JP3659343B2 - 火力調節装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガス器具に設けられたバーナへのガス供給量を制御して、バーナの点消火および火力調節を行う火力調節装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の火力調節装置としては、特許第2129580号により、火力調節を行う流量調節機構に相当するモータ駆動式の電動バルブを各バーナ毎に取り付けたものが知られている。このものでは、通常のモータを使用しており、そのため、モータの回転軸を含めた駆動系の一部に位置センサを設ける必要がある。そしてその位置センサによって電動バルブの開度を検知しながら開度を調節している。
【0003】
そのため、この火力調節機構では、電動バルブの開度を検知するために位置センサを設けなければならない。そして、常に位置センサの出力信号をサーチしながら電動バルブの開度調節をしなければならない。
【0004】
このような場合には、流量調節機構を駆動するモータとしてステッピングモータを使用し、ステッピングモータに供給するパルス数によって開度を制御することが考えられる。このようにステッピングモータを用いると、所定の開度位置でその開度を保持させることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ただし、ステッピングモータを用いた場合には供給したパルス数から想定される開度と実際の開度とがずれるという脱調というエラーが生じるおそれがある。
【0006】
従って、流量調節機構の開度を検知することなく、ステッピングモータに供給するパルス数だけで開度を制御することが考えられるものの、脱調については、補正する必要がある。
【0007】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、流量調節機構をステッピングモータで駆動する際、位置センサによって常に流量調節機構の開度を監視する必要がなく、エラーを確実に補正することのできる火力調節装置を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明による火力調節装置は、モータにより駆動されバーナへガスを供給するガス量を増減制御すると共に閉弁位置ではガスの供給を停止させる流量調節機構を、流量調節機構へのガスの供給路を開閉する電磁式の安全弁の下流側に設けた火力調節装置において、上記モータとしてステッピングモータを用い、ステッピングモータに供給するパルス数により上記流量調節機構の開度を制御すると共に、流量調節機構の開度が点火に必要なガス量になる位置より全閉側にスイッチの作動位置を設定し、このスイッチの作動位置に達するとスイッチの作動により上記パルス数から規定される開度と実際の開度との誤差を補正することを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、流量制御機構を全閉状態から開弁する際、および開弁状態から全閉状態に閉弁する際に、必ずスイッチが作動するので、確実に補正が行われる。
【0010】
なお、ステッピングモータの回転軸に連動して回転するカム板と、カム板によって作動するマイクロスイッチを取り付け、このマイクロスイッチを上記スイッチとしたことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1を参照して、GTはガステーブルであり、2個のコンロ用バーナBCと1個のグリル用バーナBGとを備えている。これら各バーナBC,BGにはガス供給管GPからガスが供給される。各バーナBC,BGには火力調節用のバルブユニット1が各々直列に接続されている。
【0012】
このバルブユニット1は各バーナBC,BGへのガスの供給路を開閉する電磁式の安全弁2と各バーナBC,BGへ供給されるガスの流量を増減して火力調節を行う流量調節弁3とから構成されている。
【0013】
図2を参照して、安全弁2はソレノイド部21にソレノイドコイルとばねとを内蔵している。弁体20はこのばねにより常に閉弁方向に付勢されており、ソレノイドに通電するとばねの付勢力に抗して弁体20が開弁方向に駆動され、ガス供給路が開放される。逆にソレノイドコイルへの通電が停止すると、ソレノイドコイルによる磁力が消滅し、ばねの付勢力により弁体20が閉弁方向に戻され、ガス供給路が閉鎖される。
【0014】
流量調節弁3は主に回転板31と固定板32とオリフィス板33とから構成される。更に、図3を参照して、回転板31はステッピングモータ34の駆動軸34aに連結された回転軸35によって回転される。一方、固定板32はバルブユニット1の筐体に固定されている。回転板31には回転方向に沿って長穴31aが開けられており、固定板32には長穴31aの軌跡に沿って複数の貫通孔32aが形成されている。
【0015】
長穴31aと貫通孔32aとが一致しないとガスは長穴31aを通過することができず、従って、ガスは各バーナBC,BGへ供給されない。ステッピングモータ34を駆動して回転板31を回転させると、長穴31aが貫通孔32aに順次一致していく。長穴31aに一致した貫通孔32aはガスが通過する。ただし、長穴31aは2個の貫通孔32aに一致する長さに形成されているので、回転板31aを回転させると、長穴32aに一致する貫通孔32aの組み合わせが順次切り替わっていく。
【0016】
なお、ガス種が異なるとガス種に応じてガスの供給量を変更する必要がある。そのため、ガス種に応じた流量になるオリフィス穴33aを形成したオリフィス板33を固定板33の上面にパッキン32bを介して重ねている。このように構成しているので、回転板31を回転させるとガスが通過するオリフィス穴33aが順次選択され、オリフィス穴33aによって調節された量のガスが各バーナBC,BGへと供給される。なお、ガス種が変更される場合には、オリフィス板33のみを変更後のガス種に応じて取り替えればよい。
【0017】
ところで、ステッピングモータ34は図示しない制御装置から供給されるパルス信号により回転駆動される。そして、駆動軸34aの回転角度は供給されるパルス数に比例する。本発明では駆動軸34aの実際の回転角度をエンコーダ等を用いて連続して検知するフィードバック制御ではなく、供給するパルス数のみにより回転角度を制御するオープンループ制御を行っている。ただし、ガス供給量が所定量に到達すると図示しないイグナイタおよび点火電極を備えた点火装置を作動させて各バーナBC,BGに点火する必要があるため、ステッピングモータ34の駆動軸34aにカム4を取り付け、このカム4の近傍に取り付けたマイクロスイッチ5がカム4によってオンにされると点火装置が作動するように構成した。
【0018】
図4を参照して、流量調節弁3が閉状態にある(a)に示す状態からステッピングモータ34を駆動して回転板31を回転させると流量制御弁3は開弁状態になる。ただし、開弁初期の開度では供給されるガス量は弱火に相当するガス量でり極めて少量である。そのような状態で点火装置を作動させても各バーナBC,BGに点火させることはできない。そのため、回転板31を約110°回転させた時点で点火装置を作動させるようにした。回転板31が110°回転すると連動してカム4も110°回転し、(b)に示すように、カム部41がマイクロスイッチ5をオンさせる。
【0019】
この110°の位置は中火位置より若干弱火位置側に設定されている。ただし、回転板31を110°回転させた状態では、まだ各バーナBC,BGには点火可能な量のガスは供給されない。点火装置を先行して作動させた状態で更に回転板31を回転させ、各バーナBC,BGに供給されるガス量を増加させると供給されるガス量が点火可能なガス量を超え、既に作動している点火装置によって点火が行われる。
【0020】
更に詳細に説明すると、図5を参照して、点火指示が制御装置に対してされると、制御装置はまず2つのパラメータのNとMとを0にリセットする(S1)。そして、駆動軸34aを原点になるまで逆転させる。原点はマイクロスイッチ5がオフになることにより検知できる。駆動軸34aを所定時間逆転させ、もしマイクロスイッチ5がオフにならない場合には、パラメータNをチェックし(S3)、1より小さい値、すなわち0の場合には再び所定時間駆動軸34aを逆転させる原点調整を行なうと共に(S4)、パラメータNに1を加える(S5)。
【0021】
このように2度の原点調整を行ってもマイクロスイッチ5がオフにならない場合にはS3からS6に進み、原点エラーとしてそれ以上の作動を停止させる(S6)。マイクロスイッチ5がオフになったことが確認されると、制御装置はステッピングモータ34に対して224パルスを供給し、回転板31を回転させる。なお、224パルスは中火位置である130°の回転角度に相当する。
【0022】
マイクロスイッチ5は上述の通り110°の位置でオンするように設定されている。110°は本実施の形態では190パルスに相当する。従って、異常がなければ制御装置が224パルスをすべて出力する前にマイクロスイッチ5がオンになる。従って、224パルス出力してもマイクロスイッチ5がオンにならないときには回転板31に固着等のディスク作動エラーが発生したとしてそれ以降の制御を中止する(S8,S9)。一方、マイクロスイッチ5がオンになるとその時点で既に出力されているパルス数を記憶すると共に、パルス数が200を超えていれば、直ちに点火動作を中止する程ではないが回転途中に軽度の脱調等が発生したとして、パラメータMを1にセットする(S10,S11,S12)。
【0023】
マイクロスイッチ5がオンになったということは、回転板31が少なくとも110°回転して、流量調節弁3を通過することのできるガス量が、点火が可能なガス量に近づいていることを示す。ただし、この時点では安全弁2が開弁していないのでガスはバーナに供給されることはない。マイクロスイッチ5がオンになると点火装置を作動させ(S13)、更に回転板31を回転させる。制御装置から出力されるパルス数が224パルスになり、中火位置に到達するとステッピングモータ34を停止させる(S14)。中火位置になるとその状態でバーナに供給されるガス量で点火が可能であるので、安全弁2を開弁させてバーナへガスを供給し、点火を行う(S15)。
【0024】
安全弁2が開弁しバーナへのガスの供給が開始されてから10秒以内に点火が確認されると点火装置を停止させるが(S16,S17)、10秒以内に着火を確認できないと、ステップ18(S18)に進む。上記マイクロスイッチ5がオンになった時点のステップ数が200を超えていた場合にはステップ12(S12)でパラメータMを1にセットした。ステップMが1にセットされているということは軽度の脱調等のエラーが発生している場合であり、パラメータMが0のままであれば点火装置を停止し安全弁2を閉弁させたあと点火エラーと判断する(S19,S20,S21)。パラメータMが1にセットされていれば回転板31が中火位置まで十分に回転していないと判断して、点火装置を停止し安全弁2を閉弁させたあと、ディスク作動エラーと判断する(S22,S23,S24)。
【0025】
このようにマイクロスイッチ5がオンになる位置を、点火可能位置より閉弁側に設定したので、バルブユニット1に異常が発生していなければ点火操作が行われると必ずマイクロスイッチ5はオンされる。そのためマイクロスイッチ5がオンされない場合には異常発生を検知することができる。また、マイクロスイッチ5が実際にオンになった時点でのパルス数からその後の制御におけるパルス数を補正することができる。すなわち、本来190パルスの位置でマイクロスイッチ5がオンすべきであるが、実際にオンした時点でのパルス数と190パルスとの差を誤差として、点火完了後の制御を補正することができる。
【0026】
また、点火後は消火までに必ずマイクロスイッチ5がオフになるので、オン位置のパルス数とオフ位置のパルス数とからヒステリシスを算出することができる。その算出したヒステリシスは制御装置内に記憶し、次回制御時に反転時の制御にそのヒステリシスを適用させる。
【0027】
ところで、本実施の形態では流量調節弁3の各々に安全弁2を取り付けたので、バーナを休止させている間に安全弁2を閉弁させたままでステッピングモータ34を回転させ、補正値やヒステリシス値を更新することができる。また、このようにバーナを休止させている状態でステッピングモータ34を回転させると、Oリングやその他摺動部の固着を防止することができる。なお、長時間ステッピングモータ34を回転させていない状態で点火操作を行う場合には、回転開始からしばらくステッピングモータ34に供給するパルス信号の周波数を低下させ、トルクを増大させることにより、固着対策を行ってもよい。
【0028】
バーナに点火され調理が開始されると中火と強火との間の火力で長時間調理が行われることがある。この場合には長時間の調理中にマイクロスイッチ5はオンのままオフにされることがないので、脱調等による誤差が累積されるおそれが生じる。そこで、マイクロスイッチ5がオンのままでステッピングモータ34に供給されたパルス数の累計が所定の値を超えると自動的にステッピングモータ34を閉弁側に駆動させ、マイクロスイッチ5をオフさせて補正を行い、元の位置に復帰させるようにしてもよい。
【0029】
上記実施の形態では、ステッピングモータ34の回転を開始させてからマイクロスイッチ5がオンになる110°まで回転する間、実際にステッピングモータ34が回転していることを制御装置は検知することができない。そこで、図6に示すように、段部42を形成し、ステッピングモータ34が回転を開始すると直ちにマイクロスイッチ5の第1接点がオンになるようにしてもよい。このマイクロスイッチ5は第1接点と第2接点とを備え、段部42によって第1接点がオンにされ(b)、更にカム部41によって第2接点がオンになるものである。
【0030】
ところで、上記実施の形態では、カム4を1段にして1個のマイクロスイッチ5を用いたが、カム4を2段にすると共に各カム4に対応させて2個のマイクロスイッチ5を取り付け、一方のマイクロスイッチは中火位置でオンされ、他方のマイクロスイッチは強火位置でオンされるように構成してもよい。このようにマイクロスイッチを2個設けることにより、中火点火と強火点火を自在に選択できるようにしてもよい。
【0031】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明は、流量調節機構の駆動にステッピングモータを用い、ステッピングモータに供給するパルス数により流量調節機構の開度を調節するように構成した場合、脱調等によるパルス数のずれを補正する位置を、流量調節機構の開度が点火に必要なガス量になる位置より全閉側に設定したので、開弁から閉弁までの間に必ずその開度を通過するので確実に補正をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ガス器具の全体構成を示すブロック図
【図2】バルブユニットの構成を示す断面図
【図3】ディスク部分の構成を示す図
【図4】カムの動作を示す図
【図5】点火時の制御フローを示す図フロー図
【図6】他の実施の形態のおけるカムの動作を示す図
【符号の説明】
1 バルブユニット
2 安全弁
3 流量調節弁
31 回転板
32 固定板
33 オリフィス板
34 ステッピングモータ
4 カム
5 マイクロスイッチ
Claims (2)
- モータにより駆動されバーナへガスを供給するガス量を増減制御すると共に閉弁位置ではガスの供給を停止させる流量調節機構を、流量調節機構へのガスの供給路を開閉する電磁式の安全弁の下流側に設けた火力調節装置において、上記モータとしてステッピングモータを用い、ステッピングモータに供給するパルス数により上記流量調節機構の開度を制御すると共に、流量調節機構の開度が点火に必要なガス量になる位置より全閉側にスイッチの作動位置を設定し、このスイッチの作動位置に達するとスイッチの作動により上記パルス数から規定される開度と実際の開度との誤差を補正することを特徴とする火力調節装置。
- ステッピングモータの回転軸に連動して回転するカム板と、カム板によって作動するマイクロスイッチを取り付け、このマイクロスイッチを上記スイッチとしたことを特徴とする請求項1記載の火力調節装置。
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