JP3577687B2 - 赤外用ハロゲン化銀感光材料、それを用いた撮影ユニット及び白黒画像形成方法 - Google Patents

赤外用ハロゲン化銀感光材料、それを用いた撮影ユニット及び白黒画像形成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は白黒画像を形成する赤外用ハロゲン化銀感光材料、それを用いた撮影ユニット及び白黒画像形成方法に関し、詳しくは、カラー現像処理可能な白黒画像形成赤外用ハロゲン化銀感光材料、それを用いた撮影ユニット及び白黒画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、一般に広く普及している写真形成方法は、撮影用ハロゲン化銀カラー感光材料(即ち、カラーネガフィルム)で撮影し、現像して得られたカラーネガ画像からカラー印画紙(カラーネガペーパー)にプリントしてポジカラープリントを得る、いわゆるネガ−ポジシステムである。一方、反転処理タイプの撮影用ハロゲン化銀カラー感光材料(即ち、カラーリバーサルフィルム)で撮影し、現像処理するだけでポジ画像が得られ、直接鑑賞したり、カラー印画紙(カラーリバーサルペーパー)にプリントしてポジカラープリントを得る、いわゆるポジ−ポジシステムもあるが、撮影ラチチュードが狭く、撮影技術が必要であることや、露出精度の低いコンパクトカメラでの撮影に不向きなこと、更には、プリント単価が高価であることから、前記ネガ−ポジシステムに比べて、普及の度合いは大幅に少ないのが現状である。他方、カラー写真にとって変わられた感の強い白黒ネガ−ポジシステムである撮影用ハロゲン化銀白黒感光材料(白黒ネガフィルム)で撮影し、白黒印画紙(白黒ネガペーパー)にプリントする方式に関しては、プロ写真家やアドバンストアマチュアには写真の深みや重厚さを表現する手段として、高校生や中学生の写真クラブや写真に関する専門学校の学生達には、自分で現像、プリントが出来、かつ、安価であるということから、写真を楽しみ、学ぶ手段として必要なシステムとして受け継がれてきた。この様に普及してきた写真を、更に簡単に楽しむことが可能になり、家庭の主婦層や、小学生にもそのユーザーが広がった大きな要因としてはカラーネガフィルムを撮影可能な状態に包装した撮影ユニット、いわゆるレンズ付きフィルムの登場であった。更に、昨年からは、この方式が白黒ネガフィルムにも適用され、新たなユーザー層として、女子学生層を開拓してきている。しかしながら、この白黒ネガフィルムはカラーネガフィルムと異なる現像処理であり、現像処理が可能な現像所の数も極端に少ないことから、プリントを手にするまでの時間はカラーネガ−ポジシステムでは早い店では1時間以内であるのに対して、白黒システムに関しては数日を必要とし、かつ、単価も高いという大きな弱点を有している。
【0003】
これらが、一般のシーンを主に撮影するユーザーに関しての現状であるが、一方で、特殊な撮影効果を表現する為の撮影用ハロゲン化銀感光材料として、赤外用ハロゲン化銀白黒感光材料(赤外白黒ネガフィルム)がある。この感光材料の使用用途は、主に、科学写真、鑑定写真、考古学写真等の業務用途に重宝に用いられている。また、青空、海、木の葉や草の赤外光に対する反射率の違いによる写真に与える効果が幻想的な表現を醸し出すことから、風景写真や山岳写真を好むユーザーにも愛用され、更には人物の肌の反射率の違いによる効果を生かしたポートレート写真にも使用されている。この赤外白黒ネガフィルムは、前記の一般用白黒ネガフィルムと同じ現像処理を行い、同じ白黒ネガペーパーにプリントをしている。その為、一般の白黒ネガ−ポジシステムとは同じ弱点を持っている。又、この赤外白黒ネガフィルムは赤外光による赤外効果を出す為には、赤色フィルター等をカメラのレンズに装着する事で可視光に対する感度をカットしなければならないこと、赤外光は可視光とはカメラレンズの光の屈折率が異なることにより、ピント調整が必要であること等の煩雑さがあり、一般用白黒ネガフィルムと同様にカメラだけあれば誰でもすぐに撮影が出来る訳では無いこと、感光波長域が長波なほど、カブリ易く、カメラへの装填も含めて取り扱い上の注意が必要であり、又、経時によるカブリも発生し易いこと等も、限定ユーザーにしか使用されていない原因である。
【0004】
これら白黒ネガフィルムの普及の妨げとなっている欠点の解消に対する幾つかの対策も提案、実施されている。その一つは、現在、最も普及しているカラーネガフィルムと同一の現像処理に適合する撮影用白黒画像形成ハロゲン化銀感光材料を提供することであり、米国特許2,592,514号、同4,348,474号、特公昭63−59136号、特開昭61−236550号等にはブラックカプラーを用いた白黒画像形成ハロゲン化銀感光材料が開示されている。また、通常のハロゲン化銀カラー感光材料に用いられるイエローカプラー、マゼンタカプラー、シアンカプラーを混合して黒色色素画像を形成する技術については、米国特許2,181,944号、同2,186,736号、同4,368,255号、同5,141,844号、特開昭57−56838号、同57−58147号、同58−215645号、特開平3−107144号、同6−214357号、同7−199421号、特表平6−505580号等に開示されている。
【0005】
しかしながら、これらの技術はいずれも、現像処理の共通化はできても印画紙へのプリントが煩雑であるという欠点を有している。また、カラー現像処理に際して、含有させた各々のカプラーの反応性の違いにより、いずれかの発色成分が他の発色成分とのバランスを崩すために、全濃度域にわたってニュートラルグレーを得ることが困難であったり、現像機種の違いや現像所の違いによる処理性の変化に対しても安定な白黒画像を得ることは困難である。
【0006】
他方、赤外撮影用ハロゲン化銀感光材料には、カラー処理可能なフィルムも製品化されている。イーストマンコダック社製のエクタクロームインフラレッドフィルム、エアロクロームインフラレッドフィルム2443等である。しかしながら、これらの製品は、通常のカラー感光材料とは異なる、いわゆる疑似カラーであることから、一般のユーザー対象というよりは、航空写真等の特殊用途向けであり、又、現像処理工程はいずれも特殊なカラー反転処理を施し、ポジ画像を作成する感光材料であることから、前記したポジ−ポジシステムと同様に、誰でも簡単に、かつ、迅速で安価にプリントを手に出来ないという欠点を有している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の目的は、ネガ−ポジシステムのカラー写真現像処理に適合し、高感度で、粒状性に優れ、かつ、印画紙へのプリントも容易であり、さらに、優れた赤外効果を持った再現画像を誰でも簡単に撮影が出来、かつ、モノクロームなプリントを容易に作成することが出来る撮影用白黒画像形成赤外用ハロゲン化銀感光材料、それを用いた撮影ユニット及び白黒画像形成方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記構成により達成された。
【0009】
(1) 透明支持体上の一方の側に、それぞれ少なくとも一層の感光性層および非感光性層からなる写真構成層を有、該感光性層の少なくとも一層が可視光から赤外光まで感光するように増感されたハロゲン化銀乳剤と、カプラーの分散液を含有し、前記感光性層のガンマ値が0.70以上1.50以下であり、かつ、透明支持体とは感光性層をはさんで反対側に位置する非感光性層が、可視光を吸収する染料を含有することを特徴とする赤外撮影が可能な撮影用白黒画像形成ハロゲン化銀感光材料。
【0010】
(2) 前記カプラーが、ブラックカプラーであることを特徴とする(1)に記載の赤外撮影が可能な撮影用白黒画像形成ハロゲン化銀感光材料。
【0011】
(3) 前記カプラーが、発色現像主薬の酸化体とのカップリング反応によって形成された発色色素の分光極大吸収波長(λmax)が、お互いに50nm以上異なる3種類の2当量カプラーからなり、且つ、該3種類のカプラーが同一の油滴中に存在するものであることを特徴とする(1)に記載の赤外撮影が可能な撮影用白黒画像形成ハロゲン化銀感光材料。
【0012】
(4) 前記カプラーが、2当量イエローカプラー、2当量マゼンタカプラー、2当量シアンカプラーが同一層中に含有されるものであることを特徴とする(1)または(3)に記載の赤外撮影が可能な撮影用白黒画像形成ハロゲン化銀感光材料。
【0013】
(5) 前記感光性層に含有するハロゲン化銀AgBrIであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の赤外撮影が可能な撮影用白黒画像形成ハロゲン化銀感光材料。
【0014】
(6) 平均アスペクト比≧2のハロゲン化銀粒子を前記感光性層に含有することを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載の赤外撮影が可能な撮影用白黒画像形成ハロゲン化銀感光材料。
【0015】
(7 1)〜(6)のいずれか1項に記載の赤外撮影が可能な撮影用白黒画像形成ハロゲン化銀感光材料を装填し、撮影可能な状態に包装したことを特徴とする撮影ユニット
【0016】
(8 1)〜()のいずれか1項に記載の赤外撮影が可能な撮影用白黒画像形成ハロゲン化銀感光材料を露光後、発色現像液で現像処理してネガ画像を得ることを特徴とする白黒画像形成方法
【0020】
以下、本発明を詳しく説明する。
【0021】
本発明においてカプラーとは、未反応のものは実質的に色相をもたず、発色現像により、発色現像主薬の酸化体とのカップリングによってイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック等の色素画像を形成するイエローカプラー、マゼンタカプラー、シアンカプラー、ブラックカプラー等が含まれる。具体的にはリサーチ・ディスクロージャー(RD)に記載の下記のものが挙げられる。
【0022】
Figure 0003577687
本発明において黒色色素画像形成型カプラーとは、所謂ブラックカプラーとも呼ばれる、発色現像主薬の酸化体とのカップリングによって黒色色素画像を形成するものである。黒色色素画像形成型カプラーとしては、特開昭52−42725号、特公昭57−49891号、同58−9938、同58−10737号等に示されるm−アミノフェノール化合物、特公昭57−49892号、同59−46378号に示されるピラゾロン化合物、特公昭63−59126号に示されるレゾルシン化合物、特公平3−369号に示されるレゾルシノール化合物、特開昭55−149943号に示されるヒドロキシナフタレン化合物等があり、これらのいずれも利用することができる。
【0023】
特に好ましい黒色色素画像形成型カプラーは、m−アミノフェノール化合物であり、特公昭57−49891号の例示化合物(1)から(82)のものが有用である。
【0024】
また本発明においては、ブラックカプラーによって、或いはイエロー、マゼンタ、シアンカプラーの混合によって白黒画像を得るほかに、レッド(赤発色)カプラーとブルー(青発色)カプラーの混合によって白黒画像を得ることもできる。レッドカプラーの具体例としては、活性メチレン基にシアノ基が結合したケトメチン型カプラーがあり、ブルーカプラーの具体例としては、6位にトリフロロメチル基、スルホニルメチル基のような電子吸引基を有するピラゾロアゾール型カプラーがある。
【0025】
本発明においてカプラーとしては、発色色調がことなる3種類の2当量カプラーからなり、且つ、該3種類のカプラーが同一の油滴中に存在することが好ましい。
【0026】
発色色調が異なるとは、発色現像主薬の酸化体とのカップリング反応によって形成された発色色素の分光極大吸収波長(λmax)が、お互いに50nm以上、好ましくは70nm以上異なることを示し、特に好ましくは一般のカラー写真と同様に、イエロー色調、マゼンタ色調、シアン色調の3種類の2当量カプラーからなり、該それぞれの2当量カプラーを同一油滴中に含有することである。
【0027】
本発明に好ましく用いられる上記2当量カプラーは、次の一般式〔I〕で示される。
【0028】
【化1】
Figure 0003577687
【0029】
式中Cpはカプラー残基を表し、*はカプラーのカップリング位を表し、Xは芳香族第1級アミン発色現像主薬の酸化体とカップリングして色素が形成される時に離脱する原子、基を表す。
【0030】
Cpで表されるカプラー残基において、イエローカプラー残基として代表的なものは、米国特許2,298,443号、同2,407,210号、同2,875,057号、同3,048,194号、同3,265,506号、同3,447,928号及び“ファルブクプラーアイネ・リテラトウルヴェルジッヒト・アグファ・ミッタイルング(バンドII)”{Farbkupplereine Literaturubersiecht Agfa Mitteilung(BandII)}112〜126頁(1961年)などに記載されている。これらのうちアシルアセトアニリド類、例えば、ベンゾイルアセトアニリドやピバロイルアセトアニリド類が好ましい。
【0031】
マゼンタカプラー残基として代表的なものは、米国特許2,369,489号、同2,343,703号、同2,311,082号、同2,600,788号、同2,908,573号、同3,062,653号、同3,152,896号、同3,519,429号、同3,725,067号、同4,540,654号、特開昭59−162548号、及び前記のAgfa Mitteilung(BandII)126〜156頁(1961年)などに記載されている。これらのうち、ピラゾロンあるいはピラゾロアゾール(例えば、ピラゾロイミダゾール、ピラゾロトリアゾールなど)類が好ましい。
【0032】
シアンカプラー残基として代表的なものは米国特許2,367,531号、同2,423,730号、同2,474,293号、同2,772,162号、同2,895,826号、同3,002,836号、同3,034,892号、同3,041,236号及び前記のAgfa Mitteilung(BandII)156〜175頁(1961年)などに記載されている。これらのうちフェノール類あるいはナフトール類が好ましい。
【0033】
Xで表される離脱原子、基としては例えばハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、
【0034】
【化2】
Figure 0003577687
【0035】
(Xは式中の窒素原子及び炭素原子、酸素原子、窒素原子、イオウ原子の中から選ばれた少なくとも1つの原子と共に5ないし6員環を形成するに要する原子群を表す)、アシルアミノ基、スルホンアミド基等の1価基及びアルキレン基等の2価基などであり、2価基の場合はXで2量体を形成する。
【0036】
以下に具体的な例を挙げる。
【0037】
ハロゲン原子:塩素、臭素、弗素等の各原子
【0038】
【化3】
Figure 0003577687
【0039】
【化4】
Figure 0003577687
【0040】
【化5】
Figure 0003577687
【0041】
【化6】
Figure 0003577687
【0042】
ピラゾリル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、
【0043】
【化7】
Figure 0003577687
【0044】
【化8】
Figure 0003577687
【0045】
本発明において2当量イエローカプラーとしては、次の一般式〔II〕及び〔III〕で表されるものが好ましい。
【0046】
【化9】
Figure 0003577687
【0047】
一般式〔II〕,〔III〕においてR,Rは水素原子又は置換基を、k及びlは、1〜5を表し、k、lが2以上のとき各R及び各Rは同一でも異なっていてもよく、Xは一般式〔I〕のXと同義である。
【0048】
及びRで表される置換原子、置換基としては、例えばハロゲン原子、直接又は2価の原子もしくは基を介して結合するアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロ環等の各基が挙げられる。
【0049】
上記の2価の原子もしくは基としては例えば酸素原子、窒素原子、硫黄原子、カルボニルアミノ、アミノカルボニル、スルホニルアミノ、アミノスルホニル、アミノ、カルボニル、カルボニルオキシ、オキシカルボニル、ウレイレン、チオウレイレン、チオカルボニルアミノ、スルホニル、スルホニルオキシなどが挙げられる。
【0050】
又、R及びRで表される置換基の例としての前記アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロ環は、置換基を有するものを含む。該置換基としては例えばハロゲン原子、ニトロ、シアノ、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、カルボキシ、スルホ、スルファモイル、カルバモイル、アシルアミノ、ウレイド、ウレタン、スルホンアミド、ヘテロ環、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、アリールチオ、アルキルチオ、アルキルアミノ、アニリノ、ヒドロキシ、イミド、アシルなどが挙げられる。
【0051】
2当量イエローカプラーにおいて、Xとしては一般式〔I〕において例示したものが挙げられ、特にアリールオキシ基、
【0052】
【化10】
Figure 0003577687
【0053】
(Xは前述のXと同義)が好ましい。
【0054】
又、一般式〔II〕は、R又はXで2量体以上の多量体を形成する場合を含み、一般式〔III〕はR,R又はXで2量体以上の多量体を形成する場合を含む。
【0055】
本発明において2当量マゼンタカプラーとしては次の一般式〔IV〕,〔V〕,〔VI〕,〔VII〕で表されるものが好ましい。
【0056】
【化11】
Figure 0003577687
【0057】
上記一般式〔IV〕〜〔VII〕においてRは置換基を表し、R,R,X,lは一般式〔II〕,〔III〕のR,R,X,lと同義であり、lが2以上のとき各Rは同じでも異なってもよい。
【0058】
,Rの例としては、一般式〔III〕におけるR,Rとして例示したものが挙げられ、Rとしては例えばアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロ環等の各基が挙げられ、これらは置換基を有するものを含み、該置換基の例としては一般式〔II〕におけるR及びRの例として挙げた各基が有する置換基として例示したものが挙げられる。
【0059】
2当量マゼンタカプラーにおいて、Xの例としては一般式〔I〕で例示したものが挙げられ、アルキルチオ基、アリールチオ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、
【0060】
【化12】
Figure 0003577687
【0061】
(Xは前述のXと同義)、アルキレン基が特に好ましい。
【0062】
又、一般式〔IV〕及び〔V〕は、R,R又はXで、2量体以上の多量体を形成する場合を含み、一般式〔VI〕及び〔VII〕は、R,R又はXで2量体以上の多量体を形成する場合を含む。
【0063】
本発明において2当量シアンカプラーとしては次の一般式〔VIII〕,〔IX〕,〔X〕で表されるものが好ましい。
【0064】
【化13】
Figure 0003577687
【0065】
一般式〔VIII〕,〔IX〕,〔X〕において、R,Rは一般式〔IV〕におけるR,Rと同義であり、Rは置換基を表し、mは1〜3、nは1又は2、pは1〜5であり、m、n、pが2以上のとき、各Rは同じでも、異なってもよい。
【0066】
,Rとしては、一般式〔IV〕において例示したものが挙げられ、Rとしては一般式〔IV〕において、Rとして例示したものが挙げられる。2当量シアンカプラーにおいて、Xの例としては一般式〔I〕で例示したものが挙げられ、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、スルホンアミド基が特に好ましい。
【0067】
又、一般式〔VIII〕及び〔X〕はR,R又はXで2量体以上の多量体を形成する場合を含み、一般式〔IX〕はR,R,R又はXで2量体以上の多量体を形成する場合を含む。
【0068】
本発明に好ましく用いられる2当量カプラーの具体例を以下に挙げたがこれに限定されるものではない。
【0069】
【化14】
Figure 0003577687
【0070】
【化15】
Figure 0003577687
【0071】
【化16】
Figure 0003577687
【0072】
【化17】
Figure 0003577687
【0073】
【化18】
Figure 0003577687
【0074】
【化19】
Figure 0003577687
【0075】
【化20】
Figure 0003577687
【0076】
【化21】
Figure 0003577687
【0077】
【化22】
Figure 0003577687
【0078】
【化23】
Figure 0003577687
【0079】
【化24】
Figure 0003577687
【0080】
【化25】
Figure 0003577687
【0081】
【化26】
Figure 0003577687
【0082】
【化27】
Figure 0003577687
【0083】
【化28】
Figure 0003577687
【0084】
【化29】
Figure 0003577687
【0085】
【化30】
Figure 0003577687
【0086】
【化31】
Figure 0003577687
【0087】
【化32】
Figure 0003577687
【0088】
【化33】
Figure 0003577687
【0089】
【化34】
Figure 0003577687
【0090】
【化35】
Figure 0003577687
【0091】
【化36】
Figure 0003577687
【0092】
【化37】
Figure 0003577687
【0093】
【化38】
Figure 0003577687
【0094】
【化39】
Figure 0003577687
【0095】
【化40】
Figure 0003577687
【0096】
【化41】
Figure 0003577687
【0097】
【化42】
Figure 0003577687
【0098】
【化43】
Figure 0003577687
【0099】
【化44】
Figure 0003577687
【0100】
【化45】
Figure 0003577687
【0101】
【化46】
Figure 0003577687
【0102】
【化47】
Figure 0003577687
【0103】
本発明において、2当量イエローカプラーの添加量は好ましくは5×10−5〜2×10−3モル/mであり、より好ましくは1×10−4〜2×10−3モル/mであり、特に2×10−4〜2×10−3モル/mが好ましく、2当量マゼンタカプラーの添加量は、好ましくは2×10−5〜1×10−3モル/mであり、より好ましくは5×10−5〜1×10−3モル/mであり、特に1×10−4〜1×10−3モル/mが好ましく、2当量シアンカプラーの添加量は、好ましくは5×10−5〜2×10−3モル/mであり、より好ましくは1×10−4〜2×10−3モル/mであり、特に2×10−4〜2×10−3モル/mが好ましい。
【0104】
本発明のカプラーをハロゲン化銀乳剤中に添加するにはカプラーを高沸点溶媒中に必要に応じて低沸点溶媒と共に溶解し界面活性剤を含むゼラチン水溶液と混合して、高速回転ミキサー、コロイドミル、超音波分散機、毛細管式乳化装置等により乳化分散する。この際用いる高沸点溶媒としてはカルボン酸エステル類、リン酸エステル類、カルボン酸アミド類、エーテル類、置換された炭化水素類などがあり、具体的には、ジ−n−ブチルフタール酸エステル、ジイソオクチルフタール酸エステル、ジメトオキシエチルフタール酸エステル、ジ−n−ブチルアジピン酸エステル、ジイソオクチルアジピン酸エステル、トリ−n−ブチルクエン酸エステル、ブチルラウリン酸エステル、ジ−n−セバシン酸エステル、トリクレジルリン酸エステル、トリ−n−ブチルリン酸エステル、トリイソオクチルリン酸エステル、N,N−ジエチルカプリル酸アミド、N,N−ジメチルパルミチン酸アミド、n−ブチルペンタデシルフェニルエーテル、エチル−2,4−ジ−tert−ブチルフェニルエーテル、コハク酸ジオクチルエステル、マレイン酸ジオクチルエステルなどがある。また低沸点溶媒としては酢酸エチル、酢酸ブチル、シクロヘキサン、プロピオン酸ブチル等がある。
【0105】
本発明において、「赤外撮影が可能なハロゲン化銀感光材料」とは、赤外線まで感光するように増感されたハロゲン化銀乳剤(400nmより長波の可視光域(青光〜緑光〜赤光)および1000nmより短い近赤外光域に感度を有するハロゲン化銀乳剤)を含有するハロゲン化銀感光材料を意味する。
本発明において、可視光から赤外光までに感光する様に色増感されたハロゲン化銀とは、400nmより長波の可視光域(青光〜緑光〜赤光)および1000nmより短い近赤外光域に感度を有するハロゲン化銀乳剤である。これは赤外感性ハロゲン化銀乳剤乳剤単独でもよいし、青感性ハロゲン化銀乳剤、緑感性ハロゲン化銀乳剤、赤感性ハロゲン化銀乳剤をある比率で混合してもよい。また、一つのハロゲン化銀乳剤に対して、赤外感性増感色素の他に青感性増感色素、緑感性増感色素、赤感性増感色素を添加して赤外感性の他に可視光域の感度を高めたハロゲン化銀乳剤としてもよい。
【0106】
本発明において、ハロゲン化銀乳剤を色増感する増感色素については、青感性、緑感性、赤感性増感色素としては、RD308119 996 IV A,A−J、RD17643 23−24、RD18716 648−9等に記載されている通常のカラーネガ用増感色素が好ましいものとして挙げられる。
【0107】
赤〜赤外感性増感色素としては、例えば下記一般式〔1a〕又は〔1b〕で表される増感色素等が好ましいものとして挙げられる。
【0108】
【化48】
Figure 0003577687
【0109】
〔式中、RおよびRは各々同一であっても異なっていても良く、それぞれ置換もしくは無置換のアルキル基を表す。r〜rは各々水素原子、低級アルキル基、低級アルコール基、フェニル基、ベンジル基を表す。ここで、rとr、rとrあるいはrとrはそれぞれ互いに連結して置換または無置換の5員環または6員環を形成してもよい。Z及びZは各々母核として5員または6員の含窒素複素環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。Z及びZと共に形成される含窒素複素環は単環であっても縮合環であってもよく、又、置換基を有していても良い。Xは酸アニオンを表す。nは1または2を表す。〕
本発明に係るカラー印画紙において使用される感光性ハロゲン化銀は、前記一般式〔1a〕又は〔1b〕で表される増感色素から選ばれる少なくとも1種により分光増感されている。ここで式中、RおよびRは各々同一であっても異なっていても良く、それぞれ置換もしくは無置換のアルキル基(好ましくは炭素数1〜8)を表す。r〜rは各々水素原子、低級アルキル基、低級アルコール基、フェニル基、ベンジル基を表す。ここで、rとr、rとrあるいはrとrはそれぞれ互いに連結して置換または無置換の5員環または6員環を形成してもよい。Z及びZは各々母核として5員または6員の含窒素複素環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。特に好ましいZ,Zと共に形成される含窒素複素環基はベンゾチアゾール、ナフトチアゾール、ベンゾオキサゾール、ナフトオキサゾールである。これらは、置換基を有していても良く、置換基としてはハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、カルボキシ基、水酸基、フェニル基等が挙げられる。Xは酸アニオンを表す。nは1または2を表す。
【0110】
本発明に用いられる前記一般式〔1a〕及び〔1b〕で表される増感色素の具体例をZK−1〜ZK−15に示すが、いうまでもなく本発明はこれらの化合物のみに限定されるものではない。
【0111】
【化49】
Figure 0003577687
【0112】
【化50】
Figure 0003577687
【0113】
【化51】
Figure 0003577687
【0114】
【化52】
Figure 0003577687
【0115】
【化53】
Figure 0003577687
【0116】
本発明のハロゲン化銀感光材料に含有されるハロゲン化銀粒子はハロゲン化銀乳剤粒子内部のハロゲン化銀組成に特に制限はないが、沃臭化銀粒子の場合には、コア/シェル構造を有することが好ましい。コア相の沃化銀含有率は10mol%以上であることが好ましく、20mol%以上が更に好ましい。また、最外部のシェル層の沃化銀含有率は10mol%以下であることが好ましく、5mol%以下が更に好ましい。この様なハロゲン化銀粒子の組成を分析する方法としては、例えば特開平4−142531号に記載の方法を参考にできる。
【0117】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤は粒子間の沃化銀含有率がより均一になっていることが好ましい。
【0118】
写真業界で一般的に用いられるXMA法によって個々のハロゲン化銀粒子の平均沃化銀含有率を測定したとき、測定値の相対標準偏差が20%以下であることが好ましい。更に好ましくは、15%以下、最も好ましくは5%以上〜12%以下である。
【0119】
ここに相対標準偏差とは、例えば少なくとも100個のハロゲン化銀乳剤の沃化銀含有率を測定した際の沃化銀含有率の標準偏差をそのときの平均沃化銀含有率で除した値×100である。
【0120】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤は、単分散性のハロゲン化銀乳剤であることが好ましい。
【0121】
本発明において、単分散性のハロゲン化銀乳剤とは、平均粒径dを中心に±20%の粒径範囲内に含まれるハロゲン化銀重量が全ハロゲン化銀重量の70%以上であるものが好ましく、より好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上100%以下である。
【0122】
ここに平均粒径dは、粒径diを有する粒子の頻度niとdiとの積ni×diが最大になるときの粒径diと定義する(有効数字3桁、最小数字は4捨5入とする)。
【0123】
ここでいう粒径とは、粒子の投影像を同面積の円像に換算したときの直径である。粒径は、例えば前記粒子を電子顕微鏡で1万倍乃至5万倍に拡大して投影し、そのプリント上の粒子直径又は投影時の面積を測定することによって得ることができる(測定粒子個数は無差別に100個以上あることとする)。
【0124】
本発明の特に好ましい高度の単分散乳剤は、
(粒径標準偏差/平均粒径)×100=分布の広さ(%)
によって定義した分布の広さが20%以下のものであり、更に好ましくは5%以上15%以下のものである。
【0125】
ここに粒径測定方法は前記の測定方法に従うものとし、平均粒径は算術平均とする。
【0126】
平均粒径=Σdini/Σni
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤の平均粒径は0.1〜10.0μmであることが好ましく、更に好ましくは0.2〜5.0μm、最も好ましくは0.3〜3.0μmである。
【0127】
本発明に好ましく用いられるハロゲン化銀が平均アスペクト比2以上の平板状ハロゲン化銀粒子を含有することが好ましく、該平均アスペクト比は3以上20以下がより好ましい。
【0128】
本発明でいう平均アスペクト比は乳剤粒子の平均直径と平均厚みの比として求められるものであり、その具体的な定義及び測定法は、特開昭63−106746号、同63−316847号、特開平2−193138号において開示されたものと同様である。
【0129】
又、上記ハロゲン化銀はAgBrIであることが好ましい。
【0130】
本発明によるハロゲン化銀乳剤はハロゲン化銀粒子を生成、成長させる液相中のpAgとpH、温度と撹拌等を所定のパターンに制御すること、塩化ナトリウム、臭化カリウム、沃化カリウムなどのハロゲン化物、硝酸銀の添加を制御する、ダブルジェット法による乳剤製造装置により製造される。又、本発明においては実質的に非感光性のハロゲン化銀粒子(好ましくは平均径が0.01〜0.2μmの微粒子乳剤)を、保護層、中間層等に用いることによって効を奏する。特に感光材料の総塗布銀量に対する非感光性ハロゲン化銀の割合が、9%以上15%以下であることが好ましい。
【0131】
実質的に非感光性とは感光性乳剤層に存在する最低感度の粒子の1/50以下の感度を言う。
【0132】
本発明において広い露光ラチチュードを得るために同一構成層内に粒径、或いはハロゲン化物組成の異なるハロゲン化銀乳剤を任意の割合で混合使用することができる。
【0133】
混合使用される粒径の異なるハロゲン化銀粒子としては、平均粒径が0.2〜2.0μmの最大平均粒径を有するハロゲン化銀粒子と平均粒径が0.05〜1.0μmの最小平均粒径を有するハロゲン化銀粒子の組み合わせが好ましく、更に中間の平均粒径を有するハロゲン化銀粒子を1種以上組み合わせてもよい。又、最大平均粒径のハロゲン化銀粒子の平均粒径が、最小平均粒径のハロゲン化銀粒子の平均粒径の1.5〜40倍であることが好ましい。
【0134】
本発明において、ガンマ値(階調度)は、各々、白色、分解露光後現像した試料をステータスMフィルターを用いて測定し、得られた特性曲線のDmin+0.3からΔlogE=1.0の露光域における傾きを求めて得ることができる。
【0135】
本発明における好ましいガンマ値は、0.70以上1.50であり、より好ましくは、0.85以上1.35以下である。
【0136】
本発明の非感光性層に含有される可視光吸収染料は、500nmより短波の光を吸収可能であることが好ましく、580nmより短波の光を吸収可能であることがより好ましく、650nm以下の光を吸収可能であることが更に好ましい。
【0137】
本発明の非感光性層に含有される可視光吸収染料は、水溶性染料、油溶性染料、アルカリ可溶性染料や、固体微粒子分散による方法で添加する染料等の他に、イエローコロイド銀やマゼンタコロイド銀等の微粒子コロイド銀でも良い。また、増感色素や増感色素を吸着させたハロゲン化銀粒子でも良く、上記の何れかの染料、コロイド銀等の内、少なくとも1つ、もしくは、それ以上を組み合わせて使用することが出来る。
【0138】
本発明に用いられる水溶性染料としては、通常のカラー感光材料に用いられる公知のものが利用できる。中でもオキソノール系、メロシアニン系、ベンジリデン系、アントラキノン系、シアニン系、スチリル系、アゾ系、ヘミオキソノール系等の染料が好ましく、特にスルホ基、カルボキシル基等の酸性基を有するものが好ましい。
【0139】
更に本発明においては、水溶性染料の水溶液での極大吸収波長が420〜480nmあるいは520〜580nm、あるいは600〜680nmの範囲にあるものが好ましい。
【0140】
以下に本発明に有用な水溶性染料の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0141】
【化54】
Figure 0003577687
【0142】
【化55】
Figure 0003577687
【0143】
【化56】
Figure 0003577687
【0144】
【化57】
Figure 0003577687
【0145】
【化58】
Figure 0003577687
【0146】
【化59】
Figure 0003577687
【0147】
本発明において、水溶性染料は任意の層に添加することができる。水溶性染料の添加量については、用いる染料の分子吸光係数、分子量、溶解度等によって異なるが、通常0.1〜1000mg/m、好ましくは0.5〜500mg/mの範囲で用いられる。
【0148】
本発明に用いられる油溶性染料としては、撮影用ハロゲン化銀感光材料のカラーネガフィルムに一般的に使用されているカラードカプラーを固体微粒子分散による方法で添加、含有させても良いし、通常のカプラー分散液を作る方法で分散して、添加、含有させても良い。また、撮影用ハロゲン化銀感光材料のD−minや抜け部の濃度調整等に広く用いられている、カプラーと発色現像液の酸化体とをカップリングさせる事により生成する色素を含有させても良い。
【0149】
本発明に用いられる固体微粒子分散による方法等で添加する染料としては、例えば下記一般式〔1〕,〔2〕で表される化合物が好ましいものとして挙げられる。
【0150】
【化60】
Figure 0003577687
【0151】
一般式〔1〕中Rは水素原子、アルキル基、アリール基、−COOR、−CONRを表しR、R、Rは各々水素原子、アルキル基、アリール基を表し、Rは水素原子、アルキル基、アリール基、アミノ基を表す。RとRで結合し6員環を形成してもよい。R、Rは水素原子、アルキル基、アリール基を表す。
【0152】
一般式〔2〕式中、Qは少なくとも1個のカルボン酸基、スルホンアミド基又はスルホカルバモイル基を有するケトメチレン残基を表し、L、L、Lはメチレン基を表し、R11、R12、R13、R14、R15は各々水素原子または置換基を表し、R13とR14もしくはR14とR15互いに連結して5又は6員環を形成しても良い。nは0または1を表す。
【0153】
以下に本発明に有用な固体微粒子分散による方法等で添加する染料水溶性染料、例えば一般式〔1〕,〔2〕で表される化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0154】
【化61】
Figure 0003577687
【0155】
【化62】
Figure 0003577687
【0156】
【化63】
Figure 0003577687
【0157】
【化64】
Figure 0003577687
【0158】
【化65】
Figure 0003577687
【0159】
【化66】
Figure 0003577687
【0160】
【化67】
Figure 0003577687
【0161】
【化68】
Figure 0003577687
【0162】
【化69】
Figure 0003577687
【0163】
【化70】
Figure 0003577687
【0164】
本発明においてはハロゲン化銀感光材料、モノクロ画像形成ハロゲン化銀感光材料が、カラードカプラーを含有することが好ましい。カラードカプラーはカラー写真分野では周知のものであり、未反応の状態でも色相を有し、発色現像主薬とのカップリング反応によってイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック等の色素画像を形成してもよいし、無色になってもよい。一般的には未反応の色相と発色後の色相が異なるものを言う。
【0165】
本発明において好ましいカラードカプラーは、イエローカラードマゼンタカプラー、マゼンタカラードシアンカプラー、イエローカラードシアンカプラーから選ばれる少なくとも一つである。以下に具体的に述べる。
【0166】
本発明においてイエローカラードマゼンタカプラーとは、カプラーの可視吸収領域における吸収極大を400nmから500nmの間に有し、かつ芳香族第1級アミン現像主薬酸化体とカップリングして可視吸収領域における吸収極大が510nmから580nmの間のマゼンタ色素を形成するマゼンタカプラーを言う。
【0167】
本発明の好ましいイエローカラードマゼンタカプラーは下記一般式(1)で表される。
【0168】
一般式(1) C−N=N−R
式中、Cはアゾ基が活性部位に結合しているマゼンタカプラー残基を表し、Rは置換又は非置換のアリール基を表す。
【0169】
で表されるマゼンタカプラー残基としては、5−ピラゾロンマゼンタカプラー及びピラゾロトリアゾール系マゼンタカプラーから導かれるカプラー残基が好ましく、特に好ましくは下記一般式(2)で表される残基である。
【0170】
【化71】
Figure 0003577687
【0171】
式中、Rは置換又は非置換のアリール基を表し、Rはアシルアミノ基、アニリノ基、ウレイド基又はカルバモイル基を表し、これらは置換基を有してもよい。
【0172】
で表されるアリール基として好ましくはフェニル基である。アリール基の置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基(メチル基、エチル基等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基等)、アリールオキシ基(フェニルオキシ基、ナフチルオキシ基等)、アシルアミノ基(ベンズアミド基、α−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシ)ブチルアミド基等)、スルホニルアミノ基(ベンゼンスルホンアミド基、n−ヘキサデカンスルホンアミド基等)、スルファモイル基(メチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基等)、カルバモイル基(n−ブチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基等)、スルホニル基(メチルスルホニル基、n−ドデシルスルホニル基、ベンゼンスルホニル基等)、アシルオキシ基、エステル基、カルボキシル基、スルホ基、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
【0173】
の具体例としては、フェニル、2,4,6−トリクロルフェニル、ペンタクロルフェニル、ペンタフルオロフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2−クロル−4,6−ジメチルフェニル、2,6−ジクロル−4−メチルフェニル、2,4−ジクロル−6−メチルフェニル、2,4−ジクロル−6−メトキシフェニル、2,6−ジクロル−4−メトキシフェニル、2,6−ジクロル−4−〔α−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシ)アセトアミド〕フェニル等の各基が挙げられる。
【0174】
で表されるアシルアミノ基としては、ピバロイルアミノ、n−テトラデカンアミド、α−(3−ペンタデシルフェノキシ)ブチルアミド、3−〔α−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシ)アセトアミド〕ベンズアミド、ベンズアミド、3−アセトアミドベンズアミド、3−(3−n−ドデシルサクシンイミド)ベンズアミド、3−(4−n−ドデシルオキシベンゼンスルホンアミド)ベンズアミド等の基が挙げられる。
【0175】
で表されるアニリノ基としては、アニリノ、2−クロルアニリノ、2,4−ジクロルアニリノ、2,4−ジクロル−5−メトキシアニリノ、4−シアノアニリノ、2−クロル−5−〔α−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシ)ブチルアミド〕アニリノ、2−クロル−5−(3−オクタデセニルサクシンイミド)アニリノ、2−クロル−5−n−テトラデカンアミドアニリノ、2−クロル−5−〔α−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)テトラデカンアミド〕アニリノ、2−クロル−5−n−ヘキサデカンスルホンアミドアニリノ等の基が挙げられる。
【0176】
で表されるウレイド基としては、メチルウレイド、フェニルウレイド、3−〔α−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシ)ブチルアミド〕フェニルウレイド等の基が挙げられる。
【0177】
で表されるカルバモイル基としては、n−テトラデシルカルバモイル、フェニルカルバモイル、3−〔α−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシ)アセトアミド〕フェニルカルバモイル等の基が挙げられる。
【0178】
で表されるアリール基としては、フェニル基又はナフチル基が好ましい。
【0179】
で表されるアリール基の置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、アシルオキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基等が挙げられ、特に好ましい置換基はアルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシルアミノ基である。
【0180】
以下に一般式(1)で表されるイエローカラードマゼンタカプラーの具体例を挙げるがこれらに限定されるものではない。
【0181】
【化72】
Figure 0003577687
【0182】
【化73】
Figure 0003577687
【0183】
【化74】
Figure 0003577687
【0184】
【化75】
Figure 0003577687
【0185】
【化76】
Figure 0003577687
【0186】
【化77】
Figure 0003577687
【0187】
【化78】
Figure 0003577687
【0188】
【化79】
Figure 0003577687
【0189】
これらのイエローカラードマゼンタカプラーは、特開昭49−123625号、同49−131448号、同52−42121号、同52−102723号、同54−52532号、同58−172647号、米国特許第2,763,552号、同2,801,171号、同3,519,429号等に記載の方法を参照して合成することができる。
【0190】
本発明に好ましく用いられるイエローカラードマゼンタカプラーは任意の層に添加できるが、感光性ハロゲン化銀乳剤層の少なくとも1層に添加されるのが好ましく、添加量は、添加層のハロゲン化銀1モル当たり0.001〜0.1モル程度、好ましくは0.005〜0.05モル、更には0.01〜0.03である。
【0191】
本発明においてマゼンタカラードシアンカプラーとは、カプラーの可視吸収領域における吸収極大を500nmから600nmの間に有し、かつ芳香族第1級アミン現像主薬酸化体とカップリングして可視吸収領域における吸収極大が630nmから750nmの間のシアン色素を形成するシアンカプラーを言う。
【0192】
本発明の好ましいマゼンタカラードシアンカプラーは下記一般式(3)で表される化合物である。
【0193】
【化80】
Figure 0003577687
【0194】
式中、COUPはシアンカプラー残基を表し、Jは2価の連結基を、mは0又は1を、Rはアリール基を表す。
【0195】
COUPで表されるシアンカプラー残基としては、フェノール型カプラー残基並びにナフトール型カプラー残基が挙げられ、好ましくはナフトール型カプラー残基である。
【0196】
Jで表される2価の連結基としては、下記一般式(4)で表されるものが好ましい。
【0197】
【化81】
Figure 0003577687
【0198】
は炭素数1〜4のアルキレン基又はアリーレン基を表し、Rは炭素数1〜4のアルキレン基を表し、R及びRのアルキレン基は、アルキル基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、スルホ基により置換されてもよい。
【0199】
Zは−C(R)(R10)−、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−SONH−、−CONH−、−COO−、−NHCO−、−NHSO−、−OCO−を表し、R,R10は各々アルキル基、アリール基を表す。
【0200】
はアルキル基、アリール基、複素環基、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、スルホニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボキシ基、スルホ基、ハロゲン原子、カルボンアミド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基又はスルファモイル基を表す。
【0201】
pは0又は正の整数を表し、qは0又は1を表し、rは1〜4の整数を表す。pが2以上の時、R及びZは同じであっても異なってもよい。rが2以上の時、Rは同じであっても異なってもよい。
【0202】
で表されるアリール基は、m=0の時はフェニル基並びにナフチル基が好ましい。このフェニル基及びナフチル基は置換原子、置換基を有してもよく、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、アシルオキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基等を置換基として挙げることができる。
【0203】
m=1の時、Rで表されるアリール基は下記一般式(5)で表されるナフトール基が好ましい。
【0204】
【化82】
Figure 0003577687
【0205】
式中、R11は炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基(メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、s−ブチル、t−ブチル等の各基)を表し、Mは写真的に不活性なカチオンで、例えば水素原子、ナトリウム原子やカリウム原子の様なアルカリ金属のカチオン、アンモニウム、メチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、エタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、ピリジニウム、ピペリジウム、アニリニウム、トルイジニウム、p−ニトロアニリニウム、アニンジウム等を表す。
【0206】
以下に一般式(3)で表されるマゼンタカラードシアンカプラーの具体例を示すがこれらに限定されるものではない。
【0207】
【化83】
Figure 0003577687
【0208】
【化84】
Figure 0003577687
【0209】
【化85】
Figure 0003577687
【0210】
【化86】
Figure 0003577687
【0211】
【化87】
Figure 0003577687
【0212】
これらの化合物は、特開昭50−123341号、同55−65957号、同56−94347号、特公昭42−11304号、同44−32461号、同48−17899号、同53−34733号、米国特許第3,034,892号、英国特許第1,084,480号等に記載の方法を参照して合成することができる。
【0213】
本発明に好ましく用いられるマゼンタカラードシアンカプラーは任意の層に添加できるが、感光性ハロゲン化銀乳剤層の少なくとも1層に添加するのが好ましい。添加量としては、添加層中のハロゲン化銀1モル当たり、0.001〜0.1モル程度、好ましくは0.002〜0.05モル、更には0.005〜0.03モルである。
【0214】
本発明において、イエローカラードシアンカプラーとは、カプラーの可視吸収領域における吸収極大を400nmから500nmの間に有し、かつ芳香族第1級アミン現像主薬酸化体とカップリングして可視吸収領域における吸収極大が630nmから750nmの間のシアン色素を形成するシアンカプラーであり、例えば特開平4−444号第8頁〜第26頁に記載されたものをいう。
【0215】
本発明の好ましいイエローカラードシアンカプラーとしては下記一般式(6)〜(8)で示され、芳香族第1級アミン現像主薬酸化体とのカップリング反応により、水溶性の6−ヒドロキシ−2−ピリジン−5−イルアゾ基、水溶性のピラゾリドン−4−イルアゾ基、水溶性の2−アシルアミノフェニルアゾ基又は水溶性の2−スルホンアミドフェニルアゾ基を含む化合物残基を放出可能なシアンカプラーが好ましい。
【0216】
【化88】
Figure 0003577687
【0217】
一般式(6)〜(8)においてCpはシアンカプラー残基(Timeはそのカップリング位に結合している)を、Timeはタイミング基を、kは0又は1の整数を、XはN,O又はSを含みそれらにより(Time)と結合しAとを結合する2価の連結基を表わし、Aはアリーレン基又は2価の複素環を表わす。
【0218】
一般式(6)において、R11及びR12は独立に水素原子、カルボキシル基、スルホ基、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、複素環基、カルバモイル基、スルファモイル基、カルボンアミド基、スルホンアミド基又はアルキルスルホニル基、R13は水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は複素環基をそれぞれ表わす。ただしTime,X,A,R11,R12又はR13のうち少なくとも一つは水溶性基(例えばヒドロキシル、カルボキシル、スルホ、アミノ、アンモニウミル、ホスホノ、ホスフィノ、ヒドロキシスルホニルオキシ)を含むものとする。
【0219】
一般式(7)においてR14はアシル基又はスルホニル基を、R15は置換可能な基を、jは0〜4の整数を表わす。jが2以上の整数のときR15は同じであっても異なってもよい。但しTime,X,A,R14又はR15のうち少なくとも一つは水溶性基(例えばヒドロキシル、カルボキシル、スルホ、ホスホノ、ホスフィノ、ヒドロキシスルホニルオキシ、アミノ、アンモニウミル)を含むものとする。
【0220】
一般式(8)においてR16は水素原子、カルボキシル基、スルホ基、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基、複素環基、カルバモイル基、スルファモイル基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、またはアルキルスルホニルを、R17は水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は複素環基をそれぞれ表わす。但しTime,X,A,R16のうち少なくとも一つは水溶性基(例えばヒドロキシル、カルバモイル、スルホ、ホスホノ、ホスフィノ、ヒドロキシスルホニルオキシ、アミノ、アンモニウミル)を含むものとする。又、ZはO又はNHを表わす。
【0221】
次にイエローカラードシアンカプラーの具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0222】
【化89】
Figure 0003577687
【0223】
【化90】
Figure 0003577687
【0224】
【化91】
Figure 0003577687
【0225】
【化92】
Figure 0003577687
【0226】
【化93】
Figure 0003577687
【0227】
【化94】
Figure 0003577687
【0228】
【化95】
Figure 0003577687
【0229】
これらイエローカラードシアンカプラーは、特公昭61−52827号、米国特許第3,763,170号、同4,004,929号、特開昭61−72244号、同61−273543号、特開平4−444号、同4−151655号等に記載の方法を参照して合成することができる。
【0230】
本発明に好ましく用いられるイエローカラードシアンカプラーは任意の層に添加できるが、感光性ハロゲン化銀乳剤層の少なくとも1層に添加するのが好ましい。添加量としては、添加層中のハロゲン化銀1モル当たり、0.001〜0.1モル程度、好ましくは0.002〜0.05モル、更には0.005〜0.03モルである。
【0231】
本発明において、6当量カラードカプラーを含有するハロゲン化銀感光材料は、露光後、発色現像液で処理する工程を有する一般的なカラー現像処理によってモノクロ画像を形成することができる。
【0232】
カラー現像処理としては、市中において広く実施されているイーストマンコダック社製C−41処理や、コニカ(株)製CNK−4処理、富士フイルム(株)製CN−16処理が好ましい。
【0233】
本発明においては、カラー現像処理済の本発明のモノクロ画像ネガフィルムから、白黒印画紙やカラー印画紙にプリントして、モノクロ画像を得ることができるが、特にカラー印画紙にプリントしてセピア調のモノクロ画像プリントを得ることが好ましい。
【0234】
セピア色とは一般には、ごく暗い黄色であって、JIS Z 8721(三属性による色の表示方法)において、10YR 2.5/2と記載されている。またJIS Z 8701(XYZ表色系及びX10Y10Z10表色系による色の表示方法)においては、黄から黄赤に属する色である。これらについては「色彩科学事典」(日本色彩学会編)等に記載がある。また「色の名前ポケット図鑑」(福田邦夫、主婦の友社)にはオフセット印刷での網点密度C60,M74,Y85,B57で表示され、代表色が示されている。
【0235】
本発明においてはL*a*b*座標系において、以下を満足する領域をセピア調と定義する。b*≧a*かつb≦3.5a*かつ60≦L*≦90かつ5≦c*。
【0236】
本発明においては、未露光のハロゲン化銀感光材料、モノクロ画像形成ハロゲン化銀感光材料を、撮影可能な状態に包装した撮影ユニットであり、撮影ユニット本体としては、カラーフィルム用の撮影ユニットとなんら変更する必要はなく、公知の技術を適用できる。図1に本発明の一例を示す撮影ユニットを示す。
【0237】
本発明に用いられる他のハロゲン化銀乳剤は、リサーチ・ディスクロージャー(RDと標記する)308119に記載されているものを用いることができる。
【0238】
以下に記載箇所を示す。
【0239】
Figure 0003577687
本発明においてハロゲン化銀乳剤は物理熟成、本発明による化学熟成、分光増感を行った乳剤を使用する。このような工程で使用される添加剤としてはRD17643、同18716、同308119に記載されている。以下に記載箇所を示す。
【0240】
Figure 0003577687
本発明には種々のカプラーを使用することができ、その具体例は前記RDに記載されている。以下に関連ある記載箇所を示す。
【0241】
Figure 0003577687
本発明に使用する添加剤は、RD308119XIVに記載されている分散法などにより、添加することができる。本発明においては前述RD17643、28頁、RD18716、647〜8頁及びRD308119のXIXに記載されている支持体を使用することができる。
【0242】
本発明の感光材料には、前述RD308119VII−K項に記載されているフィルター層や中間層等の補助層を設けることができる。
【0243】
本発明の感光材料は、前述RD308119VII−K項に記載されている順層、逆層、ユニット構成等の様々な層構成をとることができる。
【0244】
本発明は、一般用若しくは映画用のカラーネガフィルム、スライド用若しくはテレビ用のカラー反転フィルム、カラーポジフィルムに代表される種々のカラー感光材料に適用することができる。
【0245】
本発明の感光材料には例えば、写真感光材料の種類・製造番号、メーカー名、乳剤No.等の写真感光材料に関する各種の情報、例えば、撮影日・時、絞り、露出時間、照明の条件、使用フィルター、天候、撮影枠の大きさ、撮影機の機種、アナモルフィックレンズの使用等のカメラ撮影時の各種の情報、例えば、プリント枚数、フィルターの選択、顧客の色の好み、トリミング枠の大きさ等のプリント時に必要な各種の情報、例えば、プリント枚数、フィルターの選択、顧客の色の好み、トリミング枠の大きさ等のプリント時に得られた各種の情報、その他顧客情報等を入力するために、磁気記録層を設けてもよい。
【0246】
本発明においては、磁気記録層は支持体に対して写真構成層とは反対側に塗設されることが好ましく、支持体側から順に、下引き層、帯電防止層(導電層)、磁気記録層、滑り層が構成されることが好ましい。
【0247】
【実施例】
以下実施例により本発明の効果を更に詳細に説明するが、本発明の態様はこれらに限定されない。
【0248】
なお、以下においては、特に断りが無い限り、塗布量はg/mで、ハロゲン化銀は金属銀に換算して、増感色素は1モル当たりのモル数で示す。
【0249】
実施例1
下引層を施した厚さ120μmの透明トリアセチルセルロース支持体上に下記に示すような組成の各層を順次、支持体側から形成して多層ハロゲン化銀感光材料の試料101を作成した。
【0250】
Figure 0003577687
Figure 0003577687
なお上記組成物の他に、塗布助剤SU−1、SU−2、SU−3、分散助剤SU−4、粘度調整剤V−1、安定剤ST−1、染料AI−1、AI−2、カブリ防止剤AF−1、重量平均分子量:10,000及び重量平均分子量:100,000の2種のポリビニルピロリドン(AF−2)、硬膜剤H−1、H−2及び防腐剤DI−1を添加した。
【0251】
尚、Oil−1はジオクチルフタレート、Oil−2はジブチルフタレートである。
【0252】
【化96】
Figure 0003577687
【0253】
【化97】
Figure 0003577687
【0254】
【化98】
Figure 0003577687
【0255】
【化99】
Figure 0003577687
【0256】
以上のように作成した試料101を通常の135サイズ24枚撮りの規格に裁断し、フィルムパトローネに収納した。そして、現在市販されている白黒赤外ネガフィルムであるコニカ(株)製“コニカ赤外750”フィルム135サイズ24枚撮りとともに、それぞれカメラ(キヤノン(株)製EOS−1)に装填し、カメラレンズ前にイーストマンコダック社製ラッテンフィルター25番を装着してから一般的な風景写真の撮影を行った。各シーンの撮影に際しては、ピント調整はマニュアル設定の状態にセットし、通常のピント合わせの後、更に、赤外補正マークに位置変更を行うピント調整を各撮影シーン毎に行った。
【0257】
撮影済みの試料101はコニカミニラボNPS−858J TypeII(プリンター部はコニカLVシリーズのプリントレベルチャンネル設定済み)を用いて、コニカカラーネガフィルム用現像処理CNK−41−J1にて現像処理し、乾燥してモノクロームネガ画像を有する試料101を得た。さらにコニカカラーペーパーQAA6にプリントしてセピア調のモノクロームプリントを得た。一方、“コニカ赤外750”フィルムは市販されている白黒ネガフィルム用現像処理キットを用いて、下記処理工程を行い、そこから得られた白黒ネガ画像を白黒用プリンター及び白黒ペーパー4号タイプを用いて白黒プリントを得た。その後、中外薬品(株)製セピア調色剤キットを用いて、セピア調モノクロームプリントを得た。
【0258】
この結果から明らかなように、白黒ネガフィルムを用いて、セピア調のモノクロームプリントを得るためには、専用のフィルム用現像処理液、印画紙、印画紙用現像処理液、及び、セピア調色剤等が必要であるために、自家処理する人は現在では殆どと言っていいほどおらず、専門の現像所に依頼することになる。その場合、白黒ネガ−ポジシステムユーザーが少なく、消費量が少ないことにより、専門の現像所が少なく、かつ、カラーネガ−ポジシステムに比較して自動化率は低く、手作業にたよる工程があること等から、納期までの時間がかかり、かつ、プリント単価も高価である。一方、本発明を用いた場合には、市場に広く普及しているカラーネガ−ポジシステムに適合するために短時間で、安価にプリントを手にすることができる大きなメリットが認められる。
【0259】
また、白黒赤外ネガフィルムは、通常の白黒ネガフィルムと同様に、ハロゲン化銀乳剤を現像処理して出来る金属銀で画像を形成していることは同じであるが、ガンマ値を硬調に設計していることから、使用している銀量はかなり多いことから、製造にかかるコストを押し上げている。一方、本発明を用いた場合には、使用する銀量は大幅に低減され、かわりに画像を形成するためのカプラーの単価も安価であることから、その製造にかかわるコストも大幅に低減することが可能である。
【0260】
以上のことから、本発明の優位性が歴然と判明した。
【0261】
《白黒ネガフィルム現像処理工程》
工程 処理時間 処理温度 処理液内容
現像 6分 20℃ コニカ(株)製コニカドールDP
停止 30秒 20℃前後 1.5%酢酸溶液
定着 3分 20℃前後 コニカ(株)製コニカフィックスラピッド
水洗 20分 15〜25℃ 流水
水滴防止30秒 20℃前後 コニカ(株)製コニカダックス
その後、通風の良い、ほこりの無い場所で自然乾燥するか、フィルム乾燥機で乾燥させる。
【0262】
実施例2
実施例1で作成した試料101の第3、4、5層の増感色素、および、マゼンタカプラーを表1記載のように変更して、試料103〜111を作成した。また、試料102は、イエロー、マゼンタ、シアンカプラー全部をブラックカプラーに変更して、作成した。なお、同時に、表1に示すように、銀付量、及びカプラー付量を変更することにより、所望のガンマ値に変更した。なお、試料102に関しては、イエローカプラー及びシアンカプラーも除いた。
【0263】
【表1】
Figure 0003577687
【0264】
【化100】
Figure 0003577687
【0265】
【化101】
Figure 0003577687
【0266】
以上のように作成した試料101〜111について、5400K光源を用いてウェッジ露光を行った試料と、イーストマンコダック社製ラッテンフィルター92番を通してウェッジ露光を行った試料を下記の処理工程に従って現像処理を行った。各試料の感度は緑色濃度がカブリ+0.15の光学濃度を与える露光量の逆数で表し、試料101の値を100とした時の相対値で表2に示した。
【0267】
さらに、マゼンタ色像の粒状性について、RMS粒状度を評価した。RMS粒状度は緑色濃度のカブリ+1.0の部分を開口走査面積1800μm(スリット巾10μm、スリット長180μm)のマイクロデンシトメーターで走査し、濃度測定サンプリング数1000以上の濃度値の変動の標準偏差の1000倍値を求め、試料101を100とした時の相対値で表2に示した。
【0268】
同時に、スペクトル感光計を用いて露光した試料を同様の現像処理を行って得た現像済み試料から分光感度分布の赤外光域のλmaxを確認し、数値を表2に示した。
【0269】
なお、試料103、105、110、111のスペクトルを図1〜4に示した。併せて、イーストマンコダック社製ラッテンフィルター92番の分光透過率を図5に示した。
【0270】
《発色現像処理》
Figure 0003577687
【0271】
〈処理剤の調製〉
Figure 0003577687
水を加えて1.0lリットルに仕上げ、水酸化カリウム又は20%硫酸を用いてpH10.06に調整する。
【0272】
Figure 0003577687
水を加えて1.0lに仕上げ、水酸化カリウム又は20%硫酸を用いてpH10.18に調整する。
【0273】
Figure 0003577687
水を加えて1.0lに仕上げ、アンモニア水又は氷酢酸を用いてpH4.4に調整する。
【0274】
Figure 0003577687
水を加えて1.0lに仕上げ、アンモニア水又は氷酢酸を用いてpH4.4に調整する。
【0275】
Figure 0003577687
水を加えて1.0lに仕上げ、アンモニア水又は氷酢酸を用いてpH6.2に調整する。
【0276】
Figure 0003577687
水を加えて1.0lに仕上げ、アンモニア水又は氷酢酸を用いてpH6.5に調整する。
【0277】
Figure 0003577687
水を加えて1.0lに仕上げ、アンモニア水又は50%硫酸を用いてpH8.5に調整する。
【0278】
以上の結果を表2に示す。
【0279】
【表2】
Figure 0003577687
【0280】
表2の結果から明らかな様に、本発明の試料は、一般的な4当量カプラー使用の試料101やブラックカプラー使用の試料102に比べて、特に2当量カプラーを使用することにより、高感度で、かつ、優れた粒状性を有している事が分かる。
【0281】
実施例3
実施例1で作成した試料105の第6、7層に可視光吸収手段を表3のように施して試料112、113を作成し、同時に試料111も同様にして、試料114を作成した。なお、各可視光吸収手段は、各透過吸収極大における透過濃度が1.5となる様に、付量を調整した。
【0282】
以上のように作成した試料112〜114を通常の135サイズ24枚撮りの規格に裁断し、フィルムパトローネに収納し、さらに、レンズ付きフィルムのコニカ(株)製の撮りっきりコニカミニに装填して撮影可能な状態のものを各1台ずつ作成した。同様の方法で、試料105〜107及び111を撮りっきりコニカミニに装填して、試料105から107は各1台ずつ、試料111は2台作成した。試料105〜107装填品及び試料111装填品の内の1台のレンズ前にはイーストマンコダック社製ラッテンフィルター92番を装着した。なお、このテストに使用した撮りっきりコニカミニ8台の内、試料105〜107装填品及び111装填品の内のフィルター装着品1台と、試料112〜114装填品に関しては、赤外光用のピント合わせをレンズとフィルム面との間隔をセット位置を変更することで調整済みである。また、比較フィルムとして、コニカ(株)製の“撮りっきりコニカ白黒”とともに、実施例1と同様に一般的な風景写真の撮影を行った。撮影済みの試料は実施例1と同様にして、モノクローム調のプリントを得た。その結果を、仕上がりプリント画像の評価として、表3に示す。
【0283】
なお、撮りっきり白黒、試料112及び114のスペクトルを図6〜8に示した。併せて、試料112、113及び114に設けた可視光吸収層の分光吸収を図9〜11に示した。
【0284】
【表3】
Figure 0003577687
【0285】
【化102】
Figure 0003577687
【0286】
F−1及びF−4は水溶液で添加を行った。また、Fー2及びF−3は固体微粒子分散の方法で添加を行った。なお、試料113に使用したイエローコロイド銀はハロゲン化銀カラー感光材料に、一般的に使用されているものである。
【0287】
表3から明らかな様に、本発明の試料111は撮影時にフィルターを使用しなければ、一般の白黒ネガフィルムと同様の撮影が出来、プリントも同様の仕上がり画像となり、撮影時に可視光カット用のフィルターを使用すれば、赤外効果のある幻想的な画像を撮影可能である。一方料106、107は可視光カットフィルターを用いることにより、赤外効果を得られるが、設定したガンマ値により、仕上がり画像にメリハリが無くなることから赤外画像効果が弱まったり、逆に硬調になりすぎることから、調子再現性に劣る結果を示し、適度のガンマ設定が必要であることが判明した。赤外写真とは、青空や水が赤外線を反射しないことや植物の葉が赤外線を反射することから、プリントでは空や湖は黒く、木々は白くなる事から、一般の白黒写真とは異なる描写が特徴である。更にこの特徴を活かすためには硬めのガンマ値が有効であるということである。一方、試料112〜114は、可視光カット染料を内蔵していることから、シャッターを押すだけで、簡単に赤外撮影が出来る事は極めて明白である。また、実施例1で明らかになった、モノクロームのプリントを迅速に、安価に得られることと相まって、幻想的な赤外撮影写真を誰でも、いつでも、簡便に作成可能なことは、極めて明白である。
【0288】
又、この試料112〜114の試料を、通常の135用パトローネに詰めれば、135カメラを使うユーザーでも、ピント調整のみで赤外撮影が楽しめることも、また、明白である。
【0289】
【発明の効果】
本発明により、ネガ−ポジシステムのカラー写真現像処理に適合し、高感度で、粒状性に優れ、かつ、印画紙へのプリントも容易であり、さらに、優れた赤外効果を持った再現画像を誰でも簡単に撮影が出来、かつ、モノクロームなプリントを容易に作成することが出来る撮影用白黒画像形成赤外用ハロゲン化銀感光材料、それを用いた撮影ユニット及び白黒画像形成方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2、試料103の感光波長スペクトルを示す図である。
【図2】実施例2、試料105の感光波長スペクトルを示す図である。
【図3】実施例2、試料110の感光波長スペクトルを示す図である。
【図4】実施例2、試料111の感光波長スペクトルを示す図である。
【図5】実施例2、イーストマンコダック社製ラッテンフィルター92番の分光透過率を示す図である。
【図6】実施例3、撮りっきり白黒の感光波長スペクトルを示す図である。
【図7】実施例3、試料112の感光波長スペクトルを示す図である。
【図8】実施例3、試料114の感光波長スペクトルを示す図である。
【図9】実施例3、試料112に設けた可視光吸収層(F−1)の分光吸収を示す図である。
【図10】実施例3、試料113に設けた可視光吸収層(イエローコロイド銀)の分光吸収を示す図である。
【図11】実施例3、試料114に設けた可視光吸収層(F−2+F−3+F−4)の分光吸収を示す図である。

Claims (8)

  1. 透明支持体上の一方の側に、それぞれ少なくとも一層の感光性層および非感光性層からなる写真構成層を有、該感光性層の少なくとも一層が可視光から赤外光まで感光するように増感されたハロゲン化銀乳剤と、カプラーの分散液を含有し、前記感光性層のガンマ値が0.70以上1.50以下であり、かつ、透明支持体とは感光性層をはさんで反対側に位置する非感光性層が、可視光を吸収する染料を含有することを特徴とする赤外撮影が可能な撮影用白黒画像形成ハロゲン化銀感光材料。
  2. 前記カプラーが、ブラックカプラーであることを特徴とする請求項1に記載の赤外撮影が可能な撮影用白黒画像形成ハロゲン化銀感光材料。
  3. 前記カプラーが、発色現像主薬の酸化体とのカップリング反応によって形成された発色色素の分光極大吸収波長(λmax)が、お互いに50nm以上異なる3種類の2当量カプラーからなり、且つ、該3種類のカプラーが同一の油滴中に存在するものであることを特徴とする請求項1に記載の赤外撮影が可能な撮影用白黒画像形成ハロゲン化銀感光材料。
  4. 前記カプラーが、2当量イエローカプラー、2当量マゼンタカプラー、2当量シアンカプラーが同一層中に含有されるものであることを特徴とする請求項1または3に記載の赤外撮影が可能な撮影用白黒画像形成ハロゲン化銀感光材料。
  5. 前記感光性層に含有するハロゲン化銀がAgBrIであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の赤外撮影が可能な撮影用白黒画像形成ハロゲン化銀感光材料。
  6. 平均アスペクト比≧2のハロゲン化銀粒子を前記感光性層中に含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の赤外撮影が可能な撮影用白黒画像形成ハロゲン化銀感光材料。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の赤外撮影が可能な撮影用白黒画像形成ハロゲン化銀感光材料を装填し、撮影可能な状態に包装したことを特徴とする撮影ユニット。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の赤外撮影が可能な撮影用白黒画像形成ハロゲン化銀感光材料を露光後、発色現像液で現像処理してネガ画像を得ることを特徴とする白黒画像形成方法。
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