和基を側鎖または分子末端に付加させることによって製造することができる。
【0036】
不飽和カルボン酸の具体的な例としては、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、これらの酸無水物などがあげられる。一方、エチレン性不飽和化合物の具体的な例としては、メチルアクリラート、メチルメタアクリラート、エチルアクリラート、エチルメタクリラート、n−プロピルアクリラート、イソプロピルアクリラート、n−ブチルアクリラート、n−ブチルメタクリラート、sec−ブチルアクリラート、sec−ブチルメタクリラート、イソ−ブチルアクリラート、イソブチルメタクリラート、tert−ブチルアクリラート、tert−ブチルメタクリラート、n−ペンチルアクリラート、n−ペンチルメタクリラート、スチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレンなどがあげられるが、これらに限定されない。これらのアクリル系主鎖ポリマの主重合成分として前記のエチレン性不飽和化合物の中から少なくともメタクリル酸メチルを含むことによって熱分解性の良好な共重合体を得ることができる。
【0037】
側鎖または分子末端のエチレン不飽和基としてはビニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基などがあげられる。このような側鎖をアクリル系共重合体に付加させる方法としては、アクリル系共重合体中のカルボキシル基にグリシジル基を有するエチレン性不飽和化合物やアクリル酸クロライド化合物を付加反応させて作る方法がある。
【0038】
グリシジル基を有するエチレン性不飽和化合物としては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、エチルアクリル酸グリシジル、クロトニルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジルエーテル、イソクロトン酸グリシジルエーテルなどがあげられる。また、アクリル酸クロライド化合物としては、アクリル酸クロライド、メタアクリル酸クロライド、アリルクロライドなどが挙げられる。これらのエチレン性不飽和化合物あるいはアクリル酸クロライド化合物の付加量としては、アクリル系共重合体中のカルボキシル基に対して0.05〜1モル当量が好ましく、さらに好ましくは0.1〜0.8モル当量である。エチレン性不飽和化合物の付加量が0.05当量未満では感光特性が不良となりパターンの形成が困難になる。付加量が1モル当量より大きい場合は、未露光部の現像液溶解性が低下したり、塗布膜の硬度が低くなり好ましくない。 これらのポリマーのうちで本願発明の感光性樹脂組成物には、側鎖または分子末端にカルボキシル基とエチレン性不飽和基を有する分子量500〜100000のポリマーを含有せしめることが最も好ましい。
【0039】
本発明で用いられる感光性樹脂組成物に含まれる光重合開始剤の具体的な例として、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニル−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−t−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジル、ベンジルジメチルケタノール、ベンジル−メトキシエチルアセタール、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエ−テル、アントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンゾスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンザルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラ−ケトン、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、N−フェニルチオアクリドン、4,4−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホルフィン、カンファーキノン、四臭素化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾイン及びエオシン、メチレンブルーなどの光還元性の色素とアスコルビン酸、トリエタノールアミンなどの還元剤の組合せなどがあげられる。本発明ではこれらを1種または2種以上使用することができる。
【0040】
光重合開始剤は、側鎖または分子末端にカルボキシル基とエチレン性不飽和基を有するアクリル系共重合体と光反応性化合物の和に対し、5〜30重量%の範囲で添加され、より好ましくは2〜25重量%である。光重合開始剤の量が少なすぎると、光感度が不良となり光硬化が不充分となる。また光重合開始剤の量が多すぎれば、感光性樹脂組成物の表面層だけで光硬化が進み、均質な光硬化膜が得られなくなる。
【0041】
本発明で使用する感光性樹脂組成物には、有機染料からなる紫外線吸光剤を添加することも有効である。紫外線吸収効果の高い吸光剤を添加することによって高アスペクト比、高精細、高解像度が得られる。紫外線吸光剤としては有機系染料からなるものが用いられ、中でも350〜450nmの波長範囲で高UV吸収係数を有する有機系染料が好ましく用いられる。具体的には、アゾ系染料、アミノケトン系染料、キサンテン系染料、キノリン系染料、アミノケトン系染料、アントラキノン系、ベンゾフェノン系、ジフェニルシアノアクリレート系、トリアジン系、p−アミノ安息香酸系染料などが使用できる。有機系染料は吸光剤として添加した場合にも、焼成後の絶縁膜中に残存しないで吸光剤による絶縁膜特性の低下を少なくできるので好ましい。これらの中でもアゾ系およびベンゾフェノン系染料が好ましい。有機染料の添加量は0.05〜5重量部が好ましい。0.05重量%以下では紫外線吸光剤の添加効果が減少し、5重量%を越えると焼成後の絶縁膜特性が低下するので好ましくない。より好ましくは0.15〜1重量%である。有機顔料からなる紫外線吸光剤の添加方法の一例を上げると、有機顔料を予め有機溶媒に溶解した溶液を作製し、次に該有機溶媒中に銀粉末を混合後、乾燥することによってできる。この方法によって銀粉末の個々の粉末表面に有機の膜をコートしたいわゆるカプセル状の粉末が作製できる。
【0042】
本発明で使用する感光性樹脂組成物の好ましい組成比は、(a)側鎖または分子末端にカルボキシル基とエチレン性不飽和基を有するアクリル系共重合体;40〜90重量%、(b)光反応性化合物;60〜10重量%、(c)光重合開始剤;(a)、(b)の和に対して5〜30重量%である。
【0043】
上記においてより好ましくは、(a)および(b)成分の組成をそれぞれ50〜80重量%、50〜20重量%の範囲に選択するのがよい。この範囲にあると紫外線露光時において、光硬化の機能が十分発揮され、後の現像時における耐薬品性や耐溶解性が向上するので好ましい。また上記において(b)成分の光反応性化合物が60重量%を超えると特に、窒素ガスの中性雰囲気や水素ガス雰囲気中でバインダを蒸発させる場合に、脱バインダー性が低下するため絶縁抵抗や強度の低下などの問題を生ずる。10重量%未満では、感度が低下するので光硬化させるのに露光量が多く必要になる問題がある。
【0044】
感光性樹脂組成物中には、必要に応じて安定化剤、増感剤、可塑剤、消泡剤、レベリング剤、分散剤、有機あるいは無機の沈殿防止剤などを添加することもできる。
【0045】
増感剤は、感度を向上させるために添加される。増感剤の具体例として、2、4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,3−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミニベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、ミヒラーケトン、4,4、−ビス(ジエチルアミノ)−ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p−ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p−ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)−イソナフトチアゾール、1,3−^ビス(4−ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3−カルボニル−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)アセトン、3,3−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノクマリン)、N−フェニル−N−エチルエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、N−トリルジエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、3−フェニル−5−ベンゾイルチオ−テトラゾーラゾール、1−フェニル−5−エトキシカルボニルチオ−テトラゾールなどがあげられる。本発明ではこれらを1種または2種以上使用することができる。なお、増感剤の中には光重合開始剤としても使用できるものがある。増感剤を本発明の感光性樹脂組成物に添加する場合、その添加量は側鎖または分子末端にカルボキシル基とエチレン性不飽和基を有するアクリル系共重合体と光反応性化合物の和に対して通常0.1〜30重量%、より好ましくは0.5〜15重量%である。増感剤の量が少なすぎれば光感度を向上させる効果が発揮されず、増感剤の量が多すぎれば露光部の残存率が小さくなりすぎるおそれがある。
【0046】
可塑剤の具体的な例としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ポリエチレングリコール、グリセリンなどがあげられる。
【0047】
本発明においては高精細なパターンを形成するため、表面平坦性の優れた塗布膜が形成できる公知の有機レベリング剤を添加することが好ましい。有機レベリング剤としては有機系の界面活性剤、より好ましくはノニオン系の界面活性剤を用いる。レベリング剤の具体的な例としては、分子量が300〜3000の特殊ビニル系重合物、特殊アクリル系重合物を石油ナフサ、キシロール、トルエン、酢酸エチル、1−ブタノール、およびミネラルターペンなどの溶媒に溶解させた“ディスパロン”(L−1980−50、L−1982−50、L−1983−50、L−1984−50、L−1985−50、#1970、#230、LC−900、LC951、#1920N、#1925N、P40)(以上楠本化成株式会社製)、ノニオン系界面活性“カラースパース”188−A、“ハイオニック”PE、“モディコール”L、S−65、U−99、W−77(以上サンノプコ株式会社製)を感光性樹脂組成物に対して0.1〜20.0重量%添加する。この場合、レベリング剤の量が20.0重量%より多すぎるとペースト感度の低下によりパターン特性が劣化する。また、レベリング剤の量が0.1%より少なすぎると十分なレベリング効果が得られず表面にスクリーンメッシュ跡などの凹凸が残る。
【0048】
このような感光性樹脂組成物は、側鎖または分子末端にカルボキシル基とエチレン性不飽和基を有するアクリル系共重合体と光重合開始剤を光反応性化合物に溶解させることによって製造することができる。側鎖または分子末端にエチレン性不飽和基を有するアクリル系共重合体と光重合開始剤が光反応性化合物に溶解しない場合あるいは溶液の粘度を調整したい場合には該アクリル系共重合体、光重合開始剤および光反応性化合物の混合溶液が溶解可能である有機溶媒や水などの溶媒を加えてもよい。このとき使用される溶媒は該アクリル系共重合体、光重合開始剤および光反応性化合物の混合物を溶解しうるものであればよい。たとえばメチルセルソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルエチルケトン、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド、γ−ブチロラクトンなどやこれらのうちの1種以上を含有する有機溶媒混合物が用いられる。
【0049】
かくして、本発明の感光性導電ペーストは、通常、感光性樹脂組成物、導電性粉末およびガラス粉末、並びにその他の無機微粒子および溶媒等の各種成分を所定の組成となるように調合した後、3本ローラや混練機で均質に混合分散して作製することができる。感光性導電ペーストの粘度は無機微粒子、増粘剤、有機溶媒、可塑剤および沈殿防止剤などの添加割合によって適宜調整されるが、その範囲は2000〜20万cps(センチ・ポイズ)である。
【0050】
本発明で使用する感光性導電ペーストの各成分を次の範囲、すなわち導電性粉末:60〜90重量%,ガラス粉末:1〜10重量%,感光性樹脂組成物:4〜40重量%、とすることにより断面形状が矩形の導体パターンを得ることができる。導電性粉末量が90重量%を越えるとペーストの感度が低下するために露光量の増加、断面形状の不良が起こる。
【0051】
(ガラス基板)
本発明に用いるガラス基板は、公知のものであれば特に限定はないが、一般的なソーダライムガラスやソーダライムガラスをアニール処理したガラス、または、高歪み点ガラス(旭硝子社製 商品名PD−200)等を用いることができる。ガラス基板のサイズには特に限定はなく、1.0〜5.0mmの厚みのガラスを用いることができる。
【0052】
(パターン形成方法)
次に本発明によって、プラズマディスプレイパネルを作製する一例について説明する。但し、本発明はこれに限定されない。
【0053】
(塗布工程)
離型処理が施されたポリエステルフィルム上に感光性導電ペーストを全面塗布する。塗布方法としては、スクリーン印刷、ダイコーター、ランドコーター、バーコーター、ブレードコーター、ロールコーターなどを用いることができる。塗布厚みは、塗布回数、スクリーンのメッシュ、ペーストの粘度を選ぶことによって調整できるが、導体パターンは10〜30μmの厚みが必要であり、乾燥や焼成による収縮を考慮して、20〜60μm程度の厚みで塗布することが好ましい。
【0054】
(露光工程)
露光は通常のフォトリソグラフィーで行われるように、フォトマスクを用いてマスク露光する方法が一般的である。用いるマスクは、感光性有機成分の種類によって、ネガ型もしくはポジ型のどちらかを選定する。露光工程を1回だけ行うことが、複数回の露光を行う場合に比べて、精度良く簡便にパターンを形成する方法としては好ましい。この際使用される活性光源は、たとえば、可視光線、近紫外線、紫外線、電子線、X線、レーザー光などが挙げられるが、これらの中で紫外線が好ましく、その光源としてはたとえば低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ハロゲンランプ、殺菌灯などが使用できる。これらのなかでも超高圧水銀灯が好適である。露光条件は塗布厚みによって異なるが、0.5〜100mW/cm2 の出力の超高圧水銀灯を用いて0.5〜30分間露光を行なう。特に、露光量が0.3〜5J/cm2 程度の露光を行うことが好ましい。
【0055】
(現像工程)
露光後、現像液を使用して現像を行なうが、この場合、浸漬法やスプレー法、ブラシ法で行なう。
【0056】
現像液は、感光性ペースト中の有機成分が溶解可能である有機溶媒を使用できる。また該有機溶媒にその溶解力が失われない範囲で水を添加してもよい。感光性ペースト中にカルボキシル基等の酸性基を持つ化合物が存在する場合、アルカリ水溶液で現像できる。アルカリ水溶液として水酸化ナトリウムや水酸化カルシウム水溶液などのような金属アルカリ水溶液を使用できるが、有機アルカリ水溶液を用いた方が焼成時にアルカリ成分を除去しやすいので好ましい。
【0057】
有機アルカリとしては、公知のアミン化合物を用いることができる。具体的には、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキサイド、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどが挙げられる。アルカリ水溶液の濃度は通常0.01〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量%である。アルカリ濃度が低すぎれば未露光部が除去されずに、アルカリ濃度が高すぎれば、パターン部を剥離させ、また露光部を腐食させるおそれがあり良くない。
【0058】
また、現像時の現像温度は、20〜50℃で行うことが工程管理上好ましい。
【0059】
かくして得られた電極パターンの表面状態は表面粗さ試験において中心線平均粗さ(Ra)が0〜1.0μmであることが好ましい。ここで表面粗さ試験とは、触針式表面粗さ測定器を用い被測定面の中心線平均粗さを測定する方法である。表面粗さが1.0μm以上になると高精細なパターン形成が困難になる。
【0060】
(転写工程)
フィルム上にパターン形成した後、ガラス基板状に塗布する工程である。すなわち、パターン形成済みの転写フィルムをガラス基板に重ね合わせた後、通常50〜150℃に加熱した加圧用ローラーで1〜1.5MPaで加圧することによりパターンをガラス基板上に転写する。
【0061】
ここで転写時にパターンとガラス基板との密着性を高めるためにガラス基板の表面処理を行うことができる。表面処理液としてはシランカップリング剤、例えばビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、トリス−(2−メトキシエトキシ)ビニルシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどあるいは有機金属例えば有機チタン、有機アルミニウム、有機ジルコニウムなどである。シランカップリング剤あるいは有機金属を有機溶媒例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコールなどで0.1〜5%の濃度に希釈したものを用いる。次にこの表面処理液をスピナーなどで基板上に均一に塗布した後に80〜140℃で10〜60分間乾燥することによって表面処理ができる
(焼成工程)
次に焼成炉にて焼成を行う。焼成雰囲気や、温度はペーストや基板の種類によって異なるが、空気中、窒素、水素等の雰囲気中で焼成する。焼成温度は400〜610℃で行う。ガラス基板上にパターン加工する場合は、520〜610℃の温度で10〜60分間保持して焼成を行う。また、以上の工程中に、乾燥、予備反応の目的で、50〜300℃加熱工程を導入しても良い。焼成炉としては、バッチ式の焼成炉やベルト式の連続型焼成炉を用いることができる。
【0062】
本発明のプラズマディスプレイに用いる電極は(1)塗布、(2)露光、(3)現像、(4)転写、(5)焼成の工程により形成されるが、(1)塗布、(2)転写、(3)露光、(4)現像、(5)焼成の工程によっても形成可能である。
【0063】
(ディスプレイ作製工程)
以上の工程によって得られた電極を有するガラス基板は、プラズマディスプレイの前面側もしくは背面側に用いることができる。また、プラズマアドレス液晶ディスプレイにも用いることができる。
【0064】
電極を有するガラス基板は、さらに、誘電体層、隔壁層を形成し蛍光体を塗布した後に、前背面のガラス基板を合わせて封着し、ヘリウム、ネオン、キセノン等の希ガスを封入することによって、プラズマディスプレイのパネル部分を製造できる。
【0065】
さらに、駆動用のドライバーICを実装することによって、プラズマディスプレイを製造することができる。
【0066】
【実施例】
以下の実施例で本発明を具体的に説明する。以下の実施例において濃度は特に断らない限りすべて重量%で表わす。
【0067】
実施例1〜11
(転写用フィルム作製)
ポリエステルフィルム(東レ製“ルミラーT60 #100”を使用)表面に、トルエン溶媒により0.05〜0.005%に希釈した離型剤塗布液を塗布した。
【0068】
塗布液は、以下の離型剤、硬化剤、溶媒を各々調合し用いた。
離型剤:シリコン樹脂(東レダウコーニング社製“SRX370”)
硬化剤:同社“SRX212”
溶媒:トルエン
離型剤と硬化剤の調合比率は99:1とした。
【0069】
塗布条件は、メタバー#6を用いバーコートを行った。この方法で溶液を塗布する場合、9μmの塗布が可能である。乾燥は140℃、30秒とした。乾燥後の離型剤からなる離型層の厚みは約1nmであった。剥離強度の測定を、幅24mmのセロハンテープ(ニットー製”31B”を使用)を10cmの長さに切り、表面処理したフィルム面に貼り付ける方法により、これを、引張り試験機を用いて5mm/secの速度にて、セロハンテープをフィルム面から引き剥がす際の荷重を剥離強度として行った。離型剤溶液濃度0.1〜0.005%の範囲でパターン形成が良好で、かつ、パターン剥離性の良好な剥離強度3〜7N/24mmの転写用フィルムを得た。
【0070】
(感光性導電ペーストの作製)
表1に示す組成で以下の溶媒およびバインダーポリマーAを各々混合し攪拌しながら80℃まで加熱し、すべてのバインダーポリマーを均質に溶解させた。ついで溶液を室温まで冷却し、以下の光重合開始剤Bを加えて溶解させた。その後溶液を400メッシュのフィルターを通し濾過した。その後、表1に示す組成で以下の導電性粉末C1またはC2、光反応性化合物D、ガラス粉末E1またはE2、可塑剤F、増感剤G、増感助剤H、増粘剤I、レベリング剤Jおよび溶媒を表1に示す組成となるように添加し、3本ローラーで混合・分散してペーストを作製した。
【0071】
溶媒:γ−ブチロラクトン
バインダーポリマーA:側鎖にカルボキシル基とエチレン性不飽和基を有するアクリル系共重合体);40%のメタクリル酸(MAA)、30%のメチルメタアクリレート(MMA)および30%のスチレン(St)からなる共重合体にMAAに対して0.4当量のグリシジルメタアクリレート(GMA)を付加反応させたポリマー
光重合開始剤B:2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパノン−1をポリマーとモノマーとの総和に対して20%添加した。
【0072】
導電性粉末C1:Ag粉末;単分散粒状、平均粒子径3.7μm、比表面積0.48m2 /g
導電性粉末C2:95%Ag−5%Pd粉末;単分散粒状、平均粒子径3.3μm、比表面積0.82m2 /g
光反応性化合物D:トリメチロールプロパントリアクリレート
ガラス粉末E1;(成分重量%)酸化ビスマス(45.1)、二酸化ケイ素 (27.5)、酸化ホウ素(12.5)、酸化亜鉛(2.6)、酸化ナトリウム(4.7)、酸化アルミニウム(2.8)、酸化ジルコニウム(4.8)
ガラス粉末E2;(成分重量%)酸化ビスマス(50)、二酸化ケイ素(7)、酸化ホウ素(15)、酸化亜鉛(14)、酸化バリウム(14)。
【0073】
可塑剤F:ジブチルフタレート(DBP)をポリマーの10%添加した
増感剤G:2,4−ジエチルチオキサントンをポリマーとモノマーとの総和に対して20%添加した
増感助剤H:p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル(EPA)をポリマーとモノマーとの総和に対して10%添加した
増粘剤I:酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチルに溶解させたSiO2 濃度15%溶液をポリマ−に対して4%添加した
レベリング剤J:特殊ビニル系重合物をポリマーとモノマーの総和に対して10〜16%添加した。
【0074】
(塗布工程)
得られた各々の感光性導電ペーストを325メッシュのスクリーンを用いて転写用フィルム(430mm×430mm角、厚み100μm)上に400mm角の大きさにベタ印刷し、80℃で40分間保持して乾燥した。乾燥後の塗布膜の厚みは12〜15μmであった。
【0075】
(露光工程・現像工程)
得られた塗布膜を40〜70μmのファインパターンを有するPDP用電極を形成したクロムマスクを用いて、上面から500mW/cm2 の出力の超高圧水銀灯で紫外線露光した。次に25℃に保持したモノエタノールアミンの0.5%の水溶液に浸漬して現像し、その後スプレーを用いて未露光部を水洗浄しパターンを形成した。
【0076】
(転写工程)
フィルム上に形成されたパターンをガラス基板(430mm角、厚み1.1mm)に重ね合わせた。予めガラス基板および転写フィルムにアライメントマークを設けて、パターンの位置合わせを行った。さらに、110℃に加熱した加圧用ローラーにより10kg/cm2 で加圧してフィルムを剥がした後、パターンが転写されたガラス基板を得た。
【0077】
(焼成工程)
ガラス基板上に形成されたパターンを空気中、580℃で15分間焼成を行い、電極導体膜を作製し、プラズマディスプレイ用電極を得た。
【0078】
(評価)
かくして得られた焼成後の電極について、パターン解像度、膜厚、接着強度、比抵抗、表面粗さおよび断面形状を測定し評価した。パターン解像度および断面形状は走査電子顕微鏡(SEM)にて観察して求めた。接着強度はセロハンテープを電極面に張り付け、その剥離度合いで評価した。比抵抗は10μm厚みの電極を形成後シート抵抗を測定し膜厚から計算で求めた。評価結果を表1に示す。
【0079】
【表1】
【0080】
実施例12
実施例1において、感光性導電ペーストをフィルム上に塗布する工程、露光工程、現像工程、焼成工程を含む方法でパターン形成を行った後、得られたパターンをガラス基板上に転写する代わりに、感光性導電ペーストをフィルム上に塗布する工程、ガラス基板上に転写する工程、露光工程、現像工程、焼成工程を含む方法で、パターン形成を行う方法を採用する以外は、実施例1と全く同様にして電極を形成した。得られた電極について、実施例1と同様にして、評価を行なった。パターン解像度は線幅30μm、膜厚9μm、表面粗さ0.6μm、接着強度は剥離なし、比抵抗2.6μΩ・cm、フィルム剥離強度6.0N/24mm、転写性は良好であった。
【0081】
【発明の効果】
本発明によれば、高精細、低抵抗でかつ矩形の電極パターンを形成することができ、特に、スクリーン印刷では、マスクパターンの寸法精度の限界やパターンピッチの累積によって生ずる位置ずれの問題から大型化が困難であったプラズマディスプレイパネルの高精細化、高信頼性を得ることができる。また、本発明によればベタ印刷した面に、マスクパターンを通して露光後、現像してパターン形成ができるので寸法精度の問題も大幅に減少し、かつ高精細のマスクで位置合わせができるので大型化に一層有利である。
Claims (11)
- 感光性樹脂組成物と導電性粉末を必須成分とする感光性導電ペーストをフィルム上に塗布する工程、露光工程、現像工程を含む方法でパターン形成を行った後、得られたパターンをガラス基板上に転写する工程により電極を形に成することを特徴とするプラズマディスプレイの製造方法。
- 感光性樹脂組成物と導電性粉末を必須成分とする感光性導電ペーストをフィルム上に塗布する工程、ガラス基板上に転写する工程、露光工程、現像工程を含む方法で、パターン形成を行い電極を形成するプラズマディスプレイの製造方法であって、導電性粉末が銀、アルミニウム、銅、ニッケルのうち少なくとも1種を含有し、それらの合計の含有量が導電性粉末の70〜100重量%であることを特徴とするプラズマディスプレイの製造方法。
- フィルムが、剥離強度2〜10N/24mmのフィルムであることを特徴とする請求項1または2記載のプラズマディスプレイの製造方法。
- フィルムが、0.5〜10nmの厚みの離型層を有するフィルムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプラズマディスプレイの製造方法。
- 感光性導電ペーストが、導電性粉末60〜90重量%、ガラス粉末1〜10重量%、感光性樹脂組成物4〜40重量%からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のプラズマディスプレイの製造方法。
- ガラス粉末が、酸化ビスマスを30〜70重量%含有するガラスであることを特徴とする請求項5記載のプラズマディスプレイの製造方法。
- ガラス粉末が、下記の組成を含有するガラスであることを特徴とする請求項5または6記載のプラズマディスプレイの製造方法。
Bi2O3 30〜70重量%
SiO2 3〜30重量%
B2O3 2〜25重量%
ZnO 2〜20重量% - ガラス粉末が、ナトリウム、カリウム、イットリウム、鉛の合計含有量が3重量%以下のガラスであることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載のプラズマディスプレイの製造方法。
- 電極が、厚みが3〜30μm、最小線幅が5〜200μm、電極間の最小線幅が10〜500μmの形状を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のプラズマディスプレイの製造方法。
- 得られた電極の表面の状態が、表面粗さ試験において、Raが1.0μm以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のプラズマディスプレイの製造方法。
- 感光性樹脂組成物が、側鎖または分子末端にカルボキシル基とエチレン性不飽和基を有する分子量500〜100000のポリマーを含有することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のプラズマディスプレイの製造方法。
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