JP3747274B2 - オートスライドドア制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スライドドアを制御するオートスライドドア制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両には、ドア開口部を開閉するスライドドアが設けられており、このスライドドアを電動により開閉制御するオートスライドドア制御装置が装備されている(実開平2−112884号公報参照)。
【0003】
このオートスライドドア制御装置は、スライドドアを閉作動する際に、全閉手前位置から全閉までスライドドアの移動速度を低速にするモータ駆動回路を備えており、ドア閉時の衝撃力を緩和する等、ドア閉時の質感の向上が図れるように構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなオートスライドドア制御装置にあっては、全閉位置手前で低速にすると閉作動の質感は向上するが、例えば、急坂の登り方向へ向けて停車した場合には、スライドドアの自重が駆動装置に掛かり、クロージャーへのスムーズな引継が困難になることがある。この場合、スライドドアを確実に全閉まで移動でき無くなる恐れがあった。
【0005】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、クロージャーへのスムーズな引継を確実に行うことができるオートスライドドア制御装置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために本発明のオートスライドドア制御装置にあっては、スライドドアを開閉作動する駆動モータがデューティー出力により制御され、前記駆動モータにより閉作動された前記スライドドアが全閉近傍位置に到達した際に、前記スライドドアの全閉位置までをクロージャーにより移動されるオートスライドドア制御装置において、前記全閉近傍位置より開方向側に設定された全閉手前位置に前記スライドドアが達したか否かを判断する手前位置判断手段と、前記全閉手前位置に達したと判断した際に、前記デューティー出力のデューティー比を最大値まで高め、前記駆動モータのトルクを上昇させるトルクアップ手段と、前記駆動モータのトルクの上昇を開始した後、前記クロージャーの作動電流を検知して前記クロージャーの作動状態を判断するクロージャー作動状態判断手段と、該クロージャー作動状態判断手段が、前記クロージャーが作動状態であると判断した際に、前記デューティー出力のデューティー比を所定値まで低下させるデューティー比低下手段と、前記スライドドアが前記全閉位置に達した際に作動するスライドドアスイッチが作動した際に、前記駆動モータ及び該駆動モータの駆動力を断続する電磁クラッチをオフする全閉時作動停止手段と、前記クロージャー作動状態判断手段にて前記クロージャーの作動電流が検出されず、前記クロージャーが作動していないと判断した際に、前記駆動モータへのモータロック電流が検知されたか否かを判断する駆動モータロック電流検知手段と、該駆動モータロック電流検知手段にて前記駆動モータへのモータロック電流が検知された際に、全閉ロックタイマーをスタートして所定時間のカウントを開始する全閉ロックタイマースタート手段と、前記全閉ロックタイマーによる前記所定時間のカウントが終了した際に、前記駆動モータ及び前記電磁クラッチをオフする異常時作動停止手段と、を備えている。
【0007】
すなわち、閉作動中のスライドドアが全閉手前位置に達した際には、これが手前位置判断手段により判断され、駆動モータを制御するデューティー出力のデューティー比がトルクアップ手段により最大値まで高められ、前記駆動モータのトルクが上昇される。これにより、ドア速度を上げること無く駆動モータのトルクがアップされる。
【0008】
そして、前記駆動モータのトルクの上昇が開始された後、クロージャー作動状態判断手段が、前記クロージャーの作動電流を検知して前記クロージャーの作動状態を判断し、クロージャーが作動状態であると判断された際には、デューティー比低下手段により前記デューティー出力のデューティー比が所定値まで低下される。これにより、初期状態におけるクロージャー空転区間においても、前記駆動モータにより前記スライドドアが作動されるので、スライドドアが車体に設けられたウエザーストリップに当接した際の反力に抗して、前記クロージャーによる制御へ円滑に引き継がれる。
【0011】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
【0012】
以下、本発明の第1の実施の形態を図に従って説明する。図1は、本実施の形態にかかるオートスライドドア制御装置を装備した車両1を示す図であり、この車両1の車体の側部には、乗降用開口部2及びステップ3が設けられているとともに、前記乗降用開口部2を開閉するスライドドア4が設けられている。また、前記乗降用開口部2の周囲には、車体に固着されたウエザーストリップが設けられ、スライドドア4が閉じられた際、ウエザーストリップがスライドドア4と当接し、雨水等の車室内への侵入を防いでいる。
【0013】
前記スライドドア4は、車両1前方側における上端が、前記乗降用開口部2の上縁に沿って移動するアッパーローラ11に支持されており、下端は前記ステップ3の側面12に沿って移動するロアローラ13に支持されている。また、車両後方側の中央部は、車両前後方向に移動するリアローラ14に支持されており、前記乗降用開口部2を全開にした全開位置から全閉にした全閉位置まで移動できるように構成されている。前記スライドドア4内には、クロージャーユニット15が設けられており、前記スライドドア4の前縁部には、前記クロージャーユニット15への電源の供給を受ける受給端子16が設けられている。また、前記乗降用開口部2の車両前方側の縁部を形成するピラー17には、前記受給端子16と対を成す供給端子18が設けられており、前記スライドドア4が全閉直前位置に移動された位置より、前記受給端子16と接続され、前記クロージャーユニット15へ電源を供給できるように構成されている。そして、前記スライドドア4は、前記ロアローラ13の上部が、前記ステップ3の側面12より延出した牽引部材19に固定されており、この牽引部材19に牽引されて車両前後方向へ移動されるように構成されている。
【0014】
この牽引部材19が延出する前記ステップ3の内部は、図2にて破線で示すように、前記牽引部材19を介して前記スライドドア4を移動する移動機構21が設けられている。該移動機構21は、前記牽引部材19の端部を支持する支持部材22と、該支持部材22が設けられたベルト23と、該ベルト23を前記ステップ3の側面12に沿って移動可能に支持する第1及び第2のプーリ24,25と、前記ステップ3のコーナー部26に設けられるとともに前記ベルト23を移動させる駆動プーリ27とにより構成されている。
【0015】
該駆動プーリ27は最終リダクションギヤ29dに軸結合されており、該最終リダクションギヤ29dは、駆動プーリ側伝達ギヤ29cに噛合されている。また、前記移動機構21には、駆動モータ31が設けられており、該駆動モータ31は、その駆動力をウォームギヤ減速機30及び中間ギヤ29aを介して、モータ側伝達ギヤ29bに伝達する。該モータ側伝達ギヤ29b及び前記駆動プーリ側伝達ギヤ29cは、電磁クラッチ28の上下に設けられており、該電磁クラッチ28は、前記モータ側伝達ギヤ29bと駆動プーリ側伝達ギヤ29cとの間を断続する。そして、駆動プーリ27近傍には、スライドドア回転センサ53の設置場所が設定されており、スライドドア4の手動による開閉時もスライドドア位置や移動速度を検出できるように前記電磁クラッチ28よりも駆動プーリ27側に設けられている。このスライドドア回転センサ53は、公知の接点式二相エンコーダを用いているが正転逆転を検出できるようにした光センサでも良い。
【0016】
これにより、前記電磁クラッチ28がオン制御された際には、前記駆動モータ31と前記駆動プーリ27とが接合された接合状態が形成される一方、オフ制御された際には、前記駆動モータ31と前記駆動プーリ27とが切り離された切断状態が形成され、前記スライドドア4を手動により開閉できるように構成されている。そして、前記駆動モータ31及び前記電磁クラッチ28は、図3に示すように、車両1に設置されたオートスライドドアユニット32に接続されている。
【0017】
このオートスライドドアユニット32は、ROM及びRAMを内蔵したマイコンM(マイクロコンピュータ)を中心に構成されており、サーキットブレーカー41を介して、前述した駆動モータ31を駆動するバッテリー42に接続されるとともに、マイコン駆動用のエレクトリック電源43に接続されている。また、前記オートスライドドアユニット32には、イグニッションスイッチ44が接続されるとともに、該イグニッションスイッチ44との間には、セレクトレバーがPレンジに選択された際にオン作動するシフトPスイッチ45と、フットブレーキが操作された際にオン作動するストップランプスイッチ46とが接続されている。さらに、前記オートスライドドアユニット32には、メインスイッチ47が接続されており、該メインスイッチ47が操作されることにより、前記スライドドア4の駆動が可能となるように構成されている。
【0018】
また、前記オートスライドドアユニット32には、車速を検出するスピードセンサ51とブザー52とが接続されているとともに、スライドドア回転センサ53が接続されている。該スライドドア回転センサ53は、エンコーダを備えてなり、該エンコーダは、第1パルス出力54と第2パルス出力55を備えている。両パルス出力54,55から出力されるパルスは、前記スライドドア4の移動速度の上昇に伴い周期が短くなるように構成されるとともに、前記スライドドア4の移動方向に応じた位相のパルスを出力するように構成されている。また、前記スライドドア回転センサ53には、前記エンコーダの回転数から前記スライドドア4の速度や位置等を検出するとともに、該スライドドア4が全開又は全閉位置に達した際に信号を出力する反転検知出力56及びマイコンMと電圧を合わせるアースとしてのGNDライン57が設けられ、前記オートスライドドアユニット32に接続されている。
【0019】
さらに、前記オートスライドドアユニット32には、パーキングブレーキが操作された際にオン作動するパーキングスイッチ61と、スライドドア4を開作動させる際に操作されるスライドドア開スイッチ62と、閉作動させる際に操作されるスライドドア閉スイッチ63と、前記スライドドア4が全閉された際にオフ作動する全閉位置検出スイッチとして設けたスライドドアスイッチ64とが接続されているとともに、前記クロージャーユニット15へ電源の供給を行う第1及び第2供給出力65,66が前記供給端子18に接続されている。これら第1及び第2供給出力65,66には、通過する電流を測定して前記マイコンMへ伝達する作動電流検出部67が接続されている。
【0020】
前記供給出力18から電源供給を受ける前記クロージャーユニット15の制御部71には、車体のストライカにロックされたスライドドア4側のラッチを駆動してロック状態を解除するラッチ解除アクチュエータ72と、前記ラッチがストライカにロックされる直前のハーフロック状態を検出して作動するハーフスイッチ73と、前記ラッチのニュートラル状態を検出して作動するニュートラルスイッチ74と、前記ラッチがストライカにロックされた状態を検出して作動するフルロックスイッチ75とが接続されている。また、クロージャーユニット15には、前記ハーフロック状態にあるスライドドア4を、前記フルロック状態まで引き込むスライドドアクロージャーモータ76が接続されている。
【0021】
図4は、車体に固定されたストライカ81と、スライドドア4のベースプレート82(図5参照)に回動自在に設けられたラッチ83との係合状態を示す図であり、クロージャーCのラッチ83の係合溝84内にストライカ81が係止された状態が示されている。このラッチ83を手動により解除する際には、図外のドアハンドルを開操作することにより、オープンレバー85及びポール86が回動され、ラッチ83の係合が外されるように構成されている。前記オープンレバー85を回動するリリースレバー87には、ラッチ83をフルロック位置に係合しているポール86を回動して該係合を外すためのアクチュエータ88がリンク89を介して接続されており、このアクチュエータ88は、前記スライドドア開スイッチ62のオン操作で作動し、ラッチ83の係合(拘束)を解き、ラッチ83がストライカ81から外れるように回動可能としている。この回動可能状態からスライドドア4が開方向に自動又は手動で移動されるとストライカ81から外れる。
【0022】
また、前記ベースプレート82には、図5に示したように、ラッチ83の係合レバー91に当接するクローズレバー92が回動自在に設けられており、該クローズレバー92は、スプリング93によって付勢されている。なお、前記クローズレバー92は、スプリング93により時計回り方向に回りきった位置がニュートラル位置である。前記クローズレバー92は、クローズロッド94を介して減速ギヤレバー95に接続されており、該減速ギヤレバー95は、前記スライドドアクロージャーモータ76に接続されている。このスライドドアクロージャーモータ76を駆動して前記ラッチ83を回動することにより、図6に示すように、アンロック状態(a)、ハーフロック状態(b)、ハーフロック状態からフルロック状態へ移行する移行状態(c)を経てフルロック状態(d)を形成できるように構成されている。
【0023】
以上の構成にかかる本実施の形態において、スライドドア4を全閉位置まで移動する動作を、図7に示すフローチャートに従って説明する。
【0024】
すなわち、スライドドア閉スイッチ63が操作されたか、あるいはスライドドア回転センサ53の第1及び第2パルス出力54,55からスライドドア4の手動操作が確認された際には、駆動モータ31へのデューティー出力のデューティー比を制御して、スライドドア4を一定速度で閉作動させ(S1)、前記第1又は第2パルス出力54,55からの総パルス数より、図8に示すように、スライドドア4の移動位置が全閉手前エリア101内であるか否かを判断する。なお、図8中、102はスライドドア4の平面視の移動軌跡を示し、該移動軌跡102の一端には、スライドドア4の全開位置103が、他端には全閉位置104が設定されている。この全閉位置104より開方向側には、クロージャーユニット15のラッチ83がハーフロック状態となった際に、スライドドアクロージャーモータ76を駆動してラッチ83をフルロック状態まで回動する全閉近傍位置としてのクロージャー作動位置105が設定されており、該クロージャー作動位置105より開方向側には全閉手前位置106が設定され、該全閉手前位置106と前記クロージャー作動位置105との間には、前記全閉手前エリア101が設定されている。そして、前記移動軌跡102が車室内方向へ湾曲を開始する位置には、スライドドア4がウエザーストリップに当接するウエザーストリップ当接位置107が設定されている。
【0025】
前記ステップS2にて、全閉手前エリア101で無いと判断した際には、前記ステップS1へ分岐して一定速度制御を行う一方、全閉手前エリア101内と判断した場合には、DUTYアップ制御を開始する(S3)。具体的には、前記駆動モータ31へのデューティー出力を、現在のデューティー比から最大値である100%まで除々に高める。このとき、図8にて示したように、スライドドア4は、ウエザーストリップ当接位置107を通過しており、スライドドア4がウエザーストリップに当接している。このため、デューティー出力を高めても、閉移動してきたスライドドア4にウエザーストリップの反力が掛かることで、ドア速度が上がることは無く、駆動モータ31のトルクがアップされる。そして、スライドドアスイッチ64がオフ作動したか否かを判断し(S4)、スライドドア4が全閉位置104に到達し、オフ作動していた場合には、DUTYアップ制御及び後述するDUTYダウン制御を終了し(S5)、駆動モータ31及び電磁クラッチ28をオフして作動停止処理を行い終了する(S6)。ここで、前下がりの急な坂で閉作動した場合など、後述するDUTYダウン制御を行うことなく、作動停止処理が行われる場合が例外的に生じ得るが、一般的には、前記ステップS4の判断にて、スライドドア4が全閉位置104に到達しておらず、スライドドアスイッチ64がオフ作動していないと判断され、ステップS7へ分岐する。
【0026】
該ステップS7では、前記第1及び第2供給出力65,66よりクロージャーユニット15へ流れる作動電流を作動電流検出部67にて測定し、スライドドア4がクロージャー作動位置105に到達することによってスライドドアクロージャーモータ76が駆動されたか否かを判断する。このとき、前記スライドドアクロージャーモータ76は、ハーフスイッチ73がハーフロック状態を検出した際に作動するように構成されているが、回路構成の簡素化を図るために、このハーフスイッチ73の信号は、オートスライドドアユニット32に伝達されない。しかし、前記作動電流を検出することによって、前記スライドドアクロージャーモータ76の作動状態を確認することができる。
【0027】
そして、前記スライドドアクロージャーモータ76の作動状態が確認された際には、DUTYダウン制御を開始し、前記駆動モータ31へのデューティー出力を、現在のデューティー比から所定値である20%まで低下させ(S8)、前記ステップS4へ移行する。これにより、初期状態におけるクロージャーC空転区間においても、前記駆動モータ31により前記スライドドア4が作動されているので、スライドドア4がウエザーストリップに当接した際の反力に抗して、クロージャーCによるドア移動の制御へ円滑に引き継がれる。
【0028】
このように、スライドドア4が全閉手前位置106に達してからクロージャーCが作動するまでの間、ドア速度を上げずに駆動モータ31のトルクをアップすることによって、スライドドア4を確実に全閉位置104まで作動させることができる。したがって、全閉位置手前106でドア速度を低速にする従来と比較して、急坂の登り方向へ向けて停車した場合であっても、スライドドア4を確実に全閉まで移動することができる。
【0029】
また、クロージャーCの作動が確認された際には、前記駆動モータ31へのデューティー出力のデューティー比を低下するため、前記クロージャーCによるドア移動の制御へ円滑に引き継ぐことができる。そして、クロージャーCによるスライドドア4のドア移動の制御が開始されるまでの間(クロージャーC空転区間)においても、前記駆動モータ31によりスライドドア4が作動されているので、ウエザーストリップにスライドドア4が当接した際の反力によってスライドドア4が戻されることがなく、より確実に全閉位置まで作動させることができる。
【0030】
また、前記ステップS7において、前記作動電流が検知されなかった場合には、駆動モータ31へのモータロック電流が検知されたか否かを判断し(S9)、検知されない場合には、前記ステップS4へ分岐する一方、検知された際には、スライドドア4が全閉位置104に達しているにも関わらず、スライドドアスイッチ64がオフせず、かつ、クロージャー作動電流が検知されていないことになるため、スライドドアスイッチ64、クロージャー作動電流検知部等が故障しているか、あるいは、径の細い物や荷物の端等を挟み込んでいる等の異常事態が考えられるので、全閉ロックタイマーをスタートして所定時間のカウントを開始する(S10)。そして、全閉ロックタイマーが終了したか否かを判断し(S11)、終了していない場合には、前記ステップS4へ分岐する一方、終了していた場合には、駆動モータ31及び電磁クラッチ28をオフして作動停止(異常停止)処理を行い終了する(S12)尚、上述の異常事態が考えられるので、ステップS12では、作動停止とせず、スライドドア4を反転させるため、電磁クラッチ28はオンのままとし、駆動モータ31を逆転としても良い。
【0031】
一方、前記ステップS4において、DUTYダウン制御(S8)を経て、スライドドア4が全閉位置104に到達し、スライドドアスイッチ64がオフ作動した際には、DUTYダウン制御を終了するとともに(S5)、駆動モータ31及び電磁クラッチ28をオフして通常の作動停止処理を行い終了する(S6)。
【0032】
このように、スライドドアが全閉位置に達したことを、スライドドアスイッチ64の状態から確実に確認することができるので、スライドドア回転センサ53からの総パルス数のみによって全閉位置を相対的に確認する場合と比較して、スライドドア4を全閉位置104に正確に停止することができる。また、クロージャーCによりスライドドア4を全閉位置104まで移動する間、前記駆動モータ31によるスライドドア4の制御を継続することができるので、スライドドア4が駆動モータ31及びクロージャーCのいずれにも駆動されないフリー区間を無くすことができ、スライドドア4作動への外力等による影響を未然に防止することができる。
【0033】
(第2の実施の形態)
【0034】
図9は、第2の実施の形態を示すフローチャートであり、該第2の実施の形態の動作を、このフローチャートに従って説明する。なお、構成は、第1の実施の形態と同様とする。
【0035】
第1の実施の形態と同様に先ず始めに、スライドドア4を一定速度で閉作動させ(SB1)、前記第1又は第2パルス出力54,55からの総パルス数より、図8に示すように、スライドドア4の移動位置が全閉手前エリア101内であるか否かを判断する(SB2)。全閉手前エリア101内と判断した場合には、DUTYアップ制御を開始し、前記駆動モータ31へのデューティー出力を、現在のデューティー比から最大値である100%まで高め(SB3)、ステップSB4へ移行する。このとき、第1の実施の形態と同様に、ドア速度を上げること無く駆動モータ31のトルクがアップされる。
【0036】
前記ステップSB4では、前記第1及び第2供給出力65,66よりクロージャーユニット15へ流れる作動電流を作動電流検出部67にて測定し、スライドドア4がクロージャー作動位置105に到達することによりスライドドアクロージャーモータ76が駆動されたか否かを判断する。前記スライドドアクロージャーモータ76の作動状態が確認された際には、DUTYダウン制御を開始し、前記駆動モータ31へのデューティー出力を、現在のデューティー比から所定値である20%まで低下させるとともに(SB5)、デューティー比が所定値である20%まで低下すると、デューティーダウン制御を終了させるので、DUTYダウン制御が終了するまで待機し(SB6)、終了した際には、駆動モータ31及び電磁クラッチ28をオフして作動停止処理を行い終了する(SB7)。
【0037】
これにより、第1の実施の形態と同様に、スライドドア4が全閉手前位置106に達してからクロージャーCが作動するまでの間、ドア速度を上げずに駆動モータ31のトルクをアップし、スライドドア4を確実に全閉位置104まで作動させることができる。また、クロージャーCの作動が確認された際には、前記駆動モータ31へのデューティー出力のデューティー比を低下するため、前記クロージャーCによる制御へ円滑に引き継ぐことができる。さらに、作動停止前にDUTYダウン制御を必ず実行することができるので、第1の実施の形態と比較して、前記クロージャーCによる制御への円滑な引継を確実に行うことができる。
【0038】
また、前記ステップSB4にて、前記スライドドアクロージャーモータ76の作動状態が確認されなかった場合には、スライドドア4が全閉位置104に到達してスライドドアスイッチ64がオフ作動したか否かを判断する(SB8)。オフ作動していた場合には、クロージャーCによるスライドドア4の閉作動が開始されていると判断し、前述と同様のDUTYダウン制御を開始して(SB9)、前記ステップSB6へ移行する。
【0039】
さらに、前記ステップSB8にて、スライドドアスイッチ64がオフ作動してい無いと判断された場合には、駆動モータ31へのモータロック電流が検知されたか否かを判断し(SB10)、検知されない場合には、前記ステップSB4へ分岐する一方、検知された際には、スライドドア4が全閉位置104を通過して前述の第1の実施の形態と同様に、故障あるいは挟み込み等の異常事態が考えられるので、全閉ロックタイマーをスタートして所定時間のカウントを開始する(SB11)。そして、全閉ロックタイマーが終了したか否かを判断し(SB12)、終了していた場合には、駆動モータ31及び電磁クラッチ28をオフして作動停止(異常停止)処理を行い終了する(SB13)。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の請求項1のオートスライドドア制御装置にあっては、スライドドアが全閉手前位置に達してからクロージャーが作動するまでの間、ドア速度を上げずに駆動モータのトルクをアップすることにより、スライドドアを確実に全閉位置まで作動させることができる。したがって、全閉位置手前でドア速度を低速にする従来と比較して、急坂の登り方向へ向けて停車した場合であっても、スライドドアを確実に全閉まで移動することができる。
【0041】
また、クロージャーの作動が確認された際には、前記駆動モータへのデューティー出力のデューティー比を低下するので、前記クロージャーによる制御へ円滑に引き継ぐことができる。そして、クロージャーによるスライドドアの制御が開始されるまでの間(クロージャー空転区間)においても、前記駆動モータによりスライドドアが作動されているので、スライドドアがウエザーストリップに当接した際の反力によってスライドドアが戻されることがなく、より確実に全閉位置まで作動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す斜視図である。
【図2】図1のA矢示図である。
【図3】同実施の形態にかかるブロック図である。
【図4】同実施の形態にかかるクロージャーを構成するラッチがストライカに係合された状態を示す分解斜視図である。
【図5】同実施の形態にかかるクロージャーを示す斜視図である。
【図6】同実施の形態にかかるラッチの作動状態を示す図であり、(a)はアンロック状態、(b)はハーフロック状態、(c)はハーフロックからフルロックへ移行する状態、(d)はフルロック状態を示す図である。
【図7】同実施の形態の動作を示すフローチャートである。
【図8】同実施の形態のスライドドアの位置に応じた動作状態を示す説明図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
4 スライドドア
15 クロージャーユニット
28 電磁クラッチ
31 駆動モータ
32 オートスライドドアユニット
64 スライドドアスイッチ(全閉位置検出スイッチ)
67 作動電流検出部
76 スライドドアクロージャーモータ
83 ラッチ
101 全閉手前エリア
104 全閉位置
105 クロージャー作動位置
106 全閉手前位置
C クロージャー
M マイコン(制御部)
Claims (1)
- スライドドアを開閉作動する駆動モータがデューティー出力により制御され、前記駆動モータにより閉作動された前記スライドドアが全閉近傍位置に到達した際に、前記スライドドアの全閉位置までをクロージャーにより移動されるオートスライドドア制御装置において、
前記全閉近傍位置より開方向側に設定された全閉手前位置に前記スライドドアが達したか否かを判断する手前位置判断手段と、
前記全閉手前位置に達したと判断した際に、前記デューティー出力のデューティー比を最大値まで高め、前記駆動モータのトルクを上昇させるトルクアップ手段と、
前記駆動モータのトルクの上昇を開始した後、前記クロージャーの作動電流を検知して前記クロージャーの作動状態を判断するクロージャー作動状態判断手段と、
該クロージャー作動状態判断手段が、前記クロージャーが作動状態であると判断した際に、前記デューティー出力のデューティー比を所定値まで低下させるデューティー比低下手段と、
前記スライドドアが前記全閉位置に達した際に作動するスライドドアスイッチが作動した際に、前記駆動モータ及び該駆動モータの駆動力を断続する電磁クラッチをオフする全閉時作動停止手段と、
前記クロージャー作動状態判断手段にて前記クロージャーの作動電流が検出されず、前記クロージャーが作動していないと判断した際に、前記駆動モータへのモータロック電流が検知されたか否かを判断する駆動モータロック電流検知手段と、
該駆動モータロック電流検知手段にて前記駆動モータへのモータロック電流が検知された際に、全閉ロックタイマーをスタートして所定時間のカウントを開始する全閉ロックタイマースタート手段と、
前記全閉ロックタイマーによる前記所定時間のカウントが終了した際に、前記駆動モータ及び前記電磁クラッチをオフする異常時作動停止手段と、
を備えたことを特徴とするオートスライドドア制御装置。
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