JP2003041337A - 塩化物含有溶融塩接触材料及びその製造方法 - Google Patents

塩化物含有溶融塩接触材料及びその製造方法

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JP2003041337A
JP2003041337A JP2001229304A JP2001229304A JP2003041337A JP 2003041337 A JP2003041337 A JP 2003041337A JP 2001229304 A JP2001229304 A JP 2001229304A JP 2001229304 A JP2001229304 A JP 2001229304A JP 2003041337 A JP2003041337 A JP 2003041337A
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Hiroaki Nishio
浩明 西尾
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の水壁高温部に適用される耐火物は、高
温燃焼に対応可能な耐久性と、高い熱伝導と、灰の付着
の少ない特性を満足できなかった。また、従来の熱交換
器用伝熱管の耐食性はINCONEL625のような被覆材を施し
ても不十分であった。 【解決手段】 アルミニウムとホウ素を含む化合物であ
るAlB2、AlB12、Al3BC、AlB122の中か
ら選ばれた1種以上の化合物を主成分とし、アルミニウ
ム含有量が40〜99wt%、ホウ素含有量が1〜45wt
%である塩化物含有溶融塩接触材料とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塩化物を含む溶融
塩の発生を伴う非常に厳しい腐食環境に曝される都市ご
み、下水汚泥、製紙スラッジ等の各種産業廃棄物の燃焼
炉、石炭燃焼炉、石炭ガス化炉等に適用される材料及び
その製造方法に関するものであり、この材料は、該炉に
おいて塩化物含有溶融塩が付着してそれによる腐食が問
題となる炉壁及び熱交換器用伝熱管の耐食表面被覆材あ
るいはエロ−ジョン防止板等として有用である。
【0002】
【従来の技術】都市ごみ、下水汚泥、製紙スラッジ等の
各種産業廃棄物あるいは石炭を燃焼あるいはガス化する
と、ガス状あるいはダスト状の腐食性物質を含むガスが
発生する。例えば、都市ごみ燃焼排ガスは、HCl等の
塩化物ガス、H2S、SO2等の硫黄化合物ガス、NaC
l、KCl、ZnCl2、PbCl2等の塩化物、Na2
SO4、CaSO4等の硫酸塩を主成分とする灰分を含ん
でいる。灰分は炉内各所に付着蓄積するが、前記の複数
の塩化物は低融点の複合塩化物となり、付着物を溶融塩
に変える。該塩化物含有溶融塩からは腐食性の強いCl
2ガスが発生し、燃焼炉あるいはガス化炉の溶融塩付着
部位を侵し、劣化させ、損傷に至らしめる。
【0003】かかる燃焼炉あるいはガス化炉の壁には、
水冷鋼管群を配するのが一般的であり水壁と称される。
これは管内に通水して管温を抑制することによって管を
炉壁として機能させることを意図したものであるが、鋼
管製水壁のうち高温の燃焼ガス炎と接触する部位は、通
常、耐火物で被覆される。該耐火物は、高温腐食に耐え
られる耐久性と、灰の付着しにくい特性が求められる。
耐火物のガス流接触側の温度が高いと灰が付着し易いの
で表面温度を抑制する必要があり、従って、耐火物には
高い熱伝導が要求される。
【0004】耐火物はこの観点より、多くの場合、材料
としてSiCが選ばれ、SiC質の不定形耐火物あるい
は耐火タイルが使用されている。しかしながら、かかる
SiC質耐火物は約800℃から酸化膨張が始まり進行し
て亀裂が発生し、時には脱落する。
【0005】これに対して、酸化物系のシャモット質耐
火物は使用中の膨張はほとんどなく、寸法、形状は安定
しており、破損の惧れは少ない。しかし、伝熱特性が著
しく悪い。このため、表面温度が高くなり、灰が付着し
易くなり、付着蓄積した灰が熱伝導をさらに悪くして、
状況を悪化させることになる。
【0006】灰はさらに水冷鋼管がむきだしの水壁部位
にも、燃焼排ガスの保有顕熱の回収を行うボイラ−のボ
イラ−管にも接触し、程度の差はあれ、付着、蓄積す
る。付着した灰は多数の塩化物を含む。ZnCl2、P
bCl2等の低融点の塩化物は灰の融点を下げ、灰を高
腐食性の溶融塩に変える。このため、むき出しの水壁鋼
管あるいはボイラ−の伝熱管の溶融塩付着部位において
溶融塩腐食が進行する。特に、ガス温度と水蒸気温度が
高いボイラ−のス−パ−ヒ−タ部において顕著となる。
【0007】公知のCr鋼、Ni−Cr鋼からなる伝熱
管においては、腐食損傷を抑制するために、回収できる
水蒸気の温度は、通常、300℃以下に抑制される。450℃
を越える高温高圧水蒸気を回収するには高耐食性の伝熱
管の適用が不可欠であるが、現在のところ、管外周にIN
CONEL625(21wt%Cr−9wt%Mo−4wt%N
b−62wt%Ni)を肉盛り溶接して得られる2重管
が比較的耐食性良好とされている。しかし、INCONEL625
をもってしても、管表面温度が500℃を越えると管寿命
は半年から2年となり、極めて短い。
【0008】特開平7−146091号公報は、管外周
にアンダ−コ−トとして85〜50wt%Ni-15〜50wt
%Crを、トップコ−トとしてAlをそれぞれ溶射によ
り施した伝熱管を開示している。これによれば、Alが
緻密な酸化被膜となって管の腐食を防止するとしてい
る。しかしながら、ごみ焼却炉の実績ではAlトップコ
−トの寿命は長くないことが報告されている(第13回全
国都市清掃研究発表会講演論文集19992.2)。単体のA
lがCl2とO2の共存する溶融塩付着部位の雰囲気に曝
されると、Alの塩化揮発とAlの酸化が同時に進行す
る。このため、腐食性ガスの侵入を遮断しうる緻密な酸
化物被膜は形成されず、多孔質の剥離し易い酸化物被膜
となる。酸化物被膜は生成と剥離を繰り返し、同時に塩
化揮発によるAlの消耗が進行し、短期間のうちにAl
溶射膜は消失するのである。このように、溶射により形
成されたAl層の防食効果は小さい。
【0009】特開2001−56195号公報は、耐熱
合金管の外周にセラミックス−金属複合材料からなるカ
バ−材を配した熱交換用伝熱管を開示し、複合材料を構
成する金属としてAl、セラミックスとしてAlN、A
lON等を挙げている。該Al−AlN(またはAlO
N)複合材料はAlマトリックス中にAlN(またはA
lON)を分散させたことを特徴とする。このような複
合化により、腐食性雰囲気で生成する酸化被膜のアルミ
ナは分散したAlN(またはAlON)と結合して根を
張り、剥離しにくくなる。そして、該材料の適用温度は
600℃まで上昇する。しかしながら、600℃を越えると、
Alの塩化揮発による材料の劣化が急激に進行する。す
なわち、600℃を越える材料温度では使用が困難であっ
た。
【0010】一方、伝熱管に付着蓄積した灰は管の伝熱
性能を悪化させるので、灰の付着蓄積は好ましくない。
灰を除去するために、間欠的に高圧の水蒸気を噴射する
ス−トブロ−イングを施すことが多い。ス−トブロ−イ
ングにより付着物だけでなく生成した保護被膜も除去さ
れて管の減肉が進行し、管全体の寿命がこの部分の減肉
量に支配されるようになる。そこで、たとえば、INCONE
L625のエロ−ジョン防止板が適用され水蒸気の衝撃の緩
和が図られている。該エロ−ジョン防止板の寿命は、た
かだか2年であり、交換に伴う保守の負担は大きい。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、水壁高
温部に適用される従来の耐火物は、高温燃焼に対応可能
な耐久性と、高い熱伝導と、灰の付着の少ない特性を満
足できなかった。また、従来の熱交換器用伝熱管の耐食
性はINCONEL625のような被覆材を施しても不十分であっ
た。さらに、エロ−ジョン防止板についても寿命が短か
った。
【0012】本発明は、かかる事情に鑑みてなされたも
のであって、塩化物を含む溶融塩が接触する非常に厳し
い腐食環境下で優れた耐食性を発揮する材料及びその製
造方法を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の発明者等は、特
定のアルミニウム化合物を連続相とする材料が極めて優
れた耐食性能を有することを見出して、本発明を完成す
るに至った。
【0014】本発明になる材料は、ガス流に同伴されて
飛散した塩化物含有溶融塩が接触することによって形成
される腐食環境に曝されると、初期にその表面に緻密な
酸化物保護膜が形成されること、該保護膜が該材料の主
構成元素であるAlの塩化反応及び酸化反応の進行を阻
止することを以って該材料の劣化を防止するという際立
った特徴を有する。
【0015】具体的に述べると、本発明者等は、該材料
を構成するAl元素が酸化して生成する酸化物被膜は、
Bが共存しないと緻密化しないが、Bが存在すると、緻
密化することを見出したのである。すなわち、雰囲気中
にCl2及びO2が存在しても酸化物被膜が緻密化し、該
酸化物被膜がCl2及びO2の該材料内奥へのそれ以上の
侵入を阻止するのである。B共存下で生成するAl23
系酸化物被膜は優れた保護膜となるのである。
【0016】該保護膜は、次のようなメカニズムに従っ
て生成すると推定される。すなわち、Cl2とO2の共存
する雰囲気にAlが曝されると、Alの塩化揮発(Al
Cl3を生成)とAlの酸化(Al23を生成)が同時
に進行する。このため、生成するAl23は緻密な酸化
被膜とはなりにくく多孔化することはすでに述べた。こ
れに対して、B元素が存在すると、Bの塩化揮発(BC
3を生成)と酸化(B23を生成)が並行して起き
る。B23の融点は450℃なので、生成するB23は液
膜を形成する。この液膜が表面の気孔を埋めてCl2
2を含む外来ガス成分の侵入を遮断する。B23の液
膜は最終的には隣接するAl23と反応して複合酸化物
(例えば、Al429)を生成して固化し固体保護膜
になるか、あるいは材料内部に存在する金属Alと反応
してホウ化物(例えばAlB2)に戻ると考えられるの
である。
【0017】該材料中のB元素の量は1〜45wt%で
あることが好ましい。これは、1wt%未満ではB23
液膜の生成が不十分となるからである。また、45wt
%を越えるとB23液膜を全量、固体保護膜として吸収
することが困難となり、残留したB23液が灰の固着を
誘発する現象が顕著となるからである。
【0018】Al23は熱力学的に安定な化合物であ
り、潜在的な耐食性能は極めて高い。この耐食性能を保
護膜として十分発揮させることが本特許の狙いである。
該材料中のAl元素の量は40〜99wt%であること
が好ましい。これは、40wt%未満では、Al23
耐食性能を引出すには量的に不十分となるからである。
また、Al元素が99wt%を越えるとB元素が1wt
%未満とならざるをえず、前述のBの作用による優れた
保護膜の生成が困難となるからである。
【0019】Al元素の少なくとも一部が該材料中で高
融点のAl化合物として存在し、これが連続相をなすこ
とが好ましい。該Al化合物は連続相をなすことにより
該材料の骨格となり該材料の強度を高めるが、高温にお
いても該Al化合物が強度を有する限り該材料の高強度
維持が可能となるのである。また、該Al化合物は共存
するBを含む化合物であることがより好ましい。該Al
とBを含む化合物は前述のように高い高温強度に加えて
優れた保護膜形成能を有するからである。該AlとBを
含む化合物として、多数の化合物が適用できる。例え
ば、AlB2、AlB10、AlB12等のホウ化物、Al4
29、Al18 433等のホウ酸化物、Al2
518、Al3BC、Al847、AlB122、AlB
244、AlB134、Al3482、AlB482、A
lB404等のホウ炭化物が挙げられる。これらはいず
れも前述の保護膜形成に好適である。これらの中から選
ばれた1種または複数の化合物により連続相を構成する
のである。かかる観点より、さらに、AlB2、AlB
12、Al3BC、AlB122が好ましい。すなわち、A
lB2、AlB12、Al3BC、AlB122の中から選
ばれた1種または複数の化合物により連続相を構成する
のである。該AlとBを含む化合物は材料中に分散して
いてもよいが、連続相であることがより好ましい。それ
は、分散相としてではなく連続相として存在することに
より材料強度が高まり、亀裂が発生しにくくなるからで
ある。
【0020】また、該AlとBを含む化合物は金属Al
と共存してもよい。これにより、該材料は金属Al由来
の延性を獲得し、衝撃破壊が起きにくく、材料としての
信頼性が増すのである。また、AlとBを含む化合物由
来の耐熱性をも獲得する。すなわち、Alの溶融温度
(純Alで660℃)を越えて材料中のAlが溶融しても
該AlとBを含む化合物の連続相が溶融Alの流動を拘
束するのでAlの融点を超える温度においても該材料に
は変形、亀裂、Alの流出が起きず、かかる高温におい
ても該材料の使用が可能となるのである。材料組織中に
おける金属Alは分散相であっても連続相であってもよ
い。金属Alが連続相の場合、金属Alと該AlとBを
含む化合物の双方が連続相となって、両者が互いに絡み
合う微構造となることが好ましい。これにより材料の特
性のばらつきが減少し材料の信頼性が増すのである。金
属Alは90vol%以下であることが好ましい。これ
は、90vol%を越えると該AlとBを含む化合物の
連続相の量が不十分となり、上記の金属Al配合の効用
が発揮されなくなるからである。
【0021】Al元素は、該AlとBを含む化合物およ
び金属Al以外に、50vol%以下であれば、その他
のAl化合物として存在してもよい。該その他のAl化
合物としてAlN、Al4C3、Al23、MgAl2
4、Al2Caが挙げられる。
【0022】B元素も同様に、該AlとBを含む化合物
以外に、金属Bおよび/またはその他のB化合物として
存在してもよい。該その他のB化合物として、BN、B
4Cが挙げられる。なぜなら、金属Al、その他のAl
化合物、金属B、その他のB化合物はAlとBを含む化
合物と併存することによって前述の優れた保護膜形成に
寄与するからである。
【0023】また、50vol%以下であれば、以下の
成分を含んでもよい。すなわち、Mo、Ti、Nb、C
o、Ta、Si等の金属が挙げられる。該金属配合を5
0vol%以下に限定するのは、該金属配合による耐食
性の低下を回避するためである。
【0024】また、50vol%以下であれば、Cr2
3、SiO2、ZrO2、TiO2、MgO、CaO・2
23、CaO・B23、2Al23・B23、3Al
23・4B23、9Al23・2B23、3Al23
2SiO2、Al23・TiO2、MgO・Cr23、Z
23・SiO2、2MgO・SiO2等の酸化物、Ti
N、ZrN等の窒化物、AlON、SiAlONで総称
される多数の酸窒化物、SiC、Cr32、TiC、Z
rC等の炭化物、CrB、CrB2、TiB2、Zr
2、CaB6、MgB2等のホウ化物、MoSi2、WS
2等のケイ化物が挙げられる。これらのセラミックス
はAl23皮膜生成の起点を提供する。起点が多いほど
Al23皮膜は生成し易く緻密な信頼性の高い皮膜とな
るのである。しかしながら、セラッミクス配合の増加に
よって材料本体は脆性を増す。セラッミクス配合を50
vol%以下に限定するのは、該セラミックス配合増に
よる脆性破壊発生のリスクを回避するためである。
【0025】また、本発明の塩化物含有溶融塩接触材料
は、ホウ素を含む化合物であるB4C、B23、CaB6
の中から選ばれた1種以上の化合物と金属アルミニウム
とを含む無機材料を所定の形状に成形した後、不活性ガ
ス雰囲気で600℃〜1200℃に加熱することにより、好適
に製造できる。
【0026】
【発明の実施の形態】使用環境に応じて該材料に要求さ
れる耐食性は異なる。耐食性に対する要求を満足する範
囲内で可能な限り高い延性を確保することが望ましい。
このような制約条件下で、該材料の組成が決められる。
この発明になる塩化物含有溶融塩接触材料は、それ自身
のみで構成された単体でもよく、他材料からなる部品の
所定の部位に施された被覆材であってもよい。また、形
状に特に制約はない。用途に応じて様々な形状が選択で
きる。例えば、板、管等である。また、その製造に適し
た各種製造方法が選択できる。例えば、粉末焼結、鋳
造、粉末成形体または粉末充填体への溶融Al溶浸、溶
射、肉盛り溶接が挙げられる。
【0027】以下、板を例にして製造工程を述べる。製
造方法は粉末焼結であり、ホットプレスを適用する。ま
ず、Al粉末とB4C粉末を用意し、両粉末を混合す
る。黒鉛製のホットプレス型を用意し、接粉部にあらか
じめ離型剤を塗布する。該型に前記の混合粉末の所定量
を充填する。該型を炉に配設し、真空ポンプによる排気
後、Arガスを流通させる。黒鉛型の上部と下部を構成
するパンチを介して粉末充填層に所定の負荷をかける。
この状態で所定温度まで加熱し、所定時間保持後、放冷
する。負荷を解除し、Arガスの流通を停止して、黒鉛
型を分解して、処理物を取り出す。こうして、板状の処
理物が得られる。処理の過程で次の反応が起きる。9A
l+2B4C→3AlB2+2Al3BCこの結果、Al
2とAl3BCを連続相として含む材料が生成する。
【0028】金属Alを該化学式から求められる化学量
論比に対して過剰にすると、金属Alが残留して、Al
2とAl3BCからなる連続相と金属Alからなる連続
相が絡み合った構造となる。逆に金属Alを不足にする
と、B4Cが分散相をなして残留し、AlB2とAl3
Cからなる連続相中に分散する。AlとB4Cの配合割
合によって材料特性を調整することができる。すなわ
ち、Alを多くすれば延性が発現し、B4Cを多くすれ
ば剛性と耐熱性が増すので、ニ−ズに応じて材料設計を
し、特性を選択することができる。
【0029】B4C以外にもいくつかのB原料が本発明
に適用できる。すなわち、原料に金属AlとB23を選
択すると、処理の過程で次の反応が起きる。3Al+B
23→AlB2+Al23原料に金属AlとCaB6を選
択すると、処理の過程で次の反応が起きる。5Al+C
aB6→3AlB2+CaAl2原料に金属Alと金属B
を選択すると、処理の過程で次の反応が起きる。Al+
2B→AlB2
【0030】これらの反応は、600℃以上の温度範囲で
進行させることが好ましい。これは、該温度範囲でAl
2の連続相が生成し易くなるからであり、600℃未満で
は生成するAlB2が連続相になりにくくなるからであ
る。980℃を越えると、AlB 12またはAlB10も生成
するが、該化合物も耐食性発現に貢献する。なお、これ
らの反応温度に関しては、前記のように反応生成物の連
続相形成のため600℃以上は必要であるが、好ましくは
金属Alが融液となる630℃以上、さらに好ましくは金
属Alの融点である660℃以上として、反応生成物の一
層の緻密化及び反応の促進を図ることが好ましい。但
し、1200℃を越えると、例えば、鋼管上に本材料の耐食
性の被覆層を形成する場合に鋼管の力学的特性を損なう
等問題が生じる。AlとBを含む化合物、例えば、Al
2、Al3BC、AlB10、AlB12を出発物質として
使用して材料を製作してもよいが、上記の理由により、
B含有化合物と金属AlとBを含む化合物を合成する方
法がより好ましい。これは、AlとBを含む化合物が生
成し、成長する過程で連続相になり易いからである。
【0031】
【実施例】以下実施例により、本発明の材料の製造条
件、物性、耐久性試験結果等を説明する。表1に実施例
に基づくデ−タを示し、表2、表3に比較例のデ−タを
示す。
【0032】(実施例1)まず、200メッシュ篩通過
Al粉末を70wt%、325メッシュ通過B4C粉末
を30wt%の割合で混合した混合粉末を100g用意
した。試料挿入部径60mmの黒鉛製ホットプレス治具
の接粉部にBN塗布剤を塗って乾燥した。このホットプ
レス治具に前記混合粉末を全量充填し、ホットプレス装
置に装着した。常温で真空引き後、Arガスを導入して
ガス圧力を0.1Kg/cm2Gに保持した。ホットプ
レスの負荷を4tに設定して、昇温速度15℃/minで
630℃まで加熱し、同温度で5hr保持後、放冷した。
ホットプレス治具を解体したところ、円盤状の処理物が
得られた。次いで、これに700℃の溶体化処理を施し
た。すなわち、アルミニウムの融点は660℃であるが、
処理物を該融点以上に加熱することにより、一層の緻密
化とAlとB4Cの反応の促進を行った。具体的には、
まず、処理物を黒鉛坩堝内に配置した。この坩堝を炉に
配設し、常温で真空引き後、Arガスを導入してガス圧
力を0.1Kg/cm2Gに保持した。昇温速度15℃/
minで700℃まで加熱し、同温度で5hr保持後、放
冷した。
【0033】取り出した処理物を4分割し、それぞれ、
元素分析、XRDによる結晶相同定、酸処理、溶融塩接
触試験に供した。元素分析により、B:23.5wt
%、Al:69.5wt%が得られ、該Bは、XRD同
定によりAlB2とAl3BCとして存在することがわか
った。
【0034】酸処理の目的は、金属Al等酸溶解分を溶
出除去することにより残留する酸不溶物のAlB2が形
状を保持する多孔体となるかどうか、すなわち、AlB
2が連続相となっているかどうかを確認することであ
る。HCl濃度17wt%の塩酸に処理物を240hr
浸漬した。この間水素ガスの放出が起きた。処理物を取
出して水洗いし、110℃で2hr乾燥した。処理物の重
量減少は60.3wt%と大きいにもかかわらず、形状
は強固に保持された多孔体であった。主として、AlB
2で構成される残留物が連続相を構成することにより、
多孔体が形成されたと考えられる。AlB2と共に反応
で生成するAl3BCはAlB2と異なり酸に溶解する
が、AlB2と同様に連続相を形成していたと推定され
る。
【0035】溶融塩接触試験は、処理物をごみ焼却炉よ
り採取した灰に埋設した坩堝を大気炉に配置して昇温速
度15℃/minで750℃まで昇温し、同温度に144
hr保持後、放冷する方法により実施した。該灰はNa
Cl、KCl、ZnCl2、PbCl2等の化合物の形態
でClを8wt%含有しており、これらの塩化物が溶融
塩を形成する。試験後の試料の外観に変化は見られず、
切断面にも異常は見られなかった。
【0036】以上述べたように、BをAlB2およびA
3BCで存在させたことにより、B:23.5wt
%、Al:69.5wt%を含む該材料の耐食性は極め
て良好であった。AlB2およびAl3BCが連続相であ
ったこともこれに寄与したと考えられる。
【0037】(実施例2)200メッシュ篩通過Al粉
末を95wt%、325メッシュ通過B4C粉末を5w
t%の割合で混合した混合粉末を100g用意した。こ
れを出発物質として、実施例1と同一の手順により処理
物を得た。
【0038】取出した処理物を4分割し、それぞれ、元
素分析、XRDによる結晶相同定、酸処理、溶融塩接触
試験に供した。元素分析により、B:3.9wt%A
l:94.4wt%が得られ、該Bは、XRD同定によ
りAlB2とAl3BCとして存在することがわかった。
【0039】HCl濃度17wt%の塩酸に処理物を2
40hr浸漬した。この間水素ガスの放出が起きた。処
理物を取出して、水洗し、110℃で2hr乾燥した。処
理物の重量減少は92.2wt%と大きいにもかかわら
ず、形状は強固に保持された多孔体であった。主とし
て、AlB2で構成される残留物が連続相を構成するこ
とにより多孔体が形成されたと考えられる。AlB2
共に反応で生成するAl3BCはAlB2と異なり、酸に
溶解するが、AlB2と同様に連続相を形成していたと
推定される。
【0040】溶融塩接触試験後の試料の外観に変化は見
られず、切断面にも異常は見られなかった。
【0041】以上述べたように、BをAlB2およびA
3BCで存在させたことにより、B:3.9wt%、
Al:94.4wt%を含む該材料の耐食性は極めて良
好であった。AlB2およびAl3BCが連続相であった
こともこれに寄与したと考えられる。
【0042】(実施例3)200メッシュ篩通過Al粉
末を70wt%、325メッシュ通過B4C粉末を30
wt%の割合で混合した混合粉末を100g用意した。
これを出発物質として実施例1と同様の手順により処理
物を得た。但し、炉の雰囲気はArガスではなく、N2
ガスとした。
【0043】取出した処理物を4分割し、それぞれ、元
素分析、XRDによる結晶相同定、酸処理、溶融塩接触
試験に供した。元素分析により、B:22.7wt%、
Al:67.1wt%が得られた。該Bは、XRD同定
によりAlB2とAl3BCとして存在することがわかっ
た。Alの一部はAlNとなっていた。
【0044】HCl濃度17wt%の塩酸に処理物を2
40hr浸漬した。この間水素ガスの放出が起きた。処
理物は取出して水洗し、110℃で2hr乾燥した。処理
物の重量減少は51.6wt%と大きいにもかかわら
ず、形状は強固に保持された多孔体であった。主として
AlB2で構成される残留物が連続相を構成することに
より、多孔体が形成されたと考えられる。
【0045】溶融塩接触試験後の試料の外観に変化は見
られず、切断面も異常は見られなかった。
【0046】以上の述べたように、BをAlB2および
Al3BCで存在させたことにより、B:22.7wt
%、Al:67.1wt%を含む該材料の耐食性は極め
て良好であった。AlB2およびAl3BCが連続相であ
ったこと、およびAlNの存在もこれに寄与したと考え
られる。
【0047】(実施例4)200メッシュ篩通過Al粉
末を70wt%、200メッシュ通過B23粉末を30
wt%の割合で混合した混合粉末を100g用意した。
これを出発物質として実施例1と同一の手順により処理
物を得た。
【0048】取出した処理物を4分割し、それぞれ、元
素分析、XRDによる結晶相同定、酸処理、溶融塩接触
試験に供した。元素分析により、B:9.3wt%、A
l:69.5wt%が得られ、該Bは、XRD同定によ
りAlB2、Al427、Al6821として存在する
ことがわかった。
【0049】HCl濃度17wt%の塩酸に処理物を2
40hr浸漬した。この間水素ガスの放出が起きた。処
理物は取出して水洗し、110℃で2hr乾燥した。処理
物の重量減少は55.0wt%と大きいにもかかわら
ず、形状は強固に保持された多孔体であった。Al
2、Al427、Al6821で構成される残留物が
連続相を構成することにより、多孔体が形成されたと考
えられる。
【0050】溶融塩接触試験後の試料の外観に変化は見
られず、切断面も異常は見られなかった。
【0051】以上の述べたように、BをAlB2、Al4
27、Al6821で存在させたことにより、B:
3.9wt%、Al:94.4wt%を含む該材料の耐
食性は極めて良好であった。AlB2、Al427、A
6821が連続相であったこともこれに寄与したと考
えられる。
【0052】(実施例5)200メッシュ篩通過Al粉
末を50wt%、325メッシュ通過B4C粉末を20
wt%、200メッシュ篩通過SiC粉末を30wt%
の割合で混合した混合粉末を100g用意した。これを
出発物質として、実施例1と同一の手順により処理物を
得た。
【0053】取出した処理物を4分割し、それぞれ、元
素分析、XRDによる結晶相同定、酸処理、溶融塩接触
試験に供した。元素分析により、B:15.7wt%、
Al:49.7wt%が得られ、該Bは、XRD同定に
よりAlB2とAl3BCとして存在することがわかっ
た。
【0054】HCl濃度17wt%の塩酸に処理物を2
40hr浸漬した。この間水素ガスの放出が起きた。処
理物は取出して水洗し、110℃で2hr乾燥した。処理
物の重量減少は42.5wt%と大きいにもかかわら
ず、形状は強固に保持された多孔体であった。主として
AlB2とSiCで構成される残留物のうち、AlB2
連続相を構成することにより多孔体が形成されたと考え
られる。
【0055】溶融塩接触試験後の試料の外観に変化は見
られず、切断面も異常は見られなかった。
【0056】以上の述べたように、BをAlB2および
Al3BCで存在させたことにより、B:15.7wt
%、Al:49.7wt%を含む材料の耐食性は極めて
良好であった。AlB2およびAl3BCが連続相であっ
たこと、およびSiCの存在もこれに寄与したと考えら
れる。
【0057】(実施例6)BNをB4CとCを主たるバ
インダ−として焼結させて粉砕する方法により、BN、
4C、C等が複合化して個々の粒子を構成するBNC
粉末を用意した。組成は64.4wt%BN、23.2
wt%B4C、7.7wt%C、4.7wt%AlNで
ある。200メッシュ篩通過Al粉末を50wt%、3
25メッシュ通過B4C粉末を20wt%、325メッ
シュ篩通過BNC粉末を30wt%の割合で混合した混
合粉末を100g用意した。これを出発物質として、実
施例1と同一の手順により処理物を得た。
【0058】取出した処理物を4分割し、それぞれ、元
素分析、XRDによる結晶相同定、酸処理、溶融塩接触
試験に供した。元素分析により、B:29.5wt%、
Al:50.6wt%が得られ、該Bは、XRD同定に
よりAlB2とAl3BCとして存在することがわかっ
た。
【0059】HCl濃度17wt%の塩酸に処理物を2
40hr浸漬した。この間水素ガスの放出が起きた。処
理物は取出して水洗し、110℃で2hr乾燥した。処理
物の重量減少は49.6wt%と大きいにもかかわら
ず、形状は強固に保持された多孔体であった。主として
AlB2、BN、B4Cで構成される残留物のうち、Al
2が連続相を構成することにより多孔体が形成された
と考えられる。
【0060】溶融塩接触試験後の試料の外観に変化は見
られず、切断面も異常は見られなかった。
【0061】以上の述べたように、BをAlB2および
Al3BCで存在させたことにより、B:29.5wt
%、Al:50.6wt%を含む材料の耐食性は極めて
良好であった。AlB2およびAl3BCが連続相であっ
たこと、およびBN、B4C、AlNの存在もこれに寄
与したと考えられる。
【0062】(実施例7)200メッシュ篩通過Al粉
末を62wt%、325メッシュ通過B4C粉末を18
wt%、200メッシュ篩通過B23粉末を20wt
%、325メッシュ通過Mg粉末を1wt%の割合で混
合した混合粉末を100g用意した。これを出発物質と
して、実施例1と同一の手順により処理物を得た。
【0063】取出した処理物を4分割し、それぞれ、元
素分析、XRDによる結晶相同定、酸処理、溶融塩接触
試験に供した。元素分析により、B:20.0wt%、
Al:60.6wt%が得られ、該Bは、XRD同定に
よりAlB2とAl3BCとして存在することがわかっ
た。
【0064】HCl濃度17wt%の塩酸に処理物を2
40hr浸漬した。この間水素ガスの放出が起きた。処
理物は取出して水洗し、110℃で2hr乾燥した。処理
物の重量減少は32.1wt%であり、形状は強固に保
持された多孔体であった。主としてAlB2、Al23
で構成される残留物が連続相を構成することにより多孔
体が形成されたと考えられる。
【0065】溶融塩接触試験後の試料の外観に変化は見
られず、切断面も異常は見られなかった。
【0066】以上の述べたように、BをAlB2および
Al3BCで存在させたことにより、B:20.0wt
%、Al:60.6wt%を含む材料の耐食性は極めて
良好であった。AlB2、Al3BC、Al23が連続相
であったこと、およびMgAl 24の存在もこれに寄与
したと考えられる。
【0067】(実施例8)200メッシュ篩通過Al粉
末を84wt%、325メッシュ通過CaB6粉末を1
6wt%、325メッシュ通過Mg粉末を1wt%の割
合で混合した混合粉末を100g用意した。これを出発
物質として、実施例1と同一の手順により処理物を得
た。
【0068】取出した処理物を4分割し、それぞれ、元
素分析、XRDによる結晶相同定、酸処理、溶融塩接触
試験に供した。元素分析により、B:9.7wt%、A
l:82.1wt%が得られ、該Bは、XRD同定によ
りAlB2として存在することがわかった。
【0069】HCl濃度17wt%の塩酸に処理物を2
40hr浸漬した。この間水素ガスの放出が起きた。処
理物を取出して水洗し、110℃で2hr乾燥した。処理
物の重量減少は85.8wt%と極めて大きかったが、
形状は強固に保持された多孔体であった。主としてAl
2で構成される残留物が連続相を構成することにより
多孔体が形成されたと考えられる。
【0070】溶融塩接触試験後の試料の外観に変化は見
られず、切断面も異常は見られなかった。
【0071】以上の述べたように、BをAlB2で存在
させたことにより、B:9.7wt%、Al:82.1
wt%を含む材料の耐食性は極めて良好であった。Al
2とともに生成するAl2Caが連続相であったこと、
およびMgO、MgAl2 4の存在もこれに寄与したと
考えられる。
【0072】(実施例9)200メッシュ篩通過Al粉
末を70wt%、200メッシュ通過B4C粉末を30
wt%の割合で混合した混合粉末を100g用意した。
この混合粉末は実施例1と同一組成である。これを出発
物質として、実施例1と同一条件でホットプレスを実施
した。これに1200℃で溶体化処理を施した。
【0073】取出した処理物を4分割し、それぞれ、元
素分析、XRDによる結晶相同定、酸処理、溶融塩接触
試験に供した。元素分析により、B:23.5wt%、
Al:69.5wt%が得られ、該Bは、XRD同定に
よりAlB2、Al3BC、AlB12、AlB122とし
て存在することがわかった。
【0074】HCl濃度17wt%の塩酸に処理物を2
40hr浸漬した。この間水素ガスの放出が起きた。処
理物を取出して水洗し、110℃で2hr乾燥した。処理
物の重量減少は66.0wt%と大きかったが、形状は
強固に保持された多孔体であった。主としてAlB2
AlB12、AlB122で構成される残留物が連続相を
構成することにより多孔体が形成されたと考えられる。
【0075】溶融塩接触試験後の試料の外観に変化は見
られず、切断面も異常は見られなかった。
【0076】以上の述べたように、BをAlB2、Al3
BC、AlB12、AlB122で存在させたことによ
り、B:23.5wt%、Al:69.5wt%を含む
材料の耐食性は極めて良好であった。AlB2、Al3
C、AlB12、AlB122が連続相であったこともこ
れに寄与したと考えられる。
【0077】(比較例1)表面を酸化したAl粉末を用
意した。粉末の酸素濃度は1.8wt%であった。該A
l粉末を200メッシュ篩に通して得られる200メッ
シュ通過Al粉末を100g用意した。これを出発物質
として、実施例1と同一の手順により、処理物を得た。
【0078】取出した処理物を4分割し、それぞれ、元
素分析、XRDによる結晶相同定、酸処理、溶融塩接触
試験に供した。元素分析により、B:0.0wt%、A
l:97.8wt%が得られた。
【0079】これをHCl濃度17wt%の塩酸に処理
物を240hr浸漬した。この間水素ガスの放出が起き
た。処理物は原形をとどめず、粉が残留していた。
【0080】溶融塩接触試験後の試料の表面は白変して
脆化していた。
【0081】Alは緻密なAl23の皮膜に覆われる
と、極めて良好な耐食性を示すことが知られており、A
lの融点未満の温度ではこれが機能する。しかし、本比
較例1のように、AlあるいはAl合金の融点を越える
高温においては、Alが溶融により膨張してAl23
皮膜を損傷させる。このため、損傷部分がCl2ガスの
攻撃を受けてAlの塩化揮発と酸化が並行し、脆化が起
きる。すなわち、Bが存在しないと、600℃を越える高
温ではAlの耐食性が極めて悪くなるのである。
【0082】(比較例2)INCONEL625の組成を表3に示
す。10mm×20mm×3mmの試験片を実施例1と
同一の条件で溶融塩接触試験に供した。試験後の試験片
は前面スケ−ルに覆われていたが、薄膜状の剥離が認め
られ、保護膜としては機能していなかった。
【0083】以上の如く、B:1〜45wt%、Al:
40〜99wt%を含み、該Bの一部または全部がAl
2、AlB12、Al3BC、AlB122より選ばれた1
種または複数の化合物よりなる材料について上述した9
個の実施例では、600℃を越える高温においても塩化物
含有溶融塩の接触する腐食環境下において材料の劣化が
認められないのに対して、Bを含有しないAl材料につ
いて記述した比較例1およびニッケル基合金について記
述した比較例2においては材料の劣化が認められた。
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
【0086】
【表3】
【0087】
【発明の効果】以上のように、本発明の材料は、アルミ
ニウムとホウ素を含む化合物を有する材料であって、A
lとBを必須元素として含み、Al含有量が40〜99
wt%、B含有量が1〜45wt%を含むようにしたの
で、また、前記化合物をAlB 2、AlB12、Al3
C、AlB122より選ばれた1種または複数の化合物と
したので、塩化物含有溶融塩接触環境下で極めて優れた
耐食性を発揮する材料を提供でき、都市ごみ、下水汚
泥、製紙スラッジ等の各種産業廃棄物の燃焼炉、石炭燃
焼炉、石炭ガス化炉等で塩化物含有溶融塩と接触する部
位に適用される材料の寿命延長、あるいは、より過酷な
条件での設備の運転を可能にする。
【0088】また、アルミニウムとホウ素を含む化合物
であるAlB2、AlB12、Al3BC、AlB122
中から選ばれた1種以上の化合物及び金属アルミニウム
を主成分とし、アルミニウム含有量が40〜99wt%、
ホウ素含有量が1〜45wt%である材料としたので、塩
化物含有溶融塩接触材料として、塩化物含有溶融塩接触
環境下で極めて優れた耐食性を発揮する材料を提供する
とともに、金属アルミニウム由来の延性を獲得し、衝撃
破壊が起きにくく、信頼性が一層増す。
【0089】また、前記アルミニウムとホウ素を含む化
合物が連続相を形成しているので、材料強度が高まり、
亀裂が発生し難くなる。
【0090】また、本発明の製造方法は、B4C、B2
3、CaB6の中から選ばれた1種以上の化合物と金属ア
ルミニウムとを含む無機材料を所定の形状に成形した
後、不活性ガス雰囲気で600℃〜1200℃に加熱するの
で、前記AlB2、AlB12、Al 3BC、AlB122
のようなアルミニウムとホウ素を含む化合物を有する材
料が製造でき、塩化物含有溶融塩接触材料として有効な
材料が得られる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウムとホウ素を含む化合物を有
    する材料であって、アルミニウム含有量が40〜99wt
    %、ホウ素含有量が1〜45wt%であることを特徴とす
    る塩化物含有溶融塩接触材料。
  2. 【請求項2】 前記アルミニウムとホウ素を含む化合物
    が、AlB2、AlB12、Al3BC、AlB122の中
    から選ばれた1種以上の化合物であり、該化合物を主成
    分とすることを特徴とする請求項1記載の塩化物含有溶
    融塩接触材料。
  3. 【請求項3】 AlB2、AlB12、Al3BC、AlB
    122の中から選ばれた1種以上の化合物及び金属アル
    ミニウムを主成分とし、アルミニウム含有量が40〜9
    9wt%、ホウ素含有量が1〜45wt%であることを特徴
    とする塩化物含有溶融塩接触材料。
  4. 【請求項4】 前記化合物が連続相を形成していること
    を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の塩化物含
    有溶融塩接触材料。
  5. 【請求項5】 前記化合物がAlB2及びAl3BCであ
    ることを特徴とする請求項4記載の塩化物含有溶融塩接
    触材料。
  6. 【請求項6】 B4C、B23、CaB6の中から選ばれ
    た1種以上の化合物と金属アルミニウムとを含む無機材
    料を所定の形状に成形した後、不活性ガス雰囲気で600
    ℃〜1200℃に加熱することを特徴とする請求項1〜請求
    項5のいずれか1項に記載の塩化物含有溶融塩接触材料
    の製造方法。
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