JP2724040B2 - 塩化ビニル樹脂製シートの防水絶縁工法 - Google Patents

塩化ビニル樹脂製シートの防水絶縁工法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は土木、建築工業分野に利用される長尺の塩化
ビニル樹脂製防水シートによる防水絶縁工法に関するも
のである。
本発明は、塩化ビニル樹脂製防水シート(以下防水シ
ート)を建造物の防水下地面へ部分的に機械的に固定す
る絶縁工法において防水シート相互の接合部分と下地コ
ンクリートとの間に予め固定金具を一定の間隔で固定し
た後、防水シートの端部を引張った状態で固定金具へ溶
剤による溶着又は熱風により溶着して接合させ、次に防
水シートを当該防水シートへ重ね合せて、溶着又は融着
を併用して接合させる。また、シートの中央部に固定金
具を一定間隔で下地面へ固定した後、塩化ビニル防水シ
ートにより覆い周囲を溶着及び融着する。
上記のように予め下地へ固定した固定金具と、防水シ
ートを引張り施設した後、防水シート上より固定金具の
固定を併用することにより、絶縁工法の施工上での特徴
である防水シート施設時の引張り作業の軽減及び下地へ
物理的に防水シートを拘束することにより確実な耐負風
圧性を確保できることを目的とした防水施工法である。
(従来の技術) 従来、コンクリート等の屋根面へ防水シートを施工す
る際、その下地面又は下地面とシート面の両面へ接着剤
を塗布し、防水シートを屋上又は屋根等の建造物の下地
面へ固定していた。
(発明が解決しようとする課題) 従来工法の場合、降雨、降雪後で防水下地面が湿潤状
態の際、下地面が乾燥するまで待たねばならず又、コン
クリート等の建造物の防水層の改修の際、既設防水層や
防水保護層を撤去又は全面補修する必要が多々あり、工
期が遅延し、コストアップになる。
また従来、防水シートを防水下地面へ部分的に固定す
るいわゆる絶縁工法は、防水シートを施設した後、予め
下地面へ部分的に固定された固定金具に溶着する方法
(第2図)又は防水シートを施設後、防水シート上より
固定金具を下地へ固定する方法(第3図)が取られてき
た。
上記2工法の場合、防水シート相互の接合時に絶縁工
法の施工時の欠点がある、シート相互を引張った状態
(シート長さの約1%)を保持しながら、接合部を溶着
する作業が非常に困難であり、作業性が著しく低下する
という問題があった。
本発明は、上期従来工法の課題を解決しようとしたも
ので、接着剤を使用しないで防水層を敷設することに
し、降雨、降雪後の湿潤状態の下地面であっても、遅延
なく施工が可能であり、改修工事においても、下地面を
ほとんど補修することなしに防水層の施工が可能である
防水工法を提供することにある。
また、本発明は、防水シート表面に著しい段差を形成
させず、防水シート表面に水を溜まらなくさせることを
目的とする。
また、本発明は、予め下地へ固定した固定金具と、防
水シートを敷設した後、防水シート上より固定金具への
固定を併用することにより、防水シート敷設時の引張り
作業を簡易にし、合せて物理的に防水シートを拘束する
ことにより確実な耐負風圧性を確保でき、長期間安定し
た防水層が得られる防水工法を提供するにある。
(課題を解決するための手段) 本発明は塩化ビニル樹脂製防水シートを建造物の防水
下地面へ部分的に機械的に固定する塩化ビニル樹脂製防
水シートの防水絶縁工法において、塩化ビニル樹脂を表
裏に被覆した、円盤又は四角状の鋼板製固定金具を、固
定用アンカを用いて、予め、前記防水シート幅に合わせ
て、前記防水シートの両端部にあたる位置の下地面に、
一定の間隔を空けて島状に固定した後、前記防水シート
の両端部を引張った状態で、前記防水シートの両端部の
前記固定金具にあたる部分を前記固定金具と溶剤溶着又
は熱融着により接合させて接合部を形成し、前記防水シ
ートの両端部の前記固定金具にあたらない部分を前記固
定金具と接合させずに遊離部とし、次に前記防水シート
の前記接合部と前記遊離部とを、次列の塩化ビニル樹脂
製防水シートの端部と重ね合せて溶剤溶着及び熱融着を
併用して接合合体させる工程と、前記防水シートの上か
ら、前記防水シート幅に対し1カ所以上の部位に、固定
金具を前記防水下地面へ部分的に固定し、前記固定金具
を塩化ビニル樹脂製防水シートにより覆い、周囲を溶着
及び融着を併用して接合させる工程とより成ることを特
徴とする、塩化ビニル樹脂製シートの防水絶縁工法であ
る。
(作 用) 本発明の塩化ビニル樹脂製防水シートをコンクリート
等の防水下地面へ部分的に固定する絶縁工法を実施する
場合には、防水シート相互の接合部分と下地との間に予
め固定金具を一定の間隔で固定した後、防水シートの端
部を引張った状態で固定金具へ溶剤溶着(以下溶着とい
う)又は熱融着(以下融着という)により接合させる。
次に次列の防水シートを当該防水シートへ2cm以上20cm
以下重ね合せて、溶着又は融着を併用して接合させる。
重ね合せ部が2cm以下と狭いと接合強度が充分でなく、
また漏水の恐れがあり、又20cm以上では強度、漏水の面
からは十二分であるが経済的に過剰となり好ましくな
い。
また防水シートの上から当該防水シート幅に対し1ケ
所以上の部位に塩化ビニル樹脂を表裏に被覆した鋼板製
固定金具を防水下地面へ部分的に固定する。
以上のように、本発明では防水シートを機械的に下地
に固定するため一層確実にコンクリート等の下地面へ防
水シートを固定することができ、固定金具と防水シート
の間のみ溶着又は融着すればよいので防水機能上、一層
安全で確実な防水層を構成できる。
本発明は、防水シートを防水下地面へ部分的に固定す
る方法として予め、下地面へ固定した固定金具へ防水シ
ート端部を、溶着及び融着を併用して接合した後、更に
防水シートの上から下地面に予め固定した固定金具に対
し物理的に固定するため、防水下地面が湿潤状態であっ
ても遅延なく施工が可能であり、改修工事においても接
着剤を使用しないため、下地面をほとんど補修すること
なしに防水層の施工が可能となる。
また、防水シート端部を接合する際、防水シートを予
め固定した固定金具に固定することより引張り作業が簡
単になり、施工性のアップ及び施工コストが低減する効
果も併せて得られる。
(実施例) 本発明の実施例を詳細を添付図面について以下詳細に
説明する。
第1図の1,1Aは、一般的なコンクリート製の陸屋根を
示す。本発明の防水施工法をこのコンクリート製屋根に
施工する際、まず、円盤状又は四角状の塩ビ鋼板製の固
定金具2を防水シート3の端部位置へ固定用アンカー4
を用いて強固に取り付ける。
また、陸屋根1Aの立上ったパラペット入隅線にそっ
て、L形状の塩ビ鋼板製固定金具5を取り付ける。
防水シート3の一端3Aを固定金具5の入隅線に合せて
固定金具5へ溶着し、次いで他端3Bを引張った状態で塩
ビ鋼板製固定金具2へ溶着し、防水シート3の端部へ次
の防水シート3の端部3Cを溶着及び融着することで確実
な防水層を形成する。防水シート3,3の長手方向も上記
と同様に引張った状態で各々対応するパラペット入隅部
の固定金具5へ溶着する。
次に各防水シートの幅毎に1ケ所以上、円盤状又は角
状の塩ビ鋼板製固定金具2を固定用アンカー4を用いて
強固に固定し、当該固定金具の上より円盤状又は、角状
に成形又は打抜いた塩化ビニル樹脂シート3aを溶着及び
融着する。
図中6はパラペット末端部の固定金具を示し、7は立
上り部へ施す防水シートで水平部の防水シート3と同一
材質である。8は防水シート末端部をシールするシール
材を示す。
(発明の効果) 本発明は、建造物等の防水下地面へ防水シートを固定
する方法として塩化ビニル樹脂シートを表裏に被覆した
円盤状又は四角状の鋼板製固定金具2を固定用アンカー
4で取り付け、これに防水シート3を溶着及び融着を併
用して接合するため、確実な水密性が確保され、且つ、
予め固定金具を下地面の所定個所に固定しておき、これ
に防水シート上より固定するため引張り作業の作業性が
向上する利点がある。
また、防水下地面が湿潤状態であっても、遅延なく、
施工が可能であり、改修工事においても、下地面をほと
んど補修することなしに防水層の施工が可能となる利点
がある。
また、防水シート敷設後、防水シート中央部を一定間
隔で固定金具を用いて、物理的に固定するため、耐風圧
性に対し、より一層確実な防水層を確保できる効果も合
せて得られる。
更に、本発明では、防水シートを所定の間隔を空けて
島状に固定するため、得られる防水シート表面には、著
しい段差が形成されず、防水シート表面に水が溜まらな
い。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明により施工された陸屋根の部分断面図、 第2図及び第3図は従来の絶縁工法の代表例である。 1……防水下地 1A……立上り部防水下地 2……塩化ビニル樹脂を表裏に被覆した鋼板製固定金具 3……塩化ビニル樹脂シート 3a……塩化ビニル樹脂シート 3A,3B……防水シートと鋼板製固定金具との接合部 3C……防水シートと防水シートとの接合部 4……固定用アンカー 5,6……塩化ビニル樹脂を周囲に被覆したL形鋼製固定
金具 7……塩化ビニル樹脂シート 8……シール材

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塩化ビニル樹脂製防水シートを建造物の防
    水下地面へ部分的に機械的に固定する塩化ビニル樹脂製
    防水シートの防水絶縁工法において、 塩化ビニル樹脂を表裏に被覆した、円盤又は四角状の鋼
    板製固定金具を、固定用アンカを用いて、予め、前記防
    水シート幅に合わせて、前記防水シートの両端部にあた
    る位置の下地面に、一定の間隔を空けて島状に固定した
    後、前記防水シートの両端部を引張った状態で、前記防
    水シートの両端部の前記固定金具にあたる部分を前記固
    定金具と溶剤溶着又は熱融着により接合させて接合部を
    形成し、前記防水シートの両端部の前記固定金具にあた
    らない部分を前記固定金具と接合させずに遊離部とし、
    次に前記防水シートの前記接合部と前記遊離部とを、次
    列の塩化ビニル樹脂製防水シートの端部と重ね合せて溶
    剤溶着及び熱融着を併用して接合合体させる工程と、 前記防水シートの上から、前記防水シート幅に対し1カ
    所以上の部位に、固定金具を前記防水下地面へ部分的に
    固定し、前記固定金具を塩化ビニル樹脂製防水シートに
    より覆い、周囲を溶着及び融着を併用して接合させる工
    程とより成ることを特徴とする、塩化ビニル樹脂製シー
    トの防水絶縁工法。
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