JPH09165637A - ホウ素含有Al基合金およびその製造方法 - Google Patents

ホウ素含有Al基合金およびその製造方法

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JPH09165637A
JPH09165637A JP8015800A JP1580096A JPH09165637A JP H09165637 A JPH09165637 A JP H09165637A JP 8015800 A JP8015800 A JP 8015800A JP 1580096 A JP1580096 A JP 1580096A JP H09165637 A JPH09165637 A JP H09165637A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 強度・延性や加工性等の機械的特性に優れる
と共に、スクラップの再生が可能な中性子吸収作用を有
するホウ素含有Al基合金を提供する。 【解決手段】 Mg:2〜8%(質量%,以下同じ)お
よびB:0.5〜1.5%を含有し、且つ10B/(10
11B)≧95%を満足すると共に、全ホウ素化合物中
におけるAlB2 の占める割合が体積率で80%以上で
あるホウ素含有Al基合金である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、使用済み核燃料の
輸送容器や貯蔵容器等の構造用材料として有用な、中性
子吸収作用を有するホウ素含有Al基合金およびその製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】中性子吸収作用を有する構造用材料とし
て、Al合金中にホウ素を添加した合金が用いられてい
る。この様な合金を製造するには、通常、Al溶湯中に
ホウ素を粉末状またはAl−B合金の形で添加するか、
あるいはAl溶湯中にKBF4等のホウ弗化物の形で添
加してAl−B金属間化合物を生成する方法が用いられ
ているが、強度や延性等の機械的特性を高める為に種々
の改良が施されている。
【0003】例えば特開平1−312044号公報に
は、ホウ素を、12ホウ化アルミニウム(AlB12)の
粉末または少なくともAlB12を主に含むAl−B母合
金の状態で添加することによりBとMgの反応を抑制
し、それら金属間化合物の生成に基づく強度の低下を図
る方法が開示されている。また特開平1−312043
号公報には、BとMgの反応を抑制する為に、溶解処理
を1200℃以上の高温度領域で行う方法が開示されて
いる。更に特開平4−333542号公報には、溶湯の
高粘性を解消して成形加工性を高めることを目的とし
て、680〜850℃の温度域でKBF4 をAlと反応
させ、生成したAlB2 結晶を含むAl−B合金溶湯中
にK2 TiF6 を少量添加することにより、粘性の低い
鋳込性の良いAl−B合金を得る方法が開示されてい
る。
【0004】しかしながら、これらの方法で製造された
合金は、いずれも一旦固まった後は再利用できないとい
う問題がある。即ちスクラップ合金を再度溶解すると、
非常に安定で且つ脆い金属間化合物AlB12が不可避的
に生成する為、構造用材料として再利用する上で問題が
ある。更に構造用材料として再生するには、スクラップ
合金を熱間圧延したり押出し加工等を施す必要がある
が、全ホウ素化合物中におけるAlB12の占める割合が
体積率で20%を超えて存在すると加工が非常に困難と
なり、このこともスクラップ合金の再利用を困難にする
原因となっている。
【0005】上述した方法のうち特開平4−33354
2号公報に記載の合金は、Tiを0.001〜0.05
重量%含有すると共に、ホウ素が全てAlB2 結晶から
なるAl−B合金であるが、この合金はMg,Si等を
含有していない為強度等の機械的特性に劣る他、再溶解
するとAlB12が不可避的に生成し、スクラップ合金の
再利用ができないという不具合を伴っている。
【0006】更に上記の方法ではいずれも天然ホウ素を
使用している。そもそもホウ素は10B(約20%)と11
B(約80%)からなる同位体組成を有しており、この
うち優れた中性子吸収能を有するのは主に10Bである。
その為、所望の中性子吸収作用を得るには、実際のとこ
ろ約2.5〜7.5%の天然ホウ素を使用する必要があ
り、高価なホウ素を多量に使用する為、製造コストが上
昇するという問題も伴っている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述した事情
に着目してなされたものであり、その目的は製造コスト
を低減できると共に、スクラップの再生が可能であり、
強度や延性などの機械的特性も良好な中性子吸収作用を
有するホウ素含有Al基合金およびその製造方法を提供
することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
のできた本発明のホウ素含有Al基合金は、B:0.5
〜1.5%(質量%,以下同じ)、並びに残部:Al及
び不可避不純物であり、且つ10B/(10B+11B)≧9
5%を満足すると共に、全ホウ素化合物中におけるAl
2 の占める割合が体積率で80%以上であるところに
要旨を有するものである。
【0009】具体的には、本発明のホウ素含有Al基合
金は、以下の成分系を包含するものである。 更にMg:2〜8%を含有するに記載のホウ素含有A
l−Mg系合金。 更にMg:0.3〜1.5%およびSi:0.3〜
1.5%を含有するホウ素含有Al−Mg−Si系合
金。 更にMg:1.0〜4.0%およびZn:0.8〜
8.0%を含有するホウ素含有Al−Mg−Zn系合
金。 更にCu:1.5〜7.0%を含有するホウ素含有A
l−Cu系合金。 更にMn:0.3〜2.0%を含有するホウ素含有A
l−Mn系合金。 これら〜の各合金は、夫々以下の選択許容元素(い
ずれの元素も0%を含まない)を積極的に添加すること
ができる。
【0010】前記またはの合金において、更に、
Cu:0.6%以下,Mn:1.0%以下,Cr:0.
4%以下,Zr:0.3%以下,Zn:0.5%以下,
Ti:0.3%以下よりなる群から選択される少なくと
も1種を含有するホウ素含有Al−Mg系合金またはホ
ウ素含有Al−Mg−Si系合金。 前記の合金において、更に、Cu:3.0%以下,
Mn:1.0%以下,Cr:0.4%以下,Zr:0.
3%以下,Ti:0.3%以下よりなる群から選択され
る少なくとも1種を含有するホウ素含有Al−Zn−M
g系合金。 前記の合金において、更に、Mg:1.8%以下,
Mn:1.2%以下,Cr:0.4%以下,Zr:0.
3%以下,Zn:0.5%以下,Ti:0.3%以下よ
りなる群から選択される少なくとも1種を含有するホウ
素含有Al−Cu系合金。 前記の合金において、更に、Mg:1.8%以下,
Cu:0.6%以下,Cr:0.4%以下,Zr:0.
3%以下,Zn:0.5%以下,Ti:0.3%以下よ
りなる群から選択される少なくとも1種を含有するホウ
素含有Al−Mn系合金。
【0011】更に、上記Al−Mg−Si系合金におい
て、Fe:2.0%以下(0%を含む)であるものや、
前記Al−Mg−Si系合金を除く他の合金において、
Fe:2.0%以下(0%を含む)およびSi:1.5
%以下(0%を含む)であるものは、本発明の好ましい
実施態様である。また、これらの合金において、表面膨
れの少ない表面性状に優れた合金を得ることを目的とし
て、残留水素濃度を0.6ppm以下(0ppmを含
む)に抑制したものは本発明の好ましい実施態様であ
る。
【0012】この様な要件を満足する本発明のホウ素含
有Al基合金を製造する方法は、同位元素10Bの含有量
が95%以上である濃縮ホウ素:0.5〜1.5%を用
い、溶解温度:900℃以上1200℃未満で造塊する
ところに要旨を有するものである。ここで、鋳造時の凝
固速度を0.1℃/秒以上に高めたり、圧力を500T
orr以下に制御して鋳造することは本発明の好ましい
実施態様である。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明では、スクラップの再生が
可能であって、且つ強度や加工性等の機械的特性の良好
なホウ素含有Al基合金およびその製造方法を提供すべ
く、特に溶解時の溶解温度に着目して検討を重ねていっ
た。溶解温度を制御する公知の方法としては上述した特
開平1−312043号公報に記載の方法が挙げられる
が、この方法によれば、BとMgの反応を抑制して強度
を高める為に、溶解温度を従来の700〜800℃とい
う低温度領域から、一挙に1200℃以上にまで(好ま
しくは1200〜1500℃)高めて処理している。し
かしながら、この様な高温度領域で溶解処理すると、M
gが蒸発して強度等の機械的特性を確保することが困難
であることが分かった。
【0014】そこで、本発明者等がこの様な不都合を解
消すべく更に鋭意検討したところ、BとMgの反応を抑
制することができる溶解温度は900℃以上1200℃
未満であれば良く、この様な温度領域で溶解処理すれば
上述したMg蒸発による機械的特性の低下も回避するこ
とができ、且つ本発明における最大目標であるスクラッ
プの再生が可能で、且つ良好な機械的特性を備えたホウ
素含有Al基合金が得られることを見出した。更に従来
の方法では、造塊条件については特に制御しておらず、
通常の大気雰囲気下(1atm,760Torr)で、
鋳造時の凝固速度(凝固までの冷却速度)を0.1℃/
秒未満にして造塊していたが、この凝固速度や圧力につ
いても上記目的を達成するには大きな役割を果たすこと
を見出し、これらを総合的に勘案して本発明を完成した
のである。
【0015】まず、本発明のホウ素含有Al基合金につ
いて説明する。本発明のホウ素含有Al基合金は、具体
的には、後記するAl−Mg系合金、Al−Mg−
Si系合金、Al−Zn−Mg系合金、Al−Cu
系合金、Al−Mn系合金等に代表されるが、いずれ
の場合においても、ホウ素はB:0.5〜1.5%を含
有し、且つ10B/(10B+11B)≧95%を満足するこ
とが必要である。
【0016】この様に本発明のホウ素含有Al基合金中
には、10B/(10B+11B)≧95%を満足するBを
0.5〜1.5%含有する点に第1の特徴を有する。上
述した様に、ホウ素は10B(約20%)と11B(約80
%)からなる同位体組成を有しているが、優れた中性子
吸収能を有するのは10Bであることから、ホウ素添加に
よる中性子吸収作用を有効に発揮させるには、合金中に
10Bが95%以上存在すれば良いのである。この様な条
件を満足するものとしては、後記する製造方法でも詳述
するが、例えば同位元素10Bの含有量が95%以上であ
る濃縮ホウ素を原料として使用することが推奨される。
この様な濃縮ホウ素を用いれば、従来の天然ホウ素を原
料として用いる場合に比べてその使用量を低減できると
共に、この濃縮ホウ素は中性子吸収能を有する10Bのみ
を高度に濃縮したものであるので、その作用を一層有効
に発揮し得るのである。ここで、ホウ素による中性子吸
収作用を有効に発揮させるには0.5%以上の添加が必
要である。好ましくは0.6%以上であり、より好まし
いのは0.7%以上である。一方、1.5%を超えて添
加してもその効果が飽和するだけで経済的に無駄である
ばかりか、再生利用や加工処理等に悪影響を及ぼすAl
12が多量に生成する等の不都合を生じる。好ましくは
1.3%以下であり、より好ましいのは1.2%以下で
ある。上述したB以外に含有する元素については、各合
金毎に個別に説明する。
【0017】Al−Mg系合金Mg:2〜8% Mgは固溶体硬化作用および加工硬化作用を有し、強度
を高める元素である。この様な作用を有効に発揮させる
には2%以上の添加が必要であり、2%未満では強度が
不足する。好ましい下限値は3%であり、より好ましい
のは4%である。一方、8%を超えて添加すると延性が
低下し、耳割れや表面割れ等を生じて圧延等の加工処理
が困難となる。好ましい上限値は7%であり、より好ま
しいのは6%である。
【0018】Al−Mg−Si系合金Mg:0.3〜1.5%およびSi:0.3〜1.5% MgとSiはMg2 Siを形成して硬化に寄与する。こ
の様な作用を有効に発揮させるには夫々0.3%以上の
添加が必要であり、0.3%未満では強度不足を招く。
好ましい下限値はMg:0.4%およびSi:0.4%
であり、より好ましいのはMg:0.5%およびSi:
0.5%である。一方、1.5%を超えて添加すると粗
大な化合物が形成されて脆くなるので1.5%以下にす
ることが必要である。好ましい上限値は1.4%であ
り、より好ましいのは1.3%である。
【0019】上記Al−Mg系合金およびAl−Mg−
Si系合金は、更に以下の元素を1種または2種以上、
積極的に含有することができる。 Cu:0.6%以下,Mn:1.0%以下,Cr:0.
4%以下,Zr:0.3%以下,Ti:0.3%以下,
Zn:0.5%以下 これらはいずれも機械的特性(強度、延性、靭性、硬化
等)の向上に寄与する元素である。
【0020】このうちCuはAl2 CuMgを形成して
硬化に寄与する元素である。0.6%を超えると粗大な
Al2 CuMgが形成され脆くなるのでその上限を0.
6%とすることが好ましい。より好ましいのは0.5%
以下である。
【0021】またMn,Cr,ZrおよびTiは結晶粒
を微細化し、強度、延性、靭性等を向上させる元素であ
る。これらの添加量が上記範囲を超えると粗大な化合物
が形成されて脆くなる。より好ましい上限値はMn:
0.9%,Cr:0.3%、Zr:0.2%、Ti:
0.2%である。
【0022】更にZnは強度の向上に寄与する元素であ
るが、添加量が上記範囲を超えると粗大なAl−Zn系
化合物が形成され脆くなる。より好ましい上限値はAl
−Mg系合金の場合0.4%であり、Al−Mg−Si
系合金の場合は0.3%である。
【0023】Al−Zn−Mg系合金Zn:0.8〜8.0%およびMg:1.0〜4.0% ZnとMgは、Mg3 Zn3 Al2 、MgZn2 および
その準安定相であるη’相等の化合物を形成することに
より硬化に寄与すると共に、強度向上作用を有する元素
である。即ち、これらの化合物は、所定の熱処理(後記
する)を施すと時効析出するので、その結果、450M
Pa以上の引張強度を得ることができる。この様な作用
を有効に発揮させるにはZn:0.8%以上、Mg:
1.0%以上の添加が必要であり、各下限値未満では強
度不足を招く。好ましい下限値はZn:0.9%および
Mg:1.1%であり、より好ましいのはZn:1.0
%およびMg:1.2%である。一方、Zn:8.0
%、Mg:4.0%を超えて添加すると粗大なAl−Z
n系化合物が形成されて脆くなる他、耐応力腐食割れ性
も低下する。好ましい上限値はZn:7.9%、Mg:
3.9%であり、より好ましいのはZn:7.8%、M
g:3.8%である。
【0024】上記Al−Zn−Mg系合金は、更に以下
の元素を1種または2種以上、積極的に含有することが
できる。 Cu:3.0%以下,Mn:1.0%以下,Cr:0.
4%以下,Zr:0.3%以下,Ti:0.3%以下 これらの元素はいずれも、上述した様に機械的特性(強
度、延性、靭性、硬化等)の向上に寄与する元素であ
る。
【0025】このうちCuはAl2 CuMgやAl2
u等の化合物を形成して硬化に寄与する。Cuが3.0
%以下であればこれらの化合物は固溶しているが、3.
0%を超えると、後述する時効硬化熱処理時において高
温域での過飽和度が高くなり、粗大な化合物が形成され
脆くなる。より好ましいのは2.9%以下である。
【0026】またMn,Cr,ZrおよびTiは、上述
した様に結晶粒を微細化し、強度、延性、靭性等を向上
させる。より好ましい上限値はMn:0.9%,Cr:
0.3%、Zr:0.2%、Ti:0.2%である。
【0027】Al−Cu系合金Cu:1.5〜7.0% Cuは時効析出することにより硬化や強度の上昇に寄与
する。即ち、Al−Cu系合金において、Cuは、α→
GPゾーン→θ’相→θ相といった一連の析出過程にお
いてAl2 Cu(θ相)や、その中間相であるGPゾー
ンやθ’相を形成し、硬化や強度上昇作用を発揮する。
この様な作用を有効に発揮させるには1.5%以上の添
加が必要であり、1.5%未満では強度不足を招く。好
ましい下限値は1.6%であり、より好ましくは1.7
%である。一方、7.0%を超えて添加すると粗大な析
出物を形成して脆くなる。好ましい上限値は6.9%で
あり、より好ましくは6.8%である。
【0028】上記Al−Cu系合金は、更に以下の元素
を1種または2種以上、積極的に含有することができ
る。 Mg:1.8%以下,Mn:1.2%以下,Cr:0.
4%以下,Zr:0.3%以下,Zn:0.5%以下,
Ti:0.3%以下 これらはいずれも機械的特性(強度、延性、靭性、硬化
等)の向上に寄与する元素である。
【0029】このうちMgは、Al2 CuMgやAl6
CuMg4 等の化合物が時効析出することにより、強度
や硬化の上昇に寄与する。特に、Cu量が少ない範囲で
は、Mgによる硬化作用が支配的になってくる。しかし
ながら、Mgの添加量が1.8%を超えると粗大な化合
物が形成され脆くなる。より好ましい上限値は1.7%
である。
【0030】またMn,Cr,ZrおよびTiは、上述
した様に結晶粒を微細化し、強度、延性、靭性等を向上
させる。これらの添加量が上記範囲を超えると粗大な化
合物が形成されて脆くなる。より好ましい上限値はM
n:1.1%,Cr:0.3%、Zr:0.2%、T
i:0.2%である。更にZnは強度の向上に寄与する
が、添加量が0.5%を超えると粗大なAl−Zn系化
合物が形成され脆くなる。より好ましい上限値は0.4
%である。
【0031】Al−Mn系合金Mn:0.3〜2.0% Mnは、固溶硬化作用および加工硬化作用を有し、強度
の上昇に寄与する。この様な作用を有効に発揮させるに
は、Mn:0.3%以上の添加が必要であり、これより
少ないと強度不足を招く。好ましい下限値は0.4%で
あり、より好ましくは0.5%である。一方、2.0%
を超えて添加すると、粗大な析出物を形成して脆くな
る。好ましい上限値は1.9%であり、より好ましくは
1.8%である。
【0032】上記Al−Mn系合金は、更に以下の元素
を1種または2種以上、積極的に含有することができ
る。 Mg:1.8%以下,Cu:0.6%以下,Cr:0.
4%以下,Zr:0.3%以下,Zn:0.5%以下,
Ti:0.3%以下 これらはいずれも機械的特性(強度、延性、靭性、硬化
等)の向上に寄与する元素である。
【0033】このうちMgは、固溶強化して硬化に寄与
する。Mgの添加量が1.8%を超えると粗大な化合物
を形成して脆くなる。より好ましい上限値は1.7%で
ある。またCuは、Al2 CuやAl2 CuMg等を形
成して硬化に寄与する。しかしながら0.6%を超える
と粗大なAl2 CuMgを形成して脆くなるのでその上
限を0.6%とすることが好ましい。より好ましくは
0.5%以下である。
【0034】また、Cr,ZrおよびTiは、上述した
様に結晶粒を微細化し、強度、延性、靭性等を向上させ
る。これらの添加量が上記範囲を超えると粗大な化合物
が形成されて脆くなる。より好ましい上限値はCr:
0.3%、Zr:0.2%、Ti:0.2%である。Z
nは強度の向上に寄与するが、添加量が0.5%を超え
ると粗大なAl−Zn系化合物が形成され脆くなる。よ
り好ましい上限値は0.4%である。
【0035】更に、上記のAl−Mg−Si系合金に
おいてFe:2.0%以下(0%を含む)であるもの、
或いは、のAl−Mg−Si系合金を除く〜の合
金や純Al系合金においてFe:2.0%以下(0%を
含む)およびSi:1.5%以下(0%を含む)である
ものは、本発明の好ましい実施態様である。
【0036】FeやSiは、Al合金中に、通常、不可
避的に不純物として混入している。これらの元素は、A
l合金中で、Al−Fe系[Al3 Fe,AlmFe
(m:3〜6の整数)等]またはAl−Fe−Si系
(α−AlFeSi等)の種々の晶出物および析出物を
形成し、結晶粒の微細化や加工性(圧延、押出し、引抜
き等)を高める作用を有する。
【0037】具体的には、例えば純Al系においては、
FeやSiの添加により、上記作用に加えて、硬化や成
形性を高めることができる他、Siの添加によって耐食
性向上作用も得られる。
【0038】また、上記Al−Mg系合金、Al−Mg
−Si系合金、Al−Zn−Mg系合金、Al−Cu系
合金、Al−Mn系合金においても、SiやFeの添加
は種々の影響を及ぼす。例えばAl−Mg系合金やAl
−Mg−Si系合金などのMg含有合金では、Siの添
加によってMg2 Si等の時効析出物を形成し、硬化に
寄与する。更に、Siの添加により強度や耐食性の向上
や、良好な鋳造性が得られる等の作用も発揮する。
【0039】この様な作用を有効に発揮させるには、上
記範囲内であることが好ましく、この範囲を超えると、
FeやSiの分散粒子が多量に形成され、破壊の起点と
なって靭性に悪影響を及ぼす。また、Feを過剰に添加
すると強度の低下を招く。より好ましくはFe:1.9
%以下、Si:1.4%以下である。
【0040】また、上述した本発明の合金において、特
に熱間加工等の熱処理時における表面の膨れを抑制し、
表面性状を良好にすること(後記製造法において詳述す
る)を目的として、合金中の残留水素濃度を0.6pp
m以下にすることが有効である。上記目的の達成の為に
は、残留水素量はできるだけ少ない方が好ましいが、水
素量の低減化に要するコスト、労力、時間などを比較考
量すれば、より好ましくは0.5ppm以下、更により
好ましくは0.4ppm以下である。更に、本発明合金
は、全ホウ素化合物中におけるAlB2 の占める割合が
体積率で80%以上を満足する点に第2の特徴を有す
る。
【0041】上述した様にAlB12は非常に安定で分解
し難く、この様な化合物が多量に存在するとスクラップ
の再生利用を図ることができない。本発明合金における
ホウ素化合物としてはAlB12とAlB2 が大部分を占
めるが、このうちAlB2 が体積率で80%以上存在す
れば(即ち、AlB12は必然的に約20%未満にな
る)、上述した不都合を回避することができる。AlB
2 の好ましい体積比率は85%以上であり、より好まし
くは90%以上である。
【0042】尚、上述した要件を満足する本発明合金を
溶解再生して得られるスクラップ合金において、ホウ素
に関して10B/(10B+11B)≧95%を満足するもの
は、良好な中性子吸収作用を有し、構造用材料として再
生可能である為、非常に有用である。
【0043】上述した本発明のホウ素含有Al基合金を
用い、所定の熱処理を施すことにより優れた機械的特性
(引張強度、延性など)が得られる。具体的には、各成
分系毎に、優れた機械的特性を得る為の好適な熱処理条
件を適宜選択することができる。例えば、Al−Zn−
Mg系合金では、圧延、押出しなどの熱間加工を施した
後、溶体化処理(460〜500℃)→焼入(水焼入れ
等)→時効硬化熱処理(115〜180℃)を施すこと
により、450MPa以上の非常に優れた引張強度を得
ることができる。尚、時効硬化熱処理を行うに当たって
は、室温で長時間保持した後120℃で24時間保持す
るといった二段階の時効処理を行っても良い。各成分系
における熱処理条件については、その一例を後記する実
施例に記載する。
【0044】次に、本発明合金を製造するに当たって
は、同位元素10Bの含有量が95%以上である濃縮ホウ
素:0.5〜1.5%を用い、且つ溶解温度:900℃
以上1200℃未満で造塊することが必要である。即
ち、本発明合金による中性子吸収作用を有効に発揮させ
るには、上述した様に濃縮ホウ素を用いることが有用で
あり、且つ、全ホウ素化合物中におけるAlB2 の占め
る割合を体積率で80%以上にしてAlB12の生成を抑
制すると共に該ホウ素化合物の凝集を抑える為には溶解
温度を900℃以上とすることが必要である。好ましい
溶解温度は920℃以上、より好ましいのは940℃以
上である。900℃未満では粗大なAlB12化合物が生
成し、Bが偏析してしまう等の不都合が生じるので本発
明の作用を有効に発揮させることができない。一方、1
200℃以上になるとMgが蒸発してしまい、必要強度
を確保することが困難となる。好ましい上限値は118
0℃であり、より好ましい上限値は1150℃である。
【0045】更に、本発明による効果を有効に発揮させ
るには、鋳造時の凝固速度を0.1℃/秒以上とするこ
とが好ましい。より好ましくは0.2℃/秒以上であ
り、更により好ましいのは0.3℃/秒以上であり、そ
の上限値は特に規定されない。
【0046】或いは、上記凝固速度の他、500Tor
r以下の圧力にて造塊することも有効である。本発明者
らが検討したところ、通常の大気雰囲気下(1atm,
760Torr)にて本発明合金を製造しようとする
と、空気中の水蒸気(H2 ガス)によってインゴット中
に空孔等が生じ、その後の熱間加工時にガスが膨張して
膨れ等が起こり、その結果、合金表面に空孔等の欠陥が
生じてしまうこと、更にインゴットの各部分にホウ素の
偏析が見られ、中性子吸収能力に悪影響を及ぼすことが
分かった。この様な観点から、空気中の水分量を減らす
為に、鋳造時の圧力を500Torr以下にすることが
好ましい。尚、上記趣旨から言えば、その下限値は小さ
ければ小さい程(即ち、真空状態に近くする)良いが、
圧力低下に費やすコスト、労力、時間等を考慮すれば、
より好ましいのは400Torr以下、更により好まし
くは300Torr以下である。
【0047】この様に本発明法では、上記濃縮ホウ素を
用いると共に溶解温度を制御し、好ましくは鋳造時の凝
固速度や圧力を制御する点に特徴を有するのであり、そ
の他の条件については何等制限されるものではなく、本
発明の目的を損なわない範囲において通常使用される方
法(例えば熱間圧延、押出し、鋳造等)等によって製造
することができる。
【0048】以下実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明するが、下記実施例は本発明を制限するものではな
く、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施するこ
とは全て本発明の技術的範囲に包含される。
【0049】
【実施例】
実施例1 表1に示す組成のAl−Mg系合金(No.1〜18,い
ずれも残部Al)を、下記A〜CおよびX〜Zの鋳造条
件で造塊した。 A:溶解温度 900℃、凝固速度 0.1℃/秒 B:溶解温度 720℃、凝固速度 0.1℃/秒 C:溶解温度 900℃、凝固速度 0.05℃/秒 X:溶解温度1300℃、凝固速度 0.1℃/秒 Y:溶解温度 900℃、凝固速度 1℃/秒 Z:溶解温度1000℃、凝固速度 0.1℃/秒
【0050】
【表1】
【0051】この様にして得られたインゴットを均熱処
理(480℃で24時間)した後、熱間圧延(温度50
0℃,総圧下率85%)を行い、熱間圧延性の良否を以
下の基準で評価した。 ○:割れの発生なし ×:割れが生じる
【0052】次に熱間圧延によって厚みを20mmにし
た板から引張試験用板片(JIS13号B型)を切り出
し、T4処理(530℃で1時間の溶体化処理)および
安定化処理(150℃で2時間)を行った後、引張試験
(JIS Z 2241)を行うことにより室温強度およ
び伸びを測定した。次にこれらの板を溶解温度:900
℃以上,鋳造時の凝固速度:0.1℃/秒以上で再鋳造
し、スクラップの再生が可能か否かを調べた。更に、X
線回折によりAlB2 の体積率を調べると共に、光学顕
微鏡(倍率:50倍または100倍)による組織観察を
行った。得られた結果を表2にまとめて記載し、代表的
な組織写真を図1に示す。尚、図1(a)は本発明例で
あるNo.1の写真を、図1(b)は比較例であるNo.2
の写真を夫々示す。
【0053】
【表2】
【0054】これらの結果から以下の様に考察すること
ができる。本発明の要件を全て満足するAl−Mg系合
金は、いずれも強度・延性に優れており、AlB2 が8
0%以上存在すると共に、AlB2 が均一に分散しホウ
素化合物の凝集は全く認められず、優れた中性子吸収能
を有することが分かった。更に熱間圧延加工性も良好
で、スクラップの再生が可能であった。このうち、C
u,Mn,Cr,Zr,ZnまたはTi量が本発明範囲
を超えて含有する合金(No.13〜18)は、延性が若
干低下したが他の特性は全て満足のいくものであった。
【0055】これに対して本発明の要件を満足しない合
金は、中性子吸収能が低下したり、熱間圧延性が悪く、
スクラップの再生ができなかったり、強度や伸びが低下
するといった不都合が生じた。
【0056】実施例2 表3に示す組成のAl−Mg系合金(いずれも残部A
l)を用い、実施例1の鋳造条件または下記Dの鋳造条
件で造塊した。尚、表中のNo.1〜6は、前記表1のも
のと組成および鋳造法が同じであるので同一番号を付し
ている。 D:溶解温度1180℃、凝固速度0.1℃/秒
【0057】
【表3】
【0058】この様にして得られた一部のインゴット
(No.1,2,19)について、インゴットの各部
(上、中心、側面および底)から夫々15cm角サイズ
の試験片を切り出し、ICP法により各部位におけるホ
ウ素濃度を調べた。その結果を図2に示す。
【0059】次に、各インゴットについて実施例1と同
様にして均熱処理および熱間圧延を施した後、ホウ素化
合物の形態(AlB2 の体積率および凝集の有無)、ス
クラップ再生の可否およびホウ素の偏析の程度を調べ
た。尚、ホウ素の偏析の程度については、インゴットの
各部分におけるBの濃度をIPC法により測定し、以下
の基準にて評価した。 偏析あり:インゴット中のいずれかの部分においてB:
0.5〜1.5%を外れる値を示す部分がある 偏析なし:インゴット中の全部位においてB:0.5〜
1.5%を満足する この様にして得られた結果を表4にまとめて示す。
【0060】
【表4】
【0061】これらの結果から以下の様に考察すること
ができる。本発明法によって得られた合金は、いずれも
ホウ素の偏析やホウ素化合物の凝集が全くなく、AlB
2 が80%以上存在しているのでスクラップの再生が可
能であると共に、優れた強度・延性を有することが分か
った。これに対して本発明法によらない合金は、中性子
吸収能の低下、ホウ素の偏析に基づくスクラップの再生
不良、強度の低下といった不都合が生じた。
【0062】実施例3 表5に示す組成のAl−Mg−Si系合金(No.28〜
47,いずれも残部Al)を、実施例1と同様にして造
塊した。
【0063】
【表5】
【0064】この様にして得られたインゴットを均熱処
理(550℃で8時間)した後、熱間圧延(温度:50
0℃、総圧下率:85%)を行い、熱間圧延性の良否を
実施例1と同様の基準で評価した。
【0065】次に熱間圧延によって厚みを20mmにし
た板から引張試験用板片(JIS13号B型)を切り出
し、T6処理(530℃で1時間の溶体化処理および1
80℃で24時間の時効処理)を施した後、実施例1と
同様にして引張試験を行って室温強度および伸びを測定
した。更にこれらの板を実施例1と同様に再鋳造し、ス
クラップの再生が可能か否かを調べると共に、X線回折
によるホウ素化合物の体積率および凝集の程度を調査
し、組織観察も合わせて行った。得られた結果を表6に
まとめて記載し、代表的な組織写真を図3に示す。尚、
図3(a)は本発明例であるNo.28の写真を、図3
(b)は比較例であるNo.29の写真を夫々示す。
【0066】
【表6】
【0067】これらの結果から以下の様に考察すること
ができる。本発明の要件を全て満足するAl−Mg−S
i系合金は、いずれも強度・延性に優れており、AlB
2 が80%以上存在し、且つホウ素化合物の凝集も認め
られなかった。更に熱間圧延加工性も良好で、スクラッ
プの再生が可能であることが分かった。このうち、C
u,Mn,Cr,Zr,ZnまたはTi量が本発明の範
囲を超えて含有する合金(No.42〜47)は、延性が
若干低下したこと以外は、全て良好な特性を有するもの
であった。これに対して本発明の要件を満足しない合金
は、中性子吸収能の低下、熱間圧延加工性の低下による
スクラップ再生不良、強度の低下といった不都合が生じ
た。
【0068】実施例4 表7に示す組成のAl−Mg−Si系合金(いずれも残
部Al)を用い、実施例2における鋳造条件で造塊し
た。尚、表中のNo.28〜33は、前記表5のものと同
一の組成および鋳造法を施したものであるので、同一番
号を付けた。
【0069】
【表7】
【0070】この様にして得られた一部のインゴット
(No.28,29,48)について、実施例2と同様に
してホウ素の偏析を調べた。その結果を図4に示す。次
に、上記各インゴットについて実施例3と同様にして、
ホウ素化合物の形態、スクラップ再生の可否およびホウ
素の偏析の程度を調べると共に、組織観察を行った。得
られた結果を表8にまとめて示す。
【0071】
【表8】
【0072】これらの結果から以下の様に考察すること
ができる。本発明法によって得られたAl−Mg−Si
系合金は、いずれもホウ素の偏析やホウ素化合物の凝集
が見られず、AlB2 が80%以上存在しているのでス
クラップの再生が可能であり、且つ強度・延性にも優れ
ていることが分かった。これに対して本発明法によらな
い合金は、中性子吸収能の低下、ホウ素化合物の凝集に
基づくスクラップの再生不良、強度の低下が見られた。
【0073】実施例5 表9に示す組成のAl−Mg系合金および表10に示す
組成のAl−Mg−Si系合金(いずれも残部Al)を
用い、炉内圧力を同表に併記する如く設定し、実施例1
におけるAの鋳造条件にて造塊した。この様にして得ら
れたインゴットについて、真空加熱抽出定容測圧法によ
り残留水素濃度を測定した。また、一部のインゴット
(No.57,61)について、インゴットの各部から1
5cm角サイズの試験片を切り出し、ICP法によりホ
ウ素の濃度を測定した。
【0074】次に、各インゴットを、実施例1と同様に
均熱処理(480℃で24時間)した後、熱間圧延(温
度500℃、総圧下率80%)を行い、ホウ素の偏析の
程度および圧延板の表面性状を下記の様に評価した。 [ホウ素の偏析の程度] ×:インゴット中のいずれかの部分においてB:0.5
〜1.5%を外れる ○:インゴット中の各部分においてB:0.5〜1.5
%を満足するもののそのばらつきが大きい ◎:インゴット中の各部分においてB:0.5〜1.5
%を満足すると共に、そのばらつきも小さい [圧延板の表面性状の良否] ◎:膨れの発生が全く無し ○:膨れの発生がほとんど無し ×:膨れ有り
【0075】得られた結果を表11〜13に示す。尚、
表11および12に併記する総合評価とは、上記ホウ素
の偏析や圧延板の表面性状の他、中性子吸収能、ホウ素
化合物の形態、凝集の有無なども考慮して総合的に判定
した結果である。
【0076】
【表9】
【0077】
【表10】
【0078】
【表11】
【0079】
【表12】
【0080】
【表13】
【0081】これらの結果から以下の様に考察すること
ができる。No.60〜65およびNo.72〜77は、鋳
造時の圧力を調整することにより残留水素濃度を本発明
の好ましい範囲に制御した例であるが、この様な制御の
なされていない本発明例(No.57〜59およびNo.6
9〜71)に比べて、ホウ素の偏析の程度が著しく改善
されており、且つ熱間圧延時の表面性状も良好であるこ
とが分かる。
【0082】実施例6 表14に示す組成のAl−Zn−Mg系合金(いずれも
残部Al)を、実施例1と同様にして造塊した。
【0083】
【表14】
【0084】この様にして得られたインゴットを均熱処
理(480℃で24時間)した後、熱間圧延(温度:4
80℃、総圧下率:85%)を行い、熱間圧延性の良否
を実施例1と同様の基準で評価した。
【0085】次に熱間圧延によって厚みを20mmにし
た板から引張試験用板片(JIS13号B型)を切り出
し、T6処理(480℃で1時間の溶体化処理を施した
後、水焼入れを行い、更に120℃で24時間の時効硬
化熱処理)を施した後、実施例1と同様にして引張試験
を行って室温強度および伸びを測定した。更にこれらの
板を実施例1と同様に再鋳造し、スクラップの再生が可
能か否かを調べると共に、X線回折によるホウ素化合物
の体積率および凝集の程度を調査し、組織観察も合わせ
て行った。得られた結果を表15にまとめて記載し、代
表的な組織写真を図5に示す。尚、図5(a)は本発明
例であるNo.81の写真を、図5(b)は比較例である
No.82の写真を夫々示す。
【0086】
【表15】
【0087】これらの結果から以下の様に考察すること
ができる。本発明の要件を全て満足するAl−Zn−M
g系合金は、いずれも強度・延性に優れており、AlB
2 が80%以上存在し、且つホウ素化合物の凝集も認め
られなかった。更に熱間圧延加工性も良好で、スクラッ
プの再生が可能であることが分かった。このうち、C
u,Mn,Cr,ZrまたはTi量が本発明の範囲を超
えて含有する合金(No.95〜99)は、延性が若干低
下したこと以外は、全て良好な特性を有するものであっ
た。これに対して本発明の要件を満足しない合金は、中
性子吸収能の低下、熱間圧延加工性の低下によるスクラ
ップ再生不良、強度の低下といった不都合が生じた。
【0088】実施例7 表16に示す組成のAl−Zn−Mg系合金(いずれも
残部Al)を用い、実施例2における鋳造条件で造塊し
た。尚、表中のNo.81〜86は、前記表14のものと
同一の組成および鋳造法を施したものであるので、同一
番号を付けた。
【0089】
【表16】
【0090】この様にして得られた一部のインゴット
(No.81,82,100)について、実施例2と同様
にしてホウ素の偏析を調べた。その結果を図6に示す。
次に、上記各インゴットについて実施例3と同様にし
て、ホウ素化合物の形態、スクラップ再生の可否および
ホウ素の偏析の程度を調べた。
【0091】
【表17】
【0092】これらの結果から以下の様に考察すること
ができる。本発明法によって得られたAl−Zn−Mg
系合金は、いずれもホウ素の偏析やホウ素化合物の凝集
が見られず、AlB2 が80%以上存在しているのでス
クラップの再生が可能であり、且つ強度・延性にも優れ
ていることが分かった。これに対して本発明法によらな
い合金は、中性子吸収能の低下、ホウ素化合物の凝集に
基づくスクラップの再生不良、強度の低下が見られた。
【0093】実施例8 No.81のAl−Zn−Mg系合金を用い、実施例6で
施した時効硬化熱処理の有無によって強度がどの様に変
化するかを調べた。尚、強度は実施例1と同様、引張試
験を行い室温強度を測定した。その結果を表18に示
す。
【0094】
【表18】
【0095】表の結果から明らかな様に、上記時効硬化
熱処理を施すことにより、引張強度を500MPaまで
高めることができた。
【0096】実施例9 表19に示す組成のAl−Cu系合金(いずれも残部A
l)を、実施例1と同様にして造塊した。
【0097】
【表19】
【0098】この様にして得られたインゴットを均熱処
理(490℃で24時間)した後、熱間圧延(温度:4
00℃、総圧下率:85%)を行い、熱間圧延性の良否
を実施例1と同様の基準で評価した。
【0099】次に熱間圧延によって厚みを20mmにし
た板から引張試験用板片(JIS13号B型)を切り出
し、T6処理(500℃で1時間の溶体化処理および1
80℃で10時間の時効処理)を施した後、実施例1と
同様にして引張試験を行って室温強度および伸びを測定
した。更にこれらの板を実施例1と同様に再鋳造し、ス
クラップの再生が可能か否かを調べると共に、X線回折
によるホウ素化合物の体積率および凝集の程度を調査
し、組織観察も合わせて行った。得られた結果を表20
にまとめて記載し、代表的な組織写真を図7に示す。
尚、図7(a)は本発明例であるNo.109の写真を、
図7(b)は比較例であるNo.110の写真を夫々示
す。
【0100】
【表20】
【0101】これらの結果から以下の様に考察すること
ができる。本発明の要件を全て満足するAl−Cu系合
金は、いずれも強度・延性に優れており、AlB2 が8
0%以上存在し、且つホウ素化合物の凝集も認められな
かった。更に熱間圧延加工性も良好で、スクラップの再
生が可能であることが分かった。このうち、Mg,M
n,Cr,Zr,ZnまたはTi量が本発明の範囲を超
えて含有する合金(No.121〜126)は、延性が若
干低下したこと以外は、全て良好な特性を有するもので
あった。これに対して本発明の要件を満足しない合金
は、中性子吸収能の低下、熱間圧延加工性の低下による
スクラップ再生不良、強度の低下といった不都合が生じ
た。
【0102】実施例10 表21に示す組成のAl−Cu系合金(いずれも残部A
l)を用い、実施例2における鋳造条件で造塊した。
尚、表中のNo.109〜114は、前記表19のものと
同一の組成および鋳造法を施したものであるので、同一
番号を付けた。
【0103】
【表21】
【0104】この様にして得られた一部のインゴット
(No.109,110,127)について、実施例2と
同様にしてホウ素の偏析を調べた。その結果を図8に示
す。次に、上記各インゴットについて実施例3と同様に
して、ホウ素化合物の形態、スクラップ再生の可否およ
びホウ素の偏析の程度を調べた。得られた結果を表22
にまとめて示す。
【0105】
【表22】
【0106】これらの結果から以下の様に考察すること
ができる。本発明法によって得られたA−Cu系合金
は、いずれもホウ素の偏析やホウ素化合物の凝集が見ら
れず、AlB2 が80%以上存在しているのでスクラッ
プの再生が可能であり、且つ強度・延性にも優れている
ことが分かった。これに対して本発明法によらない合金
は、中性子吸収能の低下、ホウ素化合物の凝集に基づく
スクラップの再生不良、強度の低下が見られた。
【0107】実施例11 表23に示す組成のAl−Mn系合金(いずれも残部A
l)を、実施例1と同様にして造塊した。
【0108】
【表23】
【0109】この様にして得られたインゴットを均熱処
理(570℃で10時間)した後、熱間圧延(温度:4
50℃、総圧下率:85%)を行い、熱間圧延性の良否
を実施例1と同様の基準で評価した。
【0110】次に熱間圧延によって厚みを20mmにし
た板から引張試験用板片(JIS13号B型)を切り出
し、焼鈍処理(200℃で1時間)を施した後、実施例
1と同様にして引張試験を行って室温強度および伸びを
測定した。更にこれらの板を実施例1と同様に再鋳造
し、スクラップの再生が可能か否かを調べると共に、X
線回折によるホウ素化合物の体積率および凝集の程度を
調査し、組織観察も合わせて行った。得られた結果を表
24にまとめて記載し、代表的な組織写真を図9に示
す。尚、図9(a)は本発明例であるNo.136の写真
を、図9(b)は比較例であるNo.137の写真を夫々
示す。
【0111】
【表24】
【0112】これらの結果から以下の様に考察すること
ができる。本発明の要件を全て満足するAl−Mn系合
金は、いずれも強度・延性に優れており、AlB2 が8
0%以上存在し、且つホウ素化合物の凝集も認められな
かった。更に熱間圧延加工性も良好で、スクラップの再
生が可能であることが分かった。このうち、Mg,C
u,Cr,Zr,ZnまたはTi量が本発明の範囲を超
えて含有する合金(No.148〜153)は、延性が若
干低下したこと以外は、全て良好な特性を有するもので
あった。これに対して本発明の要件を満足しない合金
は、中性子吸収能の低下、熱間圧延加工性の低下による
スクラップ再生不良、強度の低下といった不都合が生じ
た。
【0113】実施例12 表25に示す組成のAl−Mn系合金(いずれも残部A
l)を用い、実施例2における鋳造条件で造塊した。
尚、表中のNo.136〜141は、前記表23のものと
同一の組成および鋳造法を施したものであるので、同一
番号を付けた。
【0114】
【表25】
【0115】この様にして得られた一部のインゴット
(No.136,137,154)について、実施例2と
同様にしてホウ素の偏析を調べた。その結果を図10に
示す。次に、上記各インゴットについて実施例3と同様
にして、ホウ素化合物の形態、スクラップ再生の可否お
よびホウ素の偏析の程度を調べた。得られた結果を表2
6にまとめて示す。
【0116】
【表26】
【0117】これらの結果から以下の様に考察すること
ができる。本発明法によって得られたAl−Mn系合金
は、いずれもホウ素の偏析やホウ素化合物の凝集が見ら
れず、AlB2 が80%以上存在しているのでスクラッ
プの再生が可能であり、且つ強度・延性にも優れている
ことが分かった。これに対して本発明法によらない合金
は、中性子吸収能の低下、ホウ素化合物の凝集に基づく
スクラップの再生不良、強度の低下が見られた。
【0118】実施例13 表27に示す組成の純Al系合金(No.163〜17
6,いずれも残部Al)を、実施例1と同様にして造塊
した。
【0119】
【表27】
【0120】この様にして得られたインゴットを均熱処
理(490℃で24時間)した後、熱間圧延(温度:4
00℃、総圧下率:85%)を行い、熱間圧延性の良否
を実施例1と同様の基準で評価した。
【0121】次に熱間圧延によって厚みを20mmにし
た板から引張試験用板片(JIS13号B型)を切り出
し、焼鈍処理(345℃で2時間)を施した後、実施例
1と同様にして引張試験を行って室温強度および伸びを
測定した。更にこれらの板を実施例1と同様に再鋳造
し、スクラップの再生が可能か否かを調べると共に、X
線回折によるホウ素化合物の体積率および凝集の程度を
調査し、組織観察も合わせて行った。得られた結果を表
28にまとめて記載し、代表的な組織写真を図11に示
す。尚、図11(a)は本発明例であるNo.163の写
真を、図11(b)は比較例であるNo.164の写真を
夫々示す。
【0122】
【表28】
【0123】これらの結果から以下の様に考察すること
ができる。本発明の要件を全て満足する純Al系合金
は、いずれも強度・延性に優れており、AlB2 が80
%以上存在し、且つホウ素化合物の凝集も認められなか
った。更に熱間圧延加工性も良好で、スクラップの再生
が可能であることが分かった。
【0124】これに対して本発明の要件を満足しない合
金は、中性子吸収能の低下、熱間圧延加工性の低下によ
るスクラップ再生不良といった不都合が生じた。また、
FeおよびSiが本発明の好ましい要件を満足しない合
金(No.175、176)は、伸びや熱間圧延性が低下
し、粗大化合物の析出が見られた。
【0125】実施例14 表29に示す組成の純Al系合金(いずれも残部Al)
を用い、実施例2における鋳造条件で造塊した。尚、表
中のNo 163〜168及び170は、前記表27のも
のと同一の組成および鋳造法を施したものであるので、
同一番号を付けた。
【0126】
【表29】
【0127】この様にして得られた一部のインゴット
(No.163,164,177)について、実施例2と
同様にしてホウ素の偏析を調べた。その結果を図12に
示す。次に、上記各インゴットについて実施例3と同様
にして、ホウ素化合物の形態、スクラップ再生の可否お
よびホウ素の偏析の程度を調べると共に、組織観察を行
った。得られた結果を表30にまとめて示す。
【0128】
【表30】
【0129】これらの結果から以下の様に考察すること
ができる。本発明法によって得られた純Al系合金は、
いずれもホウ素の偏析やホウ素化合物の凝集が見られ
ず、AlB2 が80%以上存在しているのでスクラップ
の再生が可能であり、且つ強度・延性にも優れているこ
とが分かった。これに対して本発明法によらない合金
は、中性子吸収能の低下、ホウ素の偏析、ホウ素化合物
の凝集に基づくスクラップの再生不良が見られた。
【0130】実施例15 表31に示す組成のAl−Mg−Zn系合金(いずれも
残部Al)を用い、炉内圧力を同表に併記する如く設定
し、実施例1におけるAの鋳造条件にて造塊した。この
様にして得られたインゴットについて、実施例5と同様
にして残留水素濃度を測定すると共に、各インゴット
を、実施例1と同様に均熱処理した後、熱間圧延を行
い、実施例5と同様にして、ホウ素の偏析の程度および
圧延板の表面性状を評価した。得られた結果を表32に
示す。
【0131】
【表31】
【0132】
【表32】
【0133】これらの結果から以下の様に考察すること
ができる。No.184〜189およびNo.191は、鋳
造時の圧力を調整することにより残留水素濃度を本発明
の好ましい範囲に制御した例であるが、この様な制御の
なされていない本発明例(No.181〜183)に比べ
て、ホウ素の偏析の程度が著しく改善されており、且つ
熱間圧延時の表面性状も良好であることが分かる。
【0134】実施例16 表33に示す組成のAl−Cu系合金(いずれも残部A
l)を用い、炉内圧力を同表に併記する如く設定し、実
施例1におけるAの鋳造条件にて造塊した。この様にし
て得られたインゴットについて、実施例5と同様にして
残留水素濃度を測定すると共に、各インゴットを、実施
例1と同様に均熱処理した後、熱間圧延を行い、実施例
5と同様にして、ホウ素の偏析の程度および圧延板の表
面性状を評価した。得られた結果を表34に示す。
【0135】
【表33】
【0136】
【表34】
【0137】これらの結果から以下の様に考察すること
ができる。No.196〜201およびNo.203は、鋳
造時の圧力を調整することにより残留水素濃度を本発明
の好ましい範囲に制御した例であるが、この様な制御の
なされていない本発明例(No.193〜195)に比べ
て、ホウ素の偏析の程度が著しく改善されており、且つ
熱間圧延時の表面性状も良好であることが分かる。
【0138】実施例17 表35に示す組成のAl−Mn系合金(いずれも残部A
l)を用い、炉内圧力を同表に併記する如く設定し、実
施例1におけるAの鋳造条件にて造塊した。この様にし
て得られたインゴットについて、実施例5と同様にして
残留水素濃度を測定すると共に、各インゴットを、実施
例1と同様に均熱処理した後、熱間圧延を行い、実施例
5と同様にして、ホウ素の偏析の程度および圧延板の表
面性状を評価した。得られた結果を表36に示す。
【0139】
【表35】
【0140】
【表36】
【0141】これらの結果から以下の様に考察すること
ができる。No.208〜213およびNo.215は、鋳
造時の圧力を調整することにより残留水素濃度を本発明
の好ましい範囲に制御した例であるが、この様な制御の
なされていない本発明例(No.205〜207)に比べ
て、ホウ素の偏析の程度が著しく改善されており、且つ
熱間圧延時の表面性状も良好であることが分かる。
【0142】実施例18 表37に示す組成の純Al系合金(いずれも残部Al)
を用い、炉内圧力を同表に併記する如く設定し、実施例
1におけるAの鋳造条件にて造塊した。この様にして得
られたインゴットについて、実施例5と同様にして残留
水素濃度を測定すると共に、各インゴットを、実施例1
と同様に均熱処理した後、熱間圧延を行い、実施例5と
同様にして、ホウ素の偏析の程度および圧延板の表面性
状を評価した。得られた結果を表38に示す。
【0143】
【表37】
【0144】
【表38】
【0145】これらの結果から以下の様に考察すること
ができる。No.220〜225およびNo.227は、鋳
造時の圧力を調整することにより残留水素濃度を本発明
の好ましい範囲に制御した例であるが、この様な制御の
なされていない本発明例(No.217〜219)に比べ
て、ホウ素の偏析の程度が著しく改善されており、且つ
熱間圧延時の表面性状も良好であることが分かる。
【0146】実施例19 表39〜44に示す種々の組成の合金(いずれも残部A
l)を、実施例1と同様にして造塊した(鋳造条件はA
を選択)。この様にして得られたインゴットを均熱処理
(490℃で24時間)した後、熱間圧延(温度:40
0℃、総圧下率:85%)を行い、熱間圧延性の良否を
実施例1と同様の基準で評価した。
【0147】次に熱間圧延によって厚みを20mmにし
た板から引張試験用板片(JIS13号B型)を切り出
した後、各成分系に応じて、以下の熱処理を施した後、
実施例1と同様にして引張試験を行って室温強度および
伸びを測定した。 純Al系合金:焼鈍処理(345℃で2時間処理した
後、放置冷却) Al−Mg系合金:T4処理(530℃で1時間の溶体
化処理) Al−Mg−Si系合金:T6処理(530℃で1時間
の溶体化処理および180℃で24時間の時効処理) Al−Cu系合金:T6処理(500℃で1時間の溶体
化処理および180℃で10時間の時効処理) Al−Mn系合金:焼鈍処理(200℃で1時間) Al−Zn−Mg系合金:T6処理(480℃で1時間
の溶体化処理および120℃で24時間の時効処理)
【0148】更に、これらの板を実施例1と同様に再鋳
造し、スクラップの再生が可能か否かを調べると共に、
X線回折によるホウ素化合物の体積率を調査した。得ら
れた結果を、各成分系毎に表45〜50に示す。
【0149】
【表39】
【0150】
【表40】
【0151】
【表41】
【0152】
【表42】
【0153】
【表43】
【0154】
【表44】
【0155】
【表45】
【0156】
【表46】
【0157】
【表47】
【0158】
【表48】
【0159】
【表49】
【0160】
【表50】
【0161】これらの結果から以下の様に考察すること
ができる。本発明の要件を全て満足する各合金は、いず
れも強度・延性に優れており、AlB2 が80%以上存
在し、且つホウ素化合物の凝集も認められなかった。更
に熱間圧延加工性も良好で、スクラップの再生が可能で
あることが分かった。これに対して本発明の要件を満足
しない合金は、中性子吸収能の低下、熱間圧延加工性の
低下によるスクラップ再生不良、強度や伸びの低下とい
った不都合が生じた。
【0162】
【発明の効果】本発明のホウ素含有Al基合金は、上記
の様に構成されているので、優れた中性子吸収作用を有
することは勿論のこと、強度・延性等の機械的特性に優
れており、熱間圧延加工性も良好で、スクラップの再生
が可能であることが分かった。また本発明法を採用すれ
ば、上述した合金を効率よく製造することができ、更に
鋳造時の凝固速度や圧力を制御することにより、上記諸
特性の向上が得られると共に、熱間圧延板の表面性状も
一層優れたものになる。このうち、特にAl−Mn系合
金は、比較的安価であり、製造コスト低減化の面からも
有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における組織写真である。
【図2】実施例2における溶解温度とホウ素濃度の関係
を示すグラフである。
【図3】実施例3における組織写真である。
【図4】実施例4における溶解温度とホウ素濃度の関係
を示すグラフである。
【図5】実施例6における組織写真である。
【図6】実施例7における溶解温度とホウ素濃度の関係
を示すグラフである。
【図7】実施例9における組織写真である。
【図8】実施例10における溶解温度とホウ素濃度の関
係を示すグラフである。
【図9】実施例11における組織写真である。
【図10】実施例12における溶解温度とホウ素濃度の
関係を示すグラフである。
【図11】実施例13における組織写真である。
【図12】実施例14における溶解温度とホウ素濃度の
関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 格内 治夫 兵庫県高砂市荒井町新浜2丁目3番1号 株式会社神戸製鋼所高砂製作所内 (72)発明者 山下 直彦 兵庫県高砂市荒井町新浜2丁目3番1号 株式会社神戸製鋼所高砂製作所内

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 B:0.5〜1.5%(質量%,以下同
    じ)、並びに残部:Al及び不可避不純物であり、且つ
    10B/(10B+11B)≧95%を満足すると共に、全ホ
    ウ素化合物中におけるAlB2 の占める割合が体積率で
    80%以上であることを特徴とする中性子吸収作用を有
    するホウ素含有Al基合金。
  2. 【請求項2】 更にMg:2〜8%を含有する請求項1
    に記載のホウ素含有Al基合金。
  3. 【請求項3】 更に、 Cu:0.6%以下(0%を含まない),Mn:1.0
    %以下(0%を含まない),Cr:0.4%以下(0%
    を含まない),Zr:0.3%以下(0%を含まな
    い),Zn:0.5%以下(0%を含まない),Ti:
    0.3%以下(0%を含まない)よりなる群から選択さ
    れる少なくとも1種を含有する請求項2に記載のホウ素
    含有Al基合金。
  4. 【請求項4】 更にMg:0.3〜1.5%およびS
    i:0.3〜1.5%を含有する請求項1に記載のホウ
    素含有Al基合金。
  5. 【請求項5】 更に、 Cu:0.6%以下(0%を含まない),Mn:1.0
    %以下(0%を含まない),Cr:0.4%以下(0%
    を含まない),Zr:0.3%以下(0%を含まな
    い),Zn:0.5%以下(0%を含まない),Ti:
    0.3%以下(0%を含まない)よりなる群から選択さ
    れる少なくとも1種を含有する請求項4に記載のホウ素
    含有Al基合金。
  6. 【請求項6】 更にMg:1.0〜4.0%およびZ
    n:0.8〜8.0%を含有する請求項1に記載のホウ
    素含有Al基合金。
  7. 【請求項7】 更に、 Cu:3.0%以下(0%を含まない),Mn:1.0
    %以下(0%を含まない),Cr:0.4%以下(0%
    を含まない),Zr:0.3%以下(0%を含まな
    い),Ti:0.3%以下(0%を含まない)よりなる
    群から選択される少なくとも1種を含有する請求項6に
    記載のホウ素含有Al基合金。
  8. 【請求項8】 更にCu:1.5〜7.0%を含有する
    請求項1に記載のホウ素含有Al基合金。
  9. 【請求項9】 更に、 Mg:1.8%以下(0%を含まない),Mn:1.2
    %以下(0%を含まない),Cr:0.4%以下(0%
    を含まない),Zr:0.3%以下(0%を含まな
    い),Zn:0.5%以下(0%を含まない),Ti:
    0.3%以下(0%を含まない)よりなる群から選択さ
    れる少なくとも1種を含有する請求項8に記載のホウ素
    含有Al基合金。
  10. 【請求項10】 更にMn:0.3〜2.0%を含有す
    る請求項1に記載のホウ素含有Al基合金。
  11. 【請求項11】 更に、 Mg:1.8%以下(0%を含まない),Cu:0.6
    %以下(0%を含まない),Cr:0.4%以下(0%
    を含まない),Zr:0.3%以下(0%を含まな
    い),Zn:0.5%以下(0%を含まない),Ti:
    0.3%以下(0%を含まない)よりなる群から選択さ
    れる少なくとも1種を含有する請求項10に記載のホウ
    素含有Al基合金。
  12. 【請求項12】 Fe:2.0%以下(0%を含む)お
    よびSi:1.5%以下(0%を含む)である請求項1
    〜3、6〜11のいずれかに記載のホウ素含有Al基合
    金。
  13. 【請求項13】 Fe:2.0%以下(0%を含む)で
    ある請求項4または5に記載のホウ素含有Al基合金。
  14. 【請求項14】 残留水素濃度を0.6ppm以下(0
    ppmを含む)に抑制したものである請求項1〜13の
    いずれかに記載のホウ素含有Al基合金。
  15. 【請求項15】 表面膨れの少ない請求項14に記載の
    ホウ素含有Al基合金。
  16. 【請求項16】 同位元素10Bの含有量が95%以上で
    ある濃縮ホウ素:0.5〜1.5%を用い、溶解温度:
    900℃以上1200℃未満で造塊することにより請求
    項1〜15のいずれかに記載のホウ素含有Al基合金を
    製造することを特徴とするホウ素含有Al基合金の製造
    方法。
  17. 【請求項17】 鋳造時の凝固速度:0.1℃/秒以上
    にて造塊するものである請求項16に記載の製造方法。
  18. 【請求項18】 更に500Torr以下の圧力にて鋳
    造するものである請求項16または17に記載の製造方
    法。
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