JP3663308B2 - 回転操作型電気部品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転体を回転動作することによって抵抗値等を変化させる回転操作型電気部品に係り、特に、回転体を中立位置に自動復帰させるセルフリターン機能を有する回転操作型電気部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のセルフリターン機能を有する回転操作型電気部品は、例えばビデオカメラのズームイン・アウトの動作手段として用いられており、その従来例として実開平6−26130号公報に記載のものが知られている。
【0003】
上記公報に記載された回転操作型電気部品は、摺動子を有する回転体と、この回転体を回転自在に支持する受け部材と、回転体を中立位置に自動復帰させる戻しばねと、回転体と対向するように受け部材に固定された抵抗基板等によって概略構成されており、回転体には操作者の手指等によって押圧操作される操作レバーが一体化されている。
【0004】
このように構成された回転操作型電気部品では、操作者が操作レバーをいずれか一方の端部側へ押圧操作すると、回転体が戻しばねの弾発力に抗して中立位置からいずれか一方向へ回転し、摺動子が抵抗基板に形成された抵抗パターン上を摺動することにより、抵抗基板から出力される抵抗値が変化する。したがって、例えば、この抵抗値変化を検出してモータの回転方向と回転速度を制御することにより、操作レバーの押圧方向に応じてズームインあるいはズームアウト動作を行うことができる。また、操作者が操作レバーに対する押圧力を除去すると、回転体は戻しばねの弾発力によって中立位置へ自動復帰し、操作レバーも回転体に連動して初期状態に復帰する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように、セルフリターン機能を有する回転操作型電気部品では、操作レバーに対する押圧力を除去すると、回転体が戻しばねの弾発力によって中立位置へ自動復帰するようになっているため、非使用状態で回転体は常に中立位置に保持され、この中立位置を基準として回転体を互いに逆方向へ回転させることができる。
【0006】
しかしながら、前述した従来技術のように、この種の回転操作型電気部品をビデオカメラのズームイン・アウトの動作手段として用いた場合、回転体の回転角度に伴って変化する抵抗値に基づいて、モータを制御してズームインまたはズームアウト動作時のズーム率を変更するようになっているため、例えばズーム率を最大にしたい場合、モータがズーム率を最大にする前に操作レバーへの押圧力を除去すると、回転体が中立位置へ自動復帰してズーム率が最大になる途中でモータの駆動が停止することになる。このため、操作者はズーム率が最大になるまでの所定時間だけ操作レバーの押圧操作を継続しなければならず、操作者にとってはその時間が長く感じる場合もあり、使い勝手を良くするという点で改善の余地があった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、セルフリターン機能を有する回転操作型電気部品において、回転体の回転角度に応じて変化する抵抗値等の出力信号とは別に、回転体の回転末端位置で動作されるスイッチを設けることとする。このようなスイッチを有する回転操作型電気部品によれば、回転体の回転末端位置でスイッチが動作されるため、ビデオカメラのズームイン・アウトの動作手段として用いた場合、回転体が回転末端位置に達したことをスイッチによって検出し、この検出信号に基づいてズーム率を瞬時に変更することができ、操作者にとって使い勝手を良好にすることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の回転操作型電気部品では、摺動子を有する回転体と、この回転体を回転自在に支持する受け部材と、前記回転体を中立位置に自動復帰させる弾性部材と、摺動パターンが形成された基板とを備え、前記回転体の回転に伴って前記摺動子が前記摺動パターン上を摺動する回転操作型電気部品において、前記回転体の両方の回転末端位置で動作されるスイッチを、前記回転体の両方の回転末端位置にそれぞれ設けた。
【0009】
このように構成すると、回転体の回転末端位置でスイッチが動作されるため、ビデオカメラのズームイン・アウトの動作手段として用いた場合、回転体が回転末端位置に達したことをスイッチによって検出し、この検出信号に基づいてズーム率を瞬時に変更することができ、操作者にとって使い勝手を良好にすることができる。
【0010】
前記スイッチは前記回転体の両方の回転末端位置でそれぞれ動作される一対のスイッチを設けると、ビデオカメラのズームイン・アウトの動作手段として用いた場合、両スイッチの検出信号に基づいてズーム率を瞬時に最大または最小にすることができる。
【0011】
また、前記スイッチは前記基板に形成された固定接点に対して摺動子が可動接点として接離するものでも良いが、この摺動子とは別の可動接点が固定接点に対して接離するプッシュスイッチとなし、前記回転体にプッシュスイッチの可動接点を押圧するための押圧子を設けると共に、この押圧子が回転する回動面に対してプッシュスイッチを略直交するように配置すると、プッシュスイッチを回転体の回転末端位置を規制するストッパとして機能させることができる。
【0012】
また、前記押圧子を前記回転体から半径方向に突設させ、前記プッシュスイッチを回転体の側方に配置すると、押圧子を含む回転体とプッシュスイッチとが高さ方向にオーバーラップして配置されるため、回転操作型電気部品の薄型化を図ることができる。
【0013】
また、前記プッシュスイッチとして単品のものを用いても良いが、前記基板をフレキシブル基板とし、このフレキシブル基板の延出部にプッシュスイッチの固定接点を設けると、1枚のフレキシブル基板に摺動パターンとプッシュスイッチの固定接点とを形成することができ、部品点数の削減化や構造の簡略化を図ることができる。
【0014】
また、前記受け部材を前記フレキシブル基板を介して支持板に固定し、この支持板に前記フレキシブル基板の延出部が固定される起立片を設けると、共通の支持板に受け部材とプッシュスイッチを固定することができ、組立作業と構造の簡略化を図ることができる。
【0015】
また、前記プッシュスイッチは単に固定接点に対して可動接点が接離するだけでも良いが、この可動接点として反転時にクリック感を生起するドーム状のタクトばねを用いたクリック付きのプッシュスイッチの場合、このタクトばね上に消音シートを積層すると、操作者はタクトばねの反転時に生起されるクリック感によって回転体が回転末端位置に達したことを知ることができ、かつ、回転体の押圧子が消音シートを介してプッシュスイッチの可動接点を押圧するため、プッシュスイッチの動作時の衝突音を消音シートによって低減することができ、特に、タクトばねとして金属製の板ばねを用いた場合に有効である。
【0016】
また、前記スイッチがドーム状のタクトばねを用いたクリック付きのプッシュスイッチの場合、このタクトばねが反転した後の回転体の過回転を阻止するストッパ部を受け部材に設けると、回転体の回転末端位置を規制するストッパ強度が高まり、回転体の過回転に起因するタクトばねの変形やへたりを防止することができる。
【0017】
また、前記回転体の天面中央に嵌合部を設け、この嵌合部に係合する操作レバーを介して回転体を回転操作するように構成すると、嵌合部に係合する部分の形状を共通にすれば、操作レバーのデザインが変わっても回転操作型電気部品を共用することができ、回転操作型電気部品の汎用性が高まる。
【0018】
【実施例】
実施例について図面を参照して説明すると、図1は回転操作型電気部品の平面図、図2は回転操作型電気部品の正面図、図3は回転操作型電気部品の底面図、図4は図1のIV−IV線に沿う断面図、図5は図2のV−V線に沿う断面図、図6は受け部材と捩じりコイルばねの取り付け状態を示す平面図、図7は回転体と捩じりコイルばねの取り付け状態を示す底面図、図8はフレキシブル基板の平面図、図9は回転体を末端位置まで回転した状態を一部破断して示す回転操作型電気部品の平面図、図10は回転操作型電気部品の出力特性を示す説明図、図11は回転操作型電気部品と操作レバーの斜視図である。なお、図8において、摺動子を仮想線にて描いている。
【0019】
実施例に係る回転操作型電気部品1はビデオカメラのズーム用可変抵抗器であり、図1〜図4に示すように、支持板2と、この支持板2上に固定された受け部材3と、これら支持板2と受け部材3との間に挟持固定されたフレキシブル基板4と、受け部材3の内部に回転自在に収納された摺動子受け5と、この摺動子受け5に一体化された回転体6と、この回転体6を中立位置に自動復帰させる弾性部材としての捩じりコイルばね7と、支持板2に取り付けられた一対のプッシュスイッチ8,9とによって概略構成されている。
【0020】
支持板2はステンレス等の金属板材からなり、平坦状の平板部2aには図示せぬ外部機器に取り付けるための取付片2bが形成されている。支持板2の平板部2aには一対の起立片2c,2dが略直角に折り曲げ形成されており、これら起立片2c,2dは回転体6の回転方向に沿って約90度離れた位置に設けられている。
【0021】
受け部材3はPBT(ポリブチレンテレフタレート)等の合成樹脂材からなり、全体的に円筒状に形成されている。受け部材3の下端に複数のボス3aが突設されており、各ボス3aを平板部2aに熱がしめすることにより、受け部材3は支持板2の平板部2a上に固定されている。図6に示すように、受け部材3の上面中央に軸孔3bが穿設されており、この軸孔3bの外側に所定範囲にわたって円弧状に延びるばね受け突起3cが形成されると共に、このばね受け突起3cの両端3e,3fからほぼ等距離の位置にストッパ突起3dが形成されている。受け部材3の上面と後述する回転体6の下面との間に捩じりコイルばね7が配置され、この捩じりコイルばね7の円環部7cから延びる両腕部7a,7bがばね受け突起3cの両端3e,3fにそれぞれ係止されている。
【0022】
フレキシブル基板4はPET(ポリエチレンテレフタレート)等の可撓性を有する絶縁性樹脂をベースフィルムとし、このベースフィルム上に可変抵抗器の抵抗体と集電体および両プッシュスイッチ8,9の固定接点がそれぞれ形成されている。すなわち、図8に示すように、このフレキシブル基板4は、略円形の抵抗基板部4aと、この抵抗基板部4aから突出する帯状のリード部4bと、抵抗基板部4aに繋がれた一対の矩形状のスイッチ基板部4c,4dとを備えており、抵抗基板部4aには円弧状の集電体10と抵抗体11が同心円状に形成されている。カーボンパターンからなる抵抗体11の下面には両端と中央に銀パターン11a,11b,11cが形成されており、両端の銀パターン11a,11bと集電体10の一端は引き回しパターンを介してリード部4bの先端まで延びている。また、両スイッチ基板部4c,4dにはそれぞれ銀ペーストあるいは、銀とカーボンとの混合ペーストを印刷形成してなる中央固定接点12a,13aと周辺固定接点12b,13bが形成されており、これら各固定接点12a,12b,13a,13bも別の引き回しパターンを介してリード部4bの先端まで延びている。なお、集電体10は銀パターンとこの銀パターンを覆うカーボンパターンとによって構成されている。
【0023】
このように構成されたフレキシブル基板4のうち抵抗基板部4aは支持板2の平板部2a上に載置され、この平板部2aと前述した受け部材3とによって挟持固定される。その際、受け部材3の各ボス3aが抵抗基板部4aの周縁部に形成された孔14や切欠き15を挿通して平板部2aに熱がしめされており、これによって平板部2aと受け部材3および抵抗基板部4aの三者が高精度に位置決めされる。また、フレキシブル基板4のリード部4bは支持板2の平板部2aから外方へ延び、回転操作型電気部品1の出力端子部として機能する。さらに、フレキシブル基板4の両スイッチ基板部4c,4dは抵抗基板部4aに対して直角に折り曲げられ、支持板2の起立片2c,2dにそれぞれ重ねられてプッシュスイッチ8,9を構成する。
【0024】
図5に示すように、一方のプッシュスイッチ8は、起立片2cに対して順次積層されたスイッチ基板部4cとタクトばね16および消音シート17と、これら積層体を起立片2cに固定する枠体18とによって構成されている。タクトばね16は可動接点として機能するもので、リン青銅等の弾性に富む金属薄板をドーム状にフォーミングしたものからなり、反転時にクリック感を生起するようになっている。タクトばね16の周縁部はスイッチ基板部4cに形成された周辺固定接点12bと常時接触しているが、タクトばね16の頂部はスイッチ基板部4cに形成された中央固定接点12aと離反しており、この状態でプッシュスイッチ8はオフとなっている。そして、タクトばね16が反転して中央固定接点12aに接触すると、中央固定接点12aと周辺固定接点12bがタクトばね16を介して導通され、この状態でプッシュスイッチ8はオンに切り換わる。消音シート17はシリコンゴム等の弾性に富むシート材からなり、タクトばね16の上面に粘着剤等によって貼着されている。枠体18はPBT等の合成樹脂材からなり、背面から突出するボス18aを起立片2cに熱がしめすることにより、スイッチ基板部4cとタクトばね16および消音シート17の三者は枠体18と起立片2cとの間に挟持固定されている。この枠体18には円形の開口18bが穿設されており、消音シート17の周縁部を除く大部分はこの開口18bから露出している。なお、他方のプッシュスイッチ9の詳細図は省略するが、このプッシュスイッチ9はスイッチ基板部4cの代わりにスイッチ基板部4dを起立片2dに重ねている点が相違するだけで、それ以外のドーム状のタクトばねや消音シートあるいは枠体(いずれも図示せず)は前述したプッシュスイッチ8と同様に構成されている。
【0025】
摺動子受け5はポリアセタール等の合成樹脂材からなり、全体的にリング状に形成されている。図4に示すように、摺動子受け5は受け部材3の内部に回転自在に収納されており、受け部材3の上部に配置された回転体6と一体化されている。摺動子受け5の下面に一対の摺動子19,20が熱がしめやアウトサート等によって取り付けられており、図8に摺動子19,20を仮想線(2点鎖線)で示すように、一方の摺動子19はフレキシブル基板4の抵抗基板部4aに形成された集電体10に摺接し、他方の摺動子20は同じく抵抗基板部4aに形成された抵抗体11に摺接している。
【0026】
回転体6はポリアセタール等の合成樹脂材からなり、受け部材3の外周面とほぼ同径の円板部6aと、円板部6aの外周面から半径方向外側に突出する略T字状の押圧子6bとを有している。図1に示すように、円板部6aの上面中央に略D字状の嵌合孔6cを有するボス6dが突設されており、このボス6dの外側に係合溝6eを有する環状壁6fが突設されている。一方、図7に示すように、円板部6aの下面中央に回転体6の回転軸となる筒状部6gと円弧状のばね押え部6jとが突設されており、捩じりコイルばね7はこれら筒状部6gとばね押え部6jとの間に保持されている。すなわち、捩じりコイルばね7の円環部7cが筒状部6gに巻回されると共に、捩じりコイルばね7の両腕部7a,7bの円環部7c側がばね押え部6jの両端6k,6lにそれぞけ係止されている。筒状部6gの下端に複数の突起6mが形成されており、これら突起6mを摺動子受け5の孔に挿通して熱がしめすることにより、摺動子受け5と回転体6は一体化されている(図4参照)。また、円板部6aの下面に一対の係合突起6h,6iが形成されており、これら係合突起6h,6iは円板部6aの周方向に約90度離れた位置に設けられている。図1のハッチングで示すように、受け部材3のストッパ突起3dは両係合突起6h,6iの間に位置し、両係合突起6h,6iがストッパ突起3dに当接することにより、回転体6とそれに一体化された摺動子受け5の回転角度は約90度の範囲内に規制されるようになっている。さらに、図2に示すように、押圧子6bは両プッシュスイッチ8,9のほぼ中央を通る平面内に位置しており、後述するように、両プッシュスイッチ8,9は回転体6の回転末端位置で押圧子6bによって動作される。
【0027】
このように構成された回転操作型電気部品1は外部機器であるビデオカメラに実装され、ズームイン・アウトの動作手段として用いられる。この場合、図11に示すように、操作者によって操作される操作レバー21が回転操作型電気部品1の回転体6に取り付けられ、この操作レバー21を介して回転体6が回転操作されるが、以下の説明では操作レバー21を省略してある。なお、操作レバー21は嵌合孔6cに嵌合される軸部21aと係合溝6eに係止される係合突起21bとを有し、操作者が軸部21aの上部から突出する指掛部21cを回転操作することにより、回転体6と摺動子受け5は操作レバー21と一体的に回転する。
【0028】
まず、回転体6に回転操作力が付与されていない非操作状態において、捩じりコイルばね7の両腕部7a,7bは受け部材3に形成されたばね受け突起3cの両端3e,3fにそれぞれ係止されており(図6参照)、これら腕部7a,7bからの弾発力によって回転体6と摺動子受け5は図1の中立位置に保持されている。この場合、一方の摺動子19の先端(接点)は集電体10の中央部に摺接し、他方の摺動子20の先端(接点)は中央の銀パターン11c上の抵抗体11に摺接しているため(図8参照)、例えば、抵抗体11の両端に+5Vを印加して使用する場合、図10に示すように、フレキシブル基板4のリード部4bから+2.5Vが出力される。
【0029】
この中立位置から回転体6が図1の時計回り方向に回転すると、両摺動子19,20がそれぞれ集電体10と抵抗体11上を摺動し、リード部4bからの出力値が+2.5Vから+5V方向へ上昇するため、その出力値に応じて図示せぬモータの回転方向と回転速度を制御することにより、例えばズームイン方向のズーム率が変更される。そして、回転体6が時計回り方向へ約45度回転して一方の末端位置まで達すると、回転体6の押圧子6bが一方のプッシュスイッチ8の消音シート17を押圧し、この消音シート17を介してタクトばね16が押圧されるため、タクトばね16が反転してプッシュスイッチ8はオフからオンへと切り換わる。したがって、リード部4bから出力されるプッシュスイッチ8のオン信号に基づいて、ズーム率を瞬時に最大にすることができる。かかるプッシュスイッチ8のオン動作時に、図9に示すように、回転体6の一方の係合突起6iが受け部材3のストッパ突起3dに当接し、回転体6のそれ以上の回転が阻止されるため、押圧子6bからタクトばね16に無理な押圧力は加わらず、タクトばね16の変形が確実に防止される。なお、このように回転体6が時計回り方向に回転すると、回転体6のばね押え部6jの一端6lが捩じりコイルばね7の一方の腕部7bを捩じりコイルばね7の弾発力に抗して押圧し、捩じりコイルばね7の一方の腕部7bがばね受け突起3cの一端3eから離反する。このとき、捩じりコイルばね7の他方の腕部7aは、ばね受け突起3cの他端3fに係止されたままであるため(図6,図7参照)、捩じりコイルばね7に反時計回り方向の弾発力が蓄力されることとなり、回転体6に対する上記の回転操作力を除去すると、回転体6と摺動子受け5は図1に示す中立位置に自動復帰する。
【0030】
これとは逆に、回転体6が中立位置から図1の反時計回り方向に回転すると、リード部4bからの出力値が+2.5Vから0V方向へ減少するため、ズームアウト方向のズーム率が変更される。そして、回転体6が反時計回り方向へ約45度回転して他方の末端位置まで達すると、回転体6の押圧子6bが他方のプッシュスイッチ9の図示せぬ消音シートを押圧し、このプッシュスイッチ9がオフからオンへと切り換わるため、そのオン信号に基づいてズーム率を瞬時に最小にすることができる。この場合は、他方の係合突起6hが受け部材3のストッパ突起3dに当接し、回転体6のそれ以上の回転が阻止されるため、プッシュスイッチ9に内蔵された図示せぬタクトばねの変形が確実に防止される。なお、このように回転体6が反時計回り方向に回転すると、捩じりコイルばね7の他方の腕部7aがばね押え部6jの他端6kによって押圧されて、ばね受け突起3cの他端3fから離反する。このとき、捩じりコイルばね7の一方の腕部7bは、ばね受け突起3cの一端3eに係止されているため、捩じりコイルばね7に時計回り方向の弾発力が蓄力され、回転体6に対する上記の回転操作力を除去すると、回転体6と摺動子受け5は図1に示す中立位置に自動復帰する。
【0031】
なお、図10に示すように、プッシュスイッチ8,9がオンするのは出力電圧が変化しない領域、すなわち、摺動子20が両端の銀パターン11a,11b上の抵抗体11に達した後としている。このように設定することにより、部品寸法や組立て時のバラツキ等に起因して特性がいずれか側にシフトしたとしても、出力電圧(抵抗値)が変化し終わった後に、両プッシュスイッチ8,9を確実にオン動作させることができる。
【0032】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0033】
摺動子を有する回転体と、この回転体を回転自在に支持する受け部材と、前記回転体を中立位置に自動復帰させる弾性部材と、摺動パターンが形成された基板とを備え、前記回転体の回転に伴って前記摺動子が前記摺動パターン上を摺動する回転操作型電気部品において、前記回転体の両方の回転末端位置で動作されるスイッチを、前記回転体の両方の回転末端位置にそれぞれ設けると、回転体の回転末端位置でスイッチが動作されるため、ビデオカメラのズームイン・アウトの動作手段として用いた場合、回転体が回転末端位置に達したことをスイッチによって検出し、この検出信号に基づいてズーム率を瞬時に変更することができ、操作者にとって使い勝手を良好にすることができる。
【0035】
また、スイッチとして可動接点が固定接点に対して接離するプッシュスイッチを用い、回転体にプッシュスイッチの可動接点を押圧するための押圧子を設けると共に、この押圧子が回転する回動面に対してプッシュスイッチを略直交するように配置すると、プッシュスイッチを回転体の回転末端位置を規制するストッパとして機能させることができる。
【0036】
また、押圧子を回転体から半径方向に突設させ、プッシュスイッチを回転体の側方に配置すると、押圧子を含む回転体とプッシュスイッチとが高さ方向にオーバーラップして配置されるため、回転操作型電気部品の薄型化を図ることができる。
【0037】
また、基板をフレキシブル基板とし、このフレキシブル基板の延出部にプッシュスイッチの固定接点を設けると、1枚のフレキシブル基板に摺動パターンとプッシュスイッチの固定接点とを形成することができ、部品点数の削減化や構造の簡略化を図ることができる。
【0038】
また、受け部材をフレキシブル基板を介して支持板に固定し、この支持板にフレキシブル基板の延出部が固定される起立片を設けると、共通の支持板に受け部材とプッシュスイッチを固定することができ、組立作業と構造の簡略化を図ることができる。
【0039】
また、プッシュスイッチの可動接点として反転時にクリック感を生起するドーム状のタクトばねを用いた場合、このタクトばね上に消音シートを積層すると、操作者はタクトばねの反転時に生起されるクリック感によって回転体が回転末端位置に達したことを知ることができ、かつ、回転体の押圧子が消音シートを介してプッシュスイッチの可動接点を押圧するため、プッシュスイッチの動作時の衝突音を消音シートによって低減することができる。
【0040】
また、ドーム状のタクトばねを用いたクリック付きのプッシュスイッチの場合、このタクトばねが反転した後の回転体の過回転を阻止するストッパ部を受け部材に設けると、回転体の回転末端位置を規制するストッパ強度が高まり、回転体の過回転に起因するタクトばねの変形を防止することができる。
【0041】
また、回転体の天面中央に嵌合部を設け、この嵌合部に係合する操作レバーを介して回転体を回転操作するように構成すると、嵌合部に係合する部分の形状を共通にすれば、操作レバーのデザインが変わっても回転操作型電気部品を共用することができ、回転操作型電気部品の汎用性が高まる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に係る回転操作型電気部品の平面図である。
【図2】該回転操作型電気部品の正面図である。
【図3】該回転操作型電気部品の底面図である。
【図4】図1のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】図2のV−V線に沿う断面図である。
【図6】受け部材と捩じりコイルばねの取り付け状態を示す平面図である。
【図7】回転体と捩じりコイルばねの取り付け状態を示す底面図である。
【図8】フレキシブル基板の平面図である。
【図9】回転体を末端位置まで回転した状態を一部破断して示す回転操作型電気部品の平面図である。
【図10】回転操作型電気部品の出力特性を示す説明図である。
【図11】回転操作型電気部品と操作レバーの斜視図である。
【符号の説明】
1 回転操作型電気部品
2 支持板
2a 平板部
2c,2d 起立片
3 受け部材
3c ばね受け突起
3d ストッパ突起
4 フレキシブル基板
4a 抵抗基板部
4b リード部
4c,4d スイッチ基板部
5 摺動子受け
6 回転体
6a 円板部
6b 押圧子
6c 嵌合孔
6h,6i 係合突起
7 捩じりコイルばね
7a,7b 腕部
7c 円環部
8,9 プッシュスイッチ
10 集電体
11 抵抗体
12a,13a 中央固定接点
12b,13b 周辺固定接点
16 タクトばね
17 消音シート
18 枠体
19,20 摺動子
21 操作レバー

Claims (8)

  1. 摺動子を有する回転体と、この回転体を回転自在に支持する受け部材と、前記回転体を中立位置に自動復帰させる弾性部材と、摺動パターンが形成された基板とを備え、前記回転体の回転に伴って前記摺動子が前記摺動パターン上を摺動する回転操作型電気部品において、
    前記回転体の両方の回転末端位置で動作されるスイッチを、前記回転体の両方の回転末端位置にそれぞれ設けたことを特徴とする回転操作型電気部品。
  2. 請求項1の記載において、前記スイッチは可動接点が固定接点に対して接離するプッシュスイッチであり、前記回転体に前記可動接点を押圧するための押圧子を設けると共に、この押圧子が回転する回動面に対して前記プッシュスイッチを略直交するように配置したことを特徴とする回転操作型電気部品。
  3. 請求項2の記載において、前記押圧子を前記回転体から半径方向に突設させ、前記プッシュスイッチを前記回転体の側方に配置したことを特徴とする回転操作型電気部品。
  4. 請求項2または3の記載において、前記基板はフレキシブル基板であり、このフレキシブル基板の延出部に前記プッシュスイッチの固定接点を設けたことを特徴とする回転操作型電気部品。
  5. 請求項4の記載において、前記受け部材を前記フレキシブル基板を介して支持板に固定し、この支持板に前記フレキシブル基板の延出部が固定される起立片を設けたことを特徴とする回転操作型電気部品。
  6. 請求項4または5の記載において、前記プッシュスイッチの可動接点は反転時にクリック感を生起するドーム状のタクトばねからなり、このタクトばね上に消音シートを積層したことを特徴とする回転操作型電気部品。
  7. 請求項4または5の記載において、前記プッシュスイッチの可動接点は反転時にクリック感を生起するドーム状のタクトばねからなり、このタクトばねが反転した後の前記回転体の過回転を阻止するストッパ部を前記受け部材に設けたことを特徴とする回転操作型電気部品。
  8. 請求項1〜7のいずれかの記載において、前記回転体の天面中央に嵌合部を設け、この嵌合部に係合する操作レバーを介して前記回転体が回転操作されることを特徴とする回転操作型電気部品。
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