JP3655154B2 - 給湯装置の故障診断支援装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は給湯装置およびその故障診断支援装置に関し、より詳細には、所定の故障診断シーケンスに従って給湯装置に必要な動作指令を与えるとともに、その際に外部から得た情報に基づいて給湯装置の故障診断を行う故障診断支援装置と、当該故障診断支援装置を使っての故障診断に適した給湯装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、給湯装置の定期点検の際などに実施される故障診断は、当該給湯装置の施工現場において作業員の手作業によって行われていた。この故障診断は、給湯装置毎の故障診断手順等が記載された整備マニュアルに基づいて行われるのが一般的であるが、給湯装置の構造が複雑・高度化した今日において、給湯装置各部の故障診断を一々整備マニュアルに照らして行っていたのでは、故障診断作業に時間や手間がかかるという問題があった。
【0003】
そのため、最近では給湯装置各部に多種多様のセンサ類を配置し、これらの検出結果に基づいて給湯装置の制御部で異常の有無を自己診断できる給湯装置が提案されている。そして、かかる給湯装置では、自己診断の結果が所定の表示部に表示されたり、内部のメモリに記憶・蓄積されるなどして、故障診断を行う者がこれらの表示や記憶内容を確認することによって容易に故障内容を特定し得るように工夫されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような自己診断機能を備えた給湯装置においても以下のような問題があり、その改善が望まれていた。
【0005】
すなわち、給湯装置の自己診断機能は、その殆どが専ら給湯装置の動作異常(たとえば異常な高温出湯など)の検出を目的として行われており、また、故障診断を行う場合でも、簡単な診断が中心で故障部位の正確な特定まで行われていないのが普通である。
【0006】
しかも、故障部位を正確に特定しようとすると、給湯装置の設定(たとえば、湯水の循環経路中の弁の開閉や燃焼運転の開始/停止等)を故障診断の目的に応じて詳細かつ経時的に設定しなければならないことが多く、そのため実際の故障診断においては、上記整備マニュアルに基づいた個別の設定操作等が必要とされていた。
【0007】
そのため本願出願人は、このような問題を解消すべく、給湯装置の故障診断手順を故障診断シーケンスとして予め記憶手段に記憶させ、該故障診断シーケンスに基づいて表示手段に故障診断手順を表示する一方で、上記故障診断シーケンスに基づいて給湯装置に対して所定の動作指令を出力するとともに、外部から入力される情報に基づいて給湯装置の故障診断を行う故障診断支援装置を提供するに至っている。そしてこれまでに、給湯装置の故障診断のうちの一部については、いわゆる対話形式で故障診断手順を表示しながら給湯装置の故障診断を行う技術を提供するに至っている。
【0008】
本発明は、かかる故障診断支援装置における新規な故障診断技術の提供を主たる目的とする。また、さらに本発明は、かかる故障診断支援装置での故障診断に適した給湯装置の提供も目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る給湯装置の故障診断支援装置(以下、単に故障診断支援装置と称する)は、上記故障診断シーケンスとして以下の内容を記憶して構成される。
【0010】
すなわち、請求項1の発明では、(1) 給湯装置に対してバーナの燃焼本数と燃料供給量を特定した所定号数での燃焼指令を出力するステップと、(2) 上記給湯装置の熱交換器の入水温度と出湯温度と入水または出湯流量とから実際の出力号数を演算するステップと、(3) 上記所定号数と出力号数とを比較して給湯装置の効率を演算するステップとを有し、上記ステップ (1) で特定されるバーナの燃焼本数と燃料供給量とが任意に設定可能とされていることを特徴とする。
【0011】
この請求項1の発明は、バーナの燃焼本数や燃料供給量を故障診断支援装置側で任意に特定し、その状態で給湯装置を運転させてその際の器具の効率を演算によって求めることを内容とする。なお、ここで「号数」とは、給湯装置の分野において熱量を表示する際に一般的に用いられる単位であって、具体的には、1分間に1リットルの水を25℃温度上昇させるのに必要な熱量を意味している(以下においても同様とする)。
【0012】
また、請求項2の発明では、(1) 給湯装置に対して所定号数での燃焼指令を出力するステップと、(2) 上記燃焼指令に基づいて燃焼運転を開始した給湯装置における燃焼制御のフィードバック制御量を検出するステップと、(3) この検出されたフィードバック制御量が規定値の範囲内か否かを判断するステップと、 (4) 上記ステップ (3) において、フィードバック制御量が規定値の範囲を超えると、前記表示手段に炎の状態の目視確認を要求する表示を行うステップとを備えてなり、上記炎の状態の目視確認を要求する表示が、故障態様に応じた炎の状態を示して目視確認の結果と一致するかの確認を求める表示とされ、該表示に応じた入力操作により故障原因を特定することを特徴とする。
【0013】
すなわち、給湯装置のように供給原料(湯水)を一定温度(設定温度)まで加熱する制御を行う装置においては、供給原料の流量や温度変化が制御上の主たる外乱となるので、そこでの温度制御は、フィードフォーワード制御(以下、FF制御)とフィードバック制御(以下、FB制御)が併用される。具体的には、まずFF制御のFF制御値によって供給原料の温度を目標温度まで一気に高めた後に、FB制御のFB制御量で細部の温度修正が行われている。
【0014】
ところが、実際の給湯運転では、たとえば給湯装置の熱効率の低下や燃焼装置の燃焼効率の低下などによって当初設定されたFF制御値では目標温度を得ることができない場合があり、この時のずれは全てFB制御量で修正されている。つまり、このFB制御量が必要以上に大きい場合には、給湯装置の熱効率の低下や燃焼装置の燃焼効率の低下などが原因となってFF制御が十分に機能していないと判断できる。したがって、請求項2ではこのFB制御量が予め定めた規定値の範囲内にあるかを判断することで、上述した異常の有無の診断を行うことを内容とする。
【0015】
また、請求項3の発明は、(1) 給湯装置に対してバーナの燃焼本数と燃料供給量を特定した所定号数での燃焼指令を出力することによりフィードバック制御を行わずに燃焼させるステップと、(2) 上記所定号数と実際の出力号数との偏差を演算するステップと、(3) この演算された偏差に基づいて給湯装置の燃焼制御におけるフィードフォーワード制御値のずれを演算するステップと、(4) 上記給湯装置に対して前記フィードフォーワード制御値のずれの補正の指令を出力するステップとを有することを特徴とする。
【0016】
すなわち、この請求項3の発明は、予めバーナの燃焼本数と燃料供給量を固定した状態(つまり、FB制御を行わせない状態)で給湯装置を運転させ、その際における上記所定号数と実際の出力号数との偏差を演算することにより、当初設定されていたFF制御値と実際に給湯装置の熱効率や燃焼装置の燃焼効率の変動を加味して必要とされるFF制御値とのずれを求め、このずれの補正を給湯装置に命令することを内容とする。
【0017】
また、請求項4の発明は、(1) 給湯装置に対して、温水暖房装置の全ての熱動弁を閉じる指令を出力するステップと、(2) この状態で、暖房用温水の循環経路に設けられた循環ポンプの運転を開始または停止させる指令を出力するステップと、(3) 前記運転の開始/停止の各場合における湯水の循環の有無を、上記循環経路内に設けられた流量センサの検出結果から検出して前記循環ポンプの故障を判定するステップとを有することを特徴とする。
【0018】
すなわち、この場合、たとえば循環ポンプの運転を開始したにもかかわらず湯水の循環がなければ循環ポンプが何らかの理由で運転していない(循環ポンプのオフ故障)と判断でき、これとは反対に、循環ポンプの運転を停止したにもかかわらず湯水の循環があれば循環ポンプは何らかの理由で運転を停止していない(循環ポンプのオン故障)と判断でき、循環ポンプの故障判定を容易に行うことができる。
【0019】
また、請求項5の発明は、(1) 給湯装置に対して、温水暖房装置の全ての熱動弁を閉じるもしくは開く指令を出力するステップと、(2) この状態で、暖房用温水の循環経路に設けられた循環ポンプの運転開始の指令を出力するステップと、 (3) 上記各熱動弁を順次開くもしくは閉じる指令を出力するステップと、(4) 上記熱動弁を順次開くもしくは閉じる過程における上記循環経路の流量変化を、上記循環経路内に設けられた流量センサの検出結果から検出して前記循環経路の通水異常を判定するステップとを有することを特徴とする。
【0020】
すなわち、この場合、たとえば熱動弁を閉じた状態で循環ポンプを運転させて熱動弁を順次開いていけば、循環系路中の湯水の流量は熱動弁を開く度に上昇するはずである。したがって、熱動弁を開いたにもかかわらず流量上昇がない場合には、当該熱動弁の故障、つまり、当該熱動弁が当初から開いていた(弁の開故障)かあるいは開かない故障(弁の閉故障)であると判定できる。なお、上記熱動弁を開いた状態から故障診断を始める場合には、熱動弁は順次閉じられ、熱動弁を閉じる度に循環経路中の湯水の流量は低下することが前提となり、低下しなければ当初からの閉故障か開故障と判定できる。また、上記弁の閉故障には、熱動弁の動作不良の他、熱動弁は開いたが、湯水の循環経路中にゴミが噛んで通水を遮断している場合も考えれらる。
【0025】
また、請求項6の発明では、(1) 給湯装置に対して、温水暖房装置の所定の熱動弁を開く旨の指令を出力するステップと、(2) 上記指令の出力時から実際に熱動弁が開くまでの開弁時間を、暖房用温水の循環経路内に設けられた流量センサの検出結果に基づいて計測するステップと、(3) この計測した実際の開弁時間と、上記給湯装置の初期状態時の開弁時間とを比較して前記所定の熱動弁の性能低下を判定するステップとを有することを特徴とする。
【0026】
すなわち、この請求項6の発明は、故障診断支援装置を用いて熱動弁の動作不良や経年劣化を診断するものであって、この場合、故障診断支援装置からの動作指令によって特定の熱動弁を開弁させて当該熱動弁が開くまでの時間(開弁時間)が計測される。そして、この開弁時間と給湯装置の初期状態における開弁時間(つまり、給湯装置施工時の試運転時または工場出荷時に計測された開弁時間)とを比較して、実際の開弁時間が初期状態のそれより一定時間(許容時間)以上にかかる場合に熱動弁の動作不良ないしは経年劣化と診断するものである。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る給湯装置の故障診断支援装置の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0032】
図1は、本発明に係る故障診断支援装置1の概略構成ならびに該故障診断支援装置1を給湯装置2に接続した際の接続状況を示している。なお、図示の場合、故障診断支援装置1と給湯装置2との間には、これらの間でのデータ通信用のインターフェース装置3が介装され、各装置間が通信線Lによって接続されている。
【0033】
故障診断支援装置1は、給湯装置2の故障診断を作業員との対話形式で行うための装置であって、所定の故障診断シーケンスを記憶した記憶手段11と、該故障診断シーケンスに基づいて故障診断手順を表示する表示手段12と、上記故障診断シーケンスに基づいて給湯装置2に対して所定の動作指令を出力するとともに、外部から入力される情報に基づいて給湯装置の故障診断を行う故障診断手段13とを主要部として備えている。
【0034】
具体的には、この故障診断支援装置1としては、携帯可能なコンピュータ(いわゆるノート型のパーソナルコンピュータ)が好適に採用される。つまり、上記記憶手段11として、該コンピュータの記憶装置(たとえば内蔵型ハードディスク装置や内蔵型MOディスク装置等)が用いられ、また、上記表示手段12として、該コンピュータのディスプレイ装置(たとえば液晶表示装置等)が用いられる。また、上記故障診断手段13としては、該コンピュータの演算部(具体的には、上記記憶装置に記憶されたプログラムに基づいて所定の演算処理を行う中央処理装置等)が用いられている。
【0035】
そして、上記故障診断手段13への情報の入力手段として、該コンピュータのキーボード装置(ないしは、いわゆるペンタッチ入力可能なディスプレイ装置)14が用いられる他、給湯装置2に対する動作指令の送信手段ならびに給湯装置2等から送信されてくるデータ等の入力手段としてデータ通信装置(たとえば内蔵通信モデム)15が用いられている。
【0036】
そして、上記故障診断シーケンスは、プログラムの形態で上記記憶手段11に記憶され、このプログラムに基づいて後述する動作指令の送信や、表示手段12の画面表示、さらには故障診断手段13での故障診断などが行われる。また、上記記憶手段11には、上記故障診断シーケンスを実行するのに必要とされる所定のデータも記憶されている。
【0037】
上記故障診断シーケンスは、給湯装置本体の機種やシステムの構成等(たとえば、給湯装置本体の形式や、端末機器接続の有無、さらには風呂落込み回路の有無等)が異なる複数種類の給湯装置2に対して故障診断を行い得るように、記憶手段11内に予め複数種類の故障診断シーケンスが記憶される。そして、これら複数種類の故障診断シーケンスは、後述する給湯装置2の故障診断に先立って、予め診断の対象となる機種等に対応したものを選択できるように構成されている。
【0038】
給湯装置2は、給湯装置本体2aと該装置本体2aに接続される図外の各種端末機器(たとえば、温水暖房装置やソーラー接続ユニットなど)とで構成される公知の給湯装置であって、本実施形態では上記給湯装置本体2aに少なくとも制御部21aが設けられている(図1、図6参照)。制御部21aは、給湯装置2全体aの動作制御や状態監視を行うコントローラであって、マイクロコンピュータを主要部として構成されている。そして、この制御部21aは、給湯装置2の各部に設けられたセンサ類(図示せず)と電気的に接続され、これらのセンサ類等から各種情報(たとえば水温や水量、さらには燃焼の有無や端末機器からのデータ等)を得て上述した制御を行っている。
【0039】
また、上記動作情況の制御や監視に関連して、この制御部21aは、上記各種端末機器の制御部(図示せず)とも電気的に接続されている。そして、これらの端末機器からも動作状況等の情報を得て、上記給湯装置2の動作状況と併せて給湯装置本体2aに接続された各種端末機器の動作情況の監視も行っている。
【0040】
また、この制御部21aは、上記インターフェース装置3を介して上記故障診断支援装置1のデータ通信装置15と双方向通信が可能なデータ通信部(図示せず)を備えている。なお、このデータ通信部は、給湯装置2がそのリモートコントローラ(図示せず)と通信を行う際のデータ通信部と兼用することが可能である。
【0041】
一方、インターフェース装置3は、上記故障診断支援装置1と給湯装置2とのデータ通信のインターフェースとして機能する装置であって、本実施形態では、このインターフェース装置3はデータ通信部31と計測器部32を主要部として構成されている。
【0042】
具体的には、データ通信部31は、上記故障診断支援装置1から送信される上記動作指令を上記制御部21aに送信するとともに、制御部21aから送信される上記センサ類の検出値データ等を故障診断支援装置1に送信する機能を備えている。また、計測器部32は、回路計や温度計、ガス圧計等の各種計測機器を実装してなるもので、これらの計測機器で検出されたアナログデータをデジタルデータに変換して上記故障診断支援装置1に送信可能とされている。なお、図において符号33で示すのは上記回路計のテスト棒であり、また符号34は上記温度計における温度検出用の温度センサ(サーミスタ)である。さらに、符号35は、上記ガス圧計に接続されたガス圧測定用の配管を示している。
【0043】
しかして、このように構成されてなる故障診断支援装置1では、上記記憶手段11に記憶される故障診断シーケンスの内容に従って以下のような故障診断が行われる。なお、以下の説明では故障診断シーケンスの内容毎に故障診断支援装置1および給湯装置2の動作を説明するが、以下に説明する故障診断に先立って、診断対象となる給湯装置2の機種等に対応した故障診断シーケンスが選択される。
【0044】
A.給湯装置の器具効率の測定
まず、上記故障診断支援装置1を用いた給湯装置2の器具効率の測定について図2に基づいて説明する。図2(a) は、ガスを燃料とする燃焼装置(ガスバーナ)の燃料ガス圧(二次ガス圧)と、上記制御部21aでの設定号数(マイコン出力値)との関係を示す図である。より具体的には、図2(a) は3本のガスバーナで構成された燃焼装置の二次ガス圧とマイコン出力値との関係を示している。
【0045】
そして、このように複数のバーナを備えた燃焼装置では、制御部21aでの設定号数に応じて燃焼を行うバーナの本数(燃焼段数)と燃料ガス圧が決定されている(たとえば、制御部21aでの設定号数がXであれば、その際の燃焼段数は2本で二次ガス圧はYとされる)。
【0046】
そこで、本発明に係る故障診断支援装置1では、給湯装置2の器具効率を測定するための故障診断シーケンスとして、まず、給湯装置2に対してバーナの燃焼本数と燃料供給量(二次ガス圧)を特定した所定号数での燃焼指令の出力を行う。これにより、故障診断支援装置1から通信線Lを介して給湯装置2の制御部21aに上記燃焼指令が送信され、この燃焼指令を受信した給湯装置2では、燃焼指令で特定された二次ガス圧、燃焼段数での燃焼運転が開始される。
【0047】
そして次に、故障診断支援装置1から給湯装置2に対して、熱交換器への入水温度と出湯温度および熱交換器の通水流量とを求める指令が出力される。ここで上記熱交換器への入水温度、出湯温度および通水流量(入水または出水の流量)は、給湯装置2に配された温度センサおよび流量センサによって検出され、その検出結果は上記制御部21aを介して故障診断支援装置1に送信される。
【0048】
これらの検出値が故障診断支援装置1に入力されると、次に故障診断支援装置1では、これらの値から給湯装置2における実際の出力号数を「(出湯温度−入水温度)×流量」の式に基づいて演算し、この演算によって求めた出力号数と上記燃焼指令の所定号数とを比較して、これらの値から給湯装置2の効率(出力号数/所定号数)の演算を行う。
【0049】
このように、上記故障診断シーケンスによれば、故障診断支援装置1から送信される燃焼指令においてバーナの燃焼本数や二次ガス圧の値を任意に設定できるので、各燃焼段数の二次ガス圧最大/最小以外の任意のポイントでの効率を測定することができる。そのため、たとえば二次ガス圧の低下やバーナの故障などを原因とする燃焼異常を容易に検出することが可能となる。
【0050】
また、上記故障診断シーケンスによれば、バーナの燃焼本数や二次ガス圧値を任意に設定できるので、二次ガス圧を変更して上記故障診断シーケンスを繰り返すことができ、これにより、燃焼装置に供給される一次ガス圧の低下も検出することができる。
【0051】
すなわち、燃焼装置に供給される一次ガス圧が低下した場合、図2(a) に示された図は図2(b) に示すように修正される。具体的には、一次ガス圧が低下していると二次ガス圧は図2(a) のような右肩挙がりの直線とならず、一次ガス圧の上限で頭打ち(中折れの水平)の形となる(図2(b) 参照)。
【0052】
つまり、一次ガス圧が低下している場合には、上記燃焼指令において、図2(b) の特性が右肩挙がりの範囲(二次ガス圧Y1 〜Y2 の範囲)内で二次ガス圧を設定しても器具効率は正常な値となるので、一次ガス圧の異常診断を行おうとする場合には、二次ガス圧を図2(b) の点線で示す範囲(二次ガス圧Y2 以上の範囲)、換言すれば二次ガス圧を最大付近に設定する必要がある。
【0053】
したがって、当初の測定で給湯装置2の効率が正常であると判断された場合においても、一次ガス圧が低下していると、二次ガス圧最大付近で二度目の診断を行うと、出力号数は図2(c) に示すように正常の場合より低下し効率低下が検出されるので、これによって一次ガス圧の低下を診断することができる。
【0054】
B:FB制御量からの異常診断
次に、上記故障診断支援装置1によるFB制御量からの異常診断のについて説明する。
【0055】
すなわち、給湯装置の分野においては燃焼装置の燃焼制御に際して、上述したようにFF制御とFB制御とが併用され、まずFF制御によって出湯温度が設定温度(所定号数)になるような制御をかけて、さらにその後に、設定号数を目標値としたFB制御で実際の出湯温度と設定温度のずれの修正を行っている。本実施形態では、かかるFB制御におけるFB制御量を利用して給湯装置2の異常(より具体的には、FF制御におけるFF制御値のずれ)を演算するもので、故障診断支援装置1における故障診断シーケンスが次のように設定されている。
【0056】
そこで、本実施形態では、まず、上記故障診断支援装置1から給湯装置2の制御部21aに対して所定号数での燃焼指令を出力する。この時点で上記制御部21aでは、入水温度や入水流量等に基づいて予め設定されたFF制御値によるFF制御(燃焼制御)を行い、その後、出力号数が所定号数となるようにFB制御が行われる。
【0057】
次に、上記故障診断支援装置1は、上記制御部21aに対して出湯温度に関するデータの送信を要求し、出湯温度が上記設定温度±α(α=許容誤差)の範囲に入ったか否かを判断する。そして、この判断が一定時間連続して肯定されると、燃焼装置は安定状態に入ったと判断できるので、上記故障診断支援装置1は上記制御部21aに対してFB制御におけるFB制御量の送信を要求する。
【0058】
制御部21aでは、このFB制御量の送信要求に対して燃焼制御のFB制御量の送信を行う。故障診断支援装置1では、この送信されたFB制御量を検出して、このFB制御量が予め定めた規定値β(β:定数)の範囲内にあるか否かを判断する。つまり、この時に検出されたFB制御量が必要以上に大きい場合には、FF制御が十分に機能していないと判断でき、この場合、熱交換器における熱交換率の低下や、燃焼装置の燃焼効率の低下等の異常があると診断できる。
【0059】
そして、これらの故障原因をより具体的に特定したい場合には、上記故障診断シーケンスにさらに図3に示す故障診断手順を付加することによりその原因を特定できる。
【0060】
すなわち、まず、図3ステップS1で上記FB制御量と上記規定値βの比較を行った後、上記FB制御量が所定値βを超える場合には、上述した異常が認められるので、次の段階として、故障診断支援装置1の表示部12に、炎の状態の目視確認を作業員に要求する表示を行う(図3ステップS2参照)。
【0061】
具体的には、まず表示部12に、一つのバーナにおける一部の炎が他の部分の炎に比べて小さいか否かの確認を要求する表示を行い(図3ステップS3参照)、その結果が肯定的であれば、バーナの炎口が詰まっているとの診断結果を表示する(図3ステップS4参照)。
【0062】
そして、上記図3ステップS3の判断が否定的であれば、表示部12に、一つのバーナの炎が他のバーナの炎に比べて全体的小さいか否かの確認を要求する表示を行い(図3ステップS5参照)、その結果が肯定的であればバーナに燃料ガスを供給するガスノズルが詰まっているとの診断結果を表示する(図3ステップS6参照)。
【0063】
さらに、上記図3ステップS5の判断が否定的であれば、表示部12に、全てのバーナの炎の大きさが変化しないか否かの確認を要求する表示を行い(図3ステップS7参照)、その結果が肯定的であればバーナの二次ガス圧を調節する比例弁が固着しているとの診断結果を表示し(図3ステップS8)、否定的であれば、その他の燃焼異常(たとえば、熱交換率の低下やガス種の誤り等)である旨の表示を行う(図3ステップS9)。
【0064】
このように、FB制御量に基づく診断に引き続いて図3に示す故障診断手順を表示部12に表示させることにより、作業員は整備マニュアル等を見ることなく故障原因の特定を行うことができる。
【0065】
C.FF制御値の補正
次に、故障診断支援装置1を用いてのFF制御値の補正について説明する。
【0066】
近時の給湯装置2は、制御部21aにおいて上述したようにFF制御とFB制御を併用して行っているため、この制御部21aには、上記FF制御におけるFF制御値を記憶する記憶装置(たとえばRAMやEEPROM等)が備えられている。したがって、外部からこの記憶装置に記憶されたFF制御値を補正することで、出湯特性の向上を図ることができる。
【0067】
具体的には、まず、故障診断支援装置1から制御部21aに対してバーナの燃焼本数と燃料供給量を特定した所定号数での燃焼指令を出力する。つまり、ここでの燃焼指令はバーナの燃焼本数や燃料供給量が固定されているので、この場合には上述したFB制御は機能しない。
【0068】
そして、燃焼が安定するのをまって、上記制御部21aに対して熱交換器の入水温度と出湯温度とその流量のデータを要求し、制御部21aからこれらのデータが受信されると、この受信したデータに基づいて上述したように実際の出力号数の演算を行う。
【0069】
その後、上記所定号数と演算によって求めた出力号数との偏差を求める。この偏差は当初設定されていたFF制御値による制御結果と実際に必要とされるFF制御値のずれに相当することになるので、次のステップとして、上記比較によって得た偏差からFF制御値のずれを演算する。そして、FF制御値のずれが求められると、最終的に、故障診断支援装置1から上記制御部21aの記憶装置に対して、FF制御値のずれの補正(ずれ分の加算・減算)の指令が出力される。
【0070】
その結果、給湯装置2の制御部21aでは、記憶装置に記憶されたFF制御値の書き換え(補正)が行われ、給湯装置2の実情に適合したFF制御値での給湯運転を実現できる。なお、この場合、バーナが複数本設けられている場合には、燃焼段数を変えて上記補正を繰り返し、各燃焼段毎にFF制御値のずれの補正を行う。また同様に、同一段数でも、二次ガス圧(燃料供給量)の設定を変更してFF制御値のずれ補正を行うのが好ましい。
【0071】
このように、本実施形態の故障診断シーケンスによれば、たとえば、燃焼装置の動作不良等を原因とする給湯装置の効率低下を解消できる他、標準の燃料ガス以外のガスを使用したことによる燃焼効率の低下も是正でき、出湯特性の大幅な向上を図ることができる。なお、上記実施形態では、給湯装置の実際の出力号数からFF制御値の補正を行う場合を示したが、FB制御量からFF制御値のずれを求めてその補正を行うことも可能である。
【0072】
D.暖房戻り経路に流量センサを配してのポンプ故障診断
次に、給湯装置2の暖房戻り経路に流量センサを配しての熱動弁の故障診断について図4に基づいて説明する。
【0073】
図4は給湯装置2における湯水の循環経路の一例を示している。この図4に示す給湯装置2は、高温・低温の各温水暖房装置を備えたタイプの給湯装置であって、熱交換器4と、循環ポンプ5と、膨張タンク6と、複数の熱動弁7および複数の暖房端末8とを主要部として構成され、これらが配管によって接続されて湯水の循環経路を形成している。
【0074】
より具体的には、上記熱交換器4から図中のA点、B点、熱動弁7aおよび高温暖房端末8a(7a,8aが高温温水暖房装置を構成する)、C点〜E点、膨張タンク6、循環ポンプ5、F点を経て再び熱交換器4に循環する高温水の循環経路と、F点で分岐され、熱動弁7b〜7dおよび低温暖房端末8b〜8d(7b〜7dおよび8b〜8dで低温温水暖房装置を構成する)、C点〜E点、膨張タンク6、循環ポンプ5を経て再びF点に循環する低温水の循環経路と、上記B点とD点とを結ぶバイパス経路とを備える他、図示例で風呂追い焚き用の熱交換器41と熱動弁7eとが、上記A点とE点を結ぶようにして配設されている。
【0075】
そして、上記高温水および低温水の循環経路中には、熱交換器4の出湯温度を検出する温度センサ91、高温・低温の各戻り温度を検出する温度センサ92が設けられる他、この図4に示す給湯装置では特に上記高温・低温の戻り側の流量を検出する流量センサ93が設けられている。
【0076】
この流量センサ93は、従来の同種の給湯装置には設けられていなかった温度センサであって、本実施形態では、いわゆる可動レスタイプの流量センサ(自己発熱により通水の温度を上昇させて、その際の温度上昇から流量を求めるタイプのセンサ)が採用されている。この可動レスタイプの流量センサは、いわゆる水車を備えた流量センサと異なり通水を阻害する要因が少なく、そのためゴミ詰まりによる流量の誤検出が少ないという利点があり暖房用循環経路への配設に適しており、本実施形態ではかかる点から可動レスタイプの流量センサが採用されているが、もちろん水車を備えた流量センサを用いることも可能である。また同様に、この流量センサ93としては他の形態、たとえば一個の自己発熱形のサーミスタを通常のサーミスタと発熱サーミスタに切り替えてその放熱量から流量を検出する形態のセンサを用いることも可能である。
【0077】
しかして、このように構成された給湯装置2における循環ポンプの故障診断は以下のようにして行われる。
【0078】
すなわちこの場合、まず、故障診断支援装置1から給湯装置2の制御部21aに対して、温水暖房装置の全ての熱動弁7a〜7dと、風呂追い焚き用の熱動弁7eを閉じる指令が出力される。これにより、給湯装置2では、湯水の循環経路として、熱交換器4、A点、B点、D点、水量センサ93、膨張タンク6、循環ポンプ5という経路が構成される。
【0079】
そして次に、この状態で、故障診断支援装置1から循環ポンプ5の運転開始または運転停止のいずれかを要求する指令と、上記流量センサ93での検出結果の送信が要求する指令が出力される。つまり、循環ポンプ5の運転開始を要求した場合には、上記循環経路内で湯水が循環するはずであるので、この時における流量センサ93の検出結果が「通水なし」であれば循環ポンプ5のオフ故障(循環ポンプ5が運転しない故障)と判断し、反対に循環ポンプ5の停止を要求したにもかかわらず、流量センサ93の検出結果が「通水あり」であれば循環ポンプ5のオン故障(循環ポンプ5が停止しない故障)と判断できる。
【0080】
このように、本実施形態の故障診断シーケンスによれば、給湯装置2の戻り経路に流量センサ93を配することにより、故障診断支援装置1を用いて循環ポンプ5の故障診断を容易に行うことが可能となる。
【0081】
E.温水暖房装置の熱動弁故障診断(その1)
次に、温水暖房装置の熱動弁の故障診断について図4に基づいて説明する。
【0082】
すなわち、この場合も上記循環ポンプ5の故障診断と同様に、まず、故障診断支援装置1から給湯装置2の制御部21aに対して、温水暖房装置の全ての熱動弁7a〜7dと、風呂追い焚き用の熱動弁7eを閉じる指令が出力される。
【0083】
そして、この状態で、上記故障診断支援装置1から循環ポンプ5の運転開始を要求する指令が送信されるとともに、温水暖房装置の各熱動弁7a〜7dを順次開くもしくは閉じる指令が出力される。つまり、熱動弁7a〜7dを順次開いていけば各熱動弁7a〜7dに通水が生じ、上記水量センサ93の検出結果も熱動弁7a〜7dを開く毎に上昇することになり、したがって、たとえば熱動弁7dを開いたにもかかわらず流量変化(流量上昇)が検出されない場合には、当該熱動弁7dの故障と判断できる。
【0084】
なお、この故障判断にあたっては、当該熱動弁7dが開かない故障(弁の閉故障)と、当初から開いていた故障(弁の開故障)とが考えられ、したがって、診断結果も両者を含めたものとなる。また、上記熱動弁7a〜7dを全て開いた状態から故障診断を行う場合には、上記とは反対に熱動弁7a〜7dが順次閉じられ、その際、水量センサ93の検出結果が低下しなければ、当該熱動弁の故障と判定される。
【0085】
このように、本実施形態における故障診断シーケンスによれば、熱動弁7a〜7dを順次開くまたは閉じることにより、循環経路内の流量変化から熱動弁7a〜7dの故障を容易に判定できる。また、本実施形態は、給湯装置2の試運転時にも同様の試験を行い、その際に流量センサ93で検出された流量変化を予め制御部21aの記憶装置等に記憶させておき、故障診断時に流量センサ93で検出された流量変化と比較することで、熱動弁7a〜7dの経年劣化や配管のゴミ詰まりを検出することも可能である。
【0086】
F.温水暖房装置の熱動弁故障診断(その2)
次に、温水暖房装置の熱動弁故障の診断についての他の実施形態を説明する。
【0087】
この実施形態では、熱動弁の開閉に係る所要時間から当該熱動弁の故障診断が行われる。すなわち、まず故障診断支援装置1から制御部21aに対して、温水暖房装置を構成する熱動弁7a〜7dのうちのいずれかの熱動弁7xを開く旨の指令を送信する。
【0088】
そして、この指令を送信してから当該熱動弁7xが実際に全開となるまでの開弁時間T1 を計測し、その値を上記故障診断支援装置1に送信させる。なお、ここで熱動弁7xの開弁時間T1 の測定は種々の方法により行いうるが、たとえば熱動弁7xの通水流量を検出してその流量から熱動弁7xの開弁状況を判断して開弁時間T1 を求めることができる。
【0089】
そして、このようにして熱動弁7xが開くまでの開弁時間T1 が故障診断支援装置1に入力されると、故障診断支援装置1では、当該熱動弁7xの初期状態時における開弁時間T0 との比較が行われる。この初期状態時の開弁時間T0 は、給湯装置2の施工時の試運転の際に計測した値が好適に採用される。つまり、この開弁時間T0 は、試運転時に上記実際の開弁時間T1 と同様の方法で計測され、その値が予め制御部21aの記憶装置内に記憶される。そして、上記比較に際して、この記憶した値を上記故障診断支援装置1に取り込むことで実際の開弁時間T1 と初期状態時の開弁時間T0 の比較が行われる。
【0090】
そして、両開弁時間T1 ,T0 の比較の結果、実際の開弁時間T1 が初期状態の開弁時間T0 より長い場合に、熱動弁7xの経年劣化や動作不良と診断できる。なお、この比較にあたってはある程度の許容時間が設定されることはいうまでもない。
【0091】
このように、本実施形態によれば、温水暖房装置の熱動弁7xの故障診断をその開弁時間に基づいて容易に行うことができる。しかも、初期状態時の開弁時間T0 として試運転時のものを用いることで、部品毎のバラツキ等に影響されずに各熱動弁7xの故障診断を行うことができる。
【0092】
G.温水暖房装置の故障診断
次に、本発明の故障診断支援装置1を用いた温水暖房装置の故障診断に適用した場合を図4および図5に基づいて説明する。
【0093】
この場合、まず故障診断支援装置1から制御部21aに対して温水暖房装置の全ての熱動弁7a〜7dと、風呂追い焚き用の熱動弁7eとを閉じる指令が出力される。つまりこの場合も、給湯装置2の湯水の循環経路は、熱交換器4、A点、B点、D点、水量センサ93、膨張タンク6、循環ポンプ5という形で形成される。
【0094】
そして、まずこの状態で、上記給湯装置2の制御部21aに対して、所定の燃焼指令が送信される(図5ステップS1参照)。これにより、燃焼装置と循環ポンプ5の運転が開始され、熱交換器4で加熱された湯水が、上記熱交換器4、A点、B点、D点、温度センサ92、膨張タンク6、循環ポンプ5という経路で循環を開始する。
【0095】
そして、この状態で、故障診断支援装置1から上記温度センサ92の検出結果の送信を要求し、制御部21aから送られるこれらの検出結果に基づいて燃焼装置が正常に動作しているか否かの判断を行う(図5ステップS2参照)。つまりこの場合、湯水は上述したように温水暖房用の循環経路を除く短い経路で循環されるので、燃焼運転の開始から比較的短時間で温度センサ92の温度上昇が確認されるはずであるので、温度センサ92で温度上昇が確認されなかった場合には、図5ステップS3に示すように給湯装置本体2a(具体的には燃焼装置または循環ポンプ5)の故障と診断される。
【0096】
そして、上記温度センサ92で温度上昇が確認されると、次に続く図5ステップS4に移行して、燃焼運転の開始から所定時間(たとえば数分程度)経過後に再び温度センサ92の検出結果が確認される。すなわち、この場合、湯水は短い循環経路内で加熱循環されているので、燃焼運転を継続すると配管内の湯水の温度が上昇しつづけ許容上限(ハイカット)まで達することとなる。したがって、燃焼運転開始から所定時間経過後に温度センサ92の検出結果が上記許容上限に達していなければ、温水暖房装置の熱動弁7a〜7dまたは風呂追い焚き用の熱動弁7eのいずれかが開いている可能性があり、この場合、熱動弁7a〜7eの故障と診断され(図5ステップS5参照)、続く図5ステップS6に移行して、熱動弁7a〜7eの個別の診断が行われる。
【0097】
一方、図5ステップS4の判断で肯定的(つまり、許容上限に達している)と判断されると、続く図5ステップS7に移行して、温水暖房装置の全端末の熱動弁7a〜7dを開く旨と、温水暖房装置に対して動作確認(暖房チェック)を要求する信号が出力される。
【0098】
ここで、温水暖房装置における動作確認は、温水暖房装置の試運転用自己診断機能が用いられる。つまり、この種の温水暖房装置は施工時の試運転用に自己診断機能を備えており、当該自己診断の一部として所定温度の温水が供給されているか否かを確認し、その結果を動作確認信号として制御部21aに送信する機能を備えている。したがって、図5ステップS7で出力される動作確認を要求する信号として、温水暖房装置に上述した自己診断の実行を要求する信号が用いられる。
【0099】
そして、全ての暖房端末において上記動作確認が行われ、温水暖房装置から動作が正常である旨の動作確認信号が受信されると、図5ステップS9に移行して温水暖房装置は正常である旨を表示する。一方、上記図5ステップS8で否定的な結果が出ると、図5ステップS10に移行して、温水暖房装置の熱動弁7a〜7dは閉故障であると診断してその旨を表示し、図5ステップS6の個別の診断に移行する。なお、この図5ステップS6での個別診断は、上記図5ステップS8の診断で閉故障の熱動弁が特定されているので、当該熱動弁についてのみ行えば足りる。
【0100】
このように、本実施形態の故障診断シーケンスによれば、温水暖房装置に関する故障診断をまとめて行うことが可能となり、温水暖房装置の故障診断を短時間で行うことができできる。しかも、施工時の試運転のように端末毎の水張り作業が必要でないため、この点でも故障診断にかける時間を大幅に短縮できる。
【0101】
なお、上記熱動弁7a〜7dの個別診断は、上述した温水暖房装置の熱動弁故障診断によって全熱動弁7a〜7dに対して行ってもよいが、故障している熱動弁が特定されている場合には、以下のような簡易な方法により行うことができる。そこで、説明の便宜上図4の一部省略部分拡大図として図6を示し、熱動弁7aの診断を例にとってその故障診断手順を説明する。
【0102】
すなわち、まず給湯装置2の燃焼装置を停止させて循環経路中の湯水の温度が低下した状態で、故障診断支援装置1の表示部12上に、作業者に対して暖房往き側の配管温度の確認を要求する画面を表示する。作業者はこの表示に従って暖房往き側配管の温度の確認を行う。具体的には、この温度確認は作業員が直接手を触れて行うか、あるいはインターフェース装置2の温度センサ34を当該配管に当接させて行う。
【0103】
そして、この確認が終了すると、故障診断支援装置1から、まず上記熱動弁7aを閉じる旨と循環ポンプ5の運転開始の指令を送信するとともに、燃焼装置に燃焼運転の開始の指令を送信し、ここで再び作業員に上記暖房往き側の配管の温度確認を要求する表示を行う。
【0104】
そして、作業員による温度確認の結果、暖房往き側の配管に温度上昇が認められると熱動弁7aは閉じられていないと判断できるので、この場合は熱動弁7aの開故障と診断できる。一方、この判断によっては暖房往き配管の温度上昇が確認されなかった場合には、熱動弁7aは上述した指令通りに閉じられていると判断でき、続く閉故障の診断に移行する。
【0105】
熱動弁7aの閉故障診断では、まず故障診断支援装置1から上記熱動弁7aを開く旨の指令が送信される。そして、この状態で作業員に対して上記暖房往き側の配管の温度確認を要求する表示が行われる。この場合、先の開故障の診断において配管内の温度が上昇しているので、熱動弁7aが開かれると、暖房往き側の配管温度は上昇するはずである。したがって、この際の温度確認で温度上昇が確認できれば熱動弁7aは正常と診断されるが、温度上昇が確認できない場合には閉故障と診断される。
【0106】
このように、診断対象となる熱動弁7が特定されている場合には、当該熱動弁7の開閉による温度上昇の有無を確認することにより、当該熱動弁7の故障有無を容易に診断できる。
【0107】
次に、本発明の故障診断支援装置1による故障診断に適した給湯装置2について説明する。本発明の故障診断支援装置1は、上述したように、給湯装置2に対して所定の動作指令を送信するとともに、その一方で給湯装置2等から故障診断に必要な各種情報(たとえば、給湯装置2の制御部21aから送信されるデータや表示部12の表示に従って作業員が行う入力操作等)を入力して種々の故障診断を行うように構成されている。
【0108】
そのため、このような故障診断支援装置1で、作業員の手作業を極力排してよりきめ細かな故障診断を行おうとすると、給湯装置2の制御部21aにおいてより多くの情報を検出・管理可能にする必要がある。そこで、以下においてこのような目的でなされた給湯装置2の改変例について説明する。
【0109】
まず、その第一として、給湯装置本体2aとこれに接続される端末機器(たとえば、温水暖房装置など)2bの通信回路構成の改変例について図7に基づいて説明する。
【0110】
図7(a) は、給湯装置本体2aと端末機器2bの従来の通信回路構成を示している。従来、この図7(a) に示すように、給湯装置本体2aの制御部21aと端末機器2bの制御部21bとは通信線Lで接続され、この通信線Lを介して双方向でのデータ通信が可能とされていた。
【0111】
具体的には、上記通信線Lは、電源線L1 と、信号線L2 と、接地(GND)線L3 とで構成される。そして、上記電源線L1 の一端が給湯装置本体2aに設けられた駆動電源Vccに接続されるとともに、その他端が端末機器2bに設けられたトランジスタTr2のエミッタ端子と接続されている。また、このトランジスタTr2のコレクタ端子は、信号線L2 を介して給湯装置本体2a側に設けられたトランジスタTr1のエミッタ端子と接続され、この信号線L2 上に電流制限用の抵抗R1,R2が介装されている。さらに、上記トランジスタTr1のコレクタ端子は接地線L3 と接続されて接地されている。
【0112】
そして、上記トランジスタTr1,Tr2の各ベース端子には、それぞれ各制御部21a,21bの制御中枢となるマイクロコンピュータ(図示せず)が接続され、このマイクロコンピュータの出力信号によって上記トランジスタTr1,Tr2がオン,オフされて制御部21a,21b間での双方向通信が行われていた。
【0113】
ところで、このような従来の通信回路では、たとえば通信線Lの劣化により電源線L1 と信号線L2 とが短絡したような場合(図7(a) の符号Z1 参照)、両制御部21a,21b間での通信は途絶えてしまい、これがため給湯装置本体2aの制御部21aでは端末装置2bの異常と判断されていた。そのため、このうよな判断に基づいて作業員が故障診断を行っても通信線Lの異常を速やかに特定できず、故障診断に時間がかかるという問題があった。
【0114】
そこで、このうよな問題を解消して故障診断支援装置1で通信線Lの異常を診断できるように、この第一の改変例では、給湯装置本体2aに上記信号線L2 の電圧を検出する電圧検出手段22が設けられている。
【0115】
ここで説明の便宜上、上記抵抗R1,R2の抵抗値が等しいと仮定し、上記通信線Lに短絡箇所がなく、上記制御部21a,21b間で正常に通信が行われている(Tr1,Tr2ともオン)とすると、上記電圧検出手段22では駆動電源電圧Vccが上記抵抗R1,R2で分圧されて駆動電源電圧Vccの1/2の値が検出される。これに対して、上述したように電源線L1 と信号線L2 とがZ1 の位置で短絡していると電圧検出手段22には駆動電源電圧Vccがそのまま入力される。また、その一方で、信号線L2 と接地線L3 との間で短絡が生じていると(図7(b) の符号Z2 参照)、上記電圧検出手段22の入力電圧はアースと同電位の0ボルトとなる。
【0116】
この関係を表にまとめると以下の表1のようになる。
【0117】
【表1】
【0118】
このように、制御部21aに信号線L2 の電圧を検出する電圧検出手段22を設けたことで、電圧検出手段22の入力電圧から通信線Lの短絡による異常の検出を確認することが可能となる。また、これにともなって、故障診断に際して電圧検出手段22の検出結果を制御部21aを介して故障診断支援装置1に取り込むことで、作業員の手作業を必要とせずに通信線Lの故障を診断できるようになる。なお、図7(b) の例では、上記電圧検出手段22は給湯装置本体2a側に設けられたが、端末機器2b側に設けることも可能である。
【0119】
次に、この電圧検出手段22の更なる改変例を図7(c) に示す。この図7(c) の改変例は、上記図7(b) の回路構成では表1に示すように電圧検出手段22の入力電圧が「0」の場合に、Z2 で短絡しているか端末機器が未接続であるかの判断ができなかったので、その判断を可能に構成したものである。
【0120】
すなわち、この改変例では、上記電圧検出手段22の入力側と駆動電源Vccとの間に抵抗R3とトランジスタTr3が追加され、上記トランジスタTr3のベース端子に制御部21aの制御中枢を構成するマイクロコンピュータ23が接続される。より具体的には、上記電源線L1 にトランジスタTr3のエミッタ端子が並列接続されるとともに、そのコレクタ端子が上記電圧検出手段22の入力側に接続される。また、上記抵抗R3としては、上記電流制限用の抵抗R1,R2と同じ抵抗値のものが用いられる。
【0121】
そして、まず上記マイクロコンピュータ23の出力信号でトランジスタTr3をオフとした状態(つまり、回路的に図7(b) と同じ状態)で、電圧入力手段22の入力電圧を検出する。このときの入力電圧がVcc/2であれば通信線Lは正常と判断され、VccであればZ1 短絡と判断されるのは上記表1の場合と同様である。
【0122】
一方、入力電圧が「0」の場合、上記マイクロコンピュータ23の出力信号によってトランジスタTr3をオンとする。そしてこの状態で再び電圧検出手段22の入力電圧を検出することで、その際の入力電圧が再び「0」であればZ2 で短絡していると判断できる。また、この時の入力電圧がVcc/2であれば、トランジスタTr2は開放、つまり、端末機器2bは未接続と判断できる。
【0123】
この関係を表にまとめると以下の表2のようになる。
【0124】
【表2】
【0125】
このように、図7(c) の回路構成によれば、上述した図7(b) の場合より、より詳細に通信線Lの状態を診断することが可能となる。
【0126】
次に、給湯装置2の第三の改変例について説明する。この第三の改変例は、給湯装置2における故障履歴の記録方式に関する。
【0127】
すなわち、従来より給湯装置2の運転中に故障が発生した場合、その故障の履歴(故障履歴)は制御部21a内の不揮発性メモリなど(故障データ記憶手段)に記憶・蓄積されている。つまり、定期点検等に訪れた作業員はこの故障履歴を確認することで、過去の障害発生情況を把握できるように構成されている。
【0128】
しかし、従来の故障履歴は、故障が発生した部位や故障の状態を表すエラーコード(故障の部位や状態毎にコード化されたデータ)として記録されるのが一般的であるため、作業員が現場においてエラーコードを確認しても、故障の発生日時を特定することはできず、また、エラーコードで示された故障が最近発生したものか否かや、故障発生の頻度等について判断することはできなかった。
【0129】
そこで、この第三の改変例では、上記故障履歴を記憶・蓄積するにあたって以下のような方式で故障履歴が記憶される。すなわち、給湯装置2には、通常、装置の稼働時間を積算する積算タイマ(稼働時間計時手段)が備えられている。この積算タイマは給湯装置2の施工時から、換言すれば、給湯装置2への通電開始からの累計時間を計測するものであるが、この改変例では、上記エラーコードの記録・蓄積に際して、上記積算タイマで計測された累計時間を給湯装置2の積算稼働時間としてエラーコードと関連付けて制御部21aの上記不揮発性メモリに記憶させる。
【0130】
これにより、定期点検等において作業者がエラーコードを確認する際にこの積算稼働時間も同時に読み出せるので、作業員は当該エラーコードで示された故障の発生日時や発生頻度を容易に知ることが可能となる。また、これにともなって、上記故障診断支援装置1にエラーコードの情報を取得させる場合に、エラーコードと関連付けられた積算稼働時間を故障診断支援装置1内に取り込めるので、故障発生頻度等に応じてよりきめ細かな故障診断シーケンスを組むことが可能となる。
【0131】
また同様に、上記端末機器2bの側にも故障履歴を記憶する不揮発性メモリや積算タイマを設けて、端末機器2bで発生した故障の履歴を給湯装置本体2aとは独自に、またはこれと並行して記憶させておくことも可能である。なおこの場合、端末機器2bに記憶された故障履歴も外部に読み出し可能とされることはもちろんである。
【0132】
また、これに付随して上記積算タイマや、あるいはこれとは別に新たな計時手段を設けて、給湯装置2の故障状態の持続時間(故障状態が継続した時間)を計測・記録させることも可能であり、また、そうすることによって後日点検を行う作業者や故障診断支援装置1においてその故障が一時的なものであるか否かを容易に把握できるようになる。
【0133】
なお、この故障状態の持続時間の記録にあたっては、同じ内容の故障が検出された場合に、過去に起こった故障の持続時間と新たに生じた故障の持続時間とを比較してその長い方を更新・記録させることも可能である。
【0134】
すなわち、たとえば給湯装置2の出湯温度が異常に高い場合、通常の給湯装置2ではこのような高温出湯を検出して所定の安全動作を開始するように設定されているが、制御部21aがこの判断を行うにはある程度の時間が必要なため、高温出湯が極めて短時間であったような場合に所定の安全動作が機能せず、また後日その記録を確認することもできなかった。
【0135】
そこで、このような場合、給湯装置本体2aに高温出湯を検出する高温出湯検出手段(図示せず)と、この高温出湯検出手段で検出された高温出湯の持続時間を計測する持続時間計時手段(図示せず)と、該持続時間計時手段で計測された高温出湯の持続時間を記憶する記憶手段(図示せず)を設けて、上記高温出湯検出手段において異常な高温出湯が検出されると、その際の高温出湯の持続時間と上記記憶手段に記憶された持続時間とを比較して、持続時間の長いものを新たに上記記憶手段に記憶させる。
【0136】
より具体的には、上記高温検出手段は、上記温度センサ91で検出された出湯温度を制御部21aで高温か否かを判定させることにより実現され、持続時間計時手段は、上記制御部21aの内部クロックによって実現され、さらに記憶手段は上記制御部21aの記憶装置かあるいは別途外部記憶装置をもうけることにより実現される。
【0137】
そして、図8のフローチャートに示すように、まず、給湯装置の施工時(具体的には試運転後)に上記記憶手段の記憶領域をクリアする(図8ステスップS1参照)。
【0138】
その後、制御部21aでは温度センサ91の検出結果に基づいて高温出湯の有無の判断を行う(図8ステスップS2参照)。そして、この判断が肯定的、つまり高温出湯があると判断すると、上記持続時間計時手段でのカウントを開始させる(図8ステスップS3参照)。一方、上記図8ステスップS2の判断が否定的であれば、図8ステスップS4に移行して上記持続時間計時手段でのカウントは行わずクリアにする。
【0139】
そして、上記図8ステスップS3でのカウントが完了すると(つまり、高温出湯状態の持続時間の計測が完了すると)、続く図8ステスップS5において上記記憶部に記憶されている過去の高温出湯の記録におけるその持続時間(記憶値)と、今回図8ステスップS3で計測した持続時間(カウント値)を比較して、カウント値が大きければ記憶手段に記憶された記憶値を上記カウント値に書き換える。また、カウント値が小さければ、上記図8ステスップS2の判断に戻って高温出湯の有無の判断が行われる。
【0140】
このように、図8の手順によれば、高温出湯という同種の故障について、その持続時間が長いものが故障履歴の一部として適宜更新・記録されるので、作業者はまずこの記録を確認することで、持続時間が「0」であれば過去に高温出湯がなかったことを確認でき、その一方で持続時間が「0」以外に記録されていれば過去に高温出湯があった事実を確認できるので、故障診断を高温出湯に絞って行うことができ、故障診断にかかる要処理時間を短縮できる。また、この持続時間を故障診断支援装置1に取り込ませることによって、不必要な故障診断シーケンスの実行を除外させることができ、無駄な故障診断を省略することが可能となる。
【0141】
なお、上述した実施形態はあくまでも本発明の好適な実施態様を示すものであって、本発明はこれに限定されることなくその発明の範囲内で種々の設計変更が可能である。
【0142】
たとえば、上述した実施形態では、故障診断支援装置1とインターフェース装置3とが別体として構成されていたが、これは故障診断支援装置1としてノート型のパーソナルコンピュータを用いたからであって、専用の装置を製造するのであれば、これらを一体に構成することも可能である。
【0143】
また、上述した実施形態では、給湯装置2に浴槽への落とし込み回路を示していないが、本発明の故障診断支援装置1はかかる落とし込み回路を備えた給湯装置にももちろん適用可能である。
【0144】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明に係る給湯装置の故障診断支援装置によれば、給湯装置の器具効率や一次ガス圧の低下の診断、フィードバック制御量異常時の故障原因特定、フィードフォワード制御値のずれの補正、循環ポンプの故障や循環経路の通水異常、さらには熱動弁の性能低下等の故障診断を、作業者との対話形式で容易に行うことができ、給湯装置の故障診断にかかる手間や労力を大幅に低減できる。しかも、作業員は、多種多様の給湯装置に対する専門的な知識を殆ど必要とすることなく、容易に故障診断を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る故障診断支援装置の概略構成ならびに該故障診断支援装置を給湯装置に接続する際の接続状況を示す説明図である。
【図2】ガス給湯装置におけるガスバーナの号数と二次ガス圧との関係を示す図であり、図(a) は正常な給湯装置における燃料ガス圧(二次ガス圧)と設定号数(マイコン出力値)との関係を示しており、図2(b) は一次ガス圧が低下している場合の二次ガス圧とマイコン出力値の関係を示しており、図3(c) は図2(b) における出力号数(実出力値)と設定号数の関係を示している。
【図3】給湯装置におけるFF制御値のずれの原因を特定する際の故障診断手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明に係る故障診断支援装置の診断対象となる給湯装置の温水循環経路の一例を示す概略構成図である。
【図5】本発明に係る故障診断支援装置の故障診断シーケンスの一例を示すフローチャートである。
【図6】図4に示す給湯装置の一部省略拡大図である。
【図7】給湯装置本体と端末機器との通信回路を示す回路図であって、図7(a) は従来の回路構成を、図7(b) はその改変例の回路構成を、図7(c) は他の改変例の回路構成をそれぞれ示している。
【図8】給湯装置における故障履歴の記憶手順の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 故障診断支援装置
11 記憶手段
12 表示手段
13 故障診断手段
14 入力手段
15 データ通信手段
2 給湯装置
2a 給湯装置本体
21 制御部
22 電圧入力手段
31 データ通信手段
3 インターフェース装置
32 計測器部
4 熱交換器
5 循環ポンプ
6 膨張タンク
7a〜7d,7x 熱動弁
8a〜8d 暖房端末
91,92 温度センサ
93 流量センサ
L 通信線
L1 電源線
L2 信号線
L3 設置線
Claims (6)
- 故障診断シーケンスを記憶した記憶手段と、該故障診断シーケンスに基づいて診断手順を表示する表示手段と、前記故障診断シーケンスに基づいて給湯装置に対して所定の動作指令を出力するとともに、外部から入力される情報に基づいて給湯装置の故障診断を行う故障診断手段とを備えた故障診断支援装置であって、前記故障診断シーケンスとして、
(1) 前記給湯装置に対してバーナの燃焼本数と燃料供給量を特定した所定号数での燃焼指令を出力するステップと、
(2) 前記給湯装置の熱交換器の入水温度と出湯温度と入水または出湯流量とから実際の出力号数を演算するステップと、
(3) 前記所定号数と出力号数とを比較して給湯装置の効率を演算するステップとを備えるとともに、
前記ステップ (1) で特定されるバーナの燃焼本数と燃料供給量とが任意に設定可能とされた
ことを特徴とする給湯装置の故障診断支援装置。 - 故障診断シーケンスを記憶した記憶手段と、該故障診断シーケンスに基づいて診断手順を表示する表示手段と、前記故障診断シーケンスに基づいて給湯装置に対して所定の動作指令を出力するとともに、外部から入力される情報に基づいて給湯装置の故障診断を行う故障診断手段とを備えた故障診断支援装置であって、前記故障診断シーケンスとして、
(1) 前記給湯装置に対して所定号数での燃焼指令を出力するステップと、
(2) 前記燃焼指令に基づいて燃焼運転を開始した給湯装置における燃焼制御のフィードバック制御量を検出するステップと、
(3) この検出されたフィードバック制御量が規定値の範囲内か否かを判断するステップと、
(4) 前記ステップ (3) において、フィードバック制御量が規定値の範囲を超えると、前記表示手段に炎の状態の目視確認を要求する表示を行うステップとを備えてなり、
前記炎の状態の目視確認を要求する表示が、故障態様に応じた炎の状態を示して目視確認の結果と一致するかの確認を求める表示とされ、該表示に応じた入力操作により故障原因を特定する
ことを特徴とする給湯装置の故障診断支援装置。 - 故障診断シーケンスを記憶した記憶手段と、該故障診断シーケンスに基づいて診断手順を表示する表示手段と、前記故障診断シーケンスに基づいて給湯装置に対して所定の動作指令を出力するとともに、外部から入力される情報に基づいて給湯装置の故障診断を行う故障診断手段とを備えた故障診断支援装置であって、前記故障診断シーケンスとして、
(1) 前記給湯装置に対してバーナの燃焼本数と燃料供給量を特定した所定号数での燃焼指令を出力することによりフィードバック制御を行わずに燃焼させるステップと、
(2) 前記所定号数と実際の出力号数との偏差を演算するステップと、
(3) この演算された偏差に基づいて給湯装置の燃焼制御におけるフィードフォーワード制御値のずれを演算するステップと、
(4) 前記給湯装置に対して前記フィードフォーワード制御値のずれの補正の指令を出力するステップとを有する
ことを特徴とする給湯装置の故障診断支援装置。 - 故障診断シーケンスを記憶した記憶手段と、該故障診断シーケンスに基づいて診断手順を表示する表示手段と、前記故障診断シーケンスに基づいて給湯装置に対して所定の動作指令を出力するとともに、外部から入力される情報に基づいて給湯装置の故障診断を行う故障診断手段とを備えた故障診断支援装置であって、前記故障診断シーケンスとして、
(1) 前記給湯装置に対して、温水暖房装置の全ての熱動弁を閉じる指令を出力するステッ プと、
(2) この状態で、暖房用温水の循環経路に設けられた循環ポンプの運転を開始または停止させる指令を出力するステップと、
(3) 前記運転の開始/停止の各場合における湯水の循環の有無を、前記循環経路内に設けられた流量センサの検出結果から検出して前記循環ポンプの故障を判定するステップとを有する
ことを特徴とする給湯装置の故障診断支援装置。 - 故障診断シーケンスを記憶した記憶手段と、該故障診断シーケンスに基づいて診断手順を表示する表示手段と、前記故障診断シーケンスに基づいて給湯装置に対して所定の動作指令を出力するとともに、外部から入力される情報に基づいて給湯装置の故障診断を行う故障診断手段とを備えた故障診断支援装置であって、前記故障診断シーケンスとして、
(1) 前記給湯装置に対して、温水暖房装置の全ての熱動弁を閉じるもしくは開く指令を出力するステップと、
(2) この状態で、暖房用温水の循環経路に設けられた循環ポンプの運転開始の指令を出力するステップと、
(3) 前記各熱動弁を順次開くもしくは閉じる指令を出力するステップと、
(4) 前記熱動弁を順次開くもしくは閉じる過程における前記循環経路の流量変化を、前記循環経路内に設けられた流量センサの検出結果から検出して前記循環経路の通水異常を判定するステップとを有する
ことを特徴とする給湯装置の故障診断支援装置。 - 故障診断シーケンスを記憶した記憶手段と、該故障診断シーケンスに基づいて診断手順を表示する表示手段と、前記故障診断シーケンスに基づいて給湯装置に対して所定の動作指令を出力するとともに、外部から入力される情報に基づいて給湯装置の故障診断を行う故障診断手段とを備えた故障診断支援装置であって、前記故障診断シーケンスとして、
(1) 前記給湯装置に対して、温水暖房装置の所定の熱動弁を開く旨の指令を出力するステップと、
(2) 前記指令の出力時から実際に熱動弁が開くまでの開弁時間を、暖房用温水の循環経路内に設けられた流量センサの検出結果に基づいて計測するステップと、
(3) この計測した実際の開弁時間と、前記給湯装置の初期状態時の開弁時間とを比較して前記所定の熱動弁の性能低下を判定するステップとを有する
ことを特徴とする給湯装置の故障診断支援装置。
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