JP3657635B2 - メチルナフタレンの製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明はタール油留分からメチルナフタレンを回収する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
コールタールを蒸留して得られる粗メチルナフタレン中には、α−メチルナフタレン、β−メチルナフタレンの他に、ビフェニル、アセナフテン、ジフェニレンオキサイド、インドール等を含んでいる。蒸留温度範囲にもよるが、α−メチルナフタレンとβ−メチルナフタレンを合わせて60〜90重量%のメチルナフタレンを含んでいる。これは、更に精製してメチルナフタレンとする他、このような混合物として溶剤、有機合成原料等として使用される。
【0003】
メチルナフタレン自体は無色透明であるが、コールタールを蒸留して得られる粗メチルナフタレンは、一般に薄く着色しており、また蛍光も有している。このような原因となる成分は可及的に除去することが望ましい。
【0004】
特開昭61−30536号公報には、粗メチルナフタレンに苛性アルカリを加えてインドールをインドールアルカリ塩として除去する方法が記載されている。また、特開昭62−153232号公報には、粗メチルナフタレンにモノエタノールアミンを添加して抽出蒸留してメチルナフタレンを分離する方法が記載されている。
【0005】
しかしながら、このようなインドールの除去操作を行っても、少量のインドールが残存することは避けられず、これが蛍光の原因となったりする。そこで、前記特開昭61−30536号公報では、苛性アルカリ処理後のメチルナフタレンを硫酸洗浄、次いで蒸留することを推奨している。しかし、本発明者らの研究によれば、このような処理をしたとしても微量のインドールが残ることが見出された。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、粗メチルナフタレンからインドールを効率よく除去して、インドール含有量の低減されたメチルナフタレンを得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、メチルナフタレン及び少量のインドール類を含むタール油留分を、硫酸洗浄及び蒸留して精製メチルナフタレンを製造するに当たり、硫酸洗浄工程でインドール濃度を10ppm以下、インドールオリゴマー濃度を500ppm以下とすると共に、蒸留工程では滞留時間1〜20時間、塔底温度250℃以下の条件で蒸留することを特徴とするインドール含有量が低減されたメチルナフタレンの製造方法である。
【0008】
本発明で原料とするメチルナフタレン及び少量のインドール類を含むタール油留分(以下、粗メチルナフタレンという)は任意の純度のものを使用することができるが、インドールの含有量は8%(重量%、以下同じ)以下、10ppm(重量ppm、以下同じ)以上、好ましくは1%以下、1000ppm以上とされたものがよい。インドールを高濃度で含む粗メチルナフタレンから大部分のインドールを除去するには、上記のように苛性アルカリ処理、抽出、抽出蒸留等をする方法がある。
【0009】
また、本発明で目的とするインドール含有量が低減されたメチルナフタレンは、メチルナフタレン濃度に関しては60%以上、好ましくは80%以上であるものであるが、インドール含有量は10ppm未満、好ましくは1ppm以下に低減されたものである。
【0010】
この粗メチルナフタレンを硫酸洗浄する工程は、インドール濃度を10ppm、インドールオリゴマー濃度を500ppm以下、好ましくはインドール濃度を5ppm、インドールオリゴマー濃度を400ppm以下となるように行う。
【0011】
硫酸洗浄によりインドールを除去できることは知られているが、この機構は十分に知られていたとはいえない。本発明者らはこの機構について、詳細に検討した結果、インドールは酸と接触することにより、インドールカチオンとなり、そのインドールカチオンがダイマー、トリマーと成長し、最終的にはテトラマー以上のインドールポリマーを形成することが判明した。そして、ダイマー、トリマーからなるオリゴマーは、硫酸によく溶解するが、メチルナフタレンにも少量溶解する。また、インドールポリマーは、メチルナフタレン、硫酸の両者に溶解せず、エマルジョンとして分離されることを見出した。
メチルナフタレンに対する溶解度と温度の関係を図1に、また、硫酸に対する溶解度と温度の関係を表1に示す。
【0012】
【表1】
【0013】
硫酸洗浄に使用する硫酸濃度は50〜90%程度が適当であり、薄いと重合が十分に進まない。硫酸の使用量は、粗メチルナフタレン100部(重量部、以下同じ)に対し、1〜60部、好ましくは5〜40部の範囲がよいが、使用量が少量の場合は、比較的に長い接触時間が必要となる。洗浄は両者を接触させることにより行うが、通常数分以内で十分である。また、洗浄温度は高いほど、インドールの低減速度は早いが、常温〜60℃程度、好ましくは常温程度がよい。
【0014】
インドール濃度を10ppm以下にするには、硫酸濃度を高めたり、使用量を増やしたり、洗浄温度を高めたり、接触時間を長くしたりすることにより、容易に達成できる。
インドールオリゴマー濃度を500ppm以下にするには、温度を下げることが有効であり、70℃以下にすることにより達成される。
【0015】
そして、好ましくは、インドールの大部分がインドールポリマーになるように、洗浄を行うことである。すなわち、インドールオリゴマーは、沸点が高く、蒸留によりメチルナフタレンと容易に分離されるが、本発明者らの研究によれば蒸留操作中にこれが、分解してインドールとなり、メチルナフタレン中に混入することが見出されたからである。
【0016】
硫酸洗浄したのちのメチルナフタレンは、上記のように少量のオリゴマー等を含むので、蒸留して精製する。この蒸留工程は、滞留時間1〜20時間、塔低温度250℃以下の条件、好ましくは滞留時間5〜10時間、塔底温度200℃以下の条件で蒸留を行う。滞留時間が長いと、インドールオリゴマーの分解が起こり、メチルナフタレンへのインドールの混入が増大する。しかし、短時間の間はインドールの重合が進行するので、ある程度の時間は滞留させることがよい。また、塔底温度が高いほど、オリゴマーの分解が多いのが、必要以上に低くすることは減圧度を高めることになり不利である。
図2に、インドールをメチルナフタレンに添加した油について、熱履歴を加えたときの、インドール濃度と時間との関係を示す。
【0017】
このようにすることにより、インドール含有量が低減されたメチルナフタレンを得るが、更に純度を上げたりする必要がある場合は、晶析、吸着等の精製処理を行うことができる。
【0018】
【実施例】
実施例1
苛性カリ処理された粗メチルナフタレン(インドール含有量0.50%)100部と75%硫酸20部とを、硫酸洗浄槽で、30℃、60秒間、攪拌、接触させて洗浄し、静置した。
これを相分離して、油相(インドール含有量9.5ppm、インドールオリゴマー308ppm)99部を得た。次いで、これを蒸留塔に装入し、塔底温度220℃、平均滞留時間6時間で蒸留を行い、精製メチルナフタレン(インドール含有量1ppm以下)95部を得た。
【0019】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、インドールを含有しない精製メチルナフタレンを容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、メチルナフタレンに対する温度と溶解度の関係を示すグラフである。
【図2】 図2は、インドールをメチルナフタレンに添加した油について、インドール含有量と熱履歴時間の関係を示すグラフである。
Claims (1)
- メチルナフタレン及び少量のインドール類を含むタール油留分を、硫酸洗浄及び蒸留して精製メチルナフタレンを製造するに当たり、硫酸洗浄工程でインドール濃度を10ppm以下、インドールオリゴマー濃度を500ppm以下とすると共に、蒸留工程では滞留時間1〜20時間、塔底温度250℃以下の条件で蒸留することを特徴とするインドール含有量が低減されたメチルナフタレンの製造方法。
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---|---|---|---|
JP25803794A JP3657635B2 (ja) | 1994-10-24 | 1994-10-24 | メチルナフタレンの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP25803794A JP3657635B2 (ja) | 1994-10-24 | 1994-10-24 | メチルナフタレンの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH08120281A JPH08120281A (ja) | 1996-05-14 |
JP3657635B2 true JP3657635B2 (ja) | 2005-06-08 |
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Family Applications (1)
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JP25803794A Expired - Fee Related JP3657635B2 (ja) | 1994-10-24 | 1994-10-24 | メチルナフタレンの製造方法 |
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Families Citing this family (1)
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---|---|---|---|---|
CN102268273B (zh) * | 2011-07-18 | 2013-09-11 | 辽宁科技学院 | 一种焦化洗油深加工工艺 |
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1994
- 1994-10-24 JP JP25803794A patent/JP3657635B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH08120281A (ja) | 1996-05-14 |
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