JP3747275B2 - オートスライドドア制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スライドドアを開閉制御するオートスライドドア制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のオートスライドドア制御装置は、自動開操作時、スライドドアが全開位置に達した際に、モータを停止させるとともにクラッチを切断(クラッチOFF)してスライドドアの操作力を軽くし、以後の手動閉作動を容易としていた。このとき、全開位置でのスライドドアの保持は、全開チェッカーが担っている。
【0003】
一方、自動開作動途中である半開中に自動開操作スイッチから手を離した場合、その位置でスライドドアを停止するとともに、スライドドアの駆動モータに電気的にブレーキを掛け、所定時間経過後にブレーキを解除するオートスライド制御装置が知られている(実開平4−62883号公報参照)。これにより、スライドドアを半開位置で停止した場合であっても、手動閉作動を容易としていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このオートスライドドア制御装置においては、スライドドアが全開近傍位置に及んだ時点で、操作者が全開位置に達したと誤認してスイッチの操作を止めた直後において手動操作が困難となる。また、急坂停車時においては、ブレーキ解除後にスライドドアが自重により移動することが考えられ、この場合、スライドドアを全開位置まで移動したと誤認している操作者は違和感を覚える。
【0005】
これを解消するために、自動開操作スイッチから手が離された際に、スライドドアを停止させ、かつクラッチを接続状態に保持して、坂道でのスライドドアの自重による移動を防止するものが知られているが、この場合も前記全開近傍位置において誤認によりスライドドアを停止させた場合、スライドドアを全開位置まで移動させたにも関わらず、ドア操作が重くなり、以後の手動による開閉作動が困難となるといった違和感を受ける。そして、全開位置に達していないことに気づいた場合、再度スイッチ操作を行ってスライドドアを全開位置まで移動しなければならず不便であった。
【0006】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、操作者の誤認による全開近傍位置でのスライドドアの停止を防止することができるオートスライドドア制御装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために本発明のオートスライドドア制御装置にあっては、スイッチの操作状態に応じてスライドドアを駆動モータで開作動するとともに、ローラが移動するレールに全開チェッカーが設けられ、前記スライドドアの開方向へ移動に伴い前記ローラが前記全開チェッカーを乗り越えて全開側に移動した際に、前記ローラを前記全開チェッカーより全開側に保持して前記スライドドアの閉方向への移動を阻止するオートスライドドア制御装置において、前記スライドドアが、全開位置より閉側に設定された全開近傍位置から前記全開位置までの全開手前エリア内に到達した際に、前記操作状態の変化に基づく前記スライドドアの停止処理を回避する回避手段を備え、該回避手段は、前記ローラが前記全開チェッカーを乗り越えて前記全開位置に達するまで前記スライドドアを開方向へ移動するとともに、前記全開位置に達した際に、前記駆動モータを停止しかつ該駆動モータの駆動力の伝達を断続する電磁クラッチを切断状態にする。
【0008】
すなわち、スイッチ操作により開作動されたスライドドアが、全開近傍位置から全開位置までの全開手前エリア内に到達した際に、スイッチ操作を止めることによる前記操作状態の変化に基づくスライドドアの停止処理は回避手段により回避され、スライドドアは、クラッチが切断される全開位置まで駆動を継続する。これにより、前記全開手前エリア内でのスライドドアの停止が防止されることで、スイッチ操作者が全開位置と誤認しやすい全開手前エリア内でクラッチが接続状態のままスライドドアが停止され、以後のスライドドアの手動閉作動が、スライドドアの操作力が重くてできなくなるということが解消される。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図に従って説明する。図1は、本実施の形態にかかるオートスライドドア制御装置を装備した車両1を示す図であり、この車両1の側部には、乗降用開口部2及びステップ3が設けられているとともに、前記乗降用開口部2を開閉するスライドドア4が設けられている。
【0010】
該スライドドア4は、車両1前方側における上端が、前記乗降用開口部2の上縁に沿って移動するアッパーローラ11に支持されており、下端は前記ステップ3の側面12に沿って移動するロアローラ13に支持されている。また、車両後方側の中央部は、車両前後方向に移動するリアローラ14に支持されており、前記乗降用開口部2を全開にした全開位置から全閉にした全閉位置まで移動できるように構成されている。
【0011】
前記アッパーローラ11又は前記リアローラ14におけるローラ81は、図2に示すように、車体に設けられたレール82内に移動自在に支持されており、レール82後端のストッパー83によってスライドドア4の全開位置84が定められている。前記レール82には、全開位置84より開側の部位に、板バネ等の弾発力でレール82内に出没可能に形成される全開チェッカー85が内方へ突出した状態で設けられており、前記ローラ81が、この全開チェッカー85を乗り越えた際に、当該ローラ81を全開チェッカー85より全開位置84側に保持することによって、スライドドア4の閉方向への移動を阻止できるように構成されている。
【0012】
また、前記スライドドア4内には、図1に示したように、クロージャーユニット15が設けられており、前記スライドドア4の前縁部には、前記クロージャーユニット15への電源の供給を受ける受給端子16が設けられている。また、前記乗降用開口部2の車両前方側の縁部を形成するピラー17には、前記受給端子16と対を成す供給端子18が設けられており、前記スライドドア4が全閉位置に移動された際に、前記受給端子16と接続され、前記クロージャーユニット15へ電源を供給できるように構成されている。そして、前記スライドドア4は、前記ロアローラ13の上部が、前記ステップ3の側面12より延出した牽引部材19に固定されており、この牽引部材19に牽引されて車両前後方向へ移動されるように構成されている。
【0013】
この牽引部材19が延出する前記ステップ3の内部は、図3にて破線で示すように、前記牽引部材19を介して前記スライドドア4を移動する移動機構21が設けられている。該移動機構21は、前記牽引部材19の端部を支持する支持部材22と、該支持部材22が設けられたベルト23と、該ベルト23を前記ステップ3の側面12に沿って移動可能に支持する第1及び第2のプーリ24,25と、前記ステップ3のコーナー部26に設けられるとともに前記ベルト23を移動させる駆動プーリ27とにより構成されている。
【0014】
該駆動プーリ27は最終リダクションギヤ29dに軸結合されており、該最終リダクションギヤ29dは、駆動プーリ側伝達ギヤ29cに噛合されている。また、前記移動機構21には、駆動モータ31が設けられており、該駆動モータ31は、その駆動力をウォームギヤ減速機30及び中間ギヤ29aを介して、モータ側伝達ギヤ29bに伝達する。該モータ側伝達ギヤ29b及び前記駆動プーリ側伝達ギヤ29cは、電磁クラッチ28の上下に設けられており、該電磁クラッチ28は、前記モータ側伝達ギヤ29bと駆動プーリ側伝達ギヤ29cとの間を断続する。そして、駆動プーリ27近傍には、スライドドア回転センサ53の設置場所が設定されており、スライドドア4の手動による開閉時もスライドドア位置や移動速度を検出できるように前記電磁クラッチ28よりも駆動プーリ27側に設けられている。このスライドドア回転センサ53は、公知の接点式二相エンコーダを用いているが正転逆転を検出できるようにした光センサでも良い。
【0015】
これにより、前記電磁クラッチ28がオン制御された際には、前記駆動モータ31側と前記駆動プーリ27側とが接合された接合状態が形成され、駆動モータ31の駆動力が前記駆動プーリ27に伝達され、また、駆動モータ31の停止時は、駆動モータ31、ウォームギヤ減速機30、中間ギヤ29b、モータ側伝達ギヤ29bの抵抗により、急坂停車時でのスライドドア4の自重による移動が防止される。一方、オフ制御された際には、前記駆動モータ31側と前記駆動プーリ27側とが切り離された切断状態が形成され、前記スライドドア4を手動により開閉できるように構成されている。そして、前記駆動モータ31及び前記電磁クラッチ28は、図4に示すように、車両1に設置されたオートスライドドアユニット32に接続されている。
【0016】
このオートスライドドアユニット32は、ROM及びRAMを内蔵した制御手段としてのマイコンM(マイクロコンピュータ)を中心に構成されており、サーキットブレーカー41を介して、前述した駆動モータ31を駆動する駆動用電源としてのバッテリー42に接続されるとともに、電圧の安定化が図られたマイコン駆動用のエレクトリック電源43に接続されている。また、前記オートスライドドアユニット32には、イグニッションスイッチ44が接続されるとともに、該イグニッションスイッチ44との間には、セレクトレバーがPレンジに選択された際にオン作動するシフトPスイッチ45と、フットブレーキが操作された際にオン作動するストップランプスイッチ46とが接続されている。さらに、前記オートスライドドアユニット32には、メインスイッチ47が接続されており、該メインスイッチ47が操作されることにより、前記スライドドア4の駆動が可能となるように構成されている。
【0017】
また、前記オートスライドドアユニット32には、車速を検出するスピードセンサ51とブザー52とが接続されているとともに、スライドドア回転センサ53が接続されている。該スライドドア回転センサ53は、前述のエンコーダを備えてなり、該エンコーダは、第1パルス出力54と第2パルス出力55を備えている。両パルス出力54,55から出力されるパルス信号は、前記スライドドア4の移動速度の上昇に伴い周期が短くなるように構成されるとともに、前記スライドドア4の移動方向に応じた位相のパルス信号を出力するように構成されている。また、前記スライドドア回転センサ53には、前記エンコーダの回転数から前記スライドドア4の速度、位置等を検出するとともに、該スライドドア4の反転検知出力56及びマイコンMと電圧を合わせるアースとしてのGNDライン57が設けられ、前記オートスライドドアユニット32に接続されている。
【0018】
さらに、前記オートスライドドアユニット32には、パーキングブレーキが操作された際にオン作動するパーキングスイッチ61と、スライドドア4を開作動させる際に操作されるスライドドア開スイッチ62と、閉作動させる際に操作されるスライドドア閉スイッチ63と、前記スライドドア4が全閉された際にオフ作動するスライドドアスイッチ64とが接続されているとともに、前記クロージャーユニット15へ電源の供給を行う第1及び第2供給出力65,66が前記供給端子18に接続されている。
【0019】
これらの供給端子18から電源供給を受ける前記クロージャーユニット15の制御部71には、車体に設けられたストライカにロックされたスライドドア4側のラッチを駆動して(図示せず)ロック状態を解除するラッチ解除アクチュエータ72と、前記ラッチがストライカにロックされる直前のハーフロック状態を検出して作動するハーフスイッチ73と、前記ラッチのニュートラル状態を検出して作動するニュートラルスイッチ74と、前記ラッチがストライカにロックされた状態を検出して作動するフルロックスイッチ75とが接続されている。また、クロージャーユニット15には、前記ハーフロック状態にあるスライドドア4を、前記フルロック状態まで引き込むスライドドアクロージャーモータ76が接続されている。
【0020】
以上の構成にかかる本実施の形態において、スライドドア開スイッチ62が操作され、スライドドア4が開作動された際の動作を、図5に示すフローチャートに従って説明する。
【0021】
すなわち、スライドドア開スイッチ62が操作された際には、駆動モータ31へのデューティー出力のデューティー比を制御して、スライドドア4を一定速度で開作動し(S1)、スライドドア回転センサ53からの第1又は第2パルス出力54,55からの総パルス数より、スライドドア4が、図2(スライドドア4の移動位置をローラ81の位置で示した図)に示したように、全開位置84より閉側に設定された全開近傍位置91から前記全開位置84までの全開手前エリア92内に到達したか否かを判断する(S2)。このとき、スライドドア4が前記全開手前エリア92内に到達していない場合には、前記スライドドア開スイッチ62の操作が継続されているか否かを判断し(S3)、継続されている場合には、前記ステップS1へ戻って開作動を続ける一方、継続されていない場合には、駆動モータ31を停止するとともに電磁クラッチ28を接続状態に維持してスライドドア4の停止処理を行う(S4)。これにより、スライドドア4は、半開位置で停止された状態で前記電磁クラッチ28の接続状態が維持されるので、急坂停車時でのスライドドア4の自重による移動を防止することができる。
【0022】
また、前記ステップS2にて、スライドドア4が前記全開手前エリア92内に到達していると判断された場合には、ステップS5へ分岐する。これにより、前記スライドドア開スイッチ62操作の判断(S3)への移行が阻止され、当該判断結果に基づくスライドドア4の停止処理が回避される。
【0023】
前記ステップS5では、前記スライドドア回転センサ53の第1又は第2パルス出力54,55からの所定以上のパルス数で、かつパルス幅が所定値を越えることで、スライドドア4が全開位置84に達したか否かを判断し、全開位置84に達していない場合には、前記ステップS1へ分岐して開作動を継続する一方、全開位置84に達していた場合には、駆動モータ31を停止した後(S6)、前記ローラ81が全開チェッカー85を乗り越えない程度まで低下された低出力、具体的には、デューティー比が40%の低出力で駆動モータ31を駆動し(S7)、開作動されたスライドドア4を低出力かつ、低速で閉方向に移動する低出力の閉作動をする(図6の(a)から(b)参照)。そして、スライドドア4の低出力の閉作動を開始してから、前記ローラ81が全開チェッカー85に近接することが予想される一定時間経過したか否かを判断するとともに(S8)、前記第1又は第2パルス出力54,55が、前記ローラ81の全開チェッカー85への近接が予想される一定パルス数入力されたか否かを判断し(S9)、前記一定時間経過せず、かつ前記一定パルス数入力されていない場合には、前記ステップS1へ分岐して低出力の閉作動を継続する。一方、前記一定時間経過した、あるいは前記一定パルス数入力された際には、前記駆動モータ31を停止するとともに前記電磁クラッチ28を切断状態として終了する(S10)。このとき、前記ローラ81が全開チェッカー85より全開位置84側に、該全開チェッカー85に接する又は近接状態で保持されることによって、前記スライドドア4の不用意な閉方向への移動が防止される。
【0024】
このように、スイッチ操作により開作動されたスライドドア4が前記全開手前エリア92内に到達した際に、スイッチ操作に基づくスライドドア4の停止処理(S3,S4)を回避することができるので、前記全開手前エリア92内でのスライドドア4の停止を防止することができる。これにより、前記全開エリア92に到達したスライドドア4を、全開チェッカー85により閉移動が防止される全開位置84まで移動することができる。
【0025】
したがって、スライドドア4が全開近傍位置91に及んだ時点で全開位置84に達したと誤認し、スイッチ操作を止めた場合であっても、電磁クラッチ28の接続状態によりスライドドア4の移動が拘束されない全開位置84でスライドドア4を停止させることができる。これにより、停止後の手動による閉操作、及び手動閉操作に基づくスライドドア4の所定量の閉移動が行われたことを検知すると、以降の閉移動を駆動モータ31の駆動により、スライドドア4を自動閉作動するアシスト閉作動が容易となり、利便性が向上する。
【0026】
なお、本実施の形態にあっては、スライドドア回転センサ53の前記第1又は第2パルス出力54,55からの所定数以上のパルス数でかつ、パルス幅が所定値を越えることで、スライドドア4が全開位置84に達したか否かを判断する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、駆動モータ31への負荷の上昇により判断しても良く、さらには、全開位置を検出するスイッチを新設しても良い。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のオートスライドドア制御装置にあっては、全開近傍位置から全開位置までの全開手前エリア内でのスライドドアの停止を防止することができる。これにより、前記全開エリアに到達したスライドドアを、全開チェッカーにより閉移動が阻止される全開位置まで移動することができる。
【0028】
したがって、スライドドアが全開近傍位置に及んだ時点で全開位置に達したと誤認し、スイッチの操作を止めた場合であっても、スライドドアを、モータブレーキやクラッチの接続により移動が拘束されない全開位置で停止させることができる。これにより、停止後の手動による閉操作、及び手動閉操作に基づくアシスト閉作動が容易となり、利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す斜視図である。
【図2】同実施の形態にかかるスライドドアの移動位置をローラの位置で示した説明図である。
【図3】図1のA矢示図である。
【図4】同実施の形態にかかるブロック図である。
【図5】同実施の形態の動作を示すフローチャートである。
【図6】(a)は、スライドドアが全開位置に達した際のローラの位置を示す説明図であり、(b)は、ローラが閉側へ移動された状態を示す説明図である。
【符号の説明】
4 スライドドア
28 電磁クラッチ
31 駆動モータ
32 オートスライドドアユニット
84 全開位置
91 全開近傍位置
92 全開手前エリア
M マイコン

Claims (1)

  1. スイッチの操作状態に応じてスライドドアを駆動モータで開作動するとともに、ローラが移動するレールに全開チェッカーが設けられ、前記スライドドアの開方向へ移動に伴い前記ローラが前記全開チェッカーを乗り越えて全開側に移動した際に、前記ローラを前記全開チェッカーより全開側に保持して前記スライドドアの閉方向への移動を阻止するオートスライドドア制御装置において、
    前記スライドドアが、全開位置より閉側に設定された全開近傍位置から前記全開位置までの全開手前エリア内に到達した際に、前記操作状態の変化に基づく前記スライドドアの停止処理を回避する回避手段を備え
    該回避手段は、前記ローラが前記全開チェッカーを乗り越えて前記全開位置に達するまで前記スライドドアを開方向へ移動するとともに、前記全開位置に達した際に、前記駆動モータを停止しかつ該駆動モータの駆動力の伝達を断続する電磁クラッチを切断状態にすることを特徴とするオートスライドドア制御装置。
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