JP3655983B2 - 低カロリー飲料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はシェイプアップによる体脂肪減少に効果があり、ダイエット効果も奏する新規な飲料に関する。
特に難消化性デキストリンを配合したことによる喉越しの違和感を糖アルコール及びステビオサイドの相乗効果により解消した口当たりのよい、コクのある低カロリー飲料に関する。
【0002】
【従来の技術】
食事の西洋化に伴い、エネルギーの過剰摂取による肥満、糖尿病、高血圧等に罹患する人の数が急増している。美味な食品は兎角高カロリーのものが多く、その誘惑に打ち勝つことは中々困難である。
エネルギーの摂取を極力抑えるため、清涼飲料水等において蔗糖をサッカリンやステビオサイドなどカロリーがほとんどない甘味料で代替することはよく行われているが、その程度のカロリーの節減では体重の大幅な減少は望めない。
そこでg当たり4キロカロリーのエネルギーを発生させる澱粉に代えて、澱粉に鉱酸を添加して焙焼したデキストリンにα−アミラーゼを作用させ、さらに高カロリー区分を分離除去して得られる低カロリー・マルトデキストリンを用いた低カロリー飲食物が提案された(特公平7−73481号公報)。この特殊な低カロリー・マルトデキストリンはその後の研究によって整腸作用、高コレステロール血症の改善、インシュリンの節約、血圧降下などの薬理作用も奏することが判明し、種々のダイエット食品への応用が試みられつつある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この難消化性デキストリン、具体的には1.6〜2.4キロカロリー/gの低カロリー・マルトデキストリンを清涼飲料水に配合すると上述のごとく優れたダイエット効果を奏するものの、飲料の風味が著しく損なわれる。すなわち飲んだとき口当たりが悪く、コクが失われる。
そこで従来ダイエットに効果があるとして知られているグルカゴン分泌亢進作用を有するアミノ酸の少なくとも1種、キサンチン誘導体の少なくとも1種、チアミン化合物を含む飲料にさらに難消化性デキストリンを加え、しかも口当たりがよく、コクのある低カロリー飲料の出現が待たれていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、グルカゴン分泌亢進作用を有するアミノ酸、キサンチン誘導体およびチアミン化合物を含む飲料に、難消化性デキストリンを添加したことによる味の低下を改善するため多数の甘味料、呈味物質、嬌味剤の添加を試みたところ糖アルコールとステビオサイドの併用が実に効果的に難消化性デキストリンによる風味の低下を防止することを知見した。さらに、難消化性デキストリンの添加がチアミン化合物の特有の臭を低減する効果のあることも判明した。これらの知見を基に、さらに研究を重ね本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)グルカゴン分泌亢進作用を有するアミノ酸類の少なくとも1種、キサンチン誘導体の少なくとも1種、チアミン化合物、難消化性デキストリン、糖アルコール及びステビオサイドを含有する低カロリー飲料、
(2)グルカゴン分泌亢進作用を有するアミノ酸がアルギニン、アラニン、ロイシンまたはそれらの飲食品として許容される塩である前記(1)記載の低カロリー飲料、
(3)キサンチン誘導体が体脂肪分解作用を有する化合物である前記(1)記載の低カロリー飲料、
(4)キサンチン誘導体がカフェイン、テオフィリンまたはテオブロミンである前記(1)記載の低カロリー飲料、
(5)チアミン化合物がエネルギー代謝に必要な化合物である前記(1)記載の低カロリー飲料、
(6)チアミン化合物がチアミン(ビタミンB1)、チアミン テトラヒドロフリル ジスルフィド、O−ベンゾイルチアミン ジスルフィド、S−ベンゾイルチアミン モノフォスフェート、ジベンゾイルチアミンまたはそれらの飲食品として許容される塩である前記(1)記載の低カロリー飲料、
(7)難消化性デキストリンが澱粉を鉱酸処理し焙焼して得た焙焼デキストリンにα−アミラーゼを作用させ常法に従って濾過精製したものであり、且つそのカロリー値が1.6〜2.4キロカロリー/gである前記(1)記載の低カロリー飲料、
(8)糖アルコールがエリスリトール、マルチトール、ラクチトール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、イノシトール、アラビトールまたは還元水飴である前記(1)記載の低カロリー飲料、
(9)難消化性デキストリン1重量部に対し、糖アルコールを0.05〜40重量部およびステビオサイドを0.0001〜0.1重量部含有する前記(1)記載の低カロリー飲料、および
(10)さらに植物抽出物または果汁を含んでなる前記(1)記載の低カロリー飲料、
である。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の飲料におけるグルカゴン分泌亢進作用を有するアミノ酸類としてはグルカゴン分泌亢進作用を有する限り特に制限はなく、各種のアミノ酸類を使用することができる。このようなアミノ酸類としては具体的にはアルギニン、アラニン、ロイシンなどがあげられる。なかでもアルギニンが最も好ましい。これらのアミノ酸は遊離のアミノ酸でもよいし、塩の形態でもよい。塩としてはナトリウム塩、カルシウム塩などの金属塩、塩酸塩、炭酸塩、硫酸塩などの無機酸塩、酢酸塩、リンゴ酸塩、コハク酸塩などの有機酸塩などがあげられる。
本発明の飲料におけるキサンチン誘導体としては天然由来のキサンチン誘導体がより好ましく、具体的にはカフェイン、テオフィリン、テオブロミンなどがあげられる。なかでもカフェインが最も好ましい。
本発明の飲料におけるチアミン化合物としては、チアミン(ビタミンB1)またはその飲食物として許容される塩並びに各種の合成チアミン誘導体などがあげられる。チアミンの塩としては、例えばチアミン塩酸塩等の塩酸塩、例えばチアミンモノ硝酸塩等の硝酸塩、リン酸塩などがあげられる。
合成チアミン誘導体としては、米国特許第3,472,735号に記載されているようなチオール型チアミン誘導体が好ましく、このようなチオール型チアミン誘導体としては、非対称チアミン有機ジスルフィド誘導体、S−アシルチアミン誘導体及びビスチアミンジスルフィド誘導体あるいはそれらの飲食品として許容される塩があげられる。
【0006】
非対称チアミン有機ジスルフィド誘導体としては、チアミンプロピルジスルフィド(プロスルチアミン)、チアミンテトラヒドロフルフリルジスルフィド(フルスルチアミン)、チアミンアリルジスルフィド、チアミン(7−メトキシカルボニル−3−アセチルチオヘプチル)ジスルフィド、チアミン2−ヒドロキシエチルジスルフィド等があげられる。S−アシルチアミン誘導体としては、S−ベンゾイルチアミンモノホスフェート(ベンホチアミン)、O,S−ジアセチルチアミン、O,S−ジベンゾイルチアミン、S−アセチルチアミンO−モノホスフェート、O,S−ジカルボエトキシチアミン(セトチアミン)、O,S−シクロカルボチアミン(サイトチアミン)等があげられる。ビスチアミンジスルフィド誘導体としては、チアミンジスルフィド、O−ベンゾイルチアミンジスルフィド(ビスベンチアミン)等があげられる。
上記チアミン化合物のうち、チアミン塩酸塩、チアミンモノ硝酸塩、チアミンテトラヒドロフルフリルジスルフィド、O−ベンゾイルチアミンジスルフィド及びS−ベンゾイルチアミンモノホスフェートが好ましい。
上記のグルカゴン分泌亢進作用を有するアミノ酸類に対するキサンチン誘導体とチアミン化合物の配合比(重量比)は1:0.0001〜1:0.0001〜0.1、好ましくは1:0.001〜0.5:0.001〜0.05、最も好ましくは1:0.01〜0.2:0.002〜0.02である。
【0007】
本発明の飲料に用いられる難消化性デキストリンの具体例としては、澱粉を鉱酸、特に塩酸で処理し焙焼して得た焙焼デキストリンにα−アミラーゼを作用させ常法に従って濾過精製したものや、通常の焙焼デキストリンにα−アミラーゼを作用させ、次いでグルコアミラーゼを作用させた後、常法に従って濾過、精製し、更にたとえばイオン交換樹脂、クロマトグラフィーや有機溶媒法により高カロリー区分を分離することによって得られる低カロリー・マルトデキストリンで、そのカロリー値が1.6〜2.4キロカロリー/gのものがあげられる。これらのマルトデキストリンの製法については特公平7−73481号公報に詳しく記載されている。
本発明の飲料に用いられる糖アルコールとしては、例えばエリスリトール、マルチトール、ラクチトール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、イノシトール、アラビトール、還元水飴などがあげられるが、中でもマルチトールが味の改善によい結果を与える。
ステビオサイドはステビアの葉に含まれる配糖体でカロリーは低く甘味は蔗糖の300倍ともいわれる。
難消化性デキストリンの配合による飲料の風味低下の改善は糖アルコールのみまたはステビオサイドのみでは不充分で両者の併用により、ようやく本発明の口当たりがよく、コクのある低カロリー飲料が得られる。
本発明の低カロリー飲料中の難消化性デキストリンの配合割合は通常0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%である。また、難消化性デキストリンに対する糖アルコールおよびステビオサイドの使用割合は。難消化性デキストリン1重量部に対し糖アルコール0.05〜40重量部、好ましくは0.1〜20重量部、さらに好ましくは0.5〜5.0重量部であり、ステビオサイドは通常0.0001〜0.1重量部、好ましくは0.0005〜0.05重量部、さらに好ましくは0.001〜0.01重量部である。
【0008】
本発明の低カロリー飲料には、更に所望に応じて飲食品として許容される各種の担体及び/又は添加剤を添加配合することができる。該担体は、脂肪代謝の増進とグルカゴン分泌亢進作用に悪影響を与えない限りいかなるものでもよい。このような担体の例としては、各種のキャリアー担体、イクステンダー剤、希釈剤、増量剤、分散剤、賦形剤、結合剤溶媒(例えば、水、エタノール、植物油など)、溶解補助剤、緩衝剤、溶解促進剤、ゲル化剤(例えば、ナトリウムCMC、HPMCなど)、懸濁化剤(例えば、ナトリウムCMC、ナトリウムアルギネートなど)などがあげられる。
また該添加剤は脂肪代謝とグルカゴン分泌亢進作用に悪影響を与えない限りいかなるものでもよい。そのような例としてはビタミン類(ビタミンA、ビタミンB2、ビタミンB6、パントテン酸、ニコチン酸、ビタミンC、ビタミンEなど)、甘味料、有機酸(クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、マロン酸、コハク酸、酒石酸、乳酸など)、着色剤、香料(バニリン、リナロール、天然香料など)、湿化防止剤、ファイバー、電解質、ミネラル、栄養素、抗酸化剤、保存剤、芳香剤、湿潤剤、植物抽出物(例えば、茶抽出物、コーヒー抽出物、ココア抽出物など)、果汁(例えば、オレンジ、グレープ、アップル、ピーチ、パイナップル、ナシ、プラム、サクランボ、パパイヤ、トマト、メロン、イチゴ、ラズベリーなど)があげられる。
【0009】
本発明の飲料は、例えばダイエット飲料、医薬品、カンヅメ飲料、ジュース、シロップなどを含めた飲料製造に通常用いられる方法で調合したり、製造したりすることができる。例えば、本発明の必須成分および所望に応じて上記の担体及び/又は添加剤の所定量を適当な希釈剤(通常は水)に溶解して調製される。
飲料全量に対する必須成分添加剤の配合量は特に制限はないが、全量100g当たり必須成分の配合量は1〜30g、好ましくは2〜25g、最も好ましくは3〜20gである。添加剤の配合量は0.1〜10g、好ましくは0.2〜5g、最も好ましくは0.3〜3gである。また、本発明の飲料は、炭酸飲料の形態に調製してもよく、飲む直前にすぐに調製しうるに適した粉末形態のものであってもよい。
【0010】
【実施例】
以下、実施例および試験例をあげて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
〔スポーツドリンク〕
マルチトール 6.1 g
砂糖 11.5 g
難消化性デキストリン 2.0 g
カフェイン 0.015 g
アルギニン 0.35 g
果汁 3.5 g
クエン酸 0.543 g
ジベンゾイルチアミン 0.0004g
ビタミンC 0.0015g
塩化ナトリウム 0.07 g
リン酸二水素カリウム 0.20 g
乳酸カルシウム 0.05 g
クエン酸ナトリウム 0.26 g
塩化マグネシウム 0.09 g
ステビオサイド 0.018 g
香料 0 . 52 g
全量 350ml
上記の原料を常法に従って配合、調製し、100ml当たり18キロカロリーの口当たりのよいダイエット効果のあるスポーツドリンクを製造した。
【0011】
実施例2
〔ドリンク剤〕
エリスリトール 12.0 g
難消化性デキストリン 5.0 g
カフェイン 0.015 g
アルギニン 0.35 g
生薬エキス 1.0 g
クエン酸 0.38 g
ジベンゾイルチアミン 0.0004g
ビタミンE 0.004 g
ビタミンC 0.1 g
ステビオサイド 0.007 g
香料 0 . 16 g
全量 100ml
上記の原料を常法に従って配合、調製し、100ml当たり16キロカロリーのコクのあるドリンク剤を製造した。
【0012】
実施例3
〔機能性飲料〕
マルチトール 5.3 g
ソルビトール 2.3 g
砂糖 5.5 g
難消化性デキストリン 6.0 g
カフェイン 0.015 g
アルギニン 0.35 g
果汁 3.5 g
クエン酸 0.28 g
ジベンゾイルチアミン 0.0015g
ステビオサイド 0.012 g
香料 0 . 49 g
全量 350ml
上記の原料を常法に従って配合、調製し、100ml当たり19キロカロリーの口当たりのよいダイエット効果のある機能性飲料を製造した。
【0013】
試験例1
〔表1〕に示した配合量で常法により処方▲1▼〜▲4▼の飲料を調製した。男性10名、女性10名計20名のパネラーにより順位法(4サンプルの位置づけ)にて官能検査を実施した。被評価の処方に対して各々のパネラーによる順位の合計を求め、クレーマーの検定にて評価した。その結果を〔表2〕に示す。
【表1】
【0014】
【表2】
処方数4、パネラー数20人に対する危険率5%の限界値は36と64であることから、処方 ▲4▼は5%の危険率で他の処方より有意に優れていることが確認された。また、処方▲1▼〜▲4▼に対する平均的なコメントを〔表3〕に示した。
【0015】
【表3】
【0016】
【発明の効果】
本発明の低カロリー飲料は、ダイエット効果のあるグルカゴン分泌亢進作用を有するアミノ酸、キサンチン誘導体およびチアミン化合物に加え、低カロリー且つ整腸作用、高コレステロール血症改善、インシュリンの節約、血圧降下等の薬理作用を有する難消化性デキストリンを配合し、その難消化性デキストリンの配合による飲料の風味の低下を糖アルコールおよびステビオサイドの添加により防止したもので、口当たりがよくコクがある。
さらに難消化性デキストリンの配合は、チアミン化合物特有の臭を低減させる効果も有している。
Claims (8)
- グルカゴン分泌亢進作用を有するアミノ酸類の少なくとも1種、キサンチン誘導体の少なくとも1種、チアミン化合物、難消化性デキストリン、糖アルコール及びステビオサイドを含有し、グルカゴン分泌亢進作用を有するアミノ酸類に対するキサンチン誘導体とチアミン化合物の配合比(重量比)は、1:0.0001〜1:0.0001〜0.1であり、難消化性デキストリンは澱粉を鉱酸処理し焙焼して得た焙焼デキストリンにα−アミラーゼを作用させ濾過精製したカロリー値が1 . 6〜2 . 4キロカロリー/gのものであり、該難消化性デキストリンは、飲料全体に対し0.1〜20重量%含み、糖アルコールは、難消化性デキストリン1重量部に対し0.1〜20重量部、ステビオサイドは難消化性デキストリン1重量部に対し0.0005〜0.05重量部含んでなる低カロリー飲料。
- グルカゴン分泌亢進作用を有するアミノ酸がアルギニン、アラニン、ロイシンまたはそれらの飲食品として許容される塩である請求項1記載の低カロリー飲料。
- キサンチン誘導体が体脂肪分解作用を有する化合物である請求項1記載の低カロリー飲料。
- キサンチン誘導体がカフェイン、テオフィリンまたはテオブロミンである請求項1記載の低カロリー飲料。
- チアミン化合物がエネルギー代謝に必要な化合物である請求項1記載の低カロリー飲料。
- チアミン化合物がチアミン(ビタミンB1)、チアミン テトラヒドロフリル ジスルフィド、O−ベンゾイルチアミン ジスルフィド、S−ベンゾイルチアミン モノフォスフェート、ジベンゾイルチアミンまたはそれらの飲食品として許容される塩である請求項1記載の低カロリー飲料。
- 糖アルコールがエリスリトール、マルチトール、ラクチトール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、イノシトール、アラビトールまたは還元水飴である請求項1記載の低カロリー飲料。
- さらに植物抽出物または果汁を含んでなる請求項1記載の低カロリー飲料。
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