JP3652431B2 - ホウ素含有Al基合金 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、使用済み核燃料の輸送容器や貯蔵容器等の構造用材料として有用な、中性子吸収作用を有するホウ素含有Al基合金に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
中性子吸収作用を有する構造用材料として、Al合金中にホウ素を添加した合金が用いられている。この様な合金を製造するには、通常、Al溶湯中にホウ素を粉末状またはAl−B合金の形で添加するか、あるいはAl溶湯中にKBF4等のホウ弗化物の形で添加してAl−B金属間化合物を生成する方法が用いられているが、強度や延性等の機械的特性を高める為に種々の改良が施されている。
【0003】
例えば特開平1−312044号公報には、ホウ素を、12ホウ化アルミニウム(AlB12)の粉末または少なくともAlB12を主に含むAl−B母合金の状態で添加することによりBとMgの反応を抑制し、それら金属間化合物の生成に基づく強度の低下を図る方法が開示されている。また特開平1−312043号公報には、BとMgの反応を抑制する為に、溶解処理を1200℃以上の高温度領域で行う方法が開示されている。更に特開平4−333542号公報には、溶湯の高粘性を解消して成形加工性を高めることを目的として、680〜850℃の温度域でKBF4をAlと反応させ、生成したAlB2 結晶を含むAl−B合金溶湯中にK2 TiF6 を少量添加することにより、粘性の低い鋳込性の良いAl−B合金を得る方法が開示されている。
【0004】
しかしながら、これらの方法で製造された合金は、いずれも一旦固まった後は再利用できないという問題がある。即ちスクラップ合金を再度溶解すると、非常に安定で且つ脆い金属間化合物AlB12が不可避的に生成する為、構造用材料として再利用する上で問題がある。更に構造用材料として再生するには、スクラップ合金を熱間圧延したり押出し加工等を施す必要があるが、全ホウ素化合物中におけるAlB12の占める割合が体積率で20%を超えて存在すると加工が非常に困難となり、このこともスクラップ合金の再利用を困難にする原因となっている。
【0005】
上述した方法のうち特開平4−333542号公報に記載の合金は、Tiを0.001〜0.05重量%含有すると共に、ホウ素が全てAlB2 結晶からなるAl−B合金であるが、この合金はMg,Si等を含有していない為強度等の機械的特性に劣る他、再溶解するとAlB12が不可避的に生成し、スクラップ合金の再利用ができないという不具合を伴っている。
【0006】
更に上記の方法ではいずれも天然ホウ素を使用している。そもそもホウ素は10B(約20%)と11B(約80%)からなる同位体組成を有しており、このうち優れた中性子吸収能を有するのは主に10Bである。その為、所望の中性子吸収作用を得るには、実際のところ約2.5〜7.5%の天然ホウ素を使用する必要があり、高価なホウ素を多量に使用する為、製造コストが上昇するという問題も伴っている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述した事情に着目してなされたものであり、その目的は製造コストを低減できると共に、スクラップの再生が可能であり、強度や延性などの機械的特性も良好な中性子吸収作用を有するホウ素含有Al基合金を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決することのできた本発明のホウ素含有Al基合金は、B:0.5〜1.5%(質量%,以下同じ)、並びに残部:Al及び不可避不純物であり、且つ10B/(10B+11B)≧95%を満足すると共に、全ホウ素化合物中におけるAlB2の占める割合が体積率で80%以上であるところに要旨を有するものである。
【0009】
具体的には、本発明のホウ素含有Al基合金は、以下の成分系を包含するものである。
▲1▼更にMg:2〜8%を含有するに記載のホウ素含有Al−Mg系合金。
▲2▼更にMg:0.3〜1.5%およびSi:0.3〜1.5%を含有するホウ素含有Al−Mg−Si系合金。
▲3▼更にMg:1.0〜4.0%およびZn:0.8〜8.0%を含有するホウ素含有Al−Mg−Zn系合金。
▲4▼更にCu:1.5〜7.0%を含有するホウ素含有Al−Cu系合金。
▲5▼更にMn:0.3〜2.0%を含有するホウ素含有Al−Mn系合金。
これら▲1▼〜▲5▼の各合金は、夫々以下の選択許容元素(いずれの元素も0%を含まない)を積極的に添加することができる。
【0010】
▲6▼前記▲1▼または▲2▼の合金において、更に、Cu:0.6%以下,Mn:1.0%以下,Cr:0.4%以下,Zr:0.3%以下,Zn:0.5%以下,Ti:0.3%以下よりなる群から選択される少なくとも1種を含有するホウ素含有Al−Mg系合金またはホウ素含有Al−Mg−Si系合金。
▲7▼前記▲3▼の合金において、更に、Cu:3.0%以下,Mn:1.0%以下,Cr:0.4%以下,Zr:0.3%以下,Ti:0.3%以下よりなる群から選択される少なくとも1種を含有するホウ素含有Al−Zn−Mg系合金。
▲8▼前記▲4▼の合金において、更に、Mg:1.8%以下,Mn:1.2%以下,Cr:0.4%以下,Zr:0.3%以下,Zn:0.5%以下,Ti:0.3%以下よりなる群から選択される少なくとも1種を含有するホウ素含有Al−Cu系合金。
▲9▼前記▲5▼の合金において、更に、Mg:1.8%以下,Cu:0.6%以下,Cr:0.4%以下,Zr:0.3%以下,Zn:0.5%以下,Ti:0.3%以下よりなる群から選択される少なくとも1種を含有するホウ素含有Al−Mn系合金。
【0011】
更に、上記Al−Mg−Si系合金において、Fe:2.0%以下(0%を含む)であるものや、前記Al−Mg−Si系合金を除く他の合金において、Fe:2.0%以下(0%を含む)およびSi:1.5%以下(0%を含む)であるものは、本発明の好ましい実施態様である。
また、これらの合金において、表面膨れの少ない表面性状に優れた合金を得ることを目的として、残留水素濃度を0.6ppm以下(0ppmを含む)に抑制したものは本発明の好ましい実施態様である。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明では、スクラップの再生が可能であって、且つ強度や加工性等の機械的特性の良好なホウ素含有Al基合金を提供すべく、特に溶解時の溶解温度に着目して検討を重ねていった。溶解温度を制御する公知の方法としては上述した特開平1−312043号公報に記載の方法が挙げられるが、この方法によれば、BとMgの反応を抑制して強度を高める為に、溶解温度を従来の700〜800℃という低温度領域から、一挙に1200℃以上にまで(好ましくは1200〜1500℃)高めて処理している。しかしながら、この様な高温度領域で溶解処理すると、Mgが蒸発して強度等の機械的特性を確保することが困難であることが分かった。
【0013】
そこで、本発明者等がこの様な不都合を解消すべく更に鋭意検討したところ、BとMgの反応を抑制することができる溶解温度は900℃以上1200℃未満であれば良く、この様な温度領域で溶解処理すれば上述したMg蒸発による機械的特性の低下も回避することができ、且つ本発明における最大目標であるスクラップの再生が可能で、且つ良好な機械的特性を備えたホウ素含有Al基合金が得られることを見出した。更に従来の方法では、造塊条件については特に制御しておらず、通常の大気雰囲気下(1atm,760Torr)で、鋳造時の凝固速度(凝固までの冷却速度)を0.1℃/秒未満にして造塊していたが、この凝固速度や圧力についても上記目的を達成するには大きな役割を果たすことを見出し、これらを総合的に勘案して本発明を完成したのである。
【0014】
まず、本発明のホウ素含有Al基合金について説明する。
本発明のホウ素含有Al基合金は、具体的には、後記する▲1▼Al−Mg系合金、▲2▼Al−Mg−Si系合金、▲3▼Al−Zn−Mg系合金、▲4▼Al−Cu系合金、▲5▼Al−Mn系合金等に代表されるが、いずれの場合においても、ホウ素はB:0.5〜1.5%を含有し、且つ10B/(10B+11B)≧95%を満足することが必要である。
【0015】
この様に本発明のホウ素含有Al基合金中には、10B/(10B+11B)≧95%を満足するBを0.5〜1.5%含有する点に第1の特徴を有する。上述した様に、ホウ素は10B(約20%)と11B(約80%)からなる同位体組成を有しているが、優れた中性子吸収能を有するのは10Bであることから、ホウ素添加による中性子吸収作用を有効に発揮させるには、合金中に10Bが95%以上存在すれば良いのである。この様な条件を満足するものとしては、後記する製造方法でも詳述するが、例えば同位元素10Bの含有量が95%以上である濃縮ホウ素を原料として使用することが推奨される。この様な濃縮ホウ素を用いれば、従来の天然ホウ素を原料として用いる場合に比べてその使用量を低減できると共に、この濃縮ホウ素は中性子吸収能を有する10Bのみを高度に濃縮したものであるので、その作用を一層有効に発揮し得るのである。ここで、ホウ素による中性子吸収作用を有効に発揮させるには0.5%以上の添加が必要である。好ましくは0.6%以上であり、より好ましいのは0.7%以上である。一方、1.5%を超えて添加してもその効果が飽和するだけで経済的に無駄であるばかりか、再生利用や加工処理等に悪影響を及ぼすAlB12が多量に生成する等の不都合を生じる。好ましくは1.3%以下であり、より好ましいのは1.2%以下である。
上述したB以外に含有する元素については、各合金毎に個別に説明する。
【0016】
▲1▼Al−Mg系合金
Mg:2〜8%
Mgは固溶体硬化作用および加工硬化作用を有し、強度を高める元素である。この様な作用を有効に発揮させるには2%以上の添加が必要であり、2%未満では強度が不足する。好ましい下限値は3%であり、より好ましいのは4%である。一方、8%を超えて添加すると延性が低下し、耳割れや表面割れ等を生じて圧延等の加工処理が困難となる。好ましい上限値は7%であり、より好ましいのは6%である。
【0017】
▲2▼Al−Mg−Si系合金
Mg:0.3〜1.5%およびSi:0.3〜1.5%
MgとSiはMg2 Siを形成して硬化に寄与する。この様な作用を有効に発揮させるには夫々0.3%以上の添加が必要であり、0.3%未満では強度不足を招く。好ましい下限値はMg:0.4%およびSi:0.4%であり、より好ましいのはMg:0.5%およびSi:0.5%である。一方、1.5%を超えて添加すると粗大な化合物が形成されて脆くなるので1.5%以下にすることが必要である。好ましい上限値は1.4%であり、より好ましいのは1.3%である。
【0018】
上記Al−Mg系合金およびAl−Mg−Si系合金は、更に以下の元素を1種または2種以上、積極的に含有することができる。
Cu:0.6%以下,Mn:1.0%以下,Cr:0.4%以下,Zr:0.3%以下,Ti:0.3%以下,Zn:0.5%以下
これらはいずれも機械的特性(強度、延性、靱性、硬化等)の向上に寄与する元素である。
【0019】
このうちCuはAl2 CuMgを形成して硬化に寄与する元素である。0.6%を超えると粗大なAl2 CuMgが形成され脆くなるのでその上限を0.6%とすることが好ましい。より好ましいのは0.5%以下である。
【0020】
またMn,Cr,ZrおよびTiは結晶粒を微細化し、強度、延性、靱性等を向上させる元素である。これらの添加量が上記範囲を超えると粗大な化合物が形成されて脆くなる。より好ましい上限値はMn:0.9%,Cr:0.3%、Zr:0.2%、Ti:0.2%である。
【0021】
更にZnは強度の向上に寄与する元素であるが、添加量が上記範囲を超えると粗大なAl−Zn系化合物が形成され脆くなる。より好ましい上限値はAl−Mg系合金の場合0.4%であり、Al−Mg−Si系合金の場合は0.3%である。
【0022】
▲3▼Al−Zn−Mg系合金
Zn:0.8〜8.0%およびMg:1.0〜4.0%
ZnとMgは、Mg3 Zn3 Al2 、MgZn2 およびその準安定相であるη’相等の化合物を形成することにより硬化に寄与すると共に、強度向上作用を有する元素である。即ち、これらの化合物は、所定の熱処理(後記する)を施すと時効析出するので、その結果、450MPa以上の引張強度を得ることができる。この様な作用を有効に発揮させるにはZn:0.8%以上、Mg:1.0%以上の添加が必要であり、各下限値未満では強度不足を招く。好ましい下限値はZn:0.9%およびMg:1.1%であり、より好ましいのはZn:1.0%およびMg:1.2%である。一方、Zn:8.0%、Mg:4.0%を超えて添加すると粗大なAl−Zn系化合物が形成されて脆くなる他、耐応力腐食割れ性も低下する。好ましい上限値はZn:7.9%、Mg:3.9%であり、より好ましいのはZn:7.8%、Mg:3.8%である。
【0023】
上記Al−Zn−Mg系合金は、更に以下の元素を1種または2種以上、積極的に含有することができる。
Cu:3.0%以下,Mn:1.0%以下,Cr:0.4%以下,Zr:0.3%以下,Ti:0.3%以下
これらの元素はいずれも、上述した様に機械的特性(強度、延性、靱性、硬化等)の向上に寄与する元素である。
【0024】
このうちCuはAl2 CuMgやAl2 Cu等の化合物を形成して硬化に寄与する。Cuが3.0%以下であればこれらの化合物は固溶しているが、3.0%を超えると、後述する時効硬化熱処理時において高温域での過飽和度が高くなり、粗大な化合物が形成され脆くなる。より好ましいのは2.9%以下である。
【0025】
またMn,Cr,ZrおよびTiは、上述した様に結晶粒を微細化し、強度、延性、靱性等を向上させる。より好ましい上限値はMn:0.9%,Cr:0.3%、Zr:0.2%、Ti:0.2%である。
【0026】
▲4▼Al−Cu系合金
Cu:1.5〜7.0%
Cuは時効析出することにより硬化や強度の上昇に寄与する。即ち、Al−Cu系合金において、Cuは、α→GPゾーン→θ’相→θ相といった一連の析出過程においてAl2Cu(θ相)や、その中間相であるGPゾーンやθ’相を形成し、硬化や強度上昇作用を発揮する。この様な作用を有効に発揮させるには1.5%以上の添加が必要であり、1.5%未満では強度不足を招く。好ましい下限値は1.6%であり、より好ましくは1.7%である。一方、7.0%を超えて添加すると粗大な析出物を形成して脆くなる。好ましい上限値は6.9%であり、より好ましくは6.8%である。
【0027】
上記Al−Cu系合金は、更に以下の元素を1種または2種以上、積極的に含有することができる。
Mg:1.8%以下,Mn:1.2%以下,Cr:0.4%以下,Zr:0.3%以下,Zn:0.5%以下,Ti:0.3%以下
これらはいずれも機械的特性(強度、延性、靱性、硬化等)の向上に寄与する元素である。
【0028】
このうちMgは、Al2 CuMgやAl6 CuMg4 等の化合物が時効析出することにより、強度や硬化の上昇に寄与する。特に、Cu量が少ない範囲では、Mgによる硬化作用が支配的になってくる。しかしながら、Mgの添加量が1.8%を超えると粗大な化合物が形成され脆くなる。より好ましい上限値は1.7%である。
【0029】
またMn,Cr,ZrおよびTiは、上述した様に結晶粒を微細化し、強度、延性、靱性等を向上させる。これらの添加量が上記範囲を超えると粗大な化合物が形成されて脆くなる。より好ましい上限値はMn:1.1%,Cr:0.3%、Zr:0.2%、Ti:0.2%である。
更にZnは強度の向上に寄与するが、添加量が0.5%を超えると粗大なAl−Zn系化合物が形成され脆くなる。より好ましい上限値は0.4%である。
【0030】
▲5▼Al−Mn系合金
Mn:0.3〜2.0%
Mnは、固溶硬化作用および加工硬化作用を有し、強度の上昇に寄与する。この様な作用を有効に発揮させるには、Mn:0.3%以上の添加が必要であり、これより少ないと強度不足を招く。好ましい下限値は0.4%であり、より好ましくは0.5%である。一方、2.0%を超えて添加すると、粗大な析出物を形成して脆くなる。好ましい上限値は1.9%であり、より好ましくは1.8%である。
【0031】
上記Al−Mn系合金は、更に以下の元素を1種または2種以上、積極的に含有することができる。
Mg:1.8%以下,Cu:0.6%以下,Cr:0.4%以下,Zr:0.3%以下,Zn:0.5%以下,Ti:0.3%以下
これらはいずれも機械的特性(強度、延性、靱性、硬化等)の向上に寄与する元素である。
【0032】
このうちMgは、固溶強化して硬化に寄与する。Mgの添加量が1.8%を超えると粗大な化合物を形成して脆くなる。より好ましい上限値は1.7%である。
またCuは、Al2 CuやAl2 CuMg等を形成して硬化に寄与する。しかしながら0.6%を超えると粗大なAl2CuMgを形成して脆くなるのでその上限を0.6%とすることが好ましい。より好ましくは0.5%以下である。
【0033】
また、Cr,ZrおよびTiは、上述した様に結晶粒を微細化し、強度、延性、靱性等を向上させる。これらの添加量が上記範囲を超えると粗大な化合物が形成されて脆くなる。より好ましい上限値はCr:0.3%、Zr:0.2%、Ti:0.2%である。
Znは強度の向上に寄与するが、添加量が0.5%を超えると粗大なAl−Zn系化合物が形成され脆くなる。より好ましい上限値は0.4%である。
【0034】
更に、上記▲2▼のAl−Mg−Si系合金においてFe:2.0%以下(0%を含む)であるもの、或いは、▲2▼のAl−Mg−Si系合金を除く▲1▼〜▲5▼の合金や純Al系合金においてFe:2.0%以下(0%を含む)およびSi:1.5%以下(0%を含む)であるものは、本発明の好ましい実施態様である。
【0035】
FeやSiは、Al合金中に、通常、不可避的に不純物として混入している。これらの元素は、Al合金中で、Al−Fe系[Al3 Fe,AlmFe(m:3〜6の整数)等]またはAl−Fe−Si系(α−AlFeSi等)の種々の晶出物および析出物を形成し、結晶粒の微細化や加工性(圧延、押出し、引抜き等)を高める作用を有する。
【0036】
具体的には、例えば純Al系においては、FeやSiの添加により、上記作用に加えて、硬化や成形性を高めることができる他、Siの添加によって耐食性向上作用も得られる。
【0037】
また、上記Al−Mg系合金、Al−Mg−Si系合金、Al−Zn−Mg系合金、Al−Cu系合金、Al−Mn系合金においても、SiやFeの添加は種々の影響を及ぼす。例えばAl−Mg系合金やAl−Mg−Si系合金などのMg含有合金では、Siの添加によってMg2Si等の時効析出物を形成し、硬化に寄与する。更に、Siの添加により強度や耐食性の向上や、良好な鋳造性が得られる等の作用も発揮する。
【0038】
この様な作用を有効に発揮させるには、上記範囲内であることが好ましく、この範囲を超えると、FeやSiの分散粒子が多量に形成され、破壊の起点となって靱性に悪影響を及ぼす。また、Feを過剰に添加すると強度の低下を招く。より好ましくはFe:1.9%以下、Si:1.4%以下である。
【0039】
また、上述した本発明の合金において、特に熱間加工等の熱処理時における表面の膨れを抑制し、表面性状を良好にすること(後記製造法において詳述する)を目的として、合金中の残留水素濃度を0.6ppm以下にすることが有効である。上記目的の達成の為には、残留水素量はできるだけ少ない方が好ましいが、水素量の低減化に要するコスト、労力、時間などを比較考量すれば、より好ましくは0.5ppm以下、更により好ましくは0.4ppm以下である。
更に、本発明合金は、全ホウ素化合物中におけるAlB2 の占める割合が体積率で80%以上を満足する点に第2の特徴を有する。
【0040】
上述した様にAlB12は非常に安定で分解し難く、この様な化合物が多量に存在するとスクラップの再生利用を図ることができない。本発明合金におけるホウ素化合物としてはAlB12とAlB2が大部分を占めるが、このうちAlB2 が体積率で80%以上存在すれば(即ち、AlB12は必然的に約20%未満になる)、上述した不都合を回避することができる。AlB2の好ましい体積比率は85%以上であり、より好ましくは90%以上である。
【0041】
尚、上述した要件を満足する本発明合金を溶解再生して得られるスクラップ合金において、ホウ素に関して10B/(10B+11B)≧95%を満足するものは、良好な中性子吸収作用を有し、構造用材料として再生可能である為、非常に有用である。
【0042】
上述した本発明のホウ素含有Al基合金を用い、所定の熱処理を施すことにより優れた機械的特性(引張強度、延性など)が得られる。具体的には、各成分系毎に、優れた機械的特性を得る為の好適な熱処理条件を適宜選択することができる。例えば、Al−Zn−Mg系合金では、圧延、押出しなどの熱間加工を施した後、溶体化処理(460〜500℃)→焼入(水焼入れ等)→時効硬化熱処理(115〜180℃)を施すことにより、450MPa以上の非常に優れた引張強度を得ることができる。尚、時効硬化熱処理を行うに当たっては、室温で長時間保持した後120℃で24時間保持するといった二段階の時効処理を行っても良い。各成分系における熱処理条件については、その一例を後記する実施例に記載する。
【0043】
次に、本発明合金を製造するに当たっては、同位元素10Bの含有量が95%以上である濃縮ホウ素:0.5〜1.5%を用い、且つ溶解温度:900℃以上1200℃未満で造塊することが必要である。即ち、本発明合金による中性子吸収作用を有効に発揮させるには、上述した様に濃縮ホウ素を用いることが有用であり、且つ、全ホウ素化合物中におけるAlB2の占める割合を体積率で80%以上にしてAlB12の生成を抑制すると共に該ホウ素化合物の凝集を抑える為には溶解温度を900℃以上とすることが必要である。好ましい溶解温度は920℃以上、より好ましいのは940℃以上である。900℃未満では粗大なAlB12化合物が生成し、Bが偏析してしまう等の不都合が生じるので本発明の作用を有効に発揮させることができない。一方、1200℃以上になるとMgが蒸発してしまい、必要強度を確保することが困難となる。好ましい上限値は1180℃であり、より好ましい上限値は1150℃である。
【0044】
更に、本発明による効果を有効に発揮させるには、鋳造時の凝固速度を0.1℃/秒以上とする。より好ましくは0.2℃/秒以上であり、更により好ましいのは0.3℃/秒以上であり、その上限値は特に規定されない。
【0045】
或いは、上記凝固速度の他、500Torr以下の圧力にて造塊することも有効である。本発明者らが検討したところ、通常の大気雰囲気下(1atm,760Torr)にて本発明合金を製造しようとすると、空気中の水蒸気(H2ガス)によってインゴット中に空孔等が生じ、その後の熱間加工時にガスが膨張して膨れ等が起こり、その結果、合金表面に空孔等の欠陥が生じてしまうこと、更にインゴットの各部分にホウ素の偏析が見られ、中性子吸収能力に悪影響を及ぼすことが分かった。この様な観点から、空気中の水分量を減らす為に、鋳造時の圧力を500Torr以下にすることが好ましい。尚、上記趣旨から言えば、その下限値は小さければ小さい程(即ち、真空状態に近くする)良いが、圧力低下に費やすコスト、労力、時間等を考慮すれば、より好ましいのは400Torr以下、更により好ましくは300Torr以下である。
【0046】
この様に本発明法では、上記濃縮ホウ素を用いると共に溶解温度を制御し、好ましくは鋳造時の凝固速度や圧力を制御する点に特徴を有するのであり、その他の条件については何等制限されるものではなく、本発明の目的を損なわない範囲において通常使用される方法(例えば熱間圧延、押出し、鋳造等)等によって製造することができる。
【0047】
以下実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全て本発明の技術的範囲に包含される。
【0048】
【実施例】
実施例1
表1に示す組成のAl−Mg系合金(No.1〜18,いずれも残部Al)を、下記A〜CおよびY〜Zの鋳造条件で造塊した。
A:溶解温度 900℃、凝固速度 0.1℃/秒
B:溶解温度 720℃、凝固速度 0.1℃/秒
C:溶解温度 900℃、凝固速度 0.05℃/秒
Y:溶解温度 900℃、凝固速度 1℃/秒
Z:溶解温度1000℃、凝固速度 0.1℃/秒
【0049】
【表1】
Figure 0003652431
【0050】
この様にして得られたインゴットを均熱処理(480℃で24時間)した後、熱間圧延(温度500℃,総圧下率85%)を行い、熱間圧延性の良否を以下の基準で評価した。
○:割れの発生なし
×:割れが生じる
【0051】
次に熱間圧延によって厚みを20mmにした板から引張試験用板片(JIS13号B型)を切り出し、T4処理(530℃で1時間の溶体化処理)および安定化処理(150℃で2時間)を行った後、引張試験(JIS Z 2241)を行うことにより室温強度および伸びを測定した。次にこれらの板を溶解温度:900℃以上,鋳造時の凝固速度:0.1℃/秒以上で再鋳造し、スクラップの再生が可能か否かを調べた。更に、X線回折によりAlB2の体積率を調べると共に、光学顕微鏡(倍率:50倍または100倍)による組織観察を行った。得られた結果を表2にまとめて記載し、代表的な組織写真を図1に示す。尚、図1(a)は本発明例であるNo.1の写真を、図1(b)は比較例であるNo.2の写真を夫々示す。
【0052】
【表2】
Figure 0003652431
【0053】
これらの結果から以下の様に考察することができる。
本発明の要件を全て満足するAl−Mg系合金は、いずれも強度・延性に優れており、AlB2 が80%以上存在すると共に、AlB2が均一に分散しホウ素化合物の凝集は全く認められず、優れた中性子吸収能を有することが分かった。更に熱間圧延加工性も良好で、スクラップの再生が可能であった。このうち、Cu,Mn,Cr,Zr,ZnまたはTi量が本発明範囲を超えて含有する合金(No.13〜18)は、延性が若干低下したが他の特性は全て満足のいくものであった。
【0054】
これに対して本発明の要件を満足しない合金は、中性子吸収能が低下したり、熱間圧延性が悪く、スクラップの再生ができなかったり、強度や伸びが低下するといった不都合が生じた。
【0055】
実施例2
表3に示す組成のAl−Mg系合金(いずれも残部Al)を用い、実施例1の鋳造条件または下記Dの鋳造条件で造塊した。尚、表中のNo.1〜6は、前記表1のものと組成および鋳造法が同じであるので同一番号を付している。
D:溶解温度1180℃、凝固速度0.1℃/秒
【0056】
【表3】
Figure 0003652431
【0057】
この様にして得られた一部のインゴット(No.1,2,19)について、インゴットの各部(上、中心、側面および底)から夫々15cm角サイズの試験片を切り出し、ICP法により各部位におけるホウ素濃度を調べた。その結果を図2に示す。
【0058】
次に、各インゴットについて実施例1と同様にして均熱処理および熱間圧延を施した後、ホウ素化合物の形態(AlB2 の体積率および凝集の有無)、スクラップ再生の可否およびホウ素の偏析の程度を調べた。尚、ホウ素の偏析の程度については、インゴットの各部分におけるBの濃度をIPC法により測定し、以下の基準にて評価した。
偏析あり:インゴット中のいずれかの部分においてB:0.5〜1.5%を外れる値を示す部分がある
偏析なし:インゴット中の全部位においてB:0.5〜1.5%を満足する
この様にして得られた結果を表4にまとめて示す。
【0059】
【表4】
Figure 0003652431
【0060】
これらの結果から以下の様に考察することができる。
本発明法によって得られた合金は、いずれもホウ素の偏析やホウ素化合物の凝集が全くなく、AlB2 が80%以上存在しているのでスクラップの再生が可能であると共に、優れた強度・延性を有することが分かった。
これに対して本発明法によらない合金は、中性子吸収能の低下、ホウ素の偏析に基づくスクラップの再生不良、強度の低下といった不都合が生じた。
【0061】
実施例3
表5に示す組成のAl−Mg−Si系合金(No.28〜47,いずれも残部Al)を、実施例1と同様にして造塊した。
【0062】
【表5】
Figure 0003652431
【0063】
この様にして得られたインゴットを均熱処理(550℃で8時間)した後、熱間圧延(温度:500℃、総圧下率:85%)を行い、熱間圧延性の良否を実施例1と同様の基準で評価した。
【0064】
次に熱間圧延によって厚みを20mmにした板から引張試験用板片(JIS13号B型)を切り出し、T6処理(530℃で1時間の溶体化処理および180℃で24時間の時効処理)を施した後、実施例1と同様にして引張試験を行って室温強度および伸びを測定した。更にこれらの板を実施例1と同様に再鋳造し、スクラップの再生が可能か否かを調べると共に、X線回折によるホウ素化合物の体積率および凝集の程度を調査し、組織観察も合わせて行った。得られた結果を表6にまとめて記載し、代表的な組織写真を図3に示す。尚、図3(a)は本発明例であるNo.28の写真を、図3(b)は比較例であるNo.29の写真を夫々示す。
【0065】
【表6】
Figure 0003652431
【0066】
これらの結果から以下の様に考察することができる。
本発明の要件を全て満足するAl−Mg−Si系合金は、いずれも強度・延性に優れており、AlB2 が80%以上存在し、且つホウ素化合物の凝集も認められなかった。更に熱間圧延加工性も良好で、スクラップの再生が可能であることが分かった。このうち、Cu,Mn,Cr,Zr,ZnまたはTi量が本発明の範囲を超えて含有する合金(No.42〜47)は、延性が若干低下したこと以外は、全て良好な特性を有するものであった。
これに対して本発明の要件を満足しない合金は、中性子吸収能の低下、熱間圧延加工性の低下によるスクラップ再生不良、強度の低下といった不都合が生じた。
【0067】
実施例4
表7に示す組成のAl−Mg−Si系合金(いずれも残部Al)を用い、実施例2における鋳造条件で造塊した。尚、表中のNo.28〜33は、前記表5のものと同一の組成および鋳造法を施したものであるので、同一番号を付けた。
【0068】
【表7】
Figure 0003652431
【0069】
この様にして得られた一部のインゴット(No.28,29,48)について、実施例2と同様にしてホウ素の偏析を調べた。その結果を図4に示す。
次に、上記各インゴットについて実施例3と同様にして、ホウ素化合物の形態、スクラップ再生の可否およびホウ素の偏析の程度を調べると共に、組織観察を行った。得られた結果を表8にまとめて示す。
【0070】
【表8】
Figure 0003652431
【0071】
これらの結果から以下の様に考察することができる。
本発明法によって得られたAl−Mg−Si系合金は、いずれもホウ素の偏析やホウ素化合物の凝集が見られず、AlB2 が80%以上存在しているのでスクラップの再生が可能であり、且つ強度・延性にも優れていることが分かった。
これに対して本発明法によらない合金は、中性子吸収能の低下、ホウ素化合物の凝集に基づくスクラップの再生不良、強度の低下が見られた。
【0072】
実施例5
表9に示す組成のAl−Mg系合金および表10に示す組成のAl−Mg−Si系合金(いずれも残部Al)を用い、炉内圧力を同表に併記する如く設定し、実施例1におけるAの鋳造条件にて造塊した。
この様にして得られたインゴットについて、真空加熱抽出定容測圧法により残留水素濃度を測定した。また、一部のインゴット(No.57,61)について、インゴットの各部から15cm角サイズの試験片を切り出し、ICP法によりホウ素の濃度を測定した。
【0073】
次に、各インゴットを、実施例1と同様に均熱処理(480℃で24時間)した後、熱間圧延(温度500℃、総圧下率80%)を行い、ホウ素の偏析の程度および圧延板の表面性状を下記の様に評価した。
[ホウ素の偏析の程度]
×:インゴット中のいずれかの部分においてB:0.5〜1.5%を外れる
○:インゴット中の各部分においてB:0.5〜1.5%を満足するもののそのばらつきが大きい
◎:インゴット中の各部分においてB:0.5〜1.5%を満足すると共に、そのばらつきも小さい
[圧延板の表面性状の良否]
◎:膨れの発生が全く無し
○:膨れの発生がほとんど無し
×:膨れ有り
【0074】
得られた結果を表11〜13に示す。尚、表11および12に併記する総合評価とは、上記ホウ素の偏析や圧延板の表面性状の他、中性子吸収能、ホウ素化合物の形態、凝集の有無なども考慮して総合的に判定した結果である。
【0075】
【表9】
Figure 0003652431
【0076】
【表10】
Figure 0003652431
【0077】
【表11】
Figure 0003652431
【0078】
【表12】
Figure 0003652431
【0079】
【表13】
Figure 0003652431
【0080】
これらの結果から以下の様に考察することができる。
No.60〜65およびNo.72〜77は、鋳造時の圧力を調整することにより残留水素濃度を本発明の好ましい範囲に制御した例であるが、この様な制御のなされていない本発明例(No.57〜59およびNo.69〜71)に比べて、ホウ素の偏析の程度が著しく改善されており、且つ熱間圧延時の表面性状も良好であることが分かる。
【0081】
実施例6
表14に示す組成のAl−Zn−Mg系合金(いずれも残部Al)を、実施例1と同様にして造塊した。
【0082】
【表14】
Figure 0003652431
【0083】
この様にして得られたインゴットを均熱処理(480℃で24時間)した後、熱間圧延(温度:480℃、総圧下率:85%)を行い、熱間圧延性の良否を実施例1と同様の基準で評価した。
【0084】
次に熱間圧延によって厚みを20mmにした板から引張試験用板片(JIS13号B型)を切り出し、T6処理(480℃で1時間の溶体化処理を施した後、水焼入れを行い、更に120℃で24時間の時効硬化熱処理)を施した後、実施例1と同様にして引張試験を行って室温強度および伸びを測定した。更にこれらの板を実施例1と同様に再鋳造し、スクラップの再生が可能か否かを調べると共に、X線回折によるホウ素化合物の体積率および凝集の程度を調査し、組織観察も合わせて行った。得られた結果を表15にまとめて記載し、代表的な組織写真を図5に示す。尚、図5(a)は本発明例であるNo.81の写真を、図5(b)は比較例であるNo.82の写真を夫々示す。
【0085】
【表15】
Figure 0003652431
【0086】
これらの結果から以下の様に考察することができる。
本発明の要件を全て満足するAl−Zn−Mg系合金は、いずれも強度・延性に優れており、AlB2 が80%以上存在し、且つホウ素化合物の凝集も認められなかった。更に熱間圧延加工性も良好で、スクラップの再生が可能であることが分かった。このうち、Cu,Mn,Cr,ZrまたはTi量が本発明の範囲を超えて含有する合金(No.95〜99)は、延性が若干低下したこと以外は、全て良好な特性を有するものであった。
これに対して本発明の要件を満足しない合金は、中性子吸収能の低下、熱間圧延加工性の低下によるスクラップ再生不良、強度の低下といった不都合が生じた。
【0087】
実施例7
表16に示す組成のAl−Zn−Mg系合金(いずれも残部Al)を用い、実施例2における鋳造条件で造塊した。尚、表中のNo.81〜86は、前記表14のものと同一の組成および鋳造法を施したものであるので、同一番号を付けた。
【0088】
【表16】
Figure 0003652431
【0089】
この様にして得られた一部のインゴット(No.81,82,100)について、実施例2と同様にしてホウ素の偏析を調べた。その結果を図6に示す。
次に、上記各インゴットについて実施例3と同様にして、ホウ素化合物の形態、スクラップ再生の可否およびホウ素の偏析の程度を調べた。
【0090】
【表17】
Figure 0003652431
【0091】
これらの結果から以下の様に考察することができる。
本発明法によって得られたAl−Zn−Mg系合金は、いずれもホウ素の偏析やホウ素化合物の凝集が見られず、AlB2 が80%以上存在しているのでスクラップの再生が可能であり、且つ強度・延性にも優れていることが分かった。
これに対して本発明法によらない合金は、中性子吸収能の低下、ホウ素化合物の凝集に基づくスクラップの再生不良、強度の低下が見られた。
【0092】
実施例8
No.81のAl−Zn−Mg系合金を用い、実施例6で施した時効硬化熱処理の有無によって強度がどの様に変化するかを調べた。尚、強度は実施例1と同様、引張試験を行い室温強度を測定した。その結果を表18に示す。
【0093】
【表18】
Figure 0003652431
【0094】
表の結果から明らかな様に、上記時効硬化熱処理を施すことにより、引張強度を500MPaまで高めることができた。
【0095】
実施例9
表19に示す組成のAl−Cu系合金(いずれも残部Al)を、実施例1と同様にして造塊した。
【0096】
【表19】
Figure 0003652431
【0097】
この様にして得られたインゴットを均熱処理(490℃で24時間)した後、熱間圧延(温度:400℃、総圧下率:85%)を行い、熱間圧延性の良否を実施例1と同様の基準で評価した。
【0098】
次に熱間圧延によって厚みを20mmにした板から引張試験用板片(JIS13号B型)を切り出し、T6処理(500℃で1時間の溶体化処理および180℃で10時間の時効処理)を施した後、実施例1と同様にして引張試験を行って室温強度および伸びを測定した。更にこれらの板を実施例1と同様に再鋳造し、スクラップの再生が可能か否かを調べると共に、X線回折によるホウ素化合物の体積率および凝集の程度を調査し、組織観察も合わせて行った。得られた結果を表20にまとめて記載し、代表的な組織写真を図7に示す。尚、図7(a)は本発明例であるNo.109の写真を、図7(b)は比較例であるNo.110の写真を夫々示す。
【0099】
【表20】
Figure 0003652431
【0100】
これらの結果から以下の様に考察することができる。
本発明の要件を全て満足するAl−Cu系合金は、いずれも強度・延性に優れており、AlB2 が80%以上存在し、且つホウ素化合物の凝集も認められなかった。更に熱間圧延加工性も良好で、スクラップの再生が可能であることが分かった。このうち、Mg,Mn,Cr,Zr,ZnまたはTi量が本発明の範囲を超えて含有する合金(No.121〜126)は、延性が若干低下したこと以外は、全て良好な特性を有するものであった。
これに対して本発明の要件を満足しない合金は、中性子吸収能の低下、熱間圧延加工性の低下によるスクラップ再生不良、強度の低下といった不都合が生じた。
【0101】
実施例10
表21に示す組成のAl−Cu系合金(いずれも残部Al)を用い、実施例2における鋳造条件で造塊した。尚、表中のNo.109〜114は、前記表19のものと同一の組成および鋳造法を施したものであるので、同一番号を付けた。
【0102】
【表21】
Figure 0003652431
【0103】
この様にして得られた一部のインゴット(No.109,110,127)について、実施例2と同様にしてホウ素の偏析を調べた。その結果を図8に示す。
次に、上記各インゴットについて実施例3と同様にして、ホウ素化合物の形態、スクラップ再生の可否およびホウ素の偏析の程度を調べた。得られた結果を表22にまとめて示す。
【0104】
【表22】
Figure 0003652431
【0105】
これらの結果から以下の様に考察することができる。
本発明法によって得られたA−Cu系合金は、いずれもホウ素の偏析やホウ素化合物の凝集が見られず、AlB2 が80%以上存在しているのでスクラップの再生が可能であり、且つ強度・延性にも優れていることが分かった。
これに対して本発明法によらない合金は、中性子吸収能の低下、ホウ素化合物の凝集に基づくスクラップの再生不良、強度の低下が見られた。
【0106】
実施例11
表23に示す組成のAl−Mn系合金(いずれも残部Al)を、実施例1と同様にして造塊した。
【0107】
【表23】
Figure 0003652431
【0108】
この様にして得られたインゴットを均熱処理(570℃で10時間)した後、熱間圧延(温度:450℃、総圧下率:85%)を行い、熱間圧延性の良否を実施例1と同様の基準で評価した。
【0109】
次に熱間圧延によって厚みを20mmにした板から引張試験用板片(JIS13号B型)を切り出し、焼鈍処理(200℃で1時間)を施した後、実施例1と同様にして引張試験を行って室温強度および伸びを測定した。更にこれらの板を実施例1と同様に再鋳造し、スクラップの再生が可能か否かを調べると共に、X線回折によるホウ素化合物の体積率および凝集の程度を調査し、組織観察も合わせて行った。得られた結果を表24にまとめて記載し、代表的な組織写真を図9に示す。尚、図9(a)は本発明例であるNo.136の写真を、図9(b)は比較例であるNo.137の写真を夫々示す。
【0110】
【表24】
Figure 0003652431
【0111】
これらの結果から以下の様に考察することができる。
本発明の要件を全て満足するAl−Mn系合金は、いずれも強度・延性に優れており、AlB2 が80%以上存在し、且つホウ素化合物の凝集も認められなかった。更に熱間圧延加工性も良好で、スクラップの再生が可能であることが分かった。このうち、Mg,Cu,Cr,Zr,ZnまたはTi量が本発明の範囲を超えて含有する合金(No.148〜153)は、延性が若干低下したこと以外は、全て良好な特性を有するものであった。
これに対して本発明の要件を満足しない合金は、中性子吸収能の低下、熱間圧延加工性の低下によるスクラップ再生不良、強度の低下といった不都合が生じた。
【0112】
実施例12
表25に示す組成のAl−Mn系合金(いずれも残部Al)を用い、実施例2における鋳造条件で造塊した。尚、表中のNo.136〜141は、前記表23のものと同一の組成および鋳造法を施したものであるので、同一番号を付けた。
【0113】
【表25】
Figure 0003652431
【0114】
この様にして得られた一部のインゴット(No.136,137,154)について、実施例2と同様にしてホウ素の偏析を調べた。その結果を図10に示す。
次に、上記各インゴットについて実施例3と同様にして、ホウ素化合物の形態、スクラップ再生の可否およびホウ素の偏析の程度を調べた。得られた結果を表26にまとめて示す。
【0115】
【表26】
Figure 0003652431
【0116】
これらの結果から以下の様に考察することができる。
本発明法によって得られたAl−Mn系合金は、いずれもホウ素の偏析やホウ素化合物の凝集が見られず、AlB2 が80%以上存在しているのでスクラップの再生が可能であり、且つ強度・延性にも優れていることが分かった。
これに対して本発明法によらない合金は、中性子吸収能の低下、ホウ素化合物の凝集に基づくスクラップの再生不良、強度の低下が見られた。
【0117】
実施例13
表27に示す組成の純Al系合金(No.163〜176,いずれも残部Al)を、実施例1と同様にして造塊した。
【0118】
【表27】
Figure 0003652431
【0119】
この様にして得られたインゴットを均熱処理(490℃で24時間)した後、熱間圧延(温度:400℃、総圧下率:85%)を行い、熱間圧延性の良否を実施例1と同様の基準で評価した。
【0120】
次に熱間圧延によって厚みを20mmにした板から引張試験用板片(JIS
13号B型)を切り出し、焼鈍処理(345℃で2時間)を施した後、実施例1と同様にして引張試験を行って室温強度および伸びを測定した。更にこれらの板を実施例1と同様に再鋳造し、スクラップの再生が可能か否かを調べると共に、X線回折によるホウ素化合物の体積率および凝集の程度を調査し、組織観察も合わせて行った。得られた結果を表28にまとめて記載し、代表的な組織写真を図11に示す。尚、図11(a)は本発明例であるNo.163の写真を、図11(b)は比較例であるNo.164の写真を夫々示す。
【0121】
【表28】
Figure 0003652431
【0122】
これらの結果から以下の様に考察することができる。
本発明の要件を全て満足する純Al系合金は、いずれも強度・延性に優れており、AlB2 が80%以上存在し、且つホウ素化合物の凝集も認められなかった。更に熱間圧延加工性も良好で、スクラップの再生が可能であることが分かった。
【0123】
これに対して本発明の要件を満足しない合金は、中性子吸収能の低下、熱間圧延加工性の低下によるスクラップ再生不良といった不都合が生じた。また、FeおよびSiが本発明の好ましい要件を満足しない合金(No.175、176)は、伸びや熱間圧延性が低下し、粗大化合物の析出が見られた。
【0124】
実施例14
表29に示す組成の純Al系合金(いずれも残部Al)を用い、実施例2における鋳造条件で造塊した。尚、表中のNo 163〜168及び170は、前記表27のものと同一の組成および鋳造法を施したものであるので、同一番号を付けた。
【0125】
【表29】
Figure 0003652431
【0126】
この様にして得られた一部のインゴット(No.163,164,177)について、実施例2と同様にしてホウ素の偏析を調べた。その結果を図12に示す。
次に、上記各インゴットについて実施例3と同様にして、ホウ素化合物の形態、スクラップ再生の可否およびホウ素の偏析の程度を調べると共に、組織観察を行った。得られた結果を表30にまとめて示す。
【0127】
【表30】
Figure 0003652431
【0128】
これらの結果から以下の様に考察することができる。
本発明法によって得られた純Al系合金は、いずれもホウ素の偏析やホウ素化合物の凝集が見られず、AlB2 が80%以上存在しているのでスクラップの再生が可能であり、且つ強度・延性にも優れていることが分かった。
これに対して本発明法によらない合金は、中性子吸収能の低下、ホウ素の偏析、ホウ素化合物の凝集に基づくスクラップの再生不良が見られた。
【0129】
実施例15
表31に示す組成のAl−Mg−Zn系合金(いずれも残部Al)を用い、炉内圧力を同表に併記する如く設定し、実施例1におけるAの鋳造条件にて造塊した。
この様にして得られたインゴットについて、実施例5と同様にして残留水素濃度を測定すると共に、各インゴットを、実施例1と同様に均熱処理した後、熱間圧延を行い、実施例5と同様にして、ホウ素の偏析の程度および圧延板の表面性状を評価した。得られた結果を表32に示す。
【0130】
【表31】
Figure 0003652431
【0131】
【表32】
Figure 0003652431
【0132】
これらの結果から以下の様に考察することができる。
No.184〜189およびNo.191は、鋳造時の圧力を調整することにより残留水素濃度を本発明の好ましい範囲に制御した例であるが、この様な制御のなされていない本発明例(No.181〜183)に比べて、ホウ素の偏析の程度が著しく改善されており、且つ熱間圧延時の表面性状も良好であることが分かる。
【0133】
実施例16
表33に示す組成のAl−Cu系合金(いずれも残部Al)を用い、炉内圧力を同表に併記する如く設定し、実施例1におけるAの鋳造条件にて造塊した。
この様にして得られたインゴットについて、実施例5と同様にして残留水素濃度を測定すると共に、各インゴットを、実施例1と同様に均熱処理した後、熱間圧延を行い、実施例5と同様にして、ホウ素の偏析の程度および圧延板の表面性状を評価した。得られた結果を表34に示す。
【0134】
【表33】
Figure 0003652431
【0135】
【表34】
Figure 0003652431
【0136】
これらの結果から以下の様に考察することができる。
No.196〜201およびNo.203は、鋳造時の圧力を調整することにより残留水素濃度を本発明の好ましい範囲に制御した例であるが、この様な制御のなされていない本発明例(No.193〜195)に比べて、ホウ素の偏析の程度が著しく改善されており、且つ熱間圧延時の表面性状も良好であることが分かる。
【0137】
実施例17
表35に示す組成のAl−Mn系合金(いずれも残部Al)を用い、炉内圧力を同表に併記する如く設定し、実施例1におけるAの鋳造条件にて造塊した。
この様にして得られたインゴットについて、実施例5と同様にして残留水素濃度を測定すると共に、各インゴットを、実施例1と同様に均熱処理した後、熱間圧延を行い、実施例5と同様にして、ホウ素の偏析の程度および圧延板の表面性状を評価した。得られた結果を表36に示す。
【0138】
【表35】
Figure 0003652431
【0139】
【表36】
Figure 0003652431
【0140】
これらの結果から以下の様に考察することができる。
No.208〜213およびNo.215は、鋳造時の圧力を調整することにより残留水素濃度を本発明の好ましい範囲に制御した例であるが、この様な制御のなされていない本発明例(No.205〜207)に比べて、ホウ素の偏析の程度が著しく改善されており、且つ熱間圧延時の表面性状も良好であることが分かる。
【0141】
実施例18
表37に示す組成の純Al系合金(いずれも残部Al)を用い、炉内圧力を同表に併記する如く設定し、実施例1におけるAの鋳造条件にて造塊した。
この様にして得られたインゴットについて、実施例5と同様にして残留水素濃度を測定すると共に、各インゴットを、実施例1と同様に均熱処理した後、熱間圧延を行い、実施例5と同様にして、ホウ素の偏析の程度および圧延板の表面性状を評価した。得られた結果を表38に示す。
【0142】
【表37】
Figure 0003652431
【0143】
【表38】
Figure 0003652431
【0144】
これらの結果から以下の様に考察することができる。
No.220〜225およびNo.227は、鋳造時の圧力を調整することにより残留水素濃度を本発明の好ましい範囲に制御した例であるが、この様な制御のなされていない本発明例(No.217〜219)に比べて、ホウ素の偏析の程度が著しく改善されており、且つ熱間圧延時の表面性状も良好であることが分かる。
【0145】
実施例19
表39〜44に示す種々の組成の合金(いずれも残部Al)を、実施例1と同様にして造塊した(鋳造条件はAを選択)。
この様にして得られたインゴットを均熱処理(490℃で24時間)した後、熱間圧延(温度:400℃、総圧下率:85%)を行い、熱間圧延性の良否を実施例1と同様の基準で評価した。
【0146】
次に熱間圧延によって厚みを20mmにした板から引張試験用板片(JIS13号B型)を切り出した後、各成分系に応じて、以下の熱処理を施した後、実施例1と同様にして引張試験を行って室温強度および伸びを測定した。
純Al系合金:焼鈍処理(345℃で2時間処理した後、放置冷却)
Al−Mg系合金:T4処理(530℃で1時間の溶体化処理)
Al−Mg−Si系合金:T6処理(530℃で1時間の溶体化処理および180℃で24時間の時効処理)
Al−Cu系合金:T6処理(500℃で1時間の溶体化処理および180℃で10時間の時効処理)
Al−Mn系合金:焼鈍処理(200℃で1時間)
Al−Zn−Mg系合金:T6処理(480℃で1時間の溶体化処理および120℃で24時間の時効処理)
【0147】
更に、これらの板を実施例1と同様に再鋳造し、スクラップの再生が可能か否かを調べると共に、X線回折によるホウ素化合物の体積率を調査した。得られた結果を、各成分系毎に表45〜50に示す。
【0148】
【表39】
Figure 0003652431
【0149】
【表40】
Figure 0003652431
【0150】
【表41】
Figure 0003652431
【0151】
【表42】
Figure 0003652431
【0152】
【表43】
Figure 0003652431
【0153】
【表44】
Figure 0003652431
【0154】
【表45】
Figure 0003652431
【0155】
【表46】
Figure 0003652431
【0156】
【表47】
Figure 0003652431
【0157】
【表48】
Figure 0003652431
【0158】
【表49】
Figure 0003652431
【0159】
【表50】
Figure 0003652431
【0160】
これらの結果から以下の様に考察することができる。
本発明の要件を全て満足する各合金は、いずれも強度・延性に優れており、AlB2 が80%以上存在し、且つホウ素化合物の凝集も認められなかった。更に熱間圧延加工性も良好で、スクラップの再生が可能であることが分かった。
これに対して本発明の要件を満足しない合金は、中性子吸収能の低下、熱間圧延加工性の低下によるスクラップ再生不良、強度や伸びの低下といった不都合が生じた。
【0161】
【発明の効果】
本発明のホウ素含有Al基合金は、上記の様に構成されているので、優れた中性子吸収作用を有することは勿論のこと、強度・延性等の機械的特性に優れており、熱間圧延加工性も良好で、スクラップの再生が可能であることが分かった。このうち、特にAl−Mn系合金は、比較的安価であり、製造コスト低減化の面からも有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における組織写真である。
【図2】実施例2における溶解温度とホウ素濃度の関係を示すグラフである。
【図3】実施例3における組織写真である。
【図4】実施例4における溶解温度とホウ素濃度の関係を示すグラフである。
【図5】実施例6における組織写真である。
【図6】実施例7における溶解温度とホウ素濃度の関係を示すグラフである。
【図7】実施例9における組織写真である。
【図8】実施例10における溶解温度とホウ素濃度の関係を示すグラフである。
【図9】実施例11における組織写真である。
【図10】実施例12における溶解温度とホウ素濃度の関係を示すグラフである。
【図11】実施例13における組織写真である。
【図12】実施例14における溶解温度とホウ素濃度の関係を示すグラフである。

Claims (15)

  1. B:0.5〜1.5%(質量%,以下同じ)、並びに残部:Al及び不可避不純物であり、且つ10B/(10B+11B)≧95%を満足すると共に、全ホウ素化合物中におけるAlB2の占める割合が体積率で80%以上であることを特徴とする中性子吸収作用を有するホウ素含有Al基合金。
  2. 更にMg:2〜8%を含有する請求項1に記載のホウ素含有Al基合金。
  3. 更に、
    Cu:0.6%以下(0%を含まない),
    Mn:1.0%以下(0%を含まない),
    Cr:0.4%以下(0%を含まない),
    Zr:0.3%以下(0%を含まない),
    Zn:0.5%以下(0%を含まない),
    Ti:0.3%以下(0%を含まない)
    よりなる群から選択される少なくとも1種を含有する請求項2に記載のホウ素含有Al基合金。
  4. 更にMg:0.3〜1.5%およびSi:0.3〜1.5%を含有する請求項1に記載のホウ素含有Al基合金。
  5. 更に、
    Cu:0.6%以下(0%を含まない),
    Mn:1.0%以下(0%を含まない),
    Cr:0.4%以下(0%を含まない),
    Zr:0.3%以下(0%を含まない),
    Zn:0.5%以下(0%を含まない),
    Ti:0.3%以下(0%を含まない)
    よりなる群から選択される少なくとも1種を含有する請求項4に記載のホウ素含有Al基合金。
  6. 更にMg:1.0〜4.0%およびZn:0.8〜8.0%を含有する請求項1に記載のホウ素含有Al基合金。
  7. 更に、
    Cu:3.0%以下(0%を含まない),
    Mn:1.0%以下(0%を含まない),
    Cr:0.4%以下(0%を含まない),
    Zr:0.3%以下(0%を含まない),
    Ti:0.3%以下(0%を含まない)
    よりなる群から選択される少なくとも1種を含有する請求項6に記載のホウ素含有Al基合金。
  8. 更にCu:1.5〜7.0%を含有する請求項1に記載のホウ素含有Al基合金。
  9. 更に、
    Mg:1.8%以下(0%を含まない),
    Mn:1.2%以下(0%を含まない),
    Cr:0.4%以下(0%を含まない),
    Zr:0.3%以下(0%を含まない),
    Zn:0.5%以下(0%を含まない),
    Ti:0.3%以下(0%を含まない)
    よりなる群から選択される少なくとも1種を含有する請求項8に記載のホウ素含有Al基合金。
  10. 更にMn:0.3〜2.0%を含有する請求項1に記載のホウ素含有Al基合金。
  11. 更に、
    Mg:1.8%以下(0%を含まない),
    Cu:0.6%以下(0%を含まない),
    Cr:0.4%以下(0%を含まない),
    Zr:0.3%以下(0%を含まない),
    Zn:0.5%以下(0%を含まない),
    Ti:0.3%以下(0%を含まない)
    よりなる群から選択される少なくとも1種を含有する請求項10に記載のホウ素含有Al基合金。
  12. Fe:2.0%以下(0%を含む)およびSi:1.5%以下(0%を含む)である請求項1〜3、6〜11のいずれかに記載のホウ素含有Al基合金。
  13. Fe:2.0%以下(0%を含む)である請求項4または5に記載のホウ素含有Al基合金。
  14. 残留水素濃度を0.6ppm以下(0ppmを含む)に抑制したものである請求項1〜13のいずれかに記載のホウ素含有Al基合金。
  15. 表面膨れの少ない請求項14に記載のホウ素含有Al基合金。
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