JP6071716B2 - スチレン系共重合樹脂組成物、押出発泡シートおよび容器 - Google Patents

スチレン系共重合樹脂組成物、押出発泡シートおよび容器 Download PDF

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本発明は、脆性の改良された耐熱性スチレン系共重合樹脂組成物および当該組成物よりなる押出発泡シートおよび当該シートを熱成形して得られる容器に関する。
従来、耐熱性に優れる押出シート用の樹脂材料としてフィラー補強したポリプロピレンが知られている。しかし、このフィラー入りのポリプロピレンは保温効果が低く、フィラー入りの為造粒操作を繰り返すとフィラーが壊れ耐熱物性が低下する等リサイクルによる物性の保持が難しい等の欠点を有している。一方、透明性および加工性に優れ、安価に入手しうる押出発泡シート用の樹脂としてポリスチレンが知られている。しかし、ポリスチレンは耐熱性に限界があり、電子レンジ等による加熱下では成形品の変形が大きくなり、従って成形品の肉厚を厚くする必要がある。このため、ポリスチレンの特性を失わず、耐熱性を改良したものとして、スチレン−メタアクリル酸共重合樹脂が開発され発泡体として広く用いられている(特許文献1、特許文献2)。又、その製造方法として、例えば連続プロセスによる方法(特許文献3)、懸濁重合による方法(特許文献4)等種々の方法が提案されている。
しかしながら、従来のスチレン−メタアクリル酸共重合樹脂は脆いため、押出発泡シートを作る際にシートが割れてしまう、あるいは押出発泡シートを真空成型してなる発泡容器が脆いため低温落下で割れてしまう等の問題があった。これらの問題を解決するためにスチレン−ブタジエンゴムをブレンドする方法(特許文献5)、耐衝撃性ポリスチレンをブレンドする方法(特許文献6)等があるが、いずれも耐熱性が低下する問題および製造コストが高くなる問題があり、これらをブレンドしなくとも実用上使用可能なスチレン−メタアクリル酸共重合樹脂が求められていた。さらにスチレン−メタアクリル酸共重合樹脂の押出発泡シートを真空成型した容器を打ち抜き刃で打ち抜く際に粉が多く発生する問題があり、生産性の低下および衛生上の問題から粉発生の低減が求められていた。
特開平8−283322号公報 特開平10−45937号公報 特開昭56−161409号公報 特開昭49−85184号公報 特開平03−109441号公報 特開昭63−264335号公報
本発明の目的は、これらの問題点を解決し、得られる成形品の耐衝撃性及び耐熱性が良好であるとともに、真空成型した容器を打ち抜き刃で打ち抜く際の粉発生が少ないスチレン系共重合樹脂組成物、並びにこれを用いて成形された発泡シート及び容器を提供することにある。
本発明者らはかかる現状に鑑み、鋭意検討を重ねた結果、メタアクリル酸量、重量平均分子量、分子量100万以上の成分の割合、および溶融張力が特定範囲であるスチレン−メタアクリル酸共重合樹脂を含む組成物を用いることにより、従来の樹脂を用いる場合と同等の耐衝撃性および耐熱性を保持しつつ、粉発生の問題がない押出発泡シートおよびそれを熱成形して得られる発泡容器が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明はスチレンとメタアクリル酸との共重合樹脂を含むスチレン系共重合樹脂組成物であり、該共重合樹脂が、スチレン単位とメタアクリル酸単位との合計100質量%基準で、スチレン単位93.5〜98.0質量%、及びメタアクリル酸単位2.0〜6.5質量%を含有し、該共重合樹脂の重量平均分子量が24万〜40万であり、該共重合樹脂が分子量100万以上の成分を1.5〜3.0質量%含み、190℃で測定したときの該共重合樹脂の溶融張力が60〜80グラムであるスチレン系共重合樹脂組成物を提供するものである。好ましい態様において、上記重量平均分子量をM、上記共重合樹脂中のスチレン単位とメタアクリル酸単位との合計100質量%基準でのメタアクリル酸単位含有率をW(%)とするとき、29≦(M/10000)+W≦35である。本発明はさらに上記スチレン系共重合樹脂組成物を用いて形成された押出発泡シート、およびその押出発泡シートを熱成形して得られる容器を提供するものである。
本発明のスチレン系共重合樹脂組成物を用いることにより、耐衝撃性および耐熱性が良好であるとともに粉発生の問題がない押出発泡シートおよびそれを熱成形して得られる容器を得ることができる。
以下、本願発明について具体的に説明する。本発明は、スチレンとメタアクリル酸との共重合樹脂(本開示で、スチレン−メタアクリル酸共重合樹脂ともいう。)を含むスチレン系共重合樹脂組成物を提供する。共重合樹脂は、スチレン単位とメタアクリル酸単位との合計100質量%基準で、スチレン単位93.5〜98.0質量%、及びメタアクリル酸単位2.0〜6.5質量%を含有し、共重合樹脂の重量平均分子量は24万〜40万であり、共重合樹脂は分子量100万以上の成分を1.5〜3.0質量%含み、190℃で測定したときの該共重合樹脂の溶融張力は60〜80グラムである。
本発明においては、スチレンとメタアクリル酸との共重合樹脂は熱重合によって、または有機過酸化物群を重合開始剤として用いて重合することができる。有機過酸化物の具体例としては、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等のパーオキシケタール類、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等のジアルキルパーオキサイド類、ベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類、ジミリスチルパーオキシジカーボネート等のパーオキシエステル類、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、p−メンタハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、2,2−ビス(4,4−ジターシャリーブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジターシャリーアミルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジターシャリーブチルパーオキシシクロヘキシル)ブタン、2,2−ビス(4,4−ジクミルパーオキシシクロヘキシル)プロパン等の多官能開始剤を挙げることができる。
これらの有機過酸化物はスチレン単量体とメタアクリル酸単量体との共重合のいずれかの工程にて重合系(重合原料溶液または重合途中の溶液)に添加される。これらの有機過酸化物は重合原料溶液に加えられても、重合途中の溶液に必要に応じて複数回に分割して添加しても良い。上記有機過酸化物の添加量は原料溶液100質量部に対して好ましくは0.0005〜0.2質量部であり、より好ましい添加量は、0.01〜0.1質量部である。上記有機過酸化物の添加量が0.0005質量部以上の場合は開始剤添加の目的の効果が良好に得られる。又、0.2質量部以下の場合は重合時に大量の反応熱が発生することを回避して重合を容易に制御できる。
本発明において、スチレン−メタアクリル酸共重合樹脂を得るための重合方法には特に制約はなく、通常の塊状重合、溶液重合、懸濁重合等が用いられる。生産性の観点から連続塊状重合が好ましい。また、本発明においては分子量調整のために、溶媒および連鎖移動剤を使用することも可能である。溶媒としては、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等が使用できる。溶媒の使用量は特に限定されるものではないが、重合系の全成分の0質量%〜30質量%の範囲の使用が好ましい。連鎖移動剤としてはn−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、α−メチルスチレンダイマー等が用いられ、重合系の全成分の0質量%〜1質量%の範囲の使用が好ましい。反応温度は、好ましくは80〜160℃、より好ましくは90〜150℃の範囲である。反応温度が80℃以上の場合、生産性が良好で、工業的に有利である。また160℃以下の場合、低分子量重合体が多量に生成することを回避でき好ましい。本発明における共重合樹脂の分子量は、典型的には主に重合時の重合温度で制御することができるが、目標分子量が重合温度のみで調整できない場合は、開始剤量、溶媒量、連鎖移動剤量等で制御できる。反応時間は一般に0.5〜20時間、より好ましくは2〜10時間である。反応時間が0.5時間以上の場合反応が良好に進行する。また20時間以下の場合は生産性が高く、工業的に有利である。
スチレン−メタアクリル酸共重合樹脂は、スチレン単位とメタアクリル酸単位との合計100質量%基準で、スチレン単位93.5〜98.0質量%、及びメタアクリル酸単位2.0〜6.5質量%を含有する。スチレン単位が93.5質量%未満では、得られる成形品(例えば押出発泡シート及び容器)が脆くなって耐衝撃性が低く、98.0質量%を超えるとメタアクリル酸単位含有率が少なくなって成形品の耐熱性が低い。スチレン単位含有率は、より好ましくは94.0〜97.5質量%、さらに好ましくは94.0〜97.0質量%である。また、メタアクリル酸単位含有率が2.0質量%未満では成形品の耐熱性が低く、6.5質量%を超えると成形品の耐衝撃性が低くなって、押出発泡シートおよび容器(特に発泡容器)が割れやすくなる。メタアクリル酸単位含有率は、より好ましくは2.5〜6.0質量%、さらに好ましくは3.0〜6.0質量%である。スチレン−メタアクリル酸共重合樹脂中のメタアクリル酸単位含有率の定量は、該共重合樹脂をジメチルホルムアミドに溶解し、水酸化ナトリウム水溶液で滴定することで行われる。またスチレン単位含有率はスチレンとメタアクリル酸のみの共重合体の場合100質量%からメタアクリル酸単位含有率を差し引くことで求められるが、他の共重合可能なモノマーも含む場合の定量は、核磁気共鳴(NMR)分析によって行われる。
本発明に使用されるスチレン−メタアクリル酸共重合樹脂は、スチレンおよびメタアクリル酸のみを重合成分として得たものでもよい。または、スチレン−メタアクリル酸共重合樹脂は、本発明の目的を損なわない範囲においてスチレンおよびメタアクリル酸と共重合可能な追加モノマーを更に共重合したものでもかまわない。スチレンおよびメタアクリル酸と共重合可能なモノマーとしては例えば、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸ブチル等のメタアクリル酸エステル類、α−メチルスチレン、o−、m−、p−メチルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン等のスチレン以外の芳香族ビニル類、マレイン酸、フマル酸等の不飽和脂肪酸類、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和ジ脂肪酸無水物類,N−フェニルマレイミド等の不飽和ジ脂肪酸イミド類等が挙げられる。これらのモノマー類は1種類または2種類以上併用してもかまわない。共重合樹脂の原料である全単量体量100質量%中、追加モノマーの量は、本発明の所期の効果を良好に得る観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。一方、追加モノマーによる効果を良好に得る観点から、上記追加モノマーの量は、好ましくは2質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であることができる。
スチレン系単量体(すなわちスチレンおよびその誘導体)およびメタアクリル酸単量体およびその他の共重合可能なモノマーを含む共重合転化率については、特に限定されるものではないが、工業的な見地から、40%以上であることが望ましい。上記転化率は重合後のポリマー固形分重量を測定することによって確認される。このようにして得られた重合溶液から、未反応単量体および溶媒を除去することにより、目的とするスチレン−メタアクリル酸共重合樹脂を分離することができる。懸濁重合の場合はそのまま次の工程に供される。また、スチレン系樹脂に慣用されている添加剤、例えば酸化防止剤、滑剤、着色剤等を本発明の目的を損なわない範囲で添加してもかまわない。
本発明において、スチレン−メタアクリル酸共重合樹脂の重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算で24万〜40万、好ましくは24万〜35万、より好ましくは24〜30万とする。Mwが40万を越える場合は、スチレン−メタアクリル酸共重合樹脂の溶融体の粘度が高くなり、成形性、加工性等が極端に低下し、生産性が悪化する。また24万未満の場合は、押出発泡シートを真空成型した後の打ち抜き時に粉発生量が多くなる。ここでいうMwとは、40℃で、テトラヒドロフランを溶媒としてゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される値を意味する。単分散ポリスチレンの溶出曲線より各溶出時間における分子量を算出し、ポリスチレン換算Mwを算出する。
本発明に使用されるスチレン−メタアクリル酸共重合樹脂は分子量100万以上の成分の割合が1.5〜3.0質量%、好ましくは1.7〜3.0質量%、さらに好ましくは1.9〜3.0質量%である。分子量100万以上の成分が1.5質量%未満であると、押出発泡シートを真空成型した後の打ち抜き時に粉発生量が多くなる。分子量100万以上の成分が3.0質量%を超えるとゲルが発生して発泡不良を生じる場合がある。分子量100万以上の成分の割合は重量平均分子量(Mw)と同様、40℃で、テトラヒドロフランを溶媒としてゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される。単分散ポリスチレンの溶出曲線より各溶出時間における分子量を算出し、100万以上の成分の割合を計算して求めることができる。
本発明に使用されるスチレン−メタアクリル酸共重合樹脂は190℃で測定した溶融張力が60〜80グラム、より好ましくは63〜77グラム、さらに好ましくは65〜75グラムである。溶融張力が60グラム未満であると発泡成形性が不十分となる。溶融張力が80グラムを超えると発泡が起こりにくくなる。スチレン−メタアクリル酸共重合樹脂の溶融張力は、共重合組成としてメタアクリル酸量を調整すること、及び共重合樹脂の分子量を調整すること等で制御することができる。溶融張力はメルトテンションテスターで測定される。
また本発明に使用されるスチレン−メタアクリル酸共重合樹脂の重量平均分子量をM、該共重合樹脂中のスチレン単位とメタアクリル酸単位との合計100質量%基準でのメタアクリル酸単位含有率をW(%)とするとき、29≦(M/10000)+W≦35であることが好ましい。この関係式を達成する手段としては、より低い温度で重合を行って高い分子量を有するスチレン−メタアクリル酸共重合樹脂を得る方法が挙げられる。29≦(M/10000)+W≦35が満足されることは、メタアクリル酸量に対して特定の範囲の分子量に調節するのが良いことを意味する。このような共重合樹脂は成形品に良好な耐熱性と耐衝撃性とのバランスを与える点で有利である。
本発明においては、重合工程、脱揮工程および重合工程と脱揮工程との間の工程の少なくともいずれか一つの工程において、炭素数が14〜20で、且つ凝固点が−10℃以下のイソ脂肪族第1級アルコールを系中に添加することが好ましい。このようなアルコールは、スチレン−メタアクリル酸共重合樹脂のゲル化反応を抑制する効果がある。その添加量は、得られるスチレン−メタクリル酸共重合樹脂100質量%中に存在するイソ脂肪族第1級アルコールの割合(含有量)が好ましくは0.02〜1.0質量%、より好ましくは0.04〜0.8質量%、さらに好ましくは0.06〜0.6質量%となるような量とする。なお上記イソ脂肪族第1級アルコールは共重合樹脂を構成する物質ではないが、本開示で、共重合樹脂に関連する種々の量、特性等について説明する際、上記イソ脂肪族第1級アルコールを使用した場合における共重合樹脂については、特記がない限り該イソ脂肪族第1級アルコールを含んだ状態での値とする。上記含有量が0.02質量%以上の場合、脱揮工程でのゲル化反応の抑制が良好である。一方、1.0質量%以下の場合は、ゲル化反応の抑制効果が良好に得られる一方、樹脂中のイソ脂肪族第1級アルコールの残存量が多くなり過ぎず、結果的に耐熱性の低下が大きくなり過ぎないため好ましく、また成形時にモールドデポジットが発生しにくい点でも好ましい。
炭素数が14〜20で、且つ凝固点が−10℃以下のイソ脂肪族第1級アルコールとは、炭素数14のアルコールとしてはイソテトラデカノール、炭素数16のアルコールとしてはイソヘキサデカノール、炭素数18のアルコールとしてはイソオクタデカノール、炭素数20のアルコールとしてはイソエイコサノールであり、例えば、具体的に次のアルコールを例として挙げることができる。7−メチル−2−(3−メチルブチル)−1−オクタノール、5−メチル−2−(1−メチルブチル)−1−オクタノール、5−メチル−2−(3−メチルブチル)−1−オクタノール、2−ヘキシル−1−デカノール、5,7,7−トリメチル−2−(1,3,3−トリメチルブチル)−1−オクタノール、8−メチル−2−(4−メチルヘキシル)−1−デカノール、2−ヘプチル−1−ウンデカノール、2−ヘプチル−4メチル−1−デカノール、2−(1,5−ジメチルヘキシル)−(5,9−ジメチル)−1−デカノール。この中でも、ゲル化反応の抑制効果の観点から、特に炭素数18のイソオクタデカノールが好ましい。
炭素数が14未満で且つ凝固点が−10℃以下のイソ脂肪族第1級アルコールは脱揮工程で脱揮しやすくゲル化反応の抑制効果は低くなる。このようなイソ脂肪族第1級アルコールは、重合工程等への添加量を増加することで樹脂中の含有量を高めることができるが、重合速度の低下、および重合液中の樹脂成分の析出が生じる場合がある。炭素数が20超のイソ脂肪族第1級アルコールはゲル化反応の抑制効果は得られるが、得られるスチレン−メタアクリル酸共重合樹脂組成物中のイソ脂肪族第1級アルコールの残存量が多くなり、結果的には耐熱性の低下が大きくなり好ましくない。また凝固点が−10℃より高いアルコールは凝縮器の冷媒温度で析出の恐れがある。これらの観点から、炭素数が14〜20で、且つ凝固点が−10℃以下のイソ脂肪族第1級アルコールが有利である。
本発明のスチレン−メタアクリル酸共重合樹脂組成物は、上述のスチレン−メタアクリル酸共重合樹脂に加え、追加の樹脂を含んでもよい。追加の樹脂としては、本発明所定の条件を満たさないスチレン−メタアクリル酸共重合樹脂(本開示で、追加のスチレン−メタアクリル酸共重合樹脂ともいう。)が挙げられる。追加のスチレン−メタアクリル酸共重合樹脂としては、メタアクリル酸の共重合割合が本発明所定の範囲外である共重合樹脂が挙げられる。追加の樹脂は上述した本発明所定のスチレン−メタアクリル酸共重合樹脂とブレンドして使用できる。組成物の性能を維持するために、ブレンドできる追加のスチレン−メタアクリル酸共重合樹脂としては、本発明所定のスチレン−メタアクリル酸共重合樹脂とのメタアクリル酸単位含有率の差が2質量%以内のスチレン−メタアクリル酸共重合樹脂が好ましい。例えば、本発明所定のスチレン−メタアクリル酸共重合樹脂として、スチレン単位とメタアクリル酸単位との合計100質量%基準でのメタアクリル酸単位含有率が2.5質量%のものを用いる場合、追加のスチレン−メタアクリル酸共重合樹脂の上記のメタアクリル酸単位含有率は0.5質量%以上であることが好ましく、また例えば、本発明所定のスチレン−メタアクリル酸共重合樹脂として、スチレン単位とメタアクリル酸単位との合計100質量%基準でのメタアクリル酸単位含有率が6.0質量%のものを用いる場合、追加のスチレン−メタアクリル酸共重合樹脂の上記のメタアクリル酸単位含有率は8.0質量%以下であることが好ましい。メタアクリル酸単位含有率の上記差が2質量%以内であれば、本発明所定のスチレン−メタアクリル酸共重合樹脂と追加のスチレン−メタアクリル酸共重合樹脂との相溶性が良好であるため、ブレンドしても容器強度を良好に維持できる。追加の樹脂を用いる場合、本発明所定のスチレン−メタアクリル酸共重合樹脂100質量部に対して、追加の樹脂の使用量は、好ましくは1〜50質量部、より好ましくは2〜40質量部、さらに好ましくは5〜30質量部であることができる。上記使用量は、ブレンドによる効果を発現する観点から1質量部以上であることができ、本発明所定のスチレン−メタアクリル酸共重合樹脂による効果を良好に得る観点から50質量部以下であることができる。
本発明のスチレン−メタアクリル酸共重合樹脂組成物が本発明所定のスチレン−メタアクリル酸共重合樹脂以外の成分を含む場合、該組成物中の本発明所定のスチレン−メタアクリル酸共重合樹脂の含有率は、本発明所期の効果を良好に得る観点から、典型的には70質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上であり、100質量%であってもよい。
本発明のスチレン−メタアクリル酸共重合樹脂組成物を用いて押出発泡シートを製造する方法としては、公知の方法を用いる事ができる。一般的には2台の押出機を直列に配したいわゆるタンデム型発泡押出機を用いて押出発泡シートを製造する。押出発泡時の発泡剤や発泡核剤については通常用いられる物質を使用できる。発泡剤としてはブタン、ペンタン、フロン、水等を使用することができ、ブタンが好適である。また発泡核剤としてはタルク等を使用できる。
また、従来公知の一般的なポリスチレン発泡体と同様、押出発泡シートにはフィルムをラミネートしても良い。使用するフィルムの種類は、一般のポリスチレンに使用されるもので差し支えない。またラミネートは従来公知の任意の方法で適宜行うことができる。
この押出発泡シートを真空成形して、本発明に係る容器としての発泡容器を製造できる。
次に、実施例および比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下に分析法と発泡シート特性の測定法とを記す。
(1)共重合樹脂中のメタアクリル酸含有率
共重合樹脂中のメタアクリル酸単位含有率は以下の方法によって測定した。すなわち試料0.5gを秤量し、25mlのジメチルホルムアミドに溶解し、溶液を0.1規定の水酸化ナトリウム水溶液でフェノールフタレインを指示薬として一定の速度で連続的に滴下し、溶液の色が淡赤色に変化した時点を終点とした。水酸化ナトリウム水溶液の使用量よりメタアクリル酸のカルボキシル基のモル数量が計算され、得られた数値にメタアクリル酸単量体の分子量を乗ずることよりメタアクリル酸単位の質量を算出した。これを共重合樹脂質量で除して、メタアクリル酸単位含有率を得た。
(2)共重合樹脂の分子量
共重合樹脂の重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnはゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した。測定条件を下記に示す。使用装置:東ソー製HLC8220、分別カラム:東ソー製superHZM−H、測定溶媒:テトラヒドロフラン、試料濃度:共重合樹脂5mgを10mlの溶媒に溶解。測定温度:40℃、流速:0.35ml/分。ポリスチレン換算分子量として算出した。
(3)溶融張力
使用装置:東洋精機製作所(株)製メルトテンションテスターを用いて以下の条件で測定した。温度:190℃、押出速度:20mm/分、オリフィスL/D=8mm/2.095mm、引き取り速度:3140mm/分。
(4)耐衝撃性
東洋精機製作所(株)製フィルムインパクトテスターを用い、ASTM D 3420にしたがって押出発泡シートの面衝撃強度を測定した。
(5)粉発生量
押出発泡シートから東洋精機製作所(株)製レバー式プレスカッターでダンベル片を打ち抜き、刃に粉付着の少ないものを○、多いものを×とした。
(6)耐熱性
容器の耐熱性試験として100℃のオーブンに5分間放置した後の変形有無を目視評価し、変形のないものを○、変形の見られるものを×とした。
[実施例1]
「スチレン−メタアクリル酸共重合樹脂の製造」スチレン86.8質量部、メタアクリル酸3.2質量部、エチルベンゼン10.0質量部の混合液100質量部に対し、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン0.025質量部を添加して成る重合液を、5.4リットルの完全混合型反応器を有する重合装置に0.83リットル/hrで連続的に仕込んだ。完全混合型反応器の温度を133℃に調整した。その後イソステアリルアルコール0.8質量部を添加してから、重合反応器より連続して排出される重合体溶液を常圧で190℃に加熱された脱気機に導入し、さらに20〜30mmHgに減圧されたベント口を持ち240℃に加熱された押出機に導入して揮発後ペレタイズした。得られた共重合樹脂中のメタアクリル酸含有率は4.2質量%であった。共重合樹脂のポリスチレン換算重量平均分子量は27万、数平均分子量は9.1万であった。また共重合樹脂中、分子量100万以上の成分の割合は2.3質量%であった。また190℃で測定したときの共重合樹脂の溶融張力は68グラムであった。
「スチレン−メタアクリル酸共重合樹脂組成物の発泡押出し」直径300mmのサーキュラーダイを備えたタンデム型発泡押出機を用いて、上記のスチレン−メタアクリル酸共重合樹脂から成る組成物100質量部に対して、発泡核剤として、ミストロンベーパー(日本ミストロン社製)を樹脂100質量部に対して1質量部、発泡剤として、液化ブタンを樹脂100質量部に対して4質量部添加して発泡体を製造した。樹脂溶融ゾーンの温度は200〜230℃、ロータリークーラー温度は130〜170℃、Tダイ温度を160℃に調整した。押出発泡された発泡体を冷却マンドレルで冷却し、円周上の1点でカッターにより切断後、幅1000mm、厚み1.8mm、発泡倍率10.0倍の押出発泡シートを得た。このシートの耐衝撃性を測定した。評価結果を表1に示す。
「押出発泡シートの熱成形」上記押出発泡シートを真空成形してトレー形状の容器を得た。この容器の耐熱性を評価した。評価結果を表1に示す。
[実施例2]
スチレン84.0質量部、メタアクリル酸5.0質量部、エチルベンゼン11.0質量部の混合液100質量部を用い、完全混合型反応器の温度を134℃にした以外は実施例1と同様に行った。共重合樹脂中のメタクリル酸含有率は6.0質量%であった。結果を表1に示す。
[実施例3]
スチレン88.7質量部、メタアクリル酸2.3質量部、エチルベンゼン9.0質量部の混合液100質量部を用いた以外は実施例1と同様に行った。共重合樹脂中のメタクリル酸含有率は3.0質量%であった。結果を表1に示す。
[実施例4]
完全混合型反応器の温度を129℃に調整した以外は実施例1と同様に実施した。共重合樹脂の重量平均分子量は30万であった。結果を表1に示す。
[比較例1]
スチレン80.3質量部、メタアクリル酸5.9質量部、エチルベンゼン13.8質量部の混合液100質量部に対し、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン0.01質量部を添加して成る重合液を用い、完全混合型反応器の温度を135℃に調整した以外は実施例1と同様に行った。共重合樹脂中のメタクリル酸含有率は9.0質量%であった。結果を表1に示す。
[比較例2]
スチレン81.6質量部、メタアクリル酸3.4質量部、エチルベンゼン15.0質量部の混合液100質量部を用い、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサンの添加量を0.02質量部とし、重合温度を125℃とした以外は実施例1と同様に行った。共重合樹脂中のメタクリル酸含有率は5.6質量%であった。結果を表1に示す。
[比較例3]
スチレン88.6質量部、メタアクリル酸1.4質量部、エチルベンゼン10.0質量部の混合液100質量部を用いた以外は実施例1と同様に行った。共重合樹脂中のメタクリル酸含有率は1.8質量%であった。結果を表1に示す。
[比較例4]
完全混合型反応器の温度を136℃に調整した以外は実施例1と同様に実施した。共重合樹脂の重量平均分子量は23万であった。結果を表1に示す。
Figure 0006071716
本発明は、特に電子レンジ対応の耐熱発泡容器向け材料として好適である。

Claims (4)

  1. スチレンとメタアクリル酸との共重合樹脂を含むスチレン系共重合樹脂組成物であって、
    該共重合樹脂が、スチレン単位とメタアクリル酸単位との合計100質量%基準で、スチレン単位93.5〜98.0質量%及びメタアクリル酸単位2.0〜6.5質量%を含有し、
    該共重合樹脂の重量平均分子量が24万〜40万であり、
    該共重合樹脂が分子量100万以上の成分を1.5〜3.0質量%含み、
    温度:190℃、押出速度:20mm/分、オリフィスL/D=8mm/2.095mm、引き取り速度:3140mm/分の測定条件で測定したときの該共重合樹脂の溶融張力が60〜80グラムであるスチレン系共重合樹脂組成物。
  2. 前記重量平均分子量をMとし、前記共重合体樹脂中のスチレン単位とメタアクリル酸単位との合計100質量%基準でのメタアクリル酸単位含有率をW(%)とするとき、29≦(M/10000)+W≦35である請求項1に記載のスチレン系共重合樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載のスチレン系共重合樹脂組成物を用いて形成された押出発泡シート。
  4. 請求項3に記載の押出発泡シートを熱成形して得られる容器。
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