JP3666732B2 - オートスライドドア制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スライドドアを制御するオートスライドドア制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両には、ドア開口部を開閉するスライドドアが設けられており、このスライドドアを電動により開閉制御するオートスライドドア制御装置が装備されている。
【0003】
このオートスライドドア制御装置は、次に示す条件が成立した際に、スライドドアのモータ駆動を可能とするように構成されている。第1にバッテリーがスタータを作動させることが可能なエネルギーを有すること。第2に自動開閉スイッチ操作時のバッテリー電圧が所定値以上であること。第3にドア自動開閉中のバッテリーの電圧降下率が所定の降下率より低いこと。これにより、エンジン始動を優先できるように構成されている。
【0004】
一方、エンジン始動時に、駆動力をスライドドアへ伝達するクラッチに電源電圧を供給し、クラッチを接続状態にするオートスライドドア制御装置が知られている。このオートスライドドア制御装置においては、坂道停車をした場合であっても、スライドドアの自重による移動を防止できるように構成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前者のオートスライドドア制御装置にあっては、前述した条件を満足している場合であっても、例えばエンジン始動時など一時的に電圧が低下することがある。この場合、低下時の電圧値によっては、スライドドアの自動作動の継続や停止あるいはコントロールに対する応答などが、どのような状態になるか不確定となってしまう。
【0006】
また、後者のオートスライドドア制御装置においては、自重によるスライドドアの移動は防止できるものの、始動後に、スライドドアを作動させるための再操作が必要となる。
【0007】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、急激な電圧低下があった場合の誤動作を防止しつつ、電圧が正常復帰した際の再操作を不要とするオートスライドドア制御装置を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために本発明のオートスライドドア制御装置にあっては、車両前後方向へスライド自在に支持されたスライドドアを開閉作動する駆動モータと、該駆動モータの駆動力の伝達を断続する電磁クラッチとを備え、前記スライドドアを全開位置と全閉位置との間にて移動制御する際に、その移動方向をRAMに記憶するオートスライドドア制御装置であって、前記スライドドアを移動制御中に、モータ駆動回路を介して前記駆動モータに供給される電圧が短時間に低下したことを検知する電圧低下検知手段と、前記電圧が短時間に低下したことを検知した際に、前記電磁クラッチのオン状態を維持しつつ前記駆動モータをブレーキ状態にして前記スライドドアを拘束停止する拘束停止手段と、前記スライドドアを拘束停止している間に前記電圧が予め定められた規定値以上となった場合に、拘束停止前の前記スライドドアの移動方向を前記RAMから読み出すとともに、読み出された移動方向への前記スライドドアの移動を開始する作動開始手段と、を備えている。
【0009】
すなわち、スライドドアを移動制御中にスタータモータを作動してエンジンを始動する場合を例に挙げて説明すると、スタータモータは大量の電力を消費するため、スタータモータ起動時には、バッテリー電圧が瞬間的に急激に低下する。すると、スライドドアの駆動源に供給される電圧が短時間に低下するため、これが電圧低下検知手段にて検知され、前記スライドドアは、拘束停止手段により拘束停止される。そして、スライドドアが拘束停止されている間に前記電圧が予め定められた規定値以上となった場合には、前記スライドドアは、作動開始手段によって、拘束停止前と同方向への移動が再開される。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図に従って説明する。図1は、本実施の形態にかかるオートスライドドア制御装置を装備した車両1を示す図であり、この車両1の側部には、乗降用開口部2及びステップ3が設けられているとともに、前記乗降用開口部2を開閉するスライドドア4が設けられている。
【0011】
該スライドドア4は、車両1前方側における上端が、前記乗降用開口部2の上縁に沿って移動するアッパーローラ11に支持されており、下端は前記ステップ3の側面12に沿って移動するロアローラ13に支持されている。また、車両後方側の中央部は、車両前後方向に移動するリアローラ14に支持されており、前記乗降用開口部2を全開にした全開位置から全閉にした全閉位置まで移動できるように構成されている。前記スライドドア4内には、クロージャーユニット15が設けられており、前記スライドドア4の前縁部には、前記クロージャーユニット15への電源の供給を受ける受給端子16が設けられている。また、前記乗降用開口部2の車両前方側の縁部を形成するピラー17には、前記受給端子16と対を成す供給端子18が設けられており、前記スライドドア4が全閉位置に移動された際に、前記受給端子16と接続され、前記クロージャーユニット15へ電源を供給できるように構成されている。そして、前記スライドドア4は、前記ロアローラ13の上部が、前記ステップ3の側面12より延出した牽引部材19に固定されており、この牽引部材19に牽引されて車両前後方向へ移動されるように構成されている。
【0012】
この牽引部材19が延出する前記ステップ3の内部は、図2にて破線で示すように、前記牽引部材19を介して前記スライドドア4を移動する移動機構21が設けられている。該移動機構21は、前記牽引部材19の端部を支持する支持部材22と、該支持部材22が設けられたベルト23と、該ベルト23を前記ステップ3の側面12に沿って移動可能に支持する第1及び第2のプーリ24,25と、前記ステップ3のコーナー部26に設けられるとともに前記ベルト23を移動させる駆動プーリ27とにより構成されている。
【0013】
該駆動プーリ27は最終リダクションギヤ29dに軸結合されており、該最終リダクションギヤ29dは、駆動プーリ側伝達ギヤ29cに噛合されている。また、前記移動機構21には、駆動モータ31が設けられており、該駆動モータ31は、その駆動力をウォームギヤ減速機30及び中間ギヤ29aを介して、モータ側伝達ギヤ29bに伝達する。該モータ側伝達ギヤ29b及び前記駆動プーリ側伝達ギヤ29cは、電磁クラッチ28の上下に設けられており、該電磁クラッチ28は、前記モータ側伝達ギヤ29bと駆動プーリ側伝達ギヤ29cとの間を断続する。そして、駆動プーリ27近傍には、スライドドア回転センサ53の設置場所が設定されており、スライドドア4の手動による開閉時もスライドドア位置や移動速度を検出できるように前記電磁クラッチ28よりも駆動プーリ27側に設けられている。このスライドドア回転センサ53は、公知の接点式二相エンコーダを用いているが正転逆転を検出できるようにした光センサでも良い。
【0014】
これにより、前記電磁クラッチ28がオン制御された際には、前記駆動モータ31と前記駆動プーリ27とが接合された接合状態が形成される一方、オフ制御された際には、前記駆動モータ31と前記駆動プーリ27とが切り離された切断状態が形成され、前記スライドドア4を手動により開閉できるように構成されている。そして、前記駆動モータ31及び前記電磁クラッチ28は、図3に示すように、車両1に設置されたオートスライドドアユニット32に接続されている。
【0015】
このオートスライドドアユニット32は、ROM及びRAMを内蔵したマイコンM(マイクロコンピュータ)を中心に構成されており、サーキットブレーカー41を介して、前述した駆動モータ31を駆動する駆動用電源としてのバッテリー42に接続されるとともに、電圧の安定化が図られたマイコン駆動用のエレクトリック電源43に接続されている。また、前記オートスライドドアユニット32には、イグニッションスイッチ44が接続されるとともに、該イグニッションスイッチ44との間には、セレクトレバーがPレンジに選択された際にオン作動するシフトPスイッチ45と、フットブレーキが操作された際にオン作動するストップランプスイッチ46とが接続されている。さらに、前記オートスライドドアユニット32には、メインスイッチ47が接続されており、該メインスイッチ47が操作されることにより、前記スライドドア4の駆動が可能となるように構成されている。
【0016】
また、前記オートスライドドアユニット32には、車速を検出するスピードセンサ51とブザー52とが接続されているとともに、スライドドア回転センサ53が接続されている。該スライドドア回転センサ53は、前述のエンコーダを備えてなり、該エンコーダは、第1パルス出力54と第2パルス出力55を備えている。両パルス出力54,55から出力されるパルスは、前記スライドドア4の移動速度の上昇に伴い周期が短くなるように構成されるとともに、前記スライドドア4の移動方向に応じた位相のパルスを出力するように構成されている。また、前記スライドドア回転センサ53には、前記エンコーダの回転数から前記スライドドア4の速度、位置等を検出するとともに、該スライドドア4が全開又は全閉位置に達した際に信号を出力する反転検知出力56及びマイコンMと電圧を合わせるアースとしてのGNDライン57が設けられ、前記オートスライドドアユニット32に接続されている。
【0017】
さらに、前記オートスライドドアユニット32には、パーキングブレーキが操作された際にオン作動するパーキングスイッチ61と、スライドドア4を開作動させる際に操作されるスライドドア開スイッチ62と、閉作動させる際に操作されるスライドドア閉スイッチ63と、前記スライドドア4が全閉された際にオフ作動するスライドドアスイッチ64とが接続されているとともに、前記クロージャーユニット15へ電源の供給を行う第1及び第2供給出力65,66が前記供給端子18に接続されている。
【0018】
これらの供給端子18から電源供給を受ける前記クロージャーユニット15の制御部71には、車体に設けられたストライカにロックされたスライドドア4側のラッチを駆動して(図示せず)ロック状態を解除するラッチ解除アクチュエータ72と、前記ラッチがストライカにロックされる直前のハーフロック状態を検出して作動するハーフスイッチ73と、前記ラッチのニュートラル状態を検出して作動するニュートラルスイッチ74と、前記ラッチがストライカにロックされた状態を検出して作動するフルロックスイッチ75とが接続されている。また、クロージャーユニット15には、前記ハーフロック状態にあるスライドドア4を、前記フルロック状態まで引き込むスライドドアクロージャーモータ76が接続されている。
【0019】
そして、前記サーキットブレーカー41を介して接続されたバッテリー42は、図4に示すように、オートスライドドアユニット32内の電圧検出部81を介してモータ駆動回路82に接続されており、該モータ駆動回路82には、前記駆動モータ31が接続されるように構成されている(図示せず)。前記電圧検出部81は、前記バッテリー42の電圧を常時検出するとともに、その検出結果をマイコンMの電圧入力ポート83へ常時出力するように構成されており、前記検出結果は、マイコンMにて数mS毎に検知されるように構成されている。また、前記モータ駆動回路82は、前記マイコンMの駆動制御出力84に接続されており、該駆動制御出力84からの信号に基づき、前記駆動モータ31へPWM駆動信号を出力できるように構成されている。
【0020】
以上の構成にかかる本実施の形態において、スライドドア4を一定の速度で電動駆動している間にバッテリー42の電圧変化を監視する動作を、図5に示すフローチャートに従って説明する。
【0021】
すなわち、スライドドア開スイッチ62又はスライドドア閉スイッチ63が操作たか、あるいはスライドドア回転センサ53の第1及び第2パルス出力54,55からスライドドア4の手動操作が確認された際には、駆動モータ31を駆動してスライドドア4を一定速度で移動制御するとともに、その移動方向をマイコンMのRAMに記憶し、ステップS1にて、電圧検出部81での検出結果から急激な電圧低下を検知したか否かを判断する。具体的には、現時点において検出されたバッテリー42の現在電圧が、数mS前に検出された前回電圧より2V以上低下しているか否かを判断し、低下していない場合には、何もせず終了する一方、低下していた場合には、ステップS2へ分岐する。
【0022】
このとき、スライドドア4作動中に例えばエンジンを始動した場合、スタータモータは大量の電力を消費するため、該スタータモータ起動時には、バッテリー42の電圧が瞬間的に急激に低下する。このときの前記電圧が2V以上降下した際には、電磁クラッチ28のオン状態を維持しつつ、駆動モータ31をブレーキ状態にしてスライドドア4を拘束停止させる(S2)。
【0023】
このように、スライドドア4移動制御中に大きな負荷が生じ、バッテリー42の電圧が急激に低下した場合に、スライドドア4を拘束停止することができるので、坂道停車時の自重によるスライドドア4の移動を防止することができる。また、急激な電圧降下への対策を備えず、スライドドア4の自動作動の継続や停止あるいはコントロールに対する応答などが不確定となってしまう従来と比較して、誤作動を確実に防止することができる。
【0024】
具体的には、スライドドア4のドア速度が低下した際にスライドドア4への挟み込みを検出する挟込防止機能を備えた装置の場合、前述した電圧降下に起因するドア速度の減速又は停止によって挟み込みを誤判断し、スライドドア4を反転作動する恐れがある。しかし、本実施の形態によれば、電圧降下時にスライドドア4を拘束停止させるので、このような不具合を防止することができる。また、前記ドア速度を一定に保持する一定速制御を行う装置の場合、前述した電圧低下に起因するドア速度の低下を補うために、駆動モータ31へのPWM駆動信号のデューティー比を増大させてしまうことがある。しかし、このような不具合も、前述と同様に確実に防止することができる。さらに、エンジン始動時にスライドドア4の移動制御を継続する場合と比較して、電圧降下によるスライドドア4のガクガク作動等の不安定な動作も防止することができる。
【0025】
そして、この拘束停止状態を維持しつつ、前記電圧が予め定められた規定最低電圧以上、具体的には9V以上になったか否かより、前記駆動モータ31を駆動する電圧が正常に復帰したか否かを判断する(S3)。このとき、正常に復帰していない場合には、前記ステップS2へ分岐して、スライドドア4の拘束停止状態を継続する一方、正常に復帰していた場合には、拘束停止前のスライドドア4の移動方向をRAMから読み出すとともに、駆動モータ31を駆動して読み出された移動方向へのスライドドア4の移動を再開する(S4)。このように、電圧が正常復帰した際には、スライドドア4を、各スイッチ62,63を再操作すること無く、再作動させることができるので、電圧が正常復帰した際に、スライドドア4を作動させるための再操作が必要な従来と比較して、利便性が向上する。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のオートスライドドア制御装置にあっては、スライドドア移動制御中に大きな負荷が生じ、電源電圧が急激に低下した場合に、スライドドアを拘束停止することができる。よって、坂道停車時の自重によるスライドドアの移動を防止することができる。
【0027】
また、急激な電圧降下への対策を備えず、スライドドアの自動作動の継続や停止あるいはコントロールに対する応答などが不確定となってしまう従来と比較して、誤作動を確実に防止することができる。具体的に、スライドドアのドア速度が低下した際にスライドドアへの挟み込みを検出する挟込防止機能を備えた装置の場合、前述した電圧降下に起因するドア速度の減速又は停止によって、挟み込みを誤判断し、スライドドアを反転作動する恐れがある。しかし、本発明によれば、電圧降下時にスライドドアを拘束停止させるので、このような不具合を防止することができる。また、ドア速度を一定に保持する一定速制御を行う装置の場合、前述した電圧降下に起因するドア速度の低下を補うために、駆動源への出力を増加させてしまうことがある。しかし、このような不具合も、前述と同様に確実に防止することができる。さらに、エンジン始動時にスライドドアの移動制御を継続する場合と比較して、電圧降下によるスライドドアのガクガク作動等の不安定な動作も防止することができる。
【0028】
そして、スライドドアが拘束停止されている間に前記電圧が予め定められた規定値以上となった場合には、前記スライドドアを、拘束停止前と同方向へ移動することができる。このため、電圧が正常復帰した際に、スライドドアを作動させるための再操作が必要な従来と比較して利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す斜視図である。
【図2】図1のA矢示図である。
【図3】同実施の形態にかかるブロック図である。
【図4】同実施の形態のオートスライドドアユニット内の要部を示すブロック図である。
【図5】同実施の形態の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 車両
4 スライドドア
28 電磁クラッチ
31 駆動モータ
32 オートスライドドアユニット
42 バッテリー
81 電圧検出部
M マイコン
Claims (1)
- 車両前後方向へスライド自在に支持されたスライドドアを開閉作動する駆動モータと、該駆動モータの駆動力の伝達を断続する電磁クラッチとを備え、前記スライドドアを全開位置と全閉位置との間にて移動制御する際に、その移動方向をRAMに記憶するオートスライドドア制御装置であって、
前記スライドドアを移動制御中に、モータ駆動回路を介して前記駆動モータに供給される電圧が短時間に低下したことを検知する電圧低下検知手段と、
前記電圧が短時間に低下したことを検知した際に、前記電磁クラッチのオン状態を維持しつつ前記駆動モータをブレーキ状態にして前記スライドドアを拘束停止する拘束停止手段と、
前記スライドドアを拘束停止している間に前記電圧が予め定められた規定値以上となった場合に、拘束停止前の前記スライドドアの移動方向を前記RAMから読み出すとともに、読み出された移動方向への前記スライドドアの移動を開始する作動開始手段と、
を備えたことを特徴とするオートスライドドア制御装置。
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