JP5819507B2 - 仲介接合用遮水シート - Google Patents
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Description
現在改修時期を迎えている合成樹脂製の遮水シートは、塩化ビニール製の遮水シートであることが多いが、近年ではより高性能な遮水シートとしてポリエチレン製遮水シートが広く用いられているため、改修用の遮水シートとしても、ポリエチレン製遮水シートが採用されている。しかしながら、ポリエチレンは塩化ビニールとの接着が困難であり、極めて作業能率が低く、接合部分における遮水信頼性や施工コストの面で不都合が多かった。
すなわち、塩化ビニール製遮水シートにポリエチレン製遮水シートを接合するための仲介接合用遮水シートであって、塩化ビニール製遮水シートに接合可能な塩化ビニール製の第1の遮水シートと、前記ポリエチレン製遮水シートに接合可能なポリエチレン製の第2の遮水シートとを有し、前記第1の遮水シートおよび前記第2の遮水シートの端縁部どうしは、所要幅範囲にわたって重複した状態で接合された重複接合部に形成されていて、前記重複接合部において露出している前記第1の遮水シートまたは前記第2の遮水シートの端縁部分を含む所要範囲を被覆するシリコーン製のシートが接着されていることを特徴とする仲介接合用遮水シートである。
これらにより工場等において仲介接合用遮水シートを製造する際において、塩化ビニール製の第1の遮水シートとポリエチレン製の第2の遮水シートとの仮接合がしやすくなり、シリコーン製のシートを接着する際における作業性が向上する。すなわち、高い接合信頼性が確保された仲介接合用遮水シートを安価で得ることができる。
図1および図2に示すように本実施形態にかかる仲介接合用遮水シート10は、塩化ビニール製の第1の遮水シート20とポリエチレン製の第2の遮水シート30を所要幅範囲にわたって重複させた状態で接着剤40を介して接合されている。この第1の遮水シート20と第2の遮水シート30との重複接合部において、貯留部の水と接触する側の面において露出している第2の遮水シート30の重複接合部側端縁32をまたぐ所要範囲にシリコーン製のシート50が接着剤40により接着されている。以上に説明した接着剤40としては、例えば、東レ製のダウコーニングSE930シーラント等を好適に用いることができる。
このように、仲介接合用遮水シート10において貯留水と接触する側に露出する接合部分(ここでは、第2の遮水シート30の重複接合部側端縁32)をシリコーン製のシート50で被覆することで水密性を高める処理が施されることになり、仲介接合用遮水シート10にきわめて高い水密性が付与される。
本実施形態の仲介接合用遮水シート10によれば、図3〜図6に示すような貯留部であるダムにおける既設遮水シートの改修工事における作業効率を大幅に向上させることができ、遮水シートの改修部分と既設部分との接合部における接合強度および水密度の信頼性を向上させることができる点において好都合である。以下に本実施形態にかかる仲介接合用遮水シートを用いたダムにおける既設遮水シートの改修方法について説明する。
通常のダムDは、堤体DB等に設けられた排水口の位置が貯水部の底面位置より高いことがあるため、貯留水Wのすべてを貯水領域から排出したうえでの工事は不可能な場合がある。このような場合においては、図4に示すように、貯留水Wの一部が貯水領域に残るため、既存の遮水シートSSの一部を貯水領域に残存させた状態で遮水シートSSの改修工事を行う必要がある。なお、図5および図6では、説明の便宜上貯留水Wの図示を省略している。
塩化ビニール製の既存の遮水シートSSの端縁部と、塩化ビニール製の第1の遮水シート20の端縁部を接合した後は、必要に応じて重複接合部の水密を保つためのシール加工を行うことがある。このようなシール加工は、仲介接合用遮水シート10に接着されているようなシリコーン製のシート50を好適に用いることができる。
このようにして、塩化ビニール製の既存の遮水シートSSの端縁部の延長方向に沿って複数の仲介接合用遮水シート10における第1の遮水シート20の端縁部の接合処理を繰り返し行う。また、隣接する仲介接合用遮水シート10,10,・・・どうしの接合に関しては、同じ材料の端縁部どうしの接合処理となるため、何ら困難を伴わずに施工することができる。
図7は、第2の実施形態にかかる仲介接合用遮水シートの断面図である。断面位置は第1の実施形態と同じ位置である。本実施形態以降においては、第1の実施形態にかかる仲介接合用遮水シート10と同じ構成については、第1の実施形態の説明で用いた同じ符号を付すことによりここでの詳細な説明は省略する。
本実施形態にかかる仲介接合用遮水シート10における第1の遮水シート20と第2の遮水シート30との重複接合部には、それぞれの重複面に機械的接合手段として一対のファスナー60,60が取り付けられている点が特徴である。これらのファスナー60,60は、ファスナー取付片61,61部分を第1の遮水シート20および第2の遮水シート30の重複面に縫製することにより取り付けすることができる。ファスナー60としては、公知のものを用いることができるが、防水性ファスナーが特に好適に用いられる。
図8は、第3の実施形態にかかる仲介接合用遮水シートの断面図である。断面位置は第1の実施形態と同じ位置である。
本実施形態にかかる仲介接合用遮水シート10における第1の遮水シート20と第2の遮水シート30との重複接合部には、それぞれの重複面に一対の面ファスナー62,62が取り付けられている点が特徴である。これらの面ファスナー62,62は第1の遮水シート20と第2の遮水シート30との重複面に縫製や接着により取り付けることができる。シリコーン製のシート50を仲介接合用遮水シート10内における接合部分の表面に貼着する際には接着剤40を用いればよく、面ファスナー62,62どうしの係合を妨害しない場合には、面ファスナー62の係合部分にも接着剤40を塗布しておいてもよい。
図9は、第4の実施形態にかかる仲介接合用遮水シートの平面図である。図10は、図9内のB−B線における断面図である。
本実施形態にかかる仲介接合用遮水シート10の重複接合部は、第1の遮水シート20の一方の面(上面)に第2の遮水シート30が重複され、第1の遮水シート20の他方の面(下面)に第3の遮水シート34を重複させた構成になっている。また、第1の遮水シート20の重複接合部側端縁22から所要距離をあけた位置には貫通孔24が形成されている点が特徴的である。
このように第2の遮水シート30に第3の遮水シート34を取り付けることで、第1の遮水シート20との重複接合部となる部位に挿入部36を形成することができる。第2の遮水シート30と第3の遮水シート34(挿入部36)の内表面間の離間距離は少なくとも第1の遮水シート20の厚さ寸法以上となるように形成されている。
この後、圧着接合処理を施した部分を冷却すれば、第1の遮水シート20と第2の遮水シート30および第3の遮水シート34との重複接合部が貫通孔24部分で抜け止めされた状態となり、それぞれの遮水シート20,30,34を強固に一体化させることができる。最後に接着剤40を用いてシリコーン製のシート50により第2の遮水シート30の重複接合部側端縁32を含む所要範囲にわたって被覆すればよい。
図11は、第5の実施形態にかかる仲介接合用遮水シートの平面図である。本実施形態は第4の実施形態の変形例である。第4の実施形態においては、第1の遮水シート20に形成された貫通孔24は、第1の遮水シート20の重複接合部側端縁22から所要間隔をあけた位置に穿設されているが、本実施形態においては第1の遮水シート20の重複接合部側端縁22に連通する配列で貫通孔24が形成されている。この貫通孔24は、図11に示すように、連通部26を介して第1の遮水シート20の重複接合部側端縁22に連通した状態で形成されている。第1の遮水シート20の重複接合部側端縁22の延長方向における貫通孔24および連通部26の幅寸法は貫通孔24の幅寸法よりも連通部26の幅寸法の方が幅狭寸法となるように形成されている。
また、第2〜第5の実施形態においては、第1の遮水シート20と第2の遮水シート30の重複接合部に接着剤40が塗布されているが、ファスナー60による接合、面ファスナー62による接合、第1の遮水シート20と第2の遮水シート30および第3の遮水シート34どうしの圧着接合が十分な強度を有している場合には、重複接合部に接着剤40を塗布しなくてもよい。
そして、第4,第5の実施形態では、重複接合部において第2の遮水シート30に第3の遮水シート34を予め接合して挿入部36を形成し、挿入部36に接着剤40を充てんした後に、第1の遮水シート20の重複接合部側端縁22を挿入部36に挿入してから熱圧着処理を施しているが、挿入部36への接着剤40の充てんを省略することも可能である。
20 第1の遮水シート
22,32 重複接合部側端縁
24 貫通孔
26 連通部
30 第2の遮水シート
34 第3の遮水シート
36 挿入部
40 接着剤
50 シリコーン製のシート
60 ファスナー
61 ファスナー取付片
62 面ファスナー
D ダム
DB 堤体
G 原地盤
SS 既存の遮水シート
PS ポリエチレン製遮水シート
W 貯留水
Claims (7)
- 塩化ビニール製遮水シートにポリエチレン製遮水シートを接合するための仲介接合用遮水シートであって、
塩化ビニール製遮水シートに接合可能な塩化ビニール製の第1の遮水シートと、前記ポリエチレン製遮水シートに接合可能なポリエチレン製の第2の遮水シートとを有し、
前記第1の遮水シートおよび前記第2の遮水シートの端縁部どうしは、所要幅範囲にわたって重複した状態で接合された重複接合部に形成されていて、
前記重複接合部において露出している前記第1の遮水シートまたは前記第2の遮水シートの端縁部分を含む所要範囲を被覆するシリコーン製のシートが接着されていることを特徴とする仲介接合用遮水シート。 - 前記重複接合部における前記第1の遮水シートと前記第2の遮水シートは機械的接合手段により接合されていることを特徴とする請求項1記載の仲介接合用遮水シート。
- 前記機械的接合手段は、前記第1の遮水シートと前記第2の遮水シートとの端縁部どうしに取り付けられたファスナーであることを特徴とする請求項2記載の仲介接合用遮水シート。
- 前記ファスナーは面ファスナーであることを特徴とする請求項3記載の仲介接合用遮水シート。
- 前記第1の遮水シートにおける前記重複接合部の位置には、前記第1の遮水シートの一方の面側に前記第2の遮水シートが重複されていると共に、前記第1の遮水シートの他方の面側にポリエチレン製の第3の遮水シートが重複されていて、
前記第1,前記第2,前記第3の遮水シートの重複部分において、前記第2および前記第3の遮水シートのポリエチレンが溶融する温度で熱圧着されることにより前記重複接合部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の仲介接合用遮水シート。 - 前記第1の遮水シートにおける前記重複接合部の位置に単数または複数の貫通孔が形成されていて、
前記第2および前記第3の遮水シートの溶融したポリエチレンが前記貫通孔に充てんされていることを特徴とする請求項5記載の仲介接合用遮水シート。 - 前記第3の遮水シートの厚さ寸法は、前記第2の遮水シートの厚さ寸法以上であることを特徴とする請求項5または6記載の仲介接合用遮水シート。
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