JP2003042688A - 熱交換用被覆鋼管、その製造方法及び熱交換器 - Google Patents

熱交換用被覆鋼管、その製造方法及び熱交換器

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JP2003042688A
JP2003042688A JP2001229305A JP2001229305A JP2003042688A JP 2003042688 A JP2003042688 A JP 2003042688A JP 2001229305 A JP2001229305 A JP 2001229305A JP 2001229305 A JP2001229305 A JP 2001229305A JP 2003042688 A JP2003042688 A JP 2003042688A
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Hiroaki Nishio
浩明 西尾
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の水壁高温部あるいはボイラ−等に使わ
れる熱交換用伝熱管の耐食性は、INCONEL625のような被
覆材を施しても不十分であった。 【解決手段】 アルミニウムとホウ素を含む化合物であ
るAlB2、AlB12、Al3BC、AlB122の中か
ら選ばれた1種以上の化合物を主成分とし、アルミニウ
ム含有量が40〜99wt%、ホウ素含有量が1〜45wt
%である被覆層を鋼管の外面に有する熱交換用被覆鋼管
とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塩化物を含む溶融
塩の発生を伴う非常に厳しい腐食環境に曝される都市ご
み、下水汚泥、製紙スラッジ等の各種産業廃棄物の燃焼
炉、石炭燃焼炉、石炭ガス化炉等に適用される被覆鋼
管、その製造方法及び該被覆鋼管を使った熱交換器に関
するものであり、該被覆管は、該炉において塩化物含有
溶融塩が付着してそれによる腐食が問題となる炉壁、熱
交換器等を構成する熱交換用伝熱管として有用である。
【0002】
【従来の技術】都市ごみ、下水汚泥、製紙スラッジ等の
各種産業廃棄物あるいは石炭を燃焼あるいはガス化する
と、ガス状あるいはダスト状の腐食性物質を含むガスが
発生する。例えば、都市ごみ燃焼排ガスは、HCl等の
塩化物ガス、H2S、SO2等の硫黄化合物ガス、NaC
l、KCl、ZnCl2、PbCl2等の塩化物、Na2
SO4、CaSO4等の硫酸塩を主成分とする灰分を含ん
でいる。灰分は炉内各所に付着蓄積するが、前記の複数
の塩化物は低融点の複合塩化物となり、付着物を溶融塩
に変える。該塩化物含有溶融塩からは腐食性の強いCl
2ガスが発生し、燃焼炉あるいはガス化炉の溶融塩付着
部位を侵し、劣化させ、損傷に至らしめる。
【0003】かかる燃焼炉あるいはガス化炉の壁には、
水冷鋼管群を配するのが一般的であり水壁と称される。
これは管内に通水して管温を抑制することによって管を
炉壁として機能させることを意図したものである。灰は
水冷鋼管の特に高温ガス側に付着、蓄積する。また、燃
焼排ガスの保有顕熱の回収を行うボイラ−の伝熱管に
も、付着、蓄積する。付着した灰は多種の塩化物を含
む。このうち、ZnCl2、PbCl2等の低融点の塩
化物は灰の融点を下げ、灰を高腐食性の溶融塩に変え
る。このため、水壁鋼管あるいはボイラ−の伝熱管の溶
融塩付着部位において溶融塩腐食が進行する。腐食は、
管のガス側温度と水蒸気側温度の双方が高いボイラ−
部、すなわち、ス−パ−ヒ−タ部において顕著となる。
【0004】公知のCr鋼、Ni−Cr鋼からなる伝熱
管においては、腐食損傷を抑制するために、回収できる
水蒸気の温度は、通常、300℃以下に抑制される。450℃
を越える高温高圧水蒸気を回収するには高耐食性の伝熱
管の適用が不可欠であるが、管外周にINCONEL625(21
wt%C−9wt%Mo−4wt%Nb−62wt%N
i)を肉盛り溶接して得られる被覆鋼管が比較的耐食性
良好とされている。しかし、INCONEL625をもってして
も、管表面温度が500℃を越えると管寿命は半年から2年
となり、極めて短い。
【0005】特開平7−146091号公報は、管外周
にアンダ−コ−トとして85〜50wt%Ni-15〜50wt
%Crを、トップコ−トとしてAlをそれぞれ溶射によ
り施した伝熱管を開示している。これによれば、Alが
緻密な酸化被膜となって管の腐食を防止するとしてい
る。しかしながら、ごみ焼却炉の実績ではAlトップコ
−トの寿命は長くないことが報告されている(第13回全
国都市清掃研究発表会講演論文集19992.2)。単体のA
lがCl2とO2の共存する溶融塩付着部位の雰囲気に曝
されると、Alの塩化揮発とAlの酸化が同時に進行す
る。このため、腐食性ガスの侵入を遮断しうる緻密な酸
化物被膜は形成されず、多孔質の剥離し易い酸化物被膜
となる。酸化物被膜は生成と剥離を繰り返し、同時に塩
化揮発によるAlの消耗が進行し、短期間のうちにAl
溶射膜は消失するのである。このように、溶射により形
成されたAl層の防食効果は小さい。
【0006】特開2001−56195号公報は、耐熱
合金管の外周にセラミックス−金属複合材料からなるカ
バ−材を配した熱交換用伝熱管を開示し、複合材料を構
成する金属としてAl、セラミックスとしてAlN、A
lON等を挙げている。該Al−AlN(またはAlO
N)複合材料はAlマトリックス中にAlN(またはA
lON)を分散させたことを特徴とする。このような複
合化により、腐食性雰囲気で生成する酸化被膜のアルミ
ナは分散したAlN(またはAlON)と結合して根を
張り、剥離しにくくなる。そして、該材料の適用温度は
600℃まで上昇する。しかしながら、600℃を越えると、
Alの塩化揮発による材料の劣化が急激に進行する。す
なわち、600℃を越える材料温度では使用が困難であっ
た。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来の
水壁あるいはボイラ−等の熱交換器用伝熱管の耐食性は
INCONEL625のような被覆材を施しても不十分であった。
【0008】本発明は、かかる事情に鑑みてなされたも
のであって、塩化物を含む溶融塩が接触する非常に厳し
い腐食環境下で優れた耐食性を発揮する熱交換用被覆鋼
管、その製造方法及び該熱交換用被覆鋼管を使用した熱
交換器を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、熱交換用被
覆鋼管の被覆層を構成するAl元素が酸化して生成する
酸化物被膜は、Bが存在しないと緻密化しないが、Bが
存在すると、緻密化することを見出した。本発明はかか
るB元素の作用に依拠する。本発明になる熱交換用被覆
鋼管の被覆層は、ガス流に同伴されて飛散した塩化物含
有溶融塩が接触することによって過酷な腐食環境に曝さ
れることになるが、初期に被覆層の表面に緻密な酸化物
保護膜が形成されること、該保護膜が該被覆層材料の主
構成元素であるAlの塩化反応および酸化反応の進行を
阻止することを以って該材料の劣化を防止するという際
立った特徴を有する。そして、被覆層表面に形成された
該保護膜が被覆層を保護し、該被覆層が鋼管を保護する
こととなる。
【0010】該保護膜は、次のようなメカニズムに従っ
て生成すると推定される。すなわち、Cl2とO2の共存
する雰囲気にAlが曝されると、Alの塩化揮発(Al
Cl3を生成)とAlの酸化(Al23を生成)が同時
に進行する。このため、生成するAl23は緻密な酸化
被膜とはなりにくく多孔化する。これに対して、B元素
が存在すると、Bの塩化揮発(BCl3を生成)と酸化
(B23を生成)が並行して起きる。B23の融点は45
0℃なので、生成するB23は液膜を形成する。この液
膜が表面の気孔を埋めてCl2とO2を含む外来ガス成分
の侵入を遮断する。B23の液膜は最終的には隣接する
Al23と反応して複合酸化物(例えば、Al4
29)を生成して固化し固体保護膜になるか、あるいは
材料内部に存在する金属Alと反応してホウ化物(例え
ばAlB2)に戻ると考えられるのである。
【0011】該材料中のB元素の量は1〜45wt%で
あることが好ましい。これは、1wt%未満ではB23
液膜の生成が不十分となるからである。また、45wt
%を越えるとB23液膜を全量、固体保護膜として吸収
することが困難となり、残留したB23液が灰の固着を
誘発する現象が顕著となるからである。
【0012】Al23は熱力学的に安定な化合物であ
り、潜在的な耐食性能は極めて高い。この耐食性能を保
護膜として十分発揮させることが本特許の狙いである。
該材料中のAl元素の量は40〜99wt%であること
が好ましい。これは、40wt%未満では、Al23
耐食性能を引出すには量的に不十分となるからである。
また、Al元素が99wt%を越えるとB元素が1wt
%未満とならざるをえず、前述のBの作用による優れた
保護膜の生成が困難となるからである。
【0013】Al元素の少なくとも一部が該材料中で高
融点のAl化合物として存在し、これが連続相をなすこ
とが好ましい。該Al化合物は連続相をなすことにより
該材料の骨格となり該材料の強度を高めるが、高温にお
いても該Al化合物が強度を有する限り該材料の高強度
維持が可能となるのである。また、該Al化合物は共存
するBを含む化合物であることがより好ましい。これ
は、該AlとBを含む化合物は前述の高い高温強度と優
れた保護膜形成能を両立できるからである。
【0014】該AlとBを含む化合物として、多数の化
合物が適用できる。例えば、AlB2、AlB10、Al
12等のホウ化物、Al429、Al18 433等のホ
ウ酸化物、Al2518、Al3BC、Al847、A
lB122、AlB244、AlB134、Al3
482、AlB482、AlB404等のホウ炭化物が挙
げられる。これらはいずれも前述の保護膜形成に好適で
ある。これらの中から選ばれた1種または複数の化合物
により連続相を構成するのである。かかる観点より、さ
らに、AlB2、AlB12、Al3BC、AlB122
より好ましい。すなわち、AlB2、AlB12、Al3
C、AlB122の中から選ばれた1種または複数の化合
物により連続相を構成するのである。該AlとBを含む
化合物は材料中に分散して存在する分散相であってもよ
いが、連続相であることがより好ましい。なぜなら、分
散相としてではなく連続相として存在することにより骨
格として機能し、材料強度が高まり、亀裂が発生しにく
くなるからである。
【0015】AlとBを含む化合物の連続相はB4C、
23、CaB6等のB含有化合物、あるいは金属Bと
金属Alを接触させて反応させることによって得られ
る。このうち、例えば、B4Cを選択すれば、下記の反
応が起きる。 9Al+2B4C→3AlB2+2Al3BC この過程で、AlB2とAl3BCを連続相として含む材
料が生成するのである。金属Alを該化学式から求めら
れる化学量論比に対して過剰にすると、金属Alが残留
して、AlB2とAl3BCからなる連続相と金属Alか
らなる連続相が絡み合った構造となる。逆に、金属Al
を不足にすると、過剰のB4Cが分散相をなして残留
し、AlB2とAl3BCからなる連続相中に分散する。
AlとB4Cの配合割合によって材料特性を調整するこ
とができる。すなわち、Alを多くすれば延性が発現
し、B4Cを多くすれば剛性が増すので、ニ−ズに応じ
て配合を選択し、特性を決定することができる。
【0016】原料に金属AlとB23を選択すると、処
理の過程で次の反応が起きる。 3Al+B23→AlB2+Al23 原料に金属AlとCaB6を選択すると、処理の過程で
次の反応が起きる。 5Al+CaB6→3AlB2+CaAl2 原料に金属Alと金属Bを選択すると、処理の過程で次
の反応が起きる。 Al+2B→AlB2
【0017】これらの反応は、600℃以上の温度範囲で
進行させることが好ましい。これは、該温度範囲でAl
2の連続相が生成し易くなるからであり、600℃未満で
は生成するAlB2が連続相になりにくくなるからであ
る。さらに好ましくは630℃以上である。該温度範囲で
金属Alは融液となるので前記の反応は進行し易くな
り、かつ、AlB2等の連続相も発達するからである。9
80℃を越えると、AlB12またはAlB10も生成する
が、該化合物も耐食性発現に貢献する。AlとBを含む
化合物、例えば、AlB2、Al3BC、AlB10、Al
12を出発物質として使用して材料を製作してもよい
が、上記の理由により、B含有化合物と金属Alを出発
物質としてAlとBを含む化合物を合成する方法がより
好ましい。これは、AlとBを含む化合物が生成し、成
長する過程で連続相になり易いからである。
【0018】また、該AlとBを含む化合物は金属Al
と共存してもよい。これにより、該材料は金属Al由来
の延性を獲得し、衝撃破壊が起きにくく、材料としての
信頼性が増すのである。また、AlとBを含む化合物由
来の耐熱性をも獲得する。すなわち、Alの溶融温度
(純Alで660℃)を越えて材料中のAlが溶融しても
該AlとBを含む化合物の連続相が溶融Alの流動を拘
束するのでAlの融点を超える温度においても該材料に
は変形、亀裂、Alの流出が起きず、かかる高温におい
ても該材料の使用が可能となるのである。材料組織中に
おける金属Alは分散相であっても連続相であってもよ
い。金属Alが連続相の場合、金属Alと該AlとBを
含む化合物の双方が連続相となって、両者が互いに絡み
合う微構造となることが好ましい。これにより材料の特
性のばらつきが減少し材料の信頼性が増すのである。材
料組織中に占める金属Alの割合は90vol%以下で
あることが好ましい。これは、90vol%を越えると
該AlとBを含む化合物の連続相の量が不十分となり、
上記の金属Al配合の効用が発揮されなくなるからであ
る。
【0019】Al元素は、該AlとBを含む化合物およ
び金属Al以外に、50vol%以下であれば、その他
のAl化合物として存在してもよい。該その他のAl化
合物としてAlN、Al43、Al23、MgAl
24、Al2Caが挙げられる。
【0020】B元素も同様に、該AlとBを含む化合物
以外に、金属Bおよび/またはその他のB化合物として
存在してもよい。該その他のB化合物として、BN、B
4Cが挙げられる。なぜなら、金属Al、その他のAl
化合物、金属B、その他のB化合物はAlとBを含む化
合物と併存することによって前述の優れた保護膜形成に
寄与するからである。
【0021】また、50vol%以下であれば、以下の
成分を含んでもよい。すなわち、Mo、Ti、Nb、C
o、Ta、Si等の金属が挙げられる。該金属配合を5
0vol%以下に限定するは、該金属配合による耐食性
の低下を回避するためである。
【0022】また、50vol%以下であれば、Cr2
3、SiO2、ZrO2、TiO2、MgO、CaO・2
23、CaO・B23、2Al23・B23、3Al
23・4B23、9Al23・2B23、3Al23
2SiO2、Al23・TiO2、MgO・Cr23、Z
23・SiO2、2MgO・SiO2等の酸化物、Ti
N、ZrN等の窒化物、AlON、SiAlONで総称
される多数の酸窒化物、SiC、Cr32、TiC、Z
rC等の炭化物、CrB、CrB2、TiB2、Zr
2、CaB6、MgB2等のホウ化物、MoSi2、WS
2等のケイ化物が挙げられる。これらのセラッミクス
はAl23皮膜生成の起点を提供する。起点が多いほど
Al23皮膜は生成し易く、緻密な信頼性の高い皮膜と
なるのである。しかしながら、セラミックス配合の増加
によって材料本体は脆性を増す。セラッミクス配合を5
0vol%以下に限定するのは、該セラミックス配合増
による脆性破壊発生のリスクを回避するためである。
【0023】本発明になる被覆鋼管を構成する鋼管は、
炭素鋼、Cr鋼、Cr−Ni鋼のいずれでもよいが、耐
熱性の観点からCr鋼、Cr−Ni鋼がより好ましい。
Cr鋼としては5〜30wt%Crを含む公知の材料が
適用できる。Cr−Ni鋼としては10〜30wt%C
r、8〜35wt%Niを含む公知の材料が適用でき
る。これらは、Mo、Ti、Si、Al、Nb、Co、
Ta等を含んでよい。18wt%Cr−8wt%Ni鋼
は汎用材料であり、好適である。
【0024】この鋼管の外部に形成される被覆層の元素
構成であるAlが鋼管母材中へ拡散してFe−Al系の
金属間化合物が生成し、両者が接合されることがある。
この場合、加熱冷却によって界面に沿って亀裂が発生す
る。この亀裂面に沿って鋼管と被覆層が摺動を繰り返す
限り、問題はなく、これでもよい。しかし、亀裂が起点
となって被覆層中に亀裂が進展することがある。したが
って、かかる拡散接合を防止するのがより好ましく、こ
のために鋼管とも被覆層の間に分離皮膜を挟んでもよ
い。該分離皮膜は鋼管材料とも被覆層材料とも反応し難
い材料で構成される。
【0025】該分離皮膜材料として、酸化物では、ま
ず、Al23、Cr23、SiO2、ZrO2、Ti
2、MgOが挙げられる。これらの酸化物はAlと反
応しないか、または比較的反応し難く、Feとは反応し
ない。ここに挙げた酸化物同士の複合酸化物でもよい。
例えば、3Al23・2SiO2、Al23・TiO2
MgO・Al23、MgO・Cr23、Zr 23・Si
2、2MgO・SiO2が挙げられる。Al23はベ−
マイト・ゾルを塗布して皮膜形成してもよい。SiO2
は、ケイ酸メチルやケイ酸エチルの加水分解液、水ガラ
ス等のSiO2前駆体を塗布してもよい。また、酸化物
粉末を水ガラス等の無機バインダ−で結合してもよい。
【0026】炭化物では、SiCが挙げられる。SiC
粉末を無機バインダ−で結合した皮膜でもよいが、特
に、有機ケイ素化合物の誘導体であるポリカルボシラン
溶解液を鋼管外表面に塗布し、乾燥、熱分解して得られ
るSiC皮膜は好適である。
【0027】窒化物では、Si34、BNが挙げられ
る。これらは粉末と無機バインダ−の組合わせで皮膜を
形成してもよいし、液状の前駆体を適用してもよい。例
えば、Si34の前駆体としてポリシラザンが挙げられ
る。
【0028】前記の分離皮膜のなかで、特に、Al
23、Cr23、SiO2、SiC、Si34、Al
N、BNが好適である。このなかで、BNはもっとも好
適である。なぜなら、BNはFe、Alと反応しないだ
けでなく、潤滑性がある。被覆層は、加熱冷却にともな
って鋼管との接触界面で摺動するが、BNは摺動抵抗を
軽減するのである。このようなBNの特徴を発揮させる
ために、BNは皮膜材料中に20wt%以上含むことが
好ましい。
【0029】これらの分離皮膜材料は前述の複数の成分
を組合わせてもよく、また、50wt%未満に限定すれ
ば、前述しなかったセラミックス材料と組合わせてもよ
く、また、Al、Cu、Fe、Cr、Ni、Mo、T
i、Si、Al、Nb、Co、Taの中から選ばれた1
種または複数の金属と組合わせてもよい。
【0030】分離皮膜の施工方法については特に制約は
なく、塗布、化学蒸着、物理蒸着、火炎溶射、プラズマ
溶射、装着等のいずれでもよい。このなかで、装着は簡
便であり、好適である。これはシ−ト状またはスリ−ブ
状の可撓性材料で鋼管表面を一重または多重に包むので
ある。例えば、アルミニウム箔は両面にAl23の膜を
有するが、該アルミニウム箔を鋼管に巻き付けて固定す
るのである。この場合、両面のAl23の膜が鋼管と被
覆層の分離に寄与する。また、例えば、セラッミク繊維
の織布を鋼管に巻き付けて密着固定するのである。ま
た、例えば、セラッミク繊維の筒状の編み物、すなわ
ち、編組スリ−ブの内に鋼管を通して密着固定するので
ある。該セラミック繊維材料には特に制約はないが、例
えば、Eガラス、シリカ、アルミナ、ムライト、ホウ酸
アルミニウムが挙げられる。
【0031】また、本発明においては、上記の被覆鋼管
を熱交換器用被覆鋼管とし、該熱交換器用被覆鋼管を熱
交換器に使用する。これにより塩化物を含む溶融塩の発
生を伴う非常に厳しい腐食環境でも充分な耐食性を有す
る熱交換器が得られる。
【0032】
【発明の実施の形態】図1〜図7に基づいて、本発明の
被覆鋼管の製造方法について説明する。図1及び図2
は、それぞれ、溶浸処理前の処理物の軸に直角方向の切
断面を示す図及び長手方向の切断面を示す図である。図
3及び図4は、それぞれ、溶浸処理後の処理物の軸に直
角方向の切断面を示す図及び長手方向の切断面を示す図
である。図5及び図6は、それぞれ、四角管状被覆鋼管
の軸に直角方向の切断面を示す図及び長手方向の切断面
を示す図である。また、図7は、円管状の被覆鋼管の軸
に直角方向の切断面を示す図である。
【0033】まず、図1〜図7に基づいて、被覆鋼管の
製造法についてその概要を説明する。B源粉末、例え
ば、B4C粉末と、Al粉末を含む混合粉末を用意す
る。鋼製内管3の表面に分離被膜4として、編組Eガラ
ススリ−ブを装着する。次に、アルミニウム製外管2の
内部に該鋼製内管3を挿入する。該鋼製内管3と該アル
ミニウム製外管2の間隙で構成される空間に前記混合粉
末を充填して粉末充填層5を形成する。これを固定容器
1に入れて拘束し、炉内に配設して、真空ポンプで排気
後、窒素ガスを導入し、窒化性雰囲気とする。次に、A
lの融点を越える温度(Alの融点は純Alで660℃)
まで加熱して、所定時間保持する。この間にアルミニウ
ム製外管2が溶融して混合粉末の間隙に浸透する。溶融
Alと粉末由来AlはB4Cと反応してAlB2とAl3
BCの連続相を生成し、被覆層7を形成する。また、一
部は窒化してAlNとなり、分散相の一部を構成する。
放冷後、処理物を炉内より取出す。固定容器1を解体し
てアルミニウム複合材料被覆鋼管8を得る。
【0034】処理温度サイクルの最高温度は、670〜120
0℃とすることが好ましい。すなわち、Alの融点以上
であって、鋼製内管3の力学的特性を損なうことのない
温度に上限を抑える必要から制限するのである。
【0035】Alの酸化を抑制しAlの窒化が進行する
雰囲気を構築できれば、窒化性ガスに特に制約はない。
例えば、窒素ガス、アンモニア分解ガス等が挙げられ
る。窒素ガスを適用する場合、窒素ガス圧は絶対圧力で
0.05〜1Mpaとする。かかる範囲で適度のAlの
窒化が進行するのである。過大になると、Alの窒化に
伴う発熱で処理物が異常加熱されてAl融液が噴出した
り、鋼製内管3の変形や溶融をもたらすからである。
【0036】被覆鋼管8の断面形状は、鋼製内管3とア
ルミニウム製外管2の断面形状の選択により定まる。す
なわち、両者を共に四角管とすれば、四角管状被覆鋼管
8が得られ、また、両者ともに円管とすれば、円管状被
覆鋼管8が得られる。
【0037】なお、分離皮膜4の肉厚は0.05〜1m
mとすることが好ましい。これは、0.05mm未満で
は十分な被覆が困難であり、分離性能に関して信頼性に
欠けるからである。また、1mmを越えると、該被膜の
伝熱抵抗が大きくなり伝熱の障害となるからである。
【0038】また、鋼管の被覆層7の厚さは2〜10m
mが好ましい。これは、2mm未満では被覆層により腐
食性のガスおよび溶融塩の母材金属への侵入を長期間に
亘って阻止することは困難となるからであり、また、1
0mmを越えると伝熱抵抗が増して伝熱管としての特性
に問題が生じるからである。
【0039】次に、さらに製造工程を詳述する。まず、
アルミニウム製外管2を、その外面形状と同一の内面形
状を有する固定容器1に収納する。固定容器1は溶浸温
度までのアルミニウム製外管2の保形と溶融Alとの非
反応性が要求される。固定容器1がないと、アルミニウ
ム製外管2は溶浸に有効に消費されず、多くが流れ落ち
て塊となって集積することとなる。したがって、固定容
器1の適用が好ましい。該固定容器1は溶融Alと反応
し難い材料で構成することが好ましい。溶融Alが固定
容器1の内面で該容器材料と反応すると、溶浸固化後の
処理物が固定容器1と固着して、分離が困難となるだけ
でなく、固定容器1の繰り返し使用が困難となるからで
ある。したがって、例えば、Al23、SiO2、Zr
2、Al23・TiO2、MgO・Al23等の酸化
物、TiB2、ZrB2、CrB、CrB2等のホウ化
物、Si34、BN等の窒化物、SiC等の炭化物が材
料として挙げられる。黒鉛は溶融Alと反応するが、溶
融Alと接触する内面に上述のセラミックスを主成分と
する皮膜を施すことによって固定容器1として使用が可
能となる。固定容器1は変形し難い容器であっても、ま
た、変形の容易なセラミック繊維の織布あるいは織物で
あってもよい。後者の場合、アルミニウム製外管2に密
着するように処理物を包むのである。
【0040】一方、前述のようにあらかじめ分離皮膜4
を施した鋼製内管3を用意して、これをアルミニウム製
外管2の内部に配設する。両管の間隙に前記混合粉末を
充填するのであるが、これに先立って、図2のように、
間隙端部の一方を多孔質で弾力性のある無機材料ブラン
ケット6aで閉じる。それから、他端より充填を実施し
て、混合粉末からなる粉末充填層5を形成し、充填口を
無機材料ブランケット6bで閉じる。これを炉内に横に
して配設し、前述のように溶浸処理を施す。溶浸、反
応、固化によって、図3に示すように、固定容器1の内
部には被覆層7と分離皮膜4付きの鋼製内管3からなる
被覆鋼管8が生成する。該被覆鋼管8の外寸は固定容器
1の内寸より小さくほぼアルミニウム製外管2の内径に
等しいので図3および図4に示すように両者の間に間隙
が発生する。このため、被覆鋼管8は固定容器1から容
易に取出せる。こうして、図5および図6に示す被覆鋼
管8が得られる。
【0041】アルミニウム製外管2と鋼製内管3に円管
を適用すると、図7に示すように、被覆層7、分離皮膜
4、鋼製内管3からなる円管状の被覆鋼管8が得られ
る。該被覆鋼管8は、未溶浸Alを主成分とする緻密な
Al皮膜2aを有してもよい。本発明になる方法により
四角管、円管に留まることなく多様な断面形状の被覆鋼
管が得られる。長さについても、特に制約はない。
【0042】なお、アルミニウム製外管2と鋼製内管3
は同心円状に配置する必要は必ずしもない。すなわち、
被覆層7の厚さは、必ずしも均一である必要はない。厚
さが不均一であっても被覆が完全であれば問題ない。
【0043】こうして得られた被覆層7の組織の1例を
図8に模式的に示す。金属Alの連続相10、Al3
Cの連続相11、AlB2の連続相12が絡み合ってマ
トリックスを構成している。そして溶浸Alの一部が窒
化して生成したAlNの分散相13が点在している。図
9では、さらに原料として配合したSiC粉末由来のS
iCが分散相14を構成している。
【0044】アルミニウム製外管2の粉末充填層5への
溶浸を促進する作用のあるMgをアルミニウム製外管2
の合金成分として加えてもよい。また、B源粉末、例え
ば、B4C粉末とAl粉末に少量のMg粉末を加えて混
合粉末としてもよい。このようなMg粉末はMg粉末を
除く粉末原料100重量部に対して4重量部以下とす
る。これは、Mg添加は少量で効果があるが、4重量部
を越える量を選択しても溶浸促進効果は増進しないから
である。
【0045】
【実施例】以下実施例により、本発明の被覆鋼管の製造
条件、特性及び耐久性試験結果等を説明する。表1、表
2に実施例に基づくデ−タを示す。表3に比較例のデ−
タを示す。
【0046】(実施例1)まず、200メッシュ篩通過
Al粉末を50wt%、325メッシュ通過B4C粉末
を50wt%、325メッシュ通過Mg粉末を1wt%
の割合で混合した混合粉末を用意した。鋼製内管3とし
て、材質SUS304、JIS呼称20A(外径27.
2mm、内径21.6mm)、長さ550mmの円管を
採用した。この管の外面に公称内径40mm、公称肉厚
1〜1.2mmのEガラス製編組スリ−ブを装着して分
離皮膜4とした(ちなみに、熱交換用被覆鋼管を製造
後、製品を切断し研磨した面から膜厚を測定したところ
0.62mmであった。製造中にEガラス製編組スリ−
ブは圧縮を受け、公称肉厚1〜1.2mmから0.62
mmに縮小した)。アルミニウム製外管2としてJIS
記号A6063TD、外径40mm、内径37mm、長
さ500mmの円管を採用した。固定容器1として材質
は黒鉛、内径40.2mm、外径100mm、長さ55
0mmの円管を採用した。3つの円管を内側より、鋼製
内管3、アルミニウム製外管2、固定容器1の順に同心
円をなすように配設し、一端を内径27.2mm、外径
37mm、厚さ6mm、ムライト製の無機材料ブラケッ
ト6aを鋼製内管3とアルミニウム製外管2の間に配し
て塞ぎ、これを下端となるように立てた。この上端よ
り、上端部6mmを残して前記混合粉末を充填した。上
端を内径27.2mm、外径37mm、厚さ6mm、ム
ライト製の無機材料ブランケット6bで塞いだ。これを
横にして雰囲気炉に配設した。まず、常温で真空排気し
て窒素ガスと置換した。ガス圧力を絶対圧で0.11M
Paに保持しつつ、10℃/minの昇温速度で700℃ま
で加熱し、7Hr、700℃で保持した。この後、電源を
切って放冷した。
【0047】炉から取出して、固定容器1より内容物を
引出し、被覆鋼管8ができていることを確認した。両端
の無機材料ブランケット6a、6bを除去し、重量測定
をしたところ、被覆部に3.52wt%の重量増加が認
められた。これはAlの窒化によるものである。外径は
37.4mmであり、アルミニウム製外管2の内径37
mmに比べて若干大きかった。
【0048】該被覆鋼管8より試料を採取し、嵩密度と
気孔率を求め、元素分析、XRDによる結晶相同定、溶
融塩接触試験に供した。嵩密度2.57g/cc、気孔
率3.5%であった。元素分析によりB:21.6wt
%、Al:67.9wt%が得られ、該Bは、XRD同
定によりAlB2とAl3BCとして存在することがわか
った。溶融塩接触試験は、処理物を都市ごみ焼却炉より
採取した灰に埋設した坩堝を大気炉に配置して昇温速度
15℃/minで650℃まで昇温し、同温度に144h
r保持後、放冷する方法により実施した。該灰はNaC
l、KCl、ZnCl2、PbCl2等の化合物の形態で
Clを8wt%含有しており、これらの塩化物が溶融塩
を形成する。試験後の試料の外観に変化は認められず、
切断面にも異常は見られなかった。以上述べたように、
BをAlB2およびAl3BCで存在させたことにより、
B:21.6wt%、Al:67.9wt%を含む該材
料の耐食性は極めて良好であった。
【0049】(実施例2)200メッシュ篩通過Al粉
末を35wt%、325メッシュ通過B4C粉末を15
wt%、200メッシュ通過SiC粉末を50wt%、
325メッシュ通過Mg粉末を1wt%の割合で混合し
た混合粉末を用意した。これを出発物質として、実施例
1と同一の手順により被覆鋼管8を得た。重量測定をし
たところ、被覆部に5.39wt%の重量増加が認めら
れた。これはAlの窒化によるものである。外径は3
7.1mmであり、アルミニウム製外管2の内径37m
mにほぼ等しかった。分離皮膜4の厚さは、0.51m
mであった。
【0050】該被覆鋼管8より試料を採取し、嵩密度と
気孔率を求め、元素分析、XRDによる結晶相同定、溶
融塩接触試験に供した。嵩密度2.69g/cc、気孔
率2.7%であった。元素分析によりB:6.8wt
%、Ai:58.6wt%が得られ、該Bは、XRD同
定によりAlB2とAl3BCとして存在することがわか
った。溶融塩接触試験は、処理物を都市ごみ焼却炉より
採取した灰に埋設した坩堝を大気炉に配置して昇温速度
15℃/minで650℃まで昇温し、同温度に144
hr保持後、放冷する方法により実施した。該灰はNa
Cl、KCl、ZnCl2、PbCl2等の化合物の形態
でClを8wt%含有しており、これらの塩化物が溶融
塩を形成する。試験後の試料の外観に変化は認められ
ず、切断面にも異常は見られなかった。以上述べたよう
に、BをAlB2およびAl3BCで存在させたことによ
り、B:6.8wt%、Al:58.6wt%を含む該
材料の耐食性は極めて良好であった。
【0051】(実施例3)BNをB4CとCを主たるバ
インダ−として焼結させて粉砕する方法により、BN、
4C、C等が複合化して個々の粒子を構成するBNC
粉末を用意した。組成は64.4wt%BN、23.2
wt%B4C、7.7wt%C、4.7wt%AlNで
ある。200メッシュ篩通過Al粉末を50wt%、3
25メッシュ通過B4C粉末を20wt%、325メッ
シュ通過BNC粉末を30wt%、325メッシュ通過
Mg粉末を1wt%の割合で混合した混合粉末を用意し
た。これを出発物質として、実施例1と同一の手順によ
り被覆鋼管8を得た。重量測定をしたところ、被覆部に
4.61wt%の重量増加が認められた。これはAlの
窒化によるものである。外径は36.8mmであり、ア
ルミニウム製外管2の内径37mmより若干小さかっ
た。分離皮膜4の厚さは、0.45mmであった。
【0052】該被覆鋼管8より試料を採取し、嵩密度と
気孔率を求め、元素分析、XRDによる結晶相同定、溶
融塩接触試験に供した。嵩密度2.52g/cc、気孔
率4.6%であった。元素分析によりB:16.1wt
%、Al:68.7wt%が得られ、該Bは、XRD同
定によりAlB2とAl3BCおよび未反応のB4Cとし
て存在することがわかった。溶融塩接触試験は、処理物
を都市ごみ焼却炉より採取した灰に埋設した坩堝を大気
炉に配置して昇温速度15℃/minで650℃まで昇
温し、同温度に144hr保持後、放冷する方法により
実施した。該灰はNaCl、KCl、ZnCl2、Pb
Cl2等の化合物の形態でClを8wt%含有してお
り、これらの塩化物が溶融塩を形成する。試験後の試料
の外観に変化は認められず、切断面にも異常は見られな
かった。以上述べたように、BをAlB2およびAl3
Cで存在させたことにより、B:16.1wt%、A
l:68.7wt%を含む該材料の耐食性は極めて良好
であった。
【0053】(実施例4)200メッシュ篩通過Al粉
末を60wt%、325メッシュ通過B4C粉末を10
wt%、325メッシュ通過CaB6粉末を30wt
%、325メッシュ通過Mg粉末を1wt%の割合で混
合した混合粉末を用意した。これを出発物質として、実
施例1と同一の手順により被覆鋼管を得た。重量測定を
したところ、被覆部に5.39wt%の重量増加が認め
られた。これはAlの窒化によるものである。外径は3
7.4mmであり、アルミニウム製外管2の内径37m
mに比べて大きかった。分離皮膜4の厚さは、0.60
mmであった。
【0054】該被覆鋼管8より試料を採取し、嵩密度と
気孔率を求め、元素分析、XRDによる結晶相同定、溶
融塩接触試験に供した。嵩密度2.57g/cc、気孔
率3.5%であった。元素分析によりB:14.7wt
%、Al:72.6wt%が得られ、該Bは、XRD同
定によりAlB2とAl3BCとして存在することがわか
った。溶融塩接触試験は、処理物を都市ごみ焼却炉より
採取した灰に埋設した坩堝を大気炉に配置して昇温速度
15℃/minで650℃まで昇温し、同温度に144
hr保持後、放冷する方法により実施した。該灰はNa
Cl、KCl、ZnCl2、PbCl2等の化合物の形態
でClを8wt%含有しており、これらの塩化物が溶融
塩を形成する。試験後の試料の外観に変化は認められ
ず、切断面にも異常は見られなかった。以上述べたよう
に、BをAlB2およびAl3BCで存在させたことによ
り、B:14.7wt%、Al:72.6wt%を含む
該材料の耐食性は極めて良好であった。
【0055】(実施例5)200メッシュ篩通過Al粉
末を50wt%、325メッシュ通過B4C粉末を50
wt%、325メッシュ通過Mg粉末を1wt%の割合
で混合した混合粉末を用意した。これを出発物質とし
て、実施例1と同一の手順により被覆鋼管8を得た。但
し、溶浸の温度条件を変更し、700℃、7hr保持後、
さらに1050℃に上げて4hr保持してから放冷した。重
量測定をしたところ、被覆部に4.21wt%の重量増
加が認められた。これはAlの窒化によるものである。
外径は37.6mmであり、アルミニウム製外管2の内
径37mmに比べて膨張が確認された。分離皮膜4の厚
さは、0.44mmであった。
【0056】該被覆鋼管8より試料を採取し、嵩密度と
気孔率を求め、元素分析、XRDによる結晶相同定、溶
融塩接触試験に供した。嵩密度2.72g/cc、気孔
率1.6%であった。元素分析によりB:21.9wt
%、Al:67.6wt%が得られ、該Bは、XRD同
定によりAlB2とAl3BCのほかAlB12、AlB12
2としても存在することがわかった。溶融塩接触試験
は、処理物を都市ごみ焼却炉より採取した灰に埋設した
坩堝を大気炉に配置して昇温速度15℃/minで65
0℃まで昇温し、同温度に144hr保持後、放冷する
方法により実施した。該灰はNaCl、KCl、ZnC
2、PbCl2等の化合物の形態でClを8wt%含有
しており、これらの塩化物が溶融塩を形成する。試験後
の試料の外観に変化は認められず、切断面にも異常は見
られなかった。以上述べたように、BをAlB2、Al3
BC、AlB12、AlB122で存在させたことによ
り、B:21.9wt%、Al:67.6wt%を含む
該材料の耐食性は極めて良好であった。
【0057】(比較例1)INCONEL625の組成
を表3に示す。10mm×20mm×3mmの試験片を
実施例と同一の条件で溶融塩接触試験に供した。試験後
の試験片は前面がスケ−ルに覆われていたが、剥離が多
く認められ、保護膜としては機能していなかった。
【0058】B:1〜45wt%、Al:40〜99w
t%を含み、該Bの一部または全部がAlB2、AlB
12、Al3BC、AlB12C2より選ばれた1種ま
たは複数の化合物よりなる被覆層を外面に有する鋼管に
関する5個の実施例では、600℃を越える高温において
も塩化物含有溶融塩の接触する腐食環境下において被覆
層に腐食の徴候が認められないのに対して、ニッケル基
合金について記述した比較例1においては腐食が進行し
ていた。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、鋼管の
外面に、AlB2、AlB12、Al3BC、AlB122
の中から選ばれた1種以上の化合物を主成分とし、B含
有量が1〜45wt%、Al含有量が40〜99wt%
である被覆層を有する熱交換用被覆鋼管としたので、塩
化物含有溶融塩接触環境下で極めて優れた耐食性を発揮
する熱交換器用被覆鋼管を提供する。そこで、都市ご
み、下水汚泥、製紙スラッジ等の各種産業廃棄物の燃焼
炉、石炭燃焼炉、石炭ガス化炉等で塩化物含有溶融塩と
接触する部位に適用される熱交換器用伝熱管の寿命延
長、あるいは、より過酷な条件での設備の運転を可能に
する。
【0063】また、前記被覆層がさらに金属Alを含有
する熱交換用被覆鋼管としたので、金属アルミニウムに
由来する延性を獲得し、衝撃強度を増した熱交換用被覆
鋼管が得られる。
【0064】また、鋼管の外面に分離皮膜があり、該分
離皮膜上に前記被覆層を設けた熱交換用被覆鋼管とした
ので、前記被覆層中に亀裂が進展することを防止でき、
信頼性の高い熱交換用被覆鋼管が得られる。
【0065】また、鋼管の外面に、B4C及び/又はC
aB6と、金属Alとを含む充填層を形成した後、窒化
性ガス雰囲気で600〜1200℃に加熱して熱交換用被覆鋼
管を製造するので、塩化物含有溶融塩接触環境下で極め
て優れた耐食性を発揮する熱交換器用被覆鋼管を製造で
きる。
【0066】また、鋼管を鋼製内管とし、その外周にア
ルミニウム製外管を配し、該両管の間隙にB4C及び/
又はCaB6と、金属Alとを含む無機材料粉末を充填
して、二重管構造体を形成した後、該二重管構造体を窒
化性ガス雰囲気で600〜1200℃に加熱して熱交換用被覆
鋼管を製造するので、アルミニウム製外管からのアルミ
ニウムが被覆層に溶浸しアルミニウム複合材料被覆鋼管
を得る。従って、熱交換器用被覆鋼管の特性が向上す
る。
【0067】また、前記の熱交換器用被覆鋼管を熱交換
器に使用する。これにより塩化物を含む溶融塩の発生を
伴う非常に厳しい腐食環境でも充分な耐食性を有する熱
交換器が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態の、溶浸処理前の処理物
の軸に直角方向の切断面を示す図。
【図2】 本発明の実施の啓太の、溶浸処理前の処理物
の長手方向の切断面を示す図。
【図3】 本発明の実施の形態の、溶浸処理後の処理物
の軸に直角方向の切断面を示す図。
【図4】 本発明の実施の形態の、溶浸処理後の処理物
の長手方向の切断面を示す図。
【図5】 本発明の実施の形態1の、四角管状被覆鋼管
の軸に直角方向の切断面を示す図。
【図6】 本発明の実施の形態の、四角管状被覆鋼管の
長手方向の切断面を示す図。
【図7】 本発明の実施の形態の、円管状の被覆鋼管の
軸に直角方向の切断面を示す図。
【図8】 本発明の実施の形態の、被覆層の組織を模式
的に示す図。
【図9】 本発明の実施の形態の、別の被覆層の組織を
模式的に示す図。
【符号の説明】
2 アルミニウム製外管、3 鋼管(鋼製内管)4 分
離皮膜(セラミック繊維材料)、5 無機材料粉末、7
被覆層、8 被覆鋼管。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F28F 21/08 F28F 21/08 F Fターム(参考) 4F100 AA31B AB03A AB10B AD00C BA02 BA03 BA07 BA10A BA10B DD31 DG01C GB90 JB02 YY00B 4K044 AA02 AB03 BA10 BA12 BA13 BA14 BA18 BB01 BB03 BC02 CA11 CA12 CA25

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼管の外面に、AlB2、AlB12、A
    3BC、AlB12 2の中から選ばれた1種以上の化合
    物を主成分とし、B含有量が1〜45wt%、Al含有
    量が40〜99wt%である被覆層を有することを特徴
    とする熱交換用被覆鋼管。
  2. 【請求項2】 前記被覆層がさらに金属Alを含有する
    ことを特徴とする請求項1記載の熱交換用被覆鋼管。
  3. 【請求項3】 鋼管の外面に分離皮膜があり、該分離皮
    膜上に前記被覆層を設けたことを特徴とする請求項1又
    は請求項2記載の熱交換用被覆鋼管。
  4. 【請求項4】 鋼管の外面に、B4C及び/又はCaB6
    と、金属Alとを含む充填層を形成した後、窒化性ガス
    雰囲気で600〜1200℃に加熱することを特徴とする請求
    項1又は請求項2記載の熱交換用被覆鋼管の製造方法。
  5. 【請求項5】 外面に分離皮膜を有する鋼管の前記分離
    皮膜上に、B4C及び/又はCaB6と、金属Alとを含
    む充填層を形成した後、窒化性ガス雰囲気で600〜1200
    ℃に加熱することを特徴とする請求項3記載の熱交換用
    被覆鋼管の製造方法。
  6. 【請求項6】 鋼管を鋼製内管とし、その外周にアルミ
    ニウム製外管を配し、該両管の間隙にB4C及び/又は
    CaB6と、金属Alとを含む無機材料粉末を充填し
    て、二重管構造体を形成した後、該二重管構造体を窒化
    性ガス雰囲気で600〜1200℃に加熱することを特徴とす
    る請求項1又は請求項2記載の熱交換用被覆鋼管の製造
    方法。
  7. 【請求項7】 外面に分離皮膜を有する鋼管を鋼製内管
    とし、前記分離皮膜の外周にアルミニウム製外管をを配
    し、該両管の間隙にB4C及び/又はCaB6と、金属A
    lとを含む無機材料粉末を充填して、二重管構造体を形
    成した後、該二重管構造体を窒化性ガス雰囲気で600〜1
    200℃に加熱することを特徴とする請求項3記載の熱交
    換用被覆鋼管の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記分離皮膜が前記鋼製内管に巻きつけ
    たセラミック繊維材料であることを特徴とする請求項7
    記載の熱交換用被覆鋼管の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記
    載の熱交換用被覆鋼管を使用したことを特徴とする熱交
    換器。
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