JP3799922B2 - 車両用オートスライドドア制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スライドドアを制御する車両用オートスライドドア制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両には、ドア開口部を開閉するスライドドアが設けられており、このスライドドアを電動により開閉制御するオートスライドドア制御装置が装備されている。該オートスライドドア制御装置は、スライドドアの速度変化を検出する検出手段を備えており、その検出手段を備えたものとしては、次に挙げるものが知られている。
【0003】
第1に、スライドドアの速度を速度センサにより検出するとともに、速度センサで検出された速度を微分演算してスライドドアの加速度を検出するもがあった。第2に、スライドドアの速度の大きさに応じて決定される運動距離が、第1の距離を超えた際にドア速度を増加させるとともに、前記運動距離が、第2の距離を超えた際にドア速度を低下させるものがあった。第3に、目標速度に対するスライドドアの速度が速すぎ又は遅すぎを検出した際に、その適合差を一度はモータ制御に反映させてから、調整量を再調整する学習機能を備えたものがあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの車両用オートスライドドア制御装置にあっては、複雑な演算を要するため、制御を司るマイコン(マイクロコンピュータ)の処理ステップ数が増大してしまう。これにより、一連の処理速度の低下を招き、きめ細かなセンシングが阻害される恐れがあった。
【0005】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、スライドドアの速度変化の検出を簡素化することができる車両用オートスライドドア制御装置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために本発明の車両用オートスライドドア制御装置にあっては、スライドドアの移動速度に応じてパルス幅が変化するパルスを入力するとともに、最後に入力された最新パルスから第1所定数以前までの各パルスにおけるパルス幅の平均値から現速度を検出する現速度検出手段と、前記最新パルスから前記第1所定数より多い第2所定数以前までの各パルスにおけるパルス幅の平均値から前回速度を検出する前回速度検出手段と、前記現速度と前記前回速度との差から速度変化を演算する速度変化演算手段と、前記現速度と予め定められた目標速度との差から速度差を演算する速度差演算手段と、前記速度変化と前記速度差との差に基づき目標出力値を演算する目標出力値演算手段と、前記目標出力値に応じた出力により前記スライドドアを駆動制御する駆動制御手段と、を備えている。
【0007】
すなわち、スライドドアの速度を予め定められた目標速度に制御する際には、スライドドアの移動速度に応じて変化するパルスを入力するとともに、最後に入力された最新パルスから第1所定数以前までの各パルス幅の平均値から現速度が現速度検出手段により検出されるとともに、前記最新パルスから第2所定数以前までの各パルス幅の平均値から前回速度が前回速度検出手段により検出される。これにより、制御直前の前記最新パルスに近いパルス幅から前記現速度及び前記前回速度が求められる。
【0008】
次に、前記現速度と前記前回速度との差から速度変化が速度変化演算手段により演算され、前記現速度と予め定められた目標速度との差から速度差が速度差演算手段により演算される。そして、前記速度変化と前記速度差との差に基づき目標出力値が目標出力演算手段により演算され、前記目標出力値に応じた出力によって前記スライドドアは、駆動制御手段により駆動制御される。
【0009】
このように、入力されるパルス幅からスライドドアの速度変化や目標速度との差が求められるとともに、スライドドアを目標速度に制御する際の出力が算出される。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図に従って説明する。図1は、本実施の形態にかかる車両用オートスライドドア制御装置を装備した車両1を示す図であり、この車両1の側部には、乗降用開口部2及びステップ3が設けられているとともに、前記乗降用開口部2を開閉するスライドドア4が設けられている。
【0011】
該スライドドア4は、車両1前方側における上端が、前記乗降用開口部2の上縁に沿って移動するアッパーローラ11に支持されており、下端は前記ステップ3の側面12に沿って移動するロアローラ13に支持されている。また、車両後方側の中央部は、車両前後方向に移動するリアローラ14に支持されており、前記乗降用開口部2を全開にした全開位置から全閉にした全閉位置まで移動できるように構成されている。前記スライドドア4内には、クロージャーユニット15が設けられており、前記スライドドア4の前縁部には、前記クロージャーユニット15への電源の供給を受ける受給端子16が設けられている。また、前記乗降用開口部2の車両前方側の縁部を形成するピラー17には、前記受給端子16と対を成す供給端子18が設けられており、前記スライドドア4が全閉位置に移動された際に、前記受給端子16と接続され、前記クロージャーユニット15へ電源を供給できるように構成されている。そして、前記スライドドア4は、前記ロアローラ13の上部が、前記ステップ3の側面12より延出した牽引部材19に固定されており、この牽引部材19に牽引されて車両前後方向へ移動されるように構成されている。
【0012】
この牽引部材19が延出する前記ステップ3の内部は、図2にて破線で示すように、前記牽引部材19を介して前記スライドドア4を移動する移動機構21が設けられている。該移動機構21は、前記牽引部材19の端部を支持する支持部材22と、該支持部材22が設けられたベルト23と、該ベルト23を前記ステップ3の側面12に沿って移動可能に支持する第1及び第2のプーリ24,25と、前記ステップ3のコーナー部26に設けられるとともに前記ベルト23を移動させる駆動プーリ27とにより構成されている。
【0013】
該駆動プーリ27は最終リダクションギヤ29dに軸結合されており、該最終リダクションギヤ29dは、駆動プーリ側伝達ギヤ29cに噛合されている。また、前記移動機構21には、駆動モータ31が設けられており、該駆動モータ31は、その駆動力をウォームギヤ減速機30及び中間ギヤ29aを介して、モータ側伝達ギヤ29bに伝達する。該モータ側伝達ギヤ29b及び前記駆動プーリ側伝達ギヤ29cは、電磁クラッチ28の上下に設けられており、該電磁クラッチ28は、前記モータ側伝達ギヤ29bと駆動プーリ側伝達ギヤ29cとの間を断続する。そして、駆動プーリ27近傍には、スライドドア回転センサ53の設置場所が設定されており、スライドドア4の手動による開閉時もスライドドア位置や移動速度を検出できるように前記電磁クラッチ28よりも駆動プーリ27側に設けられている。このスライドドア回転センサ53は、公知の接点式二相エンコーダを用いているが正転逆転を検出できるようにした光センサでも良い。
【0014】
これにより、前記電磁クラッチ28がオン制御された際には、前記駆動モータ31と前記駆動プーリ27とが接合された接合状態が形成される一方、オフ制御された際には、前記駆動モータ31と前記駆動プーリ27とが切り離された切断状態が形成され、前記スライドドア4を手動により開閉できるように構成されている。そして、前記駆動モータ31及び前記電磁クラッチ28は、図3に示すように、車両1に設置されたオートスライドドアユニット32に接続されている。
【0015】
このオートスライドドアユニット32は、ROM及びRAMを内蔵したマイコン(マイクロコンピュータ)を中心に構成されており、サーキットブレーカー41を介して駆動用電源42に接続されるとともに、マイコン駆動用のエレクトリック電源43に接続されている。また、前記オートスライドドアユニット32には、イグニッションスイッチ44が接続されるとともに、該イグニッションスイッチ44との間には、セレクトレバーがPレンジに選択された際にオン作動するシフトPスイッチ45と、フットブレーキが操作された際にオン作動するストップランプスイッチ46とが接続されている。さらに、前記オートスライドドアユニット32には、メインスイッチ47が接続されており、該メインスイッチ47が操作されることにより、前記スライドドア4の駆動が可能となるように構成されている。
【0016】
また、前記オートスライドドアユニット32には、車速を検出するスピードセンサ51とブザー52とが接続されているとともに、スライドドア回転センサ53が接続されている。該スライドドア回転センサ53は、前述のエンコーダを備えてなり、該エンコーダは、第1パルス出力54と第2パルス出力55を備えている。両パルス出力54,55から出力されるパルスは、前記スライドドア4の移動速度が速くなるに従って周期が短くなるように構成されるとともに、前記スライドドア4の移動方向に応じた位相のパルスを出力するように構成されている。また、前記スライドドア回転センサ53には、前記駆動モータ31によって回転(駆動)される駆動プーリ27の回転数から前記スライドドア4の速度や位置等を検出するとともに、該スライドドア4が全開又は全閉位置に達した際に信号を出力する反転検知出力56及びマイコンとの電圧を合わせるアースとしてのGNDライン57が設けられ、前記オートスライドドアユニット32に接続されている。
【0017】
さらに、前記オートスライドドアユニット32には、パーキングブレーキが操作された際にオン作動するパーキングスイッチ61と、スライドドア4を開作動させる際に操作されるスライドドア開スイッチ62と、閉作動させる際に操作されるスライドドア閉スイッチ63と、前記スライドドア4が全閉された際にオフ作動するスライドドアスイッチ64とが接続されているとともに、前記クロージャーユニット15へ電源の供給を行う第1及び第2供給出力65,66が前記供給端子18に接続されている。
【0018】
これらの供給出力18から電源供給を受ける前記クロージャーユニット15の制御部71には、車体に設けられたストライカにロックされたスライドドア4側のラッチを駆動して(図示せず)ロック状態を解除するラッチ解除アクチュエータ72と、前記ラッチがストライカにロックされる直前のハーフロック状態を検出して作動するハーフスイッチ73と、前記ラッチのニュートラル状態を検出して作動するニュートラルスイッチ74と、前記ラッチがストライカにロックされた状態を検出して作動するフルロックスイッチ75とが接続されている。また、クロージャーユニット15には、前記ハーフロック状態にあるスライドドア4を、前記フルロック状態まで引き込むスライドドアクロージャーモータ76が接続されている。
【0019】
以上の構成にかかる本実施の形態において、スライドドア4を開閉駆動する際に、その移動速度を予め定められた目標速度である秒速30cmに制御する動作を、図4に示すフローチャートに従って説明する。
【0020】
すなわち、運転席に設けられたスライドドア開スイッチ62又はスライドドア閉スイッチ63が操作され、スライドドア4が駆動された際には、ステップS1にて、スライドドア4の現在の移動速度である現速度Vnを検出する。具体的には、スライドドア回転センサ53の第1及び第2パルス出力54,55からパルスを入力するとともに、両パルス出力54,55のいずれかのパルスにおいて、図5に示すように、最後に入力された最新パルスP1から第1所定数である4パルス以前までの各パルスP1〜P4でのパルス幅PW1〜PW4の平均値から現速度Vnを求める。次に、前記最新パルスP1から第2所定数である10パルス以前までの各パルスP1〜P10でのパルス幅PW1〜PW10の平均値から前回速度Vmを求めるとともに、前記現速度Vnから前回速度Vmを減算して速度変化ANS1を求め(S2)、前記現速度Vnと前回速度Vmとの差及びその差の大きさから、スライドドア4の加速及び減速状態と、その大きさとが判断される(図4中の説明文参照)。このように、制御直前の前記最新パルスP1に近い各パルスP1〜P10のパルス幅PW1〜PW10から前記現速度Vnと前記前回速度Vmとが求められる。
【0021】
次に、前記現速度Vnに、予め定められた速度変化の重み付け定数Kを乗算するとともに(S3)、前記現速度Vnから予め定められた目標速度Voを減算して速度差ANS2を求めた後(S4)、前記速度変化ANS1が重み付けされたK・ANS1に前記速度差ANS2を加算した値を、負の値として目標出力ANSを演算する(S5)。そして、スライドドア4をデューティー駆動する駆動モータ31へのPWM出力のオン時間を前記目標出力値ANSに基づき計算し、計算されたPWM出力によって前記スライドドア4を駆動制御する(S6)。
【0022】
このように、スライドドア4の移動速度に応じて入力されるパルス幅PW1〜PW10を検出するだけで、スライドドア4の速度変化ANS1や、目標速度Voとの速度差ANS2を求めることができるとともに、スライドドア4を目標速度Voに制御する際のPWM出力を算出して、スライドドア4を目標速度Voに制御することができる。よって、スライドドア4の速度を微分演算して加速度を求めたり、スライドドア4の速度の大きさに応じて運動距離を決定し、この運動距離と第1及び第2の距離との比較を行いドア速度を増減させたり、目標速度Voに対するスライドドア4の速度差をモータ制御に反映させてから調整量を再調整する学習機能を備えた従来のような複雑な計算が不要となる。これにより、マイコンにおける処理ステップ数を減少させることができるので、一連の処理速度を向上させることができ、きめ細かなセンシングが可能となる。
【0023】
また、各演算に用いられる現速度Vn及び前回速度Vmを、制御直前の最新パルスP1に近いパルス幅P1〜P10から求めることによって、前回の駆動制御による速度変化を反映させた値で前記各演算を行うことができる。これにより、前回の駆動制御を反映させない場合において、スライドドア4の加速及び減速を繰り返してしまうハンチング現象を防止することができる。
【0024】
なお、本実施の形態にあっては、パルス幅PW1〜PW10を入力された各パルスP1〜P10における”H”区間の時間より求めたが、これに限定されるものではなく、例えば、”L”区間の時間あるいは各パルスP1〜P10の周期から求めても良い。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の車両用オートスライドドア制御装置にあっては、スライドドアの移動速度に応じて入力されるパルス幅を検出するだけで、スライドドアの速度変化や目標速度との差を求めることができるとともに、これらに基づきスライドドアを目標速度に制御することができる。よって、スライドドアの速度を微分演算して加速度を求めたり、スライドドアの速度の大きさに応じて運動距離を決定し、この運動距離と第1及び第2の距離との比較を行いドア速度を増減させたり、目標速度に対するスライドドアの速度差をモータ制御に反映させてから調整量を再調整する学習機能を備えた従来のような複雑な演算が不要となる。これにより、これらの制御を司るマイコンにおける処理ステップ数を減少させることができるので、一連の処理速度を向上させることができ、きめ細かなセンシングが可能となる。
【0026】
また、各演算に用いられる現速度及び前回速度を、制御直前の最新パルスに近いパルス幅から求めることによって、前回の駆動制御による速度変化を反映させた値で前記各演算を行うことができる。これにより、前回の駆動制御を反映させない場合において、スライドドアの加速及び減速を繰り返してしまうハンチング現象を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す斜視図である。
【図2】図1のA矢示図である。
【図3】同実施の形態にかかるブロック図である。
【図4】同実施の形態の動作を示すフローチャートである。
【図5】同実施の形態の動作を説明するタイミングチャートである。
【符号の説明】
4 スライドドア
31 駆動モータ
32 オートスライドドアユニット
Vn 現速度
Vm 前回速度
Vo 目標速度
ANS1 速度変化
ANS2 速度差

Claims (1)

  1. スライドドアの移動速度に応じてパルス幅が変化するパルスを入力するとともに、最後に入力された最新パルスから第1所定数以前までの各パルスにおけるパルス幅の平均値から現速度を検出する現速度検出手段と、
    前記最新パルスから前記第1所定数より多い第2所定数以前までの各パルスにおけるパルス幅の平均値から前回速度を検出する前回速度検出手段と、
    前記現速度と前記前回速度との差から速度変化を演算する速度変化演算手段と、
    前記現速度と予め定められた目標速度との差から速度差を演算する速度差演算手段と、
    前記速度変化と前記速度差との差に基づき目標出力値を演算する目標出力値演算手段と、
    前記目標出力値に応じた出力により前記スライドドアを駆動制御する駆動制御手段と、
    を備えたことを特徴とする車両用オートスライドドア制御装置。
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