JP3623494B2 - 燃焼器具の運転検査方法およびその装置 - Google Patents

燃焼器具の運転検査方法およびその装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、給湯器や風呂釜等の燃焼器具を出荷段階等で自動的に製品検査を行うための燃焼器具の運転検査方法およびその装置に関するものである。
【0002】
【背景技術】
一般に、燃焼器具を工場で生産する場合、製造工程の最終段階で製品出荷の検査が行われる。従来、この製品出荷の検査は人手によって検査対象の燃焼器具を通常の運転プログラムによって動作させ、その運転状況を観察し、器具側からエラーの故障表示がされずに、正常に運転する場合にはこれを良品と判断し、エラーの故障表示が表示されたときには、不良と判断され、不良箇所の部品交換や修理等の所望の処置が採られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、燃焼器具の検査を行う場合、運転プログラムに従って最初から最後まで運転動作を行わせて検査する方式は、非常に時間がかかりすぎ、検査効率が悪く、限られた時間内に検査できる器具の台数が少く、検査コストが高くなるという問題もあった。
【0004】
また、運転プログラムに従って動作させて、エラー表示が行われたとき、燃焼器具のどの構成要素に異常が生じたかの判断がつきにくく、その異常箇所の発見に手間取るという問題もあった。
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、検査の作業効率を高め、異常箇所の発見が容易な燃焼器具の運転検査方法およびその装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
一般に、燃焼器具の運転プログラムは読み出し専用メモリのROM(ReadOnly Memory)に書き込まれており、このメモリへの書込み時に、プログラムの書込みの誤りがないか否かの検査がされており、従って、運転プログラムの誤りが生じるということはなく運転プログラムを最初から走らせて、プログラム自体の誤りの有無を検査することは無意味に近く、時間をかけるだけ無駄である。本発明者は、このような事情に鑑み、運転プログラムは正常であることを前提とし、燃焼器具の製品検査に際しては、動作指令に従って燃焼器具を構成する各構成要素が正常に動作するか否か、また、各構成要素の配線の断線の有無を重点的に検査すればよいことに着目し、これにより、前記従来の問題点を効果的に解消しようとするものである。
【0007】
本発明は上記目的を達成するために、次のように構成されている。すなわち、第1の発明の燃焼器具の運転検査方法は、燃焼器具の各構成要素の動作をコマンドとした指令を受けて、指令の対象となる構成要素を動作指令に従って動作制御する燃焼制御部を備えた燃焼器具の運転検査方法であって、燃焼器具の1つの構成要素の動作指令を1つのコマンドに割り当てて1個以上のコマンドを時系列的に配列した検査専用のプログラムを燃焼器具の通常運転モード時の運転プログラムとは別に用意し、燃焼器具の検査時には検査対象の燃焼器具の固有データを検査に必要なデータとして入力した後に通常運転モードから検査専用プログラムで動作する検査モードへ切り換え、前記専用プログラムに従い動作させ燃焼器具の運転動作を検査することを特徴として構成されている。
【0008】
また、第2の発明の燃焼器具の運転検査方法は、前記第1の発明の構成を備え、検査に必要な固有データは、製品の種類、型式、給湯能力、排気バリエーション、ガス種、検査規格値、検査対象項目、および検査基準とその公差を含む、仕様データのデータを有して構成されていることを特徴とする。
【0009】
さらに、第3の発明の燃焼器具の運転検査方法は、前記第1又は第2の発明の構成を備え、検査に必要な固有データの入力の手法には、キーボードのキー操作入力手法と、バーコード入力手法と、カード入力手法とが含まれることを特徴とする。
【0010】
さらに、第4の発明の燃焼器具の運転検査方法は、前記第1又は第2又は第3の発明の構成を備え、燃焼器具の運転動作の検査には、燃焼器具内のセンサの検出値と、この燃焼器具内のセンサと同一の検出対象を検出する外部センサの検出値と、検査に必要なデータとして入力された燃焼器具の固有データとに基いて燃焼器具を構成するアクチュエータの動作状態を合否判定する検査を含むことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の燃焼器具の運転検査装置は、燃焼器具の各構成要素の動作をコマンドとした指令を受けて、指令の対象となる構成要素を動作指令に従って動作制御する燃焼制御部を備えた燃焼器具の運転検査装置であって、燃焼器具の1つの構成要素の動作指令を1つのコマンドに割り当てて1個以上のコマンドを時系列的に配列した検査専用のプログラムが燃焼器具の通常運転モード時の運転プログラムとは別に用意されて格納されているメモリと、燃焼器具の検査時に検査対象の燃焼器具の固有データを検査に必要なデータとして入力するためのIDデータ入力部と、通常運転モードから検査専用プログラムで動作する検査モードへの切り換え後に前記専用プログラムに従い燃焼制御部により制御されて動作する燃焼器具の運転動作状態のモニタ信号を燃焼器具側から取り込みそのモニタ信号と前記IDデータ入力部から入力された検査に必要な燃焼器具の固有データとに基き燃焼器具の構成要素の合否を検査する検査判断部と、を有することを特徴とする。
【0012】
上記構成の本発明において、燃焼器具の製品検査を行う場合には、燃焼器具の燃焼制御部に燃焼器具を構成する各構成要素の動作指令を、1つの構成要素の動作指令を1つのコマンドに割り当てたコマンドとして送ることにより行われる。
【0013】
つまり、検査専用のプログラムを用い、この検査専用のプログラムの各ステップ動作毎に構成要素の動作指令を発して検査を行う。
【0014】
このように、本発明では1つの構成要素の動作指令を1つのコマンドに割り当ててコマンドを発する検査専用のプログラムを用いることにより、共通の検査プログラムを用いて型式や種類の異なる燃焼器具においても容易に検査を行うことも可能となる上に、短時間で効率の良い検査が達成される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態例を図面に基づいて説明する。本実施形態例の検査方法は、燃焼器具を構成する各要素の検査を自動的に行うものである。以下、本実施形態例の説明を理解し易くするために検査の対象となる燃焼器具のモデル例を図7に示す。同図の(a)は、能力切り換え式の給湯器を示すもので、給水管1から入水する水はバーナ2の燃焼火力でもって、給湯熱交換器3を通るときに加熱されて湯にされ、この湯は、給湯管4を通して台所等の所望の給湯場所に導かれるものである。
【0016】
制御装置5は流量センサ6から入水信号を受けたときに燃焼ファン7を回転し、ガス供給通路19の電磁弁8と比例弁10と能力切り換え弁11a,11bの少なくとも一方11aを開けて、イグナイタ電極12を駆動して点着火を行い、フレームロッド電極13で炎を検知した以降に、サーミスタ等の出湯温度センサ15で検出される出湯温度がリモコン14で設定される設定温度となるように比例弁10の開弁量を制御し、併せて、燃焼量に応じて燃焼ファン7の回転制御を行い、給湯運転を制御する。この給湯運転の制御に際し、制御装置5は、要求熱量に応じ、能力切り換え弁11a,11bを切り換え制御する。
【0017】
要求熱量が小さいときは能力切り換え弁11aのみを開けてバーナ2のA面の1面燃焼を行い、要求熱量が大きいときにはさらに能力切り換え弁11bを開けてA面とB面の多面燃焼を行う。なお、図中9は燃焼ファンのファン回転検出センサ、16は入水温度センサ、17は水量を調整する水量制御弁を示している。
【0018】
図7の(b)は風呂釜を示すもので、前記同図の(a)に示す給湯器と同一の名称部分には同一符号を付してある。この種の風呂釜は、リモコン14等で、追い焚き運転が指令されると、制御装置5は、追い焚き循環管路18の循環ポンプ20を回転させて、浴槽21内の湯水を追い焚き循環管路18を介して循環させる。流水スイッチ22が湯水の流れを検知したときに、制御装置5は燃焼ファン7を回転し、電磁弁8を開き、点着火によりバーナ2を燃焼させて追い焚き熱交換器23を通る循環湯水を加熱して浴槽21内の湯水の追い焚きを行う。そして、サーミスタ等の風呂温度センサ24で検出される風呂温度がリモコン14によって設定される風呂設定温度に達したときに追い焚き運転を停止する。
【0019】
図7の(c)は追い焚き機能を備えた複合給湯器を示すもので、給湯熱交換器3側では同図の(a)に示すものと同様の動作を行って給湯運転を行い、また、追い焚き熱交換器23側では同図の(b)に示す風呂釜と同様な動作を行って浴槽21内の湯水の追い焚きを行う。この給湯と追い焚きの運転は制御装置5によって行われるが、この装置は、電磁弁等の注湯弁25を開けることにより、給湯熱交換器3側で作り出した湯を追い焚き循環管路18を介して浴槽21内に落とし込んで湯張りを行う機能を備えており、圧力センサ等を用いた水位センサ26により湯張りの水位がリモコン14等で設定される設定水位に達したときに注湯弁25が閉じられて湯張りの停止が行われ、次に循環ポンプ20を起動して追い焚き運転が行われるものである。
【0020】
図1には本実施形態例の燃焼器具の運転検査装置の要部ブロック構成が燃焼器具と接続状態で示されている。同図において、27はモデル例に示した給湯器や風呂釜等の燃焼器具を示しており、28はマイクロコンピュータやパソコン等で構成される検査制御装置を示している。本実施形態例の運転検査装置は検査制御装置28と外部設備29を主要部として構成されており、検査制御装置28には割り込み制御部60が設けられている。この割り込み制御部60は燃焼器具27の燃焼制御部30に燃焼器具の検査のための指令を与える機能を持つもので、割り込み指令出力部31と、データ読み取り書き込み部32と、データ出力部33と、インターフェース34と、モード切り換えスイッチ35と、検査判断部36と、データ補正部37と、外部指令・駆動部38と、外部応答検出部39と、報知部40と、データ入力部42と、検査データ蓄積部49とを有して構成されている。
【0021】
割り込み指令出力部31は、メモリ44と、動作指令出力部46とを有している。メモリ44には燃焼器具を構成している各種構成要素の検査を行う割り込み動作指令出力用のプログラムが格納されている。本実施形態例では、割り込み動作指令はパスワードと1つ以上のコマンドの集合体によって形成されている。
【0022】
パスワードは、動作指令の開始を知らせる信号であり、コマンドは、燃焼器具の各構成要素、例えば、図7に示す燃焼器具の流量センサ6、ファン回転検出センサ9、フレームロッド電極13、出湯温度センサ15、入水温度センサ16、流水スイッチ22、風呂温度センサ24、水位センサ26等の各種のセンサや、電磁弁8、比例弁10、能力切り換え弁11a,11b、イグナイタ電極12、水量制御弁17、循環ポンプ20、注湯弁25等のアクチエータや、外部設備29の外部センサ43およびアクチエータを構成要素として、各構成要素の動作指令を符号化して識別したものであり、本実施形態例では、コマンドを次の5つの種類に分類している。
【0023】
その1つの種類のコマンドは、給湯器や風呂釜や追い焚き機能付き複合給湯器等のリモコンの運転スイッチのオンオフ動作を指令するもので、例えば、給湯器のリモコンのオン動作指令に対してはCM01のコマンドとして与え、給湯運転のスイッチオフ動作指令はCM00で与え、風呂釜リモコンの追い焚きスイッチオン動作指令はCM11で与え、同じくオフ動作はCM10で与えるという如く、リモコンのスイッチのオン・オフ動作指令が符号化されたコマンドとして与えられる。
【0024】
コマンドの第2の種類は、燃焼器具の運転動作を行うシーケンスプログラム(運転プログラム)のうちの所望の構成要素のステップ動作をキャンセルするもので、このコマンドを発することにより、燃焼器具の燃焼運転の指定のプログラム動作がキャンセルされることとなり、燃焼運転のプログラムに従って燃焼器具の動作点検等を行う場合には、不要なプログラム動作が省略されて短時間で検査を終了させることができることになる。
【0025】
第3の種類のコマンドは、燃焼器具の強制動作を指令するもので、例えば水量制御弁17や、注湯弁25等のアクチエータを強制的に動作させたり、給湯、追い焚き、湯張り等の運転モードを強制的に選択動作させる指令を行うものである。コマンドの第4の種類のものは、制御条件の数値等を設定する動作指令のもので、このコマンドにより、例えば、給湯温度を設定したり、比例弁の最大と最小の開弁駆動電流を設定したり、湯張りの設定水位を変更したり、タイマ等の時間設定を行ったり、構成要素にダミーの指令やダミーの数値設定が行われるものである。最後の第5の種類のコマンドは、センサ等の検出データの読み出しや、アクチエータ等、各構成要素の動作状態の読み出し(モニタ指令)を行うものあり、例えばこのコマンドにより、出湯温度センサ15や流水スイッチ22等のセンサの信号の読み取りが行われたり、リモコンスイッチがオン状態にあるかオフ状態にあるか、あるいはバーナが燃焼状態にあるか燃焼停止状態にあるか等の状態モニタが行われる。
【0026】
本実施形態例ではパスワードとこれら各種のコマンドの1つ以上が集合して割り込み動作指令が作成されるもので、前記割り込み指令出力部31のメモリ44に格納される割り込みプログラムは、パスワードを先頭にして1つ以上のコマンドの集合体を用いて時系列的にコマンドを配列することにより作成されており、本実施形態例ではこの割り込みプログラムは、燃焼器具の検査を行う検査専用プログラムとして機能している。動作指令出力部46は器具の型式や機種のいかんにかかわらず同じ動作指令は同じコマンドとして割り込み動作指令をパスワードの後に整理配列してデータ出力部33に加える。
【0027】
データ読み取り書き込み部32は検査対象の燃焼器具の固有データ(IDデータ)を読み取る。このIDデータは例えば、製品の種類、型式、給湯能力、排気バリエーション、ガス種、検査規格値、検査対象項目および検査基準とその公差等の仕様データ等からなり、このIDデータはIDデータ入力部41により、キーボードのキー操作により、あるいはバーコード入力により、又はメモリカード等のカード入力により入力され、その入力データがデータ読み取り書き込み部32で読み取られ、この読み取りデータは前記割り込み出力部31に加えられている。データ出力部33は前記割り込み指令出力部31から加えられる割り込み動作指令をインターフェース34を介して通信手段である通信ケーブル61を介して燃焼器具27の燃焼制御部30へ加えている。
【0028】
図2はこの割り込み制御部60側と燃焼器具27の燃焼制御部30側のケーブル接続の詳細を示したものである。この実施形態例では、通信ケーブルとして、6芯の信号線を用いており、この6芯のうち第1芯の信号線はグランド(GND)の線であり、第2芯の線はクロック信号の線であり、第3芯の線は、動作指令のコマンド送信の信号線TxDであり、第4芯の線は、燃焼制御部30側から割り込み制御部60側に送られるコマンドに対する応答の信号線RxDの線であり、第5芯と第6芯の線はモード切り換えスイッチ35を介したループ経路の線であり、本実施形態例では、モード切り換えスイッチ35はリレーにより構成されており、リレーオンのコマンド指令により、モード切り換えスイッチ35がオンし、ループ経路が閉じるように構成されている。
【0029】
そして、このモード切り換えスイッチ35がオンしたとき、つまり、ループ経路がショートしたとき、燃焼制御部30側では、燃焼制御の運転プログラムの動作による運転モードから割り込み動作指令によって動作する割り込みモードへ切り換わり、リレーオフ指令コマンドによりループの経路が開いてオープンとなったときに割り込みモードから運転モードへ切り換わるように構成されている。
【0030】
図1に示す外部センサ43は燃焼器具内に使用されているセンサの検査やその補正(較正)を行うための基準のセンサであり、この外部センサ43は外部設備29に設けられている。この外部設備29は検査対象の燃焼器具の水回りやガス回りの管路に接続される配管を有しており、この配管に検査対象の燃焼器具のセンサが検出する同一対象の情報を検出する外部センサ43が取り付けられる。図3には、その一例として、複合給湯器に接続される外部設備29の例が示されている。
【0031】
同図において、外部設備29には給水管1に接続される管路62と、給湯管4に接続される管路63と、給湯側と追い焚き側のガス供給通路19に接続される管路64と、追い焚き側の戻り側管路に接続される管路65と、追い焚き側の往側管路に接続される管路66とを有しており、管路62には、入水温度センサ16の検査を行うための入水基準温度センサ67が設けられており、管路63には出湯温度センサ15の検査を行う出湯基準温度センサ68が設けられている。また、管路65には風呂温度センサ24を検査するための風呂基準温度センサ69と、水位センサ26の検査を行うための基準水位センサ(この実施形態例では基準圧力センサ)70が設けられている。そして、管路65と66は三方弁71を介して容積が例えば10リットルの小型の水槽72に接続されている。なお、73は管路開閉のために必要に応じて設けられる電磁弁である。
【0032】
この複合給湯器の検査を行う場合には、器具の水回りおよびガス回りの管路が接続部74で対応する外部設備29側の管路62〜66に接続され、入水基準温度センサ67は入水温度センサ16と同一の検出対象、つまり給水管1の入水温度を検出し、基準流量センサ75は流量センサ6と同一の入水流量を検出する。同様に出湯基準温度センサ68は出湯温度センサ15と同じ出湯湯温を検出し、基準水位センサ70は水位センサ26と同じ水槽72の水位検出を行い、風呂基準温度センサ69は風呂温度センサ24と同じ戻り側循環湯水の温度、つまり、水槽72の水の温度を検出する。そして、これら各外部センサ43の検出信号は外部応答検出部39で検出され、アナログ信号からデジタル信号に変換されて検査判断部36へ加えられる。なお、図3では複合給湯器の外部設備29を示したが、図7の(a)で示す給湯器や、同図の(b)に示す風呂釜を検査対象とする場合には、これら検査対象に合う外部設備29が用いられることとなる。
【0033】
検査判断部36は外部応答検出部39から得られる外部センサ43の検出信号(上記例では検出温度や検出流量や検出水位)と、燃焼器具27内のセンサ47(前記例では出湯温度センサと流量センサと水位センサ)のセンサ検出信号とを外部センサ43を基準のセンサ信号として比較し、燃焼器具27に使用されているセンサ47が正常か否かを判定する。燃焼器具27に使用されているセンサ47の検出値と外部センサ43の検出値との差あるいは2点の検出値を結ぶ特性直線が、基準センサによって得られる検出値や2点間を結ぶ特性直線に対して予め与えた許容範囲内の差であれば正常(合格)と判定し、許容範囲を越えて外れているときには不良(不合格)と判定する。また、検査判断部36はセンサ47の合否判定の他に、燃焼器具を構成しているアクチエータ等の動作状態の合否判定を行う。
【0034】
検査データ蓄積部49は電気信号によって書き込みと消去が可能なEEPROM等のメモリによって構成されており、この検査データ蓄積部49は前記検査判断部36の検査判断結果を格納蓄積する。そして、動作指令のコマンドがその検査データの蓄積結果の報知を要求している場合には、その蓄積検査データが液晶画面等を備えた報知部40の表示部に表示される。なお、この報知部40の報知は画面表示に限られず、必要に応じ、ブザーやランプ等の他の形態での報知が行われる。報知部40は検査装置と一体とは限らず、また、数も1つとは限らない。また、検査の終了時には、コマンドの要求に応じ、検査データ蓄積部49で蓄積した検査データは、データ読み取り書き込み部32を介してIDデータ入力部41に差し込まれるIDカードに書き込まれる。
【0035】
データ補正部37は割り込み動作指令のコマンドがデータの補正を要求している場合には、外部センサ43の検出値と燃焼器具27に使用されているセンサ47の検出値との差を求め、外部センサ43に対する燃焼器具のセンサ47のずれの補正量を演算により求めて算出し、この算出補正値はデータ出力部33を介して燃焼器具27側の燃焼制御部30へ供給される。この補正値は、燃焼制御部30側の設定データメモリ54に書き込まれ、燃焼制御部側の補正演算部(図示せず)によってセンサ47の検出値が補正され、この補正されたセンサ信号に基づき燃焼運転が制御される。
【0036】
燃焼器具27側の燃焼制御部30は、データ入力部48と、メイン動作制御部50と、指令・駆動部51と、データ出力部52と、メモリクリア指令部53と、設定データメモリ54と、モニタ信号入出力部55とを有している。データ入力部48は前記割り込み制御部60側からインターフェース34を介して送られてくる割り込みの動作指令を受け、コマンドの要求に従い、メイン動作制御部50と設定データメモリ54へ加える。
【0037】
メイン動作制御部50は燃焼器具27の通常の燃焼運転を制御する運転プログラムを内蔵しており、この運転プログラムに従って燃焼運転を制御する。
【0038】
メイン動作制御部50内には変換テーブル45があり、この変換テーブル45は前記割り込み動作指令のコマンドの符号を燃焼器具の構成要素の実働の動作指令信号に翻訳変換する。例えば、動作指令中のコマンドの符号が燃焼ファンの回転数読み出し指令のRD40であったときには、この符号RD40を燃焼ファンの回転数検出の実働の動作指令信号に翻訳するものである。変換テーブル45は、各コマンドの符号とこれに対応する実働の動作指令信号との関係を示すテーブルデータ(表データ)を持っており、検査プログラムの進行に従って与えられるコマンドの符号を表データを参照して直ちに実働の動作指令信号に翻訳する。この変換テーブル45のテーブルデータはメイン動作制御部50の運転プログラムが与えられているメモリのアドレス構成や器具に使用されているアクチエータ等の制御対象要素の構成等に対応させたデータとして与えられており、診断動作指令(コマンド)を、それぞれの器具に適応した形の実働の動作指令に変換する。なお、本明細書で動作指令信号とは、例えば開弁指令のように構成要素の駆動を伴う指令を意味する場合と、データの読み出し指令のように駆動を伴わない指令を意味する場合とがある。
【0039】
ところで、従来の燃焼器具の運転プログラムは、プログラムの各ステップの動作指令はメモリの番地をアドレスとして与えられ、例えば、燃焼ファンの回転起動指令はメモリの10番地に、イグナイタ電極による点火指令はメモリの15番地という如く、番地をアドレスとして与えられている。ところが、番地をアドレス単位とする方式では、器具の型式等が異なるとプログラムの内容が異なるため、器具の型式が異なる毎に同じ構成要素の動作指令が異なる番地に与えられる結果になる。例えば、ある型式の器具では燃焼ファンの回転起動指令がメモリの10番地に与えられているのに対し、他の型式の器具では11番地に与えられているという如く、型式や機種によって指令のメモリ格納位置が異なり、このため、器具の検査等を行う割り込みプログラムを作成しようとする場合には器具の型式や機種が異なる毎に別々のプログラムを作成しなければならないという問題がある。
【0040】
本実施形態例では、このような問題を解決するために、燃焼器具を構成する各要素の動作をコマンドとして動作指令出力用の割り込みプログラムを作成している。したがって、本実施形態例の動作指令出力用の割り込みプログラムによれば、燃焼器具の検査や制御条件の数値設定等を行う場合、1つの割り込みプログラムを用意すれば型式等が異なる器具に対しても同じ検査や制御条件の数値設定が可能となり、また、割り込み制御部60側から燃焼制御部30側に同じコマンド指令を行うことにより、同じコマンドの応答動作をさせることができることになるのである。
【0041】
前記メイン動作制御部50は、前記モード切り換えスイッチ35からモード切り換え信号、つまり、図2に示すモード切り換えスイッチ35がオンしてループ経路がショートしたときに、運転プログラムによる運転モードから割り込み動作指令によって動作する割り込みモードへの切り換えが行われる。このモード切り換えによってメイン動作制御部50は割り込み動作指令のコマンドの要求に従った動作制御を行う。その一方で、メイン動作制御部50は割り込みモードでの動作を行っているときに、モード切り換えスイッチ35からスイッチオフ信号が加えられたときに、動作モードを割り込みモードから運転モードへ切り換える。
【0042】
メモリクリア指令部53はモード切り換えスイッチ35からスイッチオフ信号が加えられたときに、つまり、メイン動作制御部の動作モードが割り込みモードから運転モードへ切り換わったとき、設定データメモリ54へメモリクリア指令を出力する。
【0043】
設定データメモリ54はEEPROM等の電気信号による書き込みと消去が可能な不揮発性メモリによって構成されており、この設定データメモリ54は、割り込みモードの検査運転時に、割り込み動作指令に含むコマンドのデータ設定指令によって、消去しないで残しておきたい登録設定データや、検査のために一時的に記憶されるデータを記憶する。そして、メモリクリア指令部53からメモリクリア指令が加えられたときに、記憶保持する必要のないデータを消去する。
【0044】
制御対象要素56は燃焼器具27を構成している、例えば、図7に示す装置の電磁弁8、比例弁10、能力切り換え弁11a,11b、水量制御弁17、循環ポンプ20等のアクチエータを意味している。指令・駆動部51は割り込み動作指令のコマンドが制御対象要素の駆動動作を指令しているときには、その制御対象要素56をコマンドの要求に従って駆動する。例えば、動作指令のコマンドが水量制御弁17の開駆動を要求しているときには、この要求に従って水量制御弁17を要求量だけ開駆動する。
【0045】
モニタ信号入出力部55は動作指令に含むコマンドのモニタ指令に基づき、そのモニタ対象のセンサ47の検出値を読み出し、この読み出し信号をコマンドの要求に応じて、データ出力部52へ供給したり、設定データメモリ54へ格納する。データ出力部52はモニタ信号入出力部55から加えられたモニタ信号を通信手段である前記通信ケーブル61を通して割り込み制御部60側に送信し、検査判断部36による検査対象構成要素の合否判定やデータ補正部37によるデータ補正が行われ、また、報知部40に検査結果が例えばメッセージ表示等により表示される。
【0046】
本実施形態例は上記のように構成されており、次に、本実施形態例の装置を用いた燃焼器具の燃焼運転検査方法の動作例を表1および表2に基づいて説明する。この検査例では、図7に示す複合給湯器の検査を代表例として示している。
【0047】
【表1】
Figure 0003623494
【0048】
【表2】
Figure 0003623494
【0049】
検査対象の燃焼器具はパレットに装着されて検査ラインのベルトコンベアに乗せられて検査工程の最初の位置に運ばれている。この最初の検査位置で、図3に示すように、燃焼器具の水回りやガス回りの配管と外部設備29の対応する配管とが接続部74で接続され、水漏れやガス漏れのチェックが作業員によって行われる。そして、No.1の工程で、パレットに付けられてくるメモリカードの検査対象の燃焼器具の固有データがIDデータ入力部41により入力され、検査に必要なデータが読み取られる。
【0050】
次に、No.2の工程で、検査制御装置28側と燃焼器具27の燃焼制御部30側とが通信ケーブル61のコネクタ接続により接続される。そして、必要な電源やスイッチがオンされ、割り込み制御部60側からパスワードが送信され、モード切り換えスイッチ35のスイッチオン信号のコマンドが発せられてリレースイッチがオンし、燃焼制御部30は運転モードから検査モードに切り換わる。
【0051】
なお、この検査例では、専用の検査プログラムを用いて行われるが、運転プログラムを用いて検査を行う場合には、このNo.2の工程で、通常の運転プログラム中に含む検査に不要な動作である配管パージの動作(浴槽湯水の排水時に浴槽湯水が追い焚き循環口よりも低下したときに追い焚き循環管路に給湯熱交換器側から水を通水して追い焚き循環路内を洗浄する動作)や、呼び水供給動作(複合給湯器の追い焚き運転が指令されたときに、注湯弁25を開けて給湯熱交換器3側から循環ポンプ20へポンプ起動に必要な呼び水を供給する動作)をコマンドによりキャンセル指令を行い、検査に不要な動作を省略して短縮した運転プログラムに従って検査を行うこととなる。
【0052】
次にNo.3の工程で燃焼制御部30側からエラーコードが発せられていないことをチェックした後、No.4でガス配管のガス漏れチェックが行われる。このチェックは、ガスの管路64の電磁弁73を一旦開けた後に電磁弁73を閉め、電磁弁73の下流側のガス圧力を圧力センサ(図示せず)でモニタし、圧力降下がない場合にガス漏れがないものと判断する。これらの動作は全てコマンド指令によって自動的に行われる。No.5の工程では水量制御弁17の全開位置検出チェックが行われる。このチェックは、コマンド指令により、水量制御弁17を全開位置に開駆動する指令と弁の開位置の検出コマンドを発し、コマンドの全開指令により水量制御弁が指令通りに動くか否かがチェックされる。
【0053】
No.6の工程では風呂空焚き防止の作動確認検査が行われる。この検査は極めて短時間だけ三方弁71を大気側に開放する。そうすると管路65内の水が抜けるため、浴槽(水槽)が空である状態が擬似的に作り出される。次に、追い焚きのオン駆動を指令する。この指令を器具側で受付けたら、その後続けてエラーコードの読み取り命令を器具側へ送信する。すると、器具が正常ならば、「水位不足である」旨のエラー信号が器具側から返答され、空焚き防止が正常に成されたと判断される。器具が異常なら「エラー無し(水位正常につき)」のコードが器具側から返答される。この場合は器具の空焚き防止機能が正常でないと判断される。この空焚き防止作動の確認検査は、実際にバーナを燃焼させず、かつ、無人で行うことが可能である。
【0054】
次のNo.7の工程では給湯着火性能の検査が、No.8の工程では風呂着火性能検査が行われる。つまり、給湯側のバーナと風呂側のバーナに点火指令を与え、所定の時間経過後に、それぞれのバーナのフレームロッド電極から炎検出信号が得られているか否かにより着火性能の良否が検査される。No.9の工程では風呂温度センサ24の温度特性試験が行われる。この試験では、循環ポンプ20の駆動によって、水槽72内の水が管路65を通って循環するときの水の温度を風呂基準温度センサ69と風呂温度センサ24でそれぞれ検出し、両センサの温度差が所定の許容範囲に入っていれば正常と判断する。
【0055】
次のNo.10の工程では水量制御弁17の全開流量試験が行われる。この試験は、水量制御弁17を全開した状態で管路62を通る流量を基準流量センサ75で検出し、この検出流量と最大設計基準流量との差が所定の許容範囲内(±α%以内)の場合には適正と判断する。次のNo.11では流量センサ6の全開流量検出試験が行われる。この試験では、水量制御弁17が全開の状態で、管路62および給水管1を通る流量を基準流量センサ75と器具側の流量センサ6で検出し、両センサの検出値の差が所定の許容範囲に入るときには正常と判定する。
【0056】
No.12では42℃の出湯温度試験が行われる。この試験は給湯設定温度を42℃にして給湯動作を行い、出湯温度センサ15の検出温度が設定温度に対して所定の許容範囲に入っているときには正常と判断する。なお、この場合、出湯基準温度センサ68と器具側の出湯温度センサ15との両センサの検出値の差が所定の許容範囲に入っているときに合格と判定することもできる。No.13では水量絞り制御の制御試験が行われる。この試験は、水量制御弁17を所定量絞り、設計基準流量と外部設備29側の基準流量センサ75の流量検出値の差が所定の許容範囲内のときには正常と判定するものである。
【0057】
次のNo.14は、流量センサ6の絞り流量の検出制御試験が行われる。この試験は、水量を絞った状態で、流量センサ6と基準流量センサ75との検出値の差を求め、この差が所定の許容範囲内のときには正常と判定するものである。そして、本実施形態例では、このNo.14の工程で、流量センサ6の流量特性直線が正しいか否かの検査を同時に行っている。つまり、前記No.11の工程で全開状態時における基準流量センサ75と流量センサ6の検出流量値が予め求められており、この全開流量時の値と、絞り流量時の検出値の2点を各センサ75,6毎に図4に示すようにグラフ上にプロットし、各測定点を直線で結び、器具側の流量センサ6の測定点A1,A2によって得られる特性直線が、基準流量センサ75の測定点A′1,A′2によって得られる基準特性直線の許容範囲内に入っているときには、使用されている流量センサ6の特性直線は正常と判定され、図示の如く、A1,A2を結ぶ特性直線がA′1,A′2を結ぶ特性直線の許容範囲から少しでも外れたときは異常と判定される。
【0058】
No.15では水量制御弁17を絞り状態から元の全開状態に戻した後、注湯温度を60℃に設定したときの出湯温度試験が行われ、No.16では給湯燃焼を停止したとき、フレームロッド信号を読み出して、給湯側バーナの残火がないことの確認検査が行われる。No.17では給湯運転スイッチがオフになっていることの確認検査が行われる。燃焼停止時に、これがオンになっているときには故障と判断する。No.18では再度給湯側バーナの点着火指令を出し、再出湯の着火動作の検査を行う。No.19では、そのとき、給湯運転スイッチがオンになっていることの確認検査を行う。スイッチがオフ状態のときには故障と判定する。
【0059】
No.20では入水温度センサ16の特性試験が行われる。この試験は、管路62および給水管1を通る水の温度を入水基準温度センサ67と入水温度センサ16で検出し、その両センサの温度差が所定の許容範囲に入っているときには適正と判定するものである。No.21では風呂温度センサ24の温度特性試験の2回目が行われる。1回目の試験は、No.9で行われているが、それ以降の試験項目を行っているうちに、水槽72内の水の温度が上昇しており、この水温の上昇している状態で、風呂温度センサの特性をNo.9の場合と同様に風呂基準温度センサ69を用いて行う。No.22では追い焚き側のバーナの燃焼停止時に、残火が生じていないことの確認検査を行う。
【0060】
次にNo.23では、自動湯張りの給湯動作の確認検査が行われる。この検査では、水槽72の湯張り水位が設定され、注湯弁25を開けての注湯動作が正常に行われること確認する。すなわち、自動運転スイッチ(自動湯張りのスイッチ)がオンした後、基準流量センサ75で注湯流量を検出し、設定水位に対応する演算流量値と基準流量センサ75の流量検出値とを比較し、検出流量値の値が演算流量値に対し、所定の許容範囲に入っているときには合格と判定する。
【0061】
次のNo.24では水位センサ26の性能試験が行われる。この試験では水位ヘッドの読み取り試験と、水位変化の読み取り試験とが行われ、水位ヘッドの読み取り試験では、水槽72の水位を、基準水位センサ70と器具側の水位センサ26でそれぞれ検出し、両センサの検出値の差が所定の許容範囲に入っているときには正常と判定する。また、水位変化の検出性能試験では、水槽72の排水栓(図示せず)を短時間開いて排水し、その排水の前後の水位を基準水位センサ70と器具側の水位センサ26で検出し、排水栓を開く前の水位の検出値と排水栓を開いた後の水位低下後の水位検出値との差を求め、基準水位センサ70で求めた水位変化の値と器具側の水位センサ26で求めた水位変化の値との差が所定の許容範囲に入っているときには水位センサ26は適正と判定するものである。
【0062】
次に、No.25ではコマンド指令によりモード切り換えスイッチ35がオフされ、設定データメモリ54に各検査段階で必要に応じ記憶されたデータのうち保存しておく必要のない不要なデータを消去する。このメモリクリア後、電源がオフされる。そして、No.26で検査結果が検査データ蓄積部49から検査対象の燃焼器具のメモリカードに記録される。そして、作業員によりガス回りや水回りの配管接続が解かれ、検査された製品が検査位置から自動搬出され、検査の作業が終了する。
【0063】
本実施形態例では、燃焼器具の各構成要素を符号化した割り込み動作指令によって検査を行う方式としたので、前記表1および表2に示した検査項目がこの割り込み動作指令によって行われることはもちろんであるが、それ以外の様々な検査を同様に割り込み動作指令によって効率よく行うことができる。例えば、燃焼器具の最低作動水量(流量センサ6が通水量を確認できる最低水量)をチェックする場合、従来では、作業員が例えば出湯栓のバルブを操作して給水管1の通水量を調整し、実際に給湯バーナが点火する位置でその最低水量を確認していたが、本実施形態例では、このような人手によらず、自動的に最低作動水量のチェックが可能となる。すなわち、前記検査工程のNo.14で説明したように、図5に示す如く、異なる流量位置で流量センサ6の実測点A1,A2を直線で結ぶことによって流量センサ6の特性直線が得られている。この直線を下方に延長し、点火動作が開始する流量センサの既知の出力値(流量センサがホールICによって構成されているときにはパルス数)に対応する流量Xリットルが既知の値X1,X2,P1,P2,P3を用いて比例演算により正確に求められることとなり、この燃焼器具の最低作動水量Xが演算処理だけの極めて短時間のうちに自動的に求められる。
【0064】
また、従来の製品の出荷検査では、例えば、リモコンの給湯設定温度が42℃のときに、50℃の出湯湯温の検出がされた場合、出湯温度センサが異常なのか、あるいは給水温度が高いため、燃料供給のガス圧の制御がしきれずに高い温度となっているのか、さらには水量制御弁が異常なのか、出湯湯温異常の原因が複合的でその原因をつきめるのが非常に困難であったが、本実施形態例では、出湯温度センサの出力レベルをコマンドにより直接読み出し指令をかけて問い合わせることができるので、その出湯温度センサの出力レベルから、出湯温度センサの異常の有無を直ちに判明できることとなる。
【0065】
さらに、本実施形態例では、燃焼器具の構成要素にダミーの動作指令を与えて、その指令対象の構成要素の動作に強制的にダミーの動作結果をもたらすことで、人手によっては困難な検査を容易に、かつ、正確に行うことができるという効果が得られる。例えば、燃焼器具に凍結予防ヒータと、凍結予防温度センサと、この温度センサがヒータ駆動開始温度(例えば0℃)を検出したときに凍結予防ヒータをオン駆動するヒータ駆動回路とを設け、この燃焼器具のヒータ駆動回路の検査を夏季に行うような場合、人手によってヒータ駆動回路が正常に動作するか否かを検査するためには、凍結予防温度センサの設置領域をドライアイス等を用いてヒータ駆動開始温度の例えば0℃以下になるまで冷却しなければならず、その作業は非常に困難である。
【0066】
これに対し、本実施形態例では割り込みモードの状態で、凍結予防温度センサの検出温度の設定書き込みコマンドを発し、その温度をダミーのヒータ駆動開始温度以下の温度に書き込み設定するだけでよい。このダミーの温度を設定することにより、ヒータの駆動回路は凍結予防温度センサがヒータ駆動開始温度を検出したものと判断してヒータ駆動を開始することとなり、このヒータ駆動の開始を検出することでヒータ駆動回路が正常状態にあることを容易に検査することができる。
【0067】
この凍結予防のヒータ駆動回路の一例が図6に示されている。この回路では、駆動電源としてAC100Vが使用されており、凍結予防温度センサがヒータ駆動開始温度を検出したときに、リレー76をオンし、ヒータ77をオン駆動するように構成されている。このような回路構成の下で、本実施形態例では、ヒータオン駆動のコマンドを出力するか、あるいは凍結予防温度センサの検出温度がヒータ駆動開始温度であるダミーの温度を設定することにより、リレー76がオンされてヒータ駆動が開始するが、このとき、例えば、結線接続部分78a〜78hのうち、78eの部分でコネクタ外れがあったときには、AC100Vの電源の電流あるいは電力の変動が生じ、これを検出することにより、断線の有無や結線忘れ、接触不良、誤配線等を容易に自動検査できることとなる。すなわち、正常な時とそうでない時では電流や電力が異なるので電源の電流や電力を検出することにより、ヒータ駆動回路の断線等チェックを自動的に行うことが可能となる。
【0068】
なお、本発明は上記実施形態例に限定されることはなく、様々な実施の態様を採り得る。例えば、上記実施形態例では、燃焼器具の検査を検査専用のプログラムを用いて行う場合で説明したが、燃焼制御部30のメイン動作制御部50に与えられている運転プログラムを利用して検査の動作を行うことができる。すなわち、本実施形態例の装置は、割り込み指令出力部31から割り込み動作指令を出力することにより、その割り込み動作指令のコマンドに応じた動作が燃焼制御部30側のメイン動作制御部50の動作制御によって行われるものであるから、割り込み動作指令によってメイン動作制御部の運転プログラムに従った動作を行うコマンドと、運転プログラムの不要なステップ動作(検査に不要のステップ動作)をキャンセルするコマンドとを出力することにより、メイン動作制御部50は不要なステップ動作を省略した運転プログラムでもって動作制御を行うこととなり、この短縮した運転プログラムを用いて目的とする検査の動作が短時間のうちに行われることとなる。
【0069】
さらに、本実施形態例の装置では、検査専用のプログラムやメイン動作制御部の運転プログラムを使用することなく検査の動作を行わせることも可能である。すなわち、割り込み指令出力部31から割り込み動作指令を発することにより、その割り込み動作指令のコマンドに応じた動作が燃焼制御部30側で行われることを利用して、例えば、出湯温度センサ15の検出温度を検査したい場合には、単発的に出湯温度センサの信号読み出しをコマンドとした割り込み動作指令を燃焼制御部30側に加えることにより、燃焼制御部30側ではこのコマンドに応じた動作を行うことで、出湯温度センサ15の検出温度がモニタされることとなる。また、水量制御弁17の開弁量の変化を検査したい場合には、水量制御弁17を符号化した開弁量可変動作をコマンドとして燃焼制御部30側に加えて、指示した量だけ水量制御弁17の開弁量が可変されるか否かを検査できる。
【0070】
このように、単発的に燃焼器具を構成する各構成要素の動作指令を行う場合には、図1に示した割り込み指令の外部入力手段(例えばキーボードやカードやバーコードやパソコン等の入力手段)63を用いて符号化したコマンドを入力することにより、このコマンドは燃焼制御部30側に加えられ、変換テーブル45により翻訳されてコマンドに応じた検査動作を行わせることができることとなる。
【0071】
前記したように、本実施形態例では、燃焼器具の各構成要素を符号化してコマンドを作成しており、燃焼制御部30側ではこの符号化された各構成要素の動作のコマンドをアドレス変換してシーケンスの各ステップの実働の動作のコマンドに翻訳変換するメモリされた変換テーブルを持っているので、燃焼器具の機種や型式が異なっていても、これら各機種や型式に応じた異なった専用の検査等のプログラムを作成する必要はなく、どのような機種および型式の燃焼器具であっても、燃焼器具の各構成要素を符号化した1つ以上のコマンドの集合体によって形成した専用のプログラムを1つ用意することにより、そのプログラムを用いて機種や型式の異なる燃焼器具においても検査等の同じ動作を支障なく行わせることができる。
【0072】
さらに、上記実施形態例では、モード切り換えスイッチ35がオンしたときに燃焼制御部30側のメイン動作制御部の動作を運転モードから割り込みモードへ切り換わるようにしたが、モード切り換えスイッチ35がオンする他に、割り込み動作指令の先頭のパスワードが加えられたときに運転モードから割り込みモードへ切り換わるようにしてもよい。
【0073】
また、上記実施形態例では、設定データメモリ54を書き込みと消去が可能な不揮発性メモリで構成し、保存するデータと後に消去するデータとを共にその不揮発性メモリに格納したが、設定データメモリを不揮発性メモリとRAM等の揮発性メモリで構成し、消去しない設定データは不揮発性メモリに格納し、後に消去するデータは揮発性メモリに格納し、制御条件の数値設定動作や検査動作の終了後電源がオフされたときに、自動的にRAMに格納された不要のデータを消去するようにしてもよい。
【0074】
さらに、図1の破線で示すように、割り込み制御部60側と燃焼制御部30側をリモコン57を仲立ちとして接続し、リモコン57に通信ケーブル61の機能を持たせ、このリモコン57を介して運転モードと割り込みモードのモード切り換えや、制御部30,60間の通信を行って、検査の動作を行ってもよい。
【0075】
さらに、上記実施形態例では、割り込み制御部60側と燃焼器具の燃焼制御部30側とを分離して別体の装置に形成したが、割り込み制御部60を燃焼器具の燃焼制御部60と同一の制御装置内に形成してもよい。この場合は、検査制御装置を内蔵した燃焼器具の構成となり、通信ケーブルは省略される。
【0076】
さらに、上記実施形態例では、割り込みの動作指令をパスワードとコマンドとの集合体によって形成したが、パスワードを省略し、燃焼器具の各構成要素を符号化した1個以上のコマンドで動作指令を構成してもよい。
【0077】
さらに、コマンドは必ずしも符号化して与えなくともよく、最初から燃焼器具の構成要素の実働の動作・指令信号のコード形態で与えるようにしてもよい。この場合には、コマンドの符号を実働の動作・指令信号に翻訳する必要がないので、コマンド変換テーブルを省略することができる。ただ、コマンドを符号化した場合には、簡易な符号を使用できるので、外部入力手段83等によりコマンドを外部から入力するのが容易となる。
【0078】
さらに、上記実施形態例では、変換テーブル45を燃焼制御部30側に設けたが、この変換テーブル45は割り込み制御部60側に設けてもよい。
【0079】
さらに、上記実施形態例では、図7に示す燃焼器具をモデルとして説明したが、本発明の検査の対象となる燃焼器具は必ずしも図7に示すモデルの機種や型式のものに限定されるものではなく、燃焼式の暖房機、冷房機、空調機等、他の様々な燃焼器具の検査に適用されるものである。
【0080】
さらに、上記実施形態例では燃焼器具の製品出荷段階の検査をメインにして説明したが、本発明は仕向先に設置施工されている燃焼器具の検査方法およびその装置として当然に適用されるものである。
【0081】
【発明の効果】
本発明は、燃焼器具の検査を行うためのコマンドを燃焼器具の1つの構成要素の動作指令を1つのコマンドに割り当てて1個以上のコマンドを時系列的に配列した検査専用のプログラムを用い、燃焼器具の検査時には検査対象の燃焼器具の固有データを検査に必要なデータとして入力した後に通常運転モードから検査専用プログラムで動作する検査モードへ切り換え、前記専用プログラムに従い動作させ燃焼器具の運転動作を検査するようにしたものであるから、燃焼器具の機種や型式が異なっていても、同じコマンドを与えることにより、そのコマンドに応じた構成要素の同じ検査を行わせることができる。したがって、燃焼器具の機種や型式が異なっていても、これら各機種ごとに検査専用のプログラムを個別に作成する必要はなく、共通の検査プログラムを与えることにより、検査対象とする燃焼器具の各構成要素の検査を行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る燃焼器具の運転検査装置の一実施形態例を示すブロック構成図である。
【図2】同実施形態例における装置の割り込み制御部側と燃焼器具の燃焼制御部側とを接続する通信手段の説明図である。
【図3】複合給湯器に外部設備を接続した状態の説明図である。
【図4】本実施形態例における流量センサの検査の一例を示すグラフである。
【図5】燃焼器具の最低作動流量の検出側の説明例である。
【図6】燃焼器具に必要に応じ設けられるヒータ駆動回路の説明図である。
【図7】検査の対象となる各種燃焼器具のモデル例を示す説明図である。
【符号の説明】
27 燃焼器具
28 検査制御装置
29 外部設備
30 燃焼制御部
31 割り込み指令出力部
36 検査判断部
49 検査データ蓄積部
60 割り込み制御部

Claims (5)

  1. 燃焼器具の各構成要素の動作をコマンドとした指令を受けて、指令の対象となる構成要素を動作指令に従って動作制御する燃焼制御部を備えた燃焼器具の運転検査方法であって、燃焼器具の1つの構成要素の動作指令を1つのコマンドに割り当てて1個以上のコマンドを時系列的に配列した検査専用のプログラムを燃焼器具の通常運転モード時の運転プログラムとは別に用意し、燃焼器具の検査時には検査対象の燃焼器具の固有データを検査に必要なデータとして入力した後に通常運転モードから検査専用プログラムで動作する検査モードへ切り換え、前記専用プログラムに従い動作させ燃焼器具の運転動作を検査する燃焼器具の運転検査方法。
  2. 検査に必要な固有データは、製品の種類、型式、給湯能力、排気バリエーション、ガス種、検査規格値、検査対象項目、および検査基準とその公差を含む、仕様データのデータを有して構成されている請求項1記載の燃焼器具の運転検査方法。
  3. 検査に必要な固有データの入力の手法には、キーボードのキー操作入力手法と、バーコード入力手法と、カード入力手法とが含まれることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の燃焼器具の運転検査方法。
  4. 燃焼器具の運転動作の検査には、燃焼器具内のセンサの検出値と、この燃焼器具内のセンサと同一の検出対象を検出する外部センサの検出値と、検査に必要なデータとして入力された燃焼器具の固有データとに基いて燃焼器具を構成するアクチュエータの動作状態を合否判定する検査を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3記載の燃焼器具の運転検査方法。
  5. 燃焼器具の各構成要素の動作をコマンドとした指令を受けて、指令の対象となる構成要素を動作指令に従って動作制御する燃焼制御部を備えた燃焼器具の運転検査装置であって、燃焼器具の1つの構成要素の動作指令を1つのコマンドに割り当てて1個以上のコマンドを時系列的に配列した検査専用のプログラムが燃焼器具の通常運転モード時の運転プログラムとは別に用意されて格納されているメモリと、燃焼器具の検査時に検査対象の燃焼器具の固有データを検査に必要なデータとして入力するためのIDデータ入力部と、通常運転モードから検査専用プログラムで動作する検査モードへの切り換え後に前記専用プログラムに従い燃焼制御部により制御されて動作する燃焼器具の運転動作状態のモニタ信号を燃焼器具側から取り込みそのモニタ信号と前記IDデータ入力部から入力された検査に必要な燃焼器具の固有データとに基き燃焼器具の構成要素の合否を検査する検査判断部と、を有する燃焼器具の運転検査装置。
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