JP3611354B2 - 燃焼機器の検査方法並びに燃焼機器の検査システムおよびそのシステムを構成する燃焼機器と検査装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、給湯器や風呂釜等の燃焼機器の動作状態の検査(故障や異常の診断を含む)等を自動的に行う燃焼機器の検査方法並びに燃焼機器の検査システムおよびそのシステムを構成する燃焼機器と検査装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
燃焼機器の検査を行う場合、かつては、人手により燃焼機器を運転動作させて、検査を行っていたが、最近においては、燃焼機器の高度化、複雑化に伴い、省力の観点から、検査装置を燃焼機器に接続し、燃焼機器側のデータを検査装置側に読み出し、この読み出したデータを検査装置側で解析して燃焼機器の異常等の検査を行うようになりつつある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この種の一般的な燃焼機器の検査方式は、燃焼機器の動作状態のセンサ等のモニタ情報を読み出して表示部に表示し、例えば、読み出したデータが表示されるときは正常、表示されないとき(断線等により信号が得られないとき)は異常という如く、センサ等の電気配線のショートや断線というような単純な異常しか判断できないものが多く、燃焼機器を構成している構成要素がどのような過程で異常が生じたのか、また、その異常が経年変化の原因で異常が生じたか等のきめ細かな検査を行うものでないため、未だ十分満足したものとして受け入れられる状態ではなく、さらなる改良が望まれている。
【0004】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、燃焼機器を構成している構成要素の異常をよりきめ細かに解析して市場に満足して受け入れられることができる燃焼機器の検査方法並びに燃焼機器の検査システムおよびそのシステムを構成する燃焼機器と検査装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、次のように構成されている。すなわち、第1の発明は、燃焼機器に検査装置を信号接続し、燃焼機器側から検査装置に燃焼機器を構成する構成要素のデータを取り込み、この取り込んだデータを検査装置側で解析して各構成要素の検査を行う燃焼機器の検査方法において、燃焼機器のメモリに前記構成要素の、基礎データと、燃焼機器の生産過程でのデータと、出荷検査時のデータと、試運転時のデータとの1種以上の初期データを記憶しておき、燃焼機器の実働使用時には燃焼運転の経過に伴って変化する構成要素の実働データを取り込み記憶し、燃焼機器に検査装置を信号接続しての検査時には、燃焼機器側から初期データと実働データとを検査装置側に取り込み、実働データと検査判定基準とを比較し実働データが検査判定基準を外れたときに検査対象の構成要素が異常であると判断する基本検査の他に、初期データと実働データとを比較し、初期データに対する実働データのずれ量検知によって検査対象構成要素の経年変化による異常を検査することを特徴として構成されている。
【0006】
また、第2の発明は、前記第1の発明における初期データとして、基礎データと生産過程でのデータのうちの少なくとも一方の検査前データと、出荷検査時のデータとを記憶しておき、検査装置を燃焼機器に信号接続しての検査時に、前記検査前データと出荷検査時のデータとを比較し、検査前データに対する出荷検査時のデータの許容範囲を外れたずれ量検知によって出荷検査不良を判定することを特徴として構成されている。
【0007】
さらに第3の発明は、前記第1の発明又は第2の発明における初期データとして少なくとも出荷検査時のデータと試運転時のデータを記憶しておき、検査装置を燃焼機器に信号接続しての検査時に、前記出荷検査時のデータと試運転時のデータとを比較し、出荷検査時のデータに対する試運転時のデータの許容範囲を外れたずれ量検知によって燃焼機器設置の施工不良を判定することを特徴として構成されている。
【0008】
さらに第4の発明は、燃焼運転を制御する運転制御部と、この燃焼運転に必要なデータが記憶されている制御データメモリとを備え、運転制御のシーケンスプログラムにより指令されたデータが前記制御データメモリから読み出されて燃焼運転が行われる方式の燃焼機器に検査装置が信号接続される燃焼機器の検査システムにおいて、燃焼機器側には、該燃焼機器の構成要素の基礎データと、燃焼機器の生産過程でのデータと、出荷検査時のデータと、試運転時のデータとの1種以上の初期データを記憶する初期データ記憶部と、燃焼機器の実働使用時に燃焼運転の経過に伴って変化する構成要素の実働データを取り込み記憶する実働データ記憶部と、これら初期データ記憶部と実働データ記憶部に記憶されているデータを検査装置側に転送するデータ転送部とが設けられ、検査装置側には燃焼機器側から転送されて来るデータを記憶する転送入力データ記憶部と、この転送入力データからデータを読み出して実働データと検査判定基準とを比較し実働データが検査判定基準を外れたときに検査対象の構成要素の異常と判断する基本検査判断部と、初期データと実働データとを比較し、初期データに対する実働データのずれ量検知によって検査対象構成要素の経年変化による異常を判断する経年検査判断部とが設けられていることを特徴として構成されている。
【0009】
さらに第5の発明は、燃焼運転を制御する運転制御部と、この燃焼運転に必要なデータが記憶されている制御データメモリとを備え、運転制御のシーケンスプログラムにより指令されたデータが前記制御データメモリから読み出されて燃焼運転が行われる方式の燃焼機器において、該燃焼機器にはその構成要素の基礎データと、燃焼機器の生産過程でのデータと、出荷検査時のデータと、試運転時のデータとの1種以上の初期データを記憶する初期データ記憶部と、燃焼機器の実働使用時に燃焼運転の経過に伴って変化する構成要素の実働データを取り込み記憶する実働データ記憶部と、これら初期データ記憶部と実働データ記憶部に記憶されているデータを検査装置側に転送するデータ転送部とが設けられていることを特徴として構成されている。
【0010】
さらに第6の発明は、燃焼機器に信号接続して請求項4記載の燃焼機器の検査システムを構成可能な検査装置において、該検査装置には、燃焼機器側から転送されて来るデータを記憶する転送入力データ記憶部と、この転送入力データからデータを読み出して実働データと検査判定基準とを比較し実働データが検査判定基準を外れたときに検査対象の構成要素の異常と判断する基本検査判断部と、初期データと実働データとを比較し、初期データに対する実働データのずれ量検知によって検査対象構成要素の経年変化による異常を判断する経年検査判断部とが設けられていることを特徴として構成されている。
【0011】
さらに第7の発明は、前記第6の発明における初期データのうち基礎データと生産過程でのデータのうちの少なくとも一方の検査前データと出荷検査時のデータとを比較し、検査前データに対する出荷検査時のデータの許容範囲を外れたずれ量検知によって出荷検査不良を判定する出荷検査不良判断部と、出荷検査時のデータと試運転時のデータとを比較し、出荷検査時のデータに対する試運転時のデータの許容範囲を外れたずれ量検知によって燃焼機器設置の施工不良を判定する施工不良判断部との少なくも一方が設けられていることを特徴として構成されている。
【0012】
【作用】
上記構成の本発明において、燃焼機器の検査に際しては、燃焼機器に検査装置を信号接続して行われるが、この検査の開始時に、まず、燃焼機器側から初期データと、実働使用の燃焼運転時に取り込まれた実働データが検査装置側に読み出されて転送入力データ記憶部に記憶される。
【0013】
この初期データと実働データとの取り込みが行われた後、検査装置側では、初期データと実働データを読み出し解析して検査が行われる。例えば、初期データのうちの基礎データや生産過程データの検査前データと、検査時のデータとを比較し、検査前データに対して出荷検査時のデータが許容範囲を外れてずれていたときには出荷検査不良と判定し、また、出荷検査時の正常なデータと試運転時のデータとを比較し、出荷検査時のデータに対し試運転時のデータが許容範囲を外れてずれていたときには、燃焼機器設置の施工不良と判定する。
【0014】
また、初期データと実働データとを比較し、初期データに対し実働データが許容範囲から外れてずれていたときには、その検査対象構成要素は経年変化の異常と判断される。
【0015】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。本実施例の燃焼機器の検査方法およびそのシステムは、燃焼機器を構成する各要素の検査等を自動的に行うものである。以下、本実施例の説明を理解し易くするために自動設定や検査の対象となる燃焼機器のモデル例を図5に示す。同図の(a)は、能力切り換え式の給湯器を示すもので、給水管1から入水する水はバーナ2の燃焼火力でもって、給湯熱交換器3を通るときに加熱されて湯にされ、この湯は、給湯管4を通して台所等の所望の給湯場所に導かれるものである。
【0016】
制御装置5は流量センサ6から入水信号を受けたときに燃焼ファン7を回転し、ガス供給通路19の電磁弁8と比例弁10と能力切り換え弁11a,11bの少なくとも一方を開けて、イグナイタ電極12を駆動して点着火を行い、フレームロッド電極13で炎を検知した以降に、出湯温度センサ15で検出される出湯温度がリモコン14で設定される設定温度となるように比例弁10の開弁量を制御し、併せて、燃焼量に応じて燃焼ファン7の回転制御を行い、給湯運転を制御する。この給湯運転の制御に際し、制御装置5は、要求熱量に応じ、能力切り換え弁11a,11bを切り換え制御する。
【0017】
要求熱量が小さいときは能力切り換え弁11aのみを開けてバーナ2のA面の1面燃焼を行い、要求熱量が大きいときにはさらに能力切り換え弁11bを開けてA面とB面の多面燃焼を行う。なお、図中9は燃焼ファンのファン回転検出センサ、16は入水温度センサ、17は水量を調整する水量制御弁、50は燃焼ファンの風量を検出する風量センサを示している。
【0018】
図5の(b)は風呂釜を示すもので、前記同図の(a)に示す給湯器と同一の名称部分には同一符号を付してある。この種の風呂釜は、リモコン14等で、追い焚き運転が指令されると、制御装置5は、追い焚き循環管路18の循環ポンプ20を回転させて、浴槽21内の湯水を追い焚き循環管路18を介して循環させる。流水スイッチ22が湯水の流れを検知したときに、制御装置5は燃焼ファン7を回転し、電磁弁8を開き、点着火によりバーナ2を燃焼させて追い焚き熱交換器23を通る循環湯水を加熱して浴槽21内の湯水の追い焚きを行う。そして、風呂温度センサ24で検出される風呂温度がリモコン14によって設定される風呂設定温度に達したときに追い焚き運転を停止する。
【0019】
図5の(c)は追い焚き機能を備えた複合給湯器を示すもので、給湯熱交換器3側では同図の(a)に示すものと同様の動作を行って給湯運転を行い、また、追い焚き熱交換器23側では同図の(b)に示す風呂釜と同様な動作を行って浴槽21内の湯水の追い焚きを行う。この給湯と追い焚きの運転は制御装置5によって行われるが、この装置は、電磁弁等の注湯弁25を開けることにより、給湯熱交換器3側で作り出した湯を追い焚き循環管路18を介して浴槽21内に落とし込んで湯張りを行う機能を備えており、圧力センサ等を用いた水位センサ26により湯張りの水位がリモコン14等で設定される設定水位に達したときに注湯弁25が閉じられて湯張りの停止が行われ、次に循環ポンプ20を起動して追い焚き運転が行われるものである。
【0020】
図1には本実施例における燃焼機器の検査方法を行う検査システムのブロック構成が示されている。同図において、27はモデル例に示した給湯器や風呂釜等の燃焼機器を示しており、28はマイクロコンピュータやパソコン等で構成される検査装置を示している。燃焼機器27の制御装置5には、運転制御部30と、制御データメモリ31と、モード変換部32と、入力部33と、エラー履歴記憶部34と、必要に応じ設けられる検査データ記憶部35と、データ転送部36と、初期データ記憶部40と、実働データ記憶部41とを有して構成されている。これら、記憶部やメモリ31,34,35,40,41はRAM(Randam Access Memory),ROM(Read Only Memory),書き込みとその消去が電気信号によって自在に行われる不揮発性のEEPROM等の適宜のメモリ素子を用いて構成されている。
【0021】
運転制御部30は、シーケンスの運転プログラムに従い、指令を出力し、制御データメモリ31に格納されている指令されたアドレスのデータを読み出して運転制御を行う。制御データメモリ31には、運転オン、運転オフ、循環ポンプオン、循環ポンプオフ等の各種アクチエータの動作データや、出湯温度センサ、入水温度センサ、流水スイッチ、風呂温度センサ、水位センサ、フレームロッド電極等の各種センサの取り込みデータ等の、運転制御を行うために必要なデータが格納されている。
【0022】
モード変換部32は燃焼機器27と検査装置28とが信号接続されたときに、通常の燃焼運転モードから検査装置28の指令によって優先的に動作する検査モードへ動作モードを切り換える。このモード切り換えは、例えば、検査装置28側からパスワードが送られたとき、あるいはモード切り換え信号が加えられたとき等、適宜の信号をトリガー信号として行うことができるが、本実施例ではオープンループ回路38のハードスイッチ39がピンの差し込みによってショートされたときに、そのショート信号を受けて通常運転モードから検査モードへ切り換え、ピンが抜かれてオープン回路となったときに検査モードから通常運転モードへ復帰するように構成されている。
【0023】
入力部33は検査装置28側から送られて来る検査結果のデータを取り込んで対応する記憶部34,35に加える。エラー履歴記憶部34は検査装置28側から送られて来る異常のデータを記憶する。検査データ記憶部35は検査装置28側から入力部33を介して送られて来る検査結果のデータを記憶する。なお、前記した如く、この検査データ記憶部35は省略されることもある。
【0024】
データ転送部36は検査装置28が燃焼機器27に信号接続されて燃焼機器27の検査が可能状態となったときに、例えば、検査装置28側からデータ転送の要求指令が入力部33を介して加えられたとき、あるいはハードスイッチ39のピンが差し込まれてオープンループ回路38のショート信号を受けたとき等、適宜のデータ転送のトリガー信号を受けて、初期データ記憶部40に記憶されている初期データや、実働データ記憶部41に記憶されている実働データや、エラー履歴記憶部34に記憶されている検査異常の来歴データを検査装置28側に転送する。
【0025】
初期データ記憶部40は燃焼機器27の初期データを記憶する。本実施例では初期データを基礎データと生産時データと出荷検査データと試運転データとに分類している。基礎データは燃焼機器を構成するセンサやアクチエータ等の各構成要素の仕様データや検査の基準となる判定範囲や限界値やしきい値等の検査判定基準や、許容範囲等のデータを含むもので、例えば、表1に示す燃焼機器を構成する各構成要素に対応した仕様データと検査判定基準等のデータが基礎データ記憶部40aに記憶されている。
【0026】
なお、表1に示す構成要素は図5に示したモデル例の燃焼機器の構成要素以外のものも含まれている。構成要素は燃焼機器の型式や種類等により異なるものであり、表1の構成要素は参考例として示したものであり、燃焼機器によってはこの表1に示した構成要素が含まれないものもあり、また、他の燃焼機器においては、表1に示した構成要素以外の構成要素が装備される場合もあり、その場合にはそれらの構成要素に対してもその構成要素の基礎データが基礎データ記憶部40aに記憶されることとなる。
【0027】
【表1】
【0028】
生産時データは、燃焼機器の生産時に設定されるデータで、例えば、二次ガス圧(比例弁10の下流側のガスノズルからバーナ2に噴出するガス圧)のデータ等が生産時データとして生産時データ記憶部40bに記憶される。出荷検査データは、出荷検査時(製品検査時)に行われる各構成要素の検査データであり、このデータは出荷検査データ記憶部40cに記憶される。試運転データは、燃焼機器を家庭等に設置施工された後に最初に試運転されたときの各構成要素の取り込みデータであり、この試運転データは試運転データ記憶部40dに記憶される。この試運転により燃焼機器27が円滑に動作することが確認された後に、顧客に引き渡されて実働使用に供されるものであり、従って、初期データ記憶部40に記憶されるデータは燃焼機器27の実働使用前のデータを意味する。
【0029】
実働データ記憶部41には燃焼機器27の実働使用時に、センサやアクチエータ等の構成要素の動作状態のデータが取り込まれて記憶される。これら、各記憶部のデータの書き込みは図示されていない通常のコンピューターの信号処理において用いられる周知の書き込み手段を用いて行われる。この書き込み手段は周知であり、ここでは、図の複雑化を避ける都合上、図示を省略する。
【0030】
検査装置28は転送入力データ記憶部42と、検査判断部43と、表示部44と、検査対象指令部45と、検査結果出力部46とを有して構成されている。転送入力データ記憶部40には燃焼機器27側のデータ転送部36から転送されて来る初期データ記憶部40から読み出されて転送されて来る各種のデータと、実働データ記憶部41から読み出されて転送されて来る実働データとを区分して記憶する。この記憶部のメモリも、燃焼機器27側のメモリと同様に、RAM,ROM,EEPROM等の適宜のメモリ素子を用いて構成される。
【0031】
検査判断部43は前記転送入力データ記憶部42に記憶された各種の初期データと実働データを読み出してデータ解析を行い、燃焼機器27を構成している構成要素の異常等を検査するもので、この実施例では、検査判断部43は、基本検査判断部43aと経年検査判断部43bと寿命判断部43cと出荷検査不良判断部43dと施工不良判断部43eとを有して構成されている。基本検査判断部43aは燃焼機器の構成要素の実働データと初期データのうちの基礎データの検査判定基準とを比較し、実働データが検査判定基準を外れたとき、例えば、実働データの値が許容範囲を外れたときや限界値を越えたときや、しきち値を越えたときに、その検査対象の構成要素は異常と判断する。経年検査判断部43bは、例えば、検査データ記憶部35に記憶されている過去の検査結果データを参照して実働データと検査判定基準を比較し、過去の検査結果の参照により、実働データの値が検査判定基準から徐々に外れる方向に変化していることが検知され、この状態で、今回の検査の結果、実働データが検査判定基準から外れたときには、検査対象の構成要素を経年異常と判断する。
【0032】
寿命判断部43cの初期データのうち、基礎データとして与えられている寿命判断基準と実働データを比較し、実働データが寿命判定基準を越えたときに、その検査対象の構成要素は寿命と判断する。例えば、燃焼ファンの稼働時間(実働データ)が寿命の判断基準となる限界時間を上回ったときには検査対象の燃焼ファンは寿命と判断するものである。出荷検査不良判断部43dは初期データのうち基礎データや生産時データと、検査対象の構成要素の出荷検査データとを比較し、出荷検査データの値が対応する基礎データや生産時データの値に対し許容範囲を越えて上回ったときには出荷検査の不良と判断するものである。例えば、出湯温度センサの25℃での基礎データのセンサ出力値に対し、出荷検査データの出湯温度センサの同じ温度でのセンサ出力値が基礎データに対し許容範囲を外れていたときには、出荷検査の不良と判断する。
【0033】
施工不良判断部43eは、出荷検査不良判断部で出荷検査正常と判断された出荷検査データと試運転データとを比較し、試運転データが出荷検査データに対し許容範囲から外れてずれているときには、施工不良と判断する。例えば、出荷検査データの比例弁電流とアウトプット((出湯温−給水温)×水量,出湯温:出湯温度センサ15,給水温:入水温度センサ16,水量:流量センサ6)の値に対し、試運転時に取り込まれた値が許容範囲を外れていたときにはガス配管不良と判断するものである。この施工不良判断部の判断に際しては、出荷検査データと試運転データとの比較により、施工時の電気配線の接続間違いや配管接続の間違い等も判断されることとなる。また、施工不良の判断に際し、出荷検査データの代わりに基礎データ(仕様データ)や生産時データを用い、これと試運転データを比較して判断することも可能である。
【0034】
表示部44は検査判断部43の各部の判断結果を液晶画面等に文字や記号等の適宜の表示形態で表示すると共に、燃焼機器27側から送られて来るエラー履歴記憶部34のエラー履歴の情報も同様に表示する。この表示部44は検査装置28と分離されて別個に設けられていることもある。
【0035】
検査対象指令部45は前記表示部44に表示されるエラー履歴の情報を検査の作業者が見て、作業者により外部指令入力部47からエラー履歴の頻度の高い構成要素の検査指令が加えられたときにはその入力された構成要素の検査指令を出力する。又は、燃焼機器27側から送られて来るエラー履歴の情報を自分自身で検知し、エラー発生の頻度の高い構成要素を自分で選定し、そのエラー頻度の高い構成要素を最優先としてその構成要素の検査指令を検査判断部43に加えて各判断部での検査を行わせる。なお、外部指令入力部47はキーボードのキー操作や、メモリカード等のカード入力によって検査対象の構成要素を外部から入力するものである。
【0036】
検査結果出力部46は検査判断部43で検査された結果を燃焼機器27側に出力する。この検査結果のデータは燃焼機器27側の入力部33を介して異常の検査結果はエラー履歴記憶部34に格納記憶され、それ以外の検査結果又は前部の検査結果は検査データ記憶部35に記憶蓄積される。なお、検査データ記憶部35を破線で示すように検査装置28側に設けた場合には、検査装置側の検査データ記憶部35に検査結果が蓄積される。
【0037】
なお、燃焼機器27側と検査装置28側の信号通信は、1チップマイコンの専用SIOポートを設け、このSIOポートに信号線を着脱自在に接続することにより行ってもよく、又は、通常ポートと割り込みポートを備えたポートに信号線を接続して行ってもよく、さらには、モデムを用いた通信や、無線(光、磁気、電波、電磁波、音波)によって信号接続を行ってもよい。また、これらの信号通信は、シリアル通信、パラレル通信等、適宜の通信形態によって行われる。
【0038】
また、検査装置28側から燃焼機器27側に加える指令の形態と、この指令を燃焼機器27側で実働させる信号形態の関係は、図2に示すような3つの形態のうちいずれかの形態が仕様に応じ選定される。図2の(a)の形態は、検査装置28側の指令出力部47から指令をアドレス指令によって出力し、燃焼機器27側ではそのアドレス指令をそのまま利用してその指令に対応する動作を行わせるものである。一般に、燃焼機器27側はアドレス指令によって動作するように構成されているので、検査装置28側のアドレス指令をそのまま受け付けてそのアドレス指令によって円滑にアドレス指令の応答が行われる。
【0039】
図2の(b)に示す形態のものは、検査装置28側から出力する指令をコマンド指令、つまり、ファン回転数の読み出し、出湯温度センサの読み出し等、燃焼機器を構成する構成要素に対する命令動作をコマンド指令によって出力するものである。この場合には、燃焼機器27側はアドレス指令によって動作するように構成されているので、コマンド指令をアドレス指令に変換する変換テーブル56が燃焼機器側に設けられ、検査装置28側から加えられるコマンド指令はこの変換テーブル56でアドレス指令に翻訳されて検査の動作が行われる。
【0040】
図2の(c)の形態は、検査装置28側で指令出力部47から指令がコマンド指令で出され、このコマンド指令を指令変換部57で、アドレス指令に変換して燃焼機器側に加えるものである。この形態の場合には、より好ましくは、燃焼機器27側に燃焼機器27側のメモリに格納されるデータに対して前もって取り決めた順位を与え、このデータの順位に対応するアドレスの一覧データを一覧データメモリ58に格納しておき、検査の開始時にこの一覧データメモリ58のアドレス一覧データを検査装置28側のメモリ60に転送して記憶させるようにすると望ましい。
【0041】
この場合には、予め、指令変換部57に前記一覧データメモリ58のアドレスのデータの配列順序の情報を与えておくことにより指令変換部57は、指令出力部47から加えられるコマンド指令が、例えば、運転オンの指令であったときには、その運転オンのデータの順序(序列)が分かっているので、メモリ60に格納されているアドレスデータの先頭からその序列位置に格納されているアドレスが運転オンのアドレスであると確定でき、その運転オンのアドレス指令に変換して燃焼機器27側に加えることができる。この図2の(c)の形態の場合には、もちろん、指令変換部57にコマンドとアドレスを1対1に対応させた図2の(b)に示すような変換テーブル56を与えておいてもよいが、アドレスの一覧データのみを記憶するようにすれば、メモリ60の容量を小さくできるというメリットがある。
【0042】
本実施例は上記のように構成されており、次に、検査の一例を図3のフローチャートに基づき、簡単に説明する。まず、ステップ101 で燃焼機器27に検査装置28を信号接続し、ハードスイッチ39をピンの差し込みによりショートさせると、モード変換部32により燃焼機器の動作モードは通常の運転モードから検査モードへ切り換わる。なお、ステップ101 よりも前の部分は燃焼機器の製造段階から出荷検査段階を経て工場出荷され、仕向先で設置施工された後、試運転を経て実働使用に至る過程での燃焼機器側でのデータ記憶の動作を示している。
【0043】
前記ステップ101 で燃焼機器27に検査装置28が信号接続された後、ステップ102 で燃焼機器側から検査装置側に各種の初期データと実働データのデータ転送が行われ検査装置28側の転送入力データ記憶部42にそれらのデータが区別格納される。次に、実際の検査動作に移り、ステップ103 では基礎データA又は生産時データBと、出荷検査データCとの比較が行われ、A又はBのデータとCのデータが許容範囲内で一致しているときには出荷検査は正常であったと判断され、A又はBに対しCが許容範囲を越えて外れていたときには出荷検査は不良であったと判断される。出荷検査が正常と判断されたときには次のステップ104 で出荷検査データCと試運転データDとの比較が行われる。
【0044】
Cに対しDが許容範囲内に収まって一致するときには、試運転データは正常と判断され、出荷検査データCに対し試運転データDが許容範囲から外れて不一致となったときには試運転異常(施工不良)と判断する。試運転データが正常と判断されたときには、次のステップ105 で出荷検査データCと実働データEとが比較される。Cに対してEが許容範囲内で一致するときには実働運転は正常と判断され、Cに対してEが許容範囲を越えて不一致となったときには検査対象の構成要素は経年変化により異常が生じたものと判断される。
【0045】
図4は燃焼ファンを例にして、より具体的に検査の動作を示したものである。この図4のフローチャートで図3の動作と同一の部分には同一のステップ番号が付されている。図4において、ステップ101 より前の動作部分はデータ記憶経過の動作状態を示すもので、まず、基礎データAとして燃焼ファンの供給電圧(電流)と回転数の基礎データがDC24V,2400rpm ±50rpm として基礎データ記憶部40aに記憶される。次に出荷検査段階でDC24Vでの燃焼ファンの出荷検査データCが2360rpm として出荷検査データ40cに記憶される。次にDC24Vでの燃焼ファンの試運転データDが2360rpm として試運転データ記憶部40dに記憶される。そして、DC24Vでの燃焼ファンの実働データEが2200rpm として実働データ記憶部41に記憶される。
【0046】
実働使用状態で、燃焼運転中にエラーが発生したときには、ステップ101 で燃焼機器27に検査装置28が信号接続される。そして、ステップ102 で燃焼機器27側の初期データと実働データが検査装置28側に転送されて転送入力データ記憶部42に記憶され、ステップ103 以降の具体的な検査が行われる。
【0047】
まず、ステップ103 で基礎データの仕様値Aと出荷検査データCとが判断される。この場合では、DC24Vでのファン回転数の仕様値は2400±50rpm であり、出荷検査のデータの2360rpm はその仕様値の範囲に入っているので出荷検査は正常と判断され、次のステップ104 で出荷検査データCと試運転データDの比較が行われる。この場合はCとDは共に2360rpm であるのでC=Dとなり、試運転データは正常と判断される。次にステップ105 で出荷検査データCと実働データEとが判断される。この場合では、出荷検査データCが2360rpm であるのに対し、実働データEは2200rpm となって許容範囲、例えば、出荷検査データに対して±50rpm の範囲から外れているので、燃焼ファンの経年異常と判断される。また、ファンの電圧と回転数の基礎データには電圧低下(上昇)と回転数のダウン(down)量(アップ(up)量)が記憶されており、データの補正が行われる。
【0048】
次に、表1に示した各種センサ類の検査の具体例を統括的に示す。この具体的な検査項目等は表2に示す。
【0049】
【表2】
【0050】
{比較(診断)データ}
【0051】
初期データ記憶部40の比較データの取り込みやメモリアドレス等の内容は、個々に定める規約によって決定される。
【0052】
{判定手法}
【0053】
(1)センサ類の特性データを性能曲線又は比例直線としてメモリしたデータと実働データを比較し、実働データが特性データから許容範囲(又は判定基準値)を越えて外れたときに異常と判定する。
【0054】
(2)センサ類の特性データを演算式に置換してメモリしたデータと実働データを比較し、実働データが特性データから許容範囲(又は判定基準値)を越えて外れたときに異常と判定する。
【0055】
(3)センサ類のグラフや表で表した特性データを任意のポイントで(又は個々に確定したポイントで)メモリしたデータと実働データを比較する。
【0056】
(4)センサ類の特性データを任意の許容範囲(又は判定基準値)としてメモリしたデータと実働データを比較し、実働データが特性データに対し許容範囲(又は判定基準値)を越えて外れたときに異常と判定する。
【0057】
なお、上記(1)〜(4)の実働データというものは、性能曲線や演算式又は任意のポイントや測定範囲を持たせて確定して用いてもよいものとする。
【0058】
(5)器具および内部主要部品の初期設定値やシーケンスモードおよび各々の検査判定時の初期データと実働時のデータを比較し、初期データに対し、実働時のデータが許容範囲(又は判定基準値)を越えて外れたときに異常と判定する。
【0059】
(6)個々の部品の寿命をデータ化して実働使用時間データと比較し、寿命データ時間に対する実働使用時間の割合等により故障率予測を行う。
【0060】
{判定効果}
【0061】
(1)の判定手法に対しては、センサ類の固有曲線データをそのままメモリするので、多次元の曲線(自由曲線etc )であろうとも正確なデータが得られる。
【0062】
(2)の判定手法に対しては、メモリ容量が少なくて済む。
【0063】
(3)の判定手法に対しては、高速で処理するプログラムに対して高速に特性データが得られる。
【0064】
(4)の判定手法に対しては、ばらつきの多い部位に対して許容範囲を設け、データを面としてとらえ、的確な判断が容易にできる。
【0065】
(5)の判定手法に対しては、データをデジタル的(ON−OFF )やステップ的(0V−3V−6V−9V−12V)にとらえるので、処理が容易である。
【0066】
(6)の判定手法に対しては、個々の部品のデータの大小を比較(寿命データ>実働データ)することで容易に判定できる。過去の実績を元に実使用時間および実働データの値を比率としてとらえ容易に判定できる。
【0067】
本実施例によれば、通常の構成要素の基本検査(実働データの値が基礎データの検査判定基準を外れたときに異常と判断する検査判断)の他に、経年検査や寿命判断や出荷検査の不良や、施工不良等が判断されるので、従来の電気配線等の断線やショート等の簡単な検査ばかりでなく、よりきめ細かな検査が可能となり、これにより、検査の精度が高まり、検査結果の信頼性を格段に高めることが可能となる。
【0068】
また、本実施例では、検査段階や試運転段階の異常が判断でき、これが表示部44に表示されるので、検査の作業者はこの表示を見て的確にそれらの異常を検知して適切な対応策を講じることが可能となる。
【0069】
さらに、本実施例においては、異常(エラー)とならないユーザーのクレームに対してもその判断を的確に行うことが可能となる。給湯器の使用者から給湯の設定温度を40℃に設定したときに、湯が熱すぎるというような苦情が出たときに、給湯のアウトプット((出湯温−給水温)×水量)、インプット(比例弁電流)、効率(ファン回転数、風量センサ出力)からアウトプットの計算値と実際のずれを求め、予想される原因(出湯温度センサ15、入水温度センサ16、流量センサ6のいずれか少なくとも1箇所の故障又は経年変化等)のうち、お客様のクレーム内容より少なくとも出湯温度センサ15が経年変化しているものと推定できることをお客様に説明でき、ユーザークレームに関して適切な対応ができる。言うまでもなく、アウトプット、インプット、効率を計算するデータは各センサの実働データより求める。
【0070】
なお、本発明は上記実施例に限定されることはなく、様々な実施の態様を採り得る。例えば、上記実施例では、図5に示す燃焼機器をモデルとして説明したが、本発明の燃焼機器はこれらのモデルのものに限定されるものではない。また、給湯器や風呂釜以外の暖房機、冷房機、冷暖房機、空調機等、他の様々な燃焼機器の検査およびそのシステムに適用されるものである。
【0071】
【発明の効果】
本発明は燃焼機器側に仕様データや検査判断基準等のデータを含む基礎データと、生産過程でのデータと、出荷検査時のデータと、試運転時のデータとの1種以上の初期データを記憶し、かつ、実働使用時に構成要素の実働データを記憶するようにしているので、燃焼機器の検査に際しては、これらの初期データや実働データを検査装置側に転送して記憶し、これらの初期データや実働データを用いて燃焼機器を構成する検査対象の構成要素を検査するようにしたものであるから、従来例のような単なる電気配線のショートや断線オープン等の簡単な検査だけではなく、実働データが検査判定基準を外れたことにより異常と判断する基本検査の他に、経年変化による異常や、出荷検査の異常や試運転の異常(施工の異常)をきめ細かに的確に検査することが可能となり、これにより、検査の精度が格段にアップし、検査の信頼性を飛躍的に高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すブロック構成図である。
【図2】本実施例における検査装置から燃焼機器側に送り込む指令と、その指令によって燃焼機器を動作させる指令の各種構成態様を示す説明図である。
【図3】本実施例における検査動作の一例を示すフローチャートである。
【図4】本実施例における具体的な燃焼ファンの検査例を示すフローチャートである。
【図5】検査の対象となる各種燃焼機器のモデル例を示す説明図である。
【符号の説明】
27 燃焼機器
28 検査対象
30 運転制御部
31 制御データメモリ
40 初期データ記憶部
41 実働データ記憶部
42 転送入力データ記憶部
43 検査判断部
Claims (7)
- 燃焼機器に検査装置を信号接続し、燃焼機器側から検査装置に燃焼機器を構成する構成要素のデータを取り込み、この取り込んだデータを検査装置側で解析して各構成要素の検査を行う燃焼機器の検査方法において、燃焼機器のメモリに前記構成要素の、基礎データと、燃焼機器の生産過程でのデータと、出荷検査時のデータと、試運転時のデータとの1種以上の初期データを記憶しておき、燃焼機器の実働使用時には燃焼運転の経過に伴って変化する構成要素の実働データを取り込み記憶し、燃焼機器に検査装置を信号接続しての検査時には、燃焼機器側から初期データと実働データとを検査装置側に取り込み、実働データと検査判定基準とを比較し実働データが検査判定基準を外れたときに検査対象の構成要素が異常であると判断する基本検査の他に、初期データと実働データとを比較し、初期データに対する実働データのずれ量検知によって検査対象構成要素の経年変化による異常を検査することを特徴とする燃焼機器の検査方法。
- 初期データとして、基礎データと生産過程でのデータのうちの少なくとも一方の検査前データと、出荷検査時のデータとを記憶しておき、検査装置を燃焼機器に信号接続しての検査時に、前記検査前データと出荷検査時のデータとを比較し、検査前データに対する出荷検査時のデータの許容範囲を外れたずれ量検知によって出荷検査不良を判定する請求項1記載の燃焼機器の検査方法。
- 初期データとして少なくとも出荷検査時のデータと試運転時のデータを記憶しておき、検査装置を燃焼機器に信号接続しての検査時に、前記出荷検査時のデータと試運転時のデータとを比較し、出荷検査時のデータに対する試運転時のデータの許容範囲を外れたずれ量検知によって燃焼機器設置の施工不良を判定する請求項1又は請求項2記載の燃焼機器の検査方法。
- 燃焼運転を制御する運転制御部と、この燃焼運転に必要なデータが記憶されている制御データメモリとを備え、運転制御のシーケンスプログラムにより指令されたデータが前記制御データメモリから読み出されて燃焼運転が行われる方式の燃焼機器に検査装置が信号接続される燃焼機器の検査システムにおいて、燃焼機器側には、該燃焼機器の構成要素の基礎データと、燃焼機器の生産過程でのデータと、出荷検査時のデータと、試運転時のデータとの1種以上の初期データを記憶する初期データ記憶部と、燃焼機器の実働使用時に燃焼運転の経過に伴って変化する構成要素の実働データを取り込み記憶する実働データ記憶部と、これら初期データ記憶部と実働データ記憶部に記憶されているデータを検査装置側に転送するデータ転送部とが設けられ、検査装置側には燃焼機器側から転送されて来るデータを記憶する転送入力データ記憶部と、この転送入力データからデータを読み出して実働データと検査判定基準とを比較し実働データが検査判定基準を外れたときに検査対象の構成要素の異常と判断する基本検査判断部と、初期データと実働データとを比較し、初期データに対する実働データのずれ量検知によって検査対象構成要素の経年変化による異常を判断する経年検査判断部とが設けられていることを特徴とする燃焼機器の検査システム。
- 燃焼運転を制御する運転制御部と、この燃焼運転に必要なデータが記憶されている制御データメモリとを備え、運転制御のシーケンスプログラムにより指令されたデータが前記制御データメモリから読み出されて燃焼運転が行われる方式の燃焼機器において、該燃焼機器にはその構成要素の基礎データと、燃焼機器の生産過程でのデータと、出荷検査時のデータと、試運転時のデータとの1種以上の初期データを記憶する初期データ記憶部と、燃焼機器の実働使用時に燃焼運転の経過に伴って変化する構成要素の実働データを取り込み記憶する実働データ記憶部と、これら初期データ記憶部と実働データ記憶部に記憶されているデータを検査装置側に転送するデータ転送部とが設けられていることを特徴とする請求項4記載の燃焼機器の検査システムを構成可能な燃焼機器。
- 燃焼機器に信号接続して請求項4記載の燃焼機器の検査システムを構成可能な検査装置において、該検査装置には、燃焼機器側から転送されて来るデータを記憶する転送入力データ記憶部と、この転送入力データからデータを読み出して実働データと検査判定基準とを比較し実働データが検査判定基準を外れたときに検査対象の構成要素の異常と判断する基本検査判断部と、初期データと実働データとを比較し、初期データに対する実働データのずれ量検知によって検査対象構成要素の経年変化による異常を判断する経年検査判断部とが設けられていることを特徴とする検査装置。
- 初期データのうち基礎データと生産過程でのデータのうちの少なくとも一方の検査前データと出荷検査時のデータとを比較し、検査前データに対する出荷検査時のデータの許容範囲を外れたずれ量検知によって出荷検査不良を判定する出荷検査不良判断部と、出荷検査時のデータと試運転時のデータとを比較し、出荷検査時のデータに対する試運転時のデータの許容範囲を外れたずれ量検知によって燃焼機器設置の施工不良を判定する施工不良判断部との少なくも一方が設けられている請求項6記載の検査装置。
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