JP3672085B2 - 固体撮像素子およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、受光部上に集光のためにマイクロレンズを設けた固体撮像素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体撮像素子については様々な種類が存在するが、ここではCCDを例に挙げて、簡単にその構造および原理を説明する。
【0003】
図14に示す構造は、インターライン型と呼ばれており、受光部2、垂直転送CCD、水平転送CCDおよび出力部から構成されている。このCCDは、各受光部2に入射する光を、フォトダイオードで光電変換して蓄積し、垂直転送CCDから水平転送CCDへと順次転送した後、出力部から電圧に変換して出力する。
【0004】
このような固体撮像素子においては、フォトダイオード上にオンチップマイクロレンズを設けて、その焦点位置がフォトダイオードの受光部近傍にくるように、中間層の膜厚を設定する方法が主流になっている。しかしながら、画素寸法の縮小化に伴って、また、配線の多層化が進んで絶縁層の膜厚が大きくなるにつれて、画素の開口部とマイクロレンズとの位置合わせずれや、小F値(絞りを開いたとき)における光路ずれが、受光部の感度に与える影響が大きくなってきている。
【0005】
近年、この問題を避けるための方法として、特開平7−45805号公報や特開平8−139300号公報において、光導波路を有する固体撮像素子が提案されている。これらは、マイクロレンズを通過した入射光の焦点を光導波路の光入射面近傍に設定し、光導波路によって光を効率的に受光部に導くようにしたものである。これにより、上記問題を解決すると共に、自由度の大きいマイクロレンズおよび平坦化層の設計が可能になるとされている。
【0006】
以下に、このような光導波路を有する固体撮像素子について、図8〜図10を参照しながら簡単に説明する。
【0007】
第1の例では、図8に示すように受光部2を形成した半導体基板1上に、酸化物等からなる絶縁層3を形成する。この絶縁層3には、図示しない配線が含まれている。次に、フォトリソグラフィ法を用いて、受光部2の少なくとも一部を開口させるようにリアクティブイオンエッチング(RIE)法を用いて、開口部4よりも下部の絶縁層3部分を異方的に除去し、光導波路用の穴5を形成する。必要に応じて1000オングストローム程度の厚さの絶縁性薄膜6を形成した後、金属薄膜7を形成して、RIE法により異方的に、穴5側壁部以外の金属薄膜のみをエッチバックする。その後、穴5内にSiO2等の可視光に対して透明な材料12を埋め込んで、光導波路5aを形成すると共に、焦点が光導波路5aの光入射面近傍に配されるようなパラメータ値を設定した平坦化層8およびオンチップマイクロレンズ9を、熱軟化性樹脂等を用いて順次形成する。なお、この図において、10は入射光路を示し、入射光は金属薄膜7表面で反射しながら光導波路5a内を進む。
【0008】
第2の例は、上記第1の例で示した製造方法において、金属薄膜7部分をクラッド薄膜(低屈折率膜)に置き換える。そして、クラッド薄膜よりも高屈折率の材料をゾルゲル法等により塗布して穴5内部を埋め込んでコア膜12とし、光導波路5aを形成する。その後、上記第1の例と同様な設計で平坦化層8およびオンチップマイクロレンズ9を順次形成する。この場合には、コア−クラッドの関係を満たすことにより、入射光は光ファイバーと同様に全反射しながら光導波路5a内を進む。
【0009】
第3の例は、図9に示すように、上記第1の例で示した製造方法により穴5を形成後、絶縁層3よりも高屈折率の材料13をゾルゲル法等により塗布して穴5内部を埋め込み、光導波路5aを形成する。その後、上記第1の例と同様な設計で平坦化層8およびオンチップマイクロレンズ9を順次形成する。この場合にも、上記第2の例と同様に、入射光は全反射しながら光導波路5a内を進む。さらに、第3の例では、光導波路5aを構成する高屈折率材料13の屈折率と、平坦化膜8の屈折率との差が0.2以下であれば、平坦化膜8と光導波路5aとの接合面において入射光の散乱を低減できる。
【0010】
さらに、上記第1〜第3の従来例においては、基板表面に対して垂直な円筒状の光導波路に限られず、図10のようにすり鉢形状の光導波路5aとすることも可能である。この場合、レンズ9と光導波路5aの光入射面との位置合わせマージンや光導波路5aの光出射面と受光部2との位置合わせマージンを拡大することができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上述した特開平7−45805号公報や特開平8−139300号公報の技術では、光導波路の入射面近傍に入射光の焦点(レンズの焦点)を設定する。よって、絶縁層3の高さを変えることにより、光導波路用の穴の深さを変えることにより、焦点位置を半導体基板に垂直な方向に幅を有する任意の領域に設定することができる。
【0012】
ところで、レンズ間のギャップ(間隔)が無いようにマイクロレンズを形成した場合に、レンズと平坦化膜の接触面幅Wは画素のピッチと等しくなる。このときにレンズの集光面積は最大となり、各受光部に最大量の光を提供することができる。そこで、以下の説明ではW=画素ピッチで一定とする。一方、焦点位置が基板上方になるほど、レンズの厚さt1は厚くなる。しかし、レンズが厚くなりすぎると、半球に近くなり、レンズの製造が困難になる。また、レンズ端部では全反射を起こし、入射光の一部が無効になってしまう。
【0013】
従って、入射光の損失が生じない状態で許容される最上部の焦点位置は、入射光がレンズ表面で全反射せずにレンズに入射する最大のレンズ膜厚t1maxのときに集光される位置である。
【0014】
ここで、レンズの任意の箇所において曲率半径Rが一定、すなわち、レンズ表面が完全球面であり、また、入射光が基板に対して垂直に入射する場合には、t1maxは、レンズ最端部での入射角θがブリュースター角となるとき、すなわち、
sinθ=n0/n1 ・・・(1)
を満たすときの値である。なお、ブリュースター角とは、図11に示すように、反射率が0になる角度であり、それよりも大きな入射角の入射光は全反射される。また、上記式(1)において、n0は空気中の屈折率であり、n1はレンズの屈折率である。この場合、図12に示すように、
W=2Rsinθ ・・・(2)
t1max=R(1−cosθ) ・・・(3)
の関係が成立する。例えば、W=4μm、n0=1、n1=1.5とすると、上記式(2)からR=3μmとなり、上記式(3)からt1max=0.76μmとなる。このときに焦点位置が最上部となり、平坦化層−レンズ界面から焦点位置までの距離が最小となる。
【0015】
焦点位置が最上部にある場合について考えると、小F値における光路のずれまたは焦点位置のずれが少なくなるというメリットがあり、入射光をほぼ確実に光導波路内に導くことができる。しかしながら、今後、画素数が増大していくにつれて、画素の微細化および配線の多層化がより一層進むと、上記式(2)においてWが小さくなり、Rも縮小して、焦点位置はさらに上方に移動する。その一方、W(画素ピッチ)が小さくなり、また、絶縁層3の膜厚が厚くなるので、光導波路5aは細く、かつ、長くなる。
【0016】
この場合、図12に示すように、焦点位置が上方にあるために光導波路5a側壁に対する最大入射角が小さくなり、入射光の光導波路5a内での総反射回数が多くなる。その一方で、光導波路5aが細く、かつ、長くなると、光導波路5a側壁において良好な反射特性が得られる金属薄膜またはクラッド薄膜の膜厚を確保することが困難となり、側壁に対して入射角が小さい光は反射率が低下する。以上のことから、総合的な反射損失が大きくなり、光導波路内での入射光の減衰が促進される。
【0017】
次に、焦点位置が下方にある場合、すなわち、レンズが薄い場合について考える。この場合、光路のずれが大きくなるため、画素の微細化や配線の多層化が進んで光導波路入射面が小さくなり、かつ、レンズから遠くなると、光導波路の入射面から焦点が外れてしまうおそれがある。このように光導波路の入射面から焦点が外れてしまうと、集光された入射光のほとんどが受光部に到達しないという深刻な問題を引き起こすことになる。
【0018】
これを改善するためには、上記第3の例のように、光導波路穴にテーパーを付けて導波路をすり鉢状にし、光導波路入射面を広げることが考えられる。しかし、焦点位置が下方である場合には光導波路がそれと共に短くなるため、テーパー角度θtを90゜からかなり小さいものにする必要がある。ところが、光導波路側面への入射角は、1回の反射毎に
2×(90−θt) ・・・(4)
ずつ減少していくため、図13に示すように、光導波路5a内における反射の途中で受光部2に到達せずに、はじき返されてしまう入射光が発生する。或いは、光導波路5aを構成する材料がコア膜となる場合には、光導波路5a側面への入射角がコア−クラッド界面におけるブリュースター角よりも小さくなり、入射光がクラッド薄膜中に逃げる。このため、同様に、受光部2への入射光の供給が一部断たれることになる。
【0019】
このように、焦点位置が上方にある場合でも下方にある場合でも、高画素化が進行するにつれて、上記従来技術では問題が顕著になる。
【0020】
さらに、焦点にて集光後、上記従来技術における光導波路に導かれた入射光が再び焦点を結ぶことはない。受光部において吸収されるフォトン数は光強度に比例するため、受光部近傍で焦点を結ぶ一般的な方法と比べると、大幅に感度が低下する。
【0021】
本発明は、このような従来技術の課題を解決すべくなされたものであり、受光部の感度を低下させることなく、位置合わせずれや小F値等における光路ずれの影響を少なくして、効率良く入射光を受光部に導くことができる固体撮像素子を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明の固体撮像素子は、半導体基板上または半導体基板の表層部に設けた複数の受光部と、内部に配線を含むと共に該受光部上に光導波路を設けた絶縁層とを有する固体撮像素子において、該光導波路上方にマイクロレンズを備え、入射光が該光導波路の側壁での反射を経ずに、前記光導波路内部であって、かつ、該受光部表面近傍で焦点を結ぶように前記マイクロレンズの焦点を設定しており、そのことにより上記目的が達成される。
【0023】
前記光導波路の側壁が高反射率を有する薄膜で覆われていてもよい。
【0024】
前記高反射率を有する薄膜は、アルミニウム、銀、金、銅およびタングステンの少なくとも1種類を含む材料からなるものを用いることができる。
【0025】
前記高反射率を有する薄膜と前記絶縁層との間に、絶縁性薄膜が設けられていてもよい。
【0026】
前記光導波路と前記絶縁層との間に、該光導波路を構成する材料よりも低屈折率の薄膜が設けられていてもよい。
【0027】
前記光導波路は、前記絶縁層よりも高屈折率の材料で構成されていてもよい。
【0028】
前記光導波路の側壁は、前記絶縁層内部に配線を形成するときに形成することができる。
【0029】
前記光導波路の側壁は、アルミニウム、銅およびタングステンの少なくとも1種類を含む材料で構成することができる。
【0032】
前記絶縁層の上面が高反射特性または高吸収特性を有する薄膜で覆われていてもよい。
【0033】
以下、本発明の作用について説明する。
【0034】
本発明にあっては、基本的に入射光が、マイクロレンズにより受光部表面付近に反射することなく集光される。よって、位置合わせずれや小F値等での光路ずれ、または迷光や乱反射等によりわずかながら集束光から外れる光等が生じても、光導波路側壁に対して大きな入射角で入射して効率良く反射することができ、反射回数も少なくすることができる。その結果、入射光の光量を保ちつつ強度ピークが大きい光を受光面に導くことができる。また、光導波路内部に光遮蔽物が存在しないので、光導波路内に入射された光束については、絶縁層内部の配線による反射等や他画素への回り込みのおそれもなくなる。
【0035】
光導波路の側壁を高反射率を有する薄膜で覆うことにより、側壁での反射効率を向上することができる。絶縁層中の配線と光導波路側壁に設けた高反射率を有する薄膜との短絡のおそれがある場合には、高反射率を有する薄膜と絶縁層との間に絶縁性薄膜を設けてもよい。
【0036】
光導波路と絶縁層との間に、光導波路を構成する材料よりも低屈折率の薄膜(クラッド薄膜)を設けたり、光導波路を絶縁層よりも高屈折率の材料で構成することにより、コア−クラッドタイプの光導波路を形成することができる。
【0037】
絶縁層内部に配線を形成する際に、側壁を構成する材料を積み重ねていくことによって、光導波路側壁に均一性および被覆性に優れた金属薄膜を形成することができる。
【0038】
さらに、光導波路をカラーフィルター材料や蛍光材料で構成することにより、受光部からレンズまでの高さを低減すると共に、超微細な画素を有する高感度なカラー固体撮像素子を得ることが可能となる。
【0039】
さらに、上記絶縁層の上面を高反射特性または高吸収特性を有する薄膜で覆うことにより、レンズではない部分を通った入射光を反射または吸収させて、クロストーク等の問題を防ぐことができる。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0041】
(実施形態1)
図1(a)〜(c)は、実施形態1の固体撮像素子の製造工程を説明するための断面図である。この固体撮像素子は、図1(c)に示すように、複数の受光部2を形成した半導体基板1上に、絶縁層3が形成されている。この絶縁層3には図示しない配線が含まれており、通常、1層配線形成する毎に絶縁膜も1層増えるので、この絶縁層3は多層絶縁膜となっている。受光部2上には光導波路5aが設けられている。光導波路5aの側壁には絶縁性薄膜6と金属薄膜7が設けられ、光導波路5aの内部には透明な材料12が埋め込まれている。その上に平坦化層8およびオンチップマイクロレンズ9が形成され、レンズの焦点位置が受光部2の表面近傍に設定されている。
【0042】
この固体撮像素子は、例えば以下のようにして作製される。まず、複数の受光部2を形成した半導体基板1上に、酸化物等からなる絶縁層3を形成する。次に、全面にレジスト膜を形成した後、受光部2上の少なくとも一部を開口させるように、フォトリソグラフィ法を用いてマスクパターン11を形成する。その後、RIE法等を用いて異方的にエッチングを行って開口部4よりも下部の絶縁層3部分を除去し、光導波路用の穴5を形成する。
【0043】
次に、レジスト膜(マスクパターン)11を除去し、膜厚の均一性および被覆性に優れたSiO2等の絶縁性薄膜6および金属薄膜7を低温CVD法またはプラズマCVD法等により作製する。この金属薄膜7としては、高反射率を有するアルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、タングステン(W)またはこれらの合金等を用いることができる。なお、絶縁層3中の配線と金属薄膜7との短絡のおそれが無い場合には、上記絶縁性薄膜6は省略してもよい。その後、穴5側壁部以外の金属薄膜7のみをRIE法等により異方的に除去する。
【0044】
その後、穴5内にSiO2等の可視光に対して透明な材料12を埋め込んで、光導波路5aを形成する。続いて、焦点が受光部2の表面近傍に配されるようなパラメータ値を設定した平坦化層8およびオンチップマイクロレンズ9を熱軟化性樹脂等を用いて順次形成する。なお、この図において、10は入射光路を示す。
【0045】
または、上記絶縁性薄膜6を形成せずに、金属薄膜7の代わりにSiO2等のクラッド膜7を形成し、光導波路用の穴5にSiO2とMgOの混合物等のコア膜12を埋め込むことによって、コア−クラッドタイプの光導波路を形成してもよい。
【0046】
本実施形態によれば、基本的に入射光が、光導波路5a側壁での反射を経ずに受光部2の表面近傍で焦点を結ぶので、強度の強い光束を受光部2に導いて感度の向上を図ることができる。光導波路5aの側壁については、位置合わせマージンを確保するために光導波路5aの受光面積を広く取ってテーパーを設けたものが望ましいが、基本的に入射光が光導波路5a側壁での反射を経ないことと、入射光の一部が側壁で反射することがあっても、焦点距離が長いために光導波路5aの側壁に対する入射角が大きいことより、従来技術のように光導波路5aの途中で光がはじかれて受光部2に到達しないような入射角度になることはない。なお、位置合わせマージンが得られる場合には、光導波路5aの側壁を基板に対して垂直にしてもよい。また、F値が小さいときには、図2の実線で示すように、入射光角度が垂直方向から変化するが、この場合でも、図2に示すように極めて大きな入射角度を保って光導波路5aの側壁で反射されるので反射効率も良好であり、かつ、光導波路5a内での反射回数も最小限に抑えられるので、光の損失が殆ど生じず、光強度の低下も最低限に抑えることができる。
【0047】
(実施形態2)
図3は、実施形態2の固体撮像素子の構成を説明するための断面図である。この固体撮像素子は、光導波路5aが、絶縁層3よりも屈折率の高い透光性材料13で構成されている。
【0048】
この固体撮像素子の製造においては、実施形態1と同様に光導波路穴5までを形成した後、絶縁層3よりも屈折率の高い、TiO2等の透光性材料13を埋め込んで光導波路5aを形成する。その後は、実施形態1と同様に平坦化膜8およびオンチップマイクロレンズ9を形成する。
【0049】
この実施形態によれば、絶縁層3がクラッド膜、埋め込み材料13がコア膜として機能し、実施形態1と同様に光損失が生じない。
【0050】
(実施形態3)
図4は、実施形態3の固体撮像素子の構成を説明するための断面図である。この固体撮像素子は、絶縁層3内部に配線層を形成する際に、同時に光導波路5aの側壁が形成されている。
【0051】
Al等のメタルパターン15の形成時や、W等のスルーホールパターン14の形成時に、各々同じ材質で、例えばリング状のパターンを形成し、それを積み重ねていくことにより、図4(a)に示すような光導波路5aの側壁を形成する。なお、この実施形態においては、導波路5aの構成材は絶縁層3であり、他の構成材を埋め込む工程を省略することができる。
【0052】
さらに、この手法は、画素の微細化および多層配線化が進行してダマシンプロセスが導入されたときにも、用いることができる。ダマシンプロセスとは、絶縁膜を形成した後に掘り込みを設けてそこに配線を埋め込む手法であり、絶縁層の高さ(厚み)を低減することができる。図4(b)に示すように、絶縁層3に配線用溝を掘る際に例えばリング状の光導波路側壁用溝を形成した後、Cu等の金属配線材料16を埋め込む。その他は、図4(a)で説明した実施形態と同様に、光導波路5aを形成する。その後は、実施形態1と同様に平坦化膜8およびオンチップマイクロレンズ9を形成する。
【0053】
画素の微細化が進んで、例えば画素ピッチが2μm、絶縁層の厚みが10μmになると、アスペクト比10を超えるような細長い光導波路用穴を形成する必要が生じる。このような場合には、エッチングにより基板に垂直でかつ平滑な穴の側面を得ることが困難になり、また、均一性および被覆性ともに優れた金属薄膜やクラッド薄膜を形成することが困難になる。さらに、光導波路材料を充分に透光性および屈折率均一性を保ったまま、穴に埋め込むことも容易でなくなるおそれがある。
【0054】
そこで、上述したスルーホールパターン材14とメタルパターン材15または埋め込み配線材16の積み重ね回数を増やすことにより、結果的に高アスペクト比で、かつ、均一な光導波路側壁を形成することができる。また、この場合には、絶縁層3の一部をそのまま光導波路5aとして用いることができるので、光導波路材料の埋め込み工程が不要となり、光導波路5aの透光性も保たれ、かつ、プロセスの簡略化にもつながる。さらに、多層絶縁膜である絶縁層3の厚さを一定のままとして、上述したスルーホールパターン材14とメタルパターン材15または埋め込み配線材16の積み重ね回数を変えることによって、光導波路の長さを変えることもできる。
【0055】
(実施形態4)
図5は、実施形態4の固体撮像素子の構成を説明するための断面図である。この固体撮像素子は、光導波路用穴の内部に、R、G、B等の選択透光性を有するカラーフィルター材料17が埋め込まれて光導波路5aが構成されている。
【0056】
この固体撮像素子の製造においては、実施形態1と同様に、光導波路穴5の側壁にのみ金属薄膜7を形成した後、無機材料または有機材料からなるカラーフィルター材料17を光導波路用穴に埋め込んで光導波路5aを形成する。その後は、実施形態1と同様に平坦化膜8およびオンチップマイクロレンズ9を形成する。
【0057】
一般に、入射光波長の違いによって焦点位置のずれ(色収差)が発生する。しかし、本実施形態によれば、カラーフィルター材料17の厚さや材料を調整することにより、容易に全ての入射光の焦点を受光部2の表面近傍に設定することができる。さらに、カラーフィルター材料17を絶縁層3上部に設置する従来の構成に比べて、素子の高さ方向の寸法を低減できると共に、混色を防ぐことができる。以上のように、本実施形態によれば、さらなる感度および色再現性の向上を実現することができる。なお、この実施形態4は、上記実施形態1および実施形態2と組み合わせて用いることができる。
【0058】
(実施形態5)
図6は、実施形態5の固体撮像素子の構成を説明するための断面図である。この固体撮像素子は、光導波路用穴の内部に、蛍光材料18が埋め込まれて光導波路5aを形成している。
【0059】
この固体撮像素子の製造においては、実施形態4のカラーフィルター材料の代わりに、青色光を効率良く緑〜赤色光に変換するクマリン等の蛍光材料を埋め込んで光導波路5aを形成する。その後は、実施形態1と同様に平坦化膜8およびオンチップマイクロレンズ9を形成する。
【0060】
この実施形態によれば、MOS型フォトダイオードを用いた場合でも青色に対して高い感度が得られる。但し、p−n接合フォトダイオードを用いた場合には、蛍光材料層は不要である。なお、この実施形態5は、上記実施形態1および実施形態2と組み合わせて用いることができる。
【0061】
(実施形態6)
図7(a)および図7(b)は、実施形態6の固体撮像素子の構成を説明するための断面図および上面図である。この固体撮像素子は、絶縁層3の上面が高反射膜または光吸収膜19で覆われている。
【0062】
この固体撮像素子の製造においては、実施形態1において、絶縁層3の形成後、レジスト塗布前に、その上に高反射膜または光吸収膜19を形成する。
【0063】
レンズ端部同士が接触してレンズギャップ=0となっても、レンズが直交格子状に配列され、かつ、レンズ面が球面である場合には、全入射光のうちの約21%がレンズではない部分(図7(b)の斜線部)に到達し、そのほとんどが絶縁層3中に入射する。このような光は、レンズの制御を受けず、絶縁層3中の配線等で反射されてクロストーク等の問題を引き起こす。しかし、本実施形態によれば、レンズ9ではない部分を通った入射光は、絶縁層3上面の高反射膜または光吸収膜19で反射されるため、上記問題を改善することができる。なお、この実施形態6は、上記実施形態1〜実施形態5と組み合わせて用いることができる。
【0064】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、基本的に入射光が、光導波路側壁での反射を経ずに受光部の表面近傍で焦点を結ぶので、強度の強い光束を受光部に導いて感度の向上を図ることができる。位置合わせずれが生じた場合や入射光角度が基板に対して垂直方向から変化する場合でも、極めて大きな入射角度を保って光導波路側壁で反射されるので反射効率も良好であり、かつ、光導波路内での反射回数も最小限に抑えられる。よって、光の損失が殆ど生じず、光強度の低下も最低限に抑えることができる。また、配線と同時に光導波路側壁を形成することにより、プロセスの簡略化を図ると共に、高アスペクト比で、かつ、均一な光導波路を形成することができる。さらに、カラーフィルター材料を光導波路内に埋め込むことにより、混色を無くして感度および色再現性を向上させることができる。以上により、微細な画素を有し、かつ、高感度のカラー固体撮像素子を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(c)は実施形態1の固体撮像素子の製造工程を説明するための断面図である。
【図2】本発明に係る固体撮像素子において、入射光角度が基板に対して垂直方向から変化した場合を説明するための断面図である。
【図3】実施形態2の固体撮像素子の構成を説明するための断面図である。
【図4】(a)および(b)は実施形態3の固体撮像素子の構成を説明するための断面図である。
【図5】実施形態4の固体撮像素子の構成を説明するための断面図である。
【図6】実施形態5の固体撮像素子の構成を説明するための断面図である。
【図7】(a)は実施形態6の固体撮像素子の構成を説明するための断面図であり、(b)はその上面図である。
【図8】従来の固体撮像素子の構成を説明するための断面図である。
【図9】従来の固体撮像素子の構成を説明するための断面図である。
【図10】従来の固体撮像素子の構成を説明するための断面図である。
【図11】ブリュースター角について説明するためのグラフである。
【図12】従来の固体撮像素子において、焦点位置が上限位置となる場合の問題点を説明するための図である。
【図13】従来の固体撮像素子において、焦点位置が下限位置となる場合の問題点を説明するための図である。
【図14】固体撮像素子の構造および原理を説明するための図である。
【符号の説明】
1 半導体基板
2 受光部
3 絶縁層
4 開口部
5 光導波路用穴
5a 光導波路
6 絶縁性薄膜
7 金属薄膜またはクラッド薄膜
8 平坦化層
9 集光レンズ
10 入射光路
11 レジスト膜(マスクパターン)
12 光導波路構成材料またはコア薄膜
13 高屈折率材料
14 スルーホールパターン材
15 メタルパターン材
16 埋め込み配線材
17 カラーフィルター材料
18 蛍光材料
19 高反射膜または光吸収膜
Claims (9)
- 半導体基板上または半導体基板の表層部に設けた複数の受光部と、内部に配線を含むと共に該受光部上に光導波路を設けた絶縁層とを有する固体撮像素子において、
該光導波路上方にマイクロレンズを備え、入射光が該光導波路の側壁での反射を経ずに、前記光導波路内部であって、かつ、該受光部表面近傍で焦点を結ぶように前記マイクロレンズの焦点を設定した固体撮像素子。 - 前記光導波路の側壁が高反射率を有する薄膜で覆われている請求項1に記載の固体撮像素子。
- 前記高反射率を有する薄膜は、アルミニウム、銀、金、銅およびタングステンの少なくとも1種類を含む材料からなる請求項2に記載の固体撮像素子。
- 前記高反射率を有する薄膜と前記絶縁層との間に、絶縁性薄膜が設けられている請求項2に記載の固体撮像素子。
- 前記光導波路と前記絶縁層との間に、該光導波路を構成する材料よりも低屈折率の薄膜が設けられている請求項1に記載の固体撮像素子。
- 前記光導波路は、前記絶縁層よりも高屈折率の材料で構成されている請求項1に記載の固体撮像素子。
- 前記光導波路の側壁は、前記絶縁層内部に配線を形成するときに形成されたものである請求項2に記載の固体撮像素子。
- 前記光導波路の側壁は、アルミニウム、銅およびタングステンの少なくとも1種類を含む材料で構成されている請求項7に記載の固体撮像素子。
- 前記絶縁層の上面が高反射特性または高吸収特性を有する薄膜で覆われている請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の固体撮像素子。
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