JP3657504B2 - オートスライドドア制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スライドドアを制御するオートスライドドア制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両には、ドア開口部を開閉するスライドドアが設けられており、このスライドドアを電動により開閉制御するオートスライドドア制御装置が装備されている。
【0003】
このオートスライドドア制御装置は、スライドドアを閉作動した際に、スライドドアのラッチが車体側のストライカにロックされる直前のハーフラッチになると、クロージャーを作動させるとともにスライドドアを閉作動する駆動モータを停止し、前記クロージャーにより閉作動していた。
【0004】
このドア閉駆動させていた駆動モータを停止させる信号は、ドアロック機構に設けられたハーフラッチ検出センサ(ハーフラッチスイッチ)により行っていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなオートスライドドア制御装置において、駆動モータやクラッチ等のドア開閉駆動装置は、車体に設けられる一方、ドアロック機構やクロージャーは、スライドドア内に設けられていた。このため、ハーフラッチ検出信号を受けてドア開閉用の駆動モータを停止させるように構成する場合、車体とスライドドアの間に設ける接点を増加しなければならなかった。
【0006】
また、クロージャー作動と同時にドア閉駆動中のモータを停止するため、ウエザーストリップの反力等で押し戻されて、閉作動中のドアが開方向に一時動いた後、閉作動する。このため、スムーズな動作が得られないという問題点があった。
【0007】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、接点増を招くこと無く、クロージャーへのスムーズな引継を行うことができるオートスライドドア制御装置を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために本発明のオートスライドドア制御装置にあっては、スライドドアが全開位置と全閉位置との間にて駆動モータで開閉作動されるとともに、該駆動モータにより閉作動された前記スライドドアがハーフロック状態に到達した際に、該スライドドアに設置されたクロージャーが作動し、該クロージャーにより前記スライドドアをフルロック状態まで引き込むオートスライドドア制御装置であって、前記駆動モータへのデューティー出力のデューティー比を制御して前記スライドドアを閉作動した際に、該スライドドアが前記全閉位置より手前に設定された全閉手前エリア内に達したか否かを判断する全閉手前エリア判断手段と、前記スライドドアが前記全閉手前エリア内に達したと判断した際に、前記デューティー出力のデューティー比を最大値まで除々に高めるデューティーアップ制御を開始するデューティーアップ制御手段と、該デューティーアップ制御を開始した後に、前記クロージャーへの作動電流の有無を検知する作動電流検知手段と、前記クロージャーへの作動電流を検知した際に、前記デューティー出力のデューティー比を所定値まで低下させるデューティーダウン制御を開始するデューティーダウン制御手段と、前記スライドドアが前記全閉位置に達したか否かを、前記スライドドアが全閉位置に達したことを検出する車体側に設けられた全閉位置検出スイッチの状態から判断する全閉位置判断手段と、該全閉位置判断手段が前記全閉位置に達したと判断した際に、前記駆動モータを停止する駆動モータ停止手段と、を備え、前記クロージャによるハーフロック状態からフルロック状態となる位置へ移動されているとき前記デューティーダウン制御された前記駆動モータにより前記スライドドアが全閉位置に向かって作動されるとともに、全閉位置に達し前記駆動モータが停止される。
【0009】
すなわち、閉作動中のスライドドアが全閉近傍位置に達してラッチがハーフロック状態となると、当該スライドドアに設けられたクロージャーによるラッチのフルロック状態となる位置への移動が開始される。このとき、前記スライドドアを駆動する駆動モータへの通電は継続されている。このため、初期状態におけるクロージャー空転区間においても、前記駆動モータによりスライドドアが全閉位置に向かって作動されており、スライドドアが車体に設けられたウエザーストリップに当接した際の反力に抗して、前記クロージャーによる制御へ円滑に引き継がれる。
【0010】
そして、前記スライドドアが全閉位置に達したか否かを、前記スライドドアが全閉位置に達したことを検出する車体側に設けられた全閉位置検出スイッチの状態から判断し、スライドドアが全閉位置に達したと判断した際には、前記駆動モータを停止する。このように、スライドドアを駆動する駆動モータは、車体側に設けられた全閉位置検出スイッチの状態に基づいて停止される。
【0011】
また、スライドドアが全閉位置に達したことが全閉位置検出スイッチの状態によって確実に確認される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図に従って説明する。図1は、本実施の形態にかかるオートスライドドア制御装置を装備した車両1を示す図であり、この車両1の車体の側部には、乗降用開口部2及びステップ3が設けられているとともに、前記乗降用開口部2を開閉するスライドドア4が設けられている。また、前記乗降用開口部2の周囲には、車体に固着されたウエザーストリップが設けられ、スライドドア4が閉じられた際、ウエザーストリップがスライドドア4と当接し、雨水等の車室内への侵入を防いでいる。
【0013】
前記スライドドア4は、車両1前方側における上端が、前記乗降用開口部2の上縁に沿って移動するアッパーローラ11に支持されており、下端は前記ステップ3の側面12に沿って移動するロアローラ13に支持されている。また、車両後方側の中央部は、車両前後方向に移動するリアローラ14に支持されており、前記乗降用開口部2を全開にした全開位置から全閉にした全閉位置まで移動できるように構成されている。前記スライドドア4内には、クロージャーユニット15が設けられており、前記スライドドア4の前縁部には、前記クロージャーユニット15への電源の供給を受ける受給端子16が設けられている。また、前記乗降用開口部2の車両前方側の縁部を形成するピラー17には、前記受給端子16と対を成す供給端子18が設けられており、前記スライドドア4が全閉直前位置に移動された位置より、前記受給端子16と接続され、前記クロージャーユニット15へ電源を供給できるように構成されている。そして、前記スライドドア4は、前記ロアローラ13の上部が、前記ステップ3の側面12より延出した牽引部材19に固定されており、この牽引部材19に牽引されて車両前後方向へ移動されるように構成されている。
【0014】
この牽引部材19が延出する前記ステップ3の内部は、図2にて破線で示すように、前記牽引部材19を介して前記スライドドア4を移動する移動機構21が設けられている。該移動機構21は、前記牽引部材19の端部を支持する支持部材22と、該支持部材22が設けられたベルト23と、該ベルト23を前記ステップ3の側面12に沿って移動可能に支持する第1及び第2のプーリ24,25と、前記ステップ3のコーナー部26に設けられるとともに前記ベルト23を移動させる駆動プーリ27とにより構成されている。
【0015】
該駆動プーリ27は最終リダクションギヤ29dに軸結合されており、該最終リダクションギヤ29dは、駆動プーリ側伝達ギヤ29cに噛合されている。また、前記移動機構21には、駆動モータ31が設けられており、該駆動モータ31は、その駆動力をウォームギヤ減速機30及び中間ギヤ29aを介して、モータ側伝達ギヤ29bに伝達する。該モータ側伝達ギヤ29b及び前記駆動プーリ側伝達ギヤ29cは、電磁クラッチ28の上下に設けられており、該電磁クラッチ28は、前記モータ側伝達ギヤ29bと駆動プーリ側伝達ギヤ29cとの間を断続する。そして、駆動プーリ27近傍には、スライドドア回転センサ53の設置場所が設定されており、スライドドア4の手動による開閉時もスライドドア位置や移動速度を検出できるように前記電磁クラッチ28よりも駆動プーリ27側に設けられている。このスライドドア回転センサ53は、公知の接点式二相エンコーダを用いているが正転逆転を検出できるようにした光センサでも良い。
【0016】
これにより、前記電磁クラッチ28がオン制御された際には、前記駆動モータ31と前記駆動プーリ27とが接合された接合状態が形成される一方、オフ制御された際には、前記駆動モータ31と前記駆動プーリ27とが切り離された切断状態が形成され、前記スライドドア4を手動により開閉できるように構成されている。そして、前記駆動モータ31及び前記電磁クラッチ28は、図3に示すように、車両1に設置されたオートスライドドアユニット32に接続されている。
【0017】
このオートスライドドアユニット32は、ROM及びRAMを内蔵したマイコンM(マイクロコンピュータ)を中心に構成されており、サーキットブレーカー41を介して、前述した駆動モータ31を駆動するバッテリー42に接続されるとともに、マイコン駆動用のエレクトリック電源43に接続されている。また、前記オートスライドドアユニット32には、イグニッションスイッチ44が接続されるとともに、該イグニッションスイッチ44との間には、セレクトレバーがPレンジに選択された際にオン作動するシフトPスイッチ45と、フットブレーキが操作された際にオン作動するストップランプスイッチ46とが接続されている。さらに、前記オートスライドドアユニット32には、メインスイッチ47が接続されており、該メインスイッチ47が操作されることにより、前記スライドドア4の駆動が可能となるように構成されている。
【0018】
また、前記オートスライドドアユニット32には、車速を検出するスピードセンサ51とブザー52とが接続されているとともに、スライドドア回転センサ53が接続されている。該スライドドア回転センサ53は、エンコーダを備えてなり、該エンコーダは、第1パルス出力54と第2パルス出力55を備えている。両パルス出力54,55から出力されるパルスは、前記スライドドア4の移動速度の上昇に伴い周期が短くなるように構成されるとともに、前記スライドドア4の移動方向に応じた位相のパルスを出力するように構成されている。また、前記スライドドア回転センサ53には、前記エンコーダの回転数から前記スライドドア4の速度や位置等を検出するとともに、該スライドドア4が全開又は全閉位置に達した際に信号を出力する反転検知出力56及びマイコンMと電圧を合わせるアースとしてのGNDライン57が設けられ、前記オートスライドドアユニット32に接続されている。
【0019】
さらに、前記オートスライドドアユニット32には、パーキングブレーキが操作された際にオン作動するパーキングスイッチ61と、スライドドア4を開作動させる際に操作されるスライドドア開スイッチ62と、閉作動させる際に操作されるスライドドア閉スイッチ63と、前記スライドドア4が全閉された際にオフ作動する全閉位置検出スイッチとして設けたスライドドアスイッチ64とが接続されているとともに、前記クロージャーユニット15へ電源の供給を行う第1及び第2供給出力65,66が前記供給端子18に接続されている。これら第1及び第2供給出力65,66には、通過する電流を測定して前記マイコンMへ伝達する作動電流検出部67が接続されている。
【0020】
前記供給出力18から電源供給を受ける前記クロージャーユニット15の制御部71には、車体のストライカにロックされたスライドドア4側のラッチを駆動してロック状態を解除するラッチ解除アクチュエータ72と、前記ラッチがストライカにロックされる直前のハーフロック状態(ハーフラッチ)を検出して作動するハーフスイッチ73と、前記ラッチのニュートラル状態を検出して作動するニュートラルスイッチ74と、前記ラッチがストライカにロックされた状態を検出して作動するフルロックスイッチ75とが接続されている。また、クロージャーユニット15には、前記ハーフロック状態にあるスライドドア4を、前記フルロック状態まで引き込むスライドドアクロージャーモータ76が接続されている。
【0021】
図4は、車体に固定されたストライカ81と、スライドドア4のベースプレート82(図5参照)に回動自在に設けられたラッチ83との係合状態を示す図であり、クロージャーCのラッチ83の係合溝84内にストライカ81が係止された状態が示されている。このラッチ83を手動により解除する際には、図外のドアハンドルを開操作することにより、オープンレバー85及びポール86が回動され、ラッチ83の係合が外されるように構成されている。前記オープンレバー85を回動するリリースレバー87には、ラッチ83をフルロック位置に係合しているポール86を回動して該係合を外すためのアクチュエータ88がリンク89を介して接続されており、このアクチュエータ88は、前記スライドドア開スイッチ62のオン操作で作動し、ラッチ83の係合(拘束)を解き、ラッチ83がストライカ81から外れるように回動可能としている。この回動可能状態からスライドドア4が開方向に自動又は手動で移動されるとストライカ81から外れる。
【0022】
また、前記ベースプレート82には、図5に示したように、ラッチ83の係合レバー91に当接するクローズレバー92が回動自在に設けられており、該クローズレバー92は、スプリング93によって付勢されている。なお、前記クローズレバー92は、スプリング93により時計回り方向に回りきった位置がニュートラル位置である。前記クローズレバー92は、クローズロッド94を介して減速ギヤレバー95に接続されており、該減速ギヤレバー95は、前記スライドドアクロージャーモータ76に接続されている。このスライドドアクロージャーモータ76を駆動して前記ラッチ83を回動することにより、図6に示すように、アンロック状態(a)、ハーフロック状態(b)、ハーフロック状態からフルロック状態へ移行する移行状態(c)を経てフルロック状態(d)を形成できるように構成されている。
【0023】
図7は、前記クロージャーユニット15の制御部71の動作を示すフローチャートであり、当該クロージャーユニット15は、閉作動に伴い、スライドドア4の受給端子16がピラー17の供給端子18に接続され、電源が供給された際には、前記ラッチ83が前記ハーフロック状態で有るか否かを前記ハーフスイッチ73により検出し、ハーフロック状態となるまで待機する(SC1)。
【0024】
ハーフロック状態となった場合には、タイマーをスタートさせて所定時間の計測を開始し(SC2)、スライドドアクロージャーモータ76を正転してストライカ81へのラッチ83の締め込みを行うとともに(SC3)、前記タイマーが前記所定時間に達したか否かを判断する(SC4)。所定時間に達していた場合には、フルロックスイッチ75の故障等が考えられるので、締め込み状態を回避するために、ステップSC6へ分岐する一方、前記所定時間に達していない場合には、フルロックスイッチ75を検出してフルロック状態で有るか否かを判断する(SC5)。
【0025】
フルロック状態に達していない場合には、前記ステップSC3へ分岐して各ステップを繰り返す一方、フルロック状態に達していた場合には、前記スライドドアクロージャーモータ76を逆転するとともに(SC6)、前記ニュートラルスイッチ74を検出して前記ラッチ83が前記フルロック状態より元の位置に戻ったニュートラルポジジョンにあるか否かを判断する(SC7)。ニュートラルポジションで無い場合には、前記ステップSC6へ分岐して各ステップを繰り返す一方、ニュートラルポジションの場合には、前記スライドドアクロージャーモータ76を停止して(SC8)終了するように構成されている。
【0026】
以上の構成にかかる本実施の形態において、スライドドア4を全閉位置まで移動する動作を、図8に示すフローチャートに従って説明する。
【0027】
すなわち、スライドドア閉スイッチ63が操作され自動閉作動しているか、あるいはスライドドア回転センサ53の第1及び第2パルス出力54,55からスライドドア4の手動閉操作がなされたことが確認された際にモータ駆動、クラッチ接続し以後自動閉作動しているときは、駆動モータ31へのデューティー出力のデューティー比を制御して、スライドドア4を一定速度で閉作動し、前記第1又は第2パルス出力54,55からの総パルス数より、図9に示すように、スライドドア4の移動位置が全閉手前エリア101内であるか否かを判断する(S1)。
【0028】
なお、図9中、102はスライドドア4の平面視の移動軌跡を示し、該移動軌跡102の一端には、スライドドア4の全開位置103が、他端には全閉位置104が設定されている。この全閉位置104より開方向側には、クロージャーユニット15のラッチ83がハーフロック状態となった際に、スライドドアクロージャーモータ76を駆動してラッチ83をフルロック状態まで回動する全閉近傍位置としてのクロージャー作動位置105が設定されており、該クロージャー作動位置105より開方向側には全閉手前位置106が設定され、該全閉手前位置106と前記クロージャー作動位置105との間には、前記全閉手前エリア101が設定されている。そして、前記移動軌跡102が車室内方向へ湾曲を開始する位置には、スライドドア4がウエザーストリップに当接するウエザーストリップ当接位置107が設定されている。
【0029】
前記ステップS1にて、全閉手前エリア101で無い場合には、全閉手前エリア101に達するまで待機して前述した一定速度制御を行う一方、全閉手前エリア101内と判断した場合には、DUTYアップ制御を開始する(S2)。具体的には、前記駆動モータ31へのデューティー出力を、現在のデューティー比から最大値である100%まで除々に高める。このとき、図9にて示したように、スライドドア4は、ウエザーストリップ当接位置107を通過しており、スライドドア4がウエザーストリップに当接している。このため、デューティー出力を高めても、閉移動してきたスライドドア4にウエザーストリップの反力が掛かることで、ドア速度が上がることは無く、駆動モータ31のトルクがアップされる。
【0030】
そして、前記第1及び第2供給出力65,66よりクロージャーユニット15へ流れる作動電流を作動電流検出部67にて検知し、スライドドアクロージャーモータ76が駆動されたか否かを判断する(S3)。このとき、前記スライドドアクロージャーモータ76は、ハーフスイッチ73がハーフロック状態を検出した際に作動を開始するように構成されているが(図7参照)、回路構成の簡素化を図るために、このハーフスイッチ73の信号は、オートスライドドアユニット32に伝達されない。しかし、前記作動電流を検出することによって、前記スライドドアクロージャーモータ76の作動状態を確認することができる。
【0031】
この判断において、前記スライドドアクロージャーモータ76の作動状態が確認されなかった場合には、次ステップS4へ移行する一方、前記スライドドアクロージャーモータ76の作動状態が確認された際には、DUTYダウン制御を開始し、前記駆動モータ31へのデューティー出力を、現在のデューティー比から所定値である20%まで低下させ(S5)、ステップS4へ移行する。
【0032】
これにより、クロージャーCによるスライドドア4のドア引き込み移動が開始されるまでの間におけるクロージャーCの空転区間においても、前記駆動モータ31によりスライドドア4が全閉位置に向かって作動されているので、スライドドア4がウエザーストリップに当接した際のウエザーストリップの反力に抗して、クロージャーCによるドア移動の制御へ円滑に引き継ぐことができる。これにより、よりスムーズかつ、確実に全閉位置104まで作動させることができる。さらに、クロージャーCの作動が確認された際には、前記駆動モータ31へのデューティー出力のデューティー比を低下するため、前記クロージャーCによるドア移動の制御へ、さらに円滑に引き継ぐことができる。
【0033】
このように、スライドドア4が全閉手前位置106に達してからクロージャーCが作動するまでの間、ドア速度を上げずに駆動モータ31のトルクをアップすることによって、スライドドア4を確実に全閉位置104まで作動させることができる。したがって、全閉位置手前106でドア速度を低速にする従来と比較して、急坂の登り方向へ向けて停車した場合であっても、スライドドア4を確実に全閉まで移動することができる。
【0034】
前記ステップS4では、スライドドアスイッチ64がオフ作動したか否かを判断し、スライドドア4が全閉位置104に到達することによりオフ作動していた場合には、前述したDUTYアップ制御又はDUTYダウン制御を終了するとともに、駆動モータ31及び電磁クラッチ28をオフして終了する(S10)。ここで、スライドドア閉方向が下がっている前下がりの急な坂で閉作動した場合やスライドドアを手で押した場合など、スライドドア4が早い速度で閉じた等、図7のステップSC1でハーフスイッチ73がハーフロック状態を検出できずに、スライドドアクロージャーモータ76が作動しないことでクロージャー作動電流を検知しないとき、DUTYダウン制御を行うことなく、駆動モータ61を停止する場合が例外的に生じ得るが、一般的には、前記ステップS4の判断にて、スライドドア4が全閉位置104に到達しておらず、スライドドアスイッチ64がオフ作動していないと判断されたときは、ステップS6へ分岐する。
【0035】
該ステップS6では、前記スライドドア回転センサ53の第1及び第2パルス出力54,55の変化からスライドドア4の閉速度の低下を検知して、当該スライドドア4への挟み込みの有無を判断し、挟み込み無しと判断した際には、前記ステップS2へ分岐して各処理を継続する。
【0036】
一方、挟み込み有りと判断した際には、駆動モータ31を反転してスライドドア4を開作動し(S7)、前記クロージャーユニット15へ流れる作動電流を検知したか否かを判断する(S8)。このとき、前記作動電流を検知した際には、前記ステップS10へ移行し、前記駆動モータ31及び電磁クラッチ28をオフして終了する。これは、前記したように図7のステップSC1でハーフスイッチ73がハーフロック状態を検出できず、スライドドアクロージャーモータ76が作動せず、よって、図8のステップS3でクロージャー作動電流を検知していなかった場合起きるもので、ステップS7でスライドドア4が開作動してクラッチ83のハーフロック位置にくると、ハーフスイッチ73がハーフロック状態を検出してスライドドアクロージャーモータ76が作動し、クラッチ83のフルロック状態となる位置へスライドドア4を引き込む作動が行われるので、このスライドドアクロージャーモータ76の作動を、クロージャー作動電流で検知することによって、前記ステップS10で前記駆動モータ31及び電磁クラッチ28をオフして終了するものである。また、前記ステップS8にて、作動電流を検知しなかった場合には、スライドドア4が全開位置103に達したか否かを前記反転検知出力56から判断し(S9)、全開位置103に達していない場合には、前記ステップS7〜S9を繰り返す。一方、全開位置103に達した際には、前記ステップS10へ移行し、前記駆動モータ31及び電磁クラッチ28をオフして終了する。これにより、前記スライドドア4に荷物等の異物が挟み込まれた場合であっても、スライドドア4が開作動されるので、当該異物の取り出しが可能となる。
【0037】
このように、本実施の形態にあっては、スライドドア4が全閉位置に達したことを、スライドドアスイッチ64の状態から確実に確認することができるので、スライドドア回転センサ53からの総パルス数のみによって全閉位置を相対的に確認する場合と比較して、スライドドア4を全閉位置104に正確に停止することができる。
【0038】
また、スライドドア4用の駆動モータ31を、車体側に設けられた前記スライドドアスイッチ64の状態に基づいて停止するため、クロージャーユニット15のハーフスイッチ73からのハーフラッチ検出信号に基づいて駆動モータ31を停止させる従来と比較して、車体とスライドドア4との間に、前記ハーフラッチ検出信号を伝達するための接点が不要となる。よって、車体のピラー17やスライドドア4のパネルへの後加工を要すること無く、オートスライドドアの設定が可能となる。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のオートスライドドア制御装置にあっては、スライドドア用の駆動モータを、車体側に設けられた全閉位置検出スイッチの状態に基づいて停止する。このため、ハーフラッチ検出信号に基づいて前記駆動モータを停止させる従来と比較して、車体とスライドドアとの間に、前記ハーフラッチ検出信号を伝達するための接点が不要となる。よって、車体やスライドドアのパネルへの後加工を要すること無く、オートスライドドアの設定が可能となる。
【0040】
また、前記スライドドア用の駆動モータは、車体側に設けられた全閉位置検出スイッチの状態に基づいて停止されるので、クロージャーによるスライドドアの引き込み移動が開始されるまでの間に生じるクロージャー空転区間においても、前記駆動モータによりスライドドアを全閉位置に向かって作動させているため、前記スライドドアがウエザーストリップに当接した際の反力によって当該スライドドアが戻されることが無く、クロージャーへのスムーズな引継を行うことができる。これにより、よりスムーズかつ、確実に全閉位置まで作動させることができる。
【0041】
そして、スライドドアが全閉位置に達したことが全閉位置検出スイッチの状態から確実に確認される。また、クロージャーによりスライドドアをフルロック状態まで引き込み移動しているときも、前記駆動モータによるスライドドアの閉作動が継続される。したがって、スライドドアが駆動モータ及びクロージャーのいずれにも駆動されないフリー区間を無くすことができ、スライドドア作動への外力等による影響を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す斜視図である。
【図2】図1のA矢示図である。
【図3】同実施の形態にかかるブロック図である。
【図4】同実施の形態にかかるクロージャーを構成するラッチがストライカに係合された状態を示す分解斜視図である。
【図5】同実施の形態にかかるクロージャーを示す斜視図である。
【図6】同実施の形態にかかるラッチの作動状態を示す図であり、(a)はアンロック状態、(b)はハーフロック状態、(c)はハーフロックからフルロックへ移行する状態、(d)はフルロック状態を示す図である。
【図7】同実施の形態にかかるクロージャーユニットの動作を示すフローチャートである。
【図8】同実施の形態の動作を示すフローチャートである。
【図9】同実施の形態のスライドドアの位置に応じた動作状態を示す説明図である。
【符号の説明】
4 スライドドア
15 クロージャーユニット
28 電磁クラッチ
31 駆動モータ
32 オートスライドドアユニット
64 スライドドアスイッチ(全閉位置検出スイッチ)
67 作動電流検出部
76 スライドドアクロージャーモータ
83 ラッチ
101 全閉手前エリア
104 全閉位置
105 クロージャー作動位置
106 全閉手前位置
C クロージャー
M マイコン(制御部)
Claims (1)
- スライドドアが全開位置と全閉位置との間にて駆動モータで開閉作動されるとともに、該駆動モータにより閉作動された前記スライドドアがハーフロック状態に到達した際に、該スライドドアに設置されたクロージャーが作動し、該クロージャーにより前記スライドドアをフルロック状態まで引き込むオートスライドドア制御装置であって、
前記駆動モータへのデューティー出力のデューティー比を制御して前記スライドドアを閉作動した際に、該スライドドアが前記全閉位置より手前に設定された全閉手前エリア内に達したか否かを判断する全閉手前エリア判断手段と、
前記スライドドアが前記全閉手前エリア内に達したと判断した際に、前記デューティー出力のデューティー比を最大値まで除々に高めるデューティーアップ制御を開始するデューティーアップ制御手段と、
該デューティーアップ制御を開始した後に、前記クロージャーへの作動電流の有無を検知する作動電流検知手段と、
前記クロージャーへの作動電流を検知した際に、前記デューティー出力のデューティー比を所定値まで低下させるデューティーダウン制御を開始するデューティーダウン制御手段と、
前記スライドドアが前記全閉位置に達したか否かを、前記スライドドアが全閉位置に達したことを検出する車体側に設けられた全閉位置検出スイッチの状態から判断する全閉位置判断手段と、
該全閉位置判断手段が前記全閉位置に達したと判断した際に、前記駆動モータを停止する駆動モータ停止手段と、
を備え、前記クロージャによるハーフロック状態からフルロック状態となる位置へ移動されているとき前記デューティーダウン制御された前記駆動モータにより前記スライドドアが全閉位置に向かって作動されるとともに、全閉位置に達し前記駆動モータが停止されることを特徴とするオートスライドドア制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2000265051A JP3657504B2 (ja) | 2000-09-01 | 2000-09-01 | オートスライドドア制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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