JP3663863B2 - ハロゲン化銀カラー写真感光材料、その処理方法及びそれを用いた画像形成方法 - Google Patents

ハロゲン化銀カラー写真感光材料、その処理方法及びそれを用いた画像形成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハロゲン化銀カラー写真感光材料に関し、詳しくは、高感度で粒状性に優れたハロゲン化銀カラー写真感光材料、その処理方法及びそれを用いた画像形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
カメラ等撮影機器の普及は近年益々進み、ハロゲン化銀カラー写真感光材料を用いた写真撮影の機会も増加してきており、高感度化、高画質化に対する要請は強まっている。また一方では、パーソナルコンピューター(パソコン)の急速な普及やインターネットの普及に伴って、画像情報をパソコンに取り込み、それを加工して利用することも多くなっている。画像情報をパソコンに取り込むためには、デジタルカメラによる撮影方法、従来のカラー写真感光材料の画像情報をスキャナーで読み込む方法があるが、前者は画素数が少なく、ラチチュードが狭く階調がなめらかでないといった問題点があり、後者は高品位な画像データが得られること、長年蓄積された従来の写真感光材料による画像情報をも有効に生かせる点で優れている。
【0003】
しかしながら、このようにカラー写真感光材料をスキャナーで読み込む場合においても、拡大倍率が一般に高いために、高画質化への要請は強まっている。ハロゲン化銀カラー写真感光材料の高感度化、高画質化に対しての支配因子の一つはハロゲン化銀粒子であるため、ハロゲン化銀乳剤に対する要請も、近年益々激しく、例えば高感度で優れた粒状性を有し、かつ保存性に優れている等、極めて高水準の性能が求められている。
【0004】
ハロゲン化銀乳剤の感度を高める技術、即ち増感技術はハロゲン化銀乳剤の製造方法に関するもの、ハロゲン化銀乳剤の化学増感技術に関するもの、ハロゲン化銀乳剤の分光増感方法に関するもの、ハロゲン化銀カラー感光材料の設計方法によるもの、ハロゲン化銀カラー感光材料の現像プロセスに関するものなど、各種の方法が知られているが、その中で最も好ましくかつ本質的な方法はハロゲン化銀粒子自身の感光量子効率を高めるものである。
【0005】
例えば、ハロゲン化銀粒子の感光の量子効率そのものを高める最もポピュラーな技術として粒子内部に沃化銀含有率の高いコアを用いる技術が知られており、平板状粒子内部に沃化銀含有率の高いコアを設ける技術が特開昭63−92942号に開示されている。
【0006】
また、特開平7−92594号には、粒子内部に沃化銀含有率の高いコアを有し、かつ、粒子最表面近傍の沃化銀含有率を低く規定したハロゲン化銀粒子の技術開示がなされている。
【0007】
しかしながら、これらの粒子を使用した場合、特に粒子最表面近傍の沃化銀含有率を低く規定した場合、感度上昇は見られるものの、粒状性の劣化が大きい等の問題が発生することがわかった。
【0008】
また、カルボンアミド類をハロゲン化銀写真感光材料に用いる技術が特開昭61−36746号、特開平2−34840号、米国特許第5,188,926号などに記載されている。しかし、前記文献記載のカルボンアミド類化合物を従来のハロゲン化銀カラー写真感光材料に用いても、分散安定性、画像保存性や残色性の向上などの効果は得られているもののハロゲン化銀粒子の粒状性の改良はいまだ不十分であった。
【0009】
また、粒状性改良のためにハロゲン化銀粒子の粒径を小さくしていくと感度が低下する傾向にあり、高感度と粒状性をともに満足させるには限界があり、高感度と粒状性をともに満足させる手段が求められていた。
【0010】
一方で、ハロゲン化銀カラー写真感光材料は画像情報の入手に時間がかかる為に処理時間短縮への要望は高く、近年精力的に処理時間短縮の試みがなされている。しかしながら、これまでの処理時間短縮の成果はカラーペーパー処理に限られ、カラーネガフィルムの処理時間の短縮は報道用の特殊処理を除いてほとんど実現されていない。カラーネガ、カラーペーパーのトータルの処理時間を短縮してお客様をお待たせしないとの観点から、特にカラーフィルムの処理時間の短縮が待たれていた。
【0011】
このような問題を解決する方法として特開平9−146247号明細書には、発色現像処理後、脱銀せずに処理を終了し、画像をスキャナーで読み取ることによって、画像情報を得る技術が開示されているが、前記公開特許公報記載の方法では、露光時の色材による光学フィルター効果による減感が著しく、高感度が得にくいため、高感度を要する撮影用感材には適用しにくいことが判明した。
【0012】
また、通常用いられる撮影用カラーネガフィルムを現像処理後、脱銀せずにスキャナーで読み取った場合、イエローフィルター層やハレーション防止層が障害となって、画像が一部しか読み取れないことが判明した。この問題を解決するため、イエローフィルター層やハレーション防止層を除いたり、前記イエローフィルター層や前記ハレーション防止層中に用いられている染料の使用量を減量することが有効であるが、この方法では画像情報は読み取れるものの、拡大倍率が高い場合には高品位の画像とは言い難く、特に粒状性の改良が求められていた。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の第1の目的は、高感度で且つ、粒状性を改良したハロゲン化銀カラー写真感光材料を提供することにある。
【0014】
本発明の第2の目的は、高品位な画像情報を簡便、迅速に提供できるハロゲン化銀カラー写真感光材料及び、その処理方法並びに画像形成方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記に示す項目1〜3によって達成された。
【0016】
1.支持体上に、青感性ハロゲン化銀乳剤層、緑感性ハロゲン化銀乳剤層及び赤感性ハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀カラー写真感光材料において、前記ハロゲン化銀乳剤層の少なくとも1層が、下記一般式(I)で表される化合物の少なくとも1種を含有し、且つ前記一般式(I)で表される化合物を含有するハロゲン化銀乳剤層の少なくとも1層中の全ハロゲン化銀粒子の全投影面積の50%以上の粒子が、粒子内部に2つ以上の相を有し、該相のうち、沃化銀含有率が最大の相の沃化銀含有率が15モル%未満で、かつ表面領域の沃化銀含有率が10モル%以下である平板状ハロゲン化銀粒子を含有することを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料。
【0017】
【化2】
Figure 0003663863
【0018】
式中、Rは、炭素原子数7〜24の、置換基を有していてもよい脂肪族基または、アルキル基で置換されたフェニル基を表し、Xはラクタム環を形成するのに必要な原子群を表す。
【0019】
2.前記1に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料を発色現像処理後、脱銀しないことを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法。
【0020】
3.前記1に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料を発色現像処理後、現像銀及びハロゲン化銀を感光材料中に保持したまま、その画像情報を光学的情報または電気的信号に変換し、その情報に基づいて別の記録材料上にカラー画像を得る画像形成方法。
【0021】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0022】
本発明の平板状ハロゲン化銀粒子は、2つの平行な主平面を有し、前記主平面の円相当直径(前記主平面と同じ投影面積を有する円の直径)と主平面間の距離(即ち粒子の厚み)の比、即ちアスペクト比が1をこえる粒子である。
【0023】
更に、前記一般式(I)で表される化合物を含有するハロゲン化銀乳剤層の少なくとも1層において、アスペクト比が8.0以上の本発明の平板状ハロゲン化銀粒子が占める投影面積の割合が平板状ハロゲン化銀粒子の全粒子の投影面積の45%以上が好ましく、更に好ましくは50%以上である。
【0024】
本発明の平板状ハロゲン化銀粒子の直径は、0.3〜10μm、好ましくは0.5〜5.0μm、さらに好ましくは0.5〜2.0μmである。粒子厚みは、好ましくは0.05〜0.8μmである。
【0025】
本発明に於ける粒子直径、粒子厚みの測定は米国特許第4,434,226号に記載の方法で求めることができる。
【0026】
本発明の平板状粒子のサイズ分布は、主平面の円換算直径(前記主平面と同じ投影面積を有する円の直径)の変動係数(直径分布の標準偏差を平均直径で割ったもの)が30%以下が好ましく、20%以下が更に好ましい。本発明において平均直径とは、個々の直径の算述平均で求められる値である。
【0027】
ハロゲン化銀粒子のハロゲン組成としては、沃臭化銀または塩沃臭化銀であることが好ましく、平均沃化銀含有率は1〜15モル%が好ましく、3〜12モル%が更に好ましい。
【0028】
本発明のハロゲン化銀粒子の沃化銀含有率の粒子間分布は、沃化銀含有率の変動係数(沃化銀含有率粒子間分布の標準偏差を平均沃化銀含有率で割ったもの)が30%以下が好ましく、20%以下が更に好ましい。
【0029】
本発明の平板状ハロゲン化銀粒子は、表面領域を除いた粒子内部に2つ以上の相を有する。ここでいう粒子内部の相とは後記のXRDやEPMAなどによってハロゲン組成が区別できるものをさす。本発明における粒子内部の相のうち、沃化銀含有率が最大の相の沃化銀含有率は15モル%未満であり、好ましくは3モル%以上10モル%未満である。また、前記相の粒子内に占める体積分率は30%以上90%以下であることが好ましく、30%以上60%以下であることが更に好ましい。
【0030】
本発明でいうところの表面領域とは、粒子の表面域を含む領域であり、10原子層前後の厚みを有している領域のことを言う。
【0031】
本発明でいうところの表面領域の沃化銀含有率とはXPS法(X−ray photoelectron spectroscopy:X線光電子分光法)により測定される数値で表される。
【0032】
本発明のXPS法による沃化銀含有率は次のように求められる。試料を1×10-8torr以下の超高真空中で−115℃以下まで冷却し、プローブ用X線としてMgKαをX線源電圧15kV、X線源電流40mAで照射し、Ag3d5/2、Br3d、I3d3/2電子について測定する。測定されたピークの積分強度を感度因子で補正し、これらの強度比から表面のハライド組成を求める。
【0033】
粒子内のハロゲン組成に関する構造は、XRD(X線回折分析法)、EPMA(Elecron probe X−ray microanalyser:X線マイクロアナライザー)等による組成分析法表面領域により調べることができる。
【0034】
また、最大沃化銀含有相とは、本発明でいう表面領域を除く転位線を形成するために行われた後述するような操作により生じた高沃度局在領域は含まない。
【0035】
平板粒子の製法としては、当業界で知られた方法を適宜組み合わせることができる。例えば、特開昭61−6643号、同61−146305号、同62−157024号、同62−18556号、同63−92942号、同63−151618号、同63−163451号、同63−220238号、同63−311244号等による公知の方法を参考にする事ができる。例えば、同時混合法、ダブルジェット法、同時混合法のひとつの形式であるハロゲン化銀の生成される液相中のpAgを一定に保ついわゆるコントロールダブルジェット法、異なる組成の可溶性ハロゲン化銀をそれぞれ独立に添加するトリプルジェット法も用いる事ができる。順混合法を用いることもでき、また粒子を銀イオン過剰の下において形成する方法(いわゆる逆混合法)を用いることもできる。必要に応じてハロゲン化銀溶剤を用いることができる。しばしば用いられるハロゲン化銀溶剤としては、アンモニア、チオエーテル、チオ尿素類を挙げることができる。チオエーテルに関しては米国特許第3,271,157号、同第3,790,387号、同第3,574,628号等を参考にすることができる。また、混合法としては特に限定はなく、アンモニアを使わない中性法、アンモニア法、酸性法などを用いることができるが、ハロゲン化銀粒子のかぶりを少なくするという点で、好ましくはpH(水素イオン濃度の逆数の対数値)5.5以下、更に好ましくは4.5以下である。
【0036】
本発明のハロゲン化銀粒子は沃素イオンを含有するが、この場合粒子成長において、沃素イオンの添加方法に特に限定はなく、沃化カリウムのようなイオン溶液として添加されてもよく、また、例えば沃化銀微粒子として添加してもよい。
【0037】
ハロゲン化銀微粒子を用いた粒子形成は、特開平1−183417号、同1−183644号、同1−183645号等に開示された粒子と同様にハロゲン化銀微粒子のみを用いて粒子成長を行なってもよいが、少なくともハロゲン元素の一つをハロゲン化銀微粒子によって供給するものであればよい。この場合、沃素イオンは、ハロゲン化銀微粒子によって供給されるのが好ましい。特開平5−5966号のように粒子成長に用いるハロゲン化銀微粒子は、2種以上であり、そのうちの少なくとも1種が1種類のハロゲン元素のみからなるものであってもよい。
【0038】
また、特開平2−167537号の記載と同様に成長中のハロゲン化銀粒子よりも溶解度の小さいハロゲン化銀粒子の存在下に成長せしめられたハロゲン化銀粒子を含有する乳剤であることが望ましく、溶解度積の小さいハロゲン化銀粒子としては沃化銀を用いることが特に望ましい。
【0039】
本発明のハロゲン化銀粒子は、後述する転位線を有することができる。
【0040】
平板状粒子の転位は、例えばJ.F.Hamilton、Photo.Sci.Eng.、11(1967)、57やT.Shiozawa、J.Sci.Phot.Sci.Japan、35(1972)、213に記載の方法、即ち低温での透過型電子顕微鏡を用いた直接的な方法により観察することができる。即ち、乳剤から粒子に転位が発生するほどの圧力をかけないように注意して取りだしたハロゲン化銀粒子を、電子顕微鏡用のメッシュにのせ、電子線による損傷(プリントアウト等)を防ぐように試料を冷却した状態で透過法により観察を行う。このとき、粒子の厚みが厚いほど電子線が透過しにくくなるので、高圧型(0.25μmの厚さに対して200kV)の電子顕微鏡を用いた方がより鮮明に観察することができる。このような方法によって得られた粒子写真より、主平面に対し垂直な方向から見た場合の各粒子についての転位の位置及び数を求めることができる。
【0041】
本発明の粒子の転位の位置は、特に特定の箇所になければならないということではないが、平板状粒子フリンジ部に存在していることが好ましい。粒子フリンジ部と粒子内部の双方に存在していることも好ましい。
【0042】
本発明でいう平板粒子のフリンジ部とは平板状粒子の外周のことを指し、詳しくは主平面側から見た平板状粒子投影面の重心から粒子の各辺に降ろした垂線において、前記垂線の長さの50%より外側(辺側)のことをいう。フリンジの中でも好ましくは70%より外側、更に好ましくは80%より外側に転位線を有する。
【0043】
本発明でいう粒子内部の転位線とは、前述のフリンジ部以外の領域に存在する転位線のことを示す。
【0044】
本発明の平板状粒子の転位の数については5本以上の転位を含む粒子が乳剤中の全ハロゲン化銀粒子の投影面積の50%以上であることが好ましいが、80%以上であることが特に好ましい。また、転位の数は、10本以上であることが更に好ましい。
【0045】
粒子内部とフリンジ部に転位線が存在する場合は、粒子内部に5本以上の転位線が存在することが好ましく、フリンジ部と粒子内部に共に5本以上存在することが更に好ましい。
【0046】
本発明の転位線の導入方法については特に限定はないが、転位を導入したい位置で沃化カリウムのような沃素イオン水溶液と水溶性銀塩溶液をダブルジェットで添加する方法、もしくは沃化銀微粒子を添加する方法、沃素イオン溶液のみを添加する方法、特開平6−11781号に記載されているような沃化物イオン放出剤を用いる方法等で行うことができる。沃素イオン水溶液と水溶性銀塩溶液をダブルジェットで添加する方法、沃化銀微粒子を添加する方法、沃化物イオン放出剤を用いる方法が好ましく、沃化銀微粒子を用いる方法が更に好ましい。沃素イオン水溶液としては沃化アルカリ水溶液が好ましく、水溶性銀塩水溶液としては硝酸銀溶液が好ましい。
【0047】
転位を導入する時期は、粒子内部の最大沃化銀含有相の形成後に行われることが好ましく、前記相の形成後、隣接相の形成前に行われることが更に好ましい。
【0048】
また、粒子全体の作成においては、粒子全体の銀量の50〜95%相当のハロゲン化銀粒子が生成される時期において導入されることが好ましく、60〜80%未満で導入されることが更に好ましい。
【0049】
次に一般式(I)で表される化合物について説明する。
【0050】
Rによって表される脂肪族基としては、アルキル基、アルケニル基またはアルキニル基である。これらの脂肪族基は置換基を有していてもよい。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基等が挙げられる。更に、Rとして、好ましい脂肪族基は、炭素原子数7〜24個の基であり、直鎖または分岐状のアルキル基、直鎖または分岐状のアルケニル基、ハロゲン置換アルキル基、アルキルオキシアルキル基、アリールオキシアルキル基、アルキルアリールオキシアルキル基等が好ましい。
【0051】
Rによって表されるアリール基としては、フェニル基またはα−またはβ−ナフチル基が好ましい。前記アリール基が置換基を有する場合、好ましい置換基としては、炭素原子数1〜24個の直鎖もしくは分岐状のアルキル基、ハロゲン原子、炭素原子数1〜24個のアルキルオキシ基等が挙げられる。
【0052】
Xはラクタム環を形成するのに必要な原子群を表す。好ましくは4〜7員環ラクタムであり、特に好ましくは5員環ラクタムである。
【0053】
ラクタム環を形成する炭素原子は、置換基を有していても良い。置換基としてはハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アニリノ基、シアノ基などが挙げられる。
【0054】
本発明の前記一般式(I)で表される化合物は、親水性と親油性を併せ持った界面活性機能を有する化合物である。
【0055】
本発明の化合物と本発明の平板状ハロゲン化銀粒子を同一乳剤層に用いることにより、発色現像時に本発明の平板状ハロゲン化銀粒子の現像進行性を抑制するが、驚くべき事に初期現像は抑制されず潜像漂白がおきないので、現像銀点数が増加し、その結果、高感度で且つ、粒状性の改良されたハロゲン化銀写真感光材料が得られるものと考えている。
【0056】
以下に本発明の前記一般式(I)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0057】
【化3】
Figure 0003663863
【0058】
【化4】
Figure 0003663863
【0059】
本発明の一般式(I)で表される化合物は、本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤層中で好ましくは20〜600mg/m2の量で使用される。
【0060】
一般式(I)の化合物をハロゲン化銀乳剤層中に含有せしめるためには、従来公知の方法、例えば酢酸ブチル、酢酸エチルなどの如き低沸点溶媒に一般式(I)の化合物を溶解せしめた後、界面活性剤を含むゼラチン水溶液と混合し、次いで高速回転ミキサーまたはコロイドミルもしくは超音波分散機を用いて乳化分散させた後、乳剤中に直接添加する方法を採用することができる。又、上記乳化分散液をセットした後、細断し、水洗した後、これを乳剤に添加しても良い。この際、公知のジブチルフタレート、トリクレジルホスフェート等の如き高沸点溶媒を併用する事もできる。好ましくは、カプラーとともに上記の乳化分散方法によってハロゲン化銀乳剤層に含有せしめることができる。
【0061】
一般式(I)の化合物と共に使用されるカプラーは、一般式(II)で表されるものが特に好ましい。
【0062】
【化5】
Figure 0003663863
【0063】
式中、Yは発色現像主薬の酸化体とのカップリング反応により脱離する基を表し、R1は塩素原子またはアルコキシ基を表し、R2は置換基を表し、qは1〜4の整数を表し、qが2以上のときR2は同じでも異なってもよい。
【0064】
前記一般式(II)において、Yで表される発色現像主薬の酸化体とのカップリング反応により脱離する基として特にYがアリールチオ基が好ましいが、アリールチオ基の硫黄原子のオルト位にアシルアミノ基を有するものが更に好ましい。アシルアミノ基は−NHCOR′のものが好ましく、R′は置換基を表す。R′としてはメチル基、エチル基、メトキシエチル基等のアルキル基、フェニル基、4−メトキシフェニル基等のアリール基、2−ピリジル基等の複素環基等が挙げられるが、分岐したアルキル基、または置換基を有するアルキル基がより好ましい。
【0065】
一般式(II)において、R2は置換基を表し、qは1〜4の整数を表す。R2で表される置換基としては、塩素、臭素、フッ素等のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、2,6−ジクロルベンゾイルアミノ基、2,6−ジメトキシベンゾイルアミノ基等のベンゾイルアミノ基、ヘキサデシルスルホニル基等のアルキルスルホニル基、アセチルアミノ基等のアシルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アミノ基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、メチル基、エチル基、イソプロピル基等のアルキル基等が挙げられる。
【0066】
一般式(II)で表されるマゼンタカプラーの中で特に好ましい例としては、下記一般式(II−M)で表される化合物を挙げることができる。
【0067】
【化6】
Figure 0003663863
【0068】
式中、Y1は一般式(II)におけるYと同義である。
【0069】
一般式(II−M)において、R3は塩素原子またはアルコキシ基を表し、アルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、メトキシエチルオキシ基等が挙げられる。
【0070】
一般式(II−M)において、R11は置換基を表し、pは1〜5の整数を表し、pが2以上の時、R11は同じでも異なってもよい。R11で表される置換基としては、メチル基、イソプロピル基、トリフルオロメチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、トリルオキシ基等のアリールオキシ基、塩素、臭素、フッ素等のハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、ジメチルアミノ基等のアルキルアミノ基等が挙げられるが、R11のうち少なくとも1つがNHCO基のオルト位に置換することが好ましい。
【0071】
以下に本発明の一般式(II)で表されるマゼンタカプラーの具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0072】
【化7】
Figure 0003663863
【0073】
【化8】
Figure 0003663863
【0074】
【化9】
Figure 0003663863
【0075】
【化10】
Figure 0003663863
【0076】
本発明の感光材料に用いるハロゲン化銀乳剤は、常法により化学増感することができ、増感色素を用いて所望の波長域に光学的に増感できる。
【0077】
ハロゲン化銀乳剤には、カブリ防止剤、安定剤などを加えることができる。
【0078】
前記乳剤のバインダーとしては、ゼラチンを用いるのが有利である。
【0079】
乳剤層、その他の親水性コロイド層は硬膜することができ、また、可塑剤、水不溶性または難溶性合成ポリマーの分散物(ラテックス)を含有させることができる。
【0080】
カラー感光材料の乳剤層にはカプラーが用いられる。
【0081】
更に色補正の効果を有しているカラードカプラー、競合カプラー及び現像主薬の酸化体とのカップリングによって現像促進剤、漂白促進剤、現像剤、ハロゲン化銀溶剤、調色剤、硬膜剤、カブリ剤、カブリ防止剤、化学増感剤、分光増感剤、及び減感剤のような写真的に有用なフラグメントを放出する化合物を用いることができる。
【0082】
感光材料には、フィルター層、ハレーション防止層、イラジェーション防止層等の補助層を設けることができる。これらの層中及び/または乳剤層中には、現像処理中に感光材料から流出するか、もしくは漂白される染料を含有してもよい。
【0083】
感光材料には、ホルマリンスカベンジャー、蛍光増白剤、マット剤、滑剤、画像安定剤、界面活性剤、色濁り防止剤、現像促進剤、現像遅延剤や漂白促進剤を添加することができる。
【0084】
支持体としては、ポリエチレン等をラミネートした紙、ポリエチレンテレフタレートフィルム、バライタ紙、三酢酸セルロース等を用いることができる。
【0085】
本発明において、現像処理の方法や方式、条件は問わず、公知の方法及び方式を自由に適用することができる。一般用カラーネガの標準処理条件であるC−41処理の現像条件は好ましく適用することができる。また、感光材料に実質的に染み込む量の現像液を感光材料に噴射、あるいは塗り付けて現像することも可能である。現像液の噴射方法は問わず、単一の可動性ノズルを移動させながら噴射しても、複数の固定したノズルを用いて噴射しても良い。感光材料を固定してノズルを移動させながら噴射しても良く、ノズルを固定して感光材料を移動させながら噴射しても良い。これらの組み合わせであっても良い。
【0086】
現像液を担持した媒体を介して感光材料に実質的に染み込むことが可能な量の現像液を感光材料に供給する現像処理を行う場合には、現像液を担持する媒体に制限はなく、フェルト、織物、スリットや穴を有する金属等を好ましく用いることができる。感光材料または媒体に現像液を噴射しながら媒体によって現像液を感光材料に塗り付ける方法も好ましい。
【0087】
本発明において、脱銀とは漂白、定着または漂白定着のことを言う。漂白、定着処理を行わないことが、処理時間の短縮という点で好ましい。
【0088】
本発明においては、現像銀の情報を含む色画像の情報を光学的情報または電気的信号に変換するが、光電的に読み取ってデジタル信号に変換しても良い。この読み取りにはスキャナーを用いることができる。スキャナーとは感光材料を光学的に走査して反射、または透過の光学濃度を画像情報に変換する装置である。走査する際にはスキャナーの光学部分を感光材料の移動方向とは異なった方向に移動させることによって感光材料の必要な領域を走査することが一般的であり、推奨されるが、感光材料を固定してスキャナーの光学部分のみを移動させたり、感光材料のみを移動させてスキャナーの光学部分を固定してもよい。またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0089】
画像情報を読み込むための光源はタングステンランプ、蛍光灯、発光ダイオード、レーザー光等、特に制限無く用いることができ、安価な点でタングステンランプが好ましく、安定性、高輝度であり、散乱の影響を受けにくい点でレーザー光が好ましい。読みとり方法には特に制限はないが、鮮鋭性の点で透過光を読み取ることが好ましい。また受光部には、半導体イメージセンサー(例えば、エリア型CCDまたはCCDラインセンサー)を用いるのが好ましい。
【0090】
本発明では、このようにして読み取られた画像信号を出力して、別の記録材料上に画像を形成する。この場合の出力材料は感光材料で無くとも良く、例えば昇華型感熱転写材料、インクジェット材料、フルカラー直接感熱記録材料、カラーCRT、カラーLCD等でも良い。
【0091】
【実施例】
実施例1
種晶乳剤−1の調製
以下のようにして種晶乳剤を調製した。
【0092】
特公昭58−58288号、同58−58289号に示される混合撹拌機を用いて、35℃に調整した下記溶液A1に硝酸銀水溶液(1.161モル)と、臭化カリウムと沃化カリウムの混合水溶液(沃化カリウム2モル%)を、銀電位(飽和銀−塩化銀電極を比較電極として銀イオン選択電極で測定)を0mVに保ちながら同時混合法により2分を要して添加し、核形成を行った。続いて、60分の時間を要して液温を60℃に上昇させ、炭酸ナトリウム水溶液でpHを5.0に調整した後、硝酸銀水溶液(5.902モル)と、臭化カリウムと沃化カリウムの混合水溶液(沃化カリウム2モル%)を、銀電位を9mVに保ちながら同時混合法により、42分を要して添加した。添加終了後40℃に降温しながら、通常のフロキュレーション法を用いて直ちに脱塩、水洗を行った。
【0093】
得られた種晶乳剤は、平均球換算直径が0.24μm、平均アスペクト比が4.8、ハロゲン化銀粒子の全投影面積の90%以上が最大辺比率が1.0〜2.0の六角状の平板粒子からなる乳剤であった。この乳剤を種晶乳剤−1と称する。
【0094】
(溶液A1)
オセインゼラチン 24.2g
臭化カリウム 10.8g
HO(CH2CH2O)m(CH(CH3)CH2O)19.8(CH2CH2O)n
(m+n=9.77)(10%エタノール溶液) 6.78ml
10%硝酸 114ml
2O 9657ml
沃化銀微粒子乳剤SMC−1の調製
0.06モルの沃化カリウムを含む6.0重量%のゼラチン水溶液5lを激しく撹拌しながら、7.06モルの硝酸銀水溶液と7.06モルの沃化カリウム水溶液、各々2lを10分を要して添加した。この間pHは硝酸を用いて2.0に、温度は40℃に制御した。粒子調製後に、炭酸ナトリウム水溶液を用いてpHを5.0に調整した。得られた沃化銀微粒子の平均粒径は0.05μmであった。この乳剤をSMC−1とする。
【0095】
乳剤Em−1の調製
0.178モル相当の種晶乳剤−1とHO(CH2CH2O)m(CH(CH3)CH2O)19.8(CH2CH2O)nH(m+n=9.77)の10%エタノール溶液0.5mlを含む、4.5重量%の不活性ゼラチン水溶液700mlを75℃に保ち、pAgを8.9、pHを5.0に調整した後、激しく撹拌しながら同時混合法により以下の手順で粒子形成を行った。
【0096】
(1)2.1モルの硝酸銀水溶液と0.195モルのSMC−1、及び臭化カリウム水溶液を、pAgを8.9、pHを5.0に保ちながら添加した。
【0097】
(2)続いて、1.028モルの硝酸銀水溶液と0.032モルのSMC−1、及び臭化カリウム水溶液を、pAgを8.9、pHを5.0に保ちながら添加した。
【0098】
尚、粒子形成を通して各溶液は、新核の生成や粒子間のオストワルド熟成が進まないように最適な速度で添加した。上記添加終了後に40℃で通常のフロキュレーション法を用いて水洗処理を施した後、ゼラチンを加えて再分散し、pAgを8.1、pHを5.8に調整した。
【0099】
得られた乳剤は、平均直径が1.36μm、アスペクト比が8.0以上の粒子が投影面積の50%である粒子で、表1に示すハロゲン組成を有する粒子を含む乳剤であった。
【0100】
また、本明細書記載の方法によって表面沃化銀含有率を測定したところ、表面領域の沃化銀含有率は、4.5モル%であった。
【0101】
乳剤Em−2の調製
乳剤Em−1の調製において、(2)の工程終了後に0.004モルのSMC−1を添加し、15分間熟成した以外は、Em−1と同様にしてEm−2を調製した。
【0102】
得られた乳剤は、平均直径が1.36μmの表1に示すような乳剤であった。表面領域の沃化銀含有率は、13.1モル%であった。
【0103】
乳剤Em−3の調製
0.178モル相当の種晶乳剤−1とHO(CH2CH2O)m(CH(CH3)CH2O)19.8(CH2CH2O)nH(m+n=9.77)の10%エタノール溶液0.5mlを含む、4.5重量%の不活性ゼラチン水溶液700mlを75℃に保ち、pAgを8.9、pHを5.0に調整した後、激しく撹拌しながら同時混合法により以下の手順で粒子形成を行った。
【0104】
(1)2.1モルの硝酸銀水溶液と0.195モルのSMC−1、及び臭化カリウム水溶液を、pAgを8.9、pHを5.0に保ちながら添加した。
【0105】
(2)続いて溶液を60℃に降温し、pAgを9.8に調整した。その後、0.071モルのSMC−1を添加し、2分間熟成を行った(転位線の導入)。
【0106】
(3)0.959モルの硝酸銀水溶液と0.030モルのSMC−1、及び臭化カリウム水溶液を、pAgを9.8、pHを5.0に保ちながら添加した。
【0107】
尚、粒子形成を通して各溶液は、新核の生成や粒子間のオストワルド熟成が進まないように最適な速度で添加した。上記添加終了後に40℃で通常のフロキュレーション法を用いて水洗処理を施した後、ゼラチンを加えて再分散し、pAgを8.1、pHを5.8に調整した。
【0108】
得られた乳剤は、平均直径が1.35μmの表1に示すような乳剤であった。この乳剤を電子顕微鏡で観察したところ乳剤中の粒子の全投影面積の60%以上の粒子にフリンジ部と粒子内部双方に5本以上の転位線が観察された。表面領域の沃化銀含有率は、6.7モル%であった。
【0109】
乳剤Em−4の調製
乳剤Em−3の調製において、(2)の工程で添加する硝酸銀量を0.92モル、SMC−1の量を0.069モルとした以外は、Em−3と同様にして乳剤Em−4を調製した。
【0110】
得られた乳剤は、平均直径が1.33μmの表1に示すような乳剤であった。この乳剤を電子顕微鏡で観察したところ乳剤中の粒子の全投影面積の60%以上の粒子にフリンジ部と粒子内部双方に5本以上の転位線が観察された。表面領域の沃化銀含有率は、11.9モル%であった。
【0111】
乳剤Em−5の調製
0.178モル相当の種晶乳剤−1とポリイソプレン−ポリエチレンオキシ−ジ琥珀酸エステルナトリウム塩の10%エタノール溶液0.5mlを含む、4.5重量%の不活性ゼラチン水溶液700mlを75℃に保ち、pAgを8.9、pHを5.0に調整した後、激しく撹拌しながら同時混合法により以下の手順で粒子形成を行った。
【0112】
(1)0.692モルの硝酸銀水溶液と0.297モルのSMC−1、及び臭化カリウム水溶液を、pAgを8.9、pHを5.0に保ちながら添加した。
【0113】
(2)続いて、2.295モルの硝酸銀水溶液と0.071モルのSMC−1、及び臭化カリウム水溶液を、pAgを8.9、pHを5.0に保ちながら添加した。
【0114】
(3)(2)の工程終了後に、0.004モルのSMC−1を添加し15分間熟成した。
【0115】
尚、粒子形成を通して各溶液は、新核の生成や粒子間のオストワルド熟成が進まないように最適な速度で添加した。上記(3)の工程終了後に40℃で通常のフロキュレーション法を用いて水洗処理を施した後、ゼラチンを加えて再分散し、pAgを8.1、pHを5.8に調整した。
【0116】
得られた乳剤は、平均直径が1.15μmの表1に示すような乳剤であった。この乳剤を電子顕微鏡で観察したところ転位線を有する粒子は存在しなかった。表面領域のヨウ化銀含有率は、12.0モル%であった。
【0117】
乳剤Em−6の調製
特開平7−92594号実施例に記載されているEm−4の製造方法に準じて、比較乳剤Em−6を作製した。
【0118】
以上の様にして作製した乳剤Em−1〜Em−6の内容を表1に示す。
【0119】
【表1】
Figure 0003663863
【0120】
上記各乳剤Em−1〜Em−6に増感色素SD−5、SD−6、SD−7を添加し、さらにチオ硫酸ナトリウム、セレン増感剤S−1、塩化金酸、チオシアン酸カリウムを添加し、常法に従いカブリ−感度関係が最適になるよう化学増感を施した。
【0121】
化学増感終了後の各乳剤に安定剤ST−1およびカブリ防止剤AF−1を加えた。ST−1の添加量はハロゲン化銀1モル当たり1g、AF−1の添加量はハロゲン化銀1モル当たり60mgである。
【0122】
下引層を施したトリアセチルセルロースフィルム支持体上に下記に示すような組成の各層を順次支持体側から形成して、多層カラー写真感光材料試料101を作成した。
【0123】
添加量は特に記載のない限り1m2当りのグラム数を示す。又、ハロゲン化銀とコロイド銀は銀に換算して示し、増感色素は銀1モル当りのモル数で示した。
【0124】
Figure 0003663863
Figure 0003663863
Figure 0003663863
Figure 0003663863
Figure 0003663863
尚、上記の組成物の他に、塗布助剤SU−1、分散助剤SU−2、粘度調整剤V−1、硬膜剤H−1,H−2、安定剤ST−1、染料AI−1,AI−2,カブリ防止剤AF−1、重量平均分子量:10,000及び重量平均分子量:100,000の2種のポリビニルピロリドン(AF−2)、及び防腐剤DI−1を添加した。
【0125】
上記試料に用いた化合物の構造を以下に示す。
【0126】
【化11】
Figure 0003663863
【0127】
【化12】
Figure 0003663863
【0128】
【化13】
Figure 0003663863
【0129】
【化14】
Figure 0003663863
【0130】
【化15】
Figure 0003663863
【0131】
【化16】
Figure 0003663863
【0132】
【化17】
Figure 0003663863
【0133】
【化18】
Figure 0003663863
【0134】
【化19】
Figure 0003663863
【0135】
前記試料101の第9層の乳剤Em−A、高沸点有機溶媒Oil−2及び第7層、第8層及び第9層のマゼンタカプラーM−1、M−2を表2に示すように置き換え、試料102〜132を作成した。
【0136】
乳剤はハロゲン化銀等モル置き換えとした。カプラーの置き換え量は、各層のM−1、M−2のモル数の和の1/2モル量のカプラーと置き換えた。またM−1、M−2以外のマゼンタカプラー使用時には、カプラーの30重量%に相当する量の化合物Oil−3を添加した。添加層は第7層、第8層及び第9層である。
【0137】
第9層の高沸点有機溶媒Oil−2は、本発明の一般式(I)の化合物または比較化合物と等重量で置き換えた。
【0138】
このように作成した試料それぞれに、下記に示す性能評価に応じた露光を与え、下記に示す発色現像処理を施し、その性能を評価した。
【0139】
(a)写真感度
試料に白色光で階調露光を与え下記の発色現像処理を行い、そのマゼンタ色像の特性曲線から最小濃度+0.2の濃度を与える露光量の逆数の対数値を求め、試料101を基準とし、各試料と基準とした試料101との差(ΔS)を算出した。ここでΔSの値がプラスに大きい程高感度であることを示す。
【0140】
(b)粒状性
先に写真感度を求めた試料の最小濃度+0.2のグリーン濃度を与える部分をイーストマンコダック社製ラッテンフィルター(W−99)を介して、開口面積1800μm2(スリット幅10μm、スリット長180μm)のマイクロデンシトメータで走査し、濃度測定サンプリング数1000以上の濃度値の変動の標準偏差の1000倍値を求め、試料101の値を100とした相対値で示した。
【0141】
この値は小さいほど粒状性がよいことを表す。
【0142】
《現像処理工程》
工程 処理温度 処理時間 補充量*
発色現像 38±0.3℃ 3分15秒 780ml
漂 白 38±2.0℃ 45秒 150ml
定 着 38±2.0℃ 1分30秒 830ml
安 定 38±5.0℃ 60秒 830ml
乾 燥 55±5.0℃ 60秒 −
*補充量は感光材料1m2当りの値である。
【0143】
〈処理剤の調製〉
(発色現像液組成)
水 800ml
炭酸カリウム 30g
炭酸水素ナトリウム 2.5g
亜硫酸カリウム 3.0g
臭化ナトリウム 1.3g
沃化カリウム 1.2mg
ヒドロキシアミン硫酸塩 2.5g
塩化ナトリウム 0.6g
4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)
アニリン硫酸塩 4.5g
ジエチレンテトラアミン5酢酸 3.0g
水酸化カリウム 1.2g
水を加えて1.0lに仕上げ、水酸化カリウムまたは20%硫酸を用いてpH10.06に調整する。
【0144】
(発色現像補充液組成)
水 800ml
炭酸カリウム 35g
炭酸水素ナトリウム 3.0g
亜硫酸カリウム 5.0g
臭化ナトリウム 0.4g
ヒドロキシアミン硫酸塩 3.1g
4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)
アニリン硫酸塩 6.3g
ジエチレンテトラアミン5酢酸 3.0g
水酸化カリウム 2.0g
水を加えて1.0lに仕上げ、水酸化カリウムまたは20%硫酸を用いてpH10.18に調整する。
【0145】
(漂白液組成)
水 800ml
1,3−ジアミノプロパン四酢酸鉄(III)アンモニウム 125g
エチレンジアミン四酢酸 2g
硝酸ナトリウム 40g
臭化アンモニウム 150g
氷酢酸 40g
水を加えて1.0lに仕上げ、アンモニア水または氷酢酸を用いてpH4.4に調整する。
【0146】
(漂白補充液組成)
水 700ml
1,3−ジアミノプロパン四酢酸鉄(III)アンモニウム 175g
エチレンジアミン四酢酸 2g
硝酸ナトリウム 50g
臭化アンモニウム 200g
氷酢酸 56g
水を加えて1.0lに仕上げ、アンモニア水または氷酢酸を用いてpH4.4に調整する。
【0147】
(定着液組成)
水 800ml
チオシアン酸アンモニウム 120g
チオ硫酸アンモニウム 150g
亜硫酸ナトリウム 15g
エチレンジアミン四酢酸 2g
水を加えて1.0lに仕上げ、アンモニア水または氷酢酸を用いてpH6.2に調整する。
【0148】
(定着補充液組成)
水 800ml
チオシアン酸アンモニウム 150g
チオ硫酸アンモニウム 180g
亜硫酸ナトリウム 20g
エチレンジアミン四酢酸 2g
水を加えて1.0lに仕上げ、アンモニア水または氷酢酸を用いてpH6.2に調整する。
【0149】
(安定液及び安定補充液組成)
水 800ml
p−オクチルフェノール・エチレンオキシド・10モル付加物 2.0g
ジメチロール尿素 0.5g
ヘキサメチレンテトラミン 0.2g
1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン 0.1g
シロキサン(UCC製L−77) 0.5ml
アンモニア水
水を加えて1.0lに仕上げ、アンモニア水または50%硫酸を用いてpH8.5に調整する。
【0150】
【表2】
Figure 0003663863
【0151】
表2に示した結果より、本発明の一般式(I)で表される化合物と本発明の乳剤との併用により、高感度で且つ、粒状性の向上したハロゲン化銀写真感光材料がえられることがわかる。また一般式(II)で表されるマゼンタカプラーを用いることにより、更に粒状性が向上することがわかる。
【0152】
実施例2
実施例1で作成した試料123と125に対して、第1層の黒色コロイド銀、および第10層の黄色コロイド銀を除いた以外は同様にして、試料201と202を作成した。このように作成した試料それぞれに人物、マクベスカラーチャートを撮影し、下記に示す処理を施した。
【0153】
《現像処理工程》
工程 処理温度 処理時間
発色現像 38±0.3℃ 3分15秒 実施例1と同じ現像液
停止 38±2.0℃ 30秒 1%酢酸溶液
乾 燥 55±5.0℃ 60秒
処理に要する時間は、従来のネガ処理が乾燥終了まで450秒であったものが、285秒までと著しく短縮することが出来た。
【0154】
上記処理済み試料をコニカ社製スキャナーQ−scanを用いて画像情報を読み込み、パーソナルコンピューター上で画像処理後、エプソン社製プリンターPM−700Cにて出力した。得られた画像を目視評価したところ本発明の試料202は比較試料201より、粒状性に優れた高品位な画像が得られた。
【0155】
【発明の効果】
本発明により、高感度で且つ、粒状性に優れたハロゲン化銀カラー写真感光材料を提供する事ができた。また高品位な画像情報を簡便、迅速に提供できるハロゲン化銀カラー写真感光材料及び、その処理方法並びに画像形成方法を提供することができた。

Claims (3)

  1. 支持体上に、青感性ハロゲン化銀乳剤層、緑感性ハロゲン化銀乳剤層及び赤感性ハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀カラー写真感光材料において、前記ハロゲン化銀乳剤層の少なくとも1層が、下記一般式(I)で表される化合物の少なくとも1種を含有し、且つ前記一般式(I)で表される化合物を含有するハロゲン化銀乳剤層の少なくとも1層中の全ハロゲン化銀粒子の全投影面積の50%以上の粒子が、粒子内部に2つ以上の相を有し、該相のうち、沃化銀含有率が各相の最大の相の沃化銀含有率が15モル%未満で、かつ表面領域の沃化銀含有率が10モル%以下である平板状ハロゲン化銀粒子を含有することを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料。
    Figure 0003663863
    〔式中、Rは、炭素原子数7〜24の、置換基を有していてもよい脂肪族基または、アルキル基で置換されたフェニル基を表し、Xはラクタム環を形成するのに必要な原子群を表す。〕
  2. 請求項1に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料を発色現像処理後、脱銀しないことを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法。
  3. 請求項1に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料を発色現像処理後、現像銀及びハロゲン化銀を感光材料中に保持したまま、その画像情報を光学的情報または電気的信号に変換し、その情報に基づいて別の記録材料上にカラー画像を得る画像形成方法。
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