JP3670698B2 - 複数ワークの同時加工方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、機械加工に供する複数のワークのような部材を一体化して一体のまま複数箇所を加工することができる複数ワークの同時加工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、薄板状の複数のワークを対象として同時に機械加工を行なう場合には、それらの複数のワークをクランプにより結合して一体化することが行なわれている。すなわち、薄板状のワークの場合、複数のワークをクランプにより一体化しないとビビレが発生して加工し難くいためである。また、フライス加工の場合等は、多数のワークを一体化して加工した方が、切削バリが入らずに1個ものとして加工することができるため、バリを取り除く手間がかからないという利点もある。このようなことから、薄物のワークの場合には、複数枚クランプして一体化しているものであるが、そのクランプとしては、一方にワークに当接する当接面を備え、他方に複数枚積層されたワークを前記当接面に押圧するための押え捻子を設けて構成されているものである。このようなクランプにより複数枚のワークを一体化して工作機械にセットして必要な機械加工を全てのワークに同時に行なっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
複数のワークは、クランプにより一体化されるが、ワークとクランプとの関係を見ると、当然のことながら、両者は互いに固定状態にある。そして、ワークに対する加工個所が一個所である場合には、クランプが邪魔にならない位置に位置決めしてワークを締め付けることができるが、加工個所が複数個所の場合には、クランプが邪魔にならない位置にすることが不可能な場合がある。そのため、加工毎にクランプの締付場所を変えなければならず、ワークの位置ずれが起きるとともに加工が面倒であると云う問題がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
相対向する保持部とこれらの保持部を結合する連結部とよりなる「コ」の字形で高い剛性を持つクランプ本体の前記保持部に、同一軸線上に位置させて雌捻子を形成し、一端に直径の大きい摘み部を有して前記雌捻子に螺合する捻子部の他端に端面が押え面とされた押え体の嵌合部を軸心方向に沿わせて形成された軸孔にスチールボールを介して遊びなく回転自在に挿入して形成した二個の押え捻子を前記保持部の前記雌捻子に外方から捻子結合し、これらの押え捻子により複数個のワークを積層状態で押えて前記ワークの一辺を工作機の設置面に固定して前記連結部が位置していない辺を加工し、複数の前記ワークを押えたまま前記押え捻子の軸線を中心に前記クランプ本体を回動させて前記連結部が前記ワークの加工すべき辺と前記工作機の設置面とに位置しないようにして順次前記ワークの複数辺を加工するようにした
【0005】
【作用】
複数の部材は、互いに積層されてクランプ本体の保持部の間で押え捻子により締め付けられて一体化される。この状態では、部材とクランプ本体とは、押え捻子の軸心を中心として相対的に回転する。そのため、部材の適当なところを選んで押え捻子により複数の部材を一体化した時に、その部材に対してクランプ本体の位置を変えることができ、これにより、部材への加工位置等が複数個所あってもクランプ本体の位置を変えて邪魔にならない状態にすることができ、従って、部材の押えは、押え捻子による一回の押え操作を行なうだけでよいものである。
【0006】
【実施例】
本発明の第一の実施例を図1乃至図7に基づいて説明する。まず、クランプ本体1は「コ」の字形に形成され、相対向する保持部2とこれらの保持部2を結合する連結部3とよりなり、全体は高い剛性があるように形成されている。このクランプ本体1の前記保持部2のそれぞれには、同一軸線上に位置させて雌捻子4が形成されている。これらの雌捻子4には、外側方向からそれぞれ挿入されて前記保持部2の間で互いに対向する押え捻子5がねじ結合されている。
【0007】
これらの押え捻子5は、前記雌捻子4に螺合する捻子部6を有する。そして、捻子部6は、その一端に直径の大きい摘み部7を有し、他端にはその軸心方向に沿わせて軸孔8が形成されている。この軸孔8内には、球体としてのスチールボール9が挿入されている。また、前記軸孔8には押え体10の嵌合部11が遊びなく回転自在に挿入されている。この嵌合部11の端面は、前記スチールボール9が接合する接合面12とされ、この接合面12は熱処理により高硬度に仕上げられている。そして、前記押え体10には、溝部13と押え部14とが形成され、その押え部14の端面は押え面15とされている。この押え部14の外径は、前記捻子部6のねじの谷径よりも小さい。しかして、前記捻子部6の先端には、かしめ部16が形成され、このかしめ部16を変形させて前記溝部13に抜け止め部17を突出させて前記押え体10は抜け止めされている。このとき、前記押え体10は軸心方向に僅かな遊びを持たせて取り付けられている。
【0008】
なお、符号18は、加工に供するための部材、すなわち、複数枚の薄板状のワークであり、これらのワーク18は、例えば、5枚積層されて一対の前記押え捻子5により圧迫力を受けて一体化されているものである。
【0009】
このような構成において、5枚のワーク18の外周縁部、すなわち、A,B,C,Dの各辺を精密加工する場合について説明する。まず、あらかじめ或る程度の精度をもって矩形状に加工された薄板状の5枚のワーク18を積層し、これらのワーク18をクランプ本体1の保持部2の間に入れて適当個所を一方の押え捻子5の押え部14の押え面15に当接させ、他方の押え捻子5を廻して全てのワーク18をその押え部14の押え面15により押える。この時、押え面15とワーク18との圧接力が一定値にまで達すると、両者間の摩擦力が大きくなるため、互いの間で動かなくなる。そのため、押え捻子5の捻子部6が回転しても押え体10は回転することがない。すなわち、捻子部6の回転でその捻子部6は軸方向に移動するが、その動きはスチールボール9を介して回転しない押え体10に伝達され、押え体10自体は回転することなくワーク18に対する押圧力のみが作用する。これにより、5枚のワーク18は大きな力を受けて一体化される。また、押え体10から回転方向の力を受けることがないので、ワーク18の厚さが薄いものであってもねじり方向の外力を受けることがなく、ワーク18自体の歪が少ない。
【0010】
このようにして一体化されたワーク18は、例えば、研磨盤等に取り付けられてその周縁の研磨仕上げがなされる。その一例を上げると、まず、マグネットチャック等に辺Aを吸着させ、辺B,C,Dを正確な直角度を持たせて仕上げる。この時、クランプ本体1が辺B側に位置していると、そのままでは、辺C,Dの加工はできるものの辺Bの加工をすることができない。その場合には、ワーク18に対してクランプ本体1は押え捻子5の軸心を中心として回動できるものであるため、クランプ本体1を辺D側に廻して辺Bを加工することができる。そのため、三辺の加工のみであれば、ワーク18の一回のチャッキングだけで研磨作業を行なうことができる。本実施例では、辺Aも仕上げなければならないため、一旦、ワーク18をマグネットチャックから取り外してそのマグネットチャックに他の辺を吸着させて辺Aの仕上げを行なう。そして、いずれかの押え捻子5を緩めることにより、各ワーク18は取り外される。
【0011】
なお、前記実施例においては、ワーク18の四辺を仕上げる場合について説明したが、実際には、二辺又は三辺の加工でよい場合が多く、クランプ本体1を廻して逃すことにより、一度のクランプと一度のチャッキングで加工を行なうことができる。
【0012】
ついで、図5に示すものは、ワーク18が大きい場合であり、二個所において積層されたワーク18は締め付けられる。そして、一方のクランプ本体1は、辺A,B,Cの周囲で回動するものであり、他方のクランプ本体1は、辺A,D,Cの回りで回動するものである。そのため、多数枚のワーク18を一体化してフライス盤等の工作機械にチャッキングして一度に加工することができ、一枚毎のワーク18の厚さが薄くてもビビレが発生することなく加工することができる。また、フライス加工等の場合に切削バリが発生することがなく、その後の処理が容易である。
【0013】
図6乃至図8に示すものは、加工時の基準となる直角ブロック19を用いた例である。すなわち、各面を正確に仕上げた直角ブロック19に多数枚積層されたワーク18の一面を接触させて直角ブロック19とともに一体化したものである。この場合にも、押え捻子5の軸心を中心としてクランプ本体1が直角ブロック19とワーク18との周囲を回動できる大きさであることが望ましい。
【0014】
次に、図9ないし図10に基づいて本発明の第二の実施例を説明する。前記実施例と同一部分は同一符号を用い、説明も省略する。本実施例は、クランプ本体1の一方の保持部2に平滑に仕上げた受け面21を形成したものである。そして、その受け面21に雌捻子4が形成されている。そのため、ワーク18とクランプ本体1とを相対的に固定しなければならない場合には、その受け面21が形成された側の押え捻子5を受け面21から突出することがないように保持部2内に埋め込ませ、他方の押え捻子5と受け面21とによりワーク18を挟持する。これにより、ワーク18とクランプ本体1とは相対的に回動することがなく、従来の通常のクランプ装置として同様な使用を行なうことができる。
【0015】
さらに、図11及び図12に示すものは、押え捻子5の変形例である。すなわち、前記各実施例における摘み部7の外径が小さい場合には、ワーク18に対して大きな押圧力を与えることができないので、外径の大きな摘み部22を捻子部23とは別個に形成して取り付けたものである。そのため、捻子部23としては、その端部側面にすり割による平面部24を形成するとともに、端面には工具挿入用の六角孔25が形成されている。また、前記摘み部22は、前記捻子部23に螺合されるとともに、側面からイモネジ26が挿入されており、このイモネジ26の先端を前記平面部24に突き当てることにより捻子部23に摘み部22を固定することができるものである。従って、摘み部22は捻子部23とは別部品であるため、その加工が容易であり、また、摘み部22の径を任意に定めることができ、軽い力で押え捻子5を操作することができるものである。なお、図13は摘み部22を取り外した状態でクランプ本体1とともに使用した一例である。
【0016】
【発明の効果】
本発明は上述のように、相対向する保持部とこれらの保持部を結合する連結部とよりなる「コ」の字形で高い剛性を持つクランプ本体の前記保持部に、同一軸線上に位置させて雌捻子を形成し、一端に直径の大きい摘み部を有して前記雌捻子に螺合する捻子部の他端に端面が押え面とされた押え体の嵌合部を軸心方向に沿わせて形成された軸孔にスチールボールを介して遊びなく回転自在に挿入して形成した二個の押え捻子を前記保持部の前記雌捻子に外方から捻子結合し、これらの押え捻子により複数個のワークを積層状態で押えて前記ワークの一辺を工作機の設置面に固定して前記連結部が位置していない辺を加工し、複数の前記ワークを押えたまま前記押え捻子の軸線を中心に前記クランプ本体を回動させて前記連結部が前記ワークの加工すべき辺と前記工作機の設置面とに位置しないようにして順次前記ワークの複数辺を加工するようにしたので、複数の部材を互いに積層させてクランプ本体の保持部の間で押え捻子により締め付けて一体化することができ、この状態で部材とクランプ本体とは、押え捻子の軸心を中心として相対的に回転させることができ、そのため、部材の適当なところを選んで押え捻子により複数の部材を一体化した時に、その部材に対してクランプ本体の位置を変えることができ、これにより、部材への加工位置等が複数個所あってもクランプ本体の位置を変えて邪魔にならない状態にすることができ、従って、部材の押えは、押え捻子による一回の押え操作を行なうだけでよいと云う効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施例を示す正面図である。
【図2】その縦断正面図である。
【図3】一部を切り欠いた押え捻子の正面図である。
【図4】斜視図である。
【図5】ワークの大きさが大きい場合のクランプ状態を示す斜視図である。
【図6】直角ブロックを利用した場合の斜視図である。
【図7】ワークの長辺側にクランプ本体を位置させた状態の平面図である。
【図8】ワークの短辺側にクランプ本体を位置させた状態の平面図である。
【図9】本発明の第二の実施例を示す縦断正面図である。
【図10】その場合の従来と同様な利用状態の縦断正面図である。
【図11】押え捻子の変形例を示す正面図である。
【図12】その押え捻子の一部を切り欠いた正面図である。
【図13】摘み部を取り外して使用した一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 クランプ本体
2 保持部
5 押え捻子
6 捻子部
10 押え体
14 押え部

Claims (1)

  1. 相対向する保持部とこれらの保持部を結合する連結部とよりなる「コ」の字形で高い剛性を持つクランプ本体の前記保持部に、同一軸線上に位置させて雌捻子を形成し、一端に直径の大きい摘み部を有して前記雌捻子に螺合する捻子部の他端に端面が押え面とされた押え体の嵌合部を軸心方向に沿わせて形成された軸孔にスチールボールを介して遊びなく回転自在に挿入して形成した二個の押え捻子を前記保持部の前記雌捻子に外方から捻子結合し、これらの押え捻子により複数個のワークを積層状態で押えて前記ワークの一辺を工作機の設置面に固定して前記連結部が位置していない辺を加工し、複数の前記ワークを押えたまま前記押え捻子の軸線を中心に前記クランプ本体を回動させて前記連結部が前記ワークの加工すべき辺と前記工作機の設置面とに位置しないようにして順次前記ワークの複数辺を加工するようにしたことを特徴とする複数ワークの同時加工方法。
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