JP3835095B2 - オートスライドドア制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スライドドアを制御するオートスライドドア制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両には、ドア開口部を開閉するスライドドアが設けられており、このスライドドアを電動により開閉制御するオートスライドドア制御装置が装備されている(特開平10−061317号公報参照)。
【0003】
このオートスライドドア制御装置は、スライドドアを手動により開閉操作した際に、スライドドアの電動駆動を開始するパワーアシスト機能を備えている。すなわち、このオートスライドドア制御装置は、スライドドアの開閉制御を手動から電動へ切り換える際に、駆動モータとスライドドア開閉機構とを接続するクラッチを半クラッチ状態で接続した後、全クラッチ状態に接続するように構成されており、切り換え時に生じる衝撃を緩和できるように構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記オートスライドドア制御装置にあっては、半クラッチ状態を形成することができない断続のみを行うクラッチを利用することができなかった。このため、半クラッチ状態を形成可能な高価なクラッチを用いる必要が生じ、コスト高要因となっていた。
【0005】
また、半クラッチ接続時にクラッチの滑りを確保しても、モータ速度がスライドドアの移動速度より著しく速い場合には、操作する手がスライドドアに引っ張られる一方、モータ速度がスライドドアの移動速度より著しく遅い場合には、スライドドアを操作する手がブレーキとして作用してしまう。
【0006】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、コスト高を招くことなく、スライドドアの移動を手動から電動へ円滑に移行することができるオートスライドドア制御装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために本発明の請求項1のオートスライドドア制御装置にあっては、スライドドアが手動操作された際に前記スライドドアの電動駆動を開始するオートスライドドア制御装置において、手動操作された前記スライドドアの移動速度を検出する移動速度検出手段と、前記移動速度に応じた回転速度で駆動モータを回転させる回転制御手段と、前記駆動モータの駆動力を前記スライドドアを移動させる移動機構へ伝達するクラッチ制御手段と、前記移動速度検出手段で検出された前記スライドドアの移動速度が所定の速度以上となったことに応じて、前記回転制御手段にて、前記駆動モータを前記移動速度に応じた所定の速度レベルの回転速度で回転させた後、前記所定の速度レベルの回転速度とされた前記駆動モータの駆動力を、前記クラッチ制御手段にて、前記スライドドアを移動させる移動機構へ伝達するよう制御する制御手段とを備えている。
【0008】
すなわち、スライドドアが手動操作され、前記スライドドアの電動駆動を開始する際には、該スライドドアの移動速度が移動速度検出手段により検出される。そして、制御手段の制御により、前記回転制御手段にて、前記駆動モータを前記移動速度に応じた所定の速度レベルの回転速度で回転させた後、この駆動モータの駆動力を、クラッチ制御手段によって移動機構へ伝達させる。これにより、前記スライドドアは、手動操作された際の移動速度に応じた速度で移動される。
【0009】
また、請求項2のオートスライドドア制御装置においては、前記クラッチ制御手段が前記駆動モータの駆動力を前記移動機構へ伝達した後、前記スライドドアの移動速度を予め定められた一定速度になるように前記駆動モータを回転させる定速制御手段をさらに備えている。
前記移動速度検出手段は、前記スライドドアの移動速度に応じて周期変化しながら出力されるパルス信号から前記スライドドアの移動速度を検出する。
そして、前記定速制御手段は、前記移動速度検出手段より出力されたパルス信号のうち最新のパルス信号までの第1所定数分のパルス信号のパルス幅の平均値から現在のスライドドアの移動速度を求め、前記移動速度検出手段より出力されたパルス信号のうち最新のパルス信号までの前記第1所定数分よりも多い第2所定数分のパルス信号のパルス幅の平均値から現在より前のスライドドアの移動速度を求め、前記現在のスライドドアの移動速度と前記現在より前のスライドドアの移動速度との差分である速度変化値、及び前記現在のスライドドアの移動速度と前記一定速度との差分である速度差に基づき算出される制御量により前記駆動モータを回転させることで前記スライドドアの移動速度を前記一定速度となるように制御する。
【0010】
すなわち、前記クラッチ制御手段が前記駆動モータの駆動力を移動機構へ伝達した後には、移動速度検出手段より出力される前記スライドドアの移動速度に応じて周期変化するパルス信号を用いて、前記スライドドアの移動速度を予め定められた一定速度とするように前記駆動モータを回転させる定速制御手段への制御へと移行される。これにより、前記スライドドアは、適切な速度で移動される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図に従って説明する。図1は、本実施の形態にかかるオートスライドドア制御装置を装備した車両1を示す図であり、この車両1の側部には、乗降用開口部2及びステップ3が設けられているとともに、前記乗降用開口部2を開閉するスライドドア4が設けられている。
【0012】
該スライドドア4は、車両1前方側における上端が、前記乗降用開口部2の上縁に沿って移動するアッパーローラ11に支持されており、下端は前記ステップ3の側面12に沿って移動するロアローラ13に支持されている。また、車両後方側の中央部は、車両前後方向に移動するリアローラ14に支持されており、前記乗降用開口部2を全開にした全開位置から全閉にした全閉位置まで移動できるように構成されている。前記スライドドア4内には、クロージャーユニット15が設けられており、前記スライドドア4の前縁部には、前記クロージャーユニット15への電源の供給を受ける受給端子16が設けられている。また、前記乗降用開口部2の車両前方側の縁部を形成するピラー17には、前記受給端子16と対を成す供給端子18が設けられており、前記スライドドア4が全閉位置に移動された際に、前記受給端子16と接続され、前記クロージャーユニット15へ電源を供給できるように構成されている。そして、前記スライドドア4は、前記ロアローラ13の上部が、前記ステップ3の側面12より延出した牽引部材19に固定されており、この牽引部材19に牽引されて車両前後方向へ移動されるように構成されている。
【0013】
この牽引部材19が延出する前記ステップ3の内部は、図2にて破線で示すように、前記牽引部材19を介して前記スライドドア4を移動する移動機構21が設けられている。該移動機構21は、前記牽引部材19の端部を支持する支持部材22と、該支持部材22が設けられたベルト23と、該ベルト23を前記ステップ3の側面12に沿って移動可能に支持する第1及び第2のプーリ24,25と、前記ステップ3のコーナー部26に設けられるとともに前記ベルト23を移動させる駆動プーリ27とにより構成されている。
【0014】
該駆動プーリ27は最終リダクションギヤ29dに軸結合されており、該最終リダクションギヤ29dは、駆動プーリ側伝達ギヤ29cに噛合されている。また、前記移動機構21には、駆動モータ31が設けられており、該駆動モータ31は、その駆動力をウォームギヤ減速機30及び中間ギヤ29aを介して、モータ側伝達ギヤ29bに伝達する。該モータ側伝達ギヤ29b及び前記駆動プーリ側伝達ギヤ29cは、電磁クラッチ28の上下に設けられており、該電磁クラッチ28は、前記モータ側伝達ギヤ29bと駆動プーリ側伝達ギヤ29cとの間を断続する。そして、駆動プーリ27近傍には、スライドドア回転センサ53の設置場所が設定されており、スライドドア4の手動による開閉時もスライドドア位置や移動速度を検出できるように前記電磁クラッチ28よりも駆動プーリ27側に設けられている。このスライドドア回転センサ53は、公知の接点式二相エンコーダを用いているが正転逆転を検出できるようにした光センサでも良い。
【0015】
これにより、前記電磁クラッチ28がオン制御された際には、前記駆動モータ31と前記駆動プーリ27とが接合された接合状態が形成される一方、オフ制御された際には、前記駆動モータ31と前記駆動プーリ27とが切り離された切断状態が形成され、前記スライドドア4を手動により開閉できるように構成されている。そして、前記駆動モータ31及び前記電磁クラッチ28は、図3に示すように、車両1に設置されたオートスライドドアユニット32に接続されている。
【0016】
このオートスライドドアユニット32は、ROM及びRAMを内蔵したマイコンM(マイクロコンピュータ)を中心に構成されており、サーキットブレーカー41を介して駆動用電源42に接続されるとともに、マイコン駆動用のエレクトリック電源43に接続されている。また、前記オートスライドドアユニット32には、イグニッションスイッチ44が接続されるとともに、該イグニッションスイッチ44との間には、セレクトレバーがPレンジに選択された際にオン作動するシフトPスイッチ45と、フットブレーキが操作された際にオン作動するストップランプスイッチ46とが接続されている。さらに、前記オートスライドドアユニット32には、メインスイッチ47が接続されており、該メインスイッチ47が操作されることにより、前記スライドドア4の駆動が可能となるように構成されている。
【0017】
また、前記オートスライドドアユニット32には、車速を検出するスピードセンサ51とブザー52とが接続されているとともに、スライドドア回転センサ53が接続されている。該スライドドア回転センサ53は、前述のエンコーダを備えてなり、該エンコーダは、第1パルス出力54と第2パルス出力55を備えている。両パルス出力54,55から出力されるパルスは、前記スライドドア4の移動速度の上昇に伴い周期が短くなるように構成されるとともに、前記スライドドア4の移動方向に応じた位相のパルスを出力するように構成されている。また、前記スライドドア回転センサ53には、前記エンコーダによって回転(駆動)される駆動プーリ27の回転数から前記スライドドア4の速度や位置を検出するとともに、該スライドドア4が全開又は全閉位置に達した際に信号を出力する反転検知出力56及びマイコンMと電圧を合わせるアースとしてのGNDライン57が設けられ、前記オートスライドドアユニット32に接続されている。
【0018】
さらに、前記オートスライドドアユニット32には、パーキングブレーキが操作された際にオン作動するパーキングスイッチ61と、スライドドア4を開作動させる際に操作されるスライドドア開スイッチ62と、閉作動させる際に操作されるスライドドア閉スイッチ63と、前記スライドドア4が全閉された際にオフ作動するスライドドアスイッチ64とが接続されているとともに、前記クロージャーユニット15へ電源の供給を行う第1及び第2供給出力65,66が前記供給端子18に接続されている。
【0019】
これらの供給出力18から電源供給を受ける前記クロージャーユニット15の制御部71には、車体に設けられたストライカにロックされたスライドドア4側のラッチを駆動して(図示せず)ロック状態を解除するラッチ解除アクチュエータ72と、前記ラッチがストライカにロックされる直前のハーフロック状態を検出して作動するハーフスイッチ73と、前記ラッチのニュートラル状態を検出して作動するニュートラルスイッチ74と、前記ラッチがストライカにロックされた状態を検出して作動するフルロックスイッチ75とが接続されている。また、クロージャーユニット15には、前記ハーフロック状態にあるスライドドア4を、前記フルロック状態まで引き込むスライドドアクロージャーモータ76が接続されている。
【0020】
また、前記スライドドア4を駆動する駆動モータ31は、図4に示すように、第1及び第2リレー81,82を介して、前記オートスライドドアユニット32内のマイコンMに接続されている。具体的に、第1リレー81のコイルの一端83は、プルアップされるとともに、他端84はマイコンMの第1リレー駆動出力85に接続されており、当該第1リレー81のコモン端子86は、前記駆動モータ31に接続されている。また、前記第1リレー81のノーマリーオン端子87はGNDに接続されており、ノーマリーオフ端子88はマイコンMの第1駆動出力89に接続されている。これにより、前記マイコンMから”L”出力を受けた際にオン作動し、前記駆動モータ31の端子を第1駆動出力89に接続してマイコンMからPWM出力を受ける一方、”H”出力を受けた際にオフ作動して駆動モータ31の端子をGNDに接続するように構成されている。
【0021】
また、前記第2リレー82のコイルの一端91は、プルアップされるとともに、他端92はマイコンMの第2リレー駆動出力93に接続されており、当該第2リレー82のコモン端子94は、前記駆動モータ31に接続されている。また、前記第2リレー82のノーマリーオン端子95はGNDに接続されており、ノーマリーオフ端子96はマイコンMの第2駆動出力97に接続されている。これにより、前記マイコンMから”L”出力を受けた際にオン作動し、前記駆動モータ31の端子を第2駆動出力97に接続してマイコンMからPWM出力を受ける一方、”H”出力を受けた際にオフ作動して駆動モータ31の端子をGNDに接続するように構成されている。
【0022】
以上の構成にかかる本実施の形態において、スライドドア4が手動により開閉操作された際に、スライドドア4の移動機構21による電動駆動を開始する動作を、図5に示すフローチャートに従って説明する。
【0023】
すなわち、スライドドア4が手動操作され、前記移動機構21が作動されると、スライドドア回転センサ53のエンコーダが回転し、該エンコーダの第1及び第2パルス出力54,55から後述のスライドドア4の移動速度に応じた周期及び移動方向に応じた位相のパルスが出力される(図7参照)。すると、ステップS1にて、前記パルスが入力されたか否かが判断され、入力されていない場合には、スライドドア4が移動操作されていないので待機する一方、入力された際には、入力されたパルス数をカウントしてスライドドア4の移動量を判断するとともに、パルス幅を測定してスライドドア4の移動速度であるドア速度を算出する(S2)。
【0024】
そして、前記パルス数が所定値以上であるか否かを判断し(S3)、所定値未満の場合には、前記ステップS1へ分岐する一方、所定値以上の場合には、スライドドア4が所定量以上移動されているため手動操作されたと判断して次ステップS4へ移行する。該ステップS4では、スライドドア4の移動速度の上昇に伴い周期が短くなる前記パルスのパルス幅が、所定値以下であるか否かにより、ドア速度が所定値(0.1m/S)以上であるか否かを判断する。ドア速度が所定値未満の場合には、坂道停車等の外因によりスライドドア4が緩やかに移動したことも考えられるので前記ステップS1へ分岐する一方、所定値以上の場合には、次ステップS5へ移行する。このように、スライドドア4の移動量を判断する前記ステップS3と、そのドア速度を判断するステップS4とによって、手動操作されたスライドドア4を電動駆動するパワーアシストへの移行条件が成立したか否かが判断される。
【0025】
前記ステップS5では、駆動モータ31へ駆動電源を供給する第1及び第2リレー81,82をオン作動させた後、前記パルス幅からドア速度が規定下限値(0.15m/S)以下であるか否かを判断する(S6)。この結果、ドア速度が0.1〜0.15m/Sの場合には、マイコンMの第1及び第2駆動出力89,97から、前記駆動モータ31を低速回転させるデューティーのPWM出力を行い、駆動モータ31を回転させた後(S7)、クラッチ28を接続状態にして前記駆動モータ31の駆動力を前記移動機構21へ伝達する(S8)。これにより、スライドドア4の電動駆動が開始され、その後、前記スライドドア4の移動速度が予め定められた一定速度になるうように、前記駆動モータ31を一定速度で回転させる一定速DUTY制御へ移行する(S9)。
【0026】
また、前記ステップS6にて、前記パルス幅からドア速度が規定下限値(0.15m/S)を越えていたい場合には、前記ドア速度が規定範囲(0.15〜0.3m/S)内であるか否かを判断し(S10)、ドア速度が0.15〜0.3m/S内の場合には、マイコンMの第1及び第2駆動出力89,97から、前記ドア速度に応じた回転速度で駆動モータ31を回転させる適切なデューティーのPWM出力を行い、駆動モータ31を中速回転させた後(S11)、クラッチ28を接続状態にして駆動モータ31の駆動力を移動機構21へ伝達し(S8)、前記一定速DUTY制御へ移行する(S9)。
【0027】
そして、前記ステップS10にて、ドア速度が規定範囲(0.15〜0.3m/S)を越えていた場合には、前記ドア速度が高速である0.3m/S以上なので(S12)、マイコンMの第1及び第2駆動出力89,97から、前記駆動モータ31を高速回転させるデューティーのPWM出力を行い、駆動モータ31を回転させた後(S13)、クラッチ28を接続状態にして駆動モータ31の駆動力を移動機構21へ伝達し(S8)、前記一定速DUTY制御へ移行する(S9)。
【0028】
このように、スライドドア4が手動操作され、スライドドア4の電動駆動を開始する際には、スライドドア4が手動操作された際のドア速度に合わせて駆動モータ31を予め回転させておき、この駆動モータ31の駆動力をスライドドア4の移動機構21へ伝達するので、駆動モータ31によるスライドドア4の移動速度を、手動時の移動速度に近づけることができる。これにより、回転速度がスライドドア4の移動速度より著しく速い又は遅い場合に生じ得る不具合を防止することができ、スライドドア4の手動による移動から、電動による移動へ円滑に移行することができる。また、駆動モータ31の回転を制御することにより、手動から電動への円滑な移行を実現できるので、半クラッチ状態を形成可能な高価なクラッチ28が不要となり、低コスト化に寄与することができる。
【0029】
一方、前記一定速DUTY制御は、図6に示すように、スライドドア4の移動速度を一定速(0.3m/S)に保つ制御を行うサブルーチンのフローチャートであり、ステップSB1にて、スライドドア4の現在の移動速度である現速度Vnを検出する。具体的には、スライドドア回転センサ53の第1及び第2パルス出力54,55からパルスを入力するとともに、両パルス出力54,55のいずれかのパルスにおいて、図7に示すように、最後に入力された最新パルスP1から第1所定数である4パルス以前までの各パルスP1〜P4でのパルス幅PW1〜PW4の平均値から現速度Vnを求める。次に、前記最新パルスP1から第2所定数である10パルス以前までの各パルスP1〜P10でのパルス幅PW1〜PW10の平均値から前回速度Vmを求めるとともに、前記現速度Vnから前回速度Vmを減算して速度変化ANS1を求め(SB2)、前記現速度Vnと前回速度Vmとの差及びその差の大きさから、スライドドア4の加速及び減速状態と、その大きさとが判断される(図6中の説明文参照)。このように、制御直前の前記最新パルスP1に近い各パルスP1〜P10のパルス幅PW1〜PW10から前記現速度Vnと前記前回速度Vmとが求められる。
【0030】
次に、前記現速度Vnに、予め定められた速度変化の重み付け定数Kを乗算するとともに(SB3)、前記現速度Vnから予め定められた目標速度Voを減算して速度差ANS2を求めた後(SB4)、前記速度変化ANS1が重み付けされたK・ANS1に前記速度差ANS2を加算した値を、負の値として目標出力ANSを演算する(SB5)。そして、前記駆動モータ31へのPWM出力のオン時間を前記目標出力値ANSに基づき計算し、計算されたデューティーのPWM出力によって前記スライドドア4を駆動制御する(SB6)。
【0031】
これにより、スライドドア4の移動速度が予め定められた一定速度になるうように駆動モータ31を一定速度で回転させ、スライドドア4を適切な速度に保つことができるので、スライドドア4を、手動操作時のドア速度で全開又は全閉まで移動する場合と比較して、手動時の速度が速すぎる場合に生じ得る全開位置又は全閉位置到達時の衝撃を緩和することができる。また、手動時のドア速度が遅すぎる場合であっても全開位置又は全閉位置までの到達時間の短縮化を図ることができる。
【0032】
そして、スライドドア4の移動速度に応じて入力されるパルス幅PW1〜PW10を検出するだけで、スライドドア4の速度変化ANS1や、目標速度Voとの速度差ANS2を求めることができるとともに、スライドドア4を目標速度Voに制御する際のPWM出力を算出して、スライドドア4を目標速度Voに制御することができる。これにより、マイコンMにおける処理ステップ数を減少させることができるので、一連の処理速度を向上させることができ、きめ細かなセンシングが可能となる。
【0033】
また、各演算に用いられる現速度Vn及び前回速度Vmを、制御直前の最新パルスP1に近いパルス幅P1〜P10から求めることによって、前回の駆動制御による速度変化を反映させた値で前記各演算を行うことができる。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の請求項1のオートスライドドア制御装置にあっては、スライドドアが手動操作された際の速度に合わせて駆動モータを所定の速度レベルに予め回転させておき、この駆動モータの駆動力をスライドドアの移動機構へ伝達するので、駆動モータによるスライドドアの移動速度を、手動時の移動速度に近づけることができる。
これにより、回転速度がスライドドアの移動速度より著しく速い又は遅い場合に生じ得る不具合を防止することができ、スライドドアの手動による移動から、電動による移動へ円滑に移行することができる。
【0035】
そして、駆動モータの回転を制御することにより、手動から電動への円滑な移行を実現できるので、半クラッチ状態を形成可能な高価なクラッチが不要となり、低コスト化に寄与することができる。
【0036】
また、請求項2のオートスライドドア制御装置においては、前記駆動モータの駆動力を移動機構へ伝達した後に、移動速度検出手段より出力される前記スライドドアの移動速度に応じて周期変化するパルス信号を用いて、スライドドアの移動速度を予め定められた一定速度になるように駆動モータを回転させ、スライドドアを適切な速度に保つことができる。このため、スライドドアを、手動操作時の速度で全開又は全閉まで移動する場合と比較して、手動時の速度が速すぎる場合に生じ得る全開位置又は全閉位置到達時の衝撃を緩和することができる。また、手動時の速度が遅すぎる場合であっても、全開位置又は全閉位置までの到達時間の短縮化を図ることができる。
このとき、定速制御手段は、前記移動速度検出手段より出力されたパルス信号のうち最新のパルス信号までの第1所定数分のパルス信号のパルス幅の平均値から現在のスライドドアの移動速度を求め、さらに、最新のパルス信号までの前記第1所定数分よりも多い第2所定数分のパルス信号のパルス幅の平均値から現在より前のスライドドアの移動速度を求める。
そして、定速制御手段は、前記現在のスライドドアの移動速度と前記現在より前のスライドドアの移動速度との差分である速度変化値、及び前記現在のスライドドアの移動速度と前記一定速度との差分である速度差に基づき算出される制御量により前記駆動モータを回転させることで前記スライドドアの移動速度を前記一定速度となるように制御する。
したがって、最大で第2所定数分のパルス信号を検出するだけで、スライドドアの速度変化、目標となる一定速度との速度差を求めることができ、スライドドアを目標となる一定速度に制御する際の制御量を容易に算出することができる。これにより、定速制御手段は、少ない処理ステップ数でスライドドアを一定速度に制御することができ、一連の処理速度を向上させることができるため、きめ細かなセンシングが可能となる。
また、定速制御手段は、制御処理直前に検出された最新のパルス信号までの所定数分のパルス信号を用いているため、前回の駆動制御による速度変化を反映させた演算処理を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す斜視図である。
【図2】図1のA矢示図である。
【図3】同実施の形態にかかるブロック図である。
【図4】同実施の形態のマイコンへの駆動モータの接続を示す回路図である。
【図5】同実施の形態の動作を示すフローチャートである。
【図6】同実施の形態の一定速DUTY制御の動作を示すフローチャートである。
【図7】同実施の形態の一定速DUTY制御の動作を説明するタイミングチャートである。
【符号の説明】
4 スライドドア
21 移動機構
28 クラッチ
31 駆動モータ
32 オートスライドドアユニット
M マイコン
Claims (2)
- スライドドアが手動操作された際に前記スライドドアの電動駆動を開始するオートスライドドア制御装置において、
手動操作された前記スライドドアの移動速度を検出する移動速度検出手段と、
前記移動速度に応じた回転速度で駆動モータを回転させる回転制御手段と、
前記駆動モータの駆動力を前記スライドドアを移動させる移動機構へ伝達するクラッチ制御手段と、
前記移動速度検出手段で検出された前記スライドドアの移動速度が所定の速度以上となったことに応じて、前記回転制御手段にて、前記駆動モータを前記移動速度に応じた所定の速度レベルの回転速度で回転させた後、前記所定の速度レベルの回転速度とされた前記駆動モータの駆動力を、前記クラッチ制御手段にて、前記スライドドアを移動させる移動機構へ伝達するよう制御する制御手段とを備えること
を特徴とするオートスライドドア制御装置。 - 前記クラッチ制御手段が前記駆動モータの駆動力を前記移動機構へ伝達した後、前記スライドドアの移動速度を予め定められた一定速度になるように前記駆動モータを回転させる定速制御手段をさらに備え、
前記移動速度検出手段は、前記スライドドアの移動速度に応じて周期変化しながら出力されるパルス信号から前記スライドドアの移動速度を検出し、
前記定速制御手段は、前記移動速度検出手段より出力されたパルス信号のうち最新のパルス信号までの第1所定数分のパルス信号のパルス幅の平均値から現在のスライドドアの移動速度を求め、
前記移動速度検出手段より出力されたパルス信号のうち最新のパルス信号までの前記第1所定数分よりも多い第2所定数分のパルス信号のパルス幅の平均値から現在より前のスライドドアの移動速度を求め、
前記現在のスライドドアの移動速度と前記現在より前のスライドドアの移動速度との差分である速度変化値、及び前記現在のスライドドアの移動速度と前記一定速度との差分である速度差に基づき算出される制御量により前記駆動モータを回転させることで前記スライドドアの移動速度を前記一定速度となるように制御すること
を特徴とする請求項1記載のオートスライドドア制御装置。
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