JP3659249B2 - 鋼矢板および矢板式鋼製壁 - Google Patents

鋼矢板および矢板式鋼製壁 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、廃棄物処理場の有害浸出水を防止するための外周護岸や中仕切り護岸、堤防の遮水壁など高い遮水性が要求される矢板式鋼製壁およびその用途に好適な鋼矢板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
地下構造物の建設における土留め壁や港湾・水域施設建設時における仮締切り等において鋼矢板が多く用いられている。この理由として、鋼材という高品質材料による高剛性壁体が比較的短い施工期間内で構築することができる他、比較的遮水性に優れることが挙げられる。
【0003】
鋼矢板本体の鋼材自体は当然ながら完全に水を通さないが、嵌合状態において継手部分に存在する隙間部分が水を通すため、この継手部分の隙間が鋼矢板の遮水性に大きく影響する。
【0004】
一般的には、打設直後の継手部は比較的水を通しやすい状態であったとしても、時間の経過に伴い、水の流れとともに継手内部に土粒子等が詰まってくるため、遮水性が向上して行くものであるが、土粒子等による継手内部の目詰まりが期待できない場合や、より遮水性を向上させるためには、この継手内部の隙間をできる限り小さくすることも一案として考えられる。
【0005】
しかしながら、この隙間が小さすぎると、継手部分での打設抵抗が非常に大きくなるという問題を有しており、遮水性と施工性は相反する要求性能となるため、一概に継手部分の隙間を小さくしたり、大きくしたりすることはできず、いかにして継手部の遮水性を高めるかが大きな課題の一つであった。
【0006】
このような課題を解決するための従来技術の一例としては、継手内部の隙間を埋めるべく、あらかじめ鋼矢板の継手部に遮水用樹脂塗料を塗布するものが挙げられる。これは、比較的透水係数が小さい樹脂塗料によって、継手内部の水の浸透経路を塞いでしまうことでの遮水性の向上を期待したものである。
【0007】
例えば特許文献1に開示されている技術は、鋼矢板打設前に水膨張性塗料を継手部内の隙間に塗布し、打設後に周囲の水分を吸収した樹脂が膨張し、継手内部が樹脂で満たされることによって遮水性を高めるものである。
【0008】
しかしながら、特許文献1記載の技術には、打設前の継手部内へ樹脂塗料を塗布する際の塗布むらや打設時の樹脂塗料の塗膜損傷等、不可避的要素により遮水性が低下するという問題がある。
【0009】
塗膜に欠損部分が発生した場合には、欠損箇所が比較的小さくとも、欠損部分での水の流速は比較的速くなるため、流れによる欠損箇所の拡大の恐れもある。さらに、上記樹脂塗料の性能の経年劣化すなわち耐久性に関しても信頼性の点で問題があるのが現状である。
【0010】
また、鋼矢板打設後、継手内部の隙間にグラウトを注入することで隙間を埋める技術がある。例えば特許文献2に記載されたものがあり、嵌合される2つの矢板の各継手部分の一方または両方に部材を設け、この部材により矢板間にグラウト注入空間を形成している。
【0011】
特許文献2記載の鋼矢板では、グラウト注入空間が相互の継手の嵌合により形成され、継手により空間が完全に閉合されているため、遮水性は高いと考えられるが、継手形状が非常に複雑なため、製造コストが高くなるという欠点がある。また、遮水性が高い一方で継手部の余裕がないことに起因して施工性が悪い。
【0012】
さらに、この継手形状では、施工延長が曲線状となっている場合等において、2箇所による嵌合のために各鋼矢板を継手部にて角度を付けながら曲線状に施工することは不可能である。さらには、遮水処理後のグラウト材の経年に伴う収縮や、矢板壁への外力の作用による鋼矢板の変形に起因するグラウト材の矢板壁からの剥離の問題も看過できない。
【0013】
また、最近では特許文献3に開示されているように、継手部を有する鋼矢板において、互いに嵌合する継手部31,31の少なくとも一方の継手部の、第1または第2の嵌合内接面に、他方の継手部の第1または第2嵌合内接面と接する間隔保持用突起状体37と吸水膨潤性遮水材38を設けたもの(図12参照)や、特許文献4に開示されているように、鋼板を冷間圧延成形した鋼矢板状の型鋼に、別途製作した継手部材43を取り付けたものがある(図13参照)。
【0014】
ところで、本出願人は既に、特許文献5に記載されているように、鋼矢板51の継手部52,53どうしを嵌合させた際に、一部が重なり合う一対の遮水部材54,55により鋼矢板継手部52,53を覆う閉合空間が形成されるように、鋼矢板51のフランジ部分の内面あるいは外面に遮水部材54,55の基端部を溶接等で接合し、遮水部材54,55の重ね合せ部分で透水量を低減し、鋼矢板51が回転したり捩じれたりした場合にも継手部52,53における隙間の発生をなくして遮水性を大幅に向上させ、また重ね合せ部分の隙間により打設性も損なわれない鋼矢板継手部の遮水構造を提案している(図14参照)。
【0015】
さらに、本出願人は、特許文献6に記載されているように、鋼矢板61どうしの継手部62,63近傍の平面部分に、膨張性を有する遮水材64を設置し、これを覆うように鋼板などからなる拘束部材65を取り付ける鋼矢板継手部の遮水構造およびその施工方法を提案している(図15参照)。
【0016】
特許文献6記載の発明では、遮水材64は拘束部材65と鋼矢板61に挟まれた状態で、遮水材64自身が持つ膨張力により膨張しようとするため、拘束部材65から押圧力を受け、継手部における遮水性を確保する。また、鋼矢板61として、継手部62,63の嵌合状態において遮水材64を設置した側が同一平面をなす形状の鋼矢板61を用いることで、遮水構造を単純化し、打設性も確保した上で遮水性を高めることができる。
【0017】
【特許文献1】
特開平1−168766号公報
【特許文献2】
特開平1−280122号公報
【特許文献3】
特開2000−192451号公報
【特許文献4】
特開2000−073361号公報
【特許文献5】
特開2001−214435号公報
【特許文献6】
特開2002−146772号公報
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
従来の技術の項で述べた各発明に共通する問題として、鋼矢板とは別に間隔保持用突起状体、特殊形状の継手部材、遮水部材あるいは拘束部材の製作および取付けの必要があるほか、遮水性を高めるための遮水シール材や膨張性を有する遮水材、あるいはグラウト材などが必要であり、遮水を実現するためのコスト(遮水部材、遮水材等の製造コストや現場施工コスト)が高くつくといったことが挙げられる。
【0019】
さらに、既述した通り、遮水シール材、膨潤性を有する遮水材あるいはグラウト材等を用いる場合には、その経年劣化や矢板壁に外力が作用した際の剥離に起因する遮水性能の低下という問題がある。
【0020】
本願発明は、上述のような従来技術における課題の解決を図ったものであり、本出願人が開発した非対称継手を有する鋼矢板の形状・特徴を生かすことで要求される打設性および遮水性の両者を満足し、比較的安価な製造および施工コストで実現可能であって、さらには、遮水処理後の鋼矢板変形に対しても遮水性能が確保でき、長期に亘り遮水性能を維持するための維持管理が容易な、遮水性に優れた矢板式鋼製壁およびその用途に用いるのが好適な鋼矢板を提供することを目的としている。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本願の請求項1に係る鋼矢板は、両端の継手部における継手形状が左右非対称で、前記両端の継手部の近傍に打設法線と同方向となるフラット部と、フラット部に対して一方が内向き、他方が外向きに形成された前記継手部と、前記継手の少なくとも一方の継手の基部に突起を有し、前記フラット部を同一方向にそろえて直線状に結合可能な鋼矢板であって、前記突起の一部若しくは全部が矢板壁の他の部分に比べて低融点の材料から構成されていることを特徴とするものである。
【0022】
鋼矢板の全体形状としては、直線型、U型(ウエブとその両側にフランジを有する形状等)のいずれであっても良い。
【0023】
突起の一部若しくは全部を構成する低融点材料としては、鋼材よりも低融点の溶接材料(溶加材)やろう付けろう(真鍮ろうや銀ろう)が好適である。
【0024】
突起の基部に設けられた突起によって、鋼矢板は継手部における回転を拘束される。
【0025】
本願の請求項2に係る鋼矢板は、両端の継手部における継手形状が左右非対称で、前記両端の継手部の近傍に打設法線と同方向となるフラット部と、フラット部に対して一方が内向き、他方が外向きに形成された前記継手部と、前記内向きの継手側の基部に内向きの突起と、前記外向きの継手側の基部に内向きの立上り部とを有し、前記フラット部を同一方向にそろえて直線状に結合可能な鋼矢板であって、前記突起の一部若しくは全部が矢板壁の他の部分に比べて低融点の材料から構成されていることを特徴とするものである。
【0026】
すなわち、請求項2に係る発明は、請求項1に係る鋼矢板において、一方の継手である内向きの継手側の基部に内向きの突起を有し、他方の継手である外向きの継手側の基部に内向きの立上り部を有する場合に相当する。
【0027】
本願の請求項3に係る矢板式鋼製壁は、請求項1または2に係る鋼矢板どうしが、前記継手部で連結され、前記継手部の外側面と前記突起とが長手方向に連続して隙間なく接合された接合部を有することを特徴とするものである。
【0028】
上記接合部の形成する際の前記突起を加熱する手段としては、ガスシールドアーク溶接であれば、TIG、プラズマアーク等の非消耗電極型が好適であり、シールドガスの種類は問わない。例えば、水中での接合であれば、プラズマアーク溶接のアークを用いて接合部位を加熱する方法が適しており、気中で接合するのであれば、ガスバーナーでの加熱により、溶加材やろうを溶融させる方法でも良い。
【0029】
請求項4に係る発明は、請求項2に係る矢板式鋼製壁において、前記矢板式鋼製壁の前記接合部を有する側が向き合う状態で、前記矢板式鋼製壁どうしが水中および/または地中に設けられていることを特徴とするものである。
【0030】
本出願人は、既述の従来技術の課題を解決するために、図2に示すような非対称な継手2,3(図2(a) は複数の鋼矢板1を継手部で連結した状態を示す平面図、図2(b) は継手嵌合部の拡大図)を有する鋼矢板1の継手形状の特徴を生かし、図1に示すような継手嵌合部の接合を発案した。
【0031】
すなわち、本出願人は、図2に示す左右非対称な継手2,3の嵌合部において、外向き継手3の外側面3bと内向きの突起2aを鋼矢板1の長手方向に連続して隙間なく接合することを目的として、内向きの突起2aのほぼ全体を鋼矢板1の他の部分に比べて低融点の材料5aとした場合(図1(b) )と、内向きの突起2aを鋼矢板1の他の部分と同一材料とした場合(図5(a) )の両者を比較して以下の知見を得た。
【0032】
なお、この際、加熱手段としては非消耗電極型のガスシールドアーク溶接の1 つであるプラズマアーク溶接装置を用いて、大気中で内向きの突起2aに狙いを定めて加熱する方法を採用した。
【0033】
前者(図1)においては母材が溶融を開始する前に接合材料(低融点材料5a)が溶け出し、外向き継手3の外側面3bと内向きの突起2aとの間に比較的容易に接合材料が隙間なく、遮水性を有するように形成される。
【0034】
一方、後者(図5)においては内向きの突起2aと母材とは同一の材料(鋼材)であり、突起の融点が高いので、加熱用のアークの向きや突起2aとの距離によって該突起2aの溶融状況が変化し、図5(b) に模式的に示すように、接合部長手方向の位置によっては接合不良部位が発生する(外向き継手3の外側面3bと内向きの突起2aとの間に水が侵入する程度の隙間が空く)。
【0035】
あるいは、アークの向き、突起2aとの距離や入熱量によっては、図示しないが内向き突起2aの根元部分や外向き継手3部分を削ぎ落としてしまうトラブルが発生することがあった。
【0036】
そのため、鋼矢板1の長手方向に連続して接合する場合には、アークの位置・角度を正確に保持し、入熱量を適切に調整する必要があるほか、接合速度を前者(図1)に比べてかなり低下させないと、上記接合時のトラブルを回避し、外向き継手3の外側面3bと内向きの突起2aを遮水性を有するように隙間なく接合することは極めて困難となることがわかった。
【0037】
以上、大気中における継手接合実験の結果に基づいて説明したが、気中に比べて水中では、溶融した部材が周囲の水によって抜熱され固化しやすいので、接合材料となる突起を溶融させるためには、加熱用アークによる入熱量を大きくしなければならない。
【0038】
突起の一部または全部に低融点材料を用いずに水中で継手を接合する場合には、既述のように鋼矢板のフランジに孔があいたり、継手部分を削ぎ落としてしまうというトラブルがより発生しやすく、本願発明に係る鋼矢板は水中で接合する場合に好適である。
【0039】
【発明の実施の形態】
図1は、請求項1、請求項2に係る発明の一実施形態を示したもので、非対称継手2,3を有するU型鋼矢板1を1列に連結した後、継手嵌合部を溶接し、鋼製壁Aを形成している。
【0040】
この例では、鋼矢板1の内向きの継手2側の基部に内向きの突起2aが形成され、外向きの継手3側の基部に内向きに突出する立上り部3aが形成されている。
【0041】
内向きの突起2aの一部若しくは全部が他の部分に比し低融点の材料5aから構成されており、内向きの継手2と外向きの継手3を係合させて複数の鋼矢板1を連結し、外向きの継手3側の外側面3bと内向きの継手2側の突起2aとの間を長手方向に連続して隙間なく溶接することで、鋼製壁Aに高い遮水性を与えている。
【0042】
鋼製壁Aの施工方法としては、水中および/または地中に鋼矢板1を1枚ずつ継手2,3を嵌合させながら施工した後、該継手2,3を接合する方法でも良いし、複数の鋼矢板1を予め継手部で連結並びに接合して一体化したものを複数枚用意し、継手2,3を嵌合させながら水中および/または地中に施工した後、該継手2,3を接合する方法でも良い。
【0043】
図3は、他の実施形態として、内向きの突起2aの一部のみを低融点材料5aとした場合の外向きの継手3の外側面3bと内向きの突起2aの接合前後の状態を示している。
【0044】
図3の実施形態では、内向きの突起2aについて、外向きの継手3に対峙する側のみを低融点材料5aとしているが、例えば内向きの突起2aの上部の何分の一かを低融点材料5aとすることも可能である。
【0045】
なお、図3(a) に示すように低融点材料5aを内向きの突起2aと一体化させる方法としては、接着剤による方法や、鋼矢板1の熱間圧延終了後の適当な母材温度にあるときに、低融点材料5aを所定の位置に所定の形状に流し込み、その後冷却して硬化させる方法等がある。
【0046】
図4は、内向きの突起2aの一部を低融点材料5aに置換える他の方法を示したもので、低融点材料5a(熱溶融材料)を予め内向きの突起2aの一部または全部の形状に成形したものを用意しておき、母材である鋼矢板の方も上記内向きの突起2aが例えば印籠構造で嵌合できるように成形しておき、両者を嵌合一体化させる場合である。嵌合面には予め接着剤を塗布しておいたり、あるいは両者を嵌合を嵌合した後、ネジ(図示せず)等で留めても良い。
【0047】
図6は、本願の請求項1に係る発明の他の実施形態を示したもので、図1の実施形態の場合と同様、非対称継手2,3を有するU型鋼矢板1を1列に連結した後、継手嵌合部を溶接し、鋼製壁Aを形成している。
【0048】
図1の実施形態との違いとして、図6の実施形態では、外向きの継手3側にも立上り部3aとの間に、外向きの突起3cが形成されており、このような継手2,3を係合させた状態で、外向きの継手3側の外側面3bと内向きの継手2側の突起2aとの間を長手方向に連続して隙間なく溶接している。
【0049】
この場合の溶接箇所としては、図示の箇所以外に、外向きの突起3cと内向きの突起2の外側面2bとの間であってもよく、その場合、外向きの突起3cの一部若しくは全部が他の部分に比し低融点の材料5aから構成される。
【0050】
また、図6の実施形態に対しても、図1の実施形態に対する図3、図4と同様の変形形態、すなわち外向きの突起3cについて、内向きの継手3に対峙する側のみを低融点材料とするか、あるいは外向きの突起3cの図中下部の何分の一かを低融点材料とすることや、低融点材料を予め外向きの突起3cの一部または全部の形状に成形したものを用意しておき、母材である鋼矢板の方も上記外向きの突起3cが例えば印籠構造で嵌合できるように成形しておき、両者を嵌合一体化させるといった変形形態が考えられる。
【0051】
また、図1、図6の実施形態の何れの場合も、突起2aまたは突起3cは継手部における回転を拘束することができ、かつ継手2,3どうしが容易に離脱しないものであればよく、例えば図示したものより低いものでもよい。
【0052】
さらに、継手2,3に対するフラット部4の位置は、図示したような内向きの継手2の最下端および外向きの継手3の最上端だけでなく、継手2,3の嵌合に支障をきたさない位置であれば、特に限定されない。
【0053】
図7(a) 、(b) は、請求項4に係る発明の一実施形態を示したもので、これらは非対称継手2,3を有するU型鋼矢板1を2列に連結した後、鋼矢板1どうしを矢板壁の最外縁に対して互いに内向き方向に対峙させた状態で、各継手嵌合部を接合し、鋼製壁Aを形成している。図7(a) が2列の矢板壁が近接しているのに対し、図7(b) は2列の矢板壁が離間している場合である。
【0054】
鋼製壁の施工方法としては、各列を別々に水中および/または地中に設けるのが一般的であるが、可能であれば2列の鋼矢板壁を互いに離間した状態で同時に施工しても良い。
【0055】
この場合の特徴としては、2列に水中および/または地中に設けられた向かい合う鋼矢板壁に外界と隔離された閉空間が形成されるため、地中に設けられた部分を掘削し、継手嵌合部およびその周辺部の土砂を排除することで、その後の継手嵌合部の接合施工が容易となる点が挙げられる。
【0056】
また、遮水処理後は、上記閉空間は外界とは遮断されるため、継手接合部の監視や補修といった用途にも活用できる。
【0057】
図8(a) 、(b) は、請求項4に係る発明の他の実施形態を示したもので、これらは非対称継手2,3を有する2枚のU型鋼矢板1どうしをそれぞれの矢板壁の最外縁に対して互いに内向き方向に対峙させた状態で、直接溶接あるいは鋼板やH形鋼等の鋼材を介して溶接し一体化したものを1列に連結した後、継手嵌合部を接合して遮水性に優れた鋼製壁Aを形成している。図8(a) は2枚のU型鋼矢板1どうしを直接溶接一体化した場合、図8(b) はH形鋼7を介して溶接一体化してある場合である。
【0058】
この場合の特徴としては、鋼矢板1の水中および/または地中への施工が2枚同時に行えるため、施工(打設)能率が向上する他、水中および/または地中設置後の鋼矢板1どうしの間隔を一定に保持できるため、図10に示すような移動接合機の導入に適し、継手嵌合部の接合施工の効率化が図れる。
【0059】
また、図7の実施形態の場合と同様に、外界と隔離された閉空間が形成されるため、地中に施工された部分を掘削し、継手嵌合部およびその周辺部の土砂を排除することで、その後の継手嵌合部の接合施工が容易となる。
【0060】
また、遮水処理後は、上記閉空間は外界とは遮断されるため、継手接合部の監視や補修といった用途に活用できる。
【0061】
図9は、請求項4に係る発明のさらに他の実施形態を示したもので、非対称継手を有する2枚の直線型鋼矢板11どうしをそれぞれの矢板壁の最外縁に対して互いに内向き方向に対峙する形で、鋼板12を介して溶接し一体化したものを1列に連結した後、継手嵌合部を接合し、鋼製壁Aを形成している。
【0062】
この場合も、図8の実施形態と同様、鋼矢板の水中および/または地中への施工が2枚同時に行えるため、施工(打設)能率が向上する他、水中および/または地中設置後の鋼矢板11どうしの間隔を一定に保持できるため、図10に示すような移動接合機の導入に適し、継手嵌合部の接合施工の効率化が図れる。
【0063】
また、外界と隔離された閉空間が形成されるため、地中に設けられた部分を掘削し、継手嵌合部およびその周辺部の土砂を排除することで、その後の継手嵌合部の接合施工が容易となる。
【0064】
また、遮水処理後は、上記閉空間は外界とは遮断されるため、継手接合部の監視や補修といった用途に活用できる。
【0065】
なお、以上の実施形態における接合方法としては、図10や図11に示すような、鋼矢板の長手方向に連続して所定の接合速度で所定位置の接合が可能な移動式の接合機8,9、望ましくは自動溶接ロボットを用いることが施工能率の面から有効であるが、手動介入による接合でも良い。
【0066】
また、図10や図11に例示した移動式接合機を用いた継手嵌合部の接合においては、嵌合部に入り込んだ土砂等の異物を排除するため、水あるいはエア等のガスによる接合位置のパージを接合直前に行う機能を付与することが望ましい。
【0067】
【発明の効果】
本願発明の鋼矢板および矢板式鋼製壁は、以上説明したように構成され、連結、施工された鋼矢板の継手部は接合時のトラブルがなく、隙間なく安定して接合されるので、鋼矢板どうしの継手部分から地下水や海水が侵入するのを完全に防止することができる。
【0068】
さらに、膨潤性遮水材や遮水部材等が不要なため、製作コストおよび施工コストが安価で、鋼矢板とH形鋼等の他の鋼材と組合わせることで、様々な断面性能を有する鋼製壁が実現できる。
【0069】
また、請求項4に係る発明では、接合した継手部のモニタリング空間を確保することで、施工完了後の接合部の維持点検や補修が容易になり、遮水性能が長期にわたり維持できる。
【0070】
さらに、複数列の鋼矢板を連結・施工した場合には、継手部の接合が2列同時に可能となるため、施工時間が短縮でき、施工コストが安価になる等の効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本願の請求項1、請求項2に係る鋼矢板および矢板式鋼製壁の一実施形態を示したもので、(a) は非対称継手を有する鋼矢板を連結した状態を示す平面図、(b) 、(c) は接合の様子を示す要部拡大図である。
【図2】 (a) は本願発明の対象となる非対称継手を有する複数の鋼矢板を継手部で連結した状態を示す平面図、(b) はその継手嵌合部の拡大図である。
【図3】 (a) 、(b) は本願発明の鋼矢板および矢板式鋼製壁の他の実施形態における接合の様子を示す要部の平面図である。
【図4】 (a) 、(b) は内向きの突起の一部を低融点材料に置き換える方法の一例を示す説明図である。
【図5】 (a) 、(b) は比較例としての不具合な接合状況の説明図である。
【図6】 本願の請求項1に係る鋼矢板および矢板式鋼製壁の他の実施形態を示したもので、(a) は非対称継手を有する鋼矢板を連結した状態を示す平面図、(b) 、(c) は接合の様子を示す要部拡大図である。
【図7】 請求項4に係る発明の一実施形態を示す平面図であり、(a) が2列の矢板壁が近接している場合、(b) は2列の矢板壁が離間している場合である。
【図8】 請求項4に係る発明の他の実施形態を示す平面図であり、(a) は2枚のU型鋼矢板どうしを直接溶接一体化した場合、(b) はH形鋼を介して溶接一体化してある場合である。
【図9】 請求項4に係る発明のさらに他の実施形態を示す平面図である。
【図10】 移動式接合機を用いた継手嵌合部の接合方法の一例を示す平面図である。
【図11】 移動式接合機を用いた継手嵌合部の接合方法の他の例を示す平面図である。
【図12】 従来例としての特許文献3における遮水構造を示す平面図である。
【図13】 従来例としての特許文献4における遮水構造を示す平面図である。
【図14】 従来例としての特許文献5における遮水構造を示す平面図である。
【図15】 従来例としての特許文献6における遮水構造を示す平面図である。
【符号の説明】
A…鋼製壁、
1…鋼矢板、2…内向き継手、2a…内向きの突起、2b…外側面、3…外向き継手、3a…立上り部、3b…外側面、3c…外向きの突起、4…フラット部、5a…低融点材料、5b…溶接、6…溶接、7…H形鋼、8…移動式接合機、8a…溶接トーチ、8b…走行用レール、8c…走行用ローラー、9…移動式接合機、9a…溶接トーチ、9b…接合機間間隔調整用パンタグラフ、9C…位置決め兼走行用ローラー、11…直線型鋼矢板、12…鋼板

Claims (4)

  1. 両端の継手部における継手形状が左右非対称で、前記両端の継手部の近傍に打設法線と同方向となるフラット部と、フラット部に対して一方が内向き、他方が外向きに形成された前記継手部と、前記継手の少なくとも一方の継手の基部に突起を有し、前記フラット部を同一方向にそろえて直線状に結合可能な鋼矢板であって、前記突起の一部若しくは全部が矢板壁の他の部分に比べて低融点の材料から構成されていることを特徴とする鋼矢板。
  2. 両端の継手部における継手形状が左右非対称で、前記両端の継手部の近傍に打設法線と同方向となるフラット部と、フラット部に対して一方が内向き、他方が外向きに形成された前記継手部と、前記内向きの継手側の基部に内向きの突起と、前記外向きの継手側の基部に内向きの立上り部とを有し、前記フラット部を同一方向にそろえて直線状に結合可能な鋼矢板であって、前記突起の一部若しくは全部が矢板壁の他の部分に比べて低融点の材料から構成されていることを特徴とする鋼矢板。
  3. 請求項1または2に記載の鋼矢板どうしが、前記継手部で連結され、前記継手部の外側面と前記突起とが長手方向に連続して隙間なく接合された接合部を有することを特徴とする矢板式鋼製壁。
  4. 前記矢板式鋼製壁の前記接合部を有する側が向き合う状態で、前記矢板式鋼製壁どうしが水中および/または地中に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の矢板式鋼製壁。
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