JP3671690B2 - 吸着パッドおよびその吸着パッドを用いた吸着ハンド - Google Patents

吸着パッドおよびその吸着パッドを用いた吸着ハンド Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、真空引きによる負圧吸引力を利用した吸着パッドとその吸着パッドを用いた吸着ハンドに関し、特に板状ワーク等の搬送に際して吸着すべきワークの有無を感知する機能を吸着パッド自体にもたせて、その吸着すべきワークが存在しない場合には該当する吸着パッドの吸着動作を自律的に停止させるようにした吸着パッドとその吸着パッドを用いた吸着ハンドに関する。
【0002】
【従来の技術】
多種多様な形状の板材(ワーク)を取り扱うレーザ溶接あるいはプレス加工等の加工ラインでは、その板材の搬出入に際して共通の吸着式ハンドを備えたハンドリングロボットが使用される。この吸着式ロボットハンドは、ハンド本体たるフレームに多数の吸着パッド(バキュームカップ)を配設しておき、これらの吸着パッドを搬送対象となるワーク上面に押し付けることでそのワークを吸着支持した上で、ロボット自体の搬送動作により所定位置まで搬送するものである。
【0003】
そして、ワークの大きさや形状の違いにかかわらず吸着式ロボットハンドを共通して使用するために、それぞれのワークの形状に合わせた位置に複数個ずつの吸着パッドをグループ分けして配置するとともに、各吸着パッドの真空引き系統を吸着パッドのグループごとに分け、搬送すべきワークの種類に応じて該当するグループの吸着パッドを選択して使用するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の吸着式ロボットハンドの構造では、例えば搬送対象となるワークの種類が追加された場合や、特定のワークが穴あき形状のものに変更になったような場合には、その都度吸着パッドの配置を変更しなければならず、吸着式ロボットハンドの汎用性の面で必ずしも十分ではない。その上、上記の吸着パッドのグループ分だけ真空引き系統が分かれていることになり、その真空引き系統の細分化に伴って配線,配管系統がかさむほか、吸着パッドの選択切り換えのための回路構成も複雑化することとなって好ましくない。
【0005】
また、ワークの種別に応じて吸着パッドを選択的に切り換える構造のものとして、例えば特開平7−124665号公報に示されているように、各吸着パッドの近傍に下方のワークの有無を検出するセンサを配置するとともに、各吸着パッドに選択用カムとカム駆動用モータとを連係,連設して、上記センサの検出結果に基づきモータを回転させ、特定の吸着パッドを非作用位置に順次上昇させて使用吸着パッドを選択可能としたものも提案されている。
【0006】
しかしながら、この構造においても汎用性の面で必ずしも十分でないばかりでなく、吸着パッドの選択切り換えのためのカムやモータあるいはセンサを必要とするために、その機械的構造や回路構成が一段と複雑にならざるを得なくなる。
【0007】
本発明は以上のような課題に着目してなされたもので、きわめて簡単な構成で所期の目的を達成することができるようにした吸着パッドとその吸着パッドを用いた吸着ハンドを提供しようとするものである。
【0008】
すなわち、本発明は、板状ワーク等の搬送に際して、吸着すべきワークの有無を感知する機能を吸着パッド自体にもたせて、その吸着すべきワークが存在しない場合には該当する吸着パッドの吸着動作を自律的に停止させるようにした吸着パッドとその吸着パッドを用いた吸着ハンドとを提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、ホルダと、このホルダの一端部に装着された可撓性を有するパッド本体と、パッド本体の内部空間であるパッド吸着室に臨むようにホルダにスライド可能に内挿され、細孔をもって常時大気開放された大気圧室と真空感知室とにホルダ内を隔離形成しているスプールと、真空感知室に収容されてスプールをパッド本体側に向けて付勢している弾性体と、パッド吸着室と真空感知室とを連通している連通孔とを備えている。
【0010】
そして、外部真空引きによる真空吸引力が真空感知室に作用しない状態ではパッド吸着室と真空感知室とが連通孔によって連通されている一方、外部真空引きによる真空感知室の真空吸引力が弾性体の付勢力に勝ったときには、上記弾性体の付勢力に抗してスライド変位するスプールが、大気圧室に連通する細孔により速度制限されながら連通孔によるパッド吸着室と真空感知室との連通を遮断するものであることを特徴としている。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、前記スプールのうち真空感知室に臨む受圧面積よりもパッド吸着室に臨む受圧面積の方が大きく設定されていることを特徴としている。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明における弾性体の付勢力が調整可能となっていることを特徴としている。
【0013】
さらに、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明における大気圧室を大気開放している細孔の大気開放度合が調整可能となっていることを特徴としている。
【0014】
請求項5に記載の発明は、搬送母機に装着されて、複数の吸着パッドにより搬送対象となるワークを吸着支持した上で、搬送母機自体の動きによりそのワークを搬送する吸着ハンドであって、ハンド本体には請求項1〜4のいずれかに記載の発明における吸着パッドが複数個設けられていることを特徴としている。
【0015】
したがって、請求項1に記載の発明では、真空感知室に真空吸引力が作用していない状態ではスプールが弾性体によってパッド本体側に付勢されているだけであり、真空感知室とパッド吸着室とは連通孔によって相互に連通している。
【0016】
そして、吸着パッドが吸着支持すべきワークが存在しないにもかかわらず吸着パッドを吸着動作させた場合には、真空感知室に真空吸引力が作用し、この真空感知室と連通孔を介して連通しているパッド吸着室もまた圧力平衡して負圧になろうとするものの、パッド吸着室は吸着すべきワークが存在しないために大気開放されたままであり、しかもパッド吸着室には連通孔による応答遅れがあるため、真空感知室の負圧力の方がパッド吸着室のそれよりも大きくなる。これにより、その真空感知室の負圧力が、スプールを付勢している弾性体の力に打ち勝つようになり、スプールは弾性体の力に抗してスライド変位する。このスプールのスライド変位をもって連通孔による真空感知室とパッド吸着室との連通が遮断され、結果として吸着パッド室は吸着すべきワークの不存在を理由に吸着力を発生しなくなる。
【0017】
一方、吸着パッドをその吸着支持すべきワークに押し付けた上で真空感知室に真空吸引力を作用させた場合には、この真空感知室と連通孔を介して連通しているパッド吸着室もまた圧力平衡して負圧になる。その一方、スプールには弾性体の付勢力が常に作用しているため、スプールはパッド吸着室に向けて付勢されたままであり、連通孔による真空感知室とパッド吸着室との連通が遮断されることはない。これにより、真空感知室と同等の負圧がパッド吸着室に作用し、パッド本体はワークを吸着し続けることになる。
【0018】
この場合、請求項2に記載の発明のように、真空感知室に臨んでいるスプールの受圧面積よりもパッド吸着室に臨んでいるスプールの受圧面積の方が大きく設定されていると、上記のスプールの作動信頼性が一段と向上することになる。
【0019】
すなわち、請求項1,2に記載の発明では、吸着パッドに吸着動作を行わせた場合、吸着すべきワークが存在しない場合にはそのワークの不存在を吸着パッド自体が感知して吸着力を発生せず、ワークの存在を感知した場合のみワークを吸着支持することになる。
【0020】
ここで、上記のようにワークの有無に応じて吸着力を発生するか否かはスプールのスライド動作に依存し、さらにそのスプールのスライド動作の速さすなわち感度はスプールを付勢している弾性体の付勢力に依存する。
【0021】
そこで、請求項3に記載の発明では、スプールを付勢している弾性体の力をアジャストスクリュー等により可変調整することでスプールの感度を調整する。
【0022】
同様に、上記スプールの感度は、スプール自体を付勢している弾性体の力のみならず、スプールによって隔離形成されている大気圧室を大気開放している細孔の大気開放度合にも依存する。
【0023】
そこで、請求項4に記載の発明では、例えば大気圧室を大気開放している細孔に設けられた開度調整弁を調整して大気圧室の大気開放度合を可変調整することでスプールの感度調整を行う。
【0024】
また、請求項5に記載の発明では、ハンド本体に設けられた複数の吸着パッドのそれぞれが上記請求項1〜4のいずれかに記載の発明における吸着パッドの機能を有しているものである。したがって、形状が異なる複数種類のワークの吸着に単一の吸着ハンドを共用した場合、ワークの形状が特定されていないまま各吸着パッドをワークに押し付けたとしても、そのワークに対応しない部分の吸着パッドは自律的に吸着力の発生を停止し、結果としてそのワークに対応する部分の吸着パッドのみによって該ワークが吸着支持される。
【0025】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、吸着パッド自体が相手側となる吸着支持すべきワークの有無を感知する機能を有していて、吸着パッドを押し当てたときにワークが存在しない場合には自律的に吸着力の発生を停止し、ワークが存在する場合のみこれを吸着するものであるから、ワークの有無を検知するためのセンサが不要であり、また吸着すべきワークが存在しない場合には吸着力の発生を停止してしまうので、エネルギーの無駄が少ないという効果がある。
【0026】
特に請求項2に記載の発明のように、真空感知室に臨んでいるスプールの受圧面積よりもパッド吸着室に臨んでいるスプールの受圧面積の方を大きく設定することにより、スプールの作動信頼性が一段と向上する効果がある。
【0027】
また、請求項3,4の記載によれば、スプールを付勢している弾性体の力を調整する手段もしくは大気圧室を大気開放している細孔の大気開放度合を調整する手段を備えていて、これらの調整によって、スプールのスライド動作時の感度ひいては連通孔による真空感知室とパッド吸着室との連通を遮断するタイミングを微調整することができるため、請求項1に記載の発明と同様の効果に加えて、吸着パッドの作動信頼性が一段と向上する効果がある。
【0028】
請求項5に記載の発明によれば、吸着ハンドを形成している複数の吸着パッドのそれぞれが請求項1〜4に記載の発明と同等の機能を備えているため、複数種類のワークの吸着に単一の吸着ハンドを共用する場合であっても、各吸着パッドの配置をそれぞれのワークの形状に合わせて配置する必要はなくランダムに配置しておくだけでよいことから、吸着すべきワークの新規追加や形状変更があったとしてもハンドそのものの改変の必要はなく、吸着ハンドの汎用性が飛躍的に向上する。
【0029】
また、複数の吸着パッドに対して真空引き系統は少なくとも一系統で足りることから、配線,配管系のほか制御回路を含めた全体の構成を大幅に簡素化できる効果がある。
【0030】
【発明の実施の形態】
図1〜3は本発明の好ましい実施の形態を示しており、特に図2,3は吸着ハンドたるロボットハンド3の全体構成を、図1は吸着パッド5そのものの構成をそれぞれ示している。
【0031】
図2,3に示すように、搬送母機であるハンドリングロボットのアーム1の先端のリスト部2には吸着ハンドたるロボットハンド3が装着されている。このロボットハンド3は、ハンド本体たる略井桁状のフレーム4を中心として形成されていて、このフレーム4の下面には多数の吸着パッド5が整列されて等ピッチで配置されている。より詳しくは、フレーム4には多数の支持ロッド6がブラケット7を介して上下動可能に支持されていて、各支持ロッド6の先端に圧縮コイルスプリング8を介してそれぞれに図1に示す吸着パッド5が装着されている。これら多数の吸着パッド5の吸着面はその全てが同一平面上に位置するように設定されていて、各々の吸着パッド5は支持ロッド6とともに所定ストロークの範囲内で上下動可能となっている。
【0032】
上記の各吸着パッド5は、図1に示すように、中空段付軸状のホルダ9の下端に浅皿状もしくはカップ状のゴム製のパッド本体10を嵌合保持させたものであって、ホルダ9内には有底状をなす中空段付軸状のスプール11が上下動可能に内挿されている。より詳しくは、ホルダ9は、その上半部側の小径内周面9aと下半部側の大径内周面9bとを備えていて、スプール11のうち小径軸部11aが小径内周面9aに、大径フランジ部11bが大径内周面9bにそれぞれ嵌合している。
【0033】
また、ホルダ9の上端にはアジャストスクリュー12aを兼ねた連結ロッド12がロックナット13を介して螺合結合されており、連結ロッド12は上記支持ロッド6にロックナット6aを介して連結されている。また、この連結ロッド12とスプール11の上端面および小径内周面9aとによって真空感知室14が隔離形成されているとともに、スプール11の小径軸部11aと大径フランジ部11bおよび大径内周面9bとによって大気圧室15が隔離形成されている。すなわち、上記段付軸状のスプール11は、ホルダ9およびパッド本体10内を、上から順に真空感知室14、大気圧室15およびスプール11の下方のパッド本体10の内部空間であるところのパッド吸着室16とにそれぞれ隔離形成している。そして、上記スプール11のうち真空感知室14に臨む受圧面積よりもパッド吸着室16に臨む受圧面積の方が大きく設定されている。
【0034】
上記真空感知室14には連結ロッド12に形成された通気孔17が開口していて、後述するようにこの通気孔17を通して真空感知室14に真空吸引力が作用するようになっている。また、真空感知室14内にはスプール11と連結ロッド12との間に縮設されるかたちで弾性体たる圧縮コイルスプリング18が配設されており、この圧縮コイルスプリング18をもってスプール11が常時下方に付勢されているとともに、真空感知室14とパッド吸着室16とは複数の連通孔19,20をもって相互に連通している。
【0035】
前記大気圧室15は細孔としての複数の大気開放通路21,22をもって大気開放されるようになっているものの、一方の大気開放通路21には、大気圧室15側が負圧となったとき外部から大気の導入を許容する逆止弁23が設けられていて、他方の大気開放通路22には開度調整弁24が設けられている。この開度調整弁24はアジャストスクリュー25の回転操作によりその開度を調整した上でロックナット26によりその設定開度を保持するもので、少なくとも全閉状態とすることだけはないものとする。
【0036】
そして、上記複数の吸着パッド5は、図4に示すように、共通の真空発生回路27に対して並列に接続されており、各吸着パッド5に一斉に真空吸引力が作用するようになっている。より詳しくは、空気圧力源28からの圧縮空気が導入される真空発生回路27は、フィルタ29、圧力調整弁30、電磁弁31、エジェクタ32およびフィルタ33等を備えていて、圧縮空気が導入されるエジェクタ32のベンチュリ作用によって真空吸引力(負圧)が発生し、その真空吸引力が互いに並列関係にある各吸着パッド5の真空感知室14に一斉に作用することになる。
【0037】
したがって、本実施の形態によれば、図3に示すように、例えば図示外のワーク置台上に三種類のワークWa〜Wcのうちのいずれがランダムに投入され(ただし、ワークWaのみが穴あき形状となっている)、これらのワークWa〜Wcのうちのいずれかを共通のロボットハンド3にて吸着支持した上で所定位置まで搬送するものとすると、いずれかのワークがワーク置台上に投入されて位置決めされたことを条件に、ロボットハンド3をワークの真上まで移動させた上でそのロボットハンド3を下降させて各吸着パッド5をワークに押し付ける。そして、吸着パッド5をワークに押し付けたのちに各吸着パッド5に真空吸引力を作用させる。
【0038】
ここで、各吸着パッド5は、図4に示した真空発生回路27からの真空吸引力が導入されていない状態では、図1に示すように、スプール11が圧縮コイルスプリング18によってパッド本体10側に押し下げられており、真空感知室14とパッド吸着室16とは連通孔19,20によって相互に連通しているとともに、大気圧室15は一方の大気開放通路22によって大気開放されている。
【0039】
そして、前述したように、各吸着パッド5をワークWに押し付けた上で(ただし、ワークWが存在する部分に対応しない吸着パッド5についてはワークWに押し付けられることはない)図4の電磁弁31の切換動作により各吸着パッド5の真空感知室14に真空吸引力を作用させると、上記のようにワークWが存在しない部分に位置することになった吸着パッド5については、真空感知室14と連通孔19,20を介して連通しているパッド吸着室16もまた圧力平衡して負圧になろうとするものの、パッド吸着室16は吸着すべきワークWが存在しないために大気開放されたままであり、しかもパッド吸着室16には連通孔19,20による応答遅れがあるため、真空感知室14の負圧の方がパッド吸着室16のそれよりも大きくなる。そのため、真空感知室14の負圧力が、スプール11を下方に付勢している圧縮コイルスプリング18の力に打ち勝つようになり、図5に示すように、やがてスプール11は圧縮コイルスプリング18の力に抗して上昇変位する。
【0040】
このスプール11の上昇変位をもって該スプール11が連通孔19,20の開口面を塞ぐことから、連通孔19,20による真空感知室14とパッド吸着室16との連通が遮断され、結果として吸着パッド室16は吸着すべきワークWが存在しないために吸着力を発生しなくなる。
【0041】
すなわち、ワークWが存在しない部分の吸着パッド5は、真空感知室14のみに真空吸引力が作用している図5の状態を保持し、連通孔19,20およびパッド吸着室16を介して大気を吸引し続けることはないため、真空エネルギロスも最小限におさえることができる。
【0042】
ここで、上記スプール11が上昇変位して連通孔19,20を閉塞するタイミングすなわちスプール11の感度は、圧縮コイルスプリング18の力と大気圧室15内の大気の追い出し易さである大気開放通路22の開度に依存することから、予めアジャストスクリュー12aを兼ねた連結ロッド12を回転操作して圧縮コイルスプリング18のばね力を調整し、併せて図1の開度調整弁24にて大気開放通路22の開度を調整する。
【0043】
また、図6に示すように、ワークWに対して吸着パッド5におけるパッド本体10の全面が押し付けられないままでもそのパッド本体10の一部のみがワークWに押し付けられた場合には、図5と同様に、パッド吸着室16が完全密閉空間とならないために、スプール11の上昇変位によって真空感知室14とパッド吸着室16との連通孔19,20による連通が遮断される。
【0044】
これに対して、図7に示すように、吸着パッド5におけるパッド本体10の全面がワークWに押し付けられた場合には、真空感知室14に真空吸引力が作用すると、その真空感知室14と連通孔19,20を介して連通しているパッド吸着室16もまた圧力平衡して負圧になる。その一方、真空感知室14に臨んでいるスプール11の受圧面積よりもパッド吸着室16に臨んでいるスプール11の受圧面積の方が大きく、しかもスプール11には圧縮コイルスプリング18の付勢力が常に作用しているため、スプール11はパッド吸着室16側に向けて押し下げられたままであり、真空感知室14とパッド吸着室16とは連通孔19,20によって連通されたままとなる。そのため、真空感知室14内と同等の真空吸引力がパッド吸着室16にも作用し、パッド本体10はワークWを完全に吸着してこの状態を自己保持する。
【0045】
このように、本実施の形態における一つ一つの吸着パッド5は、吸着すべきワークWが存在しない場合にはそのワークWの不存在を吸着パッド5自体が感知して吸着力を発生せず、ワークWの存在を感知した場合のみワークWを吸着支持してその状態を自己保持することになる。
【0046】
より詳しくは、図3に示すように、三種類のワークWa〜Wcのうちどの種類のワークWがワーク置台上に投入されているかわからない状態でロボットハンド3の吸着パッド5をワークWに押し付けた上で真空吸引動作をさせた場合、例えばA種のワークWaの場合にはそのA種のワークWaに対してパッド本体10の全面が密着した吸着パッド5のみがワークWaを吸着支持し、そのワークWaに対してパッド本体10の一部のみが密着したにすぎない吸着パッド5やワークWaに密着しなかった吸着パッド5については前述したようにパッド吸着室16に真空吸引力が発生せず、ワークWaを吸着しない。
【0047】
これらのことは他の種類のワークWb,Wcについても全く同様である。
【0048】
以上の関係を図2,3に示したロボットハンド3を模式化した図8〜10に基づいて説明すると、図8のようにいずれかのワークWについて三つの吸着パッド5B〜5Dが完全密着し、二つの吸着パッド5A,5Eが不完全密着し、かつ一つの吸着パッド5FがワークWに密着しなかった場合には、前述したように三つの吸着パッド5B〜5DがワークWを吸着し、それ以外の三つの吸着パッド5A,5E,5Fは自律的に吸着力を発生しなくなる。
【0049】
したがって、各吸着パッド5A〜5Fが単一の真空発生回路27を共有してはいても、三つの吸着パッド5A,5E,5Fが吸着力を発生しないために、エネルギロスもなければ、その三つの吸着パッド5A,5E,5FがワークWを吸着していないことによって、有効に機能している残る三つの吸着パッド5B〜5Dの真空吸引力が低下するようなこともない。
【0050】
同様に、図9に示すように、三つの吸着パッド5D〜5FがワークWに完全密着し、一つの吸着パッド5Cが不完全密着し、かつ二つの吸着パッド5A,5BがワークWに密着しなかった場合には、三つの吸着パッド5D〜5FのみがワークWを吸着し、それ以外の吸着パッド5A,5B,5Cは自律的に吸着力を発生しない。
【0051】
さらに、図10に示すように、二つの吸着パッド5C,5DがワークWに完全密着し、一つの吸着パッド5EがワークWに不完全密着し、残る三つの吸着パッド5A,5B,5FがワークWに密着しなかった場合には、二つの吸着パッド5C,5DのみがワークWを吸着し、それ以外の吸着パッド5A,5B,5E,5Fは全て自律的に吸着力を発生しない。
【0052】
なお、各吸着パッド5(5A〜5F)は、真空発生回路27における電磁弁30を切り換えて圧縮空気をそれぞれの真空感知室14に導入することでそれまでの吸着支持していたワークWを直ちに解放することになる。そして、真空感知室14に圧縮空気が導入されるとスプール11は図1中下方に押圧され、大気圧室15に逆止弁23を介して速やかに大気を導入し、そのスプール11は下方に移動して初期状態に復帰する。
【0053】
また、一つのロボットハンド3に使用される吸着パッド5の数が多い場合には、真空発生回路27は必ずしも一つである必要はなく、真空発生回路27を二つあるいは三つとして吸着パッド5を真空発生回路27ごとに数グループに分けてもよい。
【0054】
ここで、上記と同様のことを従来周知の吸着パッドで実現しようとすると、図11〜13に示すように、吸着すべきワークWの種類、大きさ等に応じて各吸着パッド50の位置を予め設定しておき、図示外のセンサ等にて該当するワークWの存在を検知してから該当する真空発生回路27の電磁弁30を切換作動させて、そのグループの吸着パッド50のみを吸引動作させる必要がある。
【0055】
すなわち、図11の場合には、Aグループの吸着パッド50のみに吸着力を発生させ、それ以外の吸着パッド50は休止させ、同様に、図12の場合にはA,Bグループの吸着パッド50のみ吸着力を発生させ、それ以外の吸着パッド50は休止させる。同様に、図13の場合には、Cグループの吸着パッド50のみに吸着力を発生させ、それ以外は休止させることになる。
【0056】
このように本実施の形態の吸着パッド5およびロボットハンド3によれば、各吸着パッド5自体が吸着すべきワークの有無を感知し、ワークが存在しない場合には自律的に吸引力を発生しなくなることから、各吸着パッド5を所定のピッチでランダムに配置さえしておけば、ワークの有無を検知することなく、どのような形状のワークであっても吸着支持することができ、吸着支持すべきワークの追加や形状変更等にも柔軟に対応することができることはもちろんのこと、真空引き系統もシンプルな構成で済み、ロボットハンド3としてきわめて汎用性の高いものとなる。その上、万が一特定の吸着パッド5が破損して、たとえ吸着支持すべきワークに押し付けたとしてもパッド吸着室16が所定の負圧とならない場合には、吸着パッド5は自律的に真空吸引力を発生しなくなり、真空エネルギの無駄を伴うことがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す図で、図2に示す吸着ハンドに用いられる吸着パッドの拡大断面図。
【図2】本発明の実施の形態を示す図で、吸着ハンドの全体構成を示す斜視図。
【図3】図2に示す吸着ハンドにおける吸着パッドの配置を示す平面説明図。
【図4】図1に示す吸着パッドの真空引き系統の回路説明図。
【図5】図1に示す吸着パッドがワークに密着せずに吸着しなかったときの断面説明図。
【図6】図1に示す吸着パッドがワークに不完全密着状態となって吸着しなかったときの断面説明図。
【図7】図1に示す吸着パッドがワークを完全吸着したときの断面説明図。
【図8】図2,3に示す吸着ハンドを簡略化したときの作動説明図。
【図9】図2,3に示す吸着ハンドを簡略化したときの作動説明図。
【図10】図2,3に示す吸着ハンドを簡略化したときの作動説明図。
【図11】従来の吸着ハンドの作動説明図。
【図12】従来の吸着ハンドの作動説明図。
【図13】従来の吸着ハンドの作動説明図。
【符号の説明】
3…ロボットハンド(吸着ハンド)
4…フレーム(ハンド本体)
5,5A〜5F…吸着パッド
9…ホルダ
10…パッド本体
11…スプール
14…真空感知室
15…大気圧室
16…パッド吸着室
18…圧縮コイルスプリング(弾性体)
19,20…連通孔
21,22…大気開放通路(細孔)
24…開度調整弁
27…真空発生回路
32…エジュクタ
W,Wa,Wb.Wc…ワーク

Claims (5)

  1. ホルダと、
    このホルダの一端部に装着された可撓性を有するパッド本体と、
    パッド本体の内部空間であるパッド吸着室に臨むようにホルダにスライド可能に内挿され、細孔をもって常時大気開放された大気圧室と真空感知室とにホルダ内を隔離形成しているスプールと、
    真空感知室に収容されてスプールをパッド本体側に向けて付勢している弾性体と、
    パッド吸着室と真空感知室とを連通している連通孔と、
    を備えていて、
    外部真空引きによる真空吸引力が真空感知室に作用しない状態ではパッド吸着室と真空感知室とが連通孔によって連通されている一方、外部真空引きによる真空感知室の真空吸引力が弾性体の付勢力に勝ったときには、上記弾性体の付勢力に抗してスライド変位するスプールが、大気圧室に連通する細孔により速度制限されながら連通孔によるパッド吸着室と真空感知室との連通を遮断するものであることを特徴とする吸着パッド。
  2. 前記スプールのうち真空感知室に臨む受圧面積よりもパッド吸着室に臨む受圧面積の方が大きく設定されていることを特徴とする請求項1に記載の吸着パッド。
  3. 前記弾性体の付勢力が調整可能となっていることを特徴とする請求項1または2に記載の記載の吸着パッド。
  4. 前記大気圧室を大気開放している細孔の大気解放度合が調整可能となっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の吸着パッド。
  5. 搬送母機に装着されて、複数の吸着パッドにより搬送対象となるワークを吸着支持した上で、搬送母機自体の動きによりそのワークを搬送する吸着ハンドであって、
    ハンド本体には請求項1〜4のいずれかに記載の吸着パッドが複数個設けられていることを特徴とする吸着ハンド。
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