下記特許文献1に記載の調理器では、バーナに燃料を供給するための燃料通路に、該燃料通路を通過する燃料の流量を制御するための流量制御弁が設けられている。この流量制御弁は、特許文献1の図3に示されるように、流量制御弁(3)の本体(31)内に燃料通路の一部となる空洞(31a)が形成され、空洞(31a)の内面の一部に本体(31)外に連通するガス入口(32)が形成されると共に該ガス入口(32)とは別の箇所にガス出口(33)が形成されている。空洞(31a)には、流量制御部材(スライド閉子34)と流量チップ(35)と付勢部材(36)とが設けられている。またガス入口(32)を開閉する元ガス電磁弁(27)がガス入口(32)に設けられている。
被作動部材である流量制御部材(34)は、連通用孔(34a)が貫通形成されて、空洞(31a)のガス出口(33)の周囲の内面(出口近傍面という)に当接しこの面に沿ってスライド自在となるように設けられている。流量制御部材(34)がスライドすることで、前記空洞(31a)のガス出口(33)が連通用孔(34a)に連通したり流量制御部材(34)により閉塞され、これによりガス流量が制御される。
流量チップ(35)は板状をしたもので、その板面の面積は少なくとも流量制御部材(34)の連通用孔(34a)よりも大きく、また、板面に略垂直に貫通する複数の流量制御孔が穿設されている。流量チップ(35)は、流量制御部材(34)の出口近傍面に当接する面と反対側の面に当接し、コイルばね等からなる付勢部材(36)によって付勢される。付勢部材(36)は、流量チップ(35)の流量制御部材(34)に当接する面と反対側の面と、空洞(31a)の出口近傍面と対向する面との間に圧縮された状態で配設され、流量制御部材(34)を出口近傍面に圧接させている。流量制御部材(34)には、前記空洞(31a)の出口近傍面に沿ってスライドする方向の一端部にスピンドル(37)が接続される。
スピンドル(37)は、前記空洞(31a)の側壁の一部に穿設されたスピンドル挿通孔を介して空洞(31a)の内外に挿通された棒状の部材である。そして、スピンドル(37)の長手方向の一端は空洞(31a)の内側に位置して流量制御部材(34)が接続され、他端は空洞(31a)の外側に位置して雌ねじ部(37a)が形成されている。またスピンドル(37)は、スピンドル挿通孔を通して長手方向にスライド自在となり、スピンドル挿通孔とスピンドル(37)外面との間には隙間を閉塞するグリースが充填されてシールがなされる。
また、スピンドル(37)が空洞(31a)に対して相対的に長手方向廻りに回転しないように回り止め手段が設けられる。例えば、スピンドル挿通孔を円形以外の例えば矩形等の形状に形成し、スピンドル(37)のスピンドル挿通孔に挿通される部分の断面形状をスピンドル挿通孔と同様の形状に形成して、回り止め手段が構成される。
空洞(31a)の外側には、スピンドル(37)及び流量制御部材(34)をスライドさせるステッピングモータ(30)が、流量制御弁(3)に対して位置が固定された状態で設けられる。ステッピングモータ(30)の出力軸は、その先端部の外面に雄ねじ部(30a)が形成され、この雄ねじ部(30a)がスピンドル(37)の雌ねじ部(37a)に螺入されている。なお、スピンドル(37)の他端部の外面に雄ねじ部(30a)が形成されると共に、出力軸の先端部に雌ねじ部(37a)が形成されてもよい。
ステッピングモータ(30)の出力軸が回転するとその雄ねじ部(30a)が回転するが、回り止め手段によりスピンドル(37)の回り止めがなされているため雌ねじ部(37a)は出力軸と共に回転せず、螺合位置が変化することでスピンドル(37)及び流量制御部材(34)の長手方向へのスライドがなされる。また、流量制御部材(34)がスライドした際に流量チップ(35)がスライド方向に動かないようにするためのスライド阻止手段が設けられる。スライド阻止手段は、例えば流量制御部材(34)と流量チップ(35)との摺動面に潤滑材を塗布したり、流量チップ(35)を流量制御弁(3)の本体(31)に連結したりすることで構成される。
流量制御部材(34)のスライドにより連通用孔(34a)とガス出口(33)とが連通した状態においては、連通用孔(34a)と流量チップ(35)の流量制御孔との連通面積に応じて、空洞(31a)からガス出口(33)外へと流出するガスの流量が制御される。特許文献1の図3に示す流量制御部材(34)の位置が、前記ガスの流量が最大となる位置(ガス流量最大位置)であり、流量制御部材(34)がスピンドル(37)側へスライドすることで、連通用孔(34a)と流量制御孔との連通面積が小さくなってガスの流量が減少し、連通用孔(34a)とガス出口(33)とが連通しない位置(閉塞位置)になると燃料通路が遮断されガスの流量が零になる。
また、スピンドル(37)及び流量制御部材(34)の作動量検出手段としてのポテンショメータ(4)が設けられ、ポテンショメータ(4)によりスピンドル(37)及び流量制御部材(34)の現在位置、すなわち基準位置からの作動量が検出され、この作動量に基づいて連通用孔(34a)とガス出口(33)との連通の有無・連通用孔(34a)と流量制御孔との連通面積が分かり、ガスの流量が間接的に検出可能となる。特許文献1の図3に示されたポテンショメータ(4)は、直線的な移動量を検出するためのリニアポテンショメータであって、スピンドル(37)に設けられる位置検出用ブラシ(41)と、流量制御弁(3)の本体(31)に固定される位置検出部(42)を備えており、この位置検出部は本明細書に添付した図2に模式的に示すような抵抗器Rによって構成され、該抵抗器Rの両端には一定の電圧が印加され、位置検出用ブラシ(41)が抵抗器Rに対して接触する位置に応じて位置検出用ブラシ(41)に印加される検出電圧が変化し、この電圧を検出することによってスピンドル(37)及び流量制御部材(34)の現在位置(作動量)を間接的に検出している。
そして、ステッピングモータ(30)を制御する制御部は、設定火力に応じたガス流量となるように設定火力毎に位置検出用ブラシ(41)の検出電圧の目標値が予め記憶されており、操作部(14)によって火力が設定されると、位置検出用ブラシ(41)の検出電圧が設定火力に対応する目標値となるようにステッピングモータ(30)をフィードバック制御する。
上記従来の調理器において、ユーザによる火力操作の偏りなどによって、経年劣化によりポテンショメータ(4)の抵抗器Rが部分的に磨り減り、抵抗の比率が部位によって変化してしまうことがある。例えば、本明細書に添付した図3に示すように、抵抗器Rを3等分した中央部分の抵抗値が、本来は4kΩであったところ、経年劣化によって3kΩにまで低下した場合、小火力や中火力の目標値である1V若しくは2Vがポテンショメータ(4)で検出されるようにスピンドル(37)及び流量制御部材(34)を移動させると、流量制御部材(34)の本来の目標位置と実際の位置との間にズレが生じてしまい、これによりガス流量にもズレが生じてしまう。
一方、ポテンショメータ(4)の検出電圧に基づいて流量制御部材(34)の作動量を制御するのではなく、ステッピングモータ(30)の制御ステップ数に基づいて流量制御部材(34)の作動量を制御することも考えられる。しかし、火力調節が迅速に行われるようにするために、ステッピングモータ(30)の駆動開始初期はステッピングモータ(30)を速いスピードで駆動し、目標値に近づくと遅いスピードで駆動するように制御することがあり、また、ステッピングモータ自体も経年劣化によって内蔵のギアが磨り減り、速く動かそうとするとギアの滑りが生じてしまうことや、速いスピードで動かす際の負荷が大きくなることからステッピングモータに脱調が生じることがあり、マイコンによる制御量と実際に動いた量との間でもズレが生じるため、ステッピングモータの制御ステップ数で弁開度を制御するにしてもズレが生じてしまう。
そこで、本発明は、器具が使用されていないときにステッピングモータのギアの滑りや脱調が生じないようにステッピングモータを駆動しつつ、作動ステップ数とポテンショメータの出力値(検出電圧)との対応関係を確認、記憶しておくことによって、ポテンショメータの抵抗器が部分的に磨り減った場合であっても作動量を正確に制御できるようにすることを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、次の技術的手段を講じた。
すなわち、本発明のステッピングモータ駆動装置は、被作動部材(例えばガス機器におけるガス流量制御部材)と、該被作動部材を作動させるステッピングモータと、制御部と、前記被作動部材の現在位置(基準位置からの作動量)を電圧に変換して前記制御部に出力するポテンショメータとを備え、前記制御部は、前記被作動部材の複数の目標位置のいずれかを選択して設定する目標位置設定手段と、前記被作動部材の各目標位置に対応する目標電圧を記憶する記憶手段と、前記ポテンショメータの出力電圧が前記目標位置設定手段によって設定された目標位置に対応する前記目標電圧となるように前記ステッピングモータを制御する通常制御手段と、該通常制御手段による制御が行われていないときに前記記憶手段に記憶された目標電圧を補正する目標電圧補正制御手段とを備え、該目標電圧補正制御手段は、前記ポテンショメータの出力電圧が所定の基準値(例えば0V)となる基準位置(例えば回転角0°)から前記ステッピングモータを駆動させたときの前記基準位置からの総ステップ数(典型的には駆動させるためにステッピングモータに出力した駆動パルスの数)と前記ポテンショメータの出力電圧の前記基準値に対する電圧差との関係に基づいて前記記憶手段に記憶された複数の目標電圧のうち少なくとも一つを補正することを特徴とするものである(請求項1)。なお、目標電圧補正制御手段によるステッピングモータの駆動時は、ステッピングモータの脱調や内蔵ギアのギア滑りが生じないように、1ステップずつ若しくは2〜3ステップずつ確実に回転駆動させるか、或いは、駆動パルス幅を比較的長くするなどにより比較的低速で回転駆動させることが好ましい。また、目標電圧補正制御手段による補正制御は頻繁に行われる必要はなく、消費電力節減のために例えば1〜2週間に1回や1ヶ月に1回程度の頻度で行われるものであってよい。
かかる本発明によれば、通常制御手段による制御中は、目標位置設定手段によって設定された目標位置まで被作動部材を作動させるために、ポテンショメータの出力電圧が設定目標位置に対応する目標電圧となるようにステッピングモータが制御される。また、目標電圧補正制御手段が、通常制御手段による制御が行われていないときに記憶手段に記憶された目標電圧の補正を行うことによって、経年劣化によってポテンショメータの作動量と出力電圧とが線形的な関係で無くなった場合でも、設定目標位置へ正確に被作動部材を作動させることが可能である。さらに、ステッピングモータの作動量(回転角)と、被作動部材の作動量(移動量若しくは回転角)とは、ステッピングモータに脱調やギア滑りが生じなければ線形的に対応するものであるから、前記ポテンショメータの出力電圧が所定の基準値となる基準位置から前記ステッピングモータを駆動させたときの前記基準位置からの総ステップ数と、被作動部材の現在位置とも線形的な関係になる。したがって、各目標位置における現時点のポテンショメータの出力電圧を正確に検出して、記憶手段に記憶された目標電圧を補正することができる。
なお、補正の方法は、記憶手段に記憶された目標電圧に上書き保存しても良いし、記憶手段に記憶された目標電圧とは別に各目標位置における差分データを保存しておくこともできる。また、すべての目標位置に対する目標電圧を補正することもできるが、少なくとも一つの目標位置に対する目標電圧が補正されるものであればよい。
また、本発明は、上記ガス供給口と、元ガス電磁弁とを備えるガス機器であって、前記目標位置設定手段は火力設定手段であり、前記被作動部材は作動量に応じてガス流量を調整するための流量制御部材であり、前記元ガス電磁弁は前記流量制御部材よりもガス流路における上流側に設けられ、前記目標電圧補正手段は、前記元ガス電磁弁が閉じているときにのみ前記目標電圧の補正を行うように構成されていることを特徴とするものである(請求項2)。かかる本発明のガス機器によれば、ポテンショメータの経年劣化が生じても実際の火力が正確に設定火力となるようにガス流量を正確に制御することができる。さらに、目標電圧補正手段による制御時には元ガス電磁弁が閉じることによって、補正を行うために流量制御部材における流路を開いてもガスが流出することがない。
以上説明したように、本発明の請求項1に係るステッピングモータ駆動装置によれば、通常制御手段による制御中は、目標位置設定手段によって設定された目標位置まで被作動部材を作動させるために、ポテンショメータの出力電圧が設定目標位置に対応する目標電圧となるようにステッピングモータが制御される。また、目標電圧補正制御手段が、通常制御手段による制御が行われていないときに記憶手段に記憶された目標電圧の補正を行うことによって、経年劣化によってポテンショメータの作動量と出力電圧とが線形的な関係で無くなった場合でも、設定目標位置へ正確に被作動部材を作動させることが可能である。さらに、ステッピングモータの作動量(回転角)と、被作動部材の作動量(移動量若しくは回転角)とは、ステッピングモータに脱調やギア滑りが生じなければ線形的に対応するものであるから、前記ポテンショメータの出力電圧が所定の基準値となる基準位置から前記ステッピングモータを駆動させたときの前記基準位置からの総ステップ数と、被作動部材の現在位置とも線形的な関係になる。したがって、各目標位置における現時点のポテンショメータの出力電圧を正確に検出して、記憶手段に記憶された目標電圧を補正することができる。
また、本発明の請求項2に係るガス機器によれば、ポテンショメータの経年劣化が生じても実際の火力が正確に設定火力となるようにガス流量を正確に制御することができる。さらに、目標電圧補正手段による制御時には元ガス電磁弁が閉じることによって、補正のために流量制御部材における流路を開いてもガスが流出することがない。
以下、本発明のガス機器の好適な実施形態について説明するが、基本構成は上記特許文献1に記載の調理器と同様であり、該ガス機器に設けられる流量制御弁(3)の構造も上記背景技術の欄に記載したものと同様である。なお、特許文献1の各図面に付された符号を括弧付きで引用する。
即ち、本実施形態のガス機器は、調理器としてのガスコンロ(1)であって、上方に開口する箱状をした筐体(10)と、筐体(10)の上方への開口を閉塞しガスコンロ(1)の天面部となるガラス製のトッププレート(11)と、で外殻が構成される。
トッププレート(11)にはコンロバーナ(25)を備えた加熱部(2)が複数設けてあり、加熱部(2)として、標準バーナ(2a)、小バーナ(2b)、高火力バーナ(2c)の計三個のコンロバーナ(25)を設けている。
ガスコンロ(1)内にはグリルバーナを備えたグリル庫が設けてあり、グリル庫の前開口は、ガスコンロ(1)の前面に設けたグリル扉(12)によって開閉自在に閉塞される。
また、各加熱部(2)には、被加熱物検知手段(22)が設けてある。被加熱物検知手段(22)は、五徳(21)に被加熱物が載置された状態にあるか否か、即ち、各コンロバーナ(25)上に被加熱物が配置された状態にあるか否かを検知するものである。
ガスコンロ(1)の前面部を構成する前面パネル(13)には、各加熱部(2)を操作するためのつまみダイヤル装置からなる操作部(14)がそれぞれ設けてある。
各操作部(14)は手動で操作されて対応するコンロバーナ(25)の点火及び消火の切り替えや火力調節を指令するものであり、これを受けて制御部が各コンロバーナ(25)の点消火の切り替えや火力調節を行う火力設定手段(流量制御部材の目標位置設定手段)として機能する。火力調節は、消火・小火力・中火力・大火力のように複数段階で調節するものであってもよいし、また、消火から大火力まで10数段階〜数十段階で調節可能にすることもできるし、また、立消え防止のために消火から小火力までの間の火力は設定できないようにして小火力から大火力まで10数段階〜数十段階で調節可能にすることもできる。なお、操作部(14)は、回転操作量に応じた数のパルスを制御部に出力するロータリーエンコーダによって構成することもできるし、また、ロータリーポテンショメータによって構成することもできるし、また、タッチパネルによって操作部(14)を構成してタッチ操作によって制御部内に記憶された火力設定値を増減するように構成することも可能である。
前面パネル(13)の各操作部(14)の下側には対応するコンロバーナ(25)の調理の設定を指令するための設定手段を構成する設定入力パネル(15)が設けてあり、この設定入力パネル(15)を操作することで、コンロバーナ(25)毎に、調理タイマーモード、湯沸しモード、炊飯モード等の自動調理モードを設定できるようになっている。
また、前面パネル(13)に向かって左側の部位には、グリルバーナの点火及び消火の切り替えや火力調整を指令するための設定入力パネル(16)が設けてある。
上記設定入力パネル(15)(16)によるモード設定なしの状態で調理を行う場合、前面に設けた電源スイッチ(17)をONにした後、操作部(14)を押し操作して制御部に点火の指令を送る。この指令を受けると制御部はガス供給路(26)の元ガス電磁弁(27)を開き、且つ任意のコンロバーナ(25)又はグリルバーナに対応する流量制御弁(3)を所定開度で開くと共に点火プラグ(24)をスパークさせ、コンロバーナ(25)又はグリルバーナを点火する。これにより、コンロバーナ(25)の炎により対応する五徳(21)上に載置した被加熱物を加熱したり、グリルバーナの炎によりグリル庫内の肉や魚を焼くことができる。
また、ガス機器には、マイクロコンピュータからなる制御部が設けられる。制御部には、各バーナ(25)に設けてある燃焼検出手段としての熱電対(23)の起電力が入力され、制御部は入力された起電力が所定値(例えば3.5mV)以上になったときに、設定入力パネル(15)(16)又は/及びトッププレート(11)に設けてある表示部に備える燃焼ランプ(それぞれのバーナに対応する燃焼ランプ)を点灯させる。
各コンロバーナ(25)及びグリルバーナには、燃料を供給するための燃料通路が接続され、この燃料通路として、都市ガス等の燃料ガスを供給するガス供給路(26)からそれぞれ分岐する分岐路(26a)が接続されている。
また、前記燃料通路を通過する燃料の量を制御すると共に、前記燃料通路における燃料の通過を阻止する閉止機能を有する流量制御弁(3)と、前記流量制御弁(3)を駆動するステッピングモータ(30)が設けられ、弁体として機能する流量制御部材(34)の開度位置の微調整がステッピングモータ(30)によって行われる。また、流量制御部材(34)の開度位置を検出するポテンショメータ(4)が設けられる。更に、燃料通路における燃料の通過を阻止する閉止機能を有する開閉弁としての元ガス電磁弁(27)が設けられる。このように、燃料通路における燃料の通過を阻止する閉止機能を有する弁装置として、上記流量制御弁(3)と元ガス電磁弁(27)とが直列に設けられ、元ガス電磁弁(27)は流量制御弁(3)よりもガス流路の上流側に設けられる。
元ガス電磁弁(27)と、流量制御弁(3)を駆動するステッピングモータ(30)とは、制御部により制御が行われ、ポテンショメータ(4)における検出電圧は制御部に出力されて処理される。また、流量制御弁(3)は、対応するコンロバーナ(25)が使用されない時には、流量を零にして遮断状態となるように閉止される。
次に、本実施形態の特徴であるステッピングモータ駆動装置の実施例について詳細に説明する。
本実施例に係るステッピングモータ駆動装置は、上記流量制御弁(3)の流量制御部材(34)と、該流量制御部材(34)を作動させるステッピングモータ(30)と、上記制御部と、流量制御部材(34)の現在位置を電圧に変換して制御部に出力する上記ポテンショメータ(4)とを備えている。該ポテンショメータ(4)は、図2に示すように、流量制御部材(34)が全閉位置(消火)にあるときに基準電圧(例えば0V)を出力し、流量制御部材(34)が全開位置(大火力)にあるときに所定最大電圧(例えば3V)を出力する。また、ポテンショメータ(4)は、経年劣化前においては、流量制御部材(34)が全閉位置と全開位置の間に位置するときは、(所定最大電圧−基準電圧)×(全閉位置から現在位置までの作動量)/(全閉位置から全開位置までの作動量)が出力電圧となる。なお、電圧を反転させて、全閉位置にあるときに所定最大電圧が出力され、全開位置にあるときに基準電圧が出力されるように構成することもできる。
上記制御部は、流量制御部材(34)の複数の目標位置のいずれかを選択して設定することによって火力設定を行う上記火力設定手段(目標位置設定手段)と、流量制御部材(34)の各目標位置に対応する目標電圧をそれぞれ記憶する記憶手段とを備えている。この記憶手段はRAMなどの書換え可能メモリによって構成できる。また、記憶手段に記憶されるデータは、目標位置を示す数値データと、これに対応する目標電圧基準データ及び補正データを関連付けて保存されるもので、目標電圧基準データと補正データの和がその目標位置における目標電圧となるようにしている。なお、これらデータはテーブル形式で保存されていてもよいし、また、目標位置を示す値を添字とする配列変数に各目標電圧基準データ及び補正データを保存してもよく、その他適宜の方法によって目標位置と目標電圧とを関連付けて保存できる。
本実施例では、流量制御部材(34)を全閉位置から全開位置まで作動させるためのステッピングモータ(30)のステップ数は600ステップ、出力軸の回転角は270°とされており、全閉位置(基準位置)から1ステップ毎に目標位置が設定され、600個の各目標位置に対応して目標電圧基準データ及び補正データがそれぞれ記憶手段に記憶されている。初期状態では、全閉位置からnステップ目の目標位置の目標電圧基準データは、(所定最大電圧)×n/600の式の値が記憶され、補正データはすべて0が記憶される。
なお、上記火力設定手段は、必ずしも記憶手段に記憶された全ての目標位置を設定できる必要はなく、例えば、10ステップ単位の60段階で火力設定できるように構成してもよいし、また、大火力(600ステップ)、中火力(400ステップ)及び小火力(200ステップ)の3段階で火力設定できるように構成することもできる。また、火力設定手段で設定可能な火力に対応する目標位置のみを記憶手段に記憶してもよい。
また、制御部は、記憶装置内に火力制御プログラム(通常制御手段)が記憶されており、該火力制御プログラムは、操作部(14)を押し操作して制御部に点火指令が送出されると実行されて、ポテンショメータ(4)の出力電圧が火力設定手段によって設定された目標位置に対応する目標電圧となるようにステッピングモータ(30)をフィードバック制御する。
さらに、本実施例の制御部は、記憶装置内に上記記憶手段に記憶された目標電圧を補正する目標電圧補正制御プログラム(目標電圧補正制御手段)が記憶されている。この目標電圧補正制御プログラムは、制御部の内蔵タイマーによって所定周期毎、例えば前回実行時から1ヶ月経過後など、に実行されるものであって、かつ、電源スイッチ(17)がONされているが操作部(14)が点火操作(押し操作)されていないときに実行されるようにプログラムされている。
目標電圧補正制御プログラムが実行されると、まず、元ガス電磁弁(27)を閉制御する。次に、前記ポテンショメータ(4)の出力電圧が所定の基準値(例えば0V)となる基準位置(例えば回転角0°)からステッピングモータ(30)を1ステップずつ駆動させ、1ステップ駆動する毎にポテンショメータ(4)の出力電圧を確認して、該出力電圧と、基準位置からの総ステップ数に対応する目標位置の目標電圧との電圧差を、上記補正データとして記憶する。かかる処理をポテンショメータ(4)の最大出力電圧まで繰り返すことによって、図1に示すように、1〜600ステップまでのすべてのステップに対応する目標位置に関連付けられた補正データが校正される。
その後、操作部(14)の点火操作によって火力制御プログラムが実行されると、校正された目標電圧に基づいてステッピングモータ(30)の制御が行われるため、ポテンショメータ(4)が経年劣化によって部分的に磨り減っていても、流量制御部材(34)が正確な位置に移動して予め設定された正確な弁開度が得られ、所期の火力が得られることとなる。
なお、必ずしもすべてのステップについてポテンショメータ(4)の出力電圧の確認を行う必要はなく、例えば中火力(400ステップ)を基準位置として、中火力以上の火力について上記処理を行い、中火力以上の火力における各補正データから推定して、中火力未満の火力の各ステップに対応する目標位置に関連付けられた補正データを演算によって求めて記憶することもできる。
上記実施例に係るステッピングモータ駆動装置によれば、目標電圧補正制御実行時は、ステッピングモータを1ステップずつ確実に駆動させているので、ステッピングモータの脱調やギア滑りなどが殆ど生じず、ステップ数に対応する正確な位置まで流量制御部材(34)を作動させることができ、記憶手段に記憶された各目標位置に関連付けられた補正データを正確に校正することができる。さらに、目標電圧基準データとは別に補正データを記憶することで、例えば補正データの値が大きすぎる場合には異常と判定して、ユーザに報知するように制御構成することも可能となる。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、適宜設計変更できる。例えば、本発明のガス機器はガスコンロの他、ガスを利用する種々のガス機器に適用することができる。また、目標電圧の補正制御時にステッピングモータの脱調や内蔵ギアの滑りが生じないように比較的低速でステッピングモータを駆動するならば、必ずしも1ステップずつ動作させる必要はなく、連続的にステッピングモータを駆動しつつポテンショメータ(4)の出力電圧と総ステップ数との関係に基づいて目標電圧を補正するように制御構成することも可能である。また、通常制御手段及び目標位置補正制御手段は、それぞれ個別の論理回路によって構成されていてもよい。また、記憶手段に記憶される目標電圧は、上記実施例では目標電圧基準データ及び補正データとして記憶させているが、記憶手段に目標電圧そのものを記憶するとともに目標位置補正制御時のポテンショメータの出力電圧そのものを校正された目標電圧として上書き保存するように構成してもよい。