JP3669768B2 - スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体を用いる発泡シートの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体は、ポリスチレンに比べ耐熱変形性に優れており、その性質を生かし、特に発泡ポリスチレンシートより成形される食品容器等の分野の耐熱向上を目的として広く利用されている。
本発明は、表面状態の良好なスチレン−(メタ)アクリル酸共重合体の発泡シートを高い吐出量で製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
食品包装容器や弁当用容器向けに消費される熱可塑性樹脂の需要は年々増加の傾向をたどっているが、近年特に家庭への電子レンジの普及またはコンビニエンスストアでの弁当の売上の増加にともない電子レンジでの加熱に対応し得る耐熱性容器に対する需要が大幅に増加している。
一般的に、食品容器や弁当容器は樹脂のシートまたは発泡シートの熱成形により生産される。
【0003】
従来、耐熱性に優れる発泡シート用の樹脂材料としてはフィラーで補強したポリプロピレンが知られている。しかし、このフィラー入りのポリプロピレンシートを用いて成形される食品用容器は保温効果が低く、内容物の熱が容器を通して直接人体に伝わる為電子レンジの加熱直後に素手で容器を取り出すのに難点がある場合があり、また、フィラー入りの為にシート押出時に造粒操作を繰り返すとフィラーが壊れ耐熱物性が低下するなどリサイクルによる物性の保持が難しい等の欠点を有している。
【0004】
一方、透明性、加工性に優れ、安価に入手しうる発泡シート用の樹脂としてポリスチレンが知られている。発泡ポリスチレンシートを用いて成形された容器は保温性に優れている特性を有している。しかし、ポリスチレンは耐熱性に限界があり、電子レンジ等による加熱下では成形品の変形が大きくなり、従って成形品では肉圧を厚くする必要があった。
【0005】
このため、ポリスチレンの特性を失わず、耐熱性を改良したものとして、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体が用いられている。そして、その製造方法として、例えば連続プロセスによる方法(特開昭56ー161409号公報)、懸濁重合による方法(特開昭49ー85184号公報)など種々の方法が提案されている。また、スチレン−(メタ)アクリル酸の発泡シートより成形される食品容器(特開昭62ー94539号公報)についても開示されている。
ところで、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体を用いて発泡シートを押出し成形する際、吐出量を上げて生産性を向上させることが生産技術上の課題として挙げられるが、従来の樹脂では1次発泡に際し、押出速度を上げようとすると押出機の内圧が高くなり機械の耐圧の限界までしか速度を上げられず、生産性の向上に限界がある。
【0006】
それ以上の生産性向上を望む場合には、押出温度を上げて樹脂の溶融粘度を下げたり、樹脂自体の分子量を下げることで粘度を下げて、押出速度を上げようとしていたが、そうすると発泡時に発泡むらをおこし発泡体の表面状態が滑らかにならないなどの現象を起こすことがあった。また、可塑剤を添加して樹脂の溶融粘度を下げたりすると同時に得られる発泡シートの耐熱性が下がり、目的とする耐熱性を保持し難い等、発泡シートの外観及び耐熱性と生産性向上のバランスを充分に満足するものではない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、これらの課題点を解決し、表面状態の良好なスチレン−(メタ)アクリル酸共重合体の発泡シートを高い吐出量で製造する方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはかかる現状に鑑み、鋭意検討を重ねた結果、特定の分子量と特定の粘度条件を満たすスチレン−(メタ)アクリル酸共重合体を用いることにより、発泡体の表面状態や1次発泡押出安定性の改善効果が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
即ち、本発明は、(A)ゲルパーミエイションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が17.8〜29.8万の範囲にあり、(B)(メタ)アクリル酸の含有率が5.3〜12.9重量%であり、且つ、(C)220±3℃の測定時に、γ=9×102 (s-1)のシェアレートにおいてηe (Pa・s)と、200℃、5kg荷重で測定されるメルトフロー(MFR)の値が44100≧ηe >22000−6900×(MFR)(但し、MFR=0.32〜2.58)の関係を満たすスチレン−(メタ)アクリル酸共重合体を用いることを特徴とする発泡シートの製造方法、を提供するものである。
以下、本発明について詳しく説明する。
【0010】
本発明において、Mwはスチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のポリスチレン換算重量平均分子量であり、ゲルパーミエイションクロマトグラフィーを使用してRI法にて求めた値である。
本発明のスチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は15万〜40万、好ましくは18万〜30万、より好ましくは20〜28万の範囲である。Mwが40万を越える場合には、溶融体の粘度が高くなり、押出成形性、加工性等が極端に低下し、押出生産性が悪化する。また15万未満の場合には、共重合体の溶融粘度が低くなり、発泡時に破泡しやすくなる。
【0011】
ここでいうRI法とは、示差屈折率検出法のことを言い、テトラヒドロフランを溶媒としてゲルパーミエイションクロマトグラフィーにより測定される。即ち、当該試料20mgをテトラハイドロフラン20mlに溶解した試料を測定試料とし、測定は38℃±1℃で行われ、試料とリファレンスの流速は1ml/minで行われる。測定にはポリスチレンゲルカラムを用いる。同様に調製された分子量既知の単分散ポリスチレン溶液試料の溶出曲線より各溶出時間における分子量(Mw)を算出し、ポリスチレン換算Mwを算出する。
【0012】
また、本発明の共重合体中の(メタ)アクリル酸単位は1〜30重量%、好ましくは5〜15重量%、より好ましくは6〜12重量%の範囲である。共重合体中の(メタ)アクリル酸単位が30重量%を越える場合には、溶融体の粘度が高くなり、押出成形性、加工性等が低下し、生産性が悪化することに加えて、重合時にゲル状物が大量に生成する場合があるため、温度制御を注意深く行う必要が生じる。また1重量%未満の場合には、共重合体の耐熱性向上効果が不十分となる。
【0013】
また、本発明の共重合体組成物は、ηe =9(n+1)2 P0 2 /32ηγで定義される粘度ηe(Pa・s)が、220±3℃の測定時に、γ=9×102 (s−1)の条件下においてηeと、200℃、5kg荷重で測定されるメルトフローレート(MFR)の値が55000>ηe >22000−6900×(MFR)の関係を満たすこと、好ましくは45000>ηe >22000−6900×(MFR)、より好ましくは40000>ηe >22000−6900×(MFR)の関係を満たすことが必要である。ηe <22000−6900×(MFR)の場合には、発泡シートの製造時に吐出量を上げようとするとシートの表面が肌あれを起こしやすく、高い吐出量で綺麗な表面の発泡シートを製造するのが難しい。また、ηe >55000の場合、溶融樹脂の粘度が高くなり、押出成形性、加工性が低下し生産性が悪化する。
【0014】
ここで言うnとは、パワーロウインデックスと呼ばれる値であり、狭窄型キャピロレオメーターにて測定されるシェアーストレスをτ、シェアーレートをγとした時に定数kを用いて、log(τ)=k+n・log(γ)で定義される値で、τとγの関係を3点以上測定することで、log(τ)とlog(γ)のグラフの傾きから決定される。P0 はダイ長がゼロの時のオリフィスを使用した時に生じるキャピラリー内の圧力損失で、L(オリフィス長)/D(ダイの細管直径)の異なるオリフィスを用いて、各オリフィスでの内部圧力を測定し、その値から外挿してえられる。溶融樹脂の圧力測定はバレル下部のキャピラリーの入り口近くに圧力センサーを取り付けた狭窄型キャピロレオメーターにより行われる。ピストンを一定のシェアレートで押し下げることで、圧力は時間と共に徐々に増加し平行点に達した値を当該シェアレートでの溶融樹脂の内部圧力とする。実際の測定はROSAND社製キャピラリーレオメーターを使用した。
【0015】
ηは見かけのシェアー粘度でη=τ/γで定義される。
また、シェアーストレスτは、τ=(Pl ーP0 )・R/Lで定義される。ここで、Pl はバレル下部のキャピラリーの入り口近くの圧力センサーで測定される内部圧力であり、Rはダイの細管半径でR=D/2である。シェアーレートγは、γ=4Q/πR3 で定義される。Qは溶融樹脂の容積流量である。
実際の測定は狭窄型キャピロレオメーターにて、L/Dの異なる2種のオリフィスを用い、異なるシェアーレートでキャリラリーの内部圧力を測定することで行われる。シェアーレートの設定は、ピストンスピードを設定することにより行われる。
【0016】
本発明のスチレン−(メタ)アクリル酸共重合体とは、スチレンと(メタ)アクリル酸とを共重合して得られた共重合体のことであり、単独の共重合体のみではなく、異なる条件で製造した共重合体の混合物も含まれる。
また、当該共重合体の重合方法は特に制限されるものではなく、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等が挙げられるが、組成の均一性の確保から完全混合型重合反応器にて重合を行うのが好ましい。
また、スチレン系樹脂に慣用されている添加剤、例えば酸化防止剤、滑剤、可塑剤、着色剤等を本発明の目的及び粘度条件を損なわない範囲で添加してもかまわない。
【0017】
また、当該共重合体には、スチレンに共重合可能なビニルモノマーを本発明の目的を損なわない範囲で共重合させてもかまわない。
スチレンに共重合可能なビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル類、αーメチルスチレン、o−、m−、p−メチルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン等のスチレン以外の芳香族ビニル類、マレイン酸、フマル酸等の不飽和脂肪酸類、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和脂肪酸無水物類等が挙げられる。
また、当該共重合体には、本発明の目的を損なわない範囲内で他の樹脂を添加してもかまわない。
【0018】
【実施例】
次に、実施例および比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例などにより何ら限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例中の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)はゲルパーミエイションクロマトグラフィーにより測定した。
その測定条件を下記に示す。
測定溶媒:テトラハイドロフラン
試料濃度 :試料20mgを20mlの該溶媒に溶解。
分別カラム:東ソー製 TSK−gelーGMH−XL2本
測定機本体:東ソー製 HCL8020
測定温度 :38℃
流速 :1ml/min
液体クロマトグラフ用サンプル前処理フィルター
:GLサイエンス社製 非水性 未滅菌 13N 0.45μm
【0019】
表1に示す発泡倍率は下記の様に定義する。
発泡倍率=スチレン系樹脂の比重/成形体の比重
また表1に示す諸物性の評価方法を下記に示す。
メルトフローレート:ISO−1133に準ずる。
ビカット軟化点:ASTM−D1525に準ずる。
また、表1に示す共重合体中のメタアクリル酸(MMA)単位の含有量は以下の様に測定した。
【0020】
共重合体中のメタアクリル酸単位の定量は、当該共重合体0.5gを30mlのメチルエチルケトンに溶解し、1/10規定の水酸化カリウムエタノール溶液で滴定することで行った。指示薬としてフェノールフタレイン溶液を用い、試料溶液が淡赤色に変化した点を終点とし、また、ブランクとして、溶媒単独の試料の滴定を行い、実滴定量の補正を行った。終点までに消費された1/10規定の水酸化カリウムエタノール溶液の体積量からメタアクリル酸のカルボン酸基のモル数量が計算され、得られた数値にメタアクリル酸の分子量を乗することよりメタアクリル酸単位の重量を算出した。算出されたメタアクリル酸単位の重量の測定に用いた試料の重量に対する割合を求めることで、当該組成物中のメタアクリル酸単位の重量%を算出した。測定は3回行い、得られた値の平均値を表1に示した。
【0021】
表1に示すηeの値の測定には、狭窄型キャピロレオメーターとして、ROSAND社製キャピラリーレオメーターを使用した。オリフィスにはダイ長16mmダイ直径1mmのものとダイ長0.25mmダイ直径1mmの2種のオリフィスを使用した。測定温度は220℃の設定とし、キャピラリー内の上部、中部、下部に熱電対を設置し220±3℃に温度制御した。測定開始までの保温時間を9分とした。シェアレートγ=900(s-1)でのダイ長16mmの時の溶融樹脂の内部圧力の測定値をPL 、ダイ長0.25mmの時の溶融樹脂の内部圧力の測定値をPS として、ダイ長Lに対する内部圧力Pの関係を、P=a×L+bと仮定し、PL 、PS の測定値より未知の定数a、bを算出し、L=0の時の値P0 を算出した。見かけのシェア粘度ηはダイ長16mmのオリフィスを使用した場合の測定圧力PL と計算で得られたP0 の値からシェアストレスτを算出し、シェアストレスτとシェアレートγより算出した。
【0022】
パワーロウインデックスnは、γ=800、900、1000(sー1)のシェアレートにて測定したシェアストレスτとシェアレートγの関係より、log(τ)=k+n・log(γ)から最小自乗法にて決定し算出した。γ=800、1000(s-1)の時のシェアストレスτも上述の方法と同様にしてP0 を算出することで計算した。以上の様に算出されたγ=900(sー1)の時のパワーロウインデックスn、圧力P0 、シェア粘度ηからηe を算出した。
【0023】
また、表1に示す発泡体の表面状態の評価は発泡体表面及び断面の状態を観察し、「洲」と呼ばれる発泡むらの現象の程度を目安にその外観の程度を目視判定する。結果を次の様に判定し表1に示した。
「良好」 =表面状態が滑らかで厚みの均一なシートが押し出されるレベル
「肌あれ」=表面に光沢スジが入っているレベル
「州」 =表面に破泡したセルが生じているレベル
「mf] =メルトフラクチャーをおこし、平滑な均一厚さのシートがとれないレベル
【0024】
「スチレン−メタアクリル酸共重合体の製造」
(製造例1)
スチレン72.1重量%、メタアクリル酸5.4重量%、エチルベンゼン20重量%、2−エチルヘキサノール2.5重量%の混合液100重量部に対し、2,2−ビス(4,4−ジターシャリーブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン0.01重量部を添加して成る重合液を、5.0リットルの完全混合型反応器を有する重合装置に1.00リットル/hrで連続的に仕込む。完全混合型反応器の温度を135℃に調整する。重合反応器より連続して排出される重合体溶液を220℃に加熱された真空ベント付き押出機に導入し脱揮した後ペレタイズして、共重合体を製造した。
【0025】
(製造例2)
完全混合型反応器の温度を130℃に変えた以外は実施例1と同様の条件で共重合体を製造した。
(製造例3)
完全混合型反応器の温度を140℃に変えた以外は実施例1と同様の条件で共重合体を製造した。
(製造例4)
スチレン72.8重量%、メタアクリル酸4.7重量%、エチルベンゼン20重量%、2ーエチルヘキサノール2.5重量%の混合液を重合液に使用し、完全混合型反応器の温度を118℃に変えた以外は実施例1と同様の条件で共重合体を製造した。
【0026】
(製造例5)
スチレン74.4重量%、メタアクリル酸3.1重量%、エチルベンゼン20重量%、2ーエチルヘキサノール2.5重量%の混合液を重合液に変えた以外は実施例1と同様の条件で共重合体を製造した。
(製造例6)
スチレン69.8重量%、メタアクリル酸7.7重量%、エチルベンゼン20重量%、2ーエチルヘキサノール2.5重量%の混合液を重合液に変えた以外は実施例1と同様の条件で共重合体を製造した。
【0027】
(製造例7)
5.0リットルの完全混合型反応器と2.0リットルの完全混合型反応器を並列に継いでなる重合反応装置を用い、5.0リットルの反応器にはスチレン81.4重量%、メタアクリル酸6.1重量%、エチルベンゼン10重量%、2−エチルヘキサノール2.5重量%の混合液100重量部に対し、2,2−ビス(4,4−ジターシャリーブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン0.03重量部を添加して成る重合液を1.00リットル/hrで連続的に供給し、2.0リットルの反応器にはスチレン62.8重量%、メタアクリル酸4.7重量%、エチルベンゼン30重量%、2−エチルヘキサノール2.5重量%の混合液100重量部に対し、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.01重量部、αメチルスチレンダイマー0.1重量部を添加してなる重合液を0.4リットル/hrで連続的に供給する。5.0リットルの完全混合器の温度を105℃に、2.0リットルの完全混合器の温度を135℃に調整する。各反応器から連続的に排出される重合体溶液を合流しスタティックミキサーにて混合させた後、220℃に加熱された真空ベント付き押出機に導入し脱揮した後ペレタイズして、共重合体を製造した。
【0028】
(製造例8)
スチレン73.0重量%、メタアクリル酸4.5重量%、エチルベンゼン20重量%、2ーエチルヘキサノール2.5重量%の混合液を重合液に使用した以外は実施例1と同様の条件で共重合体を製造した。
(比較製造例1)
スチレン72.1重量%、メタアクリル酸5.4重量%、エチルベンゼン20重量%、2ーエチルヘキサノール2.5重量%の混合液100重量部に対し、1,1ービス(tーブチルパーオキシ)3,3,5ートリメチルシクロヘキサン0.01重量部を添加して成る重合液を、5.0リットルの完全混合型反応器を有する重合装置に1.00リットル/hrで連続的に仕込む以外は実施例1と同様の条件で共重合体を製造した。
【0029】
(比較製造例2)
完全混合型反応器の温度を130℃に変えた以外は比較例1と同様の条件で共重合体を製造した。
(比較製造例3)
完全混合型反応器の温度を140℃に変えた以外は比較例1と同様の条件で共重合体を製造した。
(比較製造例4)
完全混合型反応器の温度を145℃に変えた以外は実施例1と同様の条件で共重合体を製造した
【0030】
(比較製造例5)
スチレン83.1重量%、メタアクリル酸4.4重量%、エチルベンゼン10重量%、2ーエチルヘキサノール2.5重量%の混合液100重量部を用い、完全混合型反応器の温度を105℃に変えた以外は実施例1と同様の条件で共重合体を製造した。
【0031】
(比較製造例6)
スチレン50重量%、メタアクリル酸27.5重量%、エチルベンゼン20重量%2ーエチルヘキサノール2.5重量%の混合液を用いた以外は実施例1と同条件で共重合体を製造した。該共重合体は架橋のため、回収不能であった。
「スチレン−メタアクリル酸共重合体の発泡押出し成形」
(実施例1〜8、比較例1〜5)
上記製造例1〜8、及び比較製造例1〜5で得られた共重合体を用いて、以下の条件で発泡シートを製造した。
【0032】
幅30mmのTダイを備えた30mm押出発泡機を用いて、発泡核剤を樹脂100重量部に対して1重量部、発泡剤を樹脂100重量部に対して3重量部添加して発泡シートを製造した。樹脂溶融ゾーンの温度は180〜220℃、ロータリークーラー温度は150〜160℃、Tダイ温度を140〜150℃に調整する。発泡剤には液体ブタンガスを用い、発泡核剤には日本ミストロン社製、ミストロンベーパー(商品名)を用いた。吐出量は単位時間当たりに押し出された発泡体の重量とし、40g/分、50g/分、60g/分の3水準で押し出し、それぞれ±3g/分の範囲内におさまる様に吐出量を押出機のスクリュー回転数で制御した。押出機の温度条件を発泡倍率は20倍を目標に制御した。この結果を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
【発明の効果】
本発明のスチレン−(メタ)アクリル酸共重合体を用いることにより、表面状態の良好な発泡体を高い吐出量で安定的に製造することができた。
Claims (1)
- (A)ゲルパーミエイションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が17.8〜29.8万の範囲にあり、(B)(メタ)アクリル酸の含有率が5.3〜12.9重量%であり、且つ、(C)220±3℃の測定時に、γ=9×102 (s-1)のシェアレートにおいてηe (Pa・s)と、200℃、5kg荷重で測定されるメルトフロー(MFR)の値が44100≧ηe >22000−6900×(MFR)(但し、MFR=0.32〜2.58)の関係を満たすスチレン−(メタ)アクリル酸共重合体を用いることを特徴とする発泡シートの製造方法。
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