JP3640799B2 - 画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、銀塩が処理後のハロゲン化銀写真感光材料(以下、簡単化のために、単に感光材料又は感材とも言うこともある。)に残存しても画像保存性に問題が生ぜず、さらに良好なプリントが得られる画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、地球環境保護の動きから、ロンドン条約が締結され、日本では1996年1月1日より写真処理廃液の海洋投棄が実質的に禁止された。このため写真業界では写真処理廃液を極限にまで減少させる努力が行われてきた。定着液についても特開平8−201997号公報などに記載されている如く低廃液化及び低補充化についての検討が行われてきた。
【0003】
近年はヨウ化銀比率が高く、塗布銀量の多い高感度のカラーネガフィルムの使用頻度が高くなり、また定着処理工程の低補充化が進んでいるために、通常の定着処理ではハロゲン化銀が未定着銀として感材中に残留し易く、いわゆる定着不良が発生しやすい。定着不良が発生した場合にはハロゲン化銀が感材中に多量に残存しているために、処理後においても、熱、湿気、光等により銀塩が黒色の銀に変化したり、ハロゲン化銀が感材中の残留ハイポと反応し、硫化銀となる。このような黒色の銀や硫化銀がネガフィルム中に生成した場合には保存後の感材の色調が変化を起こすことや保存後の画質の低下などの問題が生じ、後日プリントを行う際に重大な問題を引き起こす。
【0004】
また、カラーペーパーの処理についても前述と同様に低補充化の要望が高まる一方で、定着能を有する処理工程において低補充化を行った場合、定着不良が発生しやすく処理後の感材の画像保存性の低下が懸念される状況にある。
【0005】
このように定着処理工程の低補充化を行うためにはハロゲン化銀は感光材料中から完全に除去されることがこれまでは常識であった。しかし、本発明は鋭意検討の結果、特定の化合物を用いることにより未定着銀の安定化を達成し、積極的に銀塩を感光材料中に残留させることで、むしろ画像保存性を改善することに成功した。
【0006】
これまで、モノクロ感材において画像形成部以外の未現像部に塗布銀量の大部分の塗布銀を残留させる処理方法が特開平8−29930号公報等に開示されている。しかし、銀で画像を形成し、色素により画像を形成しないモノクロ感材には前述のようなカラー感材で起きる画像形成部での画像を形成した色素の画像保存性の問題は起こり難く、本発明とは課題が全く異なっており、また本発明を示唆する記述もない。
【0007】
さらに、前述のネガフィルムの定着不良は、一般に、フィルム上にムラ状に発生することが多く、カラーペーパーにプリントを行う際にネガ上のムラがプリントされ大きな問題になる。驚くべきことに、本発明の化合物を用いることにより、処理後の感材中に銀塩が残留していても、透過光に全く影響がなくなり良好なプリントを得ることが可能で、前述のムラ状の定着不良の問題をも同時に解決できることを本発明者は見出し、本発明を構成したのである。
【0008】
また、定着液に用いられる定着剤としては、クリアリングタイムの観点から、チオ硫酸アンモニウムやチオシアン酸アンモニウム等、通常アンモニウム塩が用いられている。しかしながら、これらアンモニウム塩は定着液のpHが7を越すとアンモニアガスとなり不快臭として、自動現像機周辺に漂い、作業環境が悪化し問題となりつつある。特に、自動現像機がビルの地下の食品売場等の換気の悪い場所に設置された際には、大きな問題となってしまう。しかるに、本発明の処理方法を、アンモニウム塩比率の低い定着液に適用することで、定着性を悪化させることなく、プリント品質にも問題がなく、かつ画像保存性も良好な処理方法を得ることができることを見出し、本発明に於ける好ましい態様の一つを構成し得た。
【0009】
さらに、定着液は通常自動現像機処理槽中で処理液の温度の均一化や処理槽中のゴミの除去、攪拌効果付与等の目的で、循環して使用している。しかしながら、この循環によって大気との接触が多くなり、定着液が酸化され易く、これによって硫化問題が発生し、感材に硫化物が付着し大きな問題となりやすい。さらに、近年の経済的観点および公害的観点から、定着液は低補充処理される傾向にあり、これによってこの問題は益々大きな問題となってきている。この問題を解決するために、定着処理槽の循環量を下げると、定着不良が発生してしまう。しかるに、本発明の処理方法を、定着処理槽の循環量を下げた自動現像機と組合せて用いることによって、定着性を悪化させることなく、プリント品質にも問題がなくかつ画像保存性も良好な処理方法を得ることができることを見出し、本発明に於ける好ましい態様の1つを構成し得た。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明の目的は、画像形成部の画像保存性に優れ、さらに低補充処理、アンモニウムイオンの低減及び定着液の循環量の低減が可能な画像形成方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記課題は、下記構成によって達成される。
1.ハロゲン化銀カラー写真感光材料を下記一般式[I]〜[V]で示される化合物の少なくとも1種を含有する漂白能を有する処理液、定着能を有する処理液及び安定用処理液から選ばれる少なくとも1つである処理液で処理を行い、該感光材料の処理前のハロゲン化銀量の1重量%以上50重量%以下を銀塩として処理後のハロゲン化銀カラー写真感光材料中に残存させることを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料の画像形成方法。
【0012】
【化7】
[式中、Qは含窒素ヘテロ環(5〜6員の不飽和環が縮合しているものも含む)を形成するに必要な原子群を表し、R1は水素原子、炭素原子数1〜6個のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基(5〜6員の不飽和環が縮合しているものも含む)、又はアミノ基を表す。]
【0013】
【化8】
[式中、R2及びR3はそれぞれ水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、炭素原子数1〜3のアシル基、アリール基、又はアルケニル基を表す。
【0014】
Aは−(C=X)−N(R)(R′),−(CH2)n2−(C=X)−N(R)(R′),−(S)m1−(C=X)−N(R)(R′),−(S)m2−(CH2)n3−(C=X)−N(R)(R′),−(S)m3−(CH2)n4−N(R)(R′),−(S)m4−N(R)(R′),−(NH)n5−(CH2)m5−(NH)n6−(C=X)−N(R)(R′),−S−S−(C=X)−N(R)(R′),−SZ又はn1価のヘテロ環残基(5〜6員の不飽和環が縮合しているものも含む)を表す。ここで、R及びR′はそれぞれR2及びR3と同義、Xは=S,=O,又は=NR″を表し、Zは水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウム基、アミノ基、含窒素ヘテロ環残基、アルキル基、又は−S−B−Y(R4)(R5)を表し、R″は水素原子、炭素原子1〜6個のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環残基(5〜6員の不飽和環が縮合しているものも含む)又はアミノ基を表し、n1〜n6及びm1〜m5はそれぞれ1〜6の整数を表す。Bは炭素数1〜6個のアルキレン基を表し、Yは−N<、=C<又は−CH<を表し、R4及びR5はそれぞれR2及びR3と同義である。但しR4及びR5はそれぞれ−B−SZを表してもよく、またR2とR3、RとR′、R4とR5はそれぞれ結合して環を形成してもよい。]
【0015】
【化9】
[式中、Q1は含窒素ヘテロ環(5〜6員の不飽和環が縮合しているものも含む)を形成するに必要な原子群を表し、R11′は水素原子、アルカリ金属原子、
【0016】
【化10】
又はアルキル基を表す。但し、Q′はQ1と同義である。]
【0017】
【化11】
[式中、n2,n3,n4は0〜5の整数を表す。Xは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基を表す。Yは水素原子、置換又は無置換のアルキル基、アシル基を表す。Mは水素原子、アルカリ金属を示す。R21は炭素数1〜5の置換又は無置換のアルキル基、水素原子を示す。なお、この化合物のジスルフィド2量体も含む。]
【0018】
【化12】
[式中、Z1,Z2は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、水酸基を表す。n5,n6,n7,n8,n9は0〜5の整数を表す。]
【0020】
2.前記処理液が漂白液及び/又は定着液であることを特徴とする前記1記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の画像形成方法。
【0021】
3.前記一般式[I]〜[V]で示される化合物の処理液に対する含有量が0.0001mol/リットル以上0.1mol/リットルであることを特徴とする前記1又は2に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の画像形成方法。
【0022】
4.前記処理液が定着液であって、該定着液の補充量が処理される感光材料1m2当り900ml以下100ml以上であることを特徴とする前記1〜3のいずれかに記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の画像形成方法。
【0023】
5.前記処理液が定着液であって、該定着液中の全カチオンに対するアンモニウムイオンの比率が0%を含み50モル%以下であることを特徴とする前記1〜3のいずれかに記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の画像形成方法。
【0024】
6.前記処理液が定着液であって、定着処理槽の容積をAリットル、定着液の循環量をBリットル/minとした時、該定着処理槽の循環比B/Aが0.2〜0.8であることを特徴とする前記1〜3のいずれかに記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の画像形成方法。
【0025】
7.前記ハロゲン化銀カラー写真感光材料が、全投影面積の50%以上がアスペクト比5以上の平板状ハロゲン化銀粒子を有するハロゲン化銀乳剤を少なくとも1層中に含有することを特徴とする前記1〜6のいずれかに記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の画像形成方法。
【0026】
8.前記ハロゲン化銀カラー写真感光材料中の全親油性写真素材重量/全ゼラチン重量比が0.50〜0.70であり、かつ全ゼラチン塗布量が14.0g/m2以上18.0g/m2以下であることを特徴とする前記1〜6のいずれかに記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の画像形成方法。
【0027】
9.前記ハロゲン化銀カラー写真感光材料中のカルシウム含有量が5ppm以上50ppm以下であることを特徴とする前記1〜6のいずれかに記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の画像形成方法。
【0028】
10.前記ハロゲン化銀カラー写真感光材料中のハロゲン化銀乳剤の少なくとも1層の塩化銀含有率が100%を含み80モル%以上であることを特徴とする前記1〜9のいずれかに記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の画像形成方法。
【0029】
11.前記ハロゲン化銀カラー写真感光材料中のハロゲン化銀の塗布量が200〜700mg/m2であることを特徴とする前記10記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の画像形成方法。
【0030】
12.前記ハロゲン化銀カラー写真感光材料中のハロゲン化銀乳剤の少なくとも1層の沃化銀含有率が0.5〜10モル%であることを特徴とする前記1〜9のいずれかに記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の画像形成方法。
【0031】
13.前記ハロゲン化銀カラー写真感光材料中のハロゲン化銀の塗布量が2〜7g/m2であることを特徴とする前記12記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の画像形成方法。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下の本発明について詳細に説明する。
本発明で用いられる一般式[I]〜[V]で表される化合物について説明する。本発明で用いられる一般式[I]〜[V]で表される化合物の具体例を以下に示す。
【0033】
【化13】
【0034】
【化14】
【0035】
【化15】
【0036】
【化16】
【0037】
【化17】
【0038】
【化18】
【0039】
【化19】
【0040】
V−1 HO−CH2CH2−S−CH2CH2−S−CH2CH2−OH
V−2 HOOC−CH2CH2−S−CH2CH2−S−CH2CH2−COOH
V−3 CH3CH2−S−CH2CH2−S−CH2CH3
V−4 CH3−CH2CH2−S−CH2CH2−S−CH2CH2−CH3
V−5 NH2−CH2CH2−S−CH2CH2−S−CH2CH2−SO3H
V−6 HO−CH2CH2−S−CH2CH2−S−CH2CH2−S−CH2CH2−OH
V−7 HO−CH2CH2CH2−S−CH2CH2−S−CH2CH2−OH
V−8 HO−CH2CH2−S−CH2CH2CH2−S−CH2CH2−OH
【0041】
上記化合物の中で、本発明の目的から好ましく用いられる化合物としてはI−2、II−2、一般式[III]で表される化合物、IV−1、IV−3、IV−5、一般式[V]で表される化合物が挙げられる。
【0042】
一般式[III]で表される化合物の中ではIII−9、III−10、III−13、III−22、III−23、一般式[V]で表される化合物の中ではV−1、V−2が好ましく用いられる。特に好ましく用いられるものとしてIII−10、III−13、III−23、V−1が挙げられる。これらの化合物は単独で用いられてもよいし、2種類以上併用してもよい。また、本発明の効果をより一層発揮するために、2種類以上の処理液に添加されることが好ましい。2種類以上の処理液に添加される場合には異なる種類の添加剤であってもよい。
前記一般式[I]〜[V]で示される化合物(以下、本発明の化合物ともいう)の中でも、本発明において特に好ましく用いられるのは一般式[III]で示される化合物である。
【0043】
本発明の化合物は、ハロゲン化銀と吸着力を有しハロゲン化銀と錯化合物を形成するためか、熱、湿気、光により銀塩が黒色の銀に変化したり、ハロゲン化銀が感材中の残留ハイポと反応し硫化銀が生成することや、処理後感材中に微量残留した発色現像主薬に起因するステインの発生を防止し、透過光に全く影響がなく良好なプリントを得ることが可能になる。
【0044】
本発明において、本発明の化合物が添加される処理液は、ハロゲン化銀写真感光材料の処理に用いられる処理液であればいずれでもよいが、漂白能を有する処理液、定着能を有する処理液、安定化処理液のいずれかに本発明の化合物が添加されることや漂白能を有する処理液、定着能を有する処理液、安定化処理液の全てに添加されることがより好ましく、さらに漂白能を有する処理液又は定着能を有する処理液のいずれかに本発明の化合物が添加されることが最も好ましい。
【0045】
本発明の化合物を漂白能を有する処理液に用いる場合には、本発明の化合物の添加量は、本発明の効果と析出性の観点から0.0001mol/l〜0.1mol/lの範囲であることが好ましく、さらに0.005mol/l〜0.07mol/lの範囲であることがより好ましく、最も好ましいのは0.01mol/l〜0.05mol/lの範囲である。
本発明の化合物を定着能を有する処理液に用いる場合には、本発明の化合物の添加量は、本発明の効果と析出性の観点から、0.0001mol/l〜0.1mol/lの範囲であることが好ましく、さらに0.001mol/l〜0.05mol/lの範囲であることがより好ましく、最も好ましいのは0.005mol/l〜0.03mol/lの範囲である。
本発明の化合物を安定用の処理液に添加する場合には、本発明の化合物の添加量は、本発明の効果と析出性の観点から、0.0001mol/l〜0.1mol/lの範囲であることが好ましく、さらに0.0005mol/l〜0.03mol/lの範囲であることがより好ましく、最も好ましいのは0.001mol/l〜0.01mol/lの範囲である。
【0046】
さらに、本発明の化合物の効果をより顕著にし、安定化処理液中に前記一般式(F〜1)〜(F〜3)で表される化合物の少なくとも1つ含有されることが好ましい。またこれらの化合物を併用しても構わない。
一般式(F−1)で表される化合物の塩としては、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩の如き無機酸塩、フェノール塩の如き有機酸塩、金属塩との複塩又は錯塩、含水塩、分子内塩等が挙げられる。
【0047】
一般式(F−1)で表される化合物は、具体的には、バイルシュタインズ:ハンドブッヒ・デア・オルガニッシェン・ヘミー(Beilsteins Handbuch der Organishen Chemie)の第II増補編の26巻、200〜212頁に記載の化合物を挙げることができる。それらのうち本発明では水に可溶なものが好ましい。以下に、その代表例を挙げる。
【0048】
【化20】
【0049】
【化21】
【0050】
【化22】
【0051】
【化23】
【0052】
【化24】
【0053】
【化25】
【0054】
【化26】
【0055】
一般式(F−1)で表される化合物の添加量は処理液1リットル当たり0.1〜20gが好ましい。
一般式(F−2)において、Z4は置換もしくは未置換の炭素環又は置換もしくは未置換のヘテロ環を形成するに必要な原子群を表し、上記炭素環及びヘテロ環は単環であっても縮合環であってもよく、好ましくはZ4が置換基を有する芳香族炭素環又はヘテロ環であることである。前記Z4の置換基が、アルデヒド基、水酸基、アルキル基(例えば、メチル、エチル、メトキシエチル、ベンジル、カルボキシメチル、スルホプロピル等)、アラルキル基、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、メトキシエトキシ等)、ハロゲン原子、ニトロ基、スルホ基、カルボキシ基、アミノ基(例えば、N,N−ジメチルアミノ、N−エチルアミノ、N−フェニルアミノ等)、ヒドロキシアルキル基、アリール基(例えば、フェニル、p−メトキシフェニル等)、シアノ基、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、p−カルボキフェニル等)、アシルオキシ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル等)、カルバモイル基(例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−テトラメチレンカルバモイル等)又はスルホニル基(例えば、メタンスルホニル、エタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、p−トルエンスルホニル等)であることが好ましい。
【0056】
Z4が表す炭素環としては好ましくはベンゼン環であり、またZ4が表すヘテロ環としては好ましくは5員もしくは6員のヘテロ環であり、例えば5員環としてはチオフェン、ピロール、フラン、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール、スクシンイミド、トリアゾール、テトラゾール等であり、また6員環としては、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、チアジアジン等がそれぞれ挙げられる。
【0057】
縮合環としてはナフタレン、ベンゾフラン、インドール、チオナフタレン、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、キノリン等が挙げられる。
以下に一般式(F−2)で示される化合物の好ましい例示化合物を挙げる。
【0058】
【化27】
【0059】
例示化合物(F−2−1)〜(F−2−52)は以下のように上式における1〜6に各種置換基を挿入して得られる。
【0060】
【化28】
【0061】
【化29】
【0062】
【化30】
【0063】
【化31】
【0064】
【化32】
【0065】
これら一般式(F−2)で示される化合物の具体例のうち、より好ましい化合物としては(F−2−2)、(F−2−3)、(F−2−4)、(F−2−6)、(F−2−23)、(F−2−24)、(F−2−52)が挙げられるが、最も好ましくは(F−2−3)である。
一般式(F−2)で示される化合物は市販品としても容易に入手できる。
一般式(F−2)で示される化合物の添加量は安定液1リットル当たり0.05〜20gが好ましく、より好ましくは0.1〜15gの範囲であり、特に好ましくは0.5〜10gの範囲である。
【0066】
一般式(F−3)において、Z5及びZ6の少なくとも一方が一般式(F−3)中の窒素原子、X2及びX3又は窒素原子、X4及びX5と共に芳香環又は互変異性体として形式上芳香環が形成できる環を形成するのに必要な非金属原子群であることが好ましい。Z5が一般式(F−3)中の窒素原子、X2及びX3と共に芳香環又は互変異性体として形式上芳香環が形成できる環を形成するのに必要な非金属原子群であり、且つZ6が窒素原子、X4及びX5と共に非芳香族環を形成するのに必要な非金属原子群であることがより好ましい。Z5で形成される芳香環又は互変異性体としては形式上芳香環が形成できる環としては5員環が好ましく、より好ましくはピラゾール環、トリアゾール環(1,2,4−トリアゾール環及び1,2,3−トリアゾール環)、ウラゾール環である。Z6で形成される芳香族環としては、ピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環及びピペラジン環が好ましい。
以下一般式(F−3)で表される化合物の具体例を挙げる。
【0067】
【化33】
【0068】
【化34】
【0069】
【化35】
【0070】
【化36】
【0071】
【化37】
【0072】
【化38】
【0073】
本発明では、処理後の感光材料中に塗布ハロゲン化銀量の1重量%以上50重量%以下のハロゲン化銀が存在する。該ハロゲン化銀の量は、本発明の効果の点から塗布ハロゲン化銀量の2重量%以上30重量%以下であることが好ましく、さらに2重量%以上15重量%以下であることが好ましい。また、感光材料の非乳剤面に磁気記録層が設けられていても良い。
【0074】
処理される感光材料の塗布ハロゲン化銀は塩化銀、塩臭化銀、臭化銀、ヨウ臭化銀、ヨウ塩化銀などが挙げられるが、本発明の効果を発揮させるためには撮影用感光材料の場合、沃化銀含有率が全ハロゲン化銀の0.5モル%以上10モル%以下の感光材料であることが好ましい。さらに、沃化銀含有率が全ハロゲン化銀の3モル%以上8モル%以下の感光材料であることがより好ましい。
【0075】
また、カラーペーパーの場合、高塩化銀が好ましく用いられる。該感光材料の乳剤の塩化銀含有率は、全ハロゲン化銀の80mol%以上であることが好ましく、さらに90mol%以上がより好ましく、99mol%以上であることが最も好ましい。
【0076】
また処理を施される感光材料の塗布された銀量は、沃化銀含有率が高いものについては2000mg/m2以上7000mg/m2以下であることが好ましく、さらに4000mg/m2以上6000mg/m2以下であることがより好ましい。
【0077】
また塩化銀含有率が高い感材については、塗布された銀量が200mg/m2以上700mg/m2以下であることが好ましく、400mg/m2以上600mg/m2以下であることがより好ましい。
【0078】
本発明に関わる処理方法の好ましい具体的な処理工程を以下に示す。
(1)発色現像→漂白→定着→水洗
(2)発色現像→漂白→定着→水洗→安定
(3)発色現像→漂白→定着→安定
(4)発色現像→漂白→定着→第一安定→第二安定
(5)発色現像→漂白→漂白定着→水洗
(6)発色現像→漂白→漂白定着→水洗→安定
(7)発色現像→漂白→漂白定着→安定
(8)発色現像→漂白→漂白定着→第一安定→第二安定
(9)発色現像→漂白→漂白定着→定着→水洗→安定
(10)発色現像→漂白→漂白定着→定着→第一安定→第二安定
(11)発色現像→漂白定着→安定
(12)発色現像→漂白→第一定着→第二定着→安定
(13)発色現像→漂白→定着→第一安定→第二安定→第三安定
これらの工程の中で(3)、(4)、(7)、(10)、(11)、(12)、(13)が好ましく、特に(3)、(11)が好ましい。
【0079】
本発明において、安定槽から汲み出した処理液を安定工程の直前の処理槽に導入することが、廃液量の低減だけでなく画像保存性の改良の観点からも好ましい。
【0080】
本発明での定着処理工程の補充量は感光材料1m2当たり、900ml以下であることが好ましい。また、100ml以上900ml以下、さらに350ml以上700ml以下が好ましく、400ml以上600ml以下であることが最も好ましい。
【0081】
本発明の定着液中の全カチオンに対するアンモニウムイオンの比率は0%を含み50モル%以下であることが好ましく、さらに30モル%以下がより好ましく、10モル%以下であることが本発明の観点から最も好ましい。
【0082】
本発明の定着処理槽の循環比は0.2min−1(round/minともいう)から0.8min−1の範囲であることが好ましく、さらに0.4min−1から0.6min−1の範囲であることがより好ましい。ここでの循環比とはタンク容量に対する処理液の循環量の比率のことを指す。
【0083】
本発明を実施するにあたり、発色現像工程、漂白能を有する工程、定着能を有する工程、安定化工程は通常の方法に即して構成すればよい。例えば、発色現像工程は特開平5−224373号公報、漂白能を有する工程は特開平9−90579号公報、定着能を有する工程、安定化工程は特開平8−201997号公報に記載の方法が挙げられる。
【0084】
本発明における平板状ハロゲン化銀(以下、平板状粒子ともいう)というのは、2つの平行な主平面を有し該主平面の円相当直径(該主平面と投影面積を有する円の直径)と主平面間の距離(即ち粒子の厚み)の比、即ちアスペクト比5以上の粒子をいう。
本発明の平板状粒子の全粒子の投影面積の総和の50%以上がアスペクト比5以上の平板状粒子であることが迅速現像処理において好ましく、さらに好ましくは8以上である。
【0085】
本発明の平板状粒子の直径は、所望の感度を得るために0.3〜10μmが好ましく、より好ましくは0.5〜5.0μm、さらに好ましくは0.5〜2.0μmである。粒子厚さは、好ましくは0.05〜0.8μmであり、より好ましくは0.1〜0.3μmである。前記直径と粒子厚さによる表面積範囲が、迅速現像処理に適していることを見い出した。
本発明における粒子直径、粒子厚みの測定は米国特許第4,434,226号に記載の方法で求めることができる。
【0086】
本発明の平板状粒子のサイズ分布は、主平面の円換算直径(該主平面と同じ投影面積を有する円の直径)の変動係数(直径分布の標準偏差を平均直径で割ったもの)が30%以下であることが好ましく、20%以下であることがさらに好ましい。
【0087】
本発明のハロゲン化銀粒子の沃化銀含有率の粒子間分布は、沃化銀含有率の変動係数(沃化銀含有率粒子分布の標準偏差を平均沃化銀含有率で割ったもの)が30%以下であることが好ましく、20%以下であることがさらに好ましい。
【0088】
本発明の平板状粒子は、粒子内部にハロゲン組成の異なる少なくとも2つ以上の相を有するが、最外層を除いた沃化銀含有率が最大の層の沃化銀含有率は3モル%以上15モル%未満であり、好ましくは3モル%以上10モル%未満であり、さらに好ましくは5モル%以上8モル%未満である。また、該相の粒子内に占める体積分率は30%以上90%以下であることが好ましく、30%以上60%以下であることがさらに好ましい。
本発明の平板状粒子の最外層の沃化銀含有率は、6モル%以上、固溶限界以下であることが好ましい。6モル%未満では増感色素の吸着に係る保存安定性が低下して好ましくない。
【0089】
本発明でいうところの最外層とは、粒子の表面域を含む領域であるが必ずしもより内部の相を完全に被覆している必要はない。また、本発明でいうところの最外層とは少なくとも10原子層以上の厚みを有している領域のことをいう。
本発明でいうところの粒子表面の沃化銀含有率とはXPS法により測定される数値又はISS法で測定される数値をいい、どちらでもかまわない。
【0090】
本発明のXPS法による表面沃化銀含有率は次のように求められる。試料を1×10−8torr以下の超高真空中で−115℃以下まで冷却し、プローブ用X線としてMgKαをX線源電圧15kV、X線源電流40mAで照射し、Ag3d5/2、Br3d、I3d3/2電子について測定する。測定されたピークの積分強度を感度因子で補正し、これらの強度比から表面のハライド組成を求める。
【0091】
粒子内のハロゲン組成に関する構造は、X線回折法、EMPAによる組成分析法等により調べることができる。
また、本発明でいう最外層を除く最大沃化銀含有相は、転位線を形成するために行われた後述するような操作により生じた高沃度局在領域は含まない。
【0092】
平板状粒子の製法としては、当業界で知られた方法を適宜組み合わせることができる。例えば、特開昭61−6643号、同61−146305号、同62−157024号、同62−18556号、同63−92942号、同63−151618号、同63−163451号、同63−220238号、同63−311244号等による公知の方法を参考にすることができる。例えば、同時混合法、ダブルジェット法、同時混合法のひとつの形式であるハロゲン化銀の生成される液相中のpAgを一定に保ついわゆるコントロールダブルジェット法、異なる組成の可溶性ハロゲン化銀をそれぞれ独立に添加するトリプルジェット法も用いることができる。順混合法を用いることもでき、また粒子を銀イオン過剰の下において形成する方法(いわゆる逆混合法)を用いることもできる。必要に応じてハロゲン化銀溶剤を用いることができる。しばしば用いられるハロゲン化銀溶剤としては、アンモニア、チオエーテル、チオ尿素類を挙げることができる。チオエーテルに関しては米国特許第3,271,157号、同第3,790,387号、同第3,574,628号等を参考にすることができる。また、混合法としては特に限定はなく、アンモニアを使わない中性法、アンモニア法、酸性法などを用いることができるが、ハロゲン化銀粒子のカブリを少なくするという点で、好ましくはpH(水素イオン濃度の逆数の対数値)5.5以下、さらに好ましくは4.5以下である。
【0093】
本発明のハロゲン化銀粒子は沃素イオンを含有するが、この場合粒子成長において、沃素イオンの添加方法に特に限定はなく、沃化カリウムのようなイオン溶液として添加されてもよく、また、例えば沃化銀微粒子として添加してもよい。
【0094】
ハロゲン化銀微粒子を用いた粒子形成は、特開平1−183417号、同1−183644号、同1−183645号等に開示された粒子と同様にハロゲン化銀微粒子のみを用いて粒子成長を行ってもよいが、少なくともハロゲン元素の一つをハロゲン化銀微粒子によって供給するものであればよい。この場合、沃素イオンは、ハロゲン化銀微粒子によって供給されるのが好ましい。特願平3−218608号の特許請求の範囲のように粒子成長に用いるハロゲン化銀微粒子は、2種以上であり、そのうちの少なくとも1種が1種類のハロゲン元素のみからなるものであってもよい。
【0095】
また、特開平2−167537号特許請求の範囲と同様に成長中のハロゲン化銀粒子よりも溶解度の小さいハロゲン化銀粒子の存在下に成長せしめられたハロゲン化銀粒子を含有する乳剤であることが望ましく、溶解度積の小さいハロゲン化銀粒子としては沃化銀を用いることが特に望ましい。
【0096】
平板状粒子の転位は、例えばJ.F.Hamilton、Photo.Sci.Eng.、11(1967)、P.57やT.Shiozawa、Jou.of Phot.Sci.Japan、35(1972)、P.213に記載の方法、即ち低温での透過型電子顕微鏡を用いた直接的な方法により観察することができる。即ち、乳剤から粒子に転位が発生するほどの圧力をかけないように注意して取りだしたハロゲン化銀粒子を、電子顕微鏡用のメッシュにのせ、電子線による損傷(プリントアウト等)を防ぐように試料を冷却した状態で透過法により観察を行う。このとき、粒子の厚みが厚いほど電子線が透過しにくくなるので、高圧型(0.25μmの厚さに対して200kV)の電子顕微鏡を用いた方がより鮮明に観察することができる。このような方法によって得られた粒子写真より、主平面に対し垂直な方向から見た場合の各粒子についての転位の位置及び数を求めることができる。
【0097】
本発明の粒子の転位の位置は、特に特定の箇所がなければならないということではないが、平板状粒子のフリンジ部に存在していることが好ましい。粒子のフリンジ部と粒子内部の双方に存在していてもよい。
【0098】
本発明でいう平板状粒子のフリンジ部とは平板状粒子の外周のところを指し、詳しくは主平面側から見た平板状粒子投影面の重心から粒子の各辺に降ろした垂線において、該垂線の長さの50%より外側(辺側)、好ましくは70%より外側、さらに好ましくは80%より外側の領域のことをいう。
【0099】
本発明の平板状粒子の転位の数については5本以上の転位を含む粒子が乳剤中の全ハロゲン化銀粒子の投影面積の50%以上であることが好ましいが、80%以上であることが特に好ましい。また、転位の数は、10本以上であることがさらに好ましい。本発明では転位線を有することによって、高感度、圧力耐性、処理安定性に有利に作用しており、5本未満では効果が小さく、また転位線の数は多い方がよく、上限はない。
【0100】
粒子内部とフリンジ部に転位線が存在する場合は、粒子内部に5本以上の転位線が存在することが好ましく、フリンジ部と粒子内部に共に5本以上存在することがさらに好ましい。
【0101】
本発明の転位線の導入方法については特に限定はないが、転位を導入したい位置で沃化カリウムのような沃素イオン水溶液と水溶性銀塩溶液をダブルジェットで添加する方法、もしくは沃化銀微粒子を添加する方法、沃素イオン溶液のみを添加する方法、特開平6−11781号に記載されているような沃化物イオン放出剤を用いる方法等で行うことができる。沃素イオン水溶液と水溶性銀塩溶液をダブルジェットで添加する方法、沃化銀微粒子を添加する方法、沃化物イオン放出剤を用いる方法が好ましく、沃化銀微粒子を用いる方法がさらに好ましい。沃素イオン水溶液としては沃化アルカリ水溶液が好ましく、水溶性銀塩水溶液としては硝酸銀溶液が好ましい。
転位を導入する位置は、粒子内部の最大沃化銀含有相の形成後に行われることが好ましく、該相の形成後、隣接相の形成前に行われることがさらに好ましい。また、粒子全体の位置との関係では、粒子全体の銀量の50〜95%相当の間で導入されることが好ましく、60〜80%未満で導入されることがさらに好ましい。
【0102】
本発明における親油性写真素材とは、実質的に水不溶性の素材を言い、具体的には、いわゆる高沸点溶媒をはじめ、写真感光材料に添加されるために前記高沸点溶媒と同様に、あるいはそれと同時に溶解乳化分散されたものを指す。例えば、紫外線吸収剤、色濁り防止剤、酸化防止剤、ステイン防止剤、さらには油溶性のカプラー、DIRカプラーなど、親水性コロイドバインダー中に添加するための乳化分散物も含む。
有機高沸点化合物としては、常圧での沸点が180℃以上350℃未満のものが一般的である。
【0103】
本発明において、親油性写真素材を添加するには公知の任意の方法を用いることができるが、代表的な方法としては、例えば前述した1種又は2種以上の有機高沸点化合物等の油滴を形成せしめる化合物を必要に応じて後述する如き写真用添加剤と溶解せしめ、さらに必要に応じて酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸ブチル、シクロヘキサノール、ジメチレングリコールモノアセテート、ニトロメタン、四塩化炭素、クロロホルム、シクロヘキサンテトラヒドロフラン、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、フッ素化アルコール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の低沸点溶媒に溶解し(低沸点溶媒は単独で用いても混合して用いてもよい)アルキルベンゼンスルホン酸及びアルキルナフタレンスルホン酸の如きアニオン系界面活性剤及び/又はソルビタンセスキオレン酸エステル及びソルビタンモノラウリン酸エステルの如きノニオン系界面活性剤を含むゼラチン等の親水性コロイド物質を含む水溶液と混合し、高速回転ミキサー、コロイドミル又は超音波分散装置等で乳化分散し、得られた分散液を親水性コロイド物質を含有する塗布液に添加し、支持体上にあるいは支持体上に塗設されたハロゲン化銀乳剤層等の上に塗設すればよい。またある種の油滴を形成せしめる化合物は、例えば前述の低沸点有機溶媒に溶解し、その溶液を親水性コロイド物質を含有する塗布液に直接添加してもよい。この時用いた低沸点有機溶媒は塗布乾燥後は蒸発して殆どバインダー中には存在しなくなる。
【0104】
油溶性カプラーとしては、発色現像により色画像を形成するイエローカプラー、マゼンタカプラー、シアンカプラーがある。
本発明に用いることができるカプラーとしては下記特許に記載の化合物が代表的なものとして包含される。
【0105】
このうちイエローカプラーとしてはベンゾイルアセトアニリド型、ピバロイルアセトアニリド型、あるいはカップリング位の炭素原子がカップリング反応時に離脱することができる置換基(いわゆるスプリットオフ基)で置換されている2当量型イエローカプラーである。マゼンタカプラーとしては、5−ピラゾロン系、ピラゾロトリアゾール系、ピラゾリノベンツイミダゾール系、インダゾロン系あるいはスプリットオフ基を有する2当量マゼンタカプラーである。
【0106】
さらに、シアンカプラーとしては、フェノール系、ナフトール系あるいはスプリットオフ基を有する2当量型シアンカプラーである。
【0107】
さらに本発明において油滴に含有せしめられるカプラーとしては、油溶性であり、現像主薬の酸化体と反応して有色の色素の形成しないいわゆるヴァイスカプラーも好ましい例として挙げられる。
【0108】
非感光性層中の親油性写真素材として、色濁り防止剤を含有する。色濁り防止剤としては、特願平4−19048号に記載された、発色現像主薬の酸化体と反応し且つ画像濃度を付与しない化合物が挙げられ、具体的には、ハイドロキノン系化合物(特願平4−19048号H−1〜H−18)、ピロガロール系、カテコール系化合物(特願平4−19048号P1〜P16)、スルホニルアミノ系化合物(特願平4−19048号S−1〜S−19)、カップリング型化合物(CP−1〜CP−23)及びヒドラジン系化合物(HZ−1〜HZ−14)等が挙げられる。
【0109】
本発明では、全親油性写真素材重量/ゼラチン重量比が0.50〜0.70であることが好ましく、より好ましくは0.50〜0.65である。好ましいゼラチン塗布量は14.0〜18.0g/m2であり、より好ましくは15.0〜17.0g/m2である。
【0110】
また、本発明の非感光性層とは、感光性ハロゲン化銀を含まない層であるが、非感光性ハロゲン化銀は含んでいてもよい。さらに感光性層の間に位置する非感光性中間層とは、同一感色性層間でも、異なる感色性層間でもよく、該非感光性中間層の少なくとも一層の親油性写真素材重量/ゼラチン重量比が0.30以上0.90以下であり、より好ましくは0.35以上0.70以下である。また、本発明では、非感光性中間層の全ての親油性写真素材重量/ゼラチン重量比が0.30以上0.90以下であり、より好ましくは0.35以上0.70以下である。0.90より大きいと塗膜接着性の低下や発汗がおこり、また0.30より小さいと本発明の耐圧特性向上効果が小さい。
【0111】
本発明において、互いに隣接する感光性層と非感光性層とは、支持体からみて感光性層の上でも下でもよく、該隣接する感光性層と非感光性層の全ての親油性写真素材重量/ゼラチン重量比の差が0以上0.50以下であり、より好ましくは0以上0.40以下である。0.50より大きいと塗膜接着性が劣るし、経時安定性も低下する。さらに、互いに隣接する全ての層間とは、感光性層同士でも、非感光性層同士でも、さらには感光性層と非感光性層でもよく、互いに隣接する全ての層間の親油性写真素材重量/ゼラチン重量比の差が0以上0.60以下であり、より好ましくは0以上0.50以下である。
【0112】
本発明でのハロゲン化銀カラー感光材料は、親油性写真素材重量/ゼラチン重量比が従来の感光材料よりも高いにもかかわらず、ゼラチン塗布量とのバランスが良いこと、隣接層間での親油性写真素材重量/ゼラチン重量比の差が小さいことなどによって、優れた効果を発揮するものである。
【0113】
本発明の感光材料の写真構成層はカルシウム含量が50ppm以下であることが好ましく、特に40ppm以下、さらには30ppm以下であることが好ましい。カルシウム含量が多いと迅速現像処理での膜はがれや失透をおこしてしまい実用に供しない。
【0114】
写真構成層を形成するゼラチン中のカルシウムは、原料に由来するものであるが、本発明のカルシウム含量を有するゼラチンを得るには、原料の選定、製造条件の選択、イオン交換処理等を適宜組み合わせればよい。
イオン交換処理としては、原料である牛骨、豚皮等からゼラチンを抽出した後イオン交換樹脂(例えばローム アンド ハース社のIRAタイプ)を用いてイオン交換すればよい。
イオン交換処理後のカルシウムイオン含量の定量はゼラチン試験法合同審議会制定の写真用ゼラチン試験法(略称バギイ法)、第6版に記載の方法に従って行えばよい。
【0115】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に詳細に説明するが、本発明の態様はこれらに限定されない。
【0116】
実施例1
(感光材料の作成方法)
以下のようにして種晶乳剤を調整した。
特公昭58−58288号、同58−58289号に示される混合攪拌機を用いて、35℃に調整した下記溶液A1に硝酸銀水溶液(1.161モル)と、臭化カリウムと沃化カリウムの混合水溶液(沃化カリウム2モル%)を、銀電位(飽和銀−塩化銀電極を比較電極として銀イオン選択電極で測定)を0mVに保ちながら同時混合法により2分を要して添加し、核形成を行った。続いて、60分の時間を要して液温を60℃に上昇させ、炭酸ナトリウム水溶液でpH5.0に調整した後、硝酸銀水溶液(5.902モル)と、臭化カリウムと沃化カリウムの混合水溶液(沃化カリウム2モル%)を、銀電位を9mVに保ちながら同時混合法により、42分を要して添加した。添加終了後40℃に降温しながら、通常のフロキュレーション法を用いて直ちに脱塩、水洗を行った。
【0117】
得られた種晶乳剤は、平均球換算直径が0.24μm、平均アスペクト比が4.8、ハロゲン化銀粒子の全投影面積の90%以上が最大辺比率が1.0〜2.0の六角状の平板粒子からなる乳剤であった。この乳剤を種晶乳剤−1と称する。
【0118】
【0119】
沃化銀微粒子乳剤SMC−1の調製
0.06モルの沃化カリウムを含む6.0重量%のゼラチン水溶液5リットルを激しく攪拌しながら、7.06モルの硝酸銀水溶液と7.06モルの沃化カリウム水溶液、各々2リットルを10分を要して添加した。この間pHは硝酸を用いて2.0に、温度は40℃に制御した。粒子調製後に、炭酸ナトリウム水溶液を用いてpHを5.0に調整した。得られた沃化銀微粒子の平均粒径は0.05μmであった。この乳剤をSMC−1とする。
【0120】
乳剤Em−1の調製
0.178モル相当の種晶乳剤−1とHO(CH2CH2O)m{CH(CH3)CH2O}19.8(CH2CH2O)nH(m+n=9.77)の10%エタノール溶液0.5mlを含む、4.5重量%の不活性ゼラチン水溶液700mlを75℃に保ち、pAgを8.9、pHを5.0に調整した後、激しく攪拌しながら同時混合法により以下の手順で粒子形成を行った。
1)2.1モルの硝酸銀水溶液と0.195モルのSMC−1、及び臭化カリウム水溶液を、pAgを8.9、pHを5.0に保ちながら添加した。
2)続いて、1.028モルの硝酸銀水溶液と0.032モルのSMC−1、及び臭化カリウム水溶液を、pAgを8.9、pHを5.0に保ちながら添加した。
【0121】
尚、粒子形成を通して各溶液は、新核の生成や粒子間のオストワルド熟成が進まないように最適な速度で添加した。上記添加終了後に40℃で通常のフロキュレーション法を用いて水洗処理を施した後、ゼラチンを加えて再分散し、pAgを8.1、pHを5.8に調整した。
【0122】
得られた乳剤は、粒径(同体積の立方体1辺長)0.65μm、平均アスペクト比7.2の表4に示すハロゲン組成を有する平板粒子からなる乳剤であった。また、本明細書記載の方法によって表面沃化銀含有率を測定したところ、表面沃化銀含有率は、4.5モル%であった。
【0123】
上記乳剤Em−1に増感色素SD−5、SD−6、SD−7を添加し、さらにチオ硫酸ナトリウム、塩化金酸、チオシアン酸カリウム、セレン増感剤b−1を添加し、常法に従いカブリ−感度関係が最適になるよう化学増感を施した。
【0124】
化学増感終了後の各乳剤に安定剤ST−1及びカブリ防止剤AF−1を加えた。ST−1の添加量はハロゲン化銀1モル当たり1g、AF−1の添加量はハロゲン化銀1モル当たり15mgである。
以上のようにして、Em−1に対応する化学増感済み乳剤Em−Aを作製した。
【0125】
【化39】
【0126】
《多層カラー写真感光材料試料の作製》
下引層を施したトリアセチルセルロースフィルム支持体上に下記に示すような組成の各層を順次支持体側から形成して多層カラー写真感光材料試料101を作製した。なお、第5,10,14層には上記で作製した乳剤Em−Aを使用した。
添加量は特に記載のない限り1m2当たりのグラム数を示す。また、ハロゲン化銀とコロイド銀は銀に換算して示し、増感色素は銀1モル当たりのモル数で示した。
【0127】
第1層:ハレーション防止層
黒色コロイド銀 0.16
紫外線吸収剤(UV−1) 0.20
高沸点有機溶媒(Oil−1) 0.07
ゼラチン 1.53
【0128】
第2層:中間層
色汚染防止剤(SC−1) 0.06
高沸点有機溶媒(Oil−2) 0.08
ゼラチン 0.80
【0129】
【0130】
【0131】
第5層:高感度赤感性層
乳剤Em−A 1.27
増感色素(SD−1) 1.3×10−4
増感色素(SD−2) 1.3×10−4
増感色素(SD−3) 1.6×10−4
シアンカプラー(C−2) 0.20
カラードシアンカプラー(CC−1) 0.034
DIR化合物(D−3) 0.001
高沸点溶媒(Oil−1) 0.37
ゼラチン 1.10
【0132】
第6層:中間層
色汚染防止剤(SC−1) 0.075
高沸点溶媒(Oil−2) 0.095
ゼラチン 1.00
【0133】
第7層:中間層
ゼラチン 0.45
【0134】
【0135】
【0136】
第10層:高感度緑感性層
乳剤Em−A 1.46
マゼンタカプラー(M−1) 0.08
マゼンタカプラー(M−2) 0.133
カラードマゼンタカプラー(CM−2) 0.014
高沸点溶媒(Oil−1) 0.15
高沸点溶媒(Oil−2) 0.22
ゼラチン 1.08
【0137】
第11層:イエローフィルター層
黄色コロイド銀 0.07
色汚染防止剤(SC−1) 0.18
ホルマリンスカベンジャー(HS−1) 0.14
高沸点溶媒(Oil−2) 0.11
ゼラチン 0.73
【0138】
第12層:中間層
ホルマリンスカベンジャー(HS−1) 0.18
ゼラチン 0.60
【0139】
【0140】
第14層:高感度青感性層
乳剤Em−A 0.95
増感色素(SD−9) 7.3×10−4
増感色素(SD−10) 2.8×10−4
イエローカプラー(Y−1) 0.16
高沸点溶媒(Oil−2) 0.093
ゼラチン 0.80
【0141】
【0142】
第16層:第2保護層
アルカリ可溶性マット剤PM−1(平均粒径2μm) 0.15
ポリメチルメタクリレート(平均粒径3μm) 0.04
滑り剤(WAX−1) 0.02
ゼラチン 0.55
【0143】
尚、上記の組成物の他に、塗布助剤SU−1、SU−2、SU−3、分散助剤SU−4、粘度調整剤V−1、安定剤ST−1、染料AI−1、AI−2、カブリ防止剤AF−1、重量平均分子量:10,000及び重量平均分子量:100,000の2種のポリビニルピロリドン(AF−2)、硬膜剤H−1、H−2及び防腐剤DI−1を添加した。DI−1の添加量は9.4mg/m2であった。
上記試料に用いた化合物の構造を以下に示す。
【0144】
【化40】
【0145】
【化41】
【0146】
【化42】
【0147】
【化43】
【0148】
【化44】
【0149】
【化45】
【0150】
【化46】
【0151】
【化47】
【0152】
【化48】
【0153】
(自動現像機)
カラーネガフィルムプロセッサーCL−KP−50QA(コニカ社製)を改造したものを用いた。
【0154】
【0155】
(処理液の処方)
発色現像液:1リットルあたり
水を加えて1リットルとし、水酸化カリウム又は50%硫酸を用いてpHを10.5に調整した。
【0156】
漂白液:1リットルあたり
1,3−プロピレンジアミン4酢酸第2鉄アンモニウム 133g
1,3−プロピレンジアミン4酢酸ナトリウム 5g
臭化アンモニウム 60g
マレイン酸 40g
イミダゾール 10g
水を加えて1リットルし、アンモニア水又は20%硫酸を用いてpH=4.3に調整する。
【0157】
定着液:1リットルあたり
チオ硫酸アンモニウム 180g
チオ硫酸ナトリウム 20g
亜硫酸ナトリウム 18g
エチレンジアミン4酢酸2ナトリウム 2g
表1記載の化合物(添加剤) 0.01mol
臭化銀 0.15mol
沃化銀 0.008mol
水を加えて1リットルに仕上げて、アンモニア水又は20%硫酸を用いてpH=6.5に調整する。
【0158】
安定液:1リットルあたり
m−ヒドロキシベンズアルデヒド(例示化合物F−2−3) 1.5g
エチレンジアミン4酢酸ジナトリウム 0.6g
β−サイクロデキストリン 0.2g
炭酸カリウム 0.2g
水を加えて1リットルに仕上げる。
【0159】
前述の方法で作成した感材に通常の方法でウェッジ露光を施した後、上記の条件で、定着液への添加剤(添加量は全て0.01mol/l)、定着工程の処理液の循環量、処理温度を変化させて表1のように処理を行い、処理前の塗布銀量に対して下記表1に示すような割合で1価の銀を残存させた処理済みの試料1から21を作成した。試料21を作成するための定着液への添加剤はIII−10及びIII−23をそれぞれ0.005mol/lずつ添加した。
【0160】
【表1】
【0161】
試料1から試料21について75℃、相対湿度10%RHの条件で10日間暗所に保存し、保存前の440nmの透過濃度が1.0の部分について、保存前後の440nmの透過濃度の上昇分(イエローステイン濃度)を測定した。また、最大濃度部の550nmの透過濃度の保存後の減少率(マゼンタ退色率)を測定した。マゼンタ退色率が負の値を持つときは濃度が増加したことを意味している。なお、イエローステイン濃度、マゼンタ退色率の値は共に小さいものほど安定であり、良好な性能を持つことを意味している。結果を表2に示す。
【0162】
【表2】
【0163】
表2の結果から明らかなように、処理液中に前記一般式[I]〜[V]で示される化合物を含有し、かつ、塗布ハロゲン化銀量の1重量%以上50重量%以下の銀を感材中に存在させることにより、イエローステイン濃度の上昇を防止し、マゼンタ色素の退色を低減化することが可能になる。
【0164】
実施例2
実施例1で作成した感材にウェッジ露光を施すのではなく、撮影機材中に挿入し実写を行い試料1から21を作成した条件でそれぞれ処理を行い、処理後の感材をカラーネガペーパーに焼き付けるプリント実験を行ったところ、試料1、2、15、20を作成した条件以外のもの(すなわち実施例1で備考の欄が本発明のもの)は全く問題がなく、良好なプリントが得られることがわかった。
【0165】
実施例3
表3に示すような添加濃度で添加剤を処理液に添加し、実施例1と同様の実験を行い、暗所保存期間を20日間にした以外は実施例1と同様にイエローステイン濃度の測定を行った。定着液の循環量、温度は、添加剤がない場合には実施例1の試料2を作成した条件、添加剤がIII−10の場合には実施例1の試料6を作成した条件で行った。また、660nmの最大及び最小透過濃度{Dmax(R),Dmin(R)}を保存前の処理後の感光材料について測定した。結果を表3にまとめた。なお、表中のN1、N2、N3、N4はそれぞれ発色現像液、漂白液、定着液、安定化液のことを指す。添加量は化合物名の隣にかっこの中に示した。なお本実施例では、Dmax(R)は大きい値ほど、またDmin(R)は小さい値ほど良好な性能を示している。
【0166】
【表3】
【0167】
表3の結果から明らかなように、本発明の化合物を添加する写真用処理液が漂白能を有する処理液であること、又は定着能を有する処理液であること、又は安定用の処理液であること、又は漂白能を有する処理液、定着能を有する処理液及び安定用の処理液であることにより、本発明の効果を一層発揮することが可能になることがわかる。
【0168】
実施例4
下記表4に示すような添加濃度で添加剤を漂白液に添加し、実施例1の試料2を作成した条件で実施例1で用いた感材を処理し、処理後の感材を60℃、相対湿度50%RHの条件で10日間暗所に保存した以外は実施例1と同様にイエローステイン濃度の測定を行った。また、保存前の660nmの透過濃度が1.5の場所において、保存前後でRMSの粒状度の上昇(ΔRMS)を測定した。RMS粒状度は開口走査面積1800μm2(スリット巾10μm、スリット長180μm)のマイクロデンシトメーターで走査したときに生じる濃度値の変動の標準偏差の1000倍値であり、実験No.3−1のΔRMSを1.00とする相対値で示した。なお、ΔRMSは小さいほど良好な性能を示している。さらに、III−10の添加量を変化させた処理液を開口面積比率200cm2/lの容器で50℃の条件で保存を行い、析出物が確認される日数を目視により調べた。結果を表4にまとめた。
【0169】
【表4】
【0170】
表4の結果から明らかなように、本発明の化合物の添加量は保存後のイエローステイン上昇防止、粒状性劣化防止と析出性の観点から、0.0001mol/l〜0.1mol/lの範囲であることが好ましく、さらに0.005mol/l〜0.07mol/lの範囲であることがより好ましく、最も好ましいのは0.01mol/l〜0.05mol/lの範囲である。
【0171】
実施例5
下記表5に示すような添加濃度で添加剤を定着液に添加し、実施例1の試料6を作成した条件で実施例1で用いた感材を処理し、処理後の感材を70℃、相対湿度40%RHの条件で10日間暗所に保存した以外は実施例1と同様にイエローステイン濃度の測定を行った。定着液の循環量、温度は実験No.1−6と同じ条件で行った。また、保存前の660nmの透過濃度が1.5の場所において、保存前後でのRMS粒状度の上昇(ΔRMS)を実施例3と同様に測定した。なお、粒状性の評価は実験No.4−1のΔRMSを1.00とする相対値で示した。さらにIII−10の添加量を変化させた処理液を開口面積比率200cm2/lの容器で50℃の条件で保存を行い、析出物が確認される日数を調べた。結果を表5にまとめた。
【0172】
【表5】
【0173】
表5の結果から明らかなように、本発明の化合物の添加量は保存後のイエローステイン上昇防止、粒状性劣化防止と析出性の観点から、0.0001mol/l〜0.1mol/lの範囲であることが好ましく、さらに0.001mol/l〜0.05mol/lの範囲であることがより好ましく、最も好ましいのは0.005mol/l〜0.03mol/lの範囲である。
【0174】
実施例6
下記表6に示すような添加濃度で添加剤を安定液に添加し、実施例1の試料2を作成した条件で実施例1で用いた感材を処理し、処理後の感材を40℃、相対湿度30%RHで70000Lux./hの条件で7日間明所に保存した。処理後の感材の最大濃度部分の440nmの透過濃度の低下率(イエロー退色率)を測定した。さらに、臭化銀、沃化銀を除いた実施例1の試料6を作成するときに用いた定着液を全体の10%になるように安定液に添加して、III−10の添加量を変化させた安定液を開口面積比率200cm2/lの容器で50℃の条件で保存を行い、析出物が確認される日数を調べた。結果を表6にまとめた。
【0175】
【表6】
【0176】
表6の結果から明らかなように、本発明の化合物の添加量は保存後のイエロー色素の退色性と析出性の観点から、0.0001mol/l〜0.1mol/lの範囲であることが好ましく、さらに0.0005mol/l〜0.03mol/lの範囲であることがより好ましく、最も好ましいのは0.0001mol/l〜0.01mol/lの範囲である。
【0177】
実施例7
実施例1で用いた感光材料の乳剤Em−1の替わりに用いる乳剤Em−2からEm−6を以下の方法により調整した。
【0178】
乳剤Em−2の調製
乳剤Em−1の調製において、2)の工程終了後に0.004モルのSMC−1を添加し、16分間熟成した以外は、Em−1と同様にしてEm−2を調製した。
得られた乳剤は、粒径(同体積の立方体1辺長)0.65μm、平均アスペクト比7.0の表4に示すハロゲン組成を有する平板粒子からなる乳剤であった。表面沃化銀含有率は、12.5モル%であった。
【0179】
乳剤Em−3の調製
0.178モル相当の種晶乳剤−1とHO(CH2CH2O)m{CH(CH3)CH2O}19.8(CH2CH2O)nH(m+n=9.77)の10%エタノール溶液0.5mlを含む、4.5重量%の不活性ゼラチン水溶液700mlを75℃に保ち、pAgを8.9、pHを5.0に調整した後、激しく攪拌しながら同時混合法により以下の手順で粒子形成を行った。
1)2.1モルの硝酸銀水溶液と0.195モルのSMC−1、及び臭化カリウム水溶液を、pAgを8.9、pHを5.0に保ちながら添加した。
2)続いて溶液を60℃に降温し、pAgを9.8に調整した。その後、0.071モルのSMC−1を添加し、2分間熟成を行った(転位線の導入)。
3)0.959モルの硝酸銀水溶液と0.030モルのSMC−1、及び臭化カリウム水溶液を、pAgを9.8、pHを5.0に保ちながら添加した。
【0180】
尚、粒子形成を通して各溶液は、新核の生成や粒子間のオストワルド熟成が進まないように最適な速度で添加した。上記添加終了後に40℃で通常のフロキュレーション法を用いて水洗処理を施した後、ゼラチンを加えて再分散し、pAgを8.1、pHを5.5に調整した。
【0181】
得られた乳剤は、粒径(同体積の立方体1辺長)0.65μm、平均アスペクト比7.2の表4に示すハロゲン組成を有する平板粒子からなる乳剤であった。この乳剤を電子顕微鏡で観察したところ乳剤中の粒子の全投影面積の60%以上の粒子にフリンジ部と粒子内部双方に5本以上の転位線が観察された。表面沃化銀含有率は、6.3モル%であった。
【0182】
乳剤Em−4の調製
乳剤Em−3の調製において、2)の工程で添加する硝酸銀量を0.91モル、SMC−1の量を0.069モルとした以外は、Em−3と同様にして乳剤Em−4を調製した。
【0183】
得られた乳剤は、粒径(同体積の立方体1辺長)0.65μm、平均アスペクト比6.5の表4に示すハロゲン組成を有する平板粒子からなる乳剤であった。この乳剤を電子顕微鏡で観察したところ乳剤中の粒子の全投影面積の60%以上の粒子にフリンジ部と粒子内部双方に5本以上の転位線が観察された。表面沃化銀含有率は、11.5モル%であった。
【0184】
乳剤Em−5の調製
0.178モル相当の種晶乳剤−1とポリイソプレン−ポリエチレンオキシージ琥珀酸エステルナトリウム塩の10%エタノール溶液0.5mlを含む、4.5重量%の不活性ゼラチン水溶液700mlを75℃に保ち、pAgを8.9、pHを5.0に調整した後、激しく攪拌しながら同時混合法により以下の手順で粒子形成を行った。
1)0.692モルの硝酸銀水溶液と0.297モルのSMC−1、及び臭化カリウム水溶液を、pAgを8.9、pHを5.0に保ちながら添加した。
2)続いて、2.295モルの硝酸銀水溶液と0.071モルのSMC−1、及び臭化カリウム水溶液を、pAgを8.9、pHを5.0に保ちながら添加した。
3)2)の工程終了後に、0.004モルのSMC−1を添加し15分間熟成した。
【0185】
尚、粒子形成を通して各溶液は、新核の生成や粒子間のオストワルド熟成が進まないように最適な速度で添加した。上記3)の工程終了後に40℃で通常のフロキュレーション法を用いて水洗処理を施した後、ゼラチンを加えて再分散し、pAgを8.1、pHを6.0に調整した。
【0186】
得られた乳剤は、粒径(同体積の立方体1辺長)0.65μm、平均アスペクト比4.1の表4に示すハロゲン組成を有する平板粒子からなる乳剤であった。この乳剤を電子顕微鏡で観察したところ転位線を有する粒子は存在しなかった。表面沃化銀含有率は、11.7モル%であった。
【0187】
乳剤Em−6の調製
特開平7−92594号実施例に記載されているEm−4の製造方法に従って、比較乳剤Em−6を作製した。
【0188】
以上のようにして作製した乳剤Em−2〜Em−6の内容を実施例1で作製したEm−1も含めて表7に示す。
【0189】
【表7】
1)各相の沃化銀含有率(モル%)を示す。Xは転位線導入位置を示す。
2)各乳剤中のハロゲン化銀粒子の全投影面積の総和の50%でのアスペクト比。
3)→印はヨード組成を処方上連続的に変化させたことを示す。
【0190】
上記各乳剤Em−2〜Em−6に増感色素SD−5、SD−6、SD−7を添加し、さらにチオ硫酸ナトリウム、塩化金酸、チオシアン酸カリウム、セレン増感剤b−1を添加し、常法に従いカブリ−感度関係が最適になるよう化学増感を施した。
【0191】
化学増感終了後の各乳剤に安定剤ST−1及びカブリ防止剤AF−1を加えた。ST−1の添加量はハロゲン化銀1モル当り1g、AF−1の添加量はハロゲン化銀1モル当り15mgである。
以上のようにして、Em−2〜Em−6に対応する化学増感済み乳剤Em−B〜Em−Fを作成した。
【0192】
実施例1で用いた試料101の第5、10、14層の乳剤Em−Aを前記乳剤Em−B〜Fに置き換えて試料102〜106を作成した。
実施例1の試料6を作成した定着液及び処理条件で、以下のように作成した試料を処理し、処理後の感材を50℃、相対湿度20%RHで70000Lux./hの条件で10日間明所に保存した。処理後の感材の最大濃度部分の440nmと550nmの透過濃度の低下率(それぞれ、イエロー退色率、マゼンタ退色率)を測定した。表8に結果を示す。
【0193】
【表8】
【0194】
表8の結果から、ハロゲン化銀写真感光材料が、全投影面積の50%以上がアスペクト比5以上、厚さ0.1μm以上0.3μm以下の平板状ハロゲン化銀であって、該平板状ハロゲン化銀の50%以上が、最外層を除いた相の最大ヨウ化銀含有率が15mol%未満であり、最外層のヨウ化銀含有率が6mol%以上であり、かつ1粒子あたり5本以上の転位線を有するハロゲン化銀乳剤を少なくとも1層中に含有することにより本発明の効果をより一層発揮できることが明らかである。
【0195】
実施例8
実施例1で用いた安定液のm−ヒドロキシベンズアルデヒド(例示化合物F−2−3)にかえて表9に示すような化合物を等mol量添加し、また本発明の化合物III−10を表9に示すような添加量で添加した安定液を用いて、実施例1の試料2を作成した条件で実施例1で用いた感材を処理した。処理後の感材を40℃、相対湿度20%RHで75000Lux./hの条件で10日間明所に保存した。処理後の感材の最大濃度部分の550nmの透過濃度の低下率(マゼンタ退色率)を測定した。結果を表9に示す。
【0196】
【表9】
【0197】
表9から明らかなように、安定液に前記一般式(F−1)から(F−3)で表される化合物を少なくとも1種含有することにより本発明の効果がより一層発揮されることがわかる。
【0198】
実施例9
下記に示すような定着用補充液を用いて処理される感光材料1m2当り550mlの補充量で、且つ本発明の化合物をIII−10にして、実験No.1−6の条件を用いて実施例1で用いた感材を1日1.2m2の処理量で1カ月間連続処理を行った。この連続処理を連続処理1とする。
【0199】
定着補充液:1リットルあたり
チオ硫酸アンモニウム 144g
チオ硫酸ナトリウム 16g
亜硫酸ナトリウム 18g
エチレンジアミン4酢酸2ナトリウム 2g
本発明の化合物 III−10 0.01mol
水を加えて1リットルに仕上げて、アンモニア水又は20%硫酸を用いてpHを6.5に調整する。
【0200】
前述の連続処理1において、安定処理槽3槽のうちの定着槽に最も近い安定槽から感材1m2あたり275mlを直前の定着処理槽2槽目にベローズポンプで供給するようにし前述の定着補充液を2倍に濃厚化し感材1m2あたり275mlを定着処理槽2槽目に補充を行うようにして連続処理実験を行った。これを連続処理2とする。それぞれ連続処理後に実施例1で用いた感材を処理し、75℃、相対湿度10%RHの条件で20日間暗所に保存し、最大濃度部の550nmの透過濃度の保存後の減少率(暗所マゼンタ退色率)を測定した。また、40℃、相対湿度20%RHで70000Lux./hの条件で10日間明所に保存した。処理後の感材の最大濃度部分の550nmの透過濃度の低下率(明所マゼンタ退色率)を測定した。結果を表10に示す。
【0201】
【表10】
【0202】
表10の結果から、安定用の処理液を前記安定用の処理液を用いて処理する工程の前工程の処理槽へ直接導入することにより、本発明の効果が一層発揮できる。また同時に総廃液量が約90%に低減可能となった。
【0203】
実施例10
実施例1の試料101において、各層中の高沸点溶媒Oil−1,2の添加量を同一比率で増量し、感光材料中の全親油性写真素材重量/全ゼラチン重量比(O/G比)が下記表11のようになるように、また、全ゼラチン塗布量を下記表11のようになるようにして感光材料を調整して、実施例1の試料6を作成した定着液及び処理条件で処理を行い、処理後の感材を70℃、相対湿度40%RHの条件で15日間暗所に保存した以外は実施例1と同様にイエローステイン濃度の測定を行った。定着液の循環量、温度は実験No.1−6と同じ条件で行った。また、保存前の660nmの透過濃度が1.2の場所において、保存前後でのRMS粒状度の上昇した数値(ΔRMS)を実施例3と同様に測定した。なお、粒状性の評価は実験No.9−1のΔRMSを1.00とする相対値で示した。結果を表11に示した。なお、試料101は実験No.9−8の組成であった。
【0204】
【表11】
【0205】
表11の結果から明らかなように、ハロゲン化銀写真感光材料中の全親油性写真素材重量/全ゼラチン重量比が0.50以上0.70以下であり、かつ全ゼラチン塗布量が14.0g/m2以上18.0g/m2以下であることで本発明の効果が一層発揮できることがわかる。
【0206】
実施例11
実施例1の試料101において、カルシウム含有率の異なるゼラチンに置き換えて感光材料の構成層全体のカルシウム含有量が下記表12のようになるように調整し、これらの感材を実施例1の試料6を作成した定着液及び処理条件で処理を行い、処理後の感材を70℃、相対湿度40%RHの条件で15日間暗所に保存した以外は実施例1と同様にイエローステイン濃度の測定を行った。定着液の循環量、温度は実験No.1−6と同じ条件で行った。また、保存前の660nmの透過濃度が0.8の場所において、保存前後でのRMS粒状度の上昇(ΔRMS)を実施例3と同様に測定した。なお、ΔRMS値は実験No.10−1のΔRMS値を1.00とする相対値で示した。結果を表12に示した。なお、試料101のカルシウム含有率は30ppmであった。
【0207】
【表12】
【0208】
ハロゲン化銀写真感光材料中のカルシウム含有量が50ppm以下5ppm以上であることで本発明の効果が一層発揮できることがわかる。
【0209】
実施例12
実施例9の実験No.8−1において、下記表13に示したように定着液の補充量を変化させ、定着液及び定着補充液中のIII−10の濃度を変化させた以外は同様の連続処理を行った。それぞれ連続処理後に実施例1で用いた感材を処理し、75℃、相対湿度10%RHの条件で20日間暗所に保存し、保存前の440nmの透過濃度が1.3の場所の保存前後の440nmの透過濃度の差(イエローステイン濃度)を測定し、最大濃度部の550nmの透過濃度の保存後の減少率(暗所マゼンタ退色率)を測定した。結果を表13に示した。
【0210】
【表13】
【0211】
表13の結果から明らかなように、定着液の補充量が900ml/m2以下100ml/m2以上であることにより、本発明の効果をより一層発揮できることがわかる。
【0212】
実施例13
実施例9の実験No.8−1において、チオ硫酸イオンのmol濃度は一定にしてチオ硫酸アンモニウム、チオ硫酸ナトリウムの比率を調整し、下記表14に示したように定着液及び定着補充液中の全カチオンに対するアンモニウムイオン(NH4 +)の比率を変化させ、定着液及び定着補充液中のIII−10の濃度を変化させた以外は同様の連続処理を行った。それぞれ連続処理後に実施例1で用いた感材を処理し、60℃、相対湿度30%RHの条件で15日間暗所に保存し、保存前の440nmの透過濃度が1.3の場所の保存前後の440nmの透過濃度の差(イエローステイン濃度)を測定し、最大濃度部の550nmの透過濃度の保存後の減少率(暗所マゼンタ退色率)を測定した。結果を表14に示した。
【0213】
【表14】
【0214】
表14の結果から明らかなように、定着液中の全カチオンに対するアンモニウムイオンの比率が0%を含み50mol%以下であることにより、本発明の効果をより一そう発揮できることがわかる。さらに全カチオンに対するアンモニウムイオンの比率が50モル%以下になることにより定着液の臭気も少なくなることが判明した。
【0215】
実施例14
実施例1の実験No.1−6において、下記表15に示したように定着処理槽の循環比を変化させ、またIII−10の濃度を表15に記載の様に変化させ、さらに定着液中の臭化銀及び沃化銀の濃度をそれぞれ0mol/リットルとした以外は同様の処理実験を行った。
【0216】
感光材料として通常のウェッジ露光が施されたコニカカラーJX400(コニカ社製)を用い、処理後の試料を60℃、相対湿度50%RHの条件で10日間暗所に保存し、保存前の440nmの透過濃度が1.3の場所の保存前後の440nmの透過濃度の差(イエローステイン濃度)を測定し、最大濃度部の550nmの透過濃度の保存後の減少率(暗所マゼンタ退色率)を測定した。結果を表15に示した。
【0217】
【表15】
【0218】
表15の結果から明らかなように、定着処理槽の循環比が0.2round/minから0.8round/minの範囲であることにより、本発明の効果をより一層発揮できることがわかる。さらに循環比が0.8round/min以下であることにより定着液の保存性が良好になることも同時に判明した。
【0219】
実施例15
実施例1で作成した乳剤Em−1のヨウ化銀含有率を調整し感光材料全体のヨウ化銀比率を下記表16に示したように変化させ、また感光材料の塗布銀量を表8に示すように変化させた感光材料を作成した。なお、階調性を維持させるため、ハロゲン化銀粒子の大きさは適宜調節した。
【0220】
本発明の化合物III−10の濃度を表16に示したように変化させた以外は、実施例1の実験No.1−6と同様の処理をそれぞれの感光材料に施し、処理後の試料を60℃、相対湿度40%RHの条件で20日間暗所に保存し、最大濃度部の550nmの透過濃度の保存後の減少率(暗所マゼンタ退色率)を測定した。
【0221】
また、保存後のそれぞれの試料について実施例4と同様に440nmの透過濃度が1.8の場所で粒状性(RMS値)の評価を行い、実験No.15−1のRMS値を1.00として相対値で表した。なお、RMS値が小さいほど良好な性能を示している。結果を表16に示した。
【0222】
【表16】
【0223】
表16から明らかなように、感光材料のハロゲン化銀のヨウ化銀含有率が0.5mol%から10mol%の範囲であること、または、感光材料にハロゲン化銀が2000mg/m2以上7000mg/m2以下の範囲で塗布されていることにより、本発明の効果をより一層発揮できることがわかる。
【0224】
実施例16
坪量180g/m2の紙パルプの両面に高密度ポリエチレンをラミネートし、紙支持体を作製した。但し、乳剤層を塗布する側には、表面処理を施したアナターゼ型酸化チタンを15重量%の含有量で分散して含む溶融ポリエチレンをラミネートし、反射支持体を作製した。この反射支持体をコロナ放電処理した後、ゼラチン下塗層を設け、更に以下に示す構成の各層を塗設し、ハロゲン化銀写真感光材料を作製した。塗布液は下記のごとく調整した。
【0225】
第1層塗布液
イエローカプラー(PY−1)23.4g、色素画像安定化剤(PST−1)3.34g、(PST−2)3.34g、(PST−5)3.34g、ステイン防止剤(PHQ−1)0.34g、画像安定剤A5.0g、高沸点有機溶媒(PDBP)3.33g及び高沸点有機溶媒(PDNP)1.67gに酢酸エチル60mlを加え溶解し、この溶液を20%界面活性剤(PSU−1)7mlを含有する10%ゼラチン水溶液220mlに超音波ホモジナイザーを用いて乳化分散させてイエローカプラー分散液を作製した。この分散液を下記条件にて作製した青感性ハロゲン化銀乳剤と混合し第1層塗布液を作製した。
第2層〜第7層塗布液も上記第1層塗布液と同様に表1及び表2の塗布量になるように各塗布液を調製した。
又、硬膜剤として(PH−1)、(PH−2)を添加した。塗布助剤としては、界面活性剤(PSU−1)を添加し、表面張力を調整した。また各層にPF−1を全量が0.04g/m2となるように添加した。
【0226】
【表17】
【0227】
【表18】
【0228】
PSU−1 :トリ−i−プロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム
PDBP :ジブチルフタレート
PDNP :ジノニルフタレート
PDOP :ジオクチルフタレート
PDIDP :ジ−i−デシルフタレート
PPVP :ポリビニルピロリドン
PH−1 :テラトキス(ビニルスルホニルメチル)メタン
PH−2 :2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン・ナトリウム
PHQ−1 :2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン
PHQ−2 :2,5−ジ−sec−ドデシルハイドロキノン
PHQ−3 :2,5−ジ−sec−テトラデシルハイドロキノン
PHQ−4 :2−sec−ドデシル−5−sec−テトラデシルハイドロキノン
PHQ−5 :2,5−ジ[(1,1−ジメチル−4−ヘキシルオキシカルボニル)ブチル]ハイドロキノン
画像安定剤A:P−t−オクチルフェノール
【0229】
【化49】
【0230】
【化50】
【0231】
【化51】
【0232】
【化52】
【0233】
【化53】
【0234】
(青感性ハロゲン化銀乳剤の調製)
40℃に保温した2%ゼラチン水溶液1リットル中に下記(A液)及び(B液)をpAg=7.3、pH=3.0に制御しつつ30分かけて同時添加し、更に下記(C液)及び(D液)をpAg=8.0、pH=5.5に制御しつつ180分かけて同時添加した。この時、pAgの制御は特開昭59−45437号記載の方法により行い、pHの制御は硫酸又は水酸化ナトリウム水溶液を用いて行った。
【0235】
(A液)
塩化ナトリウム 3.42g
臭化カリウム 0.03g
水を加えて 200ml
(B液)
硝酸銀 10g
水を加えて 200ml
(C液)
塩化ナトリウム 102.7g
K2IrCl6 4×10−8モル/モルAg
K4Fe(CN)6 2×10−5モル/モルAg
臭化カリウム 1.0g
水を加えて 600ml
(D液)
硝酸銀 300g
水を加えて 600ml
【0236】
添加終了後、花王アトラス社製デモールNの5%水溶液と硫酸マグネシウムの20%水溶液を用いて脱塩を行った後、ゼラチン水溶液と混合して平均粒径0.71μm、粒径分布の変動係数0.07、塩化銀含有率99.5モル%の単分散立方体乳剤EMP−1を得た。次に(A液)と(B液)の添加時間及び(C液)液と(D液)の添加時間を変更した以外はEMP−1と同様にして平均粒径0.66μm、粒径分布の変動係数0.07、塩化銀含有率99.5モル%の単分散立方体乳剤EMP−1Bを得た。
【0237】
上記EMP−1に対し、下記化合物を用い60℃にて最適に化学増感を行った。またEMP−1Bに対しても同様に最適に化学増感した後、増感されたEMP−1とEMP−1Bを銀量で1:1の割合で混合し、青感性ハロゲン化銀乳剤(PEm−B)を得た。
【0238】
チオ硫酸ナトリウム 0.8mg/モルAgX
塩化金酸 0.5mg/モルAgX
安定剤 PSTAB−1 3×10−4モル/モルAgX
安定剤 PSTAB−2 3×10−4モル/モルAgX
安定剤 PSTAB−3 3×10−4モル/モルAgX
増感色素 PBS−1 4×10−4モル/モルAgX
増感色素 PBS−2 1×10−4モル/モルAgX
【0239】
(緑感性ハロゲン化銀乳剤の調製)
(A液)と(B液)の添加時間及び(C液)と(D液)の添加時間を変更する以外はEMP−1と同様にして平均粒径0.40μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体乳剤EMP−2を得た。次に、平均粒径0.50μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体乳剤EMP−2Bを得た。
【0240】
上記EMP−2に対し、下記化合物を用い55℃にて最適に化学増感を行った。またEMP−2Bに対しても同様に最適に化学増感した後、増感されたEMP−2とEMP−2Bを銀量で1:1の割合で混合し、緑感性ハロゲン化銀乳剤(PEm−G)を得た。
【0241】
チオ硫酸ナトリウム 1.5mg/モルAgX
塩化金酸 1.0mg/モルAgX
安定剤 PSTAB−1 3×10−4モル/モルAgX
安定剤 PSTAB−2 3×10−4モル/モルAgX
安定剤 PSTAB−3 3×10−4モル/モルAgX
増感色素 PGS−1 4×10−4モル/モルAgX
【0242】
(赤感性ハロゲン化銀乳剤の調製)
(A液)と(B液)の添加時間及び(C液)と(D液)の添加時間を変更する以外はEMP−1と同様にして平均粒径0.40μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体乳剤EMP−3を得た。また平均粒径0.38μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体乳剤EMP−3Bを得た。
【0243】
上記EMP−3に対し、下記化合物を用い60℃にて最適に化学増感を行った。またEMP−3Bに対しても同様に最適に化学増感した後、増感されたEMP−3とEMP−3Bを銀量で1:1の割合で混合し、赤感性ハロゲン化銀乳剤(PEm−R)を得た。
【0244】
チオ硫酸ナトリウム 1.8mg/モルAgX
塩化金酸 2.0mg/モルAgX
安定剤 PSTAB−1 3×10−4モル/モルAgX
安定剤 PSTAB−2 3×10−4モル/モルAgX
安定剤 PSTAB−3 3×10−4モル/モルAgX
増感色素 PRS−1 1×10−4モル/モルAgX
増感色素 PRS−2 1×10−4モル/モルAgX
PSTAB−1:1−(3−アセトアミドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール
PSTAB−2:1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール
PSTAB−3:1−(4−エトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾール
また赤感光性乳剤には、SS−1をハロゲン化銀1モル当り2.0×10−3添加した。
【0245】
【化54】
【0246】
【化55】
【0247】
前述のハロゲン化銀乳剤の調整を行う際、A液の塩化ナトリウム、臭化カリウムの量を適宜調整することにより、表19に示した様な塩化銀含有率の感光材料を作成した。また、表17、18のPEm−B、PEm−G、PEm−Rの添加量を変化させて表19に記載の様な感光材料を作成した。前述の方法で作成した感光材料は塩化銀含有率99.5%、塗布銀量560mg/m2であった。
それぞれの感光材料を35mm幅に裁断し、通常の手法でウェッジ状の露光を施し、下記に示した条件で実施例1で用いたCL−KP−50QAの搬送速度を8.86倍になるように改造したものを用いて処理を行った。
【0248】
【0249】
(処理液の処方:1リットル当たり)
[発色現像液]
水を加えて1リットルとし、水酸化カリウム又は硫酸塩を用いてpHを10.0に調整した。
【0250】
[漂白液]
1,3−プロピレンジアミン4酢酸第2鉄アンモニウム 70g
1,3−プロピレンジアミン4酢酸ナトリウム 5g
臭化アンモニウム 60g
マレイン酸 40g
水を加えて1リットルとし、アンモニア水又は20%硫酸を用いてpH4.0に調整する。
【0251】
[定着液]
チオ硫酸アンモニウム 60g
チオ硫酸ナトリウム 10g
亜硫酸ナトリウム 18g
エチレンジアミン4酢酸2ナトリウム 2g
本発明の化合物(III−10) 表20に記載
塩化銀 0.09mol
水を加えて1リットルに仕上げて、アンモニア水又は20%硫酸を用いてpH6.5に調整する。
【0252】
[安定液]
1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸3ナトリウム 3.0g
エチレンジアミン4酢酸ジナトリウム 1.5g
炭酸ナトリウム 0.5g
o−フェニルフェノール 0.08g
炭酸ナトリウム又は硫酸を用いてpHを8.0に調整した。
【0253】
処理後のそれぞれの感光材料を40℃30%RHで70000Lux./hの条件で10日間明所に保存した。処理後の感材の最大濃度部分の440nmと550nmの反射濃度の低下率(それぞれ、イエロー退色率、マゼンタ退色率)を測定した。結果を表19にまとめた。なお、残留した銀は通常のX線蛍光法により求めた。
【0254】
【表19】
【0255】
表19から明らかなように、感光材料のハロゲン化銀の塩化銀含有率が80mol%以上であること、または、感光材料にハロゲン化銀が200mg/m2以上700mg/m2以下の範囲で塗布されていることにより、カラーペーパーの迅速な処理においても良好な画像保存性を実現可能になることが明らかである。
【0256】
【発明の効果】
本発明によれば、感光材料の塗布ハロゲン化銀量の1重量%以上50重量%以下のハロゲン化銀が感光材料中に残留しても画像形成部の画像保存性に優れ、さらに透過光に全く影響がなく良好なプリントを得ることが可能となる。
Claims (13)
- ハロゲン化銀カラー写真感光材料を下記一般式[I]〜[V]で示される化合物の少なくとも1種を含有する漂白能を有する処理液、定着能を有する処理液及び安定用処理液から選ばれる少なくとも1つである処理液で処理を行い、該感光材料の処理前のハロゲン化銀量の1重量%以上50重量%以下を銀塩として処理後のハロゲン化銀カラー写真感光材料中に残存させることを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料の画像形成方法。
Aは−(C=X)−N(R)(R′),−(CH2)n2−(C=X)−N(R)(R′),−(S)m1−(C=X)−N(R)(R′),−(S)m2−(CH2)n3−(C=X)−N(R)(R′),−(S)m3−(CH2)n4−N(R)(R′),−(S)m4−N(R)(R′),−(NH)n5−(CH2)m5−(NH)n6−(C=X)−N(R)(R′),−S−S−(C=X)−N(R)(R′),−SZ又はn1価のヘテロ環残基(5〜6員の不飽和環が縮合しているものも含む)を表す。ここで、R及びR′はそれぞれR2及びR3と同義、Xは=S,=O,又は=NR″を表し、Zは水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウム基、アミノ基、含窒素ヘテロ環残基、アルキル基、又は−S−B−Y(R4)(R5)を表し、R″は水素原子、炭素原子1〜6個のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環残基(5〜6員の不飽和環が縮合しているものも含む)又はアミノ基を表し、n1〜n6及びm1〜m5はそれぞれ1〜6の整数を表す。Bは炭素数1〜6個のアルキレン基を表し、Yは−N<、=C<又は−CH<を表し、R4及びR5はそれぞれR2及びR3と同義である。但しR4及びR5はそれぞれ−B−SZを表してもよく、またR2とR3、RとR′、R4とR5はそれぞれ結合して環を形成してもよい。]
- 前記処理液が漂白液及び/又は定着液であることを特徴とする請求項1記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の画像形成方法。
- 前記一般式[I]〜[V]で示される化合物の処理液に対する含有量が0.0001mol/リットル以上0.1mol/リットルであることを特徴とする請求項1又は2に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の画像形成方法。
- 前記処理液が定着液であって、該定着液の補充量が処理される感光材料1m2当り900ml以下100ml以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の画像形成方法。
- 前記処理液が定着液であって、該定着液中の全カチオンに対するアンモニウムイオンの比率が0%を含み50モル%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の画像形成方法。
- 前記処理液が定着液であって、定着処理槽の容積をAリットル、定着液の循環量をBリットル/minとした時、該定着処理槽の循環比B/Aが0.2〜0.8であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の画像形成方法。
- 前記ハロゲン化銀カラー写真感光材料が、全投影面積の50%以上がアスペクト比5以上の平板状ハロゲン化銀粒子を有するハロゲン化銀乳剤を少なくとも1層中に含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の画像形成方法。
- 前記ハロゲン化銀カラー写真感光材料中の全親油性写真素材重量/全ゼラチン重量比が0.50〜0.70であり、かつ全ゼラチン塗布量が14.0g/m2以上18.0g/m2以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の画像形成方法。
- 前記ハロゲン化銀カラー写真感光材料中のカルシウム含有量が5ppm以上50ppm以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の画像形成方法。
- 前記ハロゲン化銀カラー写真感光材料中のハロゲン化銀乳剤の少なくとも1層の塩化銀含有率が100%を含み80モル%以上であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の画像形成方法。
- 前記ハロゲン化銀カラー写真感光材料中のハロゲン化銀の塗布量が200〜700mg/m2であることを特徴とする請求項10記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の画像形成方法。
- 前記ハロゲン化銀カラー写真感光材料中のハロゲン化銀乳剤の少なくとも1層の沃化銀含有率が0.5〜10モル%であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の画像形成方法。
- 前記ハロゲン化銀カラー写真感光材料中のハロゲン化銀の塗布量が2〜7g/m2であることを特徴とする請求項12記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の画像形成方法。
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