JP3656348B2 - 放射線硬化型液状樹脂 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗料、インキ等の被膜形成材料用、粘着剤、接着剤用の樹脂として溶剤や開始剤を使わずに造膜し硬化膜を得ることができる液状樹脂に関する。また、本発明により得られる液状樹脂は、放射線硬化型樹脂として印刷インキ、塗料、接着剤等のビヒクルとして利用することができる。
【0002】
【従来の技術】
従来、塗料、接着剤、粘着剤、インキ、充填剤、成形材料には有機溶剤を含有する樹脂溶液が使われてきた。これらの樹脂溶液は、塗装、充填工程および硬化乾燥工程で大量の有機溶剤を飛散する。地球環境また作業環境への関心の高まりとともに、この様な樹脂溶液の使用に対する制限が加えられる様になってきている。その一つの方法として、粉体、ホットメルト材料の使用が挙げられるが、従来の造膜、乾燥システムと大いに異なるために、新規の設備を導入する必要が生まれる。上記の問題を解決するために、溶液系樹脂のハイソリッド化、水性樹脂の改良等が行われており、こうした努力により、今後有機溶媒の使用量は更に低下の傾向が顕著になると考えられる。しかし、根本的な解決策として、公害、安全衛生、引火、爆発等の問題がなく、広範囲に適用でき、且つ造膜及び硬化の容易な無溶剤液状樹脂の開発が強く要望されている。
各種の放射線硬化型樹脂組成物は、速乾性で1液型の無溶剤型樹脂としてかなり有望と言えるが、従来系では大量の低分子量成分により組成物の粘度を制御していた。そのため硬化後も残留モノマー臭気等の問題で環境上好ましくなかった。また、硬化時の体積収縮が大きく、硬化塗膜が脆くなることや基材との密着性が問題とされていた。この硬化収縮率を改善するために比較的分子量の高いモノマー成分を用いたり、高分子量成分を少量添加するなどの工夫はなされていたが、特に後者場合には固体状のものであったため、組成物を適正な粘度範囲内に制御するためには添加できる量が限られており、これらの問題は放射線硬化型樹脂組成物の使用範囲をかなり狭いものとしていた。
無溶剤樹脂組成物としては、特開昭57−171号公報に開示されている。この技術は、アクリルモノマーによる液状樹脂を使用するが、得られた樹脂がオリゴマーであることから、さらに改善が望まれる。また物性面では、オリゴマー領域の樹脂から構成される塗料の場合、硬化後の塗膜物性をコントロールすることの困難さが知られており(室井宗一、「1992年度接着と塗装研究会講座」講演要旨集、4 ページ、1993年)、低粘性を保った上での分子量増加が望まれる。
【0003】
硬化時の体積収縮を緩和できるものとして脂環式エポキシ化合物を用いたカチオン硬化系の組成物が検討されている。確かに、硬化収縮に関してある程度改良されるものの、希釈効果の高い低分子量の脂環式エポキシ化合物を用いた場合には、やはり硬化時の体積収縮問題が解決されたとは言い難い。また低分子量のエポキシ系化合物には変異原性の高いものが多いことも問題である。更に従来の脂環式エポキシ化合物を用いた放射線硬化型の樹脂組成物は、カチオン系架橋反応系であったことから、トリガーとして紫外線を用いるときだけではなく電子線で硬化させる場合においても開始剤を必要としていた。特に電子線で硬化させる場合においては毒性が強いと言われているアンチモン系のオニウム塩を使用する必要があり、環境上に問題を残しているといえる(J.V.CRIVELLO,et.al.,J.Applied Polym. Sci.44,9(1992) )。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高分子量で液状の放射線硬化型の樹脂を提供することにより、安全性や物性的に問題のある低分子量化合物の配合率を低減もくしは不要とせしめることにより作業環境の改善に寄与するものである。また、硬化時の体積収縮や金属やプラスチックフィルムに対する接着性を改善せしめた、開始剤不要の脂環式エポキシ系の放射線硬化型液状樹脂を提供するものである。
【0005】
本発明者は上記問題を解決するために様々な樹脂系の構造とバルク粘度との相関性等について鋭意研究を行なった結果、高分子量の樹脂でありながら従来の造膜方法で造膜できる粘度範囲内にあり、なおかつ従来からある放射線をトリガーとして用いる硬化方法により高速度で硬化させることができる無溶剤の放射線硬化型の液状樹脂を見いだした。また、液状樹脂の側鎖成分として脂環式エポキシ基を導入することにより、低分子量の脂環式エポキシ化合物や溶媒を含まない液状の脂環式エポキシ基含有ポリマーを得ることができた。更に、電子線やγ線などの電離放射線をトリガーとした場合、開始剤を全く使用しなくても側鎖成分として導入した脂環式エポキシ基が架橋反応することにより硬化することを見いだし、硬化物からのマイグレーションやフレーバー等の問題を解決しうる上記放射線硬化型樹脂を得ることが可能となり本発明に至った。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下記式で示されるアルキレングリコール(メタ)アクリレート系モノマー(a−1)20〜95重量%、分子中に脂環式エポキシ基を有するビニルモノマー(a−2)5〜80重量%、および上記以外の重合性ビニルモノマー(a−3)0〜75重量%を重合してなる、数平均分子量が10,000〜200,000であって、粘度が1〜10,000ポイズ(50℃)である放射線硬化型液状樹脂に関する。
CH2 =C(R1 )COO(Cn H2nO)m R2 (1)
(式中、R1 は水素原子またはCH3 、R2 は炭素数1〜5のアルキル基またはフェニル基、nは1〜4の整数、mは3〜25の整数をそれぞれ表す。)また、本発明は上記式(1)で示されるアルキレングリコール(メタ)アクリレート系モノマーの分子量の平均が220以上である上記の放射線硬化型液状樹脂に関する。更に本発明は、上記式(1)においてR1 が水素原子である上記放射線硬化型液状樹脂に関する。更に本発明は、電子線硬化型である上記の放射線硬化型液状樹脂に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明において放射線硬化型液状樹脂は、アルキレングリコール(メタ)アクリレート系モノマー(a−1)20〜95重量%、分子中に脂環式エポキシ基を有するビニルモノマー(a−2)5〜80重量%、および上記以外の重合性ビニルモノマー(a−3)0〜75重量%を重合してなる。
【0008】
本発明において、一般式(1)で示されるアルキレングリコール(メタ)アクリレート系モノマー(a−1)は、(メタ)アクリル系樹脂(A)を液状とするために使用される。
一般式(1)で示されるアルキレングリコール(メタ)アクリレートとして、例えば、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、プロポキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、n−ブトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、n−ペンタキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシオクタエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシテトラプロピレングリコール(メタ)アクリレート、プロポキシテトラプロピレングリコール(メタ)アクリレート、n−ブトキシテトラプロピレングリコール(メタ)アクリレート、n−ペンタキシテトラプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリブチレンブリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラブチレンブリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリブチレングリコール(メタ)アクリレート、または、
【0009】
フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどがあり、中でも3〜25、好ましくは4〜22の繰り返し単位であるポリオキシアルキレン鎖を有するアクリレートまたは対応するメタアクリレートを使用することにより効果的に共重合体の粘度を下げることができ、また電子線またはγ線照射により硬化させる場合にはポリオキシアルキレン側鎖の架橋反応が効果的に進行するため好ましい。繰り返し単位2以下の場合、低粘度の液状樹脂が得られにくく、また26以上になると重合度が上がりにくい上、50℃では固体であるため、造膜の際に専用の溶融システムが必要となるため好ましくない。
【0010】
斯るアルキレングリコール(メタ)アクリレート系モノマー(a−1)は、モノマー成分中に20〜95重量%、好ましくは、40〜90重量%含まれる。アルキレングリコール(メタ)アクリレート系モノマー(a−1)が40重量%、特に20重量%より少なくなると、好ましい粘度が保ち得なくなるため好ましくない。
また、本発明において(メタ)アクリル系液状樹脂(A)の構成成分として用いるられる上記式(1)で示されるアルキレングリコール(メタ)アクリレート系モノマーの平均分子量は、220以上、好ましくは、250〜700の範囲である。この範囲以外では場合には、好ましい粘度範囲の液状樹脂が得られないため好ましくない。
また、本発明で得られる放射線硬化性液状樹脂を電子線照射により硬化せしめる場合、またより低粘性の液状樹脂を得たい場合には、一般式(1)で示されるR1 は水素であることが好ましい。
なお、本発明における造膜とは、印刷および塗装などの方法により、紙、金属、プラスチック、セラミックス等よりなる基材上に、樹脂を厚さ0.1〜500μmの膜を形成せしめることをいう。
【0011】
更に、本発明において、繰り返し単位mが6以上好ましくは8以上のポリエチレングリコール鎖を有するアルキレングリコール(メタ)アクリレート系モノマー(a−1)をモノマー成分中に40重量%以上、好ましくは60重量%以上使用することにより水系溶剤に可溶な放射線硬化性液状樹脂として用いることができる。
【0012】
本発明において、分子中に脂環式エポキシ基を有するビニルモノマー(a−2)は、(メタ)アクリル系液状樹脂の放射線架橋性を促進するために用いられる。 斯る脂環式エポキシ基含有ビニルモノマー(a−2)としては、分子中にラジカル重合性を有するビニル基と、脂環式エポキシ基を有する化合物であれば特に限定はしないが、中でも下記一般式で表される化合物を用いると、アルキル(メタ)アクリレート系モノマーとの共重合反応時や脱溶剤時にゲル化等のトラブルが生じにくいため好ましい。
【0013】
【化1】
(各一般式中R1 は、水素原子またはメチル基を示す。
Yは−{R2 COO}n R3 −で示される2価の基であり、R2 は炭素数1〜10、R3 は炭素数1〜6の2価の脂肪族炭化水素基、nは0または1〜5の整数を示す。)
斯る脂環式エポキシ基含有ビニルモノマー(a−2)として例えば、3,4−エポキシシクロへキシルメチル(メタ)アクリレート、1−ビニル−3,4−エポキシシクロへキサン、(3,4−エポキシシクロヘキシル−5−ヒドロキシヘキサノイックカルボキシレート)(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
本発明において使用される脂環式エポキシ基を有するビニルモノマー(a−2)の配合量としては1〜60重量%、好ましくは、5〜50重量%である。これより少ないと、架橋性が不十分であり、耐溶剤性に劣るため好ましくなく、またこれより多いと、粘度が高くなるため無溶剤の液状樹脂として取り出しにくく、また組成物を造膜に適した低粘性とするために低分子量化合物を大量に配合することが必要となるため好ましくない。
【0014】
また本発明において、樹脂の液状と低粘性を保てる範囲で、硬化後の塗膜の耐水性や硬度の向上のためにその他の重合性ビニルモノマー(a−3)が使用できる。具体的には、 メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、イコシル(メタ)アクリレート、ヘンイコシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート系モノマー、
メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシ基、フェノキシ基を含む(メタ)アクリレート系モノマー、
【0015】
または、スチレン、ビニルトルエン等の芳香族モノマーなどがあり、これらの群から複数用いても良い。これらの中でも2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、などを用いると低粘性のまま樹脂の極性を制御した液状樹脂が与られることから好ましい。
その他の重合性ビニルモノマー(a−3)の使用量は、共重合体である液状樹脂に対して0〜75重量%、好ましくは5〜40重量%であり、40重量%、特に75重量%より多くなると液状樹脂の粘度が高くなり好ましくない。また、水酸基、カルボキシル基、アミノ基など合成中に脂環式エポキシ基と反応しやすい官能基を有するビニル系モノマーは、ゲル化等を引き起こす原因となり易いため好ましくない。
【0016】
また、本発明において、好ましい粘度範囲の液状樹脂を得るためには、放射線硬化型液状樹脂の構成成分として用いるモノマーの好ましい平均分子量範囲は100〜1500、更に好ましくは150〜1100の範囲である。この範囲以外では場合には、好ましい粘度範囲の液状樹脂が得られないため好ましくない。
本発明の放射線硬化型液状樹脂は、数平均分子量が10,000〜200,000、好ましくは、11,000〜100,000である。数平均分子量は上記数値より小さくなると、重合溶液中から樹脂分を単離するのが困難である他、可撓性など機械特性が低下したり、耐溶剤性、耐沸水等の塗膜物性が低下するので好ましくなく、また上記数値より大きくなると樹脂が造膜可能な粘度範囲を保ち得ないため好ましくない。
【0017】
本発明の放射線硬化型液状樹脂は、上記モノマーの混合物をラジカル重合開始剤の存在下、溶媒中に溶解するか、モノマーの混合物を滴下する方法によりラジカル重合により製造することができる。ラジカル重合開始剤としては、過酸化ベンゾイル、t−ブチルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、過酸化ラウロイル、また有機過酸化物(大成社、「架橋剤ハンドブック」、p520〜535、第2刷)に記載の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンニトリルなどのアゾ化合物、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸系開始剤など既知の化合物を使用することができるが、これらの中では水素引き抜きの少ない開始剤、特にアゾ化合物が好ましい。
【0018】
使用する溶剤としては、酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトン、ベンゼン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、あるいはこれらの混合溶媒などを挙げることができる。
【0019】
本発明において、合成時に用いた溶剤は合成後に沈澱精製、留去等の方法により除くことにより無溶剤の液状樹脂とする。得られた樹脂は、50℃での粘度が1〜10,000ポイズ、好ましくは5〜7000ポイズの液状である。粘度が低いとフィルム塗工時にはじきの原因になりやすく、また紙への印刷の際にしみこみ過ぎるため好ましくない。粘度がこの範囲より高い場合には造膜に適した粘度まで低下させるために加温するか多くの低分子量化合物を加えることになるため好ましくない。
【0020】
本発明において、硬化型液状樹脂の造膜性、硬化特性、被膜性能を向上させるため、公知のポリアミド樹脂、セルロース誘導体、ビニル系樹脂、ポリオレフィン、天然ゴム誘導体、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリスチレン、ポリウレタンなどの汎用ポリマー、アルキド樹脂、ロジン変性アルキド樹脂、アマニ油変性アルキド樹脂などの不飽和変性アルキド樹脂、アマニ油、桐油、大豆油などの乾性油等を配合してもよい。ただし、これらの配合量は何れも好ましくは20重量部さらに好ましくは10重量部以下である。さらに、必要に応じて溶剤、相溶化剤、界面活性剤または、滑剤等を添加してもよい。これらの配合量は、20重量部好ましくは10重量部以下である。
【0021】
本発明により得られる硬化型液状樹脂に染料やカーボンブラック、チタンホワイト、フタロシアニン、アゾ色素、キナクリドン等の顔料からなる着色剤や炭酸カルシウム、Si系微粒子、雲母など無機充填剤等を適当量添加することにより各種印刷インキや着色塗料等として使用することができる。
また、電子線、γ線等の照射により硬化せしめる場合には開始剤、触媒等の添加は特に必要ないが、硬化性を促進せしめるため、またはカチオン反応系の架橋反応を必要とする場合には、公知の光重合増感剤や開始剤を添加することができる。斯る目的で使用される開始剤としては、ヘテロポリ酸の芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ホスホニウム塩、ピリジニウム塩などの芳香族オニウム塩などの錯体を挙げることができる。斯る開始剤の好ましい添加量としては放射線硬化型液状樹脂(A)中に含まれる脂環式エポキシ基1molに対して0.0005〜0.1mol、更に好ましくは0.001〜0.05molである。これより多いと塗膜からの抽出物となることから好ましくない。
【0022】
本発明の液状樹脂を用いた被膜形成材料用組成物は、各種鋼板、アルミニウム板等の金属板、プラスチックフィルム、紙、プラスチックフィルムラミネート紙等の基材にロールコーター、ナイフコーターなどの塗工方法、またはオフセット印刷、グラビア印刷、凸版印刷、シルクスクリーン印刷などの印刷方式など従来からある方法で、0.1〜500μmの膜厚で造膜でき、加熱または電子線、紫外線、可視光線、赤外線等の放射線を照射することにより硬化せしめることができる。
電子線照射により硬化せしめる場合には、好ましくは10〜1000keV、さらに好ましくは30〜300keVの範囲のエネルギーを持つ電子線照射装置が用いられる。照射線量(DOSE)は、好ましくは0.1〜100Mrad、更に好ましくは0.5〜20Mradの範囲である。これより少ないと充分な硬化物が得られにくく、またこれより大きいと塗膜や基材に対するダメージが大きいため好ましくない。
【0023】
【実施例】
次に本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。例中wt%とあるのは重量%を示す。
【0024】
◎本実施例における数平均分子量、および粘度の測定方法を以下に示す。
1)数平均分子量:ゲル透過クロマトグラフィー(東ソー SC−8020)におけるスチレン換算値を採用した。また、分子量分布(Mw/Mn)は、同測定機器において得られる値を採用した。
2)粘度:レオメータ(レオメトリクス社製:RDS−II、RFS−II)定常粘度測定法による、ズリ速度1〜10/secの値を採用した。
◎電子線照射装置と照射条件を以下に示す。
1)エリアビーム型電子線照射装置 Curetron EBC-200-20-30(日新ハイホ ゛ルテーシ゛)
電子線加速度:200keV
DOSEは0.5〜8Mradの範囲で電流量により調節した。
2)MIN−EB(AIT社製)
電子線加速度: 60keV
DOSEは0.5〜8Mradの範囲でベルトコンベア速度で調節した。
【0025】
◎実施例で使用した以下の化合物の略号を記す。
1)液状樹脂の合成に使用した化合物
AMP−60G:フェノキシポリエチレングリコールアクリレート
(新中村化学(株)製NKエステルAMP60G)
AM−90G:メトキシポリエチレングリコール(#400)アクリレート
(新中村化学(株)製NKエステルAM90G)
M−40G:メトキシポリエチレングリコール(#230)メタアクリレート
(新中村化学(株)製NKエステルM40G)
LA:ラウリルアクリレート
EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
M−100:3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート
(ダイセル化学工業(株)製CYCLOMER:M−100)
【0026】
(実施例1〜10)放射線硬化型液状樹脂の合成と物性測定
撹拌装置、窒素導入管、温度センサー、及びコンデンサーを備えた500ミリリットル四つ口丸底フラスコに、表1に示した組成で化合物を配合し、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を開始剤(全モノマー仕込み量に対し1重量%)とし、酢酸エチル溶媒中(モノマー仕込み時の濃度:33重量%)で、85℃に設定した湯浴にて4時間還流させた後AIBNをさらに0.1重量%添加し、さらに3時間加熱撹拌を継続した。反応終了後、反応器とコンデンサーの間に分流管をセットし、湯浴温度を85℃、常圧で撹拌を続けながら溶媒を留去した、さらに60℃で40mmHg以下まで減圧することにより溶媒を完全に留去し粘稠な液状樹脂を得た。得られた樹脂の数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)、および粘度(50℃)の測定結果を表1に示す。
【0027】
【0028】
(実施例10〜30)
実施例1〜9で得られた液状樹脂を#6のバーコーター( 平均塗工厚14μm) でPETフィルム上に塗布し、様々な照射条件下に電子線を照射した。電子線照射により得られた塗膜のゲル分率( 硬化物のTHF 抽出率により決定) を表2に示す。
実施例28〜30で用いたUVI6970 は、ユニオンカーバイド製の光重合開始剤(CYRACURE UVI6970)である。照射量(DOSE)が低い場合には触媒添加による硬化の促進が認められたが、DOSEが高くなると触媒を加えなかった系よりゲル分率がやや低下する傾向が認められた。抽出物の分析より添加した触媒とUVI6970 中に含まれている溶媒が検出された。
【0029】
【0030】
【発明の効果】
本発明により硬化時の体積収縮や金属やプラスチックフィルムに対する接着性を改善することができる脂環式エポキシ樹脂系に関して、架橋部位である脂環式エポキシ基を高分子量でありながら低粘度である液状樹脂の側鎖成分として導入することにより、安全性や物性的に問題のある低分子量化合物の配合率を低減もくしは不要とせしめ、なおかつ従来より用いられているロールコーター、ナイフコーターなどの塗工方法、オフセット印刷、グラビア印刷、凸版印刷、スクリーン印刷などの印刷方式で造膜でき、やはり従来ある放射線、特に、電子線、γ線照射等の場合には触媒や開始剤を使用せずに硬化させることができる放射線硬化型液状樹脂を提供することができる。
また、本発明により硬化物からのマイグレーションやフレーバー等の問題を解決しうる放射線硬化型液状樹脂を提供することができる。
Claims (4)
- 下記式で示されるアルキレングリコール(メタ)アクリレート系モノマー(a−1)20〜95重量%、分子中に脂環式エポキシ基を有するビニルモノマー(a−2)5〜80重量%、および上記以外の重合性ビニルモノマー(a−3)0〜75重量%を重合させてなる、数平均分子量が10,000〜200,000であって、粘度が1〜10,000ポイズ(50℃)である放射線硬化型液状樹脂。
CH2 =C(R1 )COO(Cn H2nO)m R2 (1)
(式中、R1 は水素原子またはCH3 、R2 は炭素数1〜5のアルキル基またはフェニル基、nは1〜4の整数、mは3〜25の整数をそれぞれ表す。) - 上記式(1)で示されるアルキレングリコール(メタ)アクリレート系モノマーの分子量の平均が220以上である請求項1記載の放射線硬化型液状樹脂。
- 上記式(1)においてR1 が水素原子である請求項1または2記載の放射線硬化型液状樹脂。
- 電子線硬化型である請求項1ないし3いずれか記載の放射線硬化型液状樹脂。
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