JP3679023B2 - オートスライドドア制御装置 - Google Patents

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純夫 清水
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スライドドアを作動するオートスライドドア制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両には、ドア開口部を開閉するスライドドアが設けられており、このスライドドアを電動で開閉制御するオートスライドドア制御装置が装備されている。
【0003】
このオートスライドドア制御装置としては、スライドドアを全開位置へ移動する際に、レール内を移動するローラが全開チェッカーを乗り越えた後に、スライドドアを閉方向へ微力で移動して、前記ローラを全開チェッカーに近接して停止するものを本願出願人が出願している(特願2000−79605号参照)。
【0004】
これにより、前記ローラと全開チェッカーとの間に間隙が形成される場合、ドア閉方向に下がった(車両前下がり)の急坂停車時において、該間隙があることで前記ローラが全開チェッカーに達するまでの距離(間隙分)加速して全開チェッカーを乗り越えるといった不具合を防止できるように構成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなオートスライドドア制御装置にあっては、ローラを全開チェッカーに近接して停止する際に反転されるモータからの出力は、低出力に設定されている。このため、低温時には、スライドドアを牽引する駆動ワイヤの摺動抵抗や駆動伝達ギヤ等の作動抵抗等、駆動機構の抵抗が増大し、前記モータを反転できないことがあった。また、ドア開方向に下る坂路(車両前上がり)の傾斜によるドア自重が加わることによって、前記駆動ワイヤが動かないことがあった。
【0006】
これにより、前記モータの駆動力を伝達する噛み合い式の電磁クラッチにおいて、互いに断続するモータ側の歯もドア側の歯も動くことができず、全開時にモータ停止のまま、電磁クラッチの両歯に力が加わった状態となり、両歯の噛合が外れないことがあった。
【0007】
また、低温時に電磁クラッチの両歯の噛合が外れないケースとしては、電磁クラッチの両歯の歯面が耐久劣化等により荒れた場合に抜けにくくなることが実験で確認されている。
【0008】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、全開位置でのクラッチの切断を確実に行うことができるオートスライドドア制御装置を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために本発明の請求項1のオートスライドドア制御装置にあっては、モータからの駆動力が噛み合い式の電磁クラッチを介して伝達されて作動する駆動機構によってスライドドアを全開位置へ移動する際に、前記スライドドアに設けられたローラが、該ローラの閉方向への移動を阻止する全開チェッカーを乗り越えて前記全開位置に到達するオートスライドドアにおいて、前記スライドドアが前記全開位置に到達した際に、前記モータを停止する全開位置モータ停止手段と、該全開位置モータ停止手段が前記モータを停止した後、前記スライドドアが閉作動する方向に前記モータを低出力で反転する低出力反転手段と、該低出力反転手段が前記モータを反転してから所定時間経過後に前記モータを停止する反転後モータ停止手段と、該反転後モータ停止手段が前記モータを停止した際に、前記スライドドアが所定量閉方向に移動したか否かを判断する閉移動判断手段と、該閉移動判断手段が、前記スライドドアが前記所定量閉方向に移動したと判断した際に、前記電磁クラッチを切断状態にする電磁クラッチ切断手段と、前記閉移動判断手段が、前記スライドドアが前記所定量閉方向に移動していないと判断した際に、前記スライドドアが閉作動する方向に前記モータを前記低出力より大きな出力で再度の反転をする再反転手段と、該再反転手段が前記モータの反転を開始してから前記スライドドアが所定量閉方向に移動した際に、前記モータを停止する再反転後モータ停止手段と、該再反転後モータ停止手段が前記モータを停止した際に、前記電磁クラッチを切断状態にする電磁クラッチ切断手段と、を備えている。
【0010】
すなわち、開作動において、スライドドアが全開位置に到達した際には、モータを停止した後、スライドドアが閉作動する方向に前記モータを低出力で反転する。そして、所定時間経過後に前記モータを停止し、前記スライドドアが所定量閉方向に移動したか否かを判断する。
【0011】
このとき、スライドドアが前記所定量閉方向に移動していた場合には、駆動機構の作動確認と、スライドドアのローラを全開チェッカーに近接できたこととを確認できるため、前記モータの駆動力を伝達する電磁クラッチを切断状態にして、スライドドアの拘束状態を開放する。
【0012】
一方、スライドドアが前記所定量閉方向に移動していない場合には、駆動機構における抵抗の増大あるいは、坂路停車時のドア自重による過負荷が加わっていることが考えられるため、スライドドアが閉作動する方向に前記モータを前記低出力より大きな出力で再度反転する。これにより、前記抵抗に抗した出力が付与される。
【0013】
その後、前記モータの再度反転を開始してから前記スライドドアが所定量閉方向に移動した際には、前記モータが停止されるとともに、前記電磁クラッチが切断状態にされ、スライドドアの拘束状態が開放される。
【0014】
また、請求項2のオートスライドドア制御装置においては、前記低出力反転手段は、前記モータを低出力で反転する際に、該モータへの駆動パルスのデューティー比を30%から0%へ経時的に低下させる一方、前記再反転手段は、前記反転時のデューティー比より大きなデューティー比の駆動パルスで前記モータを反転する。
【0015】
すなわち、全開位置到達直後に、スライドドアを閉駆動する際のモータからの出力は、経時的に除々に弱められる。このため、前記ローラが全開チェッカーに近付くに従って、その移動速度が低下される。
【0016】
また、スライドドアが所定量閉方向に移動しなかった場合において、スライドドアを再度閉駆動する際には、モータからの出力は、より大きな値で一定に保たれる。これにより、前記ローラの全開チェッカー側への移動が確実に行われる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図に従って説明する。図1は、本実施の形態にかかるオートスライドドア制御装置を装備した車両1を示す図であり、この車両1の車体側部には、乗降用開口部2及びステップ3が設けられているとともに、前記乗降用開口部2を開閉するスライドドア4が設けられている。また、前記乗降用開口部2の周囲には、車体に固着されたウエザーストリップが設けられており、スライドドア4が閉じられた際に、ウエザーストリップがスライドドア4と当接し、雨水等の車室内への侵入を防止できるように構成されている。
【0018】
前記スライドドア4は、車両前方側における上端が、前記乗降用開口部2の上縁に設けられたアッパーガイドレール11に沿って移動するアッパーローラブラケット12に支持されており、下端は前記ステップ3の下面に設けられたロアガイドレール13(図2参照)に沿って移動するロアローラブラケット14に支持されている。また、車両後方側の中央部は、車体側面に設けられたリアガイドレール15に沿って移動するリアローラブラケット16に支持されており、該リアローラブラケット16は、駆動ワイヤ17に連結され、前記乗降用開口部2を全開にした全開位置から全閉にした全閉位置まで移動されるように構成されている。
【0019】
前記スライドドア4内には、クロージャーユニット21が設けられており、前記スライドドア4の前縁部には、前記クロージャーユニット21への電源の供給を受ける受給端子22が設けられている。また、前記乗降用開口部2の車両前方側の縁部を形成するピラー23には、前記受給端子22と対を成す供給端子24が設けられており、前記スライドドア4が全閉直前位置に移動された時点より前記受給端子22と接続され、前記クロージャーユニット21へ電源を供給できるように構成されている。
【0020】
図2は、前記リアガイドレール15の上部に沿った断面及びロアガイドレール13の上部に沿った断面と、駆動モータ、電磁クラッチ、駆動ワイヤ、各種プーリ等のスライド駆動機構を模式的に示す模式図であり、前記駆動ワイヤ17は、ループ状を成している。この駆動ワイヤ17は、その一部がリアガイドレール15内に配置されており、該リアガイドレール15の前端及び後端に設けられたレール端ケーシング31,31を介して、当該リアガイドレール15に支持されている。このリアガイドレール15内に配置された駆動ワイヤ17の途中には、図外のブラケット取付部が設けられており、該ブラケット取付部は、前記リアローラブラケット16に取付けられている。該リアローラブラケット16には、リアローラ32が設けられており、前記リアガイドレール15内を移動できるように構成されている。
【0021】
なお、リヤローラ32は、スライドドア4の荷重を支持する荷重ローラ32cと、スライドドア4の車幅方向の移動を規制し、リヤガイドレール15に沿って移動させる前側スラストローラ32bと、後側スラストローラ32aとにより構成されている。
【0022】
該リアガイドレール15前端には、プーリ取付ブラケット41に支持されたガイドプーリ42が設けられており、前記レール端ケーシング31を挿通した前記駆動ワイヤ17は、このガイドプーリ42を介して後方に折り返されている。該ガイドプーリ42にて折り返された駆動ワイヤ17、及びリアガイドレール15後端のレール端ケーシング31を挿通した駆動ワイヤ17は、駆動ワイヤケーシング43,43によって摺動可能に被覆されており、該駆動ワイヤケーシング43は、その端部に設けられたワイヤ固定部ブラケット44,44を介して車体に固定されている。前記両駆動ワイヤケーシング43,43から延出した前記駆動ワイヤ17は、その中間部が駆動プーリ45に巻き付けられるとともに、この駆動プーリ45の前後に設けられたテンション機構46,46によって所定の張力が与えられている。
【0023】
該テンション機構46は、図3に示すように、ボルト穴51,51に挿通される図外のボルトで車体に締結固定されたベース52と、このベース52に回動自在に支持された二つのガイドプーリ53,53とを備えてなり、両ガイドプーリ53,53の間には、テンションプーリ54が設けられている。該テンションプーリ54は、回転軸55がベース52のガイド長孔56に沿って移動可能に支持されており、駆動ワイヤ17の延在方向に対して直交方向に移動可能に支持されている。前記回転軸55は、スプリング57で付勢された支持ロッド58に支持されており、前記スプリング57で前記テンションプーリ54を付勢することで、該テンションプーリ54を介して前記駆動ワイヤ17に所定の張力を与えられるように構成されている。前記ベース52には、前記スプリング57を外嵌支持するストッパーロッド59が設けられており、前記支持ロット58のスプリング57による付勢方向と逆向きへの移動を規制できるように構成されている。
【0024】
前記駆動プーリ45は、図2に示したように、最終減速ギヤ61に軸結合されており、この最終減速ギヤ61と一体的に回転するように構成されている。また、この最終減速ギヤ61には、プーリ側ギヤ62が噛合されており、該プーリ側ギヤ62の軸延長上には、モータ側ギヤ63が設けられている。該モータ側ギヤ63とプーリ側ギヤ62との間には、噛み合い式の電磁クラッチ64が設けられており、該電磁クラッチ64が接続状態のとき、前記両ギヤ62,63が一体的に回転する一方、該電磁クラッチ64が切断状態のとき、前記両ギヤ62,63の接続が断たれるように構成されている。
【0025】
すなわち、前記電磁クラッチ64は、前記モータ側ギヤ63とプーリ側ギヤ62との間を断続するクラッチであり(図示省略)、前記モータ側ギヤ63の回転軸には、凹凸を有する電磁クラッチ64のモータ側歯が接続され、このモータ側歯の先端側には、モータ側歯の凹凸に噛合する凹凸を有した電磁クラッチ64のドア側歯が配置されている。このドア側歯は、内臓のコイルが通電された際の電磁作用によって、前記モータ側歯の凹凸に噛合した接続状態を形成するとともに、前記コイルへの通電が遮断された際に、内臓のスプリングの付勢力によって、前記モータ側歯の凹凸から離れた切断状態を形成できるように構成されている。そして、このドア側歯の軸部には、前記プーリ側ギヤ62が接続されている。
【0026】
前記モータ側ギヤ63は、中間ギヤ71を介して駆動モータ72の駆動軸73に設けられたウォームギヤ74と連結されている。これにより、前記電磁クラッチ64を接続させた状態で駆動モータ72を駆動させることにより、駆動プーリ45を回転し、駆動ワイヤ17でスライドドア4を牽引して移動できるように構成されている。また、駆動モータ72の駆動を停止させた状態では、駆動機構としての駆動伝達機構75の機械的な負荷により坂路でのスライドドア4自重によるスライドドア4の移動を規制できるように構成されている。一方、前記電磁クラッチ64を切断させた状態においては、前記機械的な抵抗がかかること無しに、手動でスライドドア4を移動できるように構成されている。
【0027】
前記最終減速ギヤ61の近傍には、この最終減速ギヤ61の回転に応じて、すなわちスライドドア4の移動に応じてパルスを発生させるエンコーダ81(例えば、公知の接点式二相エンコーダ)が設けられている。このエンコーダ81は、スライドドア4の位置、移動速度、移動方向を検出する手段として設けられているが、正転逆転(移動方向)を検出できるようにした光センサを用いたエンコーダや、その他の位置検出スイッチなどで代替することも可能である。
【0028】
このエンコーダ81は、電磁クラッチ64よりもスライドドア4側に設けられており、スライドドア4の手動による開閉時においても、スライドドア4の位置、移動速度、移動方向を検出できるように構成されている。
【0029】
また、前記スライドドア4の前端部を支持する前記ロアローラーブラケット14には、ロアローラ91が設けられており、前記ロアガイドレール13内を移動できるように構成されている。
【0030】
なお、ロアローラ91は、スライドドア4の荷重を支持する荷重ローラ91cと、スライドドア4の車幅方向の移動を規制し、ロアガイドレール13に沿って移動させる前側スラストローラ91bと、後側スラストローラ91aとにより構成されている。
【0031】
前記ロアガイドレール13の後端には、前記ロアローラブラケット14の当接面92に当接して移動を規制する全開ストッパ93が、全開ストッパ取付ボルト94を介して車体に固定されている。また、前記ロアガイドレール13の後側部には、図4にも示すように、孔95を挿通して内側に突出する全開チェッカーであるチェックリンク96が設けられている。該チェックリンク96は、坂路でのスライドドア4の自重によるドア閉方向への移動やスライドドア4に荷物等が触れて不用意なスライドドア4のドア閉方向への移動を阻止するためのものである。
【0032】
前記チェックリンク96は、図4にも示すように、孔95を挿通して内側に突出しているとともに、該チェックリンク96は、当該チェックリンク96を乗り越えて後方(開方向)へ移動したロアローラ91の後側スラストローラ91aの前方(閉方向)へのスライドドア4の自重による移動や不用意な移動を阻止できるように後側スラストローラ91aと当接させるため、内側に突出屈曲したへの字状に形成されている。前記チェックリンク96は、前記ロアローラブラケット14の当接面92が前記全開ストッパ93に当接した状態で後側スラストローラ91aがチェックリンク96を確実に乗り越えて停止でき、かつ、後側スラストローラ91aがチェックリンク96に当接するように、全開ストッパ93に当接した状態から多少、前記ロアローラブラケット14が前方に移動する位置に設けられている。
【0033】
そして、前記駆動モータ72及び前記電磁クラッチ64は、図2に示したように、車両1に設置されたオートスライドドアユニット201に接続されている。
【0034】
このオートスライドドアユニット201は、図5に示すように、ROM及びRAMを内蔵したマイコンM(マイクロコンピュータ)を中心に構成されており、サーキットブレーカー211を介して、前述した駆動モータ72を駆動するバッテリー212に接続されるとともに、マイコン駆動用のエレクトリック電源213に接続されている。また、前記オートスライドドアユニット201には、イグニッションスイッチ214が接続されるとともに、該イグニッションスイッチ214との間には、セレクトレバーがPレンジに選択された際にオン作動するシフトPスイッチ215と、フットブレーキが操作された際にオン作動するストップランプスイッチ216とが接続されている。さらに、前記オートスライドドアユニット201には、メインスイッチ217が接続されており、該メインスイッチ217が操作されることにより、前記スライドドア4の駆動が可能となるように構成されている。
【0035】
また、前記オートスライドドアユニット201には、車速を検出するスピードセンサ221と警報ブザー222とが接続されているとともに、スライドドアの移動量を検出するためにスライドドア回転センサ223が接続されている。該スライドドア回転センサ223は、前述したエンコーダ81を備えてなり、該エンコーダ81は、第1パルス出力224と第2パルス出力225を備えている。両パルス224,225出力から出力されるパルスは、前記スライドドア4の移動速度の上昇に伴い周期が短くなるように構成されるとともに、前記スライドドア4の移動方向に応じた位相のパルスを出力するように構成されている。また、前記スライドドア回転センサ223には、前記エンコーダ81の回転数から前記スライドドア4の速度や位置等を検出するとともに、該スライドドア4が全開又は全閉位置に達した際に信号を出力する反転検知出力226及びマイコンMと電圧を合わせるアースとしてのGNDライン227が設けられ、前記オートスライドドアユニット201に接続されている。
【0036】
さらに、前記オートスライドドアユニット201には、パーキングブレーキが操作された際にオン作動するパーキングスイッチ231と、スライドドア4を開作動させる際に操作されるスライドドア開スイッチ232と、閉作動させる際に操作されるスライドドア閉スイッチ233と、前記スライドドア4が全閉された際にオフ作動するドアスイッチとしてのスライドドアスイッチ234とが接続されているとともに、前記クロージャーユニット21へ電源の供給を行う第1及び第2供給出力235,236が前記供給端子24に接続されている。これら第1及び第2供給出力235,236には、通過する電流を測定して前記マイコンMへ伝達する作動電流検出部237が接続されている。そして、前記供給端子24は、スライドドア4が全閉直前位置から全閉位置に位置する間に前記受給端子22と接続されるように構成されている。
【0037】
この供給端子24から電源供給を受ける前記クロージャーユニット21の制御部251には、車体のストライカにロックされたスライドドア4側のラッチを駆動してロック状態を解除するラッチ解除アクチュエータ252と、前記ラッチがストライカにロックされる直前のハーフロック状態(ハーフラッチ)を検出して作動するハーフスイッチ253と、前記ラッチがストライカにロックされた状態を検出して作動するフルロックスイッチ254とが接続されている。また、クロージャーユニット21には、前記ハーフロック状態を検出した際に作動して前記スライドドア4を前記フルロック状態まで引き込むクロージャーのクロージャーモータ255が接続されている。さらに、該クロージャーが作動する前の元の位置(ニュートラル位置)に戻った状態のクロージャーのニュートラル状態を検出して作動するニュートラルスイッチ256が設けられている。
【0038】
なお、当該車両1には、前記スライドドア4が開作動された際に点灯するとともに、全閉時に消灯する公知のルームランプを備えており、該ルームランプは、前記スライドドアスイッチ234の状態に応じてオンオフされるように構成されている。
【0039】
以上の構成にかかる本実施の形態において、開作動中のスライドドア4の動作を、図6に示すフローチャートに従って説明する。
【0040】
すなわち、インストルメントパネルに設けられたスライドドア開スイッチ232やリモートコントロールの開スイッチが操作され開作動指令を受けることによって開作動された際には、駆動モータ72への駆動パルスのデューティー比を制御してスライドドア4を一定速度で開作動する一定速度制御を行うとともに(S1)、スライドドア回転センサ223からのパルスが加減算されてなる累積パルス数より、スライドドア4が全開位置に到達したか否かを判断し(S2)、全開位置に達するまで前記ステップS1を繰り返す。
【0041】
前記ステップS2において全開位置に到達した際には、図7の(a)に示すように、ロアガイドレール13内を移動するロアローラブラケット14の当接面92がロアガイドレール13後端の全開ストッパ93に当接又は近接しているため、前記駆動モータ72への通電を遮断して駆動モータ72を停止する(S3)。そして、前記スライドドア4が閉作動する方向に前記駆動モータ72を低出力で反転(S4)すなわち開方向に駆動し、予め定められた第1の一定時間が経過するか否かを判断するとともに、第1の一定時間経過するまで待機する(S5)。
【0042】
このとき、第1の一定時間としては、図7の(a)に示したように、ロアローラブラケット14が全開ストッパ93に当接した状態から、図7の(b)に示すように、前記ロアローラブラケット14に設けられたロアローラ91の後側スラストローラ91aがチェックリンク96に接するまで移動するために必要な時間が挙げられ、この時間が設定されているものとする。このため、前記ロアローラブラケット14が前記全開ストッパ93に接した状態であっても、また離れた状態であっても、駆動伝達機構75が通常通り機能していた場合には、前記後側スラストローラ91aがチェックリンク96に接するまで移動させることができる。
【0043】
また、前記ステップS4では、前記駆動モータ72へ出力する駆動パルスのデューティー比を、30%から0%へ経時的に低下する。これにより、スライドドア4を閉駆動(駆動モータ72を反転)する際の前記駆動モータ72からの出力を、除々に弱めることができ、前記後側スラストローラ91aが前記チェックリンク96に近付くに従って、その移動速度を低下させることができる。したがって、この閉駆動によって、前記後側スラストローラ91aが前記チェックリンク96を閉側へ乗り越えてしまうといった不具合を未然に防止することができる。
【0044】
そして、前記第1の一定時間が経過した際には(S5)、前記駆動モータ72の作動を停止し(S6)、前記スライドドア4が第1の所定量閉方向に移動したか否かを判断する(S7)。ここで、前記第1の所定量の指標としては、前記スライドドア回転センサ223からのパルスが加減算されてなる累積パルス数が挙げられ、この累積パルスが3パルス以上変化した場合に、スライドドア4が前記第1の所定量移動したと判断する。
【0045】
その結果、前記スライドドア4が第1の所定量閉方向に移動したと判断された際には(S7)、各ギヤ61,62,63,71,74や駆動ワイヤ17を備えてなる駆動伝達機構75の作動の確認と、前記後側スラストローラ91aをチェックリンク96に近接できたこととを確認できるため、前記駆動モータ72の駆動力を伝達する電磁クラッチ64を切断状態にして(S8)、スライドドア4の拘束状態を開放する。これにより、全開停止後のスライドドア4の手動操作を可能とすることができる。
【0046】
一方、前記ステップS7にて、前記スライドドア4が前記第1の所定量閉方向に移動していないと判断された際には、前記駆動伝達機構75における抵抗の増大あるいは、ドア開方向に下った(車両前上がり)急坂坂路停車時によるドア自重が大きく加わっていることが考えられるため、スライドドア4が閉作動する方向(駆動モータ72を反転(閉駆動))に前記駆動モータ72を前記低出力より大きな出力で再度の反転(閉駆動)を開始する(S9)。すなわち、デューティー比が40%で一定の駆動パルスにより駆動モータ72を再度反転作動する。
【0047】
これにより、前記抵抗に抗した出力を付与することができるため、この抵抗に抗して前記駆動伝達機構75を作動させることができる。よって、前記後側スラストローラ91aのチェックリンク96側への移動を確実に行うことができる。
【0048】
そして、前記駆動モータ72の再度の反転を開始した際には、前記スライドドア4が第2の所定量閉方向に移動したか否かを判断する(S10)。ここで、前記第2の所定量の指標としては、前述と同様に前記累積パルス数を用い、この累積パルスが6パルス以上変化した場合には、スライドドア4が前記第2の所定量移動したと判断する。
【0049】
このステップS10にて前記スライドドア4が前記第2の所定量移動したと判断された際には、前述したように前記駆動伝達機構75の作動の確認と、前記後側スラストローラ91aをチェックリンク96に近接できたこととを確認できるため、駆動モータ72の作動を停止した後(S11)、前記電磁クラッチ64を切断状態にして(S8)、スライドドア4の拘束状態を開放する。
【0050】
また、前記ステップS10で、スライドドア4が前記第2の所定量移動していないと判断された際には、駆動モータ72の再度の反転を開始してから第2の一定時間経過したか否かを判断する(S12)。このとき、第2の一定時間経過していない場合には、前記ステップS10へ分岐する一方、第2の一定時間経過していた場合には、駆動モータ72の作動を停止した後(S11)、前記電磁クラッチ64を切断状態にして(S8)、メインルーチンへ戻る。これにより、前記駆動モータ72の必要以上の再度の反転作動を防止することができる。
【0051】
このように、全開位置到達直後に駆動モータ72を低出力で反転した際に、スライドドア4が第1の所定量移動したか否かを判断することで、駆動伝達機構75に生じる得る抵抗あるいはドア開方向に下がった(車両前上がり)坂路停車時のドア自重による過負荷の有無を把握することができ、その状態に適した制御を行うことができる。
【0052】
すなわち、駆動伝達機構75に大きな抵抗が生じていた場合あるいはドア開方向に下がった(車両前上がり)坂路停車時のドア自重による過負荷が加わっていた場合には、駆動モータ72の出力を高めるとともに、第2の所定量移動するまでスライドドア4を再度閉駆動することができる。これにより、前記抵抗あるいは過負荷に抗して駆動伝達機構75を作動させることができるため、スライドドア4に設けられたロアローラ91の後側スラストローラ91aを、図7の(b)に示したように、確実にチェックリンク96に近接して停止することができる。
【0053】
また、前記駆動伝達機構75を確実に作動させることができるため、該駆動伝達機構75を構成する噛み合い式の電磁クラッチ64において、噛合状態のモータ側歯とドア側歯とに加わった力を開放し、両歯の噛合状態を確実に外すことができる。これにより、電磁クラッチ64を、確実に切断することができる。
【0054】
したがって、全開位置での電磁クラッチ64の切断を確実に行うことができるため、全開停止後のスライドドア4の手動操作が可能となり、利便性が向上する。
【0055】
なお、チェックリンク96、チェックリンク96に近接させるロアローラ91の後側スラストローラ91aおよび、全開ストッパ93、全開ストッパに当接するロアローラブラケット14の機能(作用)は、本実施の形態に限定されるものでなく、他のガイドレール、他のローラブラケット、他のローラに持たせても良い。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の請求項1のオートスライドドア制御装置にあっては、全開位置到達直後にモータを低出力で反転した際に、スライドドアが所定量移動したか否かを判断することで、駆動機構に生じる得る抵抗あるいは、坂路停車時のドア自重による過負荷の有無を把握することができ、その状態に適した制御が可能となる。
【0057】
このため、駆動機構に大きな抵抗が生じていた場合あるいは、坂路停車時のドア自重による過負荷が加わっていた場合には、モータの出力を高めるとともに、所定量移動するまでスライドドアを再度閉駆動することができる。これより、前記抵抗あるいは前記過負荷に抗して駆動機構を作動させることができるため、スライドドアに設けられたローラを、確実に全開チェッカーに近接して停止することができる。
【0058】
また、前記駆動機構を確実に作動するため、該駆動機構を構成する噛み合い式の電磁クラッチにおいて、噛合状態のモータ側の歯とドア側の歯とに加わった力を開放し、両歯の噛合状態を確実に外すことができる。これにより、電磁クラッチを、確実に切断することができる。
【0059】
そして、全開位置での電磁クラッチの切断を確実に行うことによって、全開停止後のスライドドアの手動操作が可能となり、利便性が向上する。
【0060】
また、請求項2のオートスライドドア制御装置においては、全開位置到達直後にスライドドアを閉駆動する際のモータからの出力を、経時的に除々に弱めることができる。これにより、前記ローラが全開チェッカーに近付くに従って、その移動速度を低下することができるため、この閉駆動によって前記ローラが全開チェッカーを閉側へ乗り越えてしまうといった不具合を未然に防止することができる。
【0061】
そして、スライドドアが所定量閉方向に移動しなかった場合において、スライドドアを再度閉駆動する際には、前記モータからの出力を、より大きな値で一定に保つことができるため、前記抵抗に抗して駆動機構を確実に作動させることができる。
【0062】
したがって、前記ローラの全開チェッカー側への移動を確実に行うことができるとともに、前記電磁クラッチの切断を、より確実なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す斜視図である。
【図2】同実施の形態の要部の断面を示す模式図である。
【図3】同実施の形態のテンション機構を示す図である。
【図4】同実施の形態のロアガイドレールの後端部を示す断面図である。
【図5】同実施の形態にかかるブロック図である。
【図6】同実施の形態の動作を示すフローチャートである。
【図7】同実施の形態のロアローラの作動状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 車両
4 スライドドア
64 電磁クラッチ
72 駆動モータ
75 駆動伝達機構
91 ロアローラ
96 チェックリンク
201 オートスライドドアユニット
M マイコン

Claims (2)

  1. モータからの駆動力が噛み合い式の電磁クラッチを介して伝達されて作動する駆動機構によってスライドドアを全開位置へ移動する際に、前記スライドドアに設けられたローラが、該ローラの閉方向への移動を阻止する全開チェッカーを乗り越えて前記全開位置に到達するオートスライドドアにおいて、
    前記スライドドアが前記全開位置に到達した際に、前記モータを停止する全開位置モータ停止手段と、
    該全開位置モータ停止手段が前記モータを停止した後、前記スライドドアが閉作動する方向に前記モータを低出力で反転する低出力反転手段と、
    該低出力反転手段が前記モータを反転してから所定時間経過後に前記モータを停止する反転後モータ停止手段と、
    該反転後モータ停止手段が前記モータを停止した際に、前記スライドドアが所定量閉方向に移動したか否かを判断する閉移動判断手段と、
    該閉移動判断手段が、前記スライドドアが前記所定量閉方向に移動したと判断した際に、前記電磁クラッチを切断状態にする電磁クラッチ切断手段と、
    前記閉移動判断手段が、前記スライドドアが前記所定量閉方向に移動していないと判断した際に、前記スライドドアが閉作動する方向に前記モータを前記低出力より大きな出力で再度の反転をする再反転手段と、
    該再反転手段が前記モータの再度の反転を開始してから前記スライドドアが所定量閉方向に移動した際に、前記モータを停止する再反転後モータ停止手段と、該再反転後モータ停止手段が前記モータを停止した際に、前記電磁クラッチを切断状態にする電磁クラッチ切断手段と、
    を備えたことを特徴とするオートスライドドア制御装置。
  2. 前記低出力反転手段は、前記モータを低出力で反転する際に、該モータへの駆動パルスのデューティー比を低出力とする所定%から0%へ経時的に低下させる一方、
    前記再反転手段は、前記反転時のデューティー比より大きなデューティー比の駆動パルスで前記モータを反転することを特徴とした請求項1記載のオートスライドドア制御装置。
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